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2020-07-11(Sat)

【国内旅行業務取扱管理者試験】平成28年度第1問「旅行業法及びこれに基づく命令」

今回は,平成28年度第1問です。

(注)略称は次の通り
法:旅行業法
施行規則:旅行業法施行規則
施行令:旅行業法施行令
契約規則:旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則

以下の各設問について,該当する答を,選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
(1)次の記述から,法第1条「目的」に定められているもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行業等を営む者についての登録制度の実施
 b.旅行者の利便の増進
 c.旅行業等を営む者の公正な競争の確保
 d.旅行の安全の確保

ア.a,c  イ.b,d  ウ.a,b,d  エ.b,c,d


正解:ウ(配点:4)
解説:法1条は,以下のように定めています。

(目的)
第一条 この法律は,旅行業等を営む者について登録制度を実施し,あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに,その組織する団体の適正な活動を促進することにより,旅行業務に関する取引の公正の維持,旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする。


a,b及びdは法1条に含まれていますが,cは含まれていません。したがって,正解は,ウです。

(2)法第2条「定義」に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.報酬を得て,旅行者のために旅行に関する相談に応ずる行為を行う事業は,旅行業に該当する。
 イ.報酬を得て,観光バス事業者が,自ら所有する観光バスを使用し,いちご狩りを目的とする日帰りツアーを旅行者に販売する行為を行う事業は,旅行業に該当しない。
 ウ.報酬を得て,手配を業とするランドオペレーターが,旅行業者から依頼を受けて当該旅行業者のために運送等サービスを手配する行為を行う事業は,旅行業に該当しない。
 エ.報酬を得て,専ら運送サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送サービスの提供について,代理して契約を締結する行為を行う事業は,旅行業に該当する。


正解:エ(配点:4)
解説:アは,法2条1項9号の通りですから,正しいです。
 イについて,いちご狩りを目的とする日帰りツアーの販売は,「運送等関連サービス」に該当するところ,運送等関連サービスを行うについて旅行業の登録が必要なのは,①企画旅行中の運送等サービスを提供する者との間で契約を締結するのに付随する場合(法2条1項2号),②運送等サービスの利用に付随して旅行者のために代理・媒介・取次をする場合(同項6号),③運送等サービスの利用に付随して運送等サービスを提供する者のために代理・媒介をする場合(同項7号)の3つの場合です。しかし,本問の主たるサービスである運送等サービスが存在しないため(観光バスの使用については,自車バスであるため,各号の運送等サービスにあたりません。),上記3の場合のいずれにも該当しません。したがって,イは,旅行業に該当しないため,正しいです。
 ウについては,法2条1項各号のいずれにも該当しないため,旅行業にあたりません。したがって,ウは,正しいです。
 エについて,法2条1項柱書かっこ書きは,専ら運送サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送サービスの提供について,代理して契約を締結する行為を,「旅行業」から除外しています。したがって,エは,これを旅行業に該当するとしている点で誤りです。

(定義)
第二条 この法律で「旅行業」とは,報酬を得て,次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送サービスの提供について,代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。
 一 旅行の目的地及び日程,旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービス(以下「運送等サービス」という。)の内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を,旅行者の募集のためにあらかじめ,又は旅行者からの依頼により作成するとともに,当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を,自己の計算において,運送等サービスを提供する者との間で締結する行為
 二 前号に掲げる行為に付随して,運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービス(以下「運送等関連サービス」という。)を旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等関連サービスの提供に係る契約を,自己の計算において,運送等関連サービスを提供する者との間で締結する行為
 三 旅行者のため,運送等サービスの提供を受けることについて,代理して契約を締結し,媒介をし,又は取次ぎをする行為
 四 運送等サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送等サービスの提供について,代理して契約を締結し,又は媒介をする行為
 五 他人の経営する運送機関又は宿泊施設を利用して,旅行者に対して運送等サービスを提供する行為
 六 前三号に掲げる行為に付随して,旅行者のため,運送等関連サービスの提供を受けることについて,代理して契約を締結し,媒介をし,又は取次ぎをする行為
 七 第三号から第五号までに掲げる行為に付随して,運送等関連サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送等関連サービスの提供について,代理して契約を締結し,又は媒介をする行為
 八 第一号及び第三号から第五号までに掲げる行為に付随して,旅行者の案内,旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為
 九 旅行に関する相談に応ずる行為
2~7 略


(3)旅行業等の登録に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.第3種旅行業の登録の有効期間は,営業保証金を供託し,その旨を主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出た日から起算して5年である。
 イ.地域限定旅行業の新規登録の申請をしようとする者は,新規登録申請書を観光庁長官に提出しなければならない。
 ウ.業務の範囲が第1種旅行業務である旅行業の更新登録の申請をしようとする者は,更新登録申請書を観光庁長官に提出しなければならない。
 エ.更新登録の申請をしようとする旅行業者代理業者は,その主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に有効期間の満了の日の2月前までに更新登録申請書を提出しなければならない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,法6条の2は,旅行業の登録の有効期間は,登録の日から起算する旨規定しています。そして,ここでの登録は,申請書を観光庁長官に提出し,法6条に掲げる事由に該当しないことが分かった時点で行われますから(法5条1項),営業保証金の寄託は不要です。したがって,アは,これを営業保証金を寄託した旨を届け出た日から起算するとしている点で誤りです。

(登録の実施)
第五条 観光庁長官は,前条の規定による登録の申請があつた場合においては,次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか,次に掲げる事項を旅行業者登録簿又は旅行業者代理業者登録簿に登録しなければならない。
 一,二 略
2 略
(登録の有効期間)
第六条の二 旅行業の登録の有効期間は,登録の日から起算して五年とする。


イについて,施行規則1条の2第2号は,地域限定旅行業の新規登録申請書は,主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出する旨規定しています。したがって,イは,これを観光庁長官に提出するとしている点で誤りです。

(新規登録及び更新登録の申請手続)
第一条の二 法第三条の規定による旅行業又は旅行業者代理業の登録(以下この節において「新規登録」という。)又は法第六条の三第一項の規定による有効期間の更新の登録(以下「更新登録」という。)の申請をしようとする者は,次の区分により,当該各号に掲げる行政庁に,第一号様式による新規登録(更新登録)申請書を提出しなければならない。この場合において,更新登録の申請については,有効期間の満了の日の二月前までに提出するものとする。
 一 略
 二 業務の範囲が次条に規定する第二種旅行業務,第三種旅行業務又は地域限定旅行業務である旅行業の新規登録又は更新登録の申請をしようとする者 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事
 三 略


ウは,施行規則1条の2第1号の通りですから,正しいです。

(新規登録及び更新登録の申請手続)
第一条の二 法第三条の規定による旅行業又は旅行業者代理業の登録(以下この節において「新規登録」という。)又は法第六条の三第一項の規定による有効期間の更新の登録(以下「更新登録」という。)の申請をしようとする者は,次の区分により,当該各号に掲げる行政庁に,第一号様式による新規登録(更新登録申請書を提出しなければならない。この場合において,更新登録の申請については,有効期間の満了の日の二月前までに提出するものとする。
 一 業務の範囲が次条に規定する第一種旅行業務である旅行業の新規登録又は更新登録の申請をしようとする者 観光庁長官
 二,三 略


エについて,施行規則1条の2第3号は,旅行業者代理業の「新規登録」の申請をする場合には,主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出する旨規定していますが,「更新登録」をする場合については規定していません。これは,更新登録が,登録の有効期間が満了する場合に引き続き営業を行うためにするものであるところ,旅行業者代理業の登録には有効期間の設定がなく(法6条の2は「旅行業」にのみ有効期間を設けています。),有効期間が満了することが想定されていないからです。したがって,エは,旅行業者代理業者について更新登録を行う事態を想定している点で誤りです。

○旅行業法
(登録の有効期間)
第六条の二 旅行業の登録の有効期間は,登録の日から起算して五年とする。
○旅行業法施行規則
(新規登録及び更新登録の申請手続)
第一条の二 法第三条の規定による旅行業又は旅行業者代理業の登録(以下この節において「新規登録」という。)又は法第六条の三第一項の規定による有効期間の更新の登録(以下「更新登録」という。)の申請をしようとする者は,次の区分により,当該各号に掲げる行政庁に,第一号様式による新規登録(更新登録)申請書を提出しなければならない。この場合において,更新登録の申請については,有効期間の満了の日の二月前までに提出するものとする。
 一,二 略
 三 旅行業者代理業の新規登録の申請をしようとする者 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事


(4)登録業務範囲に関する次の記述のうち,正しいものはどれか(いずれも旅行業務取扱管理者の選任
要件は満たしているものとする。)。
 ア.第3種旅行業者が実施できる企画旅行については,一の企画旅行ごとに一の自らの営業所の存する市町村(特別区を含む。)の区域,これに隣接する市町村の区域において実施されるものに限られる。
 イ.第1種旅行業者は,法第14条の2第1項の規定により,地域限定旅行業者の実施する企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)について,当該地域限定旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる。
 ウ.第2種旅行業者は,訪日外国人旅行者を対象とした本邦内の企画旅行を実施することはできない。
 エ.地域限定旅行業者は,一の企画旅行ごとに一の拠点区域内において実施される企画旅行は実施できるが,本邦外の旅行に関する相談に応じることはできない。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,施行規則1条の3第3号は,第3種旅行業務について,①自らの営業所の存する市町村(特別区を含む)の区域,②これに隣接する市町村の区域,③観光庁長官の定める区域の3つの区域において企画旅行を実施することができる旨規定しています。したがって,アは,③に言及していない点で誤りです。

(業務の範囲)
第一条の三 法第四条第一項第三号の国土交通省令で定める業務の範囲(以下「登録業務範囲」という。)の別は,次のとおりとする。
 一,二 略
 三 第三種旅行業務(法第二条第一項各号に掲げる行為のうち企画旅行(一の企画旅行ごとに一の自らの営業所の存する市町村特別区を含む。以下同じ。)の区域,これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域(次号及び第十条の五において「拠点区域」という。)内において実施されるものを除く。)の実施に係るもの以外のもの)
 四 略


イは,施行規則1条の3第1号の通りですから,正しいです。

(業務の範囲)
第一条の三 法第四条第一項第三号の国土交通省令で定める業務の範囲(以下「登録業務範囲」という。)の別は,次のとおりとする。
 一 第一種旅行業務(法第二条第一項各号に掲げる行為(法第十四条の二第一項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結する行為を含む。以下この条において同じ。))
 二~四 略


ウについて,施行規則1条の3第2号は,第2種旅行業務について,本邦外の企画旅行を実施することはできないが,本邦内であれば実施することができる旨を規定しています。したがって,ウは,本邦内の企画旅行を実施することができないとしている点で誤りです。

(業務の範囲)
第一条の三 法第四条第一項第三号の国土交通省令で定める業務の範囲(以下「登録業務範囲」という。)の別は,次のとおりとする。
 一 略
 二 第二種旅行業務(法第二条第一項各号に掲げる行為のうち本邦外の企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。次号において同じ。)の実施に係るもの以外のもの
 三,四 略


エについて,一の企画旅行ごとに一の拠点区域内において実施される企画旅行を実施できるとする点は,施行規則1条の3第4号の通りですから,正しいです。もっとも,本邦外の旅行に関する相談はできないとする点について,施行規則1条の3第4号は,地域限定旅行業務の範囲を,企画旅行の実施に係るもの以外のものとしています。ここで,企画旅行の実施に係る業務とは,法2条1項1号,2号及び8号に掲げる旅行業務を指しますが(法2条4項参照),旅行に関する相談はこれにあたりませんから(法2条1項9号),地域限定旅行業務の範囲に含まれます。したがって,エは,これを行うことができないとしている点で誤りです。

○旅行業法
(定義)
第二条 この法律で「旅行業」とは,報酬を得て,次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送サービスの提供について,代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。
 一 旅行の目的地及び日程,旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービス(以下「運送等サービス」という。)の内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を,旅行者の募集のためにあらかじめ,又は旅行者からの依頼により作成するとともに,当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を,自己の計算において,運送等サービスを提供する者との間で締結する行為
 二 前号に掲げる行為に付随して,運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービス(以下「運送等関連サービス」という。)を旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等関連サービスの提供に係る契約を,自己の計算において,運送等関連サービスを提供する者との間で締結する行為
 三~七 略
 八 第一号及び第三号から第五号までに掲げる行為に付随して,旅行者の案内,旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為
 九 旅行に関する相談に応ずる行為
2,3 略
4 この法律で「企画旅行契約」とは,第一項第一号、第二号及び第八号(同項第一号に係る部分に限る。)に掲げる旅行業務の取扱いに関し,旅行業を営む者が旅行者と締結する契約をいう。
5~7 略
○旅行業法施行規則
(業務の範囲)
第一条の三 法第四条第一項第三号の国土交通省令で定める業務の範囲(以下「登録業務範囲」という。)の別は,次のとおりとする。
 一~三 略
 四 地域限定旅行業務(法第二条第一項各号に掲げる行為のうち企画旅行一の企画旅行ごとに一の拠点区域内において実施されるものを除く。)の実施に係るもの及び同項第三号から第五号までに掲げる行為(一の行為ごとに一の拠点区域内における運送等サービスの提供に係るものを除く。)に係るもの以外のもの


(5)次の記述のうち,旅行業等の登録の拒否事由に該当しないものはどれか。
 ア.旅行業又は旅行業者代理業の登録を取り消され,その取消しの日から5年を経過していない者
 イ.法人であって,その役員のうちに申請前5年以内に道路交通法に違反して罰金の刑に処せられた者があるもの
 ウ.申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者
 エ.旅行業者代理業を営もうとする者であって,その代理する旅行業を営む者が2以上であるもの


正解:イ(配点:4)
解説:登録の拒否事由は法6条1項各号に掲げられており,このうちの一つにでも該当する場合には,登録が拒否されます。
 アは,法6条1項1号に該当するため,登録拒否事由となります。
 イについて,法6条1項2号は,①何かしらの犯罪について禁錮以上の刑に処せられた場合,又は②旅行業法の規定に違反して罰金刑に処せられた場合のいずれかで,5年を経過していないものについて登録拒否事由になる旨規定しています。本問では,道路交通法の規定に違反している場合であるため,②にはあたりません。また,本問では罰金刑となっていますが,罰金は禁錮よりも軽い刑ですから(刑法10条1項,9条),①にもあたりません(道路交通法違反に対する刑の軽重についても,刑罰を定めた一般法である刑法の定めによります。)。したがって,イは,同号に該当せず,登録拒否事由となりません。
 ウは,法6条1項4号に該当するため,登録拒否事由となります。
 エは,法6条1項11号に該当するため,登録拒否事由となります。

○旅行業法
(登録の拒否)
第六条 観光庁長官は,登録の申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には,その登録を拒否しなければならない。
 一 第十九条の規定により旅行業若しくは旅行業者代理業の登録を取り消され,又は第三十七条の規定により旅行サービス手配業の登録を取り消され,その取消しの日から五年を経過していない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては,当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で,当該取消しの日から五年を経過していないものを含む。)
 二 禁錮以上の刑に処せられ,又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者
 三 暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者をいう。第八号において同じ。)
 四 申請前五年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
 五 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は第七号のいずれかに該当するもの
 六 心身の故障により旅行業若しくは旅行業者代理業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
 七 法人であつて,その役員のうちに第一号から第四号まで又は前号のいずれかに該当する者があるもの
 八 暴力団員等がその事業活動を支配する者
 九 営業所ごとに第十一条の二の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
 十 旅行業を営もうとする者であつて,当該事業を遂行するために必要と認められる第四条第一項第三号の業務の範囲の別ごとに国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しないもの
 十一 旅行業者代理業を営もうとする者であつて,その代理する旅行業を営む者が二以上であるもの
2 略
○刑法
(刑の種類)
第九条 死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留及び科料を主刑とし,没収を付加刑とする。
(刑の軽重)
第十条 主刑の軽重は,前条に規定する順序による。ただし,無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし,有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも,禁錮を重い刑とする。
2,3 略


(6)変更登録等に関する次の記述から,正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.第3種旅行業者は,主たる営業所の所在地が都道府県の区域を異にする所在地に変更があったときは,その日から30日以内に,変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。
 b.地域限定旅行業者は,新たに旅行業者代理業者に旅行業務を取り扱わせることになったときは,その主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。
 c.第2種旅行業者は,本邦外の企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)を実施できるように業務の範囲を変更しようとするときは,観光庁長官に登録事項変更届出書を提出しなければならない。
 d.地域限定旅行業を営もうとする旅行業者代理業者は,その主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に業務の範囲の変更登録申請書を提出しなければならない。

ア.a,b  イ.c,d  ウ.a,b,c  エ.b,c,d


正解:ア(配点:4)
解説:aについて,法6条の4第3項は,法4条1項1号,2号又は4号に掲げる事項にについて変更があった場合には,その旨を観光庁長官に届け出る旨規定しています。本問にある,主たる営業所の所在地は,法4条1項2号に掲げる事項に該当するため,これを変更する場合には,法6条の4第3項に従い,観光庁長官に届け出る必要があります。この届出の方法について,施行規則5条1項はただし書は,第1種旅行業者以外の旅行業者・旅行業代理業者が都道府県の区域を異にする所在地の変更を行う場合には,変更後の営業所の所在地を管轄する都道府県知事に届出書を提出する旨規定しています。したがって,aは,正しいです。
 bについて,旅行業者代理業者に旅行業務を取り扱わせることは,法4条1項4号に掲げる事項ですから,法6条の4第3項に従い,観光庁長官に届け出る必要があります。そして,この場合の届出の方法も,施行規則5条1項に基づき,「登録行政庁」へ「登録事項変更届出書」を提出することになりますから,地域限定旅行業者の場合は都道府県知事に登録事項変更届出書を提出します。したがって,bは,正しいです。
 cについて,本邦外募集型企画旅行を実施できるのは第1種旅行業のみですから,第2種旅行業から第1種旅行業へ変更する必要があります。法6条の4第1項は,旅行業務範囲の変更を行う場合には,観光庁長官の行う変更登録を受ける旨規定しています。そして,この変更登録の方法について,施行規則4条の2第1項は,第1種旅行業への変更登録を申請する場合には「観光庁長官」に対して,それ以外の旅行業への変更登録を申請する場合には「主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事」に対して,それぞれ「変更登録申請書」を提出する旨規定しています。本問では,第2種から第1種への変更ですから,「観光庁長官」に対して「変更登録申請書」を提出することとなります。したがって,cは,登録事項変更届出書を提出するとしている点で誤りです。
 dについて,法6条の4第1項の変更登録が必要となるのは,「旅行業の登録を受けた者」が業務範囲の変更を行う場合ですから,旅行業の登録を受けていない「旅行業者代理業者」が旅行業務を取り扱うにあたっては,変更登録は行いません。このときは,新規登録(法3条,4条)が必要です。したがって,エは,変更登録を行うとしている点で誤りです。

○旅行業法
(登録の申請)
第四条 前条の登録を受けようとする者は,次に掲げる事項を記載した申請書を観光庁長官に提出しなければならない。
 一 氏名又は商号若しくは名称及び住所並びに法人にあつては,その代表者の氏名
 二 主たる営業所及びその他の営業所の名称及び所在地
 三 略
 四 旅行業を営もうとする者にあつては,旅行業者代理業を営む者に旅行業務を取り扱わせるときは,その者の氏名又は名称及び住所並びに当該旅行業務を取り扱う営業所の名称及び所在地
 五 略
2 略
(変更登録等)
第六条の四 旅行業の登録を受けた者(以下「旅行業者」という。)は,第四条第一項第三号の業務の範囲について変更をしようとするときは,国土交通省令で定めるところにより,観光庁長官の行う変更登録を受けなければならない
2 略
3 旅行業者又は旅行業者代理業者(旅行業者代理業の登録を受けた者をいう。以下同じ。)は,第四条第一項第一号,第二号又は第四号(旅行業者代理業者にあつては,同項第一号又は第二号)に掲げる事項について変更があつたときは,その日から三十日以内に,国土交通省令で定める書類を添付して,その旨を観光庁長官に届け出なければならない
4 略
○旅行業法施行規則
(変更登録)
第四条の二 法第六条の四第一項の規定による変更登録(以下「変更登録」という。)の申請をしようとする旅行業者は,次の各号の区分に従い,当該各号に掲げる行政庁に,第一号様式による変更登録申請書を提出しなければならない
 一 第一種旅行業への変更登録の申請をしようとする旅行業者 観光庁長官
 二 第二種旅行業,第三種旅行業又は地域限定旅行業への変更登録の申請をしようとする旅行業者 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事
2~5 略
(登録事項の変更の届出)
第五条 旅行業者又は旅行業者代理業者(以下「旅行業者等」という。)は,法第六条の四第三項の規定により登録事項の変更の届出をしようとするときは,登録行政庁(旅行業者等が現に登録を受けている行政庁をいう。第十条の四,第三十八条,第三十九条及び第四十条において同じ。)に,第四号様式による登録事項変更届出書を提出しなければならない。ただし,第二種旅行業者,第三種旅行業者,地域限定旅行業者又は旅行業者代理業者が法第四条第一項第二号に規定する主たる営業所の所在地の変更(都道府県の区域を異にする所在地の変更に限る。)の届出をしようとするときは,変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に届出書を提出しなければならない
2,3 略


(7)営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.第2種旅行業の新規登録を受けた者が供託すべき営業保証金の額は,登録の申請時に添付した書類に記載した旅行業務に関する旅行者との年間取引見込額が5000万円未満の場合は,700万円である。
 イ.旅行業者が供託すべき営業保証金の額は,当該旅行業者の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額に基づき算定し,これには当該旅行業者に所属する旅行業者代理業者が取り扱った旅行者との旅行業務に関する取引の額を含めることを要しない。
 ウ.旅行業者ら,営業保証金の供託をしたときは,直ちに,その事業を開始することができる。
 エ.国債証券については,その額面金額をもって,営業保証金に充てることができる。


正解:エ(配点:4)
解説:アについて,法別表第1によれば,第2種が取引額5000万円未満の場合には,1100万円を営業保証金とすることになります。したがって,アは,営業保証金の額を700万円としている点で誤りです。

施行規則別表第一

イについて,旅行業者代理業者が取り扱った取引の効果は,その所属旅行業者に帰属るため,ここでの取引も,法8条1項にいう「当該旅行業者の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額」にあたります。したがって,イは,旅行業者代理業者取扱いの取引の額を含めないとしている点で誤りです。

(営業保証金の額等)
第八条 旅行業者が供託すべき営業保証金の額は,当該旅行業者の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額(当該旅行業者が第三条の登録を受けた事業年度に営業保証金を供託する場合その他の国土交通省令で定める場合にあつては,国土交通省令で定める額)に応じ,第四条第一項第三号の業務の範囲の別ごとに,旅行業務に関する旅行者との取引の実情及び旅行業務に関する取引における旅行者の保護の必要性を考慮して国土交通省令で定めるところにより算定した額とする。
2~7 略
 

ウについて,法7条3項は,営業保証金の供託の後,供託をした旨の届出を観光庁長官に対して行わなければ,事業を開始してはならない旨を規定しています。したがって,ウは,この届出をせずとも直ちに事業を開始できるとしている点で誤りです。

(営業保証金の供託)
第七条 略
2 旅行業者は,営業保証金の供託をしたときは,供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して,その旨を観光庁長官に届け出なければならない。
3 旅行業者は,前項の届出をした後でなければ,その事業を開始してはならない
4,5 略


エは,施行規則9条1項の通りですから,正しいです。

(営業保証金又は弁済業務保証金に充てることができる有価証券の価額)
第九条 法第八条第六項(法第四十七条第三項及び第四十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により前条の有価証券を営業保証金又は弁済業務保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は,次の各号に掲げる有価証券の区分に従い,当該各号に定める額とする。
 一 国債証券,地方債証券又は政府がその債務につき保証契約をした有価証券 額面金額
 二 略
2,3 略


(8)営業保証金の還付に関する次の記述から,旅行業者が供託した営業保証金について,債権の弁済を受ける権利を有する者に該当するもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行業者と旅行業務に関し取引をした旅行者
 b.旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者と旅行業務に関し取引をした旅行者
 c.旅行業者が旅行者に提供するために必要と見込まれる運送サービスの提供に係る契約を締結した運送事業者
 d.旅行業者が合併により設立された法人であり,旅行業者であった消滅会社より営業保証金についての権利を承継し,その旨を登録行政庁に届け出た場合における当該消滅会社と旅行業務に関し取引をした旅行者

ア.a,c  イ.a,b,d  ウ.b,c,d  エ.a,b,c,d


正解:イ(配点:4)
解説:a及びbは,法17条1項の通りですから,正しいです。

(営業保証金の還付)
第十七条 旅行業者又は当該旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者と旅行業務に関し取引をした旅行者は,その取引によつて生じた債権に関し,当該旅行業者が供託している営業保証金について,その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 略


cについて,法17条1項は,「旅行者」に限定して,営業保証金について弁済を受ける権利を有する旨規定しています。したがって,cは,同権利を「運送事業者」に認めている点で誤りです。

(営業保証金の還付)
第十七条 旅行業者又は当該旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者と旅行業務に関し取引をした旅行者は,その取引によつて生じた債権に関し,当該旅行業者が供託している営業保証金について,その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 略


dについて,法16条1項は,合併により消滅する会社の営業保証金は,新設会社が当該営業保証金の権利を承継する旨の届出を観光庁長官にすることによって,新設会社に引き継がれ,その結果,新設会社の供託した営業保証金とみなされます。この場合,法16条4項は,消滅会社との間で,その営業保証金につき弁済を受ける権利を有する者がいるのであれば,この権利は新設会社に対しても行使することができる旨規定しています。したがって,dは正しいです。

(営業保証金についての権利の承継等)
第十六条 旅行業者が死亡し,旅行業者たる法人が合併により消滅し,若しくは分割によりその事業の全部を承継させ,又は旅行業者がその事業の全部を譲渡したため,第二十条の規定による登録の抹消があつた場合において,その日から六月以内に,その相続人,合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人,分割によりその事業の全部を承継した法人又はその事業の譲受人が旅行業の登録を受け,かつ,旅行業者であつた者が供託した営業保証金につき権利を承継した旨の届出を観光庁長官にしたときは,その営業保証金は,新たに旅行業者となつた者が第七条第一項の規定により供託した営業保証金とみなす。
2,3 略
4 第一項の場合において,その営業保証金につき,旅行業者であつた者又は当該旅行業者であつた者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者との取引によつて生じた債権に関し,次条第一項の権利を有する者があるときは,同項の権利の実行については,その債権は,新たに旅行業者となつた者との取引によつて生じた債権とみなす


以上から,a,b及びdは正しく,cは誤りですから,正解はイです。

(9)旅行業務取扱管理者の選任に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.第2種旅行業者及び第3種旅行業者については,その営業所において本邦外の旅行について旅行業務を取り扱う場合であっても,国内旅行業務取扱管理者試験に合格した者のみを旅行業務取扱管理者として選任すればよい。
 イ.旅行業者等は,その営業所において旅行業務取扱管理者を複数選任している場合にあっては,そのうちの1人については,他の営業所の旅行業務取扱管理者として兼任させることができる。
 ウ.旅行業者等は,その営業所の旅行業務取扱管理者として選任した者のすべてが欠けるに至ったときは,新たに旅行業務取扱管理者を選任するまでの間でも,その営業所において,他の旅行業者が実施する企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)であれば,当該他の旅行業者を代理して旅行者と契約を締結することができる。
 エ.旅行業者等は,旅行業務に従事した経験が1年未満の者であっても,旅行業務取扱管理者試験に合格し,法第11条の2第5項の規定に適合する者で,かつ,他の営業所の旅行業務取扱管理者に選任されていない者であれば,営業所の旅行業務取扱管理者として選任することができる。


正解:エ(配点:4)
解説:アについて,法11条の2第6項1号,2号は,本邦内の旅行について取り扱う営業所であれば,国内旅行業務取扱管理者の選任で足りるとしています。一方,同項3号は,それ以外の旅行,すなわち本邦外の旅行について取り扱う営業所については,総合旅行業務取扱管理者の選任まで要する旨規定しています。したがって,アは,本邦外旅行を取り扱う営業所についても国内旅行業務取扱管理者の選任で足りるとしている点で誤りです。

(旅行業務取扱管理者の選任)
第十一条の二 略
2~5 略
6 旅行業務取扱管理者は,第六条第一項第一号から第六号までのいずれにも該当しない者で,次に掲げるものでなければならない。
 一 本邦内の旅行のうち営業所の所在する市町村の区域その他の国土交通省令で定める地域内のもののみについて旅行業務を取り扱う営業所にあつては,次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験,国内旅行業務取扱管理者試験又は地域限定旅行業務取扱管理者試験(当該営業所の所在する地域に係るものに限る。)に合格した者
 二 本邦内の旅行のみについて旅行業務を取り扱う営業所(前号の営業所を除く。)にあつては,次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験又は国内旅行業務取扱管理者試験に合格した者
 三 前二号の営業所以外の営業所にあつては,次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験に合格した者
7~10 略


イについて,法11条の2第4項は,旅行業務取扱管理者は,他の営業所と兼務することができない旨規定しており,これについて複数選任されている場合の例外は設けられていません。したがって,イは,旅行業務取扱管理者が複数選任されていれば,他の営業所と兼務させることができるとしている点で誤りです。

(旅行業務取扱管理者の選任)
第十一条の二 略
2,3 略
4 旅行業務取扱管理者は,他の営業所の旅行業務取扱管理者となることができない
5~10 略


ウについて,法11条の2第2項は,旅行業務取扱管理者が全て欠けた場合には,その営業所において旅行業務に関する契約を締結してはならない旨規定しています。ここで,「旅行業務」には,旅行業者代理業も含まれます(法2条3項)。したがって,ウは,旅行業務取扱管理者がいない場合でも,旅行業者代理業はできるとしている点で誤りです。

(定義)
第二条 略
2 略
3 この法律で「旅行業務」とは,旅行業を営む者が取り扱う第一項各号に掲げる行為(第十四条の二第一項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結する行為及び第三十四条第一項の規定により行う第六項に規定する行為を含む。)又は旅行業者代理業を営む者が取り扱う前項に規定する代理して契約を締結する行為をいう
4~7略
(旅行業務取扱管理者の選任)
第十一条のニ 略
2 旅行業者等は,その営業所の旅行業務取扱管理者として選任した者の全てが第六条第一項第一号から第六号までのいずれかに該当し,又は選任した者の全てが欠けるに至つたときは,新たに旅行業務取扱管理者を選任するまでの間は,その営業所において旅行業務に関する契約を締結してはならない
3~10 略


エについて,法11条の2第1項は,選任すべき旅行業務取扱管理者は,同条6項に適合する者であることを要求しており,旅行業務の従事年数は問うていません。また,旅行業務取扱管理者の兼務禁止は,イの説明の通りです。したがって,エは,正しいです。 ※問題文では「法第11条の2第5項」とされていますが,平成29年法改正により,条文新設のため,項数が同条6項にずれました。

(旅行業務取扱管理者の選任)
第十一条の二 旅行業者又は旅行業者代理業者(以下「旅行業者等」という。)は,営業所ごとに,一人以上の第六項の規定に適合する旅行業務取扱管理者を選任して,当該営業所における旅行業務に関し,その取引に係る取引条件の明確性,旅行に関するサービス(運送等サービス及び運送等関連サービスをいう。以下同じ。)の提供の確実性その他取引の公正,旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。
2~10 略


(10)次の記述のうち,旅行業務取扱管理者の職務として,定められていないものはどれか。
 ア.法第12条の5の2の規定による旅行業務取扱管理者の証明書の提示に関する事項
 イ.法第12条の7及び法第12条の8の規定による広告に関する事項
 ウ.契約締結の年月日,契約の相手方その他の旅行者又は旅行に関するサービスを提供する者と締結した契約の内容に係る重要な事項についての明確な記録又は関係書類の保管に関する事項
 エ.施行規則第10条第1号から第9号に掲げるもののほか,取引の公正,旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項


正解:ア(配点:4)
解説:旅行業務取扱管理者の職務は施行規則10条に掲げられています。イは同条6号,ウは同条9号,エは同条10号にそれぞれ規定されているため,正しいです。一方で,アは,同条各号に掲げられていないため,誤りです。

(旅行業務取扱管理者の職務)
第十条 法第十一条の二第一項の国土交通省令で定める事項は,次のとおりとする。
 一 旅行に関する計画の作成に関する事項
 二 法第十二条の規定による料金の掲示に関する事項
 三 法第十二条の二第三項の規定による旅行業約款の掲示及び備置きに関する事項
 四 法第十二条の四の規定による取引条件の説明に関する事項
 五 法第十二条の五の規定による書面の交付に関する事項
 六 法第十二条の七及び法第十二条の八の規定による広告に関する事項
 七 法第十二条の十の規定による企画旅行の円滑な実施のための措置に関する事項
 八 旅行に関する苦情の処理に関する事項
 九 契約締結の年月日,契約の相手方その他の旅行者又は旅行に関するサービスを提供する者と締結した契約の内容に係る重要な事項についての明確な記録又は関係書類の保管に関する事項
 十 前各号に掲げるもののほか,取引の公正,旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項


(11) 旅行者から収受する旅行業務の取扱いの料金(企画旅行に係るものを除く。)に関する次の記述から,誤っているもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行業者は,事業の開始後速やかに,旅行業務の取扱いの料金を定め,これをその営業所において旅行者に見やすいように掲示又は旅行者が閲覧することができるように備え置かなければならない。
 b.旅行業務の取扱いの料金は,契約の種類及び内容に応じて定率,定額その他の方法により定められ,旅行者にとって明確でなければならない。
 c.旅行業者は,旅行業務の取扱いの料金を変更したときは,その日から7日以内に,登録行政庁に変更届出書を提出しなければならない。
 d.旅行業者代理業者は,その営業所において,所属旅行業者が定めた旅行業務の取扱いの料金を掲示することを要しない。

ア.a,b  イ.b,c  ウ.c,d  エ.a,c,d


正解:エ(配点:4)
解説:aについて,法12条1項前段は,旅行業務取扱料金の定めは「事業の開始前に」取り決める必要があり,かつこれを「見やすいように掲示する」必要がある旨規定しています。したがって,aは,これを「事業の開始後」としている点,備置を選択肢に入れている点で誤りです。

(料金の掲示)
第十二条 旅行業者は,事業の開始前に,旅行者から収受する旅行業務の取扱いの料金(企画旅行に係るものを除く。)を定め,これをその営業所において旅行者に見やすいように掲示しなければならない。これを変更するときも,同様とする。
2,3 略


bは,法12条2項,施行規則21条の通りですから,正しいです。

○旅行業法
(料金の掲示)
第十二条 略
2 前項の料金は,国土交通省令で定める基準に従つて定められたものでなければならない。
3 略
○旅行業法施行規則
(掲示料金の制定基準)
第二十一条 法第十二条第二項の国土交通省令で定める基準は,旅行業務の取扱いの料金が契約の種類及び内容に応じて定率,定額その他の方法により定められ,旅行者にとつて明確であることとする


cについて,法12条1項後段は,旅行業務取扱料金を変更するときも,旅行者に見やすいように掲示することで足りる旨規定しています。したがって,cは,変更届出書を提出しなければならないとしている点で誤りです。

(料金の掲示)
第十二条 旅行業者は,事業の開始前に,旅行者から収受する旅行業務の取扱いの料金(企画旅行に係るものを除く。)を定め,これをその営業所において旅行者に見やすいように掲示しなければならないこれを変更するときも,同様とする
2,3 略


dについて,法12条3項は,旅行業者代理業者は,所属旅行業者が定めた料金を掲示しなければならない旨規定しています。したがって,dは,誤りです。

(料金の掲示)
第十二条 略
2 略
3 旅行業者代理業者は,その営業所において,所属旅行業者が第一項の規定により定めた料金を旅行者に見やすいように掲示しなければならない


(12)旅行業約款に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.旅行業者等は,法第14条の2第1項又は第2項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる者にあっては,当該他の旅行業者の旅行業約款をその営業所において,旅行者に見やすいように掲示し,又は旅行者が閲覧することができるように備え置かなければならない。
 イ.旅行業協会の保証社員である旅行業者は,その旅行業約款に記載されている弁済業務保証金からの弁済限度額が変更となるときは,登録行政庁の認可を受けなければならない。
 ウ.旅行業者は,現に定めている旅行業約款を観光庁長官及び消費者庁長官が定めて公示した標準旅行業約款と同一のものに変更しようとするときは,登録行政庁の認可を受けなければならない。
 エ.旅行業務の取扱いの料金その他の旅行者との取引に係る金銭の収受に関する事項は,旅行業約款の記載事項として定められていない。


正解:ア(配点:4)
解説:アは,法12条の2第3項の通りですから,正しいです。

(旅行業約款)
第十二条の二 略
2 略
3 旅行業者等は,旅行業約款(旅行業者代理業者にあつては所属旅行業者の旅行業約款,第十四条の二第一項又は第二項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる者にあつては当該他の旅行業者の旅行業約款をその営業所において,旅行者に見やすいように掲示し,又は旅行者が閲覧することができるように備え置かなければならない


イについて,法12条の2第1項後段は,旅行業約款の定めを変更しようとするときは,観光庁長官の認可が必要である旨規定している一方,「軽微な変更」にあたる場合には,観光庁長官の認可を経ずとも,旅行業約款の変更をすることができます。本問にある,保証社員の弁済限度額の変更は,契約規則2条1号ロに定めのある「軽微な変更」にあたります。したがって,保証社員の弁済限度額について旅行業約款を変更するには,観光庁長官の認可は不要ですから,イは,誤りです。

○旅行業法
(旅行業約款)
第十二条の二 旅行業者は,旅行者と締結する旅行業務の取扱いに関する契約に関し,旅行業約款を定め,観光庁長官の認可を受けなければならない。国土交通省令・内閣府令で定める軽微な変更をしようとする場合を除き,これを変更しようとするときも,同様とする。
2,3 略
○旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則
(軽微な変更)
第二条 法第十二条の二第一項の国土交通省令・内閣府令で定める軽微な変更は,次のとおりとする。
 一 保証社員である旅行業者の旅行業約款にあっては,次に掲げる事項の変更
  イ 略
  ロ その者に係る弁済業務保証金からの弁済限度額
 二~四 略


ウについて,法12条の3は,標準旅行業約款と同一の約款に変更した場合には,観光庁長官の認可は不要である旨規定しています。したがって,ウは,誤りです。

(標準旅行業約款)
第十二条の三 観光庁長官及び消費者庁長官が標準旅行業約款を定めて公示した場合(これを変更して公示した場合を含む。)において,旅行業者が,標準旅行業約款と同一の旅行業約款を定め,又は現に定めている旅行業約款を標準旅行業約款と同一のものに変更したときは,その旅行業約款については,前条第一項の規定による認可を受けたものとみなす


エについて,施行規則23条1号は,旅行業務取扱料金等の金銭の収受に関する事項を約款記載事項としています。したがって,エは,誤りです。

(旅行業約款の記載事項)
第二十三条 旅行業約款には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 旅行業務の取扱いの料金その他の旅行者との取引に係る金銭の収受に関する事項
 二~八 略


(13)取引条件の説明に関する次の記述のうち,旅行業者等が旅行者と企画旅行契約を締結しようとする場合の説明事項として,定められていないものはどれか。
 ア.旅程管理業務を行う者が同行しない場合にあっては,旅行地における企画者との連絡方法
 イ.旅行者が旅行業者等に支払うべき対価及びその収受の方法
 ウ.旅行中の損害の補償に関する事項
 エ.契約の申込方法及び契約の成立に関する事項


正解:ア(配点:4)
解説:契約規則3条は,取引条件の説明事項を列挙しています。イ,ウ及びエは,それぞれ,同条1号ニ,ヲ,リに規定されていますので,説明事項とされています。一方,アは,同条各号事由に該当しませんので,説明事項とはされていません。したがって,正解は,アです。

(取引条件の説明)
第三条 法第十二条の四第一項に規定する取引条件の説明は,次に掲げる事項について行わなければならない。
 一 企画旅行契約を締結しようとする場合にあっては,次に掲げる事項
  イ 企画旅行を実施する旅行業者(以下「企画者」という。)の氏名又は名称
  ロ 企画者以外の者が企画者を代理して契約を締結する場合にあっては,その旨
  ハ 旅行の目的地及び出発日その他の日程
  ニ 旅行者が旅行業者等に支払うべき対価及びその収受の方法
  ホ 旅行者がニに掲げる対価によって提供を受けることができる旅行に関するサービスの内容
  ヘ ホに掲げる旅行に関するサービスに企画旅行の実施のために提供される届出住宅(住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)第二条第五項に規定する届出住宅をいう。以下この条において同じ。)における宿泊のサービスが含まれる場合にあっては,宿泊サービス提供契約(同法第十二条に規定する宿泊サービス提供契約をいう。次号において同じ。)を締結する住宅宿泊事業者(同法第二条第四項に規定する住宅宿泊事業者をいう。次号において同じ。)の商号,名称又は氏名及び届出番号並びに旅行者が宿泊する届出住宅
  ト ニに掲げる対価に含まれていない旅行に関する経費であって旅行者が通常必要とするもの
  チ 企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)の参加者数があらかじめ企画者が定める人員数を下回った場合に当該企画旅行を実施しないこととするときは,その旨及び当該人員数
  リ 契約の申込方法及び契約の成立に関する事項
  ヌ 契約の変更及び解除に関する事項
  ル 責任及び免責に関する事項
  ヲ 旅行中の損害の補償に関する事項
  ワ 旅行に参加する資格を定める場合にあっては,その旨及び当該資格
  カ ホに掲げる旅行に関するサービスに専ら企画旅行の実施のために提供される運送サービスが含まれる場合にあっては,当該運送サービスの内容を勘案して,旅行者が取得することが望ましい輸送の安全に関する情報
  ヨ 旅行の目的地を勘案して,旅行者が取得することが望ましい安全及び衛生に関する情報がある場合にあっては,その旨及び当該情報
  タ 全国通訳案内士又は地域通訳案内士の同行の有無
 二,三 略


(14)取引条件の説明に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.旅行業者等は,旅行者に対し,取引条件の説明をするときに交付する書面に代えて,当該書面に記載すべき事項を国土交通省令・内閣府令で定める情報通信の技術を利用する方法により提供するときは,旅行者の承諾を得ることを要しない。
 イ.旅行業者は,旅行に関する相談に応ずる行為に係る旅行業務について契約を締結しようとする場合にあっては,旅行者に対し,契約の変更及び解除に関する事項について説明しなければならない。
 ウ.旅行業者等は,旅行者に対し取引条件の説明をするときは,対価と引換えに法第12条の5に規定するサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合にあっては,国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面を交付することを要しない。
 エ.旅行業者等は,手配旅行契約に付随して旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行サービスを提供する行為に係る旅行業務について契約を締結しようとするときは,旅行者に対し,国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面の交付をすれば,取引条件の説明を要しない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,法12条の4第3項は,取引条件記載書面の交付に代えて情報通信技術を利用する方法により提供する場合には,旅行者の承諾が必要である旨規定しています。したがって,ウは,旅行者の承諾が不要としている点で誤りです。

(取引条件の説明)
第十二条の四 略
2 略
3 旅行業者等は,前項の規定による書面の交付に代えて,政令で定めるところにより,旅行者の承諾を得て,当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において,当該旅行業者等は,当該書面を交付したものとみなす。


イについて,法12条の4第1項は,「旅行業務」に関し契約を締結するときに,取引条件の説明が必要である旨規定しています。ここで,「旅行業務」には,旅行に関する相談に応ずる行為も含まれています(法2条3項)。もっとも,契約規則3条3号は,旅行に関する相談に応ずる行為に係る旅行業務について契約を締結しようとする場合には,「旅行者が旅行業者等に支払うべき対価及びその収受の方法」と旅行者がその対価によって「提供を受けることができる旅行に関するサービスの内容」のみを説明すれば足りるとしています。したがって,イは,旅行に関する相談に応ずる行為に係る旅行業務について契約を締結しようとする場合に,契約の変更及び解除に関する事項を説明しなければならないとしている点で誤りです。

○旅行業法
(定義)
第二条 この法律で「旅行業」とは,報酬を得て,次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送サービスの提供について,代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。
 一~八 略
 九 旅行に関する相談に応ずる行為
2 略
3 この法律で「旅行業務」とは,旅行業を営む者が取り扱う第一項各号に掲げる行為(第十四条の二第一項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結する行為及び第三十四条第一項の規定により行う第六項に規定する行為を含む。)又は旅行業者代理業を営む者が取り扱う前項に規定する代理して契約を締結する行為をいう。
4~7 略
(取引条件の説明)
第十二条の四 旅行業者等は,旅行者と企画旅行契約,手配旅行契約その他旅行業務に関し契約を締結しようとするときは,旅行者が依頼しようとする旅行業務の内容を確認した上,国土交通省令・内閣府令で定めるところにより,その取引の条件について旅行者に説明しなければならない。
2,3 略
○旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則
(取引条件の説明)
第三条 法第十二条の四第一項に規定する取引条件の説明は,次に掲げる事項について行わなければならない。
 一 企画旅行契約を締結しようとする場合にあっては,次に掲げる事項
  イ~ハ 略
  ニ 旅行者が旅行業者等に支払うべき対価及びその収受の方法
  ホ 旅行者がニに掲げる対価によって提供を受けることができる旅行に関するサービスの内容
  ヘ~タ 略
 二 略
 三 法第二条第一項第九号に掲げる行為に係る旅行業務について契約を締結しようとする場合にあっては,第一号ニ及びホに掲げる事項


ウは,法12条の4第2項,施行規則4条の通りですから,正しいです。

○旅行業法
(取引条件の説明)
第十二条の四 略
2 旅行業者等は,前項の規定による説明をするときは,国土交通省令・内閣府令で定める場合を除き,旅行者に対し,旅行者が提供を受けることができる旅行に関するサービスの内容,旅行者が旅行業者等に支払うべき対価に関する事項,旅行業務取扱管理者の氏名,通訳案内士法(昭和二十四年法律第二百十号)第二条第一項に規定する全国通訳案内士(以下単に「全国通訳案内士」という。)又は同条第二項に規定する地域通訳案内士(以下単に「地域通訳案内士」という。)の同行の有無その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。
3 略
○旅行業法施行規則
(書面の交付を要しない場合)
第四条 法第十二条の四第二項の国土交通省令・内閣府令で定める場合は,旅行業者等が対価と引換えに法第十二条の五に規定するサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合とする


エについて,法12条の4第1項は,「旅行業務」に関し契約を締結するときに,取引条件の説明が必要である旨規定しています。ここで,「旅行業務」には,手配旅行契約に付随して旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行サービスを提供する行為も含まれます(法2条3項,1項8号)。したがって,同行為に係る旅行業務について契約を締結する場合には,取引条件の説明が必要ですから,エは,誤りです。

(定義)
第二条 この法律で「旅行業」とは,報酬を得て,次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため,旅行者に対する運送サービスの提供について,代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。
 一~七 略
 八 第一号及び第三号から第五号までに掲げる行為に付随して,旅行者の案内,旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為
 九 略
2 略
3 この法律で「旅行業務」とは,旅行業を営む者が取り扱う第一項各号に掲げる行為(第十四条の二第一項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結する行為及び第三十四条第一項の規定により行う第六項に規定する行為を含む。)又は旅行業者代理業を営む者が取り扱う前項に規定する代理して契約を締結する行為をいう。
4 略
5 この法律で「手配旅行契約」とは,第一項第三号,第四号,第六号(同項第三号及び第四号に係る部分に限る。),第七号(同項第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第八号(同項第三号及び第四号に係る部分に限る。)に掲げる旅行業務の取扱いに関し,旅行業を営む者が旅行者と締結する契約をいう。
6,7 略
(取引条件の説明)
第十二条の四 旅行業者等は,旅行者と企画旅行契約,手配旅行契約その他旅行業務に関し契約を締結しようとするときは,旅行者が依頼しようとする旅行業務の内容を確認した上,国土交通省令・内閣府令で定めるところにより,その取引の条件について旅行者に説明しなければならない。
2,3 略


(15)次の記述のうち,旅行業者等が旅行者と企画旅行契約を締結したときに交付する書面の記載事項として,定められていないものはどれか。
 ア.契約の申込方法及び契約の成立に関する事項
 イ.旅行の目的地及び出発日その他の日程
 ウ.旅行者が旅行業者等に支払うべき対価及びその収受の方法
 エ.責任及び免責に関する事項


正解:ア(配点:4)
解説:法12条の5第1項は,旅行業者等が,旅行者と企画旅行契約を締結したときは,国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない旨規定しています。ここで記載すべき事項については,契約規則9条1号が定めています。本問のイは9条1号ロ,3条1号ハの通り,ウは9条1号ロ,3条1号ニの通り,エは9条1号ロ,3条1号ルの通りですから,正しいです。一方,アについて,9条1号ロは,3条1号リを掲げていないため,誤りです。したがって,正解は,アです。

○旅行業法
(書面の交付)
第十二条の五 旅行業者等は,旅行者と企画旅行契約,手配旅行契約その他旅行業務に関し契約を締結したときは,国土交通省令・内閣府令で定める場合を除き,遅滞なく,旅行者に対し,当該提供すべき旅行に関するサービスの内容,旅行者が旅行業者等に支払うべき対価に関する事項,旅行業務取扱管理者の氏名,全国通訳案内士若しくは地域通訳案内士の同行の有無その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面又は当該旅行に関するサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付しなければならない。
○旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則
(取引条件の説明)
第三条 法第十二条の四第一項に規定する取引条件の説明は,次に掲げる事項について行わなければならない。
 一 企画旅行契約を締結しようとする場合にあっては,次に掲げる事項
  イ,ロ 略
  ハ 旅行の目的地及び出発日その他の日程
  ニ 旅行者が旅行業者等に支払うべき対価及びその収受の方法
  ホ~チ 略
  リ 契約の申込方法及び契約の成立に関する事項
  ヌ 略
  ル 責任及び免責に関する事項
  ヲ~タ 略
(書面の記載事項)
第九条 法第十二条の五第一項の国土交通省令・内閣府令で定める事項は,次のとおりとする。
 一 企画旅行契約を締結した場合にあっては,次に掲げる事項
  イ 企画者以外の者が企画者を代理して契約を締結した場合にあっては,その旨並びに当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに登録番号
  ロ 第三条第一号ハからチまで及びヌからタまで並びに第五条第一号イ,ハ及びニに掲げる事項
  ハ 契約締結の年月日
  ニ 旅程管理業務を行う者が同行しない場合にあっては,旅行地における企画者との連絡方法
 二 略


(16)外務員に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.外務員とは,勧誘員,販売員,外交員その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,旅行業者等の役員又は使用人のうち,その営業所以外の場所でその旅行業者等のために旅行業務について取引を行う者をいう。
 イ.外務員は,その業務を行うときは,旅行者からの請求の有無にかかわらず,外務員の証明書を提示しなければならない。
 ウ.旅行業者等は,当該旅行業者等が選任した旅行業務取扱管理者に限り,旅行業務取扱管理者の証明書の提示をもって,その者を営業所以外の場所で外務員としての業務に従事させることができる。
 エ.外務員は,旅行者が悪意であった場合を除き,その所属する旅行業者等に代わって,旅行者との旅行業務に関する取引についての一切の裁判外の行為を行う権限を有するものとみなす。


正解:ウ(配点:4)
解説:アは,法12条の6第1項の通りですから,正しいです。

(外務員の証明書携帯等)
第十二条の六 旅行業者等は,勧誘員,販売員,外交員その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,その役員又は使用人のうち,その営業所以外の場所でその旅行業者等のために旅行業務について取引を行う者(以下「外務員」という。)に,国土交通省令で定める様式による証明書を携帯させなければ,その者を外務員としての業務に従事させてはならない。
2,3 略


イについて,法12条の6第2項は,法12条の5の2のような「旅行者からの請求があつたときは」という限定が付いていませんから,旅行者の請求の有無にかかわらず,証明書を提示しなければなりません。したがって,イは,正しいです。

(旅行業務取扱管理者の証明書の提示)
第十二条の五の二 旅行業務取扱管理者は,旅行者から請求があつたときは,国土交通省令で定める様式による証明書を提示しなければならない。
(外務員の証明書携帯等)
第十二条の六 略
2 外務員は,その業務を行なうときは,前項の証明書を提示しなければならない
3 略


ウについて,法12条の6第2項は,外務員として業務を行う場合には,施行規則28条で定める様式の証明書を提示しなければならないとしています。したがって,ウは,旅行業務取扱管理者の証明書の提示で足りるとしている点で誤りです。

○旅行業法
(外務員の証明書携帯等)
第十二条の六 略
2 外務員は,その業務を行なうときは,前項の証明書を提示しなければならない
3 略
○旅行業法施行規則
(外務員の証明書の様式)
第二十八条 法第十二条の六第一項の国土交通省令で定める様式は,第十一号様式とする。

施行規則第11号様式(外務員証)

エは,法12条の6第3項の通りですから,正しいです。

(外務員の証明書携帯等)
第十二条の六 略
2 略
3 外務員は,その所属する旅行業者等に代わつて,旅行者との旅行業務に関する取引についての一切の裁判外の行為を行う権限を有するものとみなす。ただし,旅行者が悪意であつたときは,この限りでない


(17)次の記述から,企画旅行に参加する旅行者を募集するための広告の表示事項として,定められているもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行の目的地及び日程に関する事項
 b.責任及び免責に関する事項
 c.旅程管理業務を行う者の同行の有無
 d.契約の変更及び解除に関する事項

ア.a,b  イ.a,c  ウ.b,d  エ.a,c,d


正解:イ(配点:4)
解説:広告に表示しなければならない事項は,法12条の7,契約規則13条に規定されています。aは契約規則13条2号,cは同条5号にそれぞれ該当しますから,広告に表示する必要があります。一方で,b及びdは,契約規則13条各号事由に該当しないため,広告に表示する必要がありません。したがって,正解は,イです。

○旅行業法
(企画旅行の広告)
第十二条の七 旅行業者等は,企画旅行に参加する旅行者を募集するため広告をするときは,国土交通省令・内閣府令で定めるところにより,当該企画旅行を実施する旅行業者の氏名又は名称,旅行の目的地及び日程,旅行者が提供を受けることができる運送等サービスの内容,旅行者が旅行業者等に支払うべき対価に関する事項,第十二条の十の国土交通省令で定める措置を講ずるために必要な業務を行う者の同行の有無その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項を表示してしなければならない。
○旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則
(広告の表示事項)
第十三条 法第十二条の七の国土交通省令・内閣府令で定める事項は,次のとおりとする。
 一 企画者の氏名又は名称及び住所並びに登録番号
 二 旅行の目的地及び日程に関する事項
 三 旅行者が提供を受けることができる運送,宿泊又は食事のサービスの内容に関する事項
 四 旅行者が旅行業者等に支払うべき対価に関する事項
 五 旅程管理業務を行う者の同行の有無
 六 企画旅行の参加者数があらかじめ企画者が定める人員数を下回った場合に当該企画旅行を実施しないこととするときは,その旨及び当該人員数
 七 第三号に掲げるサービスに専ら企画旅行の実施のために提供される運送サービスが含まれる場合にあっては,当該運送サービスの内容を勘案して,旅行者が取得することが望ましい輸送の安全に関する情報
 八 法第十二条の四に規定する取引条件の説明を行う旨(第三条第一号に規定する事項を表示して広告する場合を除く。)


(18)次の記述から,誇大表示をしてはならない事項として,定められているもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行業者等の業務の範囲,資力又は信用に関する事項
 b.旅行者に対する損害の補償に関する事項
 c.旅行地における旅行者の安全の確保に関する事項
 d.感染症の発生の状況その他の旅行地における衛生に関する事項

ア.a,b  イ.a,c,d  ウ.b,c,d  エ.a,b,c,d


正解:エ(配点:4)
解説:法12条の8,契約規則14条は,広告において誇大表示してはならない事項を規定しています。aは契約規則14条8号,bは同条7号,cは同条2号,dは同条3号にそれぞれ該当しますから,誇大表示が禁止されます。したがって,正解は,エです。

○旅行業法
(誇大広告の禁止)
第十二条の八 旅行業者等は,旅行業務について広告をするときは,広告された旅行に関するサービスの内容その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項について,著しく事実に相違する表示をし,又は実際のものよりも著しく優良であり,若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
○旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則
(誇大表示をしてはならない事項)
第十四条 法第十二条の八の国土交通省令・内閣府令で定める事項は,次のとおりとする。
 一 旅行に関するサービスの品質その他の内容に関する事項
 二 旅行地における旅行者の安全の確保に関する事項
 三 感染症の発生の状況その他の旅行地における衛生に関する事項
 四 旅行地の景観、環境その他の状況に関する事項
 五 旅行者が旅行業者等に支払うべき対価に関する事項
 六 旅行中の旅行者の負担に関する事項
 七 旅行者に対する損害の補償に関する事項
 八 旅行業者等の業務の範囲,資力又は信用に関する事項


(19)標識に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.旅行業者等は,主たる営業所に国土交通省令で定める様式の標識を掲示すれば,その他の営業所においては,標識の掲示を要しない。
 イ.旅行業者代理業者は,その営業所において,所属旅行業者と同一様式の標識を,公衆に見やすいように掲示しなければならない。
 ウ.標識の受託取扱企画旅行の欄は,取り扱っている企画旅行の企画者が明確となるよう記載する。
 エ.標識には,旅行業者等が法人である場合にあっては,その代表者の氏名及び選任した旅行業務取扱管理者の氏名を記載しなければならない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,法12条の9第1項は,国土交通省令で定める様式の標識を,「営業所において」掲示することを要求しており,主たる営業所に限定していません。したがって,アは,誤りです。

(標識の掲示)
第十二条の九 旅行業者等は,営業所において,旅行業と旅行業者代理業との別及び第十一条の二第六項各号に規定する営業所の別に応じ国土交通省令で定める様式の標識を,公衆に見やすいように掲示しなければならない。
2 略


 イについて,施行規則31条は,旅行業者の掲示する標識の様式(1号,2号)と旅行業者代理業者が掲示する標識の様式(3号,4号)とを区別しています。したがって,旅行業者代理業者は,この同条に定める区分に応じて,旅行業者代理業者用の標識を掲示しなければなりませんから,イは,誤りです。

(標識の様式)
第三十一条 法第十二条の九の国土交通省令で定める様式は,次の各号に掲げる営業所の区分に応じ,当該各号に定めるものとする。
 一 旅行業者の営業所(次号に掲げるものを除く。) 第十二号様式
 二 旅行業者の営業所であつて第十一条の二第六項第一号又は第二号に該当するもの 第十三号様式
 三 旅行業者代理業者の営業所(次号に掲げるものを除く。) 第十四号様式
 四 旅行業者代理業者の営業所であつて法第十一条の二第六項第一号又は第二号に該当するもの 第十五号様式


 ウについて,施行規則12号様式ないし15号様式は,注3において,「受託取扱い企画旅行の欄は,取り扱っている企画旅行の企画者が明確になるように記載する」と定めています。したがって,ウは,正しいです。
 エについて,施行規則12号様式ないし15号様式には,法人の代表者の氏名を記載する欄はありません。したがって,エは,誤りです。

施行規則第12号様式(本邦内旅行業者)
施行規則第13号様式(本邦外旅行業者)
施行規則第14号様式(本邦内旅行業者代理業者)
施行規則第15号様式(本邦外旅行業者代理業者)

(20)旅程管理業務を行う者に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.企画旅行に参加する旅行者に同行して旅程管理業務を行う者として旅行業者に選任される者が複数の場合は,当該同行する者のすべてが旅程管理業務を行う主任の者の資格として定められている要件を満たす者でなければならない。
 イ.旅行業者によって選任された旅程管理業務を行う主任の者の指導による旅程管理業務に相当する実務の研修を受けた経験は,当該研修を受けた地域を目的地とする旅行に係る旅程管理業務に従事した経験とみなされる。
 ウ.国土交通省令で定める旅程管理業務に関する実務の経験とは,登録研修機関が実施する旅程管理研修の課程を修了した日の前後5年以内に3回以上の旅程管理業務に従事した経験をいう。
 エ.旅行業法の規定に違反して罰金の刑に処せられてから3年を経過した者は,旅程管理業務を行う主任の者となることができる。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,法12条の11第1項は,旅程管理業務を行う者として旅行業者によって選任される者「のうち」主任の者,という書き方をしていますから,旅程管理業務を行う者が複数人選任された場合であっても,主任の者はさらにその中から選ばれることを前提にしていると考えられます。したがって,アは,全員を主任としなければならないとしている点で誤りです。

(旅程管理業務を行う者)
第十二条の十一 企画旅行に参加する旅行者に同行して,前条の国土交通省令で定める措置を講ずるために必要な業務(以下「旅程管理業務」という。)を行う者として旅行業者によつて選任される者のうち主任の者は,第六条第一項第一号から第六号までのいずれにも該当しない者であつて,次条から第十二条の十四までの規定により観光庁長官の登録を受けた者(以下この節において「登録研修機関」という。)が実施する旅程管理業務に関する研修(以下「旅程管理研修」という。)の課程を修了し,かつ,旅行の目的地を勘案して国土交通省令で定める旅程管理業務に関する実務の経験を有するものでなければならない。
2 略


イは,施行規則33条2項の通りですから,正しいです。

(旅程管理業務に関する実務の経験)
第三十三条 略
2 前項の場合において,法第十二条の十一第一項の規定に適合する者の指導による旅程管理業務に相当する実務の研修を受けた経験は,当該研修を受けた地域を目的地とする旅行に係る旅程管理業務に従事した経験とみなす


ウについて,施行規則33条1項は,研修課程を修了した日の「前後」1年以内に1回以上又は研修課程を修了した日「から」3年以内に2回以上の旅程管理業務に従事した経験を,法12条の11第1項に定める旅程管理業務に関する実務の経験としています。したがって,ウは,誤りです。

(旅程管理業務に関する実務の経験)
第三十三条 法第十二条の十一第一項の国土交通省令で定める旅程管理業務に関する実務の経験は,同項に規定する研修の課程を修了した日の前後一年以内に一回以上又は当該研修の課程を修了した日から三年以内に二回以上の旅程管理業務(本邦外の企画旅行に参加する旅行者に同行する者にあつては,本邦外の旅行に関する旅程管理業務に限る。)に従事した経験(観光庁長官が,本邦外の企画旅行に係る旅程管理業務に関し特別の事情があると認めて,旅行の目的地の状況、言語その他の事項を勘案し旅行の目的地及び期間を限定して異なる経験を告示により指定した場合にあつては,当該指定による経験)とする。
2 略


エについて,法12条11第1項は,主任となる旅程管理業務を行う者は,法6条1項1号から6号までのいずれにも該当しない者である必要があります。法6条1項2号は,旅行業法違反で罰金刑に処せられ,その執行が終わってから5年を経過したことを挙げていますが,エでは,まだ3年しか経過していないため,同号に該当します。したがって,エは,誤りです。

(登録の拒否)
第六条 観光庁長官は、登録の申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。
 一 略
 二 禁錮以上の刑に処せられ,又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者
 三~六 略
2 略
(旅程管理業務を行う者)
第十二条の十一 企画旅行に参加する旅行者に同行して,前条の国土交通省令で定める措置を講ずるために必要な業務(以下「旅程管理業務」という。)を行う者として旅行業者によつて選任される者のうち主任の者は,第六条第一項第一号から第六号までのいずれにも該当しない者であつて,次条から第十二条の十四までの規定により観光庁長官の登録を受けた者(以下この節において「登録研修機関」という。)が実施する旅程管理業務に関する研修(以下「旅程管理研修」という。)の課程を修了し,かつ,旅行の目的地を勘案して国土交通省令で定める旅程管理業務に関する実務の経験を有するものでなければならない。
2 略


(21)禁止行為等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.旅行業者等は,旅行者から収受する旅行業務の取扱いの料金について,旅行者から事前に承諾を得たとしても営業所において掲示した料金を超えて料金を収受する行為をしてはならない。
 イ.旅行業者等は,旅行業務に関し取引をする者に対し,その取引に関する重要な事項について,故意に事実を告げず,又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
 ウ.旅行業者等は,専ら企画旅行の実施のために提供される運送サービスについて,当該運送サービスを提供する者に対し,輸送の安全の確保を不当に阻害する行為をしてはならない。
 エ.旅行業者等は,営業の貸渡しの方法であれば,旅行業又は旅行業者代理業を他人にその名において経営させることができる。


正解:エ(配点:4)
解説:アについて,法13条1項1号は,掲示料金を超えて料金を収受する行為を禁止していますが,これについて旅行者の事前の承諾がある場合を除外する規定はありません。したがって,アは,禁止される行為にあたります。
 イは,法13条1項2号に該当するため,禁止される行為にあたります。
 ウは,法13条3項4号,施行規則37条の9第1号に該当するため,禁止される行為にあたります。

○旅行業法
(禁止行為)
第十三条 旅行業者等は,次に掲げる行為をしてはならない。
 一 第十二条第一項又は第三項の規定により掲示した料金を超えて料金を収受する行為
 二 旅行業務に関し取引をする者に対し,その取引に関する重要な事項について,故意に事実を告げず,又は不実のことを告げる行為
2 旅行業者等は,旅行業務に関し取引をした者に対し,その取引によつて生じた債務の履行を不当に遅延する行為をしてはならない。
3 旅行業者等又はその代理人,使用人その他の従業者は,その取り扱う旅行業務に関連して次に掲げる行為を行つてはならない。
 一 旅行者に対し,旅行地において施行されている法令に違反する行為を行うことをあつせんし,又はその行為を行うことに関し便宜を供与すること。
 二 旅行者に対し,旅行地において施行されている法令に違反するサービスの提供を受けることをあつせんし,又はその提供を受けることに関し便宜を供与すること。
 三 前二号のあつせん又は便宜の供与を行う旨の広告をし,又はこれに類する広告をすること。
 四 前三号に掲げるもののほか,旅行者の保護に欠け,又は旅行業の信用を失墜させるものとして国土交通省令で定める行為
○旅行業法施行規則
(禁止行為)
第三十七条の九 法第十三条第三項第四号の国土交通省令で定める行為は,次に掲げるものとする。
 一 運送サービス(専ら企画旅行の実施のために提供されるものに限る。)を提供する者に対し,輸送の安全の確保を不当に阻害する行為
 二 旅行者に対し,旅行地において特定のサービスの提供を受けること又は特定の物品を購入することを強要する行為
 三 宿泊のサービスを提供する者(旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条の二第一項に規定する営業者を除く。)と取引を行う際に,当該者が住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)第三条第一項の届出をした者であるかどうかの確認を怠る行為


 エについて,法14条2項は,いかなる方法であっても,旅行業又は旅行業者代理業を他人にその名において経営させてはならない旨規定しています。したがって,エは,同項によって禁止される行為にあたるため,誤りです。

(名義利用等の禁止)
第十四条 旅行業者等は,その名義を他人に旅行業又は旅行業者代理業のため利用させてはならない。
2 旅行業者等は,営業の貸渡しその他いかなる方法をもつてするかを問わず,旅行業又は旅行業者代理業を他人にその名において経営させてはならない


(22)旅行業者代理業者の旅行業務等に関する次の記述から,正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行業者代理業者は,旅行業務に関し取引をしようとするときは,所属旅行業者の登録番号及び旅行業者代理業者である旨を取引の相手方に明示しなければならない。
 b.旅行業者代理業者は,その行う営業が旅行業であると誤認させ,又は所属旅行業者を誤認させるような表示,広告その他の行為をしてはならない。
 c.旅行業者代理業者は,受託旅行業者代理業者として委託旅行業者を代理して企画旅行契約(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)を締結する場合を除き,所属旅行業者以外の旅行業者のために旅行業務を取り扱ってはならない。
 d.所属旅行業者は,旅行業者代理業者が旅行業務につき旅行者に加えた損害を賠償する責任を負うが,当該所属旅行業者がその旅行業者代理業者への委託につき相当の注意さえすれば,その責任を免れる。

ア.a,b  イ.b,c  ウ.c,d  エ.a,b,d


正解:イ(配点:4)
解説:aについて,法14条の3第2項は,旅行業者代理業者が取引の際に明示しなければならないのは,「所属旅行業者の氏名又は名称」と「旅行業者代理業者である旨」の2つのみです。したがって,登録番号まで明示する必要はありませんから,aは誤りです。

(旅行業者代理業者の旅行業務等)
第十四条の三 略
2 旅行業者代理業者は,旅行業務に関し取引をしようとするときは,所属旅行業者の氏名又は名称及び旅行業者代理業者である旨を取引の相手方に明示しなければならない
3~5 略


bは,法14条の3第3項の通りですから,正しいです。

(旅行業者代理業者の旅行業務等)
第十四条の三 略
2 略
3 旅行業者代理業者は,その行う営業が旅行業であると誤認させ,又は所属旅行業者を誤認させるような表示,広告その他の行為をしてはならない
4,5 略


cは,法14条の3第1項,14条の2第2項の通りですから,正しいです。

(企画旅行を実施する旅行業者の代理)
第十四条の二 略
2 前項の規定により委託旅行業者と受託契約を締結した旅行業者(以下「受託旅行業者」という。)が,当該受託契約において,当該受託旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者のうち当該委託旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができるものを定めたときは,その受託契約において定められた旅行業者代理業者(以下「受託旅行業者代理業者」という。)は,当該委託旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる。
3 略
(旅行業者代理業者の旅行業務等)
第十四条の三 旅行業者代理業者は,前条第二項の規定により代理して企画旅行契約を締結する場合を除き,その所属旅行業者以外の旅行業者のために旅行業務を取り扱つてはならない
2~5 略


dについて,法14条の3第5項本文は,所属旅行業者は,旅行業者代理業者が業務上旅行者に加えた損害を賠償する責任を負う旨規定していますが,一方で,同項ただし書は,所属旅行業者が①「委託につき相当の注意をし」,かつ,②「旅行者に加えた損害の発生の防止に努めたとき」は,賠償責任を負わない旨規定しています。dは,②について言及がないため,誤りです。

(旅行業者代理業者の旅行業務等)
第十四条の三 略
2~4 略
5 所属旅行業者は,旅行業者代理業者が旅行業務につき旅行者に加えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし,当該所属旅行業者がその旅行業者代理業者への委託につき相当の注意をし,かつ,その旅行業者代理業者の行う旅行業務につき旅行者に加えた損害の発生の防止に努めたときは、この限りでない


以上から,b及びcが正しく,a及びdは誤りですから,正解は,イです。

(23)登録の取消し等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.登録行政庁は,登録当時,旅行業者等が営業所ごとに法第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者に該当していたことが判明したときは,登録を取り消すことができる。
 イ.登録行政庁は,旅行業者が不正の手段により変更登録を受けたときは,登録を取り消すことができる。
 ウ.登録行政庁は,旅行業者等が登録を受けてから14日以内に事業を開始しなかったときは,登録を取り消すことができる。
 エ.登録行政庁は,旅行業者等が法人であって,登録当時,その役員のうちに登録の申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者があるものに該当していたことが判明したときは,登録を取り消すことができる。


正解:ウ(配点:4)
解説:登録の取消事由は,法19条に掲げられています。
 アは,法19条1項2号後段,6条1項9号の通りですから,正しいです。
 イは,法19条1項3号の通りですから,正しいです。
 ウについて,法19条2項前段は,登録から「1年以内」に事業を開始しない時に,登録を取り消すことができる旨規定しています。したがって,ウは,「14日以内」としている点で誤りです。
 エは,法19条1項2号後段,6条1項4号の通りですから,正しいです。

(登録の拒否)
第六条 観光庁長官は,登録の申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には,その登録を拒否しなければならない。
 一~三 略
 四 申請前五年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
 五~八 略
 九 営業所ごとに第十一条の二の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
 十,十一 略
2 略
(登録の取消し等)
第十九条 観光庁長官は,旅行業者等が次の各号のいずれかに該当するときは,六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ,又は登録を取り消すことができる。
 一 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
 二 第六条第一項第二号,第三号若しくは第五号から第八号までのいずれかに掲げる者に該当することとなつたとき,又は登録当時同項各号のいずれかに掲げる者に該当していたことが判明したとき
 三 不正の手段により第三条の登録,第六条の三第一項の有効期間の更新の登録又は第六条の四第一項の変更登録を受けたとき
2 観光庁長官は,旅行業者等が登録を受けてから一年以内に事業を開始せず,又は引き続き一年以上事業を行つていないと認めるときは,登録を取り消すことができる。
3 第六条第二項の規定は前二項の規定による処分について,前条第二項から第四項までの規定は第一項の規定による処分について,それぞれ準用する。


(24)次の記述から,旅行業協会が適正かつ確実に実施しなければならない業務として,定められているもののみをすべて選んでいるものはどれか。
 a.旅行業務に関し社員である旅行業者又は当該旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者と取引をした旅行者に対し,その取引によって生じた債権に関し弁済をする業務
 b.旅行業務に関する取引の公正の確保又は旅行業及び旅行業者代理業の健全な発達を図るための調査,研究及び広報
 c.旅行に関するサービスを提供する者に対する研修
 d.旅行業務の適切な運営を確保するための旅行業者等に対する会計監査

ア.a,b  イ.c,d  ウ.a,b,d  エ.a,b,c,d


正解:ア(配点:4)
解説:旅行業協会が適正かつ確実に実施しなければならない業務は,法42条に定められています。
 アは,法42条3号の通りですから,正しいです。
 イは,法42条5号の通りですから,正しいです。
 ウについて,法42条2号は,「旅行業務又は旅行サービス手配業務の取扱いに従事する者」に対する研修を実施する旨規定していますが,「旅行に関するサービスを提供する者」に対する研修については定めていません。したがって,ウは,誤りです。
 エについて,そのような規定は存在しないため,誤りです。

(業務)
第四十二条 旅行業協会は,次に掲げる業務をこの章に定めるところにより適正かつ確実に実施しなければならない。
 一 旅行者及び旅行に関するサービスを提供する者からの旅行業者等又は旅行サービス手配業者の取り扱つた旅行業務又は旅行サービス手配業務に対する苦情の解決
 二 旅行業務又は旅行サービス手配業務の取扱いに従事する者に対する研修
 三 旅行業務に関し社員である旅行業者又は当該旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者と取引をした旅行者に対しその取引によつて生じた債権に関し弁済をする業務(以下「弁済業務」という。)
 四 旅行業務又は旅行サービス手配業務の適切な運営を確保するための旅行業者等又は旅行サービス手配業者に対する指導
 五 旅行業務及び旅行サービス手配業務に関する取引の公正の確保又は旅行業,旅行業者代理業及び旅行サービス手配業の健全な発達を図るための調査,研究及び広報


(25)弁済業務保証金制度に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.保証社員は,毎事業年度終了後においてその弁済業務保証金分担金の額が増加することとなるときはその終了の日の翌日から100日以内に,その増加することとなる額の弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付しなければならない。
 イ.保証社員は,変更登録を受けた場合においてその弁済業務保証金分担金の額が増加することとなるときは変更登録を受けた日から14日以内に,その増加することとなる額の弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付しなければならない。
 ウ.旅行業協会に加入しようとする旅行業者は,加入の日から7日以内に弁済業務保証金に充てるため,弁済業務規約で定める額の弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付しなければならない。
 エ.保証社員又は保証社員であった者は,弁済業務保証金の還付があったときは,旅行業協会から当該還付額に相当する額の還付充当金を納付すべき通知を受けた日から7日以内に,その通知された額の還付充当金を旅行業協会に納付しなければならない。


正解:ウ(配点:4)
解説:ア及びイは,法49条2項の通りですから,正しいです。

(弁済業務保証金分担金の納付等)
第四十九条 略
2 保証社員は,毎事業年度終了後においてその弁済業務保証金分担金の額が増加することとなるときはその終了の日の翌日から百日以内に,第六条の四第一項の変更登録を受けた場合においてその弁済業務保証金分担金の額が増加することとなるときは変更登録を受けた日から十四日以内に,その増加することとなる額の弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付しなければならない
3,4 略


ウについて,法49条1項1号は,旅行業協会に加入しようとする旅行業者は,その加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を納付しなければならない旨規定しています。したがって,ウは,加入の日から7日以内としている点で誤りです。

(弁済業務保証金分担金の納付等)
第四十九条 次の各号に掲げる者は,当該各号に定める日までに,弁済業務保証金に充てるため,弁済業務規約で定める額の弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付しなければならない。
 一 旅行業協会に加入しようとする旅行業者 その加入しようとする日
 二 略
2~4 略


エは,法50条2項の通りですから,正しいです。

(還付充当金の納付等)
第五十条 旅行業協会は,第四十八条第一項の規定により弁済業務保証金の還付があつたときは,当該還付に係る保証社員又は保証社員であつた者に対し,当該還付額に相当する額の還付充当金を旅行業協会に納付すべきことを通知しなければならない。
2 前項の通知を受けた保証社員又は保証社員であつた者は,その通知を受けた日から七日以内に,その通知された額の還付充当金を旅行業協会に納付しなければならない
3 略



●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-07-11(Sat)

【国内旅行業務取扱管理者試験】平成26年度第3問「国内旅行実務」

書き途中


●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-07-11(Sat)

【国内旅行業務取扱管理者試験】平成27年度第3問「国内旅行実務」

書き途中


●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-07-11(Sat)

【国内旅行業務取扱管理者試験】平成28年度第3問「国内旅行実務」

書き途中

(注)略称は次のとおり
平成26年公示 : 一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)
バス約款 : 一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款
フェリー約款 : フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款
宿泊約款 : モデル宿泊約款
航空約款 : 国内旅客運送約款(ANA)

6.貸切バスによる運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)次の行程(日帰り)で,学校教育法による中学校の生徒の団体が大型車の貸切バス(本問において,以下「大型バス」という。)を利用するとき,この運賃について資料に基づき各設問に該当する答を,選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
 (注1)「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)によるものとする。
 (注2)この運行に係る料金は生じないものとする。
 (注3)消費税の計算は,行わないものとする。

〈行 程〉(日帰り)
 ・ 走行時間の合計は6時間10分
 ・ 実車距離は214キロ
   なお,「実車距離」とは,旅客の最初の乗車から最後の降車までの間に走行する距離をいい,回送距離は含まない。
 ・ 回送距離の合計は67キロ

〈資 料〉
 ・ 時間制運賃の下限額は大型バス1時間当たり5,310円とし,この大型バスの時間制運賃は下限額をもとに計算される。
 ・ キロ制運賃の下限額は大型バス1キロ当たり120円とし,この大型バスのキロ制運賃は下限額をもとに計算される。

 ① この行程における下限額をもとに計算した時間制運賃の額について,正しいものはどれか。

 ア.6時間10分→端数処理→6時間×5,310円=31,860円
 イ.6時間10分→端数処理→7時間×5,310円=37,170円
 ウ.6時間10分+2時間=8時間10分→端数処理→8時間×5,310円=42,480円
 エ.6時間10分+2時間=8時間10分→端数処理→9時間×5,310円=47,790円


正解:ウ(配点:3)
解説:時間制運賃に算出にあたっては,走行時間に点呼点検時間の2時間を加えた額を基準として計算します(平成26年公示別紙2第2の2(1)①)。本問では,走行時間が6時間10分ですから,これに2時間を加えた8時間10分が基準となります。そして,走行時間の端数について,30分未満は切捨てとなります(平成26年公示別紙2第4(2))。本問では,8時間10分のうち,10分を切り捨て,8時間とし,これを基に時間制運賃を計算します。したがって,正解は,ウです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
   運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
 (1) 時間制運賃
  ① 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間(以下「点呼点検時間」という。)として,1時間ずつ合計2時間と,走行時間(出庫から帰庫までの拘束時間をいい,回送時間を含む。以下同じ。)を合算した時間に1時間あたりの運賃額を乗じた額とする。ただし,走行時間が3時間未満の場合は,走行時間を3時間として計算した額とする。
  ②,③ 略
 (2),(3) 略
 3.略
第4.端数処理
 (1) 略
 (2) 走行時間の端数については,30分未満は切り捨て,30分以上は1時間に切り上げる。


 ② この行程における下限額をもとに計算したキロ制運賃の額について,正しいものはどれか。

 ア.214キロ→端数処理→210キロ×120円=25,200円
 イ.214キロ→端数処理→220キロ×120円=26,400円
 ウ.214キロ+67キロ=281キロ→端数処理→280キロ×120円=33,600円
 エ.214キロ+67キロ=281キロ→端数処理→290キロ×120円=34,800円


正解:エ(配点:3)
解説:キロ制運賃の算出にあたっては,走行距離(実車距離+回送距離)に基づいて計算します。本問では,実車距離の214キロと回送距離の67キロとを合算した281キロが走行距離となり,これを基準とします。そして,走行距離の端数について,10キロ未満は10キロに切り上げます。本問では,走行距離の281キロのうち,1キロについては10キロに切上げて,290キロとし,これを基にキロ制運賃を計算します。したがって,正解は,エです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
   運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
 (1) 略
 (2) キロ制運賃
    走行距離出庫から帰庫までの距離をいい,回送距離を含む。以下同じ。)に1キロあたりの運賃額を乗じた額とする。
 (3) 略
 3.略
第4.端数処理
 (1) 走行距離の端数については,10キロ未満は10キロに切り上げる
 (2) 略


 ③ この団体が支払うこととなる大型バスの運賃に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算した運賃
 イ.下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算し1割引した運賃
 ウ.下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算し2割引した運賃
 エ.下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算し3割引した運賃


正解:ア(配点:3)
解説:選択肢から察するに割引制度の適用が問われています。そこで,割引適用主体かを考えると,本問の団体は学校教育法上の中学校の生徒の団体ですから,平成26年公示別紙2第2の3(2)の割引制度が適用されそうです。もっとも,同規定はは,車種別に計算した運賃の下限額を限度とするとしています。したがって,運賃自体が下限額で計算されている場合には,さらに割引制度が適用されることはありません。本問でも,運賃の計算を下限額になるように行っていますから,さらに割引制度が適用されることはありません。したがって,正解は,アです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
   運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
 (1) 略
 (2) 略
 (3) 運賃計算の基本
  ① 運賃は,車種別に計算した金額の最高額及び最低額の範囲内とする。
  ② 略
 3.運賃の割引
 (1) 略
 (2) 学校教育法による学校(大学及び高等専門学校を除く)に通学又は通園する者の団体については2割引とする。ただし,2.(3)①により計算した額の下限額を限度とする
 (3) 略


(2)貸切バスによる運送に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注1)「一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款」「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)によるものとする。
 (注2)選択肢イ.は,消費税の計算を行わないものとする。

 ア.帰庫が22時の運行において,バス会社は,帰庫後の点呼点検時間に当たる1時間分の深夜早朝運行料金を収受することができる。
 イ.「配車日が8月1日,1台10万円で契約した貸切バス1台」の運送契約を,契約責任者の都合で7月25日に解除した場合,バス会社は契約責任者から3万円の違約料を申し受けることができる。
 ウ.法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合,その他,交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には,バス会社は,交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額の交替運転者配置料金を収受することができる。
 エ.宿泊を伴う2日間の運行において,契約責任者が観光ガイドとしてバスガイドのサービスを求めた場合,ガイド料は契約責任者の負担とすることができるが,バスガイドの宿泊費は契約責任者の負担とすることはできない。


正解:エ(配点:4)
解説:アについて,深夜早朝運行料金は,22時から翌5時までの間に,点呼点検時間又は走行時間が含まれた場合に,1時間あたりの運賃に2割増しまでの割増料金を適用した料金です(平成26年公示第3の2(1))。したがって,点呼点検時間にも22時以降は深夜早朝運行料金が適用されますから,アは,正しいです。

第3.料金
 1.略
 2.料金の適用
 (1) 深夜早朝運行料金
    22時以降翌朝5時までの間点呼点検時間,走行時間(回送時間を含む)が含まれた場合,含まれた時間に係る1時間あたりの運賃及び交替運転者配置料金の1時間あたり料金については,2割以内の割増料金を適用する。
 (2),(3) 略


イについて,バス約款15条1項は,配車日の7日前からは,違約料は運賃・料金の30%である旨定めています。したがって,イは,正しいです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
 配車日の14日前から8日前まで 所定の運賃及び料金の20%に相当する額
 配車日の7日前から配車日時の24時間前まで 所定の運賃及び料金の30%に相当する額
 配車日時の24時間前以降 所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2~5 略


ウは,平成26年公示第3の2(3)のとおりですから,正しいです。

第3.料金
 1.略
 2.料金の適用
 (1),(2) 略
 (3) 交替運転者配置料金
    法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合,その他,交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には,別紙1で示す交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額を適用する


エについて,バス約款14条は,乗務員の宿泊費も契約責任者の負担としています。したがって,エは,誤りです。

(運送に関連する経費)
第14条 ガイド料,有料道路利用料,航送料,駐車料,乗務員の宿泊費等当該運送に関連する費用は,契約責任者の負担とします


7.宿泊に関する次の記述のうち,誤っているものを1つ選びなさい。
 (注1)モデル宿泊約款によるものとする。
 (注2)選択肢ア.ウ.は,サービス料及び消費税等諸税の計算は行わないものとする。
 (注3)選択肢イ.の宿泊客,エ.の団体客に対し,ホテル又は旅館は,申込金の支払いを求めていないが,宿泊契約を解除したときの違約金支払義務について告知しているものとする。

 ア.基本宿泊料(室料)が20,000円,チェックアウトが午前10時と定められたホテルで,午後4時30分まで客室を延長利用したときの時間外追加料金は20,000円である。
 イ.基本宿泊料(室料)が20,000円,サービス料10%を含む宿泊料金が22,000円のホテルのツインルームにおいて,違約金の対象となるのは,基本宿泊料の20,000円である。
 ウ.大人料金が1人当たり20,000円の旅館において,大人に同伴された小学生が大人に準じる食事と寝具等の提供を受けたときの子供料金は,大人料金の50%の10,000円である。
 エ.宿泊日の8日前に18名で1泊する宿泊契約を旅館と締結した団体客が,宿泊当日に3名の契約を解除し,宿泊人数が15名となった場合,当該旅館は,解除となった3名のうち1名分の違約金を収受し,2名分の違約金は収受しない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,宿泊約款9条2項3号は,時間外の客室利用が,チェックアウト時刻から6時間以上を経過する場合には,室料金の全額を追加料金とする旨を規定しています。したがって,アは,正しいです。

(客室の使用時間)
第9条 略
2 当ホテル(館)は,前項の規定にかかわらず,同項に定める時間外の客室の便用に応じることがあります。この場合には次に掲げる追加料金を申し受けます。
⑴ 略
⑵ 略
⑶ 超過6時間以上は,室料金の全額 (又は室料相当額の %)


イについて,宿泊約款別表第2(注)1は,違約金は,基本宿泊料に対して計算する旨を規定しています。したがって,イは,正しいです。
宿泊約款別表第二

ウについて,宿泊約款別表第1備考2は,子供が,大人に準じる食事と寝具等の提供を受けたときは,大人料金の70%とする旨を規定しています。したがって,ウは,誤りです。
モデル宿泊約款別表第1

エについて,宿泊約款別表第2(注)3は,15名以上の団体客の一部にキャンセルがあった場合は,宿泊10日前又は申込み引受日の宿泊人数の10%にあたる人数(端数切上げ)について,違約金を支払う必要がない旨を規定しています。本問では,8日前にキャンセルをしているため,この時点における宿泊人数18名を基に,その10%を計算すると,1.8人となりますが,端数は切り上げるため,2人分の支払いが不要となります。したがって,エは,正しいです。
宿泊約款別表第二

8.航空による運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)全日本空輸の片道運賃及び小児運賃を適用し,大人1人,満12歳の小学生1人,満5歳の幼稚園児1人,座席を使用しない満2歳の幼児1人,これら計4人の家族が航空機を利用するとき,必要となる片道運賃と小児運賃の組合せのうち,正しいものはどれか。
 (注)年齢は搭乗日現在とする。

 ア.片道運賃1人と小児運賃2人分が必要である。
 イ.片道運賃2人と小児運賃1人分が必要である。
 ウ.片道運賃1人と小児運賃3人分が必要である。
 エ.片道運賃2人と小児運賃2人分が必要である。


正解:イ(配点:4)
解説:大人について片道運賃が必要であるのは当然ですので,12歳,5歳,2歳のそれぞれの子について運賃の適用方を検討する必要があります。
 まず,小児運賃の適用があるのは,満3歳から満11歳までの子どもです。したがって,12歳の小学生には,小児運賃は適用されず,片道運賃がさらに1人分必要となります。
 一方,5歳の幼稚園児は,小児運賃が適用されます。したがって,小児運賃が1人分必要です。
 最後に,2歳の幼児は,座席を使用せず大人の膝の上に座る場合には,運賃が不要となります。
 以上から,片道運賃が2人分,小児運賃が1人分必要となるため,正解は,イです。

(2)全日本空輸の往復運賃(同一区間を往復)を適用し,往復とも座席の予約がなされている航空券を購入した旅客が,旅客の都合で往路予約便の出発時刻前に全ての座席の予約を解約し当該航空券の払い戻しをした。この場合の払い戻しにおける手数料として正しいものはどれか。

 ア.払戻手数料として2区間分の860円が必要であるが,取消手数料は不要である。
 イ.払戻手数料として2区間分の860円と所定の取消手数料が必要である。
 ウ.払戻手数料として1区間分の430円が必要であるが,取消手数料は不要である。
 エ.払戻手数料として1区間分の430円と所定の取消手数料が必要である。


正解:ア(配点:4) ※平成30年10月27日搭乗分をもって,ANAの往復運賃の設定は終了となりました。
解説:払戻手数料は,1区間につき430円必要となります。往復運賃の往路・復路のどちらも払い戻す場合には,往路で1区間,復路で1区間となるため,2区間分860円の払戻手数料が必要です。
 一方,取消手数料については,出発時刻以降は運賃の約20%相当額が費用となりますが,出発時刻前であれば不要です。本問では,出発時刻前に全ての予約を解約しているため,取消手数料は発生しません。
 以上から,正解は,アです。

9.旅客鉄道会社(JR)に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)旅客鉄道会社(JR)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

 ア.5月31日に始発駅を出発する新幹線の指定席グリーン券の発売日時は,4月30日の午前10時である。
 イ.大人に随伴される3歳の幼児が,快速列車の指定席を幼児1人で利用する場合,この幼児については,小児の運賃と小児の座席指定料金が必要である。
 ウ.新幹線の普通車指定席を利用する団体旅客が15人で構成される普通団体の場合,1人を無賃扱人員として,運賃に加えて指定席特急料金も収受しない。
 エ.「京都市内→福岡市内」と券面に表示された乗車券を使用して,山科駅(京都市内の駅)から旅行を開始し,京都駅(京都市内の中心駅)で途中下車する場合において,山科駅から京都駅までの間の運賃を別に支払わなくても,引き続き当該乗車券を使用して乗車することができる。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,指定席グリーン券は,旅客営業規則21条1項4号により,出発日の1か月前から発売されます。このとき,1か月前に対応する同じ日がないときは,その1日あとの日が発売開始日となります。本問では,5月31日の1か月前である4月31日は存在しないため,その1日あとの日である5月1日が発売開始日となります。したがって,アは,4月30日を発売開始日としている点で誤りです。

(乗車券類の発売日)
第二十一条 乗車券類は,発売当日から有効となるものを発売する。ただし,次の各号に掲げる乗車券類は,当該各号に定めるところによって発売する。
 一~三 略
 四 指定券
 当該列車(未指定特急券にあっては,指定した乗車日の列車群のうち,始発駅を最も早く出発する列車)が始発駅を出発する日の一箇月前の日の十時から発売する。ただし、次に掲げる指定券については、それぞれに定めるところによって発売する。
  イ,ロ 略
 五 略
2~5 略


イは,旅客営業規則74条1項のとおりですから,正しいです。

(小児の旅客運賃・料金)
第七十四条 小児の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金は,次条に規定する場合を除いて,大人の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金をそれぞれ折半し,十円未満のは数を切り捨てて十円単位とした額(以下この方法を「は数整理」という。)とする
2,3 略


ウについて,旅客営業規則111条2項は,普通団体は31人以上いる場合に1人を無賃扱人員として旅客運賃を収受しないこととしています。したがって,ウは,15人の団体でも1人を無賃扱人員としている点と,指定席特急料金も収受しないとしている点で誤りです。

(団体旅客運賃)
第百十一条 略
2 前項の規定によるほか,訪日観光団体及び普通団体に対しては,団体旅客が三十一人以上(訪日観光団体にあっては,十五人以上)五十人までのときはうち一人,五十一人以上のときは五十人までごとに一人を加えた人員を無賃扱人員として旅客運賃を収受しない


エについて,旅客営業規則156条3号は,特定都区市内の駅で途中下車をすることはできない旨定めています。この場合,乗車駅から途中下車駅までの運賃を別途支払うことによって,当該乗車券を引続き利用することができます。したがって,エは,誤りです。

(途中下車)
第百五十六条 旅客は,旅行開始後,その所持する乗車券によって,その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため二駅以上を共通の着駅とした乗車券については,最終着駅)以外の駅に下車して出場した後,再び列車に乗り継いで旅行することができる。ただし,次の各号に定める駅を除く。
 一,ニ 略
 三 第八十六条及び第八十七条の規定によって発売した乗車券を使用する場合は,当該乗車券の券面に表示された特定都区市内又は東京山手線内にある駅
 四,五 略


(2)乗継割引に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 (注)いずれも最初の列車の乗車日当日に乗り継ぐものとし,途中下車はしないものとする。

国内H28-3-9-2


正解:エ(配点:4)
解説:乗継割引が適用されるのは,①急行列車と新幹線とを乗継駅として定められた駅で乗り換える場合と,②サンライズ瀬戸号と四国内の急行列車とを坂出駅又は高松駅で乗り換える場合の2ケースです。
 アは,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースでありますが,新幹線の両端で急行列車を使う場合には,特急料金が高い一方についてのみ乗継割引が適用されます。したがって,アは,両方に乗継割引の適用があるとしている点で誤りです。
 イも,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースですが,東北新幹線の乗継駅として設定があるのは新青森駅のみであり,上野駅は乗継駅ではありませんから,ときわ号の特急料金について乗継割引の適用はありません。したがって,イは,誤りです。
 ウも,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースですが,九州新幹線には乗継駅が設定されていませんので,指宿のたまてば箱号には乗継割引は適用されません。したがって,ウは,誤りです。
 エも,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースであり,高松駅は乗継駅となっていますから,うずしお号の特急料金について乗継割引が適用されます。したがって,エは,正しいです。

(乗継急行券の発売)
第五十七条の二 旅客が,急行列車相互間に乗継ぎをする場合で,次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は,第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし,設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については,割引の取扱いをしない。
 一 次に掲げる急行列車相互間について,それぞれに定める乗継駅において直接乗継ぎをする場合(同一の急行列車を先乗列車及び後乗列車として直接乗継ぎをする場合を含む。)
旅客営業規則57条の2第1号
 ニ,三 略


(3)次のJR券を4月10日に払いもどしした場合の払いもどし額について,正しいものはどれか。
国内H28-3-9-3


正解:ア(配点:4)
解説:本問のJR券には「乗車券」部分と「B特急券」(指定席特急券)部分があるため,その双方について払戻手数料が発生します。乗車券の払戻手数料は,一律で220円です(旅客営業規則271条1項)。一方で,B特急券(指定席特急券)の払戻手数料は,出発の2日前までに請求した場合には330円(消費増税に伴う改定後は340円)ですが,出発の前日から出発時刻までの間に請求した場合には,指定席特急料金の30%となります。本問では,出発2日前に払戻請求をするため,乗車券の払戻手数料220円と,指定席特急料金の払戻手数料330円を合算した550円が払戻手数料となります。

(旅行開始前の旅客運賃の払いもどし)
第271条 旅客は,旅行開始前に,普通乗車券が不要となった場合は,その乗車券の券片が入鋏前で,かつ,有効期間内(前売の乗車券については,有効期間の開始日前を含む。)であるときに限って,これを駅に差し出して既に支払った旅客運賃の払いもどしを請求することができる。この場合,旅客は,手数料として,乗車券1枚につき220円を支払うものとする
2~4 略
(指定券に対する料金の払いもどし)
第273条 旅客は,指定券(未指定特急券及び団体旅客又は貸切旅客に発売した指定券を除く。)が不要となった場合は,その指定を受けた列車(2個以上の列車について指定を受けている場合は,先に乗車することが予定されていた列車)がその乗車駅を出発する時刻までにこれを駅に差し出したときに限って,次の各号に定める額(10円未満のは数は切り捨てる。)を手数料として支払い,当該指定券に対する急行料金,特別車両料金,寝台料金,コンパートメント料金又は座席指定料金の払いもどしを請求することができる。この場合,変更前の指定券に表示された列車の出発する日の前日又は当日に乗車券類変更の取扱いをしたものにあっては,変更前の指定券について,変更の取扱いをした時刻を払いもどしの請求をした時刻とみなして手数料を支払うものとする。
 ⑴ 立席特急券又は特定特急券(乗車日及び乗車列車を指定して発売したものに限る。以下この条において同じ。)以外の指定券(新幹線と新幹線以外の線区を直通して運転する特別急行列車に乗車する旅客に対して1枚で発売した特別急行券であって,全区間又は一部区間について乗車列車を指定しているものを含む。)
  イ 出発する日の2日前までに請求した場合は,340円(第57条第1項第1号イの(イ)ただし書及び第58条第1項第1号イただし書の規定により設備定員と同一の人員に対して1葉で発売した指定券にあっては,1葉につき340円)。
  ロ 出発する時刻までに請求した場合は,すでに支払った当該料金の3割に相当する額(第57条第1項第1号イの(イ)ただし書及び第58条第1項第1号イただし書の規定により設備定員と同一の人員に対して1葉で発売した指定券にあっては,料金合計額(特別車両の個室にあっては特別車両料金合計額)の3割に相当する額とし,新幹線と新幹線以外の線区を直通して運転する特別急行列車に対して1枚で発売した特別急行券にあっては,新幹線区間に対する特別急行料金と在来線区間に対する特別急行料金とを合算した額の3割に相当する額とする。)。ただし,340円に満たない場合は,340円とする。
 ⑵ 略
2~8 略


(4)大人1人と小児1人が,次の行程を乗車する場合について,資料に基づき各設問に該当する答を,選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
 (注1) 高山駅~岐阜駅間は地方交通線である。
 (注2) 名古屋駅では途中下車せず,同日の乗り継ぎとする。
国内H28-3-9-4

 ① この行程における大人1人の運賃の額について,正しいものはどれか。
国内H28-3-9-4-1


正解:ウ(配点:4)
解説:旅客運賃の計算は,原則,営業キロに基づいて計算します(旅客営業規則14条1項)。もっとも,「幹線と地方交通線を連続して乗車する場合」には,幹線の営業キロに,地方交通線の営業キロを賃率比に応じて換算したもの(JR北海道,JR東日本,JR東海,JR西日本では「賃率換算キロ」,JR四国,JR九州では「擬制キロ」といいます。)を合算した「運賃計算キロ」に基づいて計算します(旅客営業規則14条の2第1項)。なお,地方交通線のみを利用する場合には,「幹線と地方交通線を連続して乗車する場合」に該当しませんので,原則通り,営業キロに基づいて計算することになりますが,JR四国とJR九州のみは,地方交通線単体の場合にも擬制キロに基づいて計算します(旅客営業規則14条の3)。
 本問では,高山~岐阜が地方交通線であり,その余は幹線ですので,「幹線と地方交通線を連続して乗車する場合」に該当します。そこで,高山~岐阜については,賃率換算キロに基づいて運賃を計算します。そして,全区間が同一方向ですので通しで運賃計算キロを算出します。そのため,高山~岐阜の賃率換算キロ150.0+岐阜~名古屋の営業キロ30.3+名古屋~新富士219.8=400.1となります。そして,1キロ未満については端数処理として切り上げますので,401kmとなります。以上から,正解は,ウです。

(営業キロ)
第14条 旅客運賃・料金の計算その他の旅客運送の条件をキロメートルをもって定める場合は,別に定める場合を除き,営業キロによる。
2 略
(運賃計算キロ)
第14条の2 前条の規定によるほか,幹線と地方交通線を連続して乗車する場合(幹線と地方交通線の中間に当社と通過連絡運輸を行う鉄道・軌道・航路又は自動車線が介在する場合で,これらを通じて連続乗車するときを含む。以下同じ。)の旅客運賃を計算するときは,旅客の乗車する発着区間のうち,地方交通線の乗車区間に対する営業キロを賃率比に応じて換算したもの(以下,北海道旅客鉄道株式会社,東日本旅客鉄道株式会社,東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社にあっては「賃率換算キロ」,四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社にあっては「擬制キロ」という。)と幹線の乗車区間に対する営業キロを合算したもの(以下「運賃計算キロ」という。)による。
2 略
(擬制キロ)
第14条の3 第14条の規定にかかわらず,四国旅客鉄道会社線又は九州旅客鉄道会社線の地方交通線内各駅相互間を乗車する場合の旅客運賃を計算するときは,前条第1項に定める擬制キロによる。


 ② この行程のそれぞれの列車における小児1人の料金の額について,正しいものはどれか。

国内H28-3-9-4-2


正解:ウ(配点:4)
解説:小児については,特急料金は半額になりますが,グリーン料金は半額になりません(旅客営業規則74条1項)。また,特急料金は,グリーン車を利用する場合には,繁忙期であっても通常期の料金で計算します。さらに,自由席を利用する場合には,通常期の指定席特急料金から差額520円を差し引きます。
 以上を前提に,まず高山~名古屋の特急料金は,グリーン車を利用しているため,通常期の料金で計算します。したがって,繁忙期の指定席特急料金である2680円から通常期と繁忙期との差額520円を差し引いて2160円とします。そして,小児料金であるため,これを半額にして,1080円とします。さらに,名古屋から新幹線を利用しており,名古屋駅は乗継割引における乗継駅ですので,乗継割引を適用してさらに半額とします。以上から,{(2680-520)÷2}÷2=540円となります。
 次に,高山~名古屋のグリーン料金は,小児であっても半額にならないため,2750円のままです。
 そして,名古屋~新富士の新幹線自由席特急料金は,通常期の指定席特急料金から520円をひいた額となるので,3860円から520円をひいた3340円となります。さらに,小児料金であるため,これを半額にして,1670円となります。
 よって,正解は,ウになります。

(小児の旅客運賃・料金)
第七十四条 小児の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金,次条に規定する場合を除いて,大人の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金をそれぞれ折半し,十円未満のは数を切り捨てて十円単位とした額(以下この方法を「は数整理」という。)とする
2,3 略


 ③ この行程におけるJR券に関する以下の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.列車の事故により「特急ワイドビューひだ4号」が遅延し,名古屋駅の到着時刻が同日の12時10分となった。この場合,「特急ワイドビューひだ4号」の特急料金の全額が返金される。
 イ.旅客の都合により「特急ワイドビューひだ4号」に乗り遅れた場合,「特急ワイドビューひだ4号」の特急券とグリーン券は無効になり,払いもどしできない。
 ウ.この乗車券の有効期間は4日間である。
 エ.名古屋~新富士間の特急券の有効期間は,5月3日と5月4日の2日間である。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,特急列車の遅延による特急料金の払戻しは,その遅延時分が2時間以上の場合に限られます(旅客営業規則289条2項)。アは,遅延時分が2時間に達していないため,払戻しができません。したがって,アは,誤りです。

(急行列車の運行不能・遅延等の場合の取扱方)
第二百八十九条 略
2 急行券を所持する旅客は,第二百八十二条の規定によるほか,第一号から第三号までの一に該当するときは,その急行料金の全額の,第四号に該当するときはその急行料金の半額(十円未満の端数を切り上げて十円単位とした額)の払いもどしを請求することができる。この場合,第五十七条第二項,第六項及び第八項の規定を適用して発売した急行券については,当該急行券のうちの一個列車が該当する場合であっても,全区間に対して払いもどしの請求をすることができる。
 一,ニ 略
 三 急行列車の遅延により,着駅到着時刻に2時間以上遅延して到着したとき
 四 略
3 略


イについて,旅客営業規則273条1項は,旅客都合による特急料金の払戻しを指定列車の乗車駅出発時刻までに駅に差し出したときに限る旨規定していますので,出発時刻を過ぎてからの払戻しはできません。したがって,イは,正しいです。

(指定券に対する料金の払いもどし)
第二百七十三条 旅客は,指定券(未指定特急券及び団体旅客又は貸切旅客に発売した指定券を除く。)が不要となった場合は,その指定を受けた列車(ニ個以上の列車について指定を受けている場合は,先に乗車することが予定されていた列車)がその乗車駅を出発する時刻までにこれを駅に差し出したときに限って,次の各号に定める額(十円未満のは数は切り捨てる。)を手数料として支払い,当該指定券に対する急行料金,特別車両料金,寝台料金,コンパートメント料金又は座席指定料金の払いもどしを請求することができる。この場合,変更前の指定券に表示された列車の出発する日の前日又は当日に乗車券類変更の取扱いをしたものにあっては,変更前の指定券について,変更の取扱いをした時刻を払いもどしの請求をした時刻とみなして手数料を支払うものとする。
 一,ニ 略
2~8 略


ウについて,普通乗車券の有効期間は,100キロまでは1日,101~200キロまでは2日,201~400キロまでは3日,401~600キロまでは4日となっています。そして,ここでのキロ数は,全区間を営業キロで計算し,運賃計算キロは用いません。本問では,全区間の営業キロが386.5キロですから,有効期間は3日間となります。したがって,ウは,誤りです。

(有効期間)
第百五十四条 乗車券の有効期間は,別に定める場合の外,次の各号による。
 一 普通乗車券
  イ 片道乗車券
 営業キロが百キロメートルまでのときは一日,百キロメートルを超え二百キロメートルまでのときはニ日とし,二百キロメートルを超えるものは,二百キロメートルまでを増すごとに,二百キロメートルに対する有効期間に一日を加えたものとする。ただし,第百五十六条第二号に規定する大都市近郊区間内各駅相互発着の乗車券の有効期間は,一日とする。
  ロ,ハ 略
 ニ~五 略
2,3 略


エについて,特急券の有効期間は1日に限られます。したがって,エは,誤りです。


●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-07-11(Sat)

【国内旅行業務取扱管理者試験】平成29年度第3問「国内旅行実務」

書き途中


(注)略称は次のとおり
平成26年公示 : 一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)
バス約款 : 一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款
フェリー約款 : フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款
宿泊約款 : モデル宿泊約款
航空約款 : 国内旅客運送約款(ANA)

6.貸切バスによる運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)次の行程(日帰り)で貸切バスを利用するときの運賃について,各設問に該当する答を,選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
 (注1)「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)によるものとする。
 (注2)この運行に係る料金は生じないものとする。

〈行 程〉(日帰り)
 ・ 走行時間の合計は2時間15分
 ・ 実車距離は31キロ
   なお,「実車距離」とは,旅客の最初の乗車から最後の降車までの間に走行する距離をいい,回送距離は含まない。
 ・ 回送距離の合計は20キロ

① この行程における時間制運賃を求めるための時間のうち,正しいものはどれか。
 ア.2時間分の時間制運賃が必要である。
 イ.3時間分の時間制運賃が必要である。
 ウ.4時間分の時間制運賃が必要である。
 エ.5時間分の時間制運賃が必要である。


正解:エ(配点:4)
解説:時間制運賃の算出基準となる時間は,平成26年公示別紙2第2の2(1)①本文によれば,走行時間に点呼点検時間2時間を合算した時間とされています。もっとも,同号ただし書によれば,走行時間が3時間未満の場合には,走行時間を3時間として扱うこととされています。
 本問では,走行時間が2時間15分となっていますが,同号ただし書の規定により,時間制運賃の計算上は走行時間を3時間として扱うこととなりますので,これに点呼点検時間の2時間を合算した5時間が時間制運賃の算出基準となる時間になります。したがって,正解は,エです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
   運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
 (1) 時間制運賃
  ① 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間(以下「点呼点検時間」という。)として,1時間ずつ合計2時間と,走行時間(出庫から帰庫までの拘束時間をいい,回送時間を含む。以下同じ。)を合算した時間に1時間あたりの運賃額を乗じた額とする。
 ただし,走行時間が3時間未満の場合は,走行時間を3時間として計算した額とする
  ②,③ 略
 (2),(3) 略
 3.略


② この行程におけるキロ制運賃を求めるための走行距離のうち,正しいものはどれか。
 ア.30キロ分のキロ制運賃が必要である。
 イ.40キロ分のキロ制運賃が必要である。
 ウ.50キロ分のキロ制運賃が必要である。
 エ.60キロ分のキロ制運賃が必要である。


正解:エ(配点:4)
解説:キロ制運賃の算出基準となるキロ数は,平成26年公示別紙2第2の2(2)によれば,回送距離を含めた走行距離とされています。本問では,実車距離は31キロとされていますが,ここには回送距離が含まれていないため,回送距離の20キロも足した51キロが走行距離となります。
 ここで,平成26年公示別紙2第4(1)によれば,走行距離について10キロ未満の端数は10キロに切り上げる処理を行います。そうすると,本問でも,走行距離の51キロは切り上げて60キロとし,これがキロ制運賃の算出基準となります。
 したがって,正解は,エです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
   運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
 (1) 略
 (2) キロ制運賃
    走行距離(出庫から帰庫までの距離をいい,回送距離を含む。以下同じ。)に1キロあたりの運賃額を乗じた額とする。
 (3) 略
 3.略
第4.端数処理
 (1) 走行距離の端数については,10キロ未満は10キロに切り上げる
 (2) 略


(2)貸切バスによる運送に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注)「一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款」「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)によるものとする。

 ア.「配車日が8月1日,1台120,000円で契約した貸切バス1台」の運送契約を契約責任者の都合で7月23日に解除した場合,バス会社は,24,000円の違約料を申し受けることができる。
 イ.下限額を所定の運賃とする貸切バスの運行において,運行当日,契約責任者の都合により運送申込書に記載した終着予定時刻より1時間延着したため,所定の運賃に変更が生じた。精算の結果,その精算した運賃が,所定の運賃を超えることとなった場合であっても,バス会社は,運賃の追徴の措置を講じることはできない。
 ウ.バス会社は,ガイド料,有料道路利用料,航送料,駐車料,乗務員の宿泊費等当該運送に関連する費用について,契約責任者の負担とすることができる。
 エ.法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合,その他,交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には,バス会社は,交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額の交替運転者配置料金を収受することができる。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,バス約款15条1項は,配車日の14日前から8日前までに解除をしたときは,運賃・料金の20%が違約料として発生する旨規定しています。本問では,配車日の9日前である7月23日に運送契約を解除していますので,1台の運賃・料金12万円の20%である2万4000円が違約料となります。したがって,アは,正しいです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
 配車日の14日前から8日前まで  所定の運賃及び料金の20%に相当する額
 配車日の7日前から配車日時の24時間前まで  所定の運賃及び料金の30%に相当する額
 配車日時の24時間前以降  所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2~5 略


イについて,バス約款19条は,運賃・料金に変更が生じたときは,運賃・料金の追徴を行う旨を規定しています。したがって,イは,誤りです。

(運賃及び料金の精算)
第19条 当社は,運行行程の変更その他の事由により当該運送に係る運賃及び料金に変更を生じたときは,速やかに精算するものとし,その結果に基づいて,運賃及び料金の追徴又は払戻しの措置を講じます
2,3 略


ウは,バス約款14条の通りですから,正しいです。

(運送に関連する経費)
第14条 ガイド料,有料道路利用料,航送料,駐車料,乗務員の宿泊費等当該運送に関連する費用は,契約責任者の負担とします


エは,平成26年公示別紙2第3の2(3)の通りですから,正しいです。

第3.料金
 1.略
 2.料金の適用
 (1),(2) 略
 (3) 交替運転者配置料金
    法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合,その他,交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には,別紙1で示す交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額を適用する


平成26年公示別紙1

7.旅館の宿泊に関する次の記述のうち,資料に基づき,正しいものを1つ選びなさい。
 (注1)「モデル宿泊約款」によるものとする。
 (注2)消費税等諸税の計算は行わないものとする。
 (注3)選択肢イ.エ.は,サービス料の計算を行わないものとする。また,選択肢エ.は,旅館が客室の延長使用に応じたものとする。
 (注4)この旅館は,宿泊契約が成立したとき,指定期日までの申込金の支払いを求め,宿泊客はこれを履行するものとする。よって,宿泊客が宿泊契約を解除したときの違約金支払義務があるものとする。

〈資 料〉
 この旅館は,以下のとおりに定めている。
 ・ 基本宿泊料:大人1人あたり1泊2食付10,000円
 ・ サービス料:10%
 ・ 室料相当額:基本宿泊料の70%
 ・ チェックアウト:午前10時

 ア.大人1人が1泊するとき,旅館は申込金を10,000円とすることができる。
 イ.小学生が子供用食事と寝具の提供を受けたときの子供料金は1人7,000円である。
 ウ.違約金は,基本宿泊料10,000円にサービス料1,000円を合算した11,000円に対して計算する。
 エ.客室を午後2時まで延長使用したときの時間外追加料金は3,000円である。


正解:ア(配点:4)
解説:アについて,宿泊約款3条2項によれば,申込金は,宿泊期間が3日以内であるときはその宿泊期間の基本宿泊料を,宿泊期間が3日を超える時は3日間の基本宿泊料を,それぞれ限度とする旨を規定しています。本問では,1泊とされているので,1泊分の基本宿泊料である1万円が上限となります。したがって,アは,正しいです。

(宿泊契約の成立等)
第3条 略
2 前項の規定により宿泊契約が成立したときは,宿泊期間(3日を超えるときは3日間)の基本宿泊料を限度として当ホテル(館)が定める申込金を,当ホテル(館)が指定する日までに,お支払いいただきます。
3,4 略


イについて,宿泊約款別表第1備考2は,子供用食事と寝具を提供したときの子供料金は大人料金の50%と規定しています。本問では,子供料金は,基本宿泊料1万円の50%ですので,5000円となります。したがって,イは,誤りです。

モデル宿泊約款別表第1

ウについて,宿泊約款別表第2注1は,違約金は宿泊基本料に対して計算する旨を規定しています。したがって,ウは,誤りです。

宿泊約款別表第二

エについて,宿泊約款9条2項1号,2号は,時間外客室利用の時間が,3時間までは室料金の3分の1,6時間までは室料金の2分の1と規定しています。本問では,チェックアウトの午前10時から午後2時まで4時間にわたり時間外利用をしていますから,室料金の2分の1の料金5000円が発生します。したがって,エは,誤りです。

(客室の使用時間)
第9条 略
2 当ホテル(館)は,前項の規定にかかわらず,同項に定める時間外の客室の便用に応じることがあります。この場合には次に掲げる追加料金を申し受けます。
 ⑴ 超過3時間までは,室料金の3分の1(又は室料相当額の %)
 ⑵ 超過6時間までは,室料金の2分の1(又は室料相当額の %)
 ⑶ 略


8.フェリーによる運送に関する次の設問について,該当する答を,選択肢の中から1つ選びなさい。
 (注1)「海上運送法第9条第3項の規定に基づく標準運送約款」(フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款)によるものとする。
 (注2)年齢は乗船日現在とする。
 (注3)当該フェリーの指定制1等船室の座席には小児運賃・料金の設定があるものとする。

 大人2人(自動車の運転者1人を含む),小学生1人,3歳の小児1人が,自動車1台でフェリーの指定制1等船室の座席を使用する場合の必要な運賃・料金の組合せのうち,正しいものはどれか。なお,全員が指定制1等船室の座席を1人で使用するものとする。

 ア.大人1人分,小児2人分,自動車1台分,大人1人分の2等運賃の額との差額運賃・料金
 イ.大人1人分,小児1人分,自動車1台分,大人1人分の2等運賃の額との差額運賃・料金
 ウ.大人2人分,小児2人分,自動車1台分
 エ.大人2人分,小児1人分,自動車1台分


正解:ア(配点:4)
解説:まず,自動車1台については,自動車運送の運賃がかかります。
 次に,大人2人については,先の自動車運送の運賃には,自動車運転者1名が2等船室に乗船する場合の当該運転者の運賃が含まれています(フェリー約款自動車航送の部8条2項)。そして,この運転者が2等船室以外の船室に乗船しようとするときは,当該船室の運賃と2等船室の運賃との差額が必要となります(フェリー約款標準運送約款8条3項)。したがって,本問でも,運転者については1等船室と2等船室との差額運賃が,もう1人の大人については1等船室の運賃が,それぞれ必要となります。
 そして,子供については,1歳以上の小児から子供料金が必要となりますので(フェリー約款標準運送約款6条3項1号),小学生1人も3歳の小児1人も子供料金の適用対象です。なお,子供2人が大人2人に同伴しているため,無料となるようにも思われますが(フェリー約款標準運送約款6条3項2号),本問では子供2人が指定制の座席を1人で利用しているため,無料扱いとなりません(フェリー約款標準運送約款6条3項柱書)。
 以上から,大人1人,小児2人,自動車1台,大人(1等と2等の差額)1人となるため,正解はアです。

○標準運送約款
(運賃及び料金の額等)
第6条 略
2 略
3 次の各号のいずれかに該当する小児の運賃及び料金は,無料とします。ただし,指定制の座席又は寝台を1人で使用する場合の運賃及び料金については,この限りではありません
 ⑴ 1歳未満の小児
 ⑵ 大人に同伴されて乗船する1歳以上の小学校に就学していない小児(団体として乗船する者及び大人1人につき1人を超えて同伴されて乗船する者を除く。)
(運賃及び料金の収受)
第8条 略
2 略
3 自動車航送を行う場合であつて,当該自動車の運転者が2等船室以外の船室に乗船しようとするときは,当社は,当該船室に対応する運賃及び料金の額と2等運賃の額との差額を申し受け,これと引き換えに補充乗船券を発行します。

○自動車運送の部
(運賃の額等)
第8条 略
2 運賃には,自動車の運転者1名が2等船室に乗船する場合の当該運転者の運送の運賃が含まれています


9.航空による運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)全日本空輸の往復運賃及び往復運賃が適用された航空券(国内線の同一区間を往復)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注1)本設問における座席予約の変更・取り消し,航空券の払い戻しは,旅客の都合によるものとし,それらの申出は,航空会社の事業所の営業時間内になされるものとする。
 (注2)航空券の払い戻しは,当該航空券の払戻期間内になされるものとする。
 (注3)この航空券は,往復とも座席の予約がなされているものとする。

 ア.往路の搭乗後,当該航空券を払い戻す場合,既に搭乗した往路は片道運賃が適用される。
 イ.往路の搭乗後,復路の搭乗予定便の出発予定時刻までであれば,座席等に余裕がない場合を除き,復路の座席の予約を変更することができる。
 ウ.往路の搭乗予定便の出発予定時刻までに,すべての座席の予約を取り消し,当該航空券を払い戻す場合,1区間分の払戻手数料が必要である。
 エ.往路の搭乗予定便の出発予定時刻までに,すべての座席の予約を取り消した場合,当該航空券の有効期間内であって往復運賃が適用される期間であれば,当該航空券を利用して搭乗することができる。


正解:ウ(配点:4) ※平成30年10月27日搭乗分をもって,ANAの往復運賃の設定は終了となりました。
解説:アについて,一部搭乗後に残券片を払い戻す場合,搭乗済み区間には片道運賃が適用されます。したがって,アは,正しいです。
 イについて,往復運賃が適用された航空券は予約便の変更が可能です。予約便の変更にあたり,座席等に余裕がない場合には,予約便の変更ができないのは当然です。したがって,イは,正しいです。
 ウについて,往復運賃の払戻しは,片道ごとに1区間として払戻手数料を支払う必要があるため,往復では2区間分の払戻手数料が必要となります。したがって,ウは,誤りです。
 エについて,イと同様,予約便の変更が可能ですから,有効期間内かつ往復運賃適用期間内であれば,往復運賃が適用された航空券を利用して搭乗することができます。したがって,エは,正しいです。
 以上につき,こちら(ANA「往復運賃」)をご確認ください。

(2)全日本空輸による国内航空運送に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注)年齢は搭乗日現在とする。

 ア.小児運賃の払戻手数料は,大人と同額である。
 イ.大人1名が3歳未満の幼児2名を同伴する場合,大人1名分に加えて,幼児2名分又は幼児1名分の航空券を購入する必要がある。
 ウ.予約変更ができない航空券の取消手数料は,運賃種別にかかわらず同額である。
 エ.航空会社は,1旅客に対して2つ以上の予約がされており,かつ,旅客が予約のすべてに搭乗すると合理的に考えられないと判断した場合,当該旅客の予約の全部又は一部を取り消すことができる。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,払戻手数料は,航空券・料金券1枚(1区間)につき430円であり,大人と小児で取扱いに差異はありません。したがって,アは,正しいです。詳しくは,こちら(ANA「航空券の払戻手数料・取消手数料について」)をご確認ください。
 イについて,大人1名が幼児を同伴する場合,幼児1名を大人の膝の上に座って利用することができ,このときの幼児については航空券の購入が不要です。一方で,大人1名が幼児を同伴するものの,幼児を膝の上に座らせないで,幼児に1座席を独占させる場合には,大人とは別に航空券の購入が必要です。したがって,本問では,幼児が2名おり,膝の上に座らせることができる幼児は1名だけですから,必然的に幼児1名が座席を独占することになり,もう1名の幼児は大人の膝の上に座るのであれば幼児の航空券は1名分,大人の膝の上に座らせないのであれば幼児の航空券は2名分となります。したがって,イは,正しいです。詳しくは,こちら(ANA「お子様のご予約について」)をご確認ください。
 ウについて,取消手数料は,運賃種別ごとに決められています。したがって,ウは,誤りです。詳しくは,こちら(ANA「航空券の払戻手数料・取消手数料について」)をご確認ください。
 エは,航空約款13条8項2号の通りですから,正しいです。

(座席の予約)
第13条 略
2~7 略
8 会社は,一旅客に対して二つ以上の予約がされており,かつ,次のいずれかの場合には,会社の判断により,旅客の予約の全部又は一部を取り消すことができます
 (1)搭乗区間が同一で、搭乗便出発予定時刻が同一又は近接している場合。
 (2)その他旅客が予約のすべてに搭乗すると合理的に考えられないと会社が判断した場合


10.旅客鉄道会社(JR)に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)旅客鉄道会社(JR)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.自由席特急券は,券面に表示された有効期間開始日のみ有効である。
 イ.新幹線の普通車指定席を利用する団体旅客が55人で構成される普通団体の場合,53人分の運賃と特急料金が収受される。
 ウ.新幹線で品川駅(東京都区内の駅)から新大阪駅まで,新大阪駅から東海道本線と大阪環状線を乗り継いで天王寺駅(大阪市内の駅)まで乗車する場合,この運賃は,東京駅から大阪駅までの営業キロを用いて計算する。
 エ.大人1人が幼児1人を随伴し,2つの席を使用して特急列車の普通車指定席を利用する場合,「大人1人分の乗車券,大人1人分の指定席特急券,小児1人分の指定席特急券」が必要である。


正解:エ(配点:4)
解説:アについて,自由席特急券のように列車を指定しない特急券を使用する場合,その券面に表示された乗車日の1個の急行列車に,1回に限って使用することができます(旅客営業規則172条3項)。このことから,自由席特急券は,有効期間開始日当日に限り有効であることになります。なお,乗車した特急列車が発駅から着駅の間に日をまたぐ場合には,日をまたいだ後でも着駅に着くまで乗車可能ですが,これは有効期間を延長するものではなく,有効期間切れの特急券の使用を認める特例です(同項第3文参照)。したがって,アは,正しいです。

(急行券の効力)
第172条 略
2 略
3 指定急行券以外の急行券を所持する旅客は,その券面に表示された乗車日の1個の急行列車(第57条の5第1項後段の規定により発売した遅延特約の急行券にあっては,発売当日の別に指定した急行列車)に,1回に限って使用することができる。また,券面に区間又は営業キロ地帯が表示されているときは,当該区間又は当該営業キロ地帯内の最遠の停車駅まで乗車することができる。この場合,乗車後に有効期間を経過したときであっても,その券面に表示された区間又は営業キロ地帯内の最遠の停車駅まで乗車することができる。
4~8 略


イについて,団体旅客運賃は,31人以上で1人,51人以上でさらに1人が無賃扱人員となります(旅客営業規則111条2項)。本問では,55人の団体ですから,2人分が無賃扱いとなり,53人分の運賃が必要となります。また,特急料金については,旅客運賃収受人員に相当する特急料金(運賃が必要となる人数分の特急料金)が必要です(旅客営業規則128条)。本問では,53人分について運賃が収受されますから,特急料金も53人分必要です。したがって,イは,正しいです。

(団体旅客運賃)
第111条 略
2  前項の規定によるほか,訪日観光団体及び普通団体に対しては,団体旅客が31人以上(訪日観光団体にあっては,15人以上)50人までのときはうち1人,51人以上のときは50人までごとに1人を加えた人員を無賃扱人員として旅客運賃を収受しない
(団体旅客又は貸切旅客に対する急行料金)
第128条 団体旅客又は貸切旅客に対する急行料金は,その旅客運賃収受人員に相当する急行料金(貸切旅客の場合は,大人急行料金)とする


ウについて,品川駅及び新大阪駅は,いずれも特定都区市内にある駅ですから,特定都区市内にある駅に関連する片道普通旅客運賃の計算方が適用されます(旅客営業規則86条)。この場合,各特定都区市内の中心駅を出発駅又は終着駅として計算することになります。品川駅は東京都区内の駅であり,その中心駅は東京駅です(同条1号)。また,新大阪駅は大阪市内の駅であり,その中心駅は大阪駅です(同条5号)。したがって,本問では,東京駅から大阪駅までの営業キロで計算することになります。よって,ウは,正しいです。

(特定都区市内にある駅に関連する片道普通旅客運賃の計算方)
第86条 次の各号の図に掲げる東京都区内,横浜市内(川崎駅,尻手駅,八丁畷駅,川崎新町駅及び小田栄駅並びに鶴見線各駅を含む。),名古屋市内,京都市内,大阪市内(南吹田駅,高井田中央駅,JR河内永和駅,JR俊徳道駅,JR長瀬駅及び衣摺加美北駅を含む。),神戸市内(道場駅を除く。),広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。),北九州市内,福岡市内(姪浜駅,下山門駅,今宿駅,九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。),仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある駅と,当該各号に掲げる当該特定都区市内の◎印の駅(以下「中心駅」という。)から片道の営業キロが200キロメートルを超える区間内にある駅との相互間の片道普通旅客運賃は,当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによって計算する。ただし,特定都区市内にある駅を発駅とする場合で,普通旅客運賃の計算経路が,その特定都区市内の外を経て,再び同じ特定都区市内を通過するとき,又は特定都区市内にある駅を着駅とする場合で,発駅からの普通旅客運賃の計算経路が,その特定都区市内を通過して,その特定都区市内の外を経るときを除く。
 ⑴ 東京都区内
東京都区内
 ⑵~⑷ 略
 ⑸ 大阪市内
大阪市内
 ⑹~⑾ 略


エについて,幼児が指定席を独立して利用する場合には,小児の旅客運賃・料金の双方が必要になります。したがって,エは,小児1人分の乗車券を算入していない点で誤りです。

(旅客の区分及びその旅客運賃・料金)
第73条 略
2 前項の規定による幼児又は乳児であっても,次の各号の1に該当する場合は,これを小児とみなし,旅客運賃・料金を収受する
 ⑴~⑶ 略
 ⑷ 幼児又は乳児が,指定を行う座席又は寝台を幼児又は乳児だけで使用して旅行するとき
 ⑸ 略
3~5 略


(2)次の行程で大人1人が乗車するとき,普通乗車券の運賃の計算に関する記述として,正しいものを選びなさい。
 (注)仙台駅~鳴子温泉駅間,鳴子温泉駅~赤倉温泉駅間では途中下車はしないものとする。

平成29年3-10-⑵


正解:ア(配点:4)
解説:旅客運賃の計算は,原則,営業キロに基づいて計算します(旅客営業規則14条1項)。もっとも,「幹線と地方交通線を連続して乗車する場合」には,幹線の営業キロに,地方交通線の営業キロを賃率比に応じて換算したもの(JR北海道,JR東日本,JR東海,JR西日本では「賃率換算キロ」,JR四国,JR九州では「擬制キロ」といいます。)を合算した「運賃計算キロ」に基づいて計算します(旅客営業規則14条の2第1項)。なお,地方交通線のみを利用する場合には,「幹線と地方交通線を連続して乗車する場合」に該当しませんので,原則通り,営業キロに基づいて計算することになりますが,JR四国とJR九州のみは,地方交通線単体の場合にも擬制キロに基づいて計算します(旅客営業規則14条の3)。
 本問では,8月1日分については,幹線である東北新幹線と地方交通線である陸羽東線を連続して乗車しているため,陸羽東線については賃率換算キロに依拠することとなり,これと東北新幹線の営業キロを合算した82.3キロが運賃計算キロとなります。
 次に8月2日分については,8月1日分と通算することができるかを検討することになります。普通乗車券の有効期間は,営業キロが100キロまでは1日,200キロまでは2日とされています(旅客営業規則154条1項1号イ)。この有効期間の計算は,運賃の計算ではないため,地方交通線を経由している場合であっても,全区間について営業キロのみを用いて計算します。本問では,仙台駅から赤倉温泉駅までの営業キロが94.9キロであるため,有効期間は1日となります。そうすると,8月1日に仙台駅を出発したら,8月2日にまたいで乗車券を使用することはできないため,8月1日分の仙台→鳴子温泉の乗車券と8月2日分の鳴子温泉→赤倉温泉の乗車券は別々に購入する必要があり,両日分を通算することはできません。
 そして,8月2日分を単体で計算する場合には,地方交通線である陸羽東線を利用していますが,幹線と連続して乗車しているわけではなく,また陸羽東線はJR東日本の路線ですから,賃率換算キロではなく営業キロである16.2キロによって計算することになります。
 以上から,本問の行程では,8月1日分の43.2キロと39.1キロを合算した82.3キロに基づいて計算した運賃と,8月2日分の16.2キロに基づいて計算した運賃が必要になります。したがって,正解は,アです。

(営業キロ)
第14条 旅客運賃・料金の計算その他の旅客運送の条件をキロメートルをもって定める場合は,別に定める場合を除き,営業キロによる
2 略
(運賃計算キロ)
第14条の2 前条の規定によるほか,幹線と地方交通線を連続して乗車する場合(幹線と地方交通線の中間に当社と通過連絡運輸を行う鉄道・軌道・航路又は自動車線が介在する場合で,これらを通じて連続乗車するときを含む。以下同じ。)の旅客運賃を計算するときは,旅客の乗車する発着区間のうち,地方交通線の乗車区間に対する営業キロを賃率比に応じて換算したもの(以下,北海道旅客鉄道株式会社,東日本旅客鉄道株式会社,東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社にあっては「賃率換算キロ」,四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社にあっては「擬制キロ」という。)と幹線の乗車区間に対する営業キロを合算したもの(以下「運賃計算キロ」という。)による
2 略
(擬制キロ)
第14条の3 第14条の規定にかかわらず,四国旅客鉄道会社線又は九州旅客鉄道会社線の地方交通線内各駅相互間を乗車する場合の旅客運賃を計算するときは,前条第1項に定める擬制キロによる。
(有効期間)
第154条 乗車券の有効期間は,別に定める場合の外,次の各号による。
 ⑴ 普通乗車券
  イ 片道乗車券
    営業キロが100キロメートルまでのときは1日,100キロメートルを超え200キロメートルまでのときは2日とし,200キロメートルを超えるものは,200キロメートルまでを増すごとに,200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする。ただし,第156条第2号に規定する大都市近郊区間内各駅相互発着の乗車券の有効期間は,1日とする。
  ロ,ハ 略
 ⑵~⑸ 略
2,3 略


(3)乗継割引に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注)いずれも最初の列車の乗車日当日に乗り継ぐものとし,途中下車はしないものとする。

平成29年3-10-⑶


正解:ウ(配点:4)
解説:乗継割引が適用されるのは,①急行列車と新幹線とを乗継駅として定められた駅で乗り換える場合と,②サンライズ瀬戸号と四国内の急行列車とを坂出駅又は高松駅で乗り換える場合の2ケースです。
 アは,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースであり,金沢駅,新大阪駅のいずれも乗継駅ですから,サンダーバード号の特急料金について乗継割引が適用されます。したがって,アは,正しいです。
 イも,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースですが,新富士駅は乗継駅であるものの,富士駅は乗継駅ではないため,ふじかわ号の特急料金について乗継割引は適用されません。したがって,イは,正しいです。
 ウも,新幹線と特急を乗り継ぐ場合ですから①のケースですが,東北新幹線の乗継駅として設定があるのは新青森駅のみであり,大宮駅は乗継駅ではありませんから,草津号の特急料金について乗継割引の適用はありません。したがって,ウは,誤りです。
 エは,四国内特急とサンライズ瀬戸号を乗り継ぐ場合ですから②のケースであり,坂出駅は乗継駅となっていますから,いしづち号の特急料金について乗継割引が適用されます。したがって,エは,正しいです。

(乗継急行券の発売)
第57条の2 旅客が,急行列車相互間に乗継ぎをする場合で,次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は,第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし,設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については,割引の取扱いをしない。
 ⑴ 次に掲げる急行列車相互間について,それぞれに定める乗継駅において直接乗継ぎをする場合(同一の急行列車を先乗列車及び後乗列車として直接乗継ぎをする場合を含む。)
旅客営業規則57条の2第1号
 ⑵,⑶ 略


(4)閑散期に次の行程で乗車する大人1人の新幹線の特急料金について,資料に基づき,正しいものを選びなさい。
 (注)長野駅では新幹線の改札口を出ないで,最初の列車の乗車日当日に乗り継ぐものとする。

平成29年3-10-⑷


正解:イ(配点:4)
解説:1行程に指定席を利用する区間と自由席を利用する区間がある場合には,全区間について指定席特急料金として計算します。なお,閑散期の場合には,通常期の指定席特急料金から200円を引いた額とします(旅客営業規則125条1項1号イ(イ)a)。したがって,正解は,イです。

(特定の特別急行券の発売)
第57条の3 第57条第1項第1号イの規定により指定席特急券を発売する場合で,次の各号に掲げる期間内の日に特別車両及びコンパートメント個室以外の座席車に乗車するときは,特定の特別急行料金によって指定席特急券を発売する。ただし,乗車する列車を限定して発売することがある。
 ⑴ 旅客の乗車する日が,次に掲げる期間内の日(金曜日,土曜日及び日曜日並びに国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に定める休日及び同日の前日を除く。)であるとき。ただし,北海道旅客鉄道会社線の新幹線以外の線区及び九州旅客鉄道会社線の新幹線以外の線区の停車駅相互間並びに別表第1号の2第1項に定める列車群に含まれる列車に乗車する場合を除く。
   1月16日から2月末日まで
   6月1日から同月30日まで
   9月1日から同月30日まで
   11月1日から12月20日まで

 ⑵ 略
2~6 略
(大人急行料金)
第125条 大人急行料金は,次の各号に定めるとおりとする。
 ⑴ 特別急行料金
  イ 新幹線
  (イ)指定席特急料金(特別車両以外の個室に乗車する場合は,1人当りの料金とする。)
    a b,c,d,e,f,g,h及びi以外の指定席特急料金
     別表第2号ツ,ナ,ラ,ム,ウ及びノに定める料金とする。ただし,第57条の3第1項第1号の規定により発売するものにあっては,同表に定める料金から200円を,同条第3項の規定により発売するものにあっては,同表に定める料金から530円をそれぞれ低減した額とし,また,同条第1項第2号の規定により発売するものにあっては,同表に定める料金に200円を加算した額とする。
    b~i 略
  (ロ)~(ニ)略
  ロ 略
 ⑵ 略
2 略


(5)次のJR券に関する記述について,資料に基づき,正しいものを選びなさい。

平成29年3-10-⑸

〈資 料〉
 ・ 和歌山駅から紀伊勝浦駅までの営業キロは185.8キロ
 ・ 和歌山駅から串本駅までの営業キロは159.1キロ(串本駅は和歌山駅~紀伊勝浦駅の途中駅である。)

 ア.このJR券は,4月30日10時から発売される。
 イ.旅客の都合により,串本駅で旅行中止したとき,払いもどしされる額はない。
 ウ.旅客の都合により,このJR券を5月30日に払いもどすとき,払いもどしの手数料の合計は670円である。
 エ.旅客の都合により,この列車に乗り遅れた場合,乗車列車の変更を申し出れば,乗車日の5月31日及び翌日の6月1日に限り,和歌山駅を出発する他の特急列車の普通車自由席に乗車する取扱いを受けることができる。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,指定席券の発売は,1か月前の10時から行われますが(旅客営業規則21条1項4号本文),1か月前の応当日がない月末の場合には,その翌月の月初めから発売になります。本問では,5月31日の1か月前は,本来は4月31日ですが,4月31日は存在しないため,翌月の初めである5月1日が発売開始日となります。したがって,アは,誤りです。

(乗車券類の発売日)
第21条 乗車券類は,発売当日から有効となるものを発売する。ただし,次の各号に掲げる乗車券類は,当該各号に定めるところによって発売する。
 ⑴~⑶ 略
 ⑷ 指定券
   当該列車(未指定特急券にあっては,指定した乗車日の列車群のうち,始発駅を最も早く出発する列車)が始発駅を出発する日の1箇月前の日の10時から発売する。ただし,次に掲げる指定券については,それぞれに定めるところによって発売する。
  イ,ロ 略
 ⑸ 略
2~5 略


イについて,旅行開始後の払戻しは,未乗車区間の営業キロが100キロを超える場合に限り可能です(旅客営業規則274条1項)。本問では,未乗車区間の営業キロは,串本駅から紀伊勝浦駅までの26.7キロですから,払戻しができません。したがって,イは,正しいです。

(旅行開始後又は使用開始後の旅客運賃の払いもどし)
第274条 旅客は,普通乗車券を使用して旅行を開始した後,旅行を中止した場合は,その乗車券が,有効期間内であって,かつ,その乗車しない区間の営業キロが,100キロメートルを超えるとき(乗車変更の取扱いをしたため100キロメートルを超える場合を除く。)に限って,これをその旅行を中止した駅に差し出し,既に支払った旅客運賃から既に乗車した区間の普通旅客運賃(当該乗車券が往復割引普通乗車券以外の割引乗車券で,旅行を中止しても既に乗車した区間だけでその割引条件を満たすときは,割引普通旅客運賃)を差し引いた残額の払いもどしを請求することができる。この場合,旅客は,手数料として,乗車券1枚につき220円を支払うものとする。
2,3 略


ウについて,本問のJR券には「乗車券」部分と「B特急券」(指定席特急券)部分があるため,その双方について払戻手数料が発生します。乗車券の払戻手数料は,一律で220円です(旅客営業規則271条1項)。一方で,B特急券(指定席特急券)の払戻手数料は,出発の2日前までに請求した場合には340円ですが,出発の前日から出発時刻までの間に請求した場合には,指定席特急料金の30%となります。本問では,出発前日に払戻請求をするため,乗車券の払戻手数料220円と,指定席特急料金の30%の払戻手数料670円(端数切捨て)を合算した890円が払戻手数料となります。したがって,ウは,誤りです。

(旅行開始前の旅客運賃の払いもどし)
第271条 旅客は,旅行開始前に,普通乗車券が不要となった場合は,その乗車券の券片が入鋏前で,かつ,有効期間内(前売の乗車券については,有効期間の開始日前を含む。)であるときに限って,これを駅に差し出して既に支払った旅客運賃の払いもどしを請求することができる。この場合,旅客は,手数料として,乗車券1枚につき220円を支払うものとする
2~4 略
(指定券に対する料金の払いもどし)
第273条 旅客は,指定券(未指定特急券及び団体旅客又は貸切旅客に発売した指定券を除く。)が不要となった場合は,その指定を受けた列車(2個以上の列車について指定を受けている場合は,先に乗車することが予定されていた列車)がその乗車駅を出発する時刻までにこれを駅に差し出したときに限って,次の各号に定める額(10円未満のは数は切り捨てる。)を手数料として支払い,当該指定券に対する急行料金,特別車両料金,寝台料金,コンパートメント料金又は座席指定料金の払いもどしを請求することができる。この場合,変更前の指定券に表示された列車の出発する日の前日又は当日に乗車券類変更の取扱いをしたものにあっては,変更前の指定券について,変更の取扱いをした時刻を払いもどしの請求をした時刻とみなして手数料を支払うものとする。
 ⑴ 立席特急券又は特定特急券(乗車日及び乗車列車を指定して発売したものに限る。以下この条において同じ。)以外の指定券(新幹線と新幹線以外の線区を直通して運転する特別急行列車に乗車する旅客に対して1枚で発売した特別急行券であって,全区間又は一部区間について乗車列車を指定しているものを含む。)
  イ 出発する日の2日前までに請求した場合は,340円(第57条第1項第1号イの(イ)ただし書及び第58条第1項第1号イただし書の規定により設備定員と同一の人員に対して1葉で発売した指定券にあっては,1葉につき340円)。
  ロ 出発する時刻までに請求した場合は,すでに支払った当該料金の3割に相当する額(第57条第1項第1号イの(イ)ただし書及び第58条第1項第1号イただし書の規定により設備定員と同一の人員に対して1葉で発売した指定券にあっては,料金合計額(特別車両の個室にあっては特別車両料金合計額)の3割に相当する額とし,新幹線と新幹線以外の線区を直通して運転する特別急行列車に対して1枚で発売した特別急行券にあっては,新幹線区間に対する特別急行料金と在来線区間に対する特別急行料金とを合算した額の3割に相当する額とする。)。ただし,340円に満たない場合は,340円とする。
 ⑵ 略
2~8 略


エについて,指定席特急券を利用して指定列車の出発時刻後の特急列車の自由席に乗車することは,その指定列車の出発日と同日に限り可能です。したがって,エは,次の日も可能としている点で誤りです。


●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-07-11(Sat)

【国内旅行業務取扱管理者試験】平成30年度第3問「国内旅行実務」

書き途中


(注)略称は次のとおり
平成26年公示 : 一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)
バス約款 : 一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款
フェリー約款 : フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款
宿泊約款 : モデル宿泊約款
航空約款 : 国内旅客運送約款(ANA)

1.貸切バスによる運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)次の行程で貸切バスを運行するときの運賃・料金に関する記述のうち,正しいものはどれか。
 (注1)「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)」によるものとする。
 (注2)「配車場所から旅行出発まで」及び「旅行終着から帰庫開始まで」の間は,当該貸切バスは停車しており走行していないものとする。
 (注3)消費税の計算は行わないものとする。

平成30年3-1-⑴

 ア.バス会社は,「5時間分の時間制運賃」と「100キロ分のキロ制運賃」の合計額を収受する。
 イ.バス会社は,「5時間分の時間制運賃」と「120キロ分のキロ制運賃」と「1時間分の深夜早朝運行料金」の合計額を収受する。
 ウ.バス会社は,「7時間分の時間制運賃」と「100キロ分のキロ制運賃」の合計額を収受する。
 エ.バス会社は,「7時間分の時間制運賃」と「120キロ分のキロ制運賃」と「1時間分の深夜早朝運行料金」の合計額を収受する。


正解:エ(配点:4)
解説:まず,時間制運賃について,平成26年公示別紙2第2の2(1)によれば,出庫から帰庫までの時間(回送時間も含む)とその前後1時間ずつの点検点呼時間合計2時間を合算した時間を基準として算出することになります。本問では,出庫から帰庫まで5時間あるため,これに2時間を加えた7時間が時間制運賃の算出基準となります。
 次に,キロ制運賃について,平成26年公示別紙2第2の2(2)によれば,出庫から帰庫までの距離(回送距離を含む)を基準として算出することになります。本問では,出庫から帰庫まで120キロ走行しているため,この120キロがキロ制運賃の算出基準となります。
 したがって,正解は,エです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
   運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
 (1) 時間制運賃
   ① 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間(以下「点呼点検時間」という。)として,1時間ずつ合計2時間と,走行時間(出庫から帰庫までの拘束時間をいい,回送時間を含む。以下同じ。)を合算した時間に1時間あたりの運賃額を乗じた額とする
 ただし,走行時間が3時間未満の場合は,走行時間を3時間として計算した額とする。
   ②,③ 略
 (2) キロ制運賃
 走行距離(出庫から帰庫までの距離をいい,回送距離を含む。以下同じ。)に1キロあたりの運賃額を乗じた額とする
 (3) 略
 3.略


(2)貸切バスの運行当日,契約責任者の都合で運行行程の一部に変更があり,運送契約成立時の運行行程による「時間制運賃の計算時間」及び「キロ制運賃の計算距離」に変更が生じることとなった。この場合,旅行終了後の精算において,バス会社が講じる措置に関する次の記述から,資料に基づき,正しいものを選びなさい。
 (注1)「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)」「一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款」によるものとする。
 (注2)この貸切バスの所定運賃は下限額とする。
 (注3)運行行程の変更前及び変更後とも,この運行に係る料金は考慮しないものとする。
 (注4)バス会社は契約責任者の都合による運行行程の変更を承諾したものとし,かつ,変更後の運行行程が記載された乗車券について,当該乗車券を所持することなく旅客の乗車を認めたものとする。
 (注5)消費税の計算は行わないものとする。

〈資 料〉
 ● 運送契約成立時における時間制運賃の計算時間及びキロ制運賃の計算距離
   時間制運賃の計算時間 5時間20分
   キロ制運賃の計算距離 241キロ
 ● 旅行終了後における実際の運行内容
   時間制運賃の計算時間 5時間50分
   キロ制運賃の計算距離 249キロ

 ア.バス会社は,時間制運賃1時間分の運賃を追徴する。
 イ.バス会社は,キロ制運賃10キロ分の運賃を追徴する。
 ウ.バス会社は,時間制運賃1時間分とキロ制運賃10キロ分の合計額の運賃を追徴する。
 エ.バス会社は,運賃を追徴することはできない。


正解:ア(配点:4)
解説:運行行程の一部に変更があり,運賃に変更を生じたときは,バス会社は精算後の運賃を追徴することができます(バス約款19条1項)。
 まず,時間制運賃についてみると,変更前は5時間20分とされていますが,平成26年公示別紙2第4(2)によれば,30分未満は切捨てとなるため,基準となる時間は5時間となります。一方で,変更後は5時間50分とされていますが,同規定によれば,30分以上は1時間に切上げとなるため,基準となる時間は6時間となります。そうすると,変更前と変更後では,基準時間に1時間の差が生じますので,1時間分の時間制運賃による運賃を追徴することができます。
 次に,キロ制運賃についてみると,変更前は,241キロとされていますが,平成26年公示別紙2第4.(1)によれば,10キロ未満は10キロに切上げとなるため,基準となる距離は250キロとなります。一方で,変更後は249キロとされていますが,同様の処理を行うことになるため,基準となる距離は250キロとなります。そうすると,変更前と変更後で,基準距離に変更は出ていないため,キロ制運賃に基づく運賃の追徴をすることはできません。
 したがって,正解は,アです。

○バス約款
(運賃及び料金の精算)
第19条 当社は,運行行程の変更その他の事由により当該運送に係る運賃及び料金に変更を生じたときは,速やかに精算するものとし,その結果に基づいて,運賃及び料金の追徴又は払戻しの措置を講じます
2,3 略

○平成26年公示
第4.端数処理
 (1)走行距離の端数については,10キロ未満は10キロに切り上げる
 (2)走行時間の端数については,30分未満は切り捨て,30分以上は1時間に切り上げる


(3)「配車日が6月30日,貸切バス1台あたり100,000円で契約した貸切バス10台」の運送契約を,契約責任者の都合で6月23日に2台の車両の減少を伴う運送契約の内容の変更をした。この場合における違約料に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 (注)一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款によるものとする。

 ア.バス会社は,1台分の違約料として20,000円を申し受ける。
 イ.バス会社は,1台分の違約料として30,000円を申し受ける。
 ウ.バス会社は,2台分の違約料として40,000円を申し受ける。
 エ.バス会社は,2台分の違約料として60,000円を申し受ける。


正解:エ(配点:4)
解説:バス約款15条2項によれば,車両の減少を伴う契約内容の変更をしたときは,その減少する車両の数が配車車両数20%以上となる場合には,その減少する車両の数の分だけ違約料が発生します。本問では,10台の配車予定であったところ,そのうち2台を減少する変更を行っているため,20%の減少が生じていますから,違約料が発生します。
 次に,この違約料の計算は,同条1項によれば,契約内容の変更をいつ行ったかにより定まります。本問では,配車の7日前に契約内容の変更を行っているため,所定の運賃・料金の30%に相当する額が違約料となります。本問では,1台あたり10万円という契約になっていますので,その30%である3万円が1台あたりの違約料となります。そして,今回は2台の減少が生じているため,違約料も2台分となり,6万円が合計の違約料となります。
 したがって,正解は,エです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
 配車日の14日前から8日前まで 所定の運賃及び料金の20%に相当する額
 配車日の7日前から配車日時の24時間前まで 所定の運賃及び料金の30%に相当する額
 配車日時の24時間前以降 所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2 当社は,契約責任者が,その都合により配車車両数の20%以上の数の車両の減少を伴う運送契約の内容の変更をするときは,その者から,減少した配車車両につき,前項の例により算出した額の違約料を申し受けます
3~5 略


2.フェリーによる運送に関する次の記述のうち,誤っているものを1つ選びなさい。
 (注1)「海上運送法第9条第3項の規定に基づく標準運送約款(フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款)」によるものとする。
 (注2)年齢は乗船日現在とする。

 ア.大人1人が3歳と5歳の小児2人を同伴して,指定制の座席ではない2等船室に乗船する場合,大人1人分と小児1人分の旅客運賃が必要である。
 イ.出発港と終着港の間に寄港地があるフェリーにおいて,当該フェリーが寄港地に到着後,海象が当該フェリーの航行に危険を及ぼすおそれがあるとして,フェリー会社が当該フェリーの発航の中止の措置をとったため,出発港から乗船する旅客が,寄港地において運送契約を解除し払戻しの請求をしたときは,フェリー会社は,券面記載金額と出発港から寄港地までの区間に対応する運賃及び料金の額との差額を払い戻す。
 ウ.2等船室の旅客運賃が大人500円,1等船室の旅客運賃が大人1,000円,自動車航送運賃が5,000円のフェリーに,自動車1台,大人2人(自動車の運転者1人を含む。)が1等船室に乗船する場合,この乗船に係る運賃の合計額は7,000円である。
 エ.旅客運賃とは別に急行料金を収受する急行便が,当該急行便の所定の所要時間以内の時間でフェリー会社が定める時間以上遅延して到着した場合において,当該急行便の旅客が払戻しの請求をしたときは,フェリー会社は急行料金の額を払い戻す。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,フェリー約款6条3項2号によれば,大人に同伴されて乗船する1歳以上の小学校に就学していない小児は無料とされていますが,同号かっこ書きによれば,無料とされる小児は大人1人につき1人までで,2人目からは運賃が発生します。したがって,アは,正しいです。

(運賃及び料金の額等)
第6条 略
2 略
3 次の各号のいずれかに該当する小児の運賃及び料金は,無料とします。ただし,指定制の座席又は寝台を1人で使用する場合の運賃及び料金については,この限りではありません。
 (1)略
 (2)大人に同伴されて乗船する1歳以上の小学校に就学していない小児(団体として乗船する者及び大人1人につき1人を超えて同伴されて乗船する者を除く。)
4,5 略


イは,フェリー約款17条1項7号,5条1号の通りですから,正しいです。

(運航の中止等)
第5条 当社は,法令の規定によるほか,次の各号のいずれかに該当する場合は,予定した船便の発航の中止又は使用船舶,発着日時,航行経路若しくは発着港の変更の措置をとることがあります
 (1)気象又は海象が船舶の航行に危険を及ぼすおそれがある場合
 (2)~(8)略
(払戻し及び払戻し手数料)
第17条 当社は,次の各号のいずれかに該当する場合は,当該乗船券の発売営業所その他当社が指定する営業所において,それぞれ当該各号に定める額の運賃及び料金を払い戻します
 (1)~(6)略
 (7) 当社が第5条の規定による措置をとつた場合において,旅客が運送契約を解除し,払戻しの請求をしたとき。 券面記載金額と既使用区間に対応する運賃及び料金の額との差額
 (8),(9)略
2 略


ウについて,フェリー約款8条3項によれば,自動車航送を行う場合,当該自動車の運転者が2等客室以外の船室に乗船しようとするときは,当該船室の運賃と2等運賃との差額を支払うことになります。そうすると,本問では,自動車の運転者については,1等運賃1000円と2等運賃500円の差額である500円を支払えばよいことになります。これに,自動車の運転者でない大人1人1000円と自動車航送運賃5000円を加算するため,合計は6500円となります。したがって,ウは,誤りです。

(運賃及び料金の収受)
第8条 略
2 略
3 自動車航送を行う場合であつて,当該自動車の運転者が2等船室以外の船室に乗船しようとするときは,当社は,当該船室に対応する運賃及び料金の額と2等運賃の額との差額を申し受け,これと引き換えに補充乗船券を発行します。


エは,フェリー約款17条6号の通りですから,正しいです。

(払戻し及び払戻し手数料)
第17条 当社は,次の各号のいずれかに該当する場合は,当該乗船券の発売営業所その他当社が指定する営業所において,それぞれ当該各号に定める額の運賃及び料金を払い戻します。
 (1)~(5)略
 (6)特別急行料金又は急行料金を収受する船便(以下「急行便」という。)が,当該急行便の所定の所要時間以内の時間で当社が定める時間以上遅延して到着した場合において、当該急行便の旅客が払戻しの請求をしたとき。 収受した特別急行料金又は急行料金の額
 (7)~(9)略
2 略


3.宿泊に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
 (注1)モデル宿泊約款によるものとする。
 (注2)選択肢ウ.は,宿泊客に違約金の支払義務がある宿泊契約とする。
 (注3)選択肢エ.は,ホテルが客室の延長使用に応じたものとする。

 ア.宿泊期間が2日の宿泊客に対する申込金の限度は,基本宿泊料の1日分である。
 イ.旅館で子供用の食事と寝具の提供を受けたときの子供料金は,大人料金の30%となる。
 ウ.違約金は,基本宿泊料とサービス料の合計額に対して計算する。
 エ.ホテルの客室を2時間延長して使用したときの時間外追加料金は,室料金の3分の1である。


正解:エ(配点:4)
解説:アについて,宿泊約款3条2項よれば,宿泊期間が3日以内であるときは,その宿泊期間の基本宿泊料を限度として申込金として設定することが可能です。したがって,宿泊期間が2日の宿泊客に対する申込金の限度は,基本宿泊料の2日分となるため,アは,誤りです。

(宿泊契約の成立等)
第3条 略
2  前項の規定により宿泊契約が成立したときは,宿泊期間(3日を超えるときは3日間)の基本宿泊料を限度として当ホテル(館)が定める申込金を,当ホテル(館)が指定する日までに,お支払いいただきます。
3,4 略


イについて,宿泊約款別表第1備考2によれば,子供料金は,子供用食事と寝具を提供したときは50%とされています。したがって,イは,誤りです。

モデル宿泊約款別表第1

ウについて,釈伯約款別表第2(注)1によれば,違約料は,基本宿泊料に対して計算するものとされています。したがって,ウは,誤りです。

宿泊約款別表第二

エは,宿泊約款9条2項1号の通りですから,正しいです。

(客室の使用時間)
第9条 略
2 当ホテル(館)は,前項の規定にかかわらず,同項に定める時間外の客室の便用に応じることがあります。この場合には次に掲げる追加料金を申し受けます。
 (1)超過3時間までは,室料金の3分の1(又は室料相当額の %)
 (2),(3)略


4.旅客鉄道会社(JR)に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさ
い。
(1)大人1人,7歳の小学生1人,5歳の幼児1人が,3つの席を使用して特急列車の普通車指定席を利用する場合において,乗車に必要となる運賃及び料金に関する次の記述のうち,正しいものを選びなさい。
 (注)乗車に必要な乗車券類は,列車の乗車前に一括して購入するものとする。

 ア.乗車に必要な運賃及び料金は,「1人分の大人の運賃」「1人分の大人の指定席特急料金」「2人分の小児の指定席特急料金」である。
 イ.乗車に必要な運賃及び料金は,「1人分の大人の運賃」「1人分の大人の指定席特急料金」「1人分の小児の運賃」「1人分の小児の指定席特急料金」である。
 ウ.乗車に必要な運賃及び料金は,「1人分の大人の運賃」「1人分の大人の指定席特急料金」「1人分の小児の運賃」「2人分の小児の指定席特急料金」である。
 エ.乗車に必要な運賃及び料金は,「1人分の大人の運賃」「1人分の大人の指定席特急料金」「2人分の小児の運賃」「2人分の小児の指定席特急料金」である。


正解:エ(配点:4)
解説:大人の運賃・指定席特急料金については問題になっていないため,小児の運賃・指定席特急料金のみを検討します。
 運賃・指定席特急料金について,7歳の小学生は「小児」(旅客営業規則73条1項)ですから,小児運賃・料金(同74条1項)が必要となります。次に,5歳の幼児1人は「幼児」(同73条1項)ですから,小児以上の者が1人以上おり原則として運賃は必要ありませんが,本問では幼児が1つの指定席を1人で使用するため,例外的に「小児」とみなされ,小児運賃・料金が必要となります(同73条2項4号)。したがって,7歳の小学生,5歳の幼児いずれについても小児運賃・料金が必要ですから,「2人分の小児の運賃」と「2人分の小児の指定席特急料金」が必要です。
 よって,正解は,エです。

(旅客の区分及びその旅客運賃・料金)
第73条 旅客運賃,急行料金又は座席指定料金は,次に掲げる年齢別の旅客の区分によって,この規則の定めるところにより,その旅客運賃・料金を収受する。
 大人  12才以上の者
 小児  6才以上12才未満の者
 幼児  1才以上6才未満の者

 乳児  1才未満の者
2 前項の規定による幼児又は乳児であっても,次の各号の1に該当する場合は,これを小児とみなし,旅客運賃・料金を収受する
 (1)~(3)略
 (4)幼児又は乳児が,指定を行う座席又は寝台を幼児又は乳児だけで使用して旅行するとき
 (5)略
3~5 略
(小児の旅客運賃・料金)
第74条 小児の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金は,次条に規定する場合を除いて,大人の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金をそれぞれ折半し,10円未満のは数を切り捨てて10円単位とした額(以下この方法を「は数整理」という。)とする。
2,3 略


(2)乗継割引に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 (注1)いずれも最初の列車の乗車日当日に乗り継ぐものとし,途中下車はしないものとする。
 (注2)乗車に必要な乗車券類は,いずれも最初の列車の乗車前に全て同時に購入するものとする。
 (注3)記載の金額は,記載の利用座席における大人の特急料金の額を示し,通常期・閑散期・繁忙期の区分がある場合は,通常期のものとする。

平成30年3-4-⑵


正解:イ(配点:4) ※現在「スーパービュー踊り子」号は廃止され,新たに「サフィール踊り子」号が運行されていますが,同列車は乗継割引の対象外とされています(旅客営業規則57条の2第1号イ(ロ))。
解説:乗継割引は,旅客営業規則57条の2第1号に掲げられた駅において,新幹線と急行列車とを乗り継ぐ場合(+「サンライズ瀬戸」号と四国内の急行列車とを坂出駅又は高松駅で乗り継ぐ場合)に適用されます。したがって,乗継割引が適用されるかどうかは,「サンライズ瀬戸」号との乗継の場合を除いて,①新幹線と急行列車との乗継かどうか(新幹線同士や急行列車同士の乗換では適用なし),②乗継駅として掲げられた駅かどうかの順に判断していきます。また,③新幹線をはさんで特急・急行列車に乗り継ぐ場合には,高い料金の方の特急・急行列車について乗継割引が適用されます(実務上の取扱い)。
 アについては,新幹線「はやぶさ」号と特急「スーパー北斗」号との乗継ですから①は満たし,新函館北斗駅は乗継駅として掲げられた駅ですから②も満たします。もっとも,新幹線「はやぶさ」号と特急「つがる」号とを新青森駅で乗り継ぐ場合にも①及び②の要件を満たすところ,本問では特急「スーパー北斗」号の料金よりも特急「つがる」号の料金の方が高いですから,特急「つがる」号に対して乗継割引が適用されます。したがって,③を満たさないため,アは,誤りです。
 イは,特急「スーパービュー踊り子」号と新幹線「こだま」号との乗継ですから①は満たし,熱海駅は乗継駅に含まれていますから②も満たします。品川駅からの特急「ひたち」号への乗継は,品川駅が乗継駅に含まれていないため,乗継割引の対象外です。したがって,③の要件は問題とならないため,イは,正しいです。
 ウについては,新幹線「のぞみ」号と特急「かもめ」号との乗継ですから①を満たします。しかし,博多駅は,乗継駅に含まれていませんので②を満たしません。したがって,ウは,誤りです。
 エについては,新幹線「あさま」号と新幹線「やまびこ」号との乗継で,新幹線同士の乗継となっていますから,①を満たしません。したがって,エは,誤りです。

(乗継急行券の発売)
第57条の2 旅客が,急行列車相互間に乗継ぎをする場合で,次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は,第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし,設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については,割引の取扱いをしない。
 (1)次に掲げる急行列車相互間について,それぞれに定める乗継駅において直接乗継ぎをする場合(同一の急行列車を先乗列車及び後乗列車として直接乗継ぎをする場合を含む。)

旅客営業規則57条の2第1号
 (2),(3)略

(3)次の行程で旅客が乗車する場合について,各設問に該当する答を,それぞれの選択肢の中から1つ選びなさい。
 (注1)松本駅では,最初の列車の乗車日当日に乗り継ぐものとする。
 (注2)乗車に必要な乗車券は,乗車日当日の乗車前に,途中下車しないものとして,購入するものとする。

平成30年3-4-⑶

① 大人1人が乗車するとき,片道普通旅客運賃の計算に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.運賃は,「35.1キロ」を使用した額と,「62.7キロ」を使用した額を合計した額となる。
 イ.運賃は,「38.6キロ」を使用した額と,「62.7キロ」を使用した額を合計した額となる。
 ウ.運賃は,「35.1キロ+62.7キロ=97.8キロ」の計算による額となる。
 エ.運賃は,「38.6キロ+62.7キロ=101.3キロ」の計算による額となる。


正解:エ(配点:4)
解説:旅客運賃は,営業キロによって計算するのが原則です(旅客営業規則14条)。もっとも,本問のように,幹線と地方交通線とを連続して乗車する場合には,地方交通線については営業キロを賃率比に応じて換算したものを,幹線の営業キロと合算した「運賃計算キロ」によって計算します(旅客営業規則14条の2第1項)。したがって,本問では,地方交通線である大糸線についての賃率比に応じて換算したキロである38.6キロと,幹線である篠ノ井線・信越本線についての営業キロである62.7キロとを合算した101.3キロを基準に,運賃計算を行うことになります。よって,正解は,エです。
 なお,賃率比に応じて換算したキロの呼称は,JR北海道,JR東日本,JR東海,JR西日本では「賃率換算キロ」,JR四国,JR九州では「擬制キロ」とされています。

(営業キロ)
第14条 旅客運賃・料金の計算その他の旅客運送の条件をキロメートルをもって定める場合は,別に定める場合を除き,営業キロによる。
2 前条の営業キロは,旅客の乗車する発着区間に対する駅間のキロ数による。
(運賃計算キロ)
第14条の2 前条の規定によるほか,幹線と地方交通線を連続して乗車する場合(幹線と地方交通線の中間に当社と通過連絡運輸を行う鉄道・軌道・航路又は自動車線が介在する場合で,これらを通じて連続乗車するときを含む。以下同じ。)の旅客運賃を計算するときは,旅客の乗車する発着区間のうち,地方交通線の乗車区間に対する営業キロを賃率比に応じて換算したもの(以下,北海道旅客鉄道株式会社,東日本旅客鉄道株式会社,東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社にあっては「賃率換算キロ」,四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社にあっては「擬制キロ」という。)と幹線の乗車区間に対する営業キロを合算したもの(以下「運賃計算キロ」という。)による
2 略


② この行程における普通乗車券に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 ア.片道乗車券の有効期間は,2日である。
 イ.片道乗車券を使用して,松本駅で当初の予定を変更し途中下車した場合は,当該片道乗車券を使用して松本駅から先の区間を乗車することはできない。
 ウ.旅客が,信濃大町駅から長野駅間を同じ経路で往復乗車する場合において,往復乗車券を購入するときは,往路及び復路ごとの区間について,それぞれ普通旅客運賃が割引になる。
 エ.指定学校の学生又は生徒が「学生・生徒旅客運賃割引証」を提示して,普通乗車券を購入するときは,大人普通旅客運賃が2割引になる。


正解:イ(配点:4)
解説:前提として,運賃計算キロは,運賃計算のときのみに用いられるものですから,その他の用途(有効期限の計算や割引適用の基準)には用いられず,これらの場合には単純な営業キロに基づくことになります(旅客営業規則14条の2第1項)。
 アについて,片道乗車券の有効期限は,営業キロが100キロメートルまでは1日とされています。本問で,信濃大町から長野までの営業キロは97.8キロであるため,有効期限は1日です。したがって,アは,誤れりです。

(有効期間)
第154条 乗車券の有効期間は,別に定める場合の外,次の各号による。
 ⑴ 普通乗車券
  イ 片道乗車券
    営業キロが100キロメートルまでのときは1日,100キロメートルを超え200キロメートルまでのときは2日とし,200キロメートルを超えるものは,200キロメートルまでを増すごとに,200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする。ただし,第156条第2号に規定する大都市近郊区間内各駅相互発着の乗車券の有効期間は,1日とする。
  ロ,ハ 略
 ⑵~⑸ 略
2,3 略


 イについて,途中下車後,それまでの乗車券で旅行を再開するためには,同乗車券が営業キロ100キロメートル以上の駅間に対するものである必要があります(旅客営業規則156条1号)。本問で,信濃大町と長野の間は100キロメートル未満ですから,途中下車後の旅行再開はできません。したがって,イは,正しいです。

(途中下車)
第156条 旅客は,旅行開始後,その所持する乗車券によって,その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については,最終着駅)以外の駅に下車して出場した後,再び列車に乗り継いで旅行することができる。ただし,次の各号に定める駅を除く
 ⑴ 全区間の営業キロが片道100キロメートルまでの区間に対する普通乗車券を使用する場合は,その区間内の駅。ただし,列車の接続駅で,接続関係等の理由により,旅客が下車を希望する場合で,旅客鉄道会社が指定した駅に下車するときを除く。
 ⑵~⑸ 略


 ウについて,往復乗車券に対して往復割引が適用されるためには,片道営業キロが601キロ以上である必要があります。本問で,信濃大町と長野との間は601キロ以上もないため,往復割引は適用されません。したがって,ウは,誤りです。

(往復割引普通乗車券の発売)
第32条 旅客が,片道営業キロが600キロメートルを超える区間を往復乗車する場合は,往復の割引普通乗車券を発売する。


 エについて,学割が適用されるためには,片道営業キロが101キロ以上である必要があります。本問で,信濃大町と長野との間の営業キロは100キロに満たないため,学割は適用されません。したがって,エは,誤りです。

(学生割引普通乗車券の発売)
第28条 東日本旅客鉄道株式会社学校及び救護施設指定取扱規則(昭和62年4月東日本旅客鉄道株式会社公告第6号)第2条に規定する学校(以下「指定学校」という。)の学生又は生徒が,片道の営業キロが100キロメートルを超える区間を旅行する場合で,第29条の規定による学校学生生徒旅客運賃割引証を提出したときは,その旅客運賃割引証1枚について1人1回に限り,割引普通乗車券を発売する。


(4)通常期に次の行程で大人1人が乗車するとき,新幹線の特急料金とグリーン料金の組合せについて,資料に基づき,正しいものを選びなさい。
 (注)名古屋駅では新幹線の改札口を出ないで,最初の列車の乗車日当日に乗り継ぐものとする。

平成30年3-4-⑷


正解:ア(配点:4) ※令和元年10月1日の消費増税に伴い,グリーン車利用時の特急料金の差引額が520円から530円に変更となりました。
解説:本問では,特急料金の計算方とグリーン料金の計算方について問われています。
 まず,特急料金については,「のぞみ」号と「ひかり」号・「こだま」号とで料金が異なり,「のぞみ」号の方が高く設定されています。途中駅で「のぞみ」号と「ひかり」号・「こだま」号とをラッチ内乗継する場合には,まず,全区間について「ひかり」号・「こだま」号を利用した場合の特急料金を算出し,その上で,「のぞみ」号の利用区間のみについて,同区間の「のぞみ」号と「ひかり」号・「こだま」号との差額を支払うことになります。本問では,まず,東京から米原までの全区間について,「ひかり」号を利用した場合の特急料金を算出し,これが5060円となります。次に,「のぞみ」号を利用した区間である東京から名古屋までの区間について,「のぞみ」号の特急料金である4830円から「ひかり」号の特急料金である4620円を引いた210円を,先の5060円に加算します。したがって,本問での特急料金は,5270円となるはずです。
 もっとも,本問では,グリーン車を利用しています。グリーン車を利用する場合には,指定席特急料金から530円を差し引くことになります。グリーン料金については,「のぞみ」号と「ひかり」号・「こだま」号とで差額はないため,530円の差引も,「のぞみ」号と「ひかり」号とを区別することなく,全区間に対して行います。したがって,上記の算出額である5270円から530円を差し引くため,特急料金は4750円となります。
 次に,グリーン料金については,前述のように,列車による区別はなく,一律にグリーン料金を計算しますので,東京から米原までの通しのグリーン料金を算出します。したがって,グリーン料金は5300円です。
 以上から,正解は,アです。

(5)旅客の都合により,次の2枚のJR券を11月30日に払いもどす場合について,払いもどし手数料に関する記述のうち,正しいものを選びなさい。
 (注)このJR券の払いもどしは,JRの駅で指定券を発売している時間内に行うものとする。

平成30年3-4-⑸

 ア.「JR券A」「JR券B」の両方とも,それぞれ支払った額の3割に相当する額の払いもどし手数料が必要である。
 イ.「JR券A」は220円の払いもどし手数料,「JR券B」は3,240円に対して3割に相当する額の払いもどし手数料が必要である。
 ウ.「JR券A」は220円の払いもどし手数料,「JR券B」は7,560円に対して3割に相当する額の払いもどし手数料が必要である。
 エ.「JR券A」は220円の払いもどし手数料,「JR券B」は330円の払いもどし手数料が必要である。


正解:ウ(配点:4)
解説:本問では,乗車券(JR券A)と寝台特急券(JR券B)の払戻方について問われていますが,乗車券と寝台特急券でそれぞれ払戻手数料が異なりますので,個別に検討します。
 まず,乗車券については,使用前の払戻しにあっては,1枚につき220円を支払う必要があります(旅客営業規則271条1項)。これは,時期により変動せず,一律に適用されるものです。したがって,本問でも,JR券Aの払戻しには220円の手数料が必要となります。
 次に,寝台特急券については,寝台券+特急券という組み合わせになっていますが,この場合には寝台料金についてのみ手数料が発生します(旅客営業規則272条5項)。そして,手数料の額は,出発日の2日前までであれば340円(※令和元年10月1日の消費増税に伴い330円から変更),出発日の前日から出発時刻まででは券面額の3割となります。本問では,まず寝台券と特急券を払い戻しますが,寝台料金の7560円に対してのみ払戻手数料が発生します。そして,払戻日が出発日である12月1日の前日である11月30日ですから,寝台料金の3割が手数料となります。
 以上から,正解は,ウです。

5.航空による運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)全日本空輸による国内航空運送に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注)年令は搭乗日現在とする。
 ア.往復運賃は,路線によって利用できない期間がある。
 イ.航空会社が航空券の発行を行う際に,旅客は,氏名,年令,性別及び航空会社からの連絡に使用することが可能な電話番号その他の連絡先を申し出なければならない。
 ウ.航空券購入期限は,運賃種別及び予約日に関係なく同一である。
 エ.旅客施設使用料が設定されている空港を発着する航空券を購入するときは,旅客は,航空運賃とともに旅客施設使用料を航空会社に支払う。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,往復運賃では,東京-札幌便,東京-福岡便などで利用できない期間が設定されていました。したがって,アは,正しいです。なお,平成30年10月27日搭乗分をもって,ANAの往復運賃の設定は終了となりました。詳しくはこちら(ANA「往復運賃」)をご確認ください。

イは,航空約款10条1項の通りですから,正しいです。

(航空券の発行と効力)
第10条 会社は,会社の事業所において,別に定める適用運賃及び料金を申し受けて,電子航空券の作成又は紙片の航空券の発行,航空引換証の発行(以下「航空券の発行」といいます。)を行います。その際に旅客は氏名,年令,性別及び会社からの連絡に使用することが可能な電話番号その他の連絡先を申し出なければなりません
2~5 略


ウについて,航空券の購入期限は,搭乗日の3日前以前であれば予約日を含めて3日以内であり,搭乗日の2日前以降では搭乗便出発時刻の20分前までとなっています。したがって,ウは,座席予約日に関係なく同一であるとしている点で誤りです。詳しくは,こちら(ANA「航空券・ANAeチケットについて」)をご確認ください。

エについて,新千歳空港,仙台空港,成田空港,羽田空港,中部空港,伊丹空港,関西空港,北九州空港,福岡空港,那覇空港では旅客施設使用料を設定していますので,これらの空港を発着する便の航空券を購入の際は,航空運賃とともに,同使用料を支払う必要があります。したがって,エは,正しいです。詳しくは,こちら(ANA「国内線旅客施設使用料(PFC)のご案内」)をご確認ください。

(2)全日本空輸の国内線における小児運賃及び小児運賃が適用された航空券に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 (注1)本設問における座席予約の変更・取り消し,航空券の払い戻しは,旅客の都合によるものとし,それらの申出は,航空会社の事業所の営業時間内に行うものとする。
 (注2)航空券の払い戻しは,当該航空券の払戻期間内に行うものとする。
 (注3)この航空券は,座席の予約がされているものとする。

 ア.搭乗日に関係なく,常に同一の運賃額が適用される。
 イ.航空券の購入後,予約便の変更はできない。
 ウ.航空券を払い戻すときの払戻手数料は,1区間につき430円である。
 エ.航空券購入後,搭乗予定便の出発時刻以降に座席予約を取り消し,当該航空券を払い戻すとき,取消手数料はかからない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,小児運賃にも通常期とピーク期があり,両者で運賃が異なります。したがって,アは,誤りです。詳しくは,こちら(ANA「小児運賃」)をご確認ください。
 イについて,小児運賃適用航空券であっても,予約便の変更は可能です。したがって,イは,誤りです。上記のANA「小児運賃」のページをご確認ください。
 ウについて,小児運賃適用航空券であっても,通常の航空券と同様の払戻手数料がかかります。なお,払戻手数料は,令和元年10月1日の消費増税に伴い,430円から440円に増額されました。したがって,ウは,消費増税前であれば正しいです。詳しくは,こちら(ANA「航空券の払戻手数料・取消手数料について[国内線]」)をご確認ください。
 エについて,小児運賃適用航空券の取消手数料は,出発時刻前であれば発生しませんが,出発時刻後は運賃の約20%相当額が発生します。したがって,エは,誤りです。詳しくは,こちら(ANA「航空券の払戻手数料・取消手数料について」)をご確認ください。



●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-07-09(Thu)

<令和元年改正対応>【国内旅行業務取扱管理者試験】令和元年度第3問「国内旅行実務」

書き途中


(注)略称は次のとおり
平成26年公示 : 一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)
バス約款 : 一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款
フェリー約款 : フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款
宿泊約款 : モデル宿泊約款
航空約款 : 国内旅客運送約款(ANA)

1.貸切バスによる運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)次の行程で貸切バスを利用するときの運賃について,各設問に該当する答を,選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
 (注1)「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)」によるものとする。
 (注2)この運行に係る料金は生じないものとする。
 (注3)運賃の割引,消費税の計算は行わないものとする。

 〈行 程〉(日帰り)
 ・走行時間の合計は6時間30分
 ・実車距離の合計は165キロ
   なお,「実車距離」とは,旅客の最初の乗車から最後の降車までの間に走行する距離をいい,回送距離は含まない。
 ・回送距離の合計は191キロ

 ① この行程における時間制運賃を求めるための時間のうち,正しいものはどれか。
  ア.6時間分の時間制運賃が必要である。
  イ.7時間分の時間制運賃が必要である。
  ウ.8時間分の時間制運賃が必要である。
  エ.9時間分の時間制運賃が必要である。


正解:エ(配点:3)
解説:平成26年公示別紙2第2の2(1)①は,時間制運賃の計算を,走行時間に2時間を合算した時間に1時間あたりの運賃額を乗じた額とする旨を規定しています。ここで,平成26年公示別紙2第4(2)によれば,30分以上の端数は,1時間に切り上げる処理をしますから,本問の走行時間である6時間30分は切り上げて7時間として扱われます。そのうえで,7時間に2時間を合算することになります。したがって,本問の時間制運賃は,9時間を基準とすることになります。よって,正解はエです。

第2.運賃
1.略
2.運賃の計算方法
 運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
(1)時間制運賃
 ① 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間(以下「点呼点検時間」という。)として,1時間ずつ合計2時間と,走行時間(出庫から帰庫までの拘束時間をいい,回送時間を含む。以下同じ。)を合算した時間に1時間あたりの運賃額を乗じた額とする。
 ただし,走行時間が3時間未満の場合は,走行時間を3時間として計算した額とする。
 ②,③ 略
(2),(3)略
3.略
第4.端数処理
(1)略
(2)走行時間の端数については,30分未満は切り捨て,30分以上は1時間に切り上げる


 ② この行程におけるキロ制運賃を求めるための走行距離のうち,正しいものはどれか。
  ア.160キロ分のキロ制運賃が必要である。
  イ.170キロ分のキロ制運賃が必要である。
  ウ.350キロ分のキロ制運賃が必要である。
  エ.360キロ分のキロ制運賃が必要である。


正解:エ(配点:3)
解説:平成26年公示別紙2第2の2(2)は,キロ制運賃は走行距離に1キロあたりの運賃額を乗じた額としています。ここで,走行距離とは,出庫から帰庫までの距離をいい,回送距離を含むとされています。そうすると,本問では,実車距離165キロと回送距離191キロの合計356キロが走行距離となります。ここで,平成26年公示別紙2第4(1)によれば,10キロ未満の端数は10キロに切り上げる処理をしますから,本問の走行距離である356キロは切り上げて360キロとして扱われます。したがって,正解は,エです。

(2)貸切バスによる運送に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(注1)「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)」によるものとする。
(注2)選択肢ア.は,出庫時点から帰庫時点までの間のこととする。
(注3)選択肢イ.は,交替運転者の配置を要する場合のこととする。

 ア.2日にわたる運送で宿泊を伴う場合は,宿泊場所到着後又は宿泊場所出発前のいずれかを点呼点検時間とする。
 イ.22時以降翌朝5時までの間に点呼点検時間,走行時間(回送時間を含む。)が含まれた場合,含まれた時間に係る1時間あたりの運賃及び交替運転者配置料金の1時間あたり料金については,それぞれ2割以内の深夜早朝運行料金を適用する。
 ウ.フェリーボートを利用した場合の航送にかかる時間(乗船してから下船するまでの時間)は,8時間を上限として計算することとする。
 エ.標準的な装備を超える特殊な設備を有する車両については,運賃の5割以内の特殊車両割増料金を適用することができる。


正解:ア(配点:4)
解説:アについて,平成26年公示別紙2第2の2(1)②は,宿泊場所到着後「及び」宿泊場所出発前の1時間ずつを点呼点検時間とする旨を規定しています。したがって,アは,宿泊場所到着後か宿泊場所出発前のいずれかでよいとしている点で誤りです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
 運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
  (1) 時間制運賃
   ① 略
   ② 2日以上にわたる運送で宿泊を伴う場合,宿泊場所到着後及び宿泊場所出発前の1時間ずつを点呼点検時間とする
   ③ 略
  (2),(3) 略
 3.略


イは,平成26年公示別紙2第3の2(1)の通りですから,正しいです。

第3.料金
 1.略
 2.料金の適用
  (1) 深夜早朝運行料金
  22時以降翌朝5時までの間に点呼点検時間,走行時間(回送時間を含む)が含まれた場合,含まれた時間に係る1時間あたりの運賃及び交替運転者配置料金の1時間あたり料金については,2割以内の割増料金を適用する
  (2),(3)


ウは,平成26年公示別紙2第2の2(1)③の通りですから,正しいです。

第2.運賃
 1.略
 2.運賃の計算方法
 運賃は,以下の計算方法により計算した額を合算する。
  (1) 時間制運賃
   ①,② 略
   ③ フェリーボートを利用した場合の航送にかかる時間(乗船してから下船するまでの時間)は8時間を上限として計算することとする
  (2),(3) 略
 3.略


エは,平成26年公示別紙2第3の2(2)①の通りですから,正しいです。

第3.料金
 1.略
 2.料金の適用
  (1) 略
  (2) 特殊車両割増料金
  次の条件を有する車両については,運賃の5割以内の割増料金を適用することができる
   ① 標準的な装備を超える特殊な設備を有する車両
   ② 略
  (3) 略


(3)「配車日時を8月30日の午前11時とし,1台あたりの運賃及び料金を100,000円で契約した貸切バス」の運送契約における違約料について,次の記述のうち,正しいものはどれか。
(注1)「一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款」によるものとする。
(注2)「運送契約の解除」及び「配車車両数の減少を伴う運送契約の内容の変更」は,契約責任者の都合によるものとする。
(注3)消費税の計算は行わないものとする。

 ア.この運送契約の貸切バスの配車車両数が1台であるとき,8月9日(配車日の21日前)に運送契約を解除したときの違約料は10,000円である。
 イ.この運送契約の貸切バスの配車車両数が1台であるとき,8月29日の午後3時に運送契約を解除したときの違約料は50,000円である。
 ウ.この運送契約による貸切バスの配車車両数が2台であるとき,8月23日(配車日の7日前)に1台の車両の減少を伴う運送契約の内容を変更したときの違約料は,減少した1台分の40,000円である。
 エ.この運送契約による貸切バスの配車車両数が3台であるとき,8月16日(配車日の14日前)に1台の車両の減少を伴う運送契約の内容を変更したときの違約料は不要である。


正解:イ(配点:4)
解説:アについて,バス約款15条1項は,配車日の14日前から違約料を申し受ける旨を規定しています。したがって,アは,配車日の21日前であるため,違約料は発生せず,誤りです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
 配車日の14日前から8日前まで……所定の運賃及び料金の20%に相当する額
 配車日の7日前から配車日時の24時間前まで……所定の運賃及び料金の30%に相当する額
 配車日時の24時間前以降……所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2~5 略


イについて,配車日時の24時間前以降ですから,バス約款15条1項に従えば,50%の違約料が発生します。そして,1台あたりの運賃・料金100,000円の50%ですから,違約料は50,000円となります。したがって,イは,正しいです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
 配車日の14日前から8日前まで……所定の運賃及び料金の20%に相当する額
 配車日の7日前から配車日時の24時間前まで……所定の運賃及び料金の30%に相当する額
 配車日時の24時間前以降……所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2~5 略


ウについて,バス約款15条2項によれば,複数台の配車車両のうち一部を減少させる場合には,配車車両数の20%以上の数の車両が減少した場合に,減少した配車車両につき違約料を申し受ける旨を規定しています。本問では,配車車両数は2台であり,そのうち1台を減少させた場合には,当初の配車車両数の50%が減少したことになるため,減少した1台について違約料が発生します。そして,この変更は,配車日の7日前にされているため,バス約款15条1項に基づき30%の違約料が発生しますから,運賃・料金100,000円の30%である30,000円が違約料となります。よって,ウは,誤りです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
配車日の14日前から8日前まで……所定の運賃及び料金の20%に相当する額
配車日の7日前から配車日時の24時間前まで……所定の運賃及び料金の30%に相当する額
配車日時の24時間前以降……所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2 当社は,契約責任者が,その都合により配車車両数の20%以上の数の車両の減少を伴う運送契約の内容の変更をするときは,その者から,減少した配車車両につき,前項の例により算出した額の違約料を申し受けます
3~5 略


エについて,バス約款15条2項は,複数台の配車車両のうち一部を減少させる場合には,配車車両数の20%以上の数の車両が減少した場合に,減少した配車車両につき違約料を申し受ける旨を規定しています。本問では,配車車両数は3台であり,そのうち1台を減少させた場合には,当初の配車車両数の33%が減少したことになるため,減少した1台について違約料が発生します。そして,この変更は,配車日の14日前にされているため,バス約款15条1項に基づき20%の違約料が発生しますから,運賃・料金100,000円20%である20,000円が違約料となります。よって,エは,誤りです。

(違約料)
第15条 当社は,契約責任者が,その都合により運送契約を解除するときは,その者から,次の区分により違約料を申し受けます。
配車日の14日前から8日前まで……所定の運賃及び料金の20%に相当する額
配車日の7日前から配車日時の24時間前まで……所定の運賃及び料金の30%に相当する額
配車日時の24時間前以降……所定の運賃及び料金の50%に相当する額
2 当社は,契約責任者が,その都合により配車車両数の20%以上の数の車両の減少を伴う運送契約の内容の変更をするときは,その者から,減少した配車車両につき,前項の例により算出した額の違約料を申し受けます
3~5 略


2.フェリーによる運送に関する次の記述のうち,誤っているものを1つ選びなさい。
(注1)「海上運送法第9条第3項の規定に基づく標準運送約款(フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款)」によるものとする。
(注2)年齢は乗船日現在とする。

 ア.2等船室の大人旅客運賃が500円,1等船室の大人旅客運賃が1,000円,自動車航送運賃が5,000円のフェリーに,自動車1台及び当該自動車の運転者1人が1等船室に乗船する場合,この乗船に係る運賃の合計額は5,500円である。
 イ.自動二輪車を運送する運賃には,運送申込人を運送する旅客運賃が含まれる。
 ウ.旅客は,約款で別に定めるものを除き,手回り品を2個に限り,船室に持ち込むことができる。ただし,手回り品の大きさ,乗船する船舶の輸送力等を勘案し,フェリー会社が支障がないと認めたときは,2個を超えて持ち込むことができる。
 エ.大人1人,4歳の小児1人の計2人が,それぞれ1人で指定制の座席を使用して乗船する場合,大人1人分と小児1人分の旅客運賃及び料金が必要である。


正解:イ(配点:4)
解説:アは,フェリー約款旅客運送の部8条3項により,5,000円+(1,000円-500円)=5,500円となるため,正しいです。

(運賃及び料金の収受)
第8条 略
2 略
3 自動車航送を行う場合であつて,当該自動車の運転者が2等船室以外の船室に乗船しようとするときは,当社は,当該船室に対応する運賃及び料金の額と2等運賃の額との差額を申し受け,これと引き換えに補充乗船券を発行します。


イについて,フェリー約款自動車航送の部8条2項には,運賃には,自動車の運転者1名の運賃が含まれている旨が規定されていますが,同2条1項によれば,ここにいう「自動車」には,二輪は含まれていません。したがって,イは,誤りです。

(定義)
第2条 この運送約款で「自動車」とは,道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車であつて,二輪のもの以外のものをいいます
2,3 略
(運賃の額等)
第8条 略
2 運賃には,自動車の運転者1名が2等船室に乗船する場合の当該運転者の運送の運賃が含まれています。


ウは,フェリー約款旅客運送の部4条1項の通りですから,正しいです。

(手回り品の持込み等)
第4条 旅客は,手回り品(第2条第4項第2号及び第3号に掲げるものを除く。以下この項において同じ。)を2個に限り,船室に持ち込むことができます。ただし,手回り品の大きさ,乗船する船舶の輸送力等を勘案し,当社が支障がないと認めたときは,2個を超えて持ち込むことができます
2,3 略


エは,フェリー約款旅客運送の部6条3項ただし書の通りですから,正しいです。

(運賃及び料金の額等)
第6条 略
2 略
3 次の各号のいずれかに該当する小児の運賃及び料金は,無料とします。ただし,指定制の座席又は寝台を1人で使用する場合の運賃及び料金については,この限りではありません
(1) 略
(2) 大人に同伴されて乗船する1歳以上の小学校に就学していない小児(団体として乗船する者及び大人1人につき1人を超えて同伴されて乗船する者を除く。)
4,5 略


3.宿泊に関する次の記述のうち,資料に基づき,誤っているものを1つ選びなさい。
(注1)モデル宿泊約款によるものとする。
(注2)消費税等諸税の計算は行わないものとする。
(注3)選択肢ア.ウ.は,サービス料の計算を行わないものとする。
(注4)選択肢イ.は,宿泊契約が成立したとき,宿泊施設が指定期日までの申込金の支払いを宿泊客に求めるものとする。
(注5)選択肢ウ.は,宿泊施設が客室の延長使用に応じたものとする。
(注6)選択肢エ.は,宿泊客に違約金の支払義務がある宿泊契約とする。

〈資料〉
 この設問における宿泊施設は,以下のとおりに定めている。
 ・旅館の場合
  基本宿泊料:大人1人あたり1泊2食付10,000円
 ・ホテルの場合
  基本宿泊料:1室あたり10,000円
  サービス料:10%
  チェックアウト:午前10時

 ア.この旅館で5歳の幼児が,子供用食事と寝具の提供を受けたときの子供料金は,5,000円である。
 イ.この旅館に大人1人が4泊するとき,この旅館は申込金を30,000円とすることができる。
 ウ.このホテルの客室を午後5時まで延長して使用したときの時間外追加料金は10,000円である。
 エ.このホテルの違約金は,基本宿泊料とサービス料を合算した11,000円に対して計算する。


正解:エ(配点:4)
解説:アは,宿泊約款別表第1備考2の通りですから,正しいです。

モデル宿泊約款別表第1

イは,宿泊約款3条2項の通りですから,正しいです。

(宿泊契約の成立等)
第3条 略
2 前項の規定により宿泊契約が成立したときは,宿泊期間(3日を超えるときは3日間の基本宿泊料を限度として当ホテル(館)が定める申込金を,当ホテル(館)が指定する日までに,お支払いいただきます。
3,4 略


ウは,宿泊約款9条2項3号の通りですから,正しいです。

(客室の使用時間)
第9条 略
2 当ホテル(館)は,前項の規定にかかわらず,同項に定める時間外の客室の便用に応じることがあります。この場合には次に掲げる追加料金を申し受けます。
 (1),(2) 略
 (3) 超過6時間以上は,室料金の全額


4.旅客鉄道会社(JR)に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)乗継割引に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
 (注1)乗車に必要な乗車券類は,いずれも最初の列車の乗車前に全て同時に購入するものとする。
 (注2)それぞれの列車の乗車区間内において途中下車はしないものとする。
 (注3)選択肢エ.の金額は,記載の座席を利用する場合における大人の所定料金の合計額である。

令和元年3-4-⑴


正解:ア(配点:4)
解説:アは,旅客営業規則57条の2第1号ロの通りですから,正しいです。
 イについて,旅客営業規則57条の2第1号イによれば,山陽新幹線の乗継割引が適用される乗継駅は新神戸から新下関の間です。したがって,乗継駅が博多駅の場合でも乗継割引が適用されるとするイは誤りです。
 ウについて,旅客営業規則57条の2によれば,乗継割引が適用されるのは「急行列車相互間に乗継ぎをする場合」であるところ,「急行列車」とは「特別急行列車及び普通急行列車」をいいますから(旅客営業規則3条4号),快速は「急行列車」に含まれません。したがって,ウは,誤りです。
 エについて,乗継割引は,サンライズ瀬戸を利用する場合を除いて,新幹線とその他の各線区の急行列車とを乗り継ぐ場合にのみ適用があります。したがって,在来線の急行列車同士の乗継ぎには,乗継割引は適用されないため,エは誤りです。

(乗継急行券の発売)
第57条の2 旅客が,急行列車相互間に乗継ぎをする場合で,次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は,第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし,設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については,割引の取扱いをしない。
 (1)次に掲げる急行列車相互間について,それぞれに定める乗継駅において直接乗継ぎをする場合(同一の急行列車を先乗列車及び後乗列車として直接乗継ぎをする場合を含む。)

旅客営業規則57条の2第1号
 (2),(3) 略

(2)新幹線回数券に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 ア.回数券に記載された区間であれば,どちらの方向からであっても乗車することができるが,いったん使用を開始した後,当該券片を使用して逆方向に乗車することはできない。
 イ.有効な回数券であっても利用できない期間がある。
 ウ.使用開始後,旅客の都合により不要となった一部の未使用券片は,有効期間内であれば所定の払いもどし手数料を支払うことにより,当該未使用券片の枚数分に相当する額が払いもどしされる。
 エ.途中下車した場合は,乗車しなかった区間は無効となり,当該券片を使用して再度乗車することはできない。


正解:ウ(配点:4)
解説:新幹線回数券は「お得なきっぷ」に属するきっぷであり,これに適用されるルールの順位は,①きっぷ毎に決められたルール,②「お得なきっぷ」のルール,③旅客営業規則等の共通ルールとなります。
 アは,新幹線回数券の利用条件の通りですから,正しいです。
 イについては,新幹線回数券の利用条件によれば,4月27日~5月6日,8月10日~同月19日,12月28日~翌年1月6日は利用不可となるため,正しいです。
 ウについて,新幹線回数券の「払い戻し」規定によれば,全券片未使用で有効期間内に限り,発売箇所で払い戻すこととされています。したがって,ウは,一部使用済みの未使用券片でも払戻しができるとしている点で誤りです。
 エは,新幹線回数券の利用条件の通りですから,正しいです。

【利用条件】
● ご利用期間:通年
 ※ ただし,4月27日~5月6日,8月10日~19日,12月28日~翌年1月6日はご利用になれません
● 発売期間:通年
 ※ 当日有効開始分のみ発売します。
● 有効期間:3箇月
 ※ ただし,上記のご利用になれない期間にかかる場合は,ご利用になれない期間にかかった日数分有効期間を延長します。
● 新幹線「のぞみ」「みずほ」「ひかり」「さくら」「こだま」号の普通車自由席にご乗車になれます。
● 回数券6枚と表紙券1枚で1セットのきっぷで,回数券1枚ずつご使用になれます。
● 途中下車はできません。途中駅で下車された場合は,お乗りにならなかった区間は無効となり,再度ご乗車になることができません
● 乗車変更のお取扱いはいたしません。きっぷの区間外に乗り越しの場合は,その乗車区間に必要な運賃・料金を別途お支払いいただきます。
● ご乗車後,車内において空席があり,運輸上支障がないと認められる場合は,自由席と指定席との差額をお支払いいただき,普通車指定席への変更ができます。
● 他の割引との併用はできません。
● 乗継割引の適用はいたしません。
● 1枚のきっぷでこども2名のご利用ができます。
● 設定区間のどちらの方向からでもご利用になれます。ただし,使用開始時をもって乗車方向が確定いたします
【払い戻し】
● 下表により,全券片未使用(表紙券を含む)で有効期間内に限り,発売箇所で払い戻しいたします。

新幹線回数券払戻し

(3)次の経路による行程で大人1人が乗車するとき,新幹線の特急料金の額について,資料に基づき,正しいものを選びなさい。
 (注1)11月11日の名古屋駅では,新幹線の改札口を出ないで「のぞみ」に乗り継ぐものとする。
 (注2)この行程の乗車に必要な乗車券及びこれらの新幹線の乗車に必要な特急券は,最初の新幹線の乗車前に全て同時に購入するものとする。

令和元年3-4-⑶

 ア.3,000円-520円=2,480円……①
   5,030円-200円=4,830円……②
   2,250円-520円=1,730円……③
   ①+②+③=9,040円
 イ.5,060円+(5,030円-4,610円)-200円=5,280円……①
   2,250円-520円=1,730円……②
   ①+②=7,010円
 ウ.5,060円-200円=4,860円……①
   2,250円-520円-200円=1,530円……②
   ①+②=6,390円
 エ.5,390円+(5,030円-4,610円)-200円=5,610円


正解:イ(配点:4)
解説:料金計算のルールとして,①ラッチ外乗継となる場合には,通しの料金計算は行わず,各区間ごとに別個の料金計算を行うことになります。一方で,②ラッチ内乗継となる場合には,料金計算を乗継駅で分断せず,全区間通しの料金計算を行います。そして,③特急料金の異なる列車間でラッチ内乗継を行う場合,全区間について低い額の方の特急料金に,高い額の方の特急料金が必要となる区間についてその区間の高い額の方の特急料金と低い額の方の特急料金の差額を加えた額が,特急料金の総額となります。また,④自由席利用列車と指定席利用列車とをラッチ内乗継する場合には,全区間の普通車指定席の特急料金が必要となります。
 本問では,①岡山駅でホテル宿泊のためラッチ外へ出ているため,浜松-岡山と岡山-新尾道は別個に料金計算を行います。そうすると,岡山-新尾道については,乗継がないため,「こだま」単体の岡山-新尾道の料金を算出することになるため,資料の表から2250円であることがわかります。もっとも,資料の表に記載の料金は,「普通車指定席」を利用した場合の料金であるところ,本問では「こだま」の「普通車自由席」を利用しているため,指定席券分の額520円を引く必要があります。したがって,岡山-新尾道間の特急料金は,2250-520=1730円となります。
 次に,浜松-岡山については,名古屋でラッチ内乗換を行っているため,上記②のルールが適用され,浜松-岡山について通しで料金計算を行います。ここで,浜松-名古屋については普通車自由席を利用していますが,上記④のルールから,浜松-岡山の全区間について普通車指定席の特急料金が必要となります。そして,東海道・山陽新幹線では,「のぞみ」の特急料金と「ひかり」・「こだま」の特急料金が異なり,「のぞみ」の方が料金が高くなっています。そこで,上記③のルールにより,浜松-岡山の全区間について,低い額の方の特急料金である「ひかり」・「こだま」の特急料金を適用して,5060円が必要となります。そのうえで,名古屋-岡山については,高い額の方の特急料金である「のぞみ」を利用しているため,名古屋-岡山の「のぞみ」の料金5030円と「ひかり」・「こだま」の料金4610円との差額420円を上記5060円に加算することになります。
 最後に,資料の表は通常期の指定席特急料金が記載されているところ,本問は閑散期ですので,200円引きとなります。したがって,5060円と420円を加算した額から200円を引いた額5280円が浜松-岡山の特急料金となります。
 以上から,浜松-岡山の5280円と岡山-新尾道の1730円の合計である7010円が総額の特急料金となります。

(4)旅客の都合により,次の2枚のJR券を3月16日に払いもどす場合について,払いもどし手数料に関する記述として,正しいものを選びなさい。
(注)このJR券の払いもどしは,JRの駅で払いもどしが可能な時間内に行うものとする。

令和元年3-4-⑷

 ア.JR券Aは220円の払いもどし手数料,JR券Bは1,490円に対して3割に相当する額の払いもどし手数料が必要である。
 イ.JR券Aは220円の払いもどし手数料,JR券Bは330円の払いもどし手数料が必要である。
 ウ.JR券Aの払いもどし手数料は不要,JR券Bは1,490円に対して3割に相当する額の払いもどし手数料が必要である。
 エ.JR券Aの払いもどし手数料は不要,JR券Bは330円の払いもどし手数料が必要である。


正解:ア(配点:4)
解説:JR券Aは「普通乗車券」,JR券Bは「指定席特急券」です。普通乗車券については,旅客営業規則271条1項により,未使用の場合には1枚につき220円の手数料で払戻しを行うことができます。一方で,指定席特急券については,旅客営業規則273条1項1号により,出発日の2日前までに請求した場合には340円の手数料で,出発日の前日から出発時刻までに請求した場合には券面額の30%の手数料で払戻しを行うことができます。したがって,本問では,JR券Aについては一律に220円の手数料,JR券Bについては出発日の前日であることから券面額1490円の30%の手数料がそれぞれ必要となります。よって,正解は,アです。

(旅行開始前の旅客運賃の払いもどし)
第271条 旅客は,旅行開始前に,普通乗車券が不要となった場合は,その乗車券の券片が入鋏前で,かつ,有効期間内(前売の乗車券については,有効期間の開始日前を含む。)であるときに限って,これを駅に差し出して既に支払った旅客運賃の払いもどしを請求することができる。この場合,旅客は,手数料として,乗車券1枚につき220円を支払うものとする
2~4 略
(指定券に対する料金の払いもどし)
第273条 旅客は,指定券(未指定特急券及び団体旅客又は貸切旅客に発売した指定券を除く。)が不要となった場合は,その指定を受けた列車(2個以上の列車について指定を受けている場合は,先に乗車することが予定されていた列車)がその乗車駅を出発する時刻までにこれを駅に差し出したときに限って,次の各号に定める額(10円未満のは数は切り捨てる。)を手数料として支払い,当該指定券に対する急行料金,特別車両料金,寝台料金,コンパートメント料金又は座席指定料金の払いもどしを請求することができる。この場合,変更前の指定券に表示された列車の出発する日の前日又は当日に乗車券類変更の取扱いをしたものにあっては,変更前の指定券について,変更の取扱いをした時刻を払いもどしの請求をした時刻とみなして手数料を支払うものとする。
 (1)立席特急券又は特定特急券(乗車日及び乗車列車を指定して発売したものに限る。以下この条において同じ。)以外の指定券(新幹線と新幹線以外の線区を直通して運転する特別急行列車に乗車する旅客に対して1枚で発売した特別急行券であって,全区間又は一部区間について乗車列車を指定しているものを含む。)
  イ 出発する日の2日前までに請求した場合は,340円(第57条第1項第1号イの(イ)ただし書及び第58条第1項第1号イただし書の規定により設備定員と同一の人員に対して1葉で発売した指定券にあっては,1葉につき340円)。
  ロ 出発する時刻までに請求した場合は,すでに支払った当該料金の3割に相当する額(第57条第1項第1号イの(イ)ただし書及び第58条第1項第1号イただし書の規定により設備定員と同一の人員に対して1葉で発売した指定券にあっては,料金合計額(特別車両の個室にあっては特別車両料金合計額)の3割に相当する額とし,新幹線と新幹線以外の線区を直通して運転する特別急行列車に対して1枚で発売した特別急行券にあっては,新幹線区間に対する特別急行料金と在来線区間に対する特別急行料金とを合算した額の3割に相当する額とする。)。ただし,340円に満たない場合は,340円とする。
 (2)略
3~8 略


令和元年10月1日の消費増税に伴い,指定席券類(指定席券,指定席特急券,指定席グリーン券,寝台券)の出発日の2日前までの払戻手数料及び出発日前日から出発時刻までの払戻手数料の最低額が,330円から340円に変更されています。詳細は,こちら(JR東日本「2019年10月1日、消費税率引上げに伴う運賃・料金改定について」)をご確認ください。

(5)次の経路による行程で乗車する旅客に関する記述について,資料に基づき,誤っているものを選びなさい。
(注1)この行程の乗車に必要な乗車券は,最初の乗車日に,乗車する新幹線の特急券と一括して購入するものとする。
(注2)途中下車はしないものとする。
(注3)選択肢エ.の払いもどしは,JRの駅で払いもどしが可能な営業時間内に行うものとする。

令和元年3-4-⑸

 ア.大人1人が,この区間を往路6月1日,復路6月11日として,乗車券を購入する場合,運賃の合計額は19,220円となる。
 イ.JRから指定を受けた大学の学生1人が,この区間を往路6月1日,復路6月5日として,大学が発行する「学校学生生徒旅客運賃割引証」をJR窓口に提示して乗車券を購入する場合,運賃の合計額は13,820円となる。
 ウ.小児1人が,この区間を往路6月1日,復路6月3日として乗車券を購入する場合,運賃の合計額は9,600円となる。
 エ.この区間の往路の片道普通乗車券を所持する旅客が,旅客の都合により当初の予定を変更し,富山駅で旅行を中止した場合,その当日に当該乗車券の未使用区間の運賃について,払いもどしの請求をしても,払いもどしされる額はない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,郡山-金沢の営業キロは616.6キロであり,同距離に対する大人片道普通運賃は9610円ですから,これを往復する場合には,その2倍の19220円が必要となります。なお,片道営業キロが601キロ以上であることから,往復割引の適用があるようにも思えますが,旅客営業規則154条1項1号イ,ロによれば,片道営業キロ616.6キロに対する往復乗車券の有効期間は10日間であり,往路の6月1日に使用を開始した場合には,6月10日までに復路を使用しなければなりません。したがって,復路を6月11日とする本問は,往復乗車券を発券することができず,往復割引の適用がないため,単純に片道営業キロに対する運賃を2倍することになります。よって,アは,正しいです。

(有効期間)
第154条 乗車券の有効期間は,別に定める場合の外,次の各号による。
 (1)普通乗車券
  イ 片道乗車券
    営業キロが100キロメートルまでのときは1日,100キロメートルを超え200キロメートルまでのときは2日とし,200キロメートルを超えるものは,200キロメートルまでを増すごとに,200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする。ただし,第156条第2号に規定する大都市近郊区間内各駅相互発着の乗車券の有効期間は,1日とする。
  ロ 往復乗車券
    片道乗車券の有効期間の2倍とする。ただし,第26条第2号ただし書に規定する場合は,往路及び復路の区間ごとに片道乗車券の計算方法によって計算した有効期間を合計した期間とする。
  ハ 略
 (2)~(5)略
2,3 略


イについて,アと異なり,復路が6月5日の場合には,往復割引の適用があります。そこで,イでは,往復割引と学割の2つが適用されるように思われます。ここで,旅客営業規則76条1項によると,同一の乗車券類について,2つ以上の割引を重複して適用することは原則として認めない旨を規定しています。もっとも,同条2項は,往復割引と学割の重複適用に限っては,これを認める旨を規定しています。したがって,イでも,両者の適用を行います。このときの計算方法は,同条2項によれば,①まず往復割引を適用し(1割引き),②往復割引を適用した運賃について学割を適用する(1割引きした額を2割引き)ことになっています(つまり3割引きを一気に行うわけではありません。)。そうすると,①9610×0.9=8649円となり,10円未満は切り捨て,8640円とします。次に②8640×0.8=6912円となり,同様に10円未満は切り捨て,6910円とします。これが片道分の割引後の運賃になりますから,往復分はこれを2倍して,13820円となります。したがって,イは,正しいです。

(割引の旅客運賃・料金)
第74条の2 割引の旅客運賃・料金は,別に定める場合を除き,大人の無割引の旅客運賃・料金又は小児の無割引の旅客運賃・料金から割引額を差し引いて,は数整理した額とする
2 往復乗車又は連続乗車する場合の割引の普通旅客運賃は,第90条の規定に準じ,各区間ごとに割引額を差し引いては数整理した額(割引の適用がない区間については,無割引の片道普通旅客運賃)を合計した額とする
3~7 略
(旅客運賃・料金割引の重複適用の禁止)
第76条 旅客は,旅客運賃・料金について2以上の割引条件に該当する場合であっても,同一の乗車券類について,重複して旅客運賃・料金の割引を請求することができない。
2 前項の規定にかかわらず,学生割引普通乗車券を購入する旅客は,第94条に規定する往復割引の普通旅客運賃に対して,第92条に規定する学生割引の適用を請求することができる


ウについても,復路が使用開始日の10日以内であるため,往復割引が適用されます。そこで,往復割引を適用する運賃の額ですが,旅客営業規則74条1項によると,小児運賃は大人運賃の半額(10円未満は切捨て)となりますから,片道運賃は,9610×0.5=4805円となり,10円未満は切り捨てて4800円となります。したがって,往復割引後の片道運賃は,4800×0.9=4320円となります。したがって,往復の運賃は,8640円となります。なお,小児運賃の半額適用と往復割引の適用が,旅客営業規則76条1項の重複適用の禁止にあたるようにも思われますが,小児運賃の半額は同項にいう「割引条件」ではなく,運賃そのものですから,同項の問題は生じません(小児運賃に割引が適用されることは,旅客営業規則74条の2第1項の規定ぶりからも明らかです。)。よって,ウは,誤りです。

(小児の旅客運賃・料金)
第74条 小児の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金は,次条に規定する場合を除いて,大人の片道普通旅客運賃,定期旅客運賃,急行料金又は座席指定料金をそれぞれ折半し,10円未満のは数を切り捨てて10円単位とした額(以下この方法を「は数整理」という。)とする。
2,3 略
(旅客運賃・料金割引の重複適用の禁止)
第76条 旅客は,旅客運賃・料金について2以上の割引条件に該当する場合であっても,同一の乗車券類について,重複して旅客運賃・料金の割引を請求することができない。
2 略


エについて,旅客営業規則274条1項によると,旅行開始後の旅客運賃の払戻しは,乗車しない区間の営業キロが100キロを超える時に限り行うことができる旨を規定しています。したがって,エは,乗車しない区間の営業キロが58.6キロしか残っていないため,同項の要件を満たさず,払戻しを請求することができませんから,正しいです。

(旅行開始後又は使用開始後の旅客運賃の払いもどし)
第274条 旅客は,普通乗車券を使用して旅行を開始した後,旅行を中止した場合は,その乗車券が,有効期間内であって,かつ,その乗車しない区間の営業キロが,100キロメートルを超えるとき(乗車変更の取扱いをしたため100キロメートルを超える場合を除く。)に限って,これをその旅行を中止した駅に差し出し,既に支払った旅客運賃から既に乗車した区間の普通旅客運賃(当該乗車券が往復割引普通乗車券以外の割引乗車券で,旅行を中止しても既に乗車した区間だけでその割引条件を満たすときは,割引普通旅客運賃)を差し引いた残額の払いもどしを請求することができる。この場合,旅客は,手数料として,乗車券1枚につき220円を支払うものとする。
2,3 略


5.航空による運送に関する以下の各設問について,それぞれ選択肢の中から答を1つ選びなさい。
(1)全日本空輸の国内線において,ANA FLEX運賃及び小児運賃を適用し,大人2人,満12歳の小学生1人,満5歳の小児1人,座席を使用しない満2歳の幼児1人の計5人の家族が航空機を利用するとき,必要となるANA FLEX運賃と小児運賃の組合せのうち,正しいものはどれか。
(注)年齢は搭乗日現在とする。

 ア.ANA FLEX運賃2人分と小児運賃2人分が必要である。
 イ.ANA FLEX運賃3人分と小児運賃1人分が必要である。
 ウ.ANA FLEX運賃2人分と小児運賃3人分が必要である。
 エ.ANA FLEX運賃3人分と小児運賃2人分が必要である。


正解:イ(配点:4)
解説:国内線の運賃は,大人(満12歳以上),小児(満3歳から満12歳未満),幼児(満生後8日~満3歳未満)に区分されます。大人には大人運賃,小児には大人運賃の50%相当額の小児運賃,幼児は大人に同伴され座席を使用しない場合には同伴者1人につき1人が無料の扱いになります。
 本問では,大人2人については,大人運賃が各々適用されます。満12歳の小学生1人については,小児ではなく大人として扱われますので,大人運賃が適用されます。満5歳の小児については,小児運賃が適用されます。満2歳の幼児については,座席を利用しないこととされているため,無償となります。したがって,大人3人分についてはANA FLEX運賃が必要となり,小児1人分については小児運賃が必要となります。よって,正解は,イです。

※全日空は普通運賃の設定がなく,ANA FLEXとなります。ANA FLEXとは,空席予測数に連動して,タイプA~Dで運賃額が変動する運賃で,搭乗日によって運賃が異なります。詳しくはこちら(ANA「ANA FLEX」)をご確認ください。

(2)全日本空輸による国内航空運送に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
 (注1)本設問における座席予約の変更・取り消し,航空券の払い戻しは,旅客の都合によるものとし,それらの申出は,航空会社の事業所の営業時間内に行うものとする。
 (注2)航空券の払い戻しは,当該航空券の払戻期間内に行うものとする。

 ア.払戻手数料は,別段の定めのある場合を除き,大人・小児に関係なく,航空券1枚(1区間)につき430円である。
 イ.予約変更ができない運賃における航空券の取消手数料は,運賃の種類ごとに定めている。
 ウ.予約変更ができる運賃における航空券の購入期限は,座席予約日に関係なく予約便出発時刻の20分前までである。
 エ.予約変更ができる運賃の航空券であっても,予約便の出発前までに変更・取り消しを行わなかった場合は,当該航空券を使用して他の便に振り替えることはできない。


正解:ウ(配点:4)
解説:アについて,令和元年10月1日の消費増税に伴い,航空券の払戻手数料が1枚(1区間)につき440円となりました(航空約款22条1項)。したがって,アは,改正前であれば正しいです。

(旅客の都合による払戻と払戻手数料及び取消手数料)
第22条 航空券又は航空引換証を旅客の都合により払い戻す場合には,旅行区間の全部について払い戻すときには収受運賃及び料金全額を,一部について払い戻すときは収受運賃及び料金より搭乗区間運賃及び料金を差し引いた差額を払い戻します。なお,この場合,会社規則に別段の定めのある場合を除き,航空券又は航空引換証の1旅行区間につき440円の払戻手数料を申し受けます
2,3 略


イは,航空約款22条2項の通りですから,正しいです。

(旅客の都合による払戻と払戻手数料及び取消手数料)
第22条 略
2 前項の定めに従い座席の予約がなされている航空券又は航空引換証を払い戻す場合には,旅客運賃及び料金の種類ごとに会社が別に定める運賃料金表により取消手数料を申し受けます
3 略


ウについて,航空券の購入期限は,搭乗日の3日前以前であれば予約日を含めて3日以内であり,搭乗日の2日前以降では搭乗便出発時刻の20分前までとなっています。したがって,ウは,座席予約日に関係なく出発20分前までとしている点で誤りです。詳しくは,こちら(ANA「航空券・ANAeチケットについて」)をご確認ください。

エは,予約の変更・取消しは,当該便の出発前までに行う必要があり,出発後にあっては他便への振替えはできず,払戻手続ができるのみとなります。詳細は,こちら(ANA「変更・払い戻し(国内線)」)をご確認ください。

6.以下の各設問について,該当する答を,選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
(1)火口湖である御釜や冬季に見られる樹氷で知られ,山麓にある温泉やスキー場で人気がある山形県と宮城県にまたがる山(連峰)は,次のうちどれか。

 ア.蔵王山 イ.白根山 ウ.八甲田山 エ.八ヶ岳


正解:ア(配点:2)
解説:火口湖である「御釜」(「おかま」と読みます。)があることで知られるのは蔵王山です。御釜の紹介動画は下の動画リンクを参照してください。
 イの白根山は,群馬県の草津にある山で,山頂には同じく火口湖である「湯釜」(リンク先参照)があります。
 ウの八甲田山(リンク先参照)は,青森県青森市にある山で,北八甲田と南八甲田であわせて16の山々から成っています。
 エの八ヶ岳(リンク先参照)は,山梨県と長野県にまたがる山で,赤岳を最高峰とします。
 アからエのいずれの山も日本百名山に数えられています。



(2)美しいリアス海岸の風景で知られる福江島や中通島などの島々から成り,禁教時代に信仰を密かに継続した”潜伏キリシタン”の伝統を物語る集落や教会が世界文化遺産にも登録されている諸島・列島は,次のうちどれか。

 ア.天草諸島  イ.五島列島  ウ.トカラ列島  エ.八重山列島


正解:イ(配点:2)
解説:福江島や中通島などの島々から成るのはイの五島列島で,長崎県にある島々です。「潜伏キリシタン」とは,キリスト教の信仰が禁じられていた時期(17世紀初頭から19世紀後半)の日本において,表向きは仏教徒などを装い,密かにキリスト教の信仰を続けていた人々のことをいいます。キリシタン文化に関する詳細は,こちら(五島市「世界遺産の島五島」)をご確認ください。
 アの天草諸島(リンク先参照)は,熊本県と鹿児島県にまたがる島々で,同様にキリスト教文化が持ち込まれており,「津崎教会」は潜伏キリシタンの世界遺産に含まれています。
 ウのトカラ列島(リンク先参照)は,鹿児島県の十島村にある島々を指します。
 エの八重山列島は,沖縄県の島々で,石垣島,西表島などが含まれます。

(3)梓川に架かる河童橋から望む穂高連峰や大正池などで知られ,中部山岳国立公園の一部として国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)にも指定されている景勝地は,次のうちどれか。

 ア.秋吉台  イ.上高地  ウ.霧降高原  エ.志賀高原


正解:イ(配点:2)
解説:梓川は,長野県松本市を流れる信濃川水系の犀川(「さいがわ」と読みます。)の上流域の別称です。そこに架かる「河童橋」(リンク先参照)は,芥川龍之介の小説『河童』の中でも描写されています。穂高連峰とともに上高地のシンボルとなっています。
 アの秋吉台(リンク先参照)は,日本最大級のカルスト台地で,山口県にある特別天然記念物です。
 ウの霧降高原(リンク先参照)は,栃木県の日光にある高原地帯で,6~7月頃に約26万株のニッコウスゲが一面に咲き誇ります。
 エの志賀高原(リンク先参照)は,長野県にある高原で,黒姫伝説の舞台である大沼池などを抱えています。

(4)縁結びや神話の舞台としても知られ,主祭神として大国主大神を祀り,”平成の大遷宮”が2008年から2019年にかけて行われた神社は,次のうちどれか。

 ア.熱田神宮  イ.伊勢神宮  ウ.出雲大社  エ.日吉大社


正解:ウ(配点:2)
解説:神話の舞台とされているのは出雲の国で,それは「神々をおまつりする古い神社が,今日も至る処に鎮座しているから」だと説明されています(出雲大社HP)。出雲大社は,今では広く縁結びの神として慕われています。
 アの熱田神宮(リンク先参照)は,愛知県にある神社で,三種の神器の一つ「草薙神剣」が鎮座されています。
 イの伊勢神宮(リンク先参照)は,三重県の伊勢にある神社で,国民の大御祖神である天照大御神を祀る内宮と,産業の守り神である豊受大御神を祀る外宮を始め,125の宮社から成っています。
 エの日吉大社(リンク先参照)は,滋賀県の比叡山のふもとにある神社で,平安京の魔除,災難除を祈る社としての役割を果たしていました。

(5)能登半島国定公園内にあり,万葉集にも情景が詠まれ,富山湾越しに立山連峰を望むことができる海岸は,次のうちどれか。
 ア.雨晴海岸  イ.五浦海岸  ウ.浦富海岸  エ.碁石海岸


正解:ア(配点:4)
解説:能登半島国定公園は,石川県だけでなく富山県にまでまたがっています。雨晴海岸(リンク先参照)は,富山県高岡市の北部に位置し,立山連峰を望むことができる景勝地として人気が高い場所です。
 イの五浦海岸(「いずらかいがん」と読みます。)は茨城県にある海岸で,太平洋の荒波に侵食されできた入り江が連なり,「関東の松島」の異名を持つ景勝地として有名です。
 ウの浦富海岸(「うらどめかいがん」と読みます。)は,鳥取県にある海岸で,菜種五島,千貫松島などの特徴的な景観を楽しむことができます。
 エの碁石海岸(リンク先参照)は,岩手県大船渡市にある海岸で,穴通磯や乱曝谷などの景勝があり,天候が良ければ宮城県の金華山を望むことができます。


●国内旅行業務取扱管理者試験解説集●
第1問……旅行業法及びこれに基づく命令
第2問……旅行業約款,運送約款及び宿泊約款
第3問……国内旅行実務
・ 令和元年度  第1問第2問第3問
・ 平成30年度 第1問第2問第3問
・ 平成29年度 第1問第2問第3問
・ 平成28年度 第1問第2問第3問
・ 平成27年度 第1問第2問第3問
・ 平成26年度 第1問第2問第3問
2020-05-16(Sat)

【ロー過去】中大ロー2020年度刑法

中大ロー2020年度刑法の解説です。

解説を書いたのは私ではなく,通信添削ゼミで刑法を担当していた者です。

≪問題≫

 次の【事例】を読み,下記の【設問】に答えなさい。解答用紙は,表面(30行)のみを使用すること。

【事例】
1 A(52歳:男性)は,その妻である甲(50歳)及びその長男である乙(28歳:Aと先妻との間に生まれた)と3人でアパートの一室に同居していたが,勤務先の会社が倒産し,Aが失業状態となった5年前から,深夜にひどく酩酊して帰宅すると,大声を出して暴れ,甲と乙に殴りかかって負傷させたり,壁をたたいて穴をあけたり,テレビや冷蔵庫を壊したりということを幾度となく繰り返してきた。そうしたときは,甲と乙は,暴れるAの身体を2人がかりで押さえ付け,Aが疲れて眠ってしまうまで押さえ続けるなどしてこれに対処していたが,アパートの住人たちから騒がしいと苦情を言われることがたびたびあり,アパートを追い出されかねない状況となったため,暴れるAを早く落ち着かせるため,Aの手足をロープで縛り,口にガムテープを貼ることもしばしばあった。
2 2018年8月某日の午前6時頃,Aは,相当に酩酊した状態で帰宅したが,ちょうどパート先に赴くところであった甲から,「働きもしないで朝帰りか。」などとたしなめられて激高し,ふらつく足で甲に殴りかかろうとしたので,乙がAを後ろから羽交い締めにしてこれを制止した。乙は,Aが後頭部で乙に頭突きをしようとするので,Aをそのまま床に組み伏せ,そこに甲が加わり,乙がうつ伏せのAの上半身を,甲がAの下半身を押さえ付けて動けないようにした。それでもAが手足を激しく動かして起き上がろうとするので,甲は全力で背後から腰の部分を押さえ付け,乙は,Aを早くおとなしくさせるため,頸部を強く締めるのがよいと考え,右ての親指と揃えた他の4本の指とでAの頸部を挟む形で,思い切り体重を掛け,Aが抵抗しなくなるまで全力で押さえ続けた。甲は,下半身を押さえるのに懸命であり,乙がAの頸部を押さえ付けていることは知らなかった。5分ほどしてAが動かなくなったので,甲と乙は手を離し,傍らにあったロープをAの両足首に巻き付けて縛り,また,Aの両手を後ろ手に回し両手首をあわせて縛りつけた。Aがすぐにおとなしくなったので,口にガムテープを貼ることはしなかった。
3 甲は,同日午前6時30分頃,パート先に向かうため,「後はよろしく。」と言ってアパートを出たので,そこには乙とAが残された。同日午前7時過ぎ,乙は,Aの頸部を少し強く絞めすぎたかもしれないと思って心配になり,Aの様子を見たところ,呼吸をしておらず,身体を揺さぶってもまったく反応せず,すでに死亡しているように見えた。乙は気が動転し,ひどい親のせいで自分の人生までメチャクチャにされてはたまらない,遠くに逃げて警察に逮捕されることだけは免れたい,と考え,当座の逃走資金にする目的で,Aが甲に内緒で現金を保管していた机の引き出し(乙のみはそのことに気づいていた)を開け,その中にあった現金15万円を取り出してそれを自分のポケットに押し込み,アパートから立ち去った。
4 同日の午後になって,帰宅した甲がアパート内で死亡しているAを発見し,すぐに警察に通報した。Aの死因は,乙による頸部圧迫に起因する窒息死であり,すでに同日午前6時30分頃には死亡していたものと推定された。

【設問】甲及び乙の罪責について論じなさい(特別法違反の点を除く)。

≪出題趣旨≫

 本問の設例における甲と乙の刑事責任を明らかにするに当たっては,⑴甲と乙が,暴れるAを押さえつけ,頸部を圧迫することでAを死亡させたことについて,それぞれがどのような罪責を負うか,そして,⑵乙が,Aがすでに死亡していることに気づき,生前のAが所有していた現金15万円を持ち逃げした点について乙にいかなる犯罪が成立するか,という2つの問題について検討することが必要である。
 まず,⑴について見ると,乙の頸部圧迫行為とAの死亡の結果の発生との間に法的因果関係が肯定されることから,乙は傷害致死罪(刑法205条)の構成要件に該当する行為を行っている。そこで,甲と乙との間で,傷害致死罪の共同正犯(の構成要件該当性)を認めうるかどうかが問題となる。判例・通説は,暴行の故意さえあれば傷害致死罪が成立とうるとするとともに,結果的加重犯の共同正犯についてもこれを肯定することから,暴行の故意しかなかった(すなわち,暴行の限度で乙との間に意思連絡がある)甲についても,傷害致死罪の構成要件該当性が認められることになろう。ただし,結果的加重犯については,重い結果の発生との関係で過失を要求する学説も多く,その見解(判例の「過失不要説」に対し,「過失必要説」とも呼ばれる)によれば,乙がAの頸部を強く圧迫していることをまったく認識していなかった甲には,重い結果との間に過失がなく,甲の行為については傷害罪の限度でしか共同正犯の構成要件該当性を認めることができないとする結論をとることも可能であろう。
 次に,甲・乙のAに対する行為が正当防衛(刑法36条)として違法性が阻却されうるかどうかが問題となる。Aの甲・乙に対する暴行は,急迫・不正の侵害といいうるし,乙がAを組み伏せた段階ではまだ侵害の継続性を肯定できる。しかし,酩酊したAを二人で押さえつけ,しかも頸部を思いきり圧迫することは,防衛の意思をもって行われているとしても,もはや必要最小限の反撃とはいえず,防衛行為の相当性が否定されるであろう。乙については,過剰性ある事実を認識していることから傷害致死罪が成立するが,過剰防衛(刑法36条2項)となる。これに対し,乙による頸部の圧迫のことを知らなかった甲については,護送防衛(相当性を基礎づける事実の誤信)としてせいぜい過失致死罪の罪責を負うにとどまることとなろう。
 ⑵について見ると,乙が現金を持ち逃げした時点において,すでにAは死亡していたことから,相続財産に帰属する当該の現金15万円については相続人(という他人)の所有が認められるとしても,占有侵害の要件を肯定することができず,窃盗罪(刑法235条)ではなく,占有離脱物横領罪(254条)しか成立しないのではないかが問題となる。この点につき判例は,一定の要件の下に,死後における行為であっても被害者の生前の占有を侵害しうることを認めており,この事例でもその要件が充足されると考えられるところから,乙には窃盗罪の成立が認められることになろう。その上で,親族相盗例(244条1項)の適用の可否が問題となるが,同条の適用にあたっては所有者と占有者の両方との間に所定の親族関係があることが必要とされるところ,本事例では,占有者がAであり,Aと乙との間に直系血族の関係があるとしても,所有者たる相続人(全員)と乙との間に所定の相続関係があるかどうかが明らかではない。ただ,解答に当たっては,およそ親族相盗例の適用の問題とし,それを本事例に適用する上での論点を指摘すれば,それに対し十分に高い評価が与えられることになる。



令和元年度中央大学法科大学院入試
刑法 解説篇
(※1)

第1 はじめに
  新型コロナウィルスの影響により中央大学が誇る炎の塔が閉鎖されて久しい。司法試験も延期となり,今後のスケジュールに不安を覚えている受験生も多かろうと思う。本稿は,そんな受験生のために昨年度の法職専門指導員が開講したロー入試通信対策ゼミの解説篇である。
 もとより,本稿は一司法修習生にすぎない小生の筆によるもので,絶対の解説ではない。むしろ,このような考え方もありますよね,ということを示しているだけであると御理解いただきたい。よもやそのような方はおられまいが,本稿を金科玉条にすることだけは現に慎んで欲しいのである。むしろ本稿が読者諸兄の積極的な批判に晒され,より良い解説を産み出すことの嚆矢となれたのであれば,それは筆者にとり望外の喜びというほかない。
  なお,本問を単なる刑法の問題として終わらせて欲しくないというのが,筆者のひそかな願いであったりする。これが実際の事件であったならば,Aは死亡し,甲乙は精神的に大きな打撃を受けることになる。我々が目指す法曹は,刑事裁判が終わればそれまでのように思いがちであるけれども,当事者にとって事件は一生終わらないのである。
 そこで考えて欲しいのが,どうすればこの事件を防げたか,ということである。本件は典型的なDVが発端となっているから,甲乙はAから逃れるために役所にDV被害の相談をしに行くべきであった。その相談をしにくい現状があるのであれば,その障壁を取り除かなくてはならない。AのDVの原因が失業であったなら,職探しの支援が行われるべきであるし,アルコール中毒になっていたならば,断酒会に参加することも考えられる。いや,そもそも失業しなければ普通の生活が起こらなかったというのであれば,会社が倒産しないように不況を改善すべきであったかもしれない(※2)
 フランツ・リストは,「最良の刑事政策は最良の社会政策である」という格言を残している。刑事裁判に携わることを希望するのであれば,幅広い学問に携わることが重要である(※3)。ぜひ研鑽を積んで欲しい。
 では,始めよう。

(※1)本稿で引用する文献の凡例は,以下のとおりである。
・井田良『講義刑法学・総論 第2版』(有斐閣,2018)→ 井田総論
・井田良『講義刑法学・各論』(有斐閣,2016)→ 井田各論
・小林充・植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選上 第2版』(立花書房,2013)→ 50選上〔執筆者〕
(※2)経済的苦境が犯罪を引き起こすというのは,過去の歴史が裏付けている。たとえば,現在では死刑の基準として知られている永山事件も,経済的苦境が犯罪の背景にあったのである。この点については,夏樹静子『裁判百年史ものがたり』(文藝春秋,2012)273頁以下。
(※3)この点,刑法学は学際科学であると評される(井田良『入門刑法学総論』(有斐閣,2013)16頁)。経済学(岩田規久男『経済学を学ぶ』(筑摩書房,1994)),政治哲学(サンデル〔鬼澤忍訳〕『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房,2011),歴史学(川北稔『世界システム論講義』(筑摩書房,2016)),精神医学(フロイト〔高橋義孝・下坂幸三訳〕『精神分析入門』(新潮社,1977)),古典(橋本治『これで古典がよくわかる』(筑摩書房,2001)),哲学(木田元『わたしの哲学入門』(講談社,2014),筒井康隆『誰にもわかるハイデガー』(河出書房,2018))など,多くの学問を学んで欲しい。最近,私が読んで深い示唆を受けたのは,ほぼ日刊イトイ新聞編『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』(株式会社ほぼ日,2019)である。


第2 総論
 1 題材について
   本稿がテーマとするのは,2020年度中央大学法科大学院入試問題の刑法である。中央大学法科大学院では,2019年度以来入試問題の出題趣旨を公表するようになっており,これを参考にすることが重要となる。問題文と出題趣旨は別紙として末尾に添付しておくので,適宜参照されたい。
   本論に入る前に,中央大学法科大学院入試について触れておこう。受験生の方々には釈迦に説法であろうから,読み飛ばしてもらったとしても構わない。
    まず問題となるのは,刑法では30行指定があることである。今後,どのようになるかは定かでないものの,2020年度入試まででは,刑法は配布される解答用紙の表面30行ですべてを書ききらなくてはならないこととされている。したがって,コンパクトに法的三段論法を書くことが重要になってくる。
 法的三段論法といえば,

「規範定立→事実の当てはめ→結論」

という流れを指すものであると,受験業界的には理解されている(※4)。しかし,これをフルスケールで示すと,とてもではないが圧倒的に行数が足りない。したがって,これを適切に圧縮することが必要となる。一例を示そう。
 住居等侵入罪は,簡潔に書かなければならない犯罪の代表格であるといえよう。読者諸兄は,住居等侵入罪を起案する際,「侵入」の該当性について,次のように論じているのではなかろうか。
     
「AはV宅に無断で入っているのであるから,当該行為は住居権者たるVの意思に反する立ち入りであるといえ,「侵入」に該当する。」
    
 これを抽象的に言えば,

「事実の指摘→規範による事実の抽象化→結論」

といことになる。ポイントは,従来の法的三段論法とは,規範と事実の順序が逆転していることである。意識すれば何のことはない。
 このように,コンパクトな法的三段論法は意外とできている人が多かったりする。小生が添削をしていても,すんなり出来ている人は相当数いるものだ。しかし,これが他の犯罪になると出来なかったりする。住居侵入罪は住居侵入罪,他の犯罪は他の犯罪という風に,ある意味で型に囚われてしまっているからだと思料するが,どうだろう。上記の流れも一種の型ではあるものの,より一般的な型であるから,参考にされたい(※5)
 それと,これは豆知識であるが,ボールペンで起案することだけは避けて欲しい。ただでさえギッチリ書くことになるのだから,加筆修正などできるはずもない。ボールペンで書いて真っ黒な起案を提出するくらいなら,シャープペンシル等で起案して消しゴムを使えるようにしておこう。
    次に問題となるのは,問題の難しさである。
 中央大学法科大学院は,はなはだ不思議なことに,他の法分野に比べると刑事法のスペシャリストが非常に多い。過去には,安廣文夫元東京高裁判事や中山隆夫元福岡高裁長官が在籍しておられ,現在は,髙橋直哉教授や佐伯仁志教授,そして小生が尊敬してやまない井田良教授が教鞭を振るっておられるのである。中央大学法科大学院に進学すれば間違いなく刑事法のスペシャリストになれるといっても,決して過言ではないと思う。
 そのような神々が作問をしているだけあって,なかなか骨の折れる問題が多い。特に,2019年度の問題は,30行指定も相まって凶悪な難易度となっていた。2020年度もそうである。
 しかし,骨の折れる問題といっても,決して奇をてらった問題というわけではない。判例通説の知識さえ押さえておけば十分に料理できるような「良問」である。事前の準備さえしておけば,あとはその場でコンパクトに仕上げてしまえば対応は十分に可能である。
 とはいえ,言うは易し行うは難し,といった至言もある。徹底的な訓練が必要だということにはなろうが,それは逆に言えば,徹底的な訓練さえすればどうとでもなる,ということでもあるのである。
   長々と中央大学法科大学院について書きすぎた。首を長くしている読者諸兄もおられようから,そろそろ本題に入ることにしよう。
 2 出典
   本問を見たとき,既視感を覚えるようであれば,その人は十分に学習が進んでいるものと思われる。本稿を読む必要などないから,手持ちの基本書や演習書でガンガン勉強を進めていただきたい。見覚えがないというのであれば,本稿を読んでおくことを手前味噌ながら推奨しておこう。
   本問の前半部分は,黄色本との愛称で親しまれている井田良ほか『刑法事例演習教材 第2版』(有斐閣,2014)74頁以下に収録されている「哀しき親子」が題材になっている(その元ネタは東京地判平成14年11月21日判時1823号156頁であるので,余裕があれば読んでおくとよい。)。そのため,黄色本をやっていた人にとっては,まさにラッキー問題であったといえよう。ここに,演習書をやるうま味がある。
 しかし,思わぬ落とし穴もある。30行指定である。人間,知っている問題が出ると有頂天になり,オレはこんなに知っているんだぜ,と言わんばかりに衒学的に知識を披露したがる。そうなると,30行はすぐに埋まってしまい,後半部分がスッカスカになってしまうのだ。これは非常にもったいない。しかも,衒学的であると友達も減る。心していただきたい。
   後半部分は,いわゆる死者の占有の典型的な問題である。ここも落としてはいけないポイントである。というより,中央大学法科大学院を受験するような受験生であれば,およそ知っている論点であり,ここを落とすようだと,言い方は厳しいが,不合格推定が働くようになる。入試には「疑わしきは受験生の利益に」などという原則はない。
   さて,ここまで書けばお分かりなとおり,本問は非常に典型的な問題であり,事前準備の差が合否を分けたといえるだろう。特に司法試験までの試験では,事前準備で引出しを増やしておくことが非常に重要である。本稿も,読者諸兄の引出しを増やすことに貢献させていただきたい。

(※4)法学的な意味での法的三段論法は,少し異なる。筆者は,法学的な意味での法的三段論法をマクロな意味での法的三段論法と,受験業界的な意味での法的三段論法をミクロな意味での法的三段論法と呼んで峻別しているが,本稿で触れるべきポイントではないので,割愛する。
(※5)刑事法の答案の書き方については,田中和壽子「結論から書く司法試験答案」法学セミナー2014年9月号32頁以下が大いに参考になる。


第3 哀しき親子
 1 論点と判例
   大まかな論点を先に紹介しておこう。こうすると,論点主義の誹りを免れないかもしれないが,体系的な知識さえあれば,論点主義も悪くはないだろう(そうなってしまうと,もはや論点主義ではない,との批判は甘んじて受け止めよう。)。
   まず大切なのが,相当性の議論である。相当性については,最判平成元年11月13日刑集43巻10号823頁が最重要判例であるから,丁寧に復習しておいていただきたい。重要なのは,武器対等の原則を基本に,行為者と被害者の性別,年齢,体格等を適切かつ具体的に検討していくことである(※6)
 なお,「やむを得ずにした行為」については必要性と相当性に分けられることがあるが,ここにいう必要性は,自己又は他人の法益を防衛するのにどうしても必要な行為でなければならない,ということまでは含意していない。そこまで要求するのは,緊急避難における補充性である。ここにいう必要性とは,攻撃防止のための手段として何ら役に立たない行為が行われた場合に否定される要件である(※7)。憲法論でいうところの適合性と同義である,と表現すれば理解が促されようか。
   次に問題となるのが,違法の連帯の議論である。この論点については最決平成4年6月5日刑集46巻4号245頁という重要判例があるから,しっかりと押さえておいていただきたい。もっとも,この議論は非常に難しいものであるから,あとで詳しく触れておくことにする。
 2 問題点
   中心的論点について解説する前に,添削をしていて見受けられた問題点について触れておくことにしよう。なお,本項で指摘する問題点は,小生が「そうかなるほど!」と相槌を打つようなものであるから,本項で取り上げられたことで恥じ入る必要はまったくない。
   正当防衛を論じる上で,入口の議論になるのが急迫性要件である。最近になって,急迫性の議論に激しい動きが生じていることから,本問でも急迫性の問題ではないかと考えた方がいた。問題意識としては決して悪いものではないが,ともすると衒学的答案との烙印を押されかねないので,まずは適切に議論を辿っていこう。
    従来,急迫性が否定されるのは主に積極的加害意思がある場合とされていた(※8)。積極的加害意思とは,「予期された侵害の機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思」と定義されるもので,侵害の確実な予期が前提となる(※9)。そのため,積極的加害意思を分解すると,①侵害の確実な予期と②積極的に相手に対して加害行為をする意思の存在という二つの要件が必要だ,ということになる。
 本問の場合,Aの従前の態度や酒乱具合に鑑みれば,侵害の確実な予期はあったと評価することも可能であるように思われる。しかし,甲及び乙がAを押さえつけるのに乗じて同人を痛めつけようと画策していたとの事情は存在しないのであるから,②の要件に該当する事実が存在しないということになる。積極的加害意思を肯定するのは困難であるといわざるを得ない。
    さて,積極的加害意思が否定される場合,従来であれば急迫性の議論は終わっていた。しかし,最決平成29年4月26日刑集71巻4号275頁(※10)が出た今日にあっては,積極的加害意思の検討以外にも急迫性が否定される場合があるとして,その検討をしなくてはならないのである(※11)。とはいえ,本決定で示された要素をすべて覚える必要はない。本決定は,正当防衛という難解な法律概念をどのようにして裁判員に説明するかという議論の延長に位置付けられたものであるから,ある意味で一般人の常識的な議論が反映されることになる。無論,我々は法律家を志すものであるから,単なる感想を並べ立てるのは御法度であり,起案に表現する場合には,本決定を意識した丁寧な議論が求められるであろう(※12)
 しかし,いずれにせよ本件で急迫性が否定されるような事情は存在しない。本決定によったとしても,急迫性は何の疑いもなく肯定されるべきであろう。
   次に,甲及び乙の行為を分析的に捉えて,上半身と下半身を押さえつけた行為を第1行為,頸部を挟む形で押さえつけた行為を第2行為とした答案があった。これも,分からないではない。しかし,原則は全体的評価であり,分析的評価は例外的なのである。
 そもそも,全体的評価か分析的評価が問題となるのは,いわゆる量的過剰防衛が問題となる場面である。そして,量的過剰防衛が問題となる場合というのは,あくまで短時間のうちの一連の行動が問題となっている場合なのであるから,人の行動についてその刑事責任を過不足なく捉えることが要求される刑事裁判においては,あえてその行動を分節するというのは合理的な扱いとはいえないであろう。むしろ,「短時間のうちに連続的に推移し,社会的には一つのエピソードとして存在する事態の取り扱い方」としては,全体的評価の方が合理的な選択なのである。かくして,分析的評価は特殊な事情が認められる場合の例外,全体的評価が原則的な場合であるという結論が導かれることになる(※13)。この点は,喧嘩闘争について全体的考察をした最判昭和32年1月22日刑集11巻1号31頁が参考になるところである。
 一方,分析的考察が有益な場合もある。その点が示されたのが,最決平成20年6月25日刑集62巻6号1859頁と最決平成21年2月24日刑集63巻2号1頁である。前者では,分析的考察の要件として,①第2行為につき侵害の継続性と防衛の意思の双方が否定されること,②第1行為と第2行為の態様がそれぞれ異なること,が挙げられている。したがって,これらの要件に該当するような事実が無い場合,原則として全体的考察によるべきだということになる。
 本問において,例えば,甲及び乙がAを押さえつけたことで同人が全く身動きの取れない状況になり,かつ,乙が憤激にかられていたような場合には,単なる押さえつけと頸部を指で挟みながらの押さえつけとは異なる態様であると評価して,分析的評価をするべきであると考えることも可能であろう。しかし,本問のようにAが酒に酔って暴れていたような場合に単なる押さえつけ程度でAが暴れるのをやめるといえるであろうか。むしろ,押さえつけを解除した途端に再びAが暴れだすと考えるのが自然であろうから,侵害の継続性が否定されるようなことはないだろう(※14)。したがって,本問のような場合に分析的評価をすることは考えにくい。素直に全体的評価をすべきである。
   ほかに,本問を共謀の射程論で処理した答案もあった。共謀の射程論は目新しい議論である(※15)から,使いたくなる気持ちも分からないではない。しかしながら,共謀の射程論を論じて欲しい場合には,共謀から生じた結果発生の危険が現実化しなかったということを基礎づける事実が多く散りばめられているはずであるから,そこに注意しなくてはならない(※16)。これは問題と対話するということであり,問題演習には欠かせないスキルであるから,徹底的に訓練することが必要である。
 3 構成要件該当性
   共同正犯を論じる場合,難しいのが論じ方である。共同正犯の構成要件は,実務の立場に従う限り,共謀(意思連絡+正犯意思)及び共謀に基づく実行行為であるとされている。もっとも,その前提として実行行為を筆頭とする客観的構成要件要素充足性(※17)が必要になる。そして,ここまでは共同正犯で共通に考えればよく,後述の制限従属性の立場からは,故意などの主観的要素については各個人につき別々に検討すべきだということになる。論じる順番としては,①客観的構成要件充足性,②共謀,③共謀に基づく実行行為,④故意ということになるだろう(※18)
 とはいえ,これはあくまで検察の終局処分起案の考え方である。司法修習前の試験答案においては,行為者から論じるのが通常であるから,行為者の段階で①及び④を論じて,それ以外の者は①を前提として②以下を論じることになるだろう(※19)。典型的な実行共同正犯の場合には,行為ごとに論じることになるため,端的に①以下を検討すれば足りることになるはずである。
   では,正当防衛はどこで論じるべきか。これは非常に難しい問題であるといえる。井田教授の提唱される消極的構成要件要素の理論(※20)によれば,①から④のすべての段階で意識されることになるだろう。すなわち,①では急迫性や防衛の対象となる法益,相当性といった客観的な要素が,④では積極的加害意思や防衛の意思といった主観的な要素が問題となるはずである。一方,検察の終局処分起案では,①から④の検討を終えた後にその存否について検討することになる。
では,資格試験の答案ではどうすべきか。さしあたり,実行行為者から論じることになる場合には,①及び④の検討だけで終わることが多いから,その際は④の後で検討すれば足りるだろう。一方,行為ごとに論じる場合には,検察の終局処分起案に倣い,①から④の後で検討するということになるだろうか。大切なことは,判例通説に従うのであれば,構成要件該当性を論じた後に違法性阻却事由を論じるということであり,正当防衛を論じる上でも,客観から主観という風に検討を進めていくべきであるということである。
   本問では,中心的な実行行為者は乙であるから,まずは乙を単独正犯に準じて検討すればよい。本問では暴行罪から論じて,最終的に結果的加重犯としての傷害致死罪を論じるべきだろう。中には傷害罪を検討している者もいたが,故意論で暴行罪について論じるのであれば,客観的構成要件も暴行罪に揃えなくてはならない。なお,故意も構成要件要素なのであるから,これを論じないと刑罰権が生じないことに留意するべきである。
 その後,乙については正当防衛を論じることになる。急迫性については前の段で論じたし,専ら積極的加害意思がある場合でない限り防衛の意思も否定されることはない。残すは相当性である。
    乙の罪責について論じ終えたら,次は甲である。具体的な客観的構成要件要素については乙で論じているから,それを前提にして②以下を検討すればよい。本問は典型的な現場共謀であるから,共謀が否定されることはないだろう。なお,共謀の認定には意思連絡が必要であるところ,具体的な謀議行為がなくとも単なる目配せ程度でも肯定されることがある。本問もそのパターンに該当するだろう。共謀に基づく実行行為が肯定された時点で,違法が連帯することになる。そして,最後に誤想防衛について論じることになるわけである(※21)
 4 相当性
   それでは,相当性の議論に移ろう。刑法の答案の場合,行為者から論じていくのがセオリーであるから,まずは危険な行為をした乙の罪責から論じていくべきである。
   相当性は,前述したとおり必要性の議論と相当性の議論とに分けることのできる法概念である。そして,必要性が否定される場合というのは事例問題において通常考えられないから,検討するにしても一言で終わらせて相当性の議論に移るのが賢明であろう。
 さてその相当性である。相当性は「当該具体的事態の下において当時の社会通念が防衛行為として当然性,妥当性を認め得るもの」であると定義される(※22)から,その判断は畢竟,判断する人の常識に委ねられる。そこにこそ,相当性の議論の難しさがあるといえよう。
   もちろん,社会通念だからといってフリーハンドの議論であってはならない。あくまで,指針となる判断要素を適切に把握する必要がある。ここで一般的に挙げられるのが,①武器対等の原則,②侵害者と防衛行為者の身体的条件,③侵害行為の態様,④防衛行為の態様,⑤侵害排除のための代替手段の有無である(※23)。そして,事例問題においては上記の要素に該当するような事情が大量に散りばめられているのであるから,これを丁寧に拾って評価していけば,高得点を得られることは間違いない。このような規範的要件というのは非常に当てはめが難しいけれども,難しいからこそ体得すれば合格に近づくのである。
   さて,本問ではどうか。まず,①甲及び乙もAも素手であるから,武器対等の原則からすれば相当性が肯定されよう。②Aは52歳の男性であって高齢ではあるものの体力があるといえる一方,甲は50歳の女性であり通常は非力であると考えられるから,28歳の男性で力があると考えられる乙と共同でAを押さえつけたとしても,それだけで不相当であるとはいえない。③Aはふらつく足で甲を殴ろうとしたのみであるから,侵害行為は軽いものであると評価できるといえるものの,従前のAの酒乱具合からすればその後の苛烈な暴行は想像に難くないから,侵害行為の態様としては激しいものであると考えることも可能である。④単に上半身や下半身を押さえつけるだけであれば生命に対する危険性は乏しいものの,人体の枢要部である頸部を押さえつける行為は相手を窒息死させる危険性がある行為であるから,全体として考えれば侵害行為に対して過剰な防衛行為であると考えられよう。⑤最後に,甲及び乙は,Aが暴れないようにロープで緊縛するなどしていたことがあり,そちらの方が頸部を押さえるよりも危険性が低いのであるから,今回もそれによれば足りたと考えられ,しかも実際にロープで縛りあげているのであり現実的に採りえない行動ではなかったといえるし,ロープを使わずとも,そのままAが眠るまで押さえつけるということも過去に成功していた以上は採り得たといえよう。
 これらの事情を考えれば,本件で相当性を肯定するのは困難であるといえよう。
 5 違法の連帯
   本来であれば,そのまま乙の窃盗罪の罪責について論じるのが答案上の流れであるものの,甲の誤想防衛について論じるのが便宜であるため,先に甲の罪責を検討することにする。
   甲の罪責を検討する上で欠かせないのは,違法の連帯,という議論である。違法の連帯とは,違法行為に協力した場合には協力者の行為も違法であると評価される,というものである(※24)。これは,広義の共犯における制限従属性説を前提としたものであり,これに対して責任は個別に検討されることになる。もっとも,行為無価値論を前提とする限り,行為者の主観的認識の違いにより違法の有無が相対的に決せられることになる(※25)。これは違法の本質を法益侵害に求める結果無価値論からは導かれない結論なのであって,規範に違反した行為をしたという点を違法の本質とする行為無価値論の特徴の一つであるといえるだろう。
 さてそうなると,誤想防衛では責任故意が阻却されることになるのであるから,仮に過剰防衛によって違法が連帯することになったとしても,責任が個別に判断される以上,その者は何らの罪責も負わないことになるわけである。本問も,甲は過剰性を認識しておらず,その認識としては正当防衛の要件を完全に充足していたのであるから,一種の誤想防衛として責任故意が阻却されることになるだろう。
 ここで注意されるべきは,誤想防衛と誤想過剰防衛の区別である。誤想防衛とは,その者の頭の中では眼前の状況が正当防衛であることを意味するのであるから,過剰性を認識していない以上,その者の頭の中では相当性が充足されていることになるわけであって,これは一種の誤想防衛であると評価できることになる。一方,誤想過剰防衛とは,その者の頭の中では眼前の状況が過剰防衛であることを意味するのであり,過剰性の認識自体はあることになる。この点を誤ると頓珍漢な議論になるため,十分な注意が必要である。
   最後に問題となるのは,甲について何らの罪責も負わないことになるのかである。誤想防衛による責任故意阻却説によれば,論理上の難点はあるけれども,死の結果発生に関する予見可能性さえあれば過失致死罪になるとされる。過失致死罪を成立させるならば,その点の論述を忘れてはならないだろう。

(※6)50選上101頁以下〔松井芳明〕。
(※7)井田総論314頁以下。
(※8)最決昭和52年7月21日刑集31巻4号707頁。
(※9)50選上79頁〔栃木力〕。なお,栃木判事は司法研修所の現所長である。
(※10)この判例の批評として面白いものに,高橋則夫「急迫性の判断構造」研修837号3頁以下がある。刑法総論の奥深さを味わえることだろう。
(※11)正当防衛論については,井田良「正当防衛をめぐる議論の現状」季刊刑事弁護96号10頁以下に詳しいので,一読を推奨する。また,刑事弁護を志す方は,井田良ほか「座談会 正当防衛の成否は何で決まるのか」季刊刑事弁護96号44頁以下も読んでおくとよいだろう。
(※12)なお,本決定には退避可能性の議論も影響しているように思われる。退避可能性については,佐藤文哉「正当防衛における退避可能性について」『西原春夫先生古稀祝賀記念論文集第1巻』(成文堂,1998)242頁以下参照。なお,髙橋直哉「正当防衛状況の判断」法学教室453号10頁以下。
(※13)以上,永井敏雄「量的過剰防衛」『現代裁判法体系30〔刑法・刑事訴訟法〕』(新日本法規,1999)132頁以下。
(※14)この侵害の継続性については,最判平成9年6月19日刑集51巻5号435頁を参考にしてほしい。
(※15)実はその出自は古く,因果的共犯論をドイツから本邦に輸入した平野龍一博士により,その議論の萌芽は示されていたのである(平野龍一『刑法 総論Ⅱ』(有斐閣,1975)343頁)。
(※16)共謀の射程論について,因果関係論における危険の現実化説とパラレルに考える見解が有力である(橋爪隆「共同正犯をめぐる問題⑷ 共謀の射程について」警察学論集70巻10号160頁以下)。
(※17)すべての構成要件を充たしていることを構成要件充足性ということがある。これは団藤重光博士からの伝統であり,大谷實教授に引き継がれている。もっとも,最近は充足性という言葉はあえて使われないようである。
(※18)司法研修所検察教官室『検察終局処分起案の考え方(令和元年版)』25頁以下。
(※19)二人組の共謀共同正犯の場合を想像してもらえれば足りる。つまり,実行行為者は単独正犯に準じて検討し,共謀者は共同正犯として論じるわけである。本文はこのことを示しているに過ぎない。
(※20)井田総論96頁以下。
(※21)なお,誤想防衛で責任故意が阻却される場合,それは責任阻却事由であるから,まずは構成要件要素としての故意を検討しなければならないように思われる。しかし,その場合に暴行罪の故意があるとした場合,行為無価値論を前提とする以上は,誤想防衛について過失致死罪に問うことはできないはずなのである。この辺りは非常に難しい問題であり,これを解決する唯一の道は消極的構成要件要素の理論を採用することであるように思われる。実際に起案する場合には,この辺りには目をつぶり,共謀に基づく実行行為を認定し終えてから誤想防衛の問題を検討すれば足りようか。
(※22)最判昭和24年8月18日刑集3巻9号1465頁。
(※23)武器対等の原則を唯一絶対の指針とし,これを形式的にではなく実質的なものとして捉える見解も有力である(50選上106頁以下〔松井芳明〕)。
(※24)井田総論388頁。
(※25)井田総論485頁以下。


第4 死者の占有
 1 議論状況
   次に論じられるべきは死者の占有である。これは,窃盗罪における「窃取」概念の論点であるから,そこに引き付けて検討されなくてはならないといえる。このように,条文の文言に照らして論点を考えることは,法解釈において最重要の作法であるから,常に気を配らなくてはならない。
   死者の占有という論点は,被害者を死に至らしめた者が,被害者の死亡後にはじめて領得意思を生じた場合に顕在化する。被害者を死に至らしめた者以外が同人から財物を持ち去った場合,被害者は死んでおり占有を観念できないから,単なる占有離脱物横領罪となる。そして,この場合と平衡を保つために,被害者を死に至らしめた者が事後的に領得意思を生じた場合にも死者の占有を認める必要はない,というのが有力説であるとされている(※26)
 一方,判例は上記の有力説とは異なる結論を採用する。ここで重要なのが,判例は決して死者の占有を肯定しているわけではない。最判昭和41年4月8日刑集20巻4号207頁は,あくまで「被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後においてもなお継続して保護するのが法の目的にかなう」としているのである。したがって,判例実務の見解に立脚する場合,死者の占有が肯定されるとすることは誤りである。
 2 要件論
   それでは,被害者の生前有していた占有が保護されるには,どのような要件が必要になるのであろうか。この点,一般的には①被害者を死に至らしめたこと,②被害者から財物を持ち去ったこと,③①と②が時間的場所的に近接していること,が必要であるといわれている。通常の問題であればこれで足りるであろう。そして,故意の対象は構成要件該当事実なのであるから,①から③までを認識認容していることを示してようやく故意が認められることになる。この点を的確に示している答案は皆無であったため,十分な注意を促したい。
   さて,本稿ではこの議論をもう少し先に進めてみたい。ここで注目されるべきは,東京高判昭和39年6月8日高刑集17巻5号446頁である。この裁判例では,被害者の死亡から財物の奪取まで4日の開きがあったことが問題になり,結果として窃盗罪の成立を肯定した。もちろん,死者の占有を肯定したのではなく,被害者の生前の占有が保護に値するとしているのである。
 しかし,先ほどの要件から考えてみると,③を満たさないのではないだろうか。4日という時間的な開きが,時間的近接性を基礎づけるものとは考えにくい。では,この裁判例の結論は誤りなのであろうか。私としてはそれにも異論を唱えたい。
 それでは,どのように考えるべきか。実はこの裁判例では,被害者は自室で殺害されており,問題となった財物も被害者の占有が残っているかのように放置されていたという特殊事情があったのである。これを例外のための要件と位置付けることも可能ではあるだろうが,むしろこれを統一的に捉え直してみたい。すなわち,③の要件について,③´社会通念上被害者の生前の占有を保護すべきと認められる事情があること,と構成し直すのである。確かに,かなり漠然としてしまうから基準としての明確性は損なわれてしまうかもしれない。しかし,このような規範的要件は刑法においては数多くみられるし,死者の占有が問題となる場面では「犯人自らが被害者を殺害した被害者が占有する財物を占有離脱物に変えたのに,そのことにより犯人が有利に扱われて刑法による占有保護が否定されてしまう(殺害と財物取得のわずかな時間的な先後関係の違いで占有保護が左右されてしまう)のは不当であるとする考え方がある」(※27)とされているのであるから,その問題意識を端的に要件に落とし込んでしまうべきであるとはいえるはずである(※28)
 無論,上記の見解は私見であるから,答案上で展開するのは避けるべきであろう。解釈論としては考えられなくはないことを示してみただけである。
 3 本件の処理
   現金15万円が「財物」に該当することは疑いない。また,①乙はAを死亡させており,②乙はAが甲に内緒で保管していた現金15万円を持ち出しており,そして③Aの死亡と現金15万円の持ち出しとは約30分しか離れておらず場所も同じA方居室であるから時間的場所的に接着しているものといえるだろう。したがって,現金15万円に関するAの生前の占有が保護されることになり,これを持ち出しているのであるから「窃取」に該当することになる。
 乙は自分がAの頸部を強く締めすぎたから死んだと考えており,その上で逃走資金のために現金15万円を持ち出しているのであるから,①から③の認識認容もあるといえよう。そして,逃走資金として持ち出している以上は,不法領得の意思も認められることになる。不法領得の意思を無視している人もいたが,その事情も問題文には示されているから,これを考慮しないのは悪手であろう。
 4 親族相盗例?
 出題趣旨を見ると,親族相盗例に触れることができれば高得点が得られたとの指摘がある。なるほど,確かに本件のような親族間の死者の占有が問題となる場合には,相続人が誰であるか,つまり本件の現金の所有者が誰であるかによってその適用の有無が変わり得るから,論じる実益があるといえよう。しかし,それならば問題文で明示しているはずであるし,わざわざ問題文からは明らかではないなどと言及しないはずである。
 思うに,この点は作問者としても予想外のことだったのではないだろうか。そうであるならば,30行指定がある中で,あえてこれに触れる実益があるとは思われない。もちろん,実際の事件であれば,必ず事実認定をしなくてはならない点であるし,おそらく弁護人の弁護方針となることであろうから,検討しなくてよいということにはならない。しかし,これはあくまで入学試験であり,畢竟,合格さえしてしまえばよい。そのためには,本項で中心的に検討した論点を必要十分に論じれば足りるはずなのである。

(※26)井田各論216頁以下。
(※27)井田各論216頁。
(※28)なお,井田各論216頁では,「どの程度の時間が経過すると「死亡直後」とは言えなくなるのかが問題となる」という問題意識を持ちつつ,「具体的な状況により判断が異なってくる」としているのであるから,特別の事情が認められる場合には時間的場所的接着性の幅が広がるものと考えているのだと思われる。

以上

2020-05-14(Thu)

【ロー過去】慶應ロー2016年度民事訴訟法

今回は,慶應ロー2016年度民訴です。

私が受験する前年度の問題ですので,過去問演習で一番初めに解いた記憶があります。

そして,慶應ローってもしかしてムズいんじゃね?やばくね?と思った記憶もあります。

割と本気でやばいと思っていたことは,当ブログが2015年の一時以来全く更新がなくなってしまったことからも伺えます。

そういえば当ブログが,それまでの趣味活動を垂れ流すブログから司法試験受験ブログに大転換したのもこの時期ですね(2016年7月9日の記事参照)。

そんな思い入れがある(思い入れがあるとは言っていない)問題です。

≪問題≫

【事例】
 Xは,Yが運転する自転車に追突されて路上に転倒し,それによって胸骨と腰骨を骨折するなどしたために,約3週間の入院治療を受けることとなった。そこで,Yを被告として不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した。Xは,この訴訟において,入院治療費100万円と慰謝料200万円の合計300万円を請求した。

【設問】
 以下の各問について論じなさい。なお,問1と問2は相互に関連しない。

問1 裁判所は,Xの被った損失は,入院治療費150万円,慰謝料100万円であると認定し,Yに250万円の支払いを命ずる判決をした。この判決に,訴訟法上の問題はあるか。

問2 裁判所は,Xの請求をすべて認め,Yに300万円の支払いを命ずる判決をした。Xは,この第1審判決に対し,入院治療費をさらに150万円追加するために控訴することができるか。


問題文はとてもあっさりしているのに,論じることは膨大です。

今では慶應ローは出題趣旨が公開されていますが,この年はまだ公開されていないので,

正直何を論じてほしいのか的確に把握できているのかは怪しいです。

まあ受験生であれば書くかなあというところは取り上げて書いたつもりです。

しかし,司法試験が終わってから民訴は全然やっていなかったので,何もかも忘れていますね……。

この下に書いてあることは信用しない方がいいかもしれません。

何を信じるかは読者次第です。

自分の身は自分で守りましょう。

≪答案≫

第1 設問1
 1 総額を250万円として一部認容判決をしたことは,処分権主義に反しないか。
 処分権主義とは,訴訟の開始,終了,審判対象の特定を当事者が自由に決定することができる原則をいう(※1)。これは,訴訟物たる権利関係は,実体法上,私的自治の原則の下にその主体たる当事者の自由な管理処分に委ねられるところ,訴訟法上もこれを反映したものであり(※2),被告に対して防御対象を提示する手続保障として機能する(※3)。そこで,裁判所がなした判決が処分権主義に抵触するかどうかは,①原告の合理的意思に合致し,②被告の不意打ちとなるかどうかによって判断する。
 本件では,Xが総額300万円の損害賠償請求を申し立てているのに対し,裁判所は総額250万円であるとして一部認容判決をしている。①Xの請求は金銭的請求であり,満額が認められなければ無意味となるような性質の請求ではないから,Xとしては請求の全部が棄却されるよりは一部でも認められた方がよいと考えるのが自然である(※4)。したがって,Xの合理的意思に反しない。また,②後記のように入院治療費と慰謝料のそれぞれに対する損害賠償請求権は訴訟物として1個であるところ,Yの攻撃防御の対象は訴訟物全体に及ぶから,同訴訟物内でなされた判決である以上,Yにとって不意打ちとならない(※5)
 したがって,裁判所が総額250万円の一部認容判決をしたことは,処分権主義に反しない(※6)
 2⑴ 入院治療費を150万円と認定したうえで判決をしたことは,処分権主義に反しないか。
 前記の処分権主義の根拠からすれば,当事者の申立事項が裁判所による審判の対象となるため,裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決をすることができず(246条),申立事項以外のことについて判決をすると処分権主義違反となる。
 そこで,本件では,Xが入院治療費を100万円と主張して申し立てたことで,訴訟物がこの100万円の損害賠償請求権に限定されるかが問題となる(※7)
 損害賠償請求権の訴訟物の範囲は,原因行為と被侵害利益から判断する(※8)。Xは,入院治療費のほかに慰謝料についても請求しているが,両者は,Yが運転する自転車がXに追突するという同一の事故により発生しているから,原因行為は共通である。また,入院治療費と慰謝料とは,財産上の損害と精神上の損害で性質は異なるものの,同じXに対する人損であるから,被侵害利益も共通している。そうすると,両者に係る損害賠償請求権は別個独立のものではなく,あわせて1個の訴訟物となる(※9)(※10)
 したがって,裁判所は,Xが申し立てた入院治療費と慰謝料の双方にかかる請求の総額である300万円の中で,各損害の額を認定した上で総額を決めることができる。よって,裁判所が入院治療費を150万円として判決をしても,Xの申し立てていない事項について判断したものではないから,処分権主義に反しない。
  ⑵ そうだとしても,弁論主義に反しないか(※11)
 弁論主義とは,裁判資料の収集提出を当事者の権能かつ責任に委ねる原則をいう(※12)。これも,私的自治の原則を権利関係の判断のための裁判資料の収集提出について適用したものである(※13)。その結果,当事者が自由に処分できる権利関係を直接に基礎づける事実,すなわち主要事実については(※14)(※15),私的自治の反映として,当事者による主張がなされない限り,裁判所は,これを判決の基礎とすることができない(※16)
 本件で,訴訟物は不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)であるから,主要事実として「損害」の発生を当事者が主張する必要があり,ここでは損害の額まで主張される必要がある(※17)。そうすると,Xは入院治療費が100万円と主張しているから,100万円の限度では当事者の主張がなされているが,100万円を超える部分については主張がされていない。
 したがって,裁判所が,入院治療費を150万円と認定することは,当事者が主張していない事項を裁判の基礎とするものであり,弁論主義に反する(※18)。もっとも,Xが黙示的に150万円部分まで主張しているとみられる事情がある場合には,弁論主義に反しない(※19)
 3 よって,本件で裁判所がした判決は,Xの黙示的な主張が認められない限り,不適法である。
第2 設問2
 1 Xのする控訴(民訴法281条1項)は,控訴の要件を満たすか。
 2⑴ 控訴は,相手方や裁判所に対して負担を課すものであるから,控訴をする者に,控訴を提起するにつき正当な利益(以下「控訴の利益」という。)があることが必要である(※20)。そして,基準の明確性の観点から,当事者の申立てと判決とを比較し,前者が後者より大きい場合には控訴の利益が認められる。
 これを本件についてみると,原審は,Xが300万円の支払請求を申し立てていたのに対して300万円の支払を命ずる判決をしているから,Xの申立てと判決とが一致するため,Xには控訴の利益がないようにも思われる。
  ⑵ しかし,本訴の既判力により別訴が遮断される場合には,別訴で主張できるものも,同一訴訟手続内で主張しておかないと,訴訟上主張する機会が奪われてしまうという不利益を受けるので,それらの請求については,同一訴訟手続内での主張の機会をできるだけ多く与える必要がある。また,この不利益は,全部勝訴の一審判決後は控訴という形で判決を妨げることによってしか排除することができない。そこで,このような場合には,例外的に,訴えの変更又は反訴の提起をなすために控訴の利益が認められるべきである(※21)(※22)
  ⑶ 本件では,Xが既に請求している損害賠償請求権と同一の請求権について損害額を拡張するものであるから,300万円の請求は一個の債権の数量的な一部を求める一部請求である。そして,一部請求においては,それが当該一部についてのみ判決を求める趣旨であることが明示されていないときには,残額部分も含めて1個の訴訟物として扱われるから,Xは150万円を別訴で請求することは既判力に抵触して許されないこととなり,150万円について訴求する機会を失う。
 したがって,Xには,例外的に,訴えの変更によって150万円部分を拡張する機会を与えるべく,控訴の利益が認められる。
 3 よって,Xは,その他の控訴の要件を遵守していれば,150万円を追加するために控訴することができる。

以 上


(※1)「民事訴訟では,当事者が審判対象たる権利関係について処分権を有していることを反映して,当事者が訴えの提起,審判対象の特定,審判対象の実体的処分および訴訟の終了について自由に決定できるとの原則を認めている。これを広く処分権主義と呼ぶが,そのうち,審判対象を特定し,その上限を明示する権限については,申立事項に関する処分権主義,あるいは申立事項拘束主義と呼ばれる(246条)。私的自治原則の訴訟手続への反映である。」山本和彦『Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕』(商事法務,2014年)104頁
(※2)「訴訟物たる権利関係は,実体法上は,私的自治の原則の下にその主体たる当事者の自由な管理処分に委ねられる。訴訟法上も,このことを反映して,いかなる権利関係について,いかなる形式の審判を求めるかは,当事者の判断に委ねられる。これが訴訟物についての処分権主義であり,246条がこれを規定する。」伊藤眞『民事訴訟法〔第6版〕』(有斐閣,2018年)219頁
(※3)被告の手続保障や被告の不意打ち防止を,処分権主義の根拠として位置づける論証などがありますが,訴訟物が原告の一存によって決まる以上,処分権主義の根拠は原告の意思尊重にのみ求められ,被告の手続保障は処分権主義の根拠ではなく機能として導かれるものと考えるのが妥当ではないかと思います。例えば,前掲伊藤219頁は「処分権主義の根拠は,訴訟物たる権利関係についての当事者の処分権に求められるが,その機能としては,被告に対して防御の目標を提示する手続保障の役割をもっている。」と説明していますし,高橋宏志『重点講義民事訴訟法(下)〔第2版補訂版〕』(有斐閣,2014年)234頁は「弁論主義がそうであるように、ドイツ=日本法の処分権主義も、根拠は当事者意思(私的自治)の尊重であるが、機能は不意打ち防止につらなる。」と説明しています。
(※4)「当事者の申立事項の一部のみを認容する判決をなしうる根拠は,申立てに対する応答として,当事者は必ずしも全部認容か無かのいずれかの応答のみを求めるものではなく,むしろ通常は,全部が無理ならば一部の認容でも欲している,と解されるところにある。したがって,個々の場合に一部認容をなしうるか否かは,原告の意思を客観的・合理的に解釈して決せられるべきである。」藪口康夫『ロースクール演習民事訴訟法』(法学書院,2015年)30-31頁
(※5)このあてはめは正直「書きすぎ」です。金銭請求で一部認容判決が処分権主義違反とならないことは,ほぼ争いにならないと思われるため,全体的に軽い論述にとどめておいて,損害論の問題や設問2に紙面と時間をまわした方が得策です。そういうことも考え,本番では,試験時間との兼ね合いでどこまで書くかを見極める必要があります。
(※6)「訴訟物の範囲に関してしばしばも問題となるのが,いわゆる一部認容の判決である。債権額は,債権の内容をなすものであるから,金銭給付請求などに対して,請求の量的範囲を超えて給付を命じることは処分権主義違反にあたる。逆に,量的範囲内でその一部の給付を命じ,残部の請求を棄却することは処分権主義に抵触するものではない。これが一部認容判決と呼ばれる。また,一部認容は,このような量的範囲に限られず,請求の質的一部を認容することも,処分権主義に違反しないものと解されている。」前掲伊藤222頁(注:下線は清水)
(※7)「交通事故訴訟では、訴訟物をどう考えるかという問題がある。交通事故においては、一つの事故によって、多くの「損害」が生じうる。まず、着ていた衣服の破損、腕時計の破損などの物損が生ずる。人に対して生ずる人損では、医療機関での治療費などの積極損害、休業に伴う逸失利益という消極損害、および精神的損害に対する慰藉料がある。このように、一つの事故からも「損害」がいくつかに細分化され得るが、どこまでを訴訟の最小基本単位(訴訟物)と捉えるかが問題となる。」「考え方は分かれる。第一に、物損において、損害の生じた物(車、時計、衣服、等々)毎に訴訟物が別個になる、人損においても、積極損害、消極損害、慰藉料で三個の訴訟物に分かれるという考え方がある。」「第二において、積極・消極両損害を合わせての財産上の損害と慰藉料という精神上の損害に分けて、訴訟物は二個とする考え方もある。慰藉料の特殊性に基づく考え方であるが、裁判実務の中の後述するいわゆる慰藉料の補完的機能にそぐわないという難点がある。」「第三に、人損で一個という説がある。物損でも一個という考え方もあり得るし、物損は損害の生じた物毎に別だという考え方もある。」「第四に、紛争解決の一回性の理念から、物損・人損を含め一個の事故で訴訟物は一つという考え方がある(新堂三三五頁)。」前掲高橋(下)254頁
(※8)「それでは,判例は一般論として訴訟物の単一性をどのような基準で判断しているものであろうか。参考判例①[注:最判昭和48年4月5日民集27巻3号419頁]は「原因事実および被侵害利益を共通にする」点を重視し,原因事実(事故等の単一性)と被侵害利益(人損か物損か等)をメルクマールとして理解しているように見える。そのような理解を確認するものとして,参考判例②[注:最判昭和61年5月30日民集40巻4号725頁]がある。これは,原告の撮影出版した写真について同意を得ずにモンタージュ写真を作成発表したとして,被告に対し,著作財産権(複製権)および著作者人格権(同一性保持権)を侵害したとして合計50万円の損害賠償請求をしたところ,判決は「同一の行為により著作財産権と著作者人格権とが侵害された場合であっても,著作財産権侵害による精神的損害と著作者人格権侵害による精神的損害とは両立しうるものであつて,両者の賠償を訴訟上併せて請求するときは,訴訟物を異にする2個の請求が併合されているものであるから,被侵害利益の相違に従い著作財産権侵害に基づく慰謝料額と著作者人格権侵害に基づく慰謝料額とをそれぞれ特定して請求すべきである」とした。ここからも,原因事実と被侵害利益の同一性が求められている(原因事実が同一であっても被侵害利益を異にすれば訴訟物は別である)ことが明らかにされている。」前掲山本99-100頁
(※9)「本件のような同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は一個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は一個であると解すべきである。」最判昭和48年4月5日民集27巻3号419頁
(※10)「当裁判所は、このような場合、原告主張額を超えて慰藉料を算定しても、賠償の総額において原告が本件事故による賠償額として主張したところを超えない限り差支えないと考える。」「けだし、不法行為に基づく損害賠償請求権の特定は、加害行為と被害法益との同一性の判断によるべきものであるが、慰藉料請求権を基礎づける精神上損害となるものは、損害の権利に過ぎず、「精神」を法益とすることによつてのみ発生するものではない。もとより「名誉」等の精神的存在も独立の法益たることは民法七一〇条の規定するところであるが、本件に即して言えば、同条の意味は、原告深井の「身体」が傷害されたことに「因りて生じたる損害」 (七〇九条)としては、財産上損害ばかりでなく「財産以外の損害」すなわち精神上損害なるものも観念しえ、これについても賠償責任が及ぶことを規定しているに止まり、同人の「身体」の外に「精神」をも被害法益であると規定しているわけではない。従つて他の法益侵害(例えば車輛破損)の主張を伴う場合にこれをも合せて一個の不法行為ありと見うるか否かは暫らく措き、少くとも、本件のように、すべての損害の発生が遡つて法益侵害としての「身体傷害」の事実に帰する旨主張せられている場合には、請求の基礎をなす不法行為は一つ存するだけであり、因つて生ずる損害賠償請求権も一個であり、各種損害費目が主張せられていても、それは「身体傷害」に因る損害の範囲と内容とを具体化するための、損害算定上の資料として主張せられているものと解する外はない。」東京地判昭和42年10月18日判時496号15頁
(※11)「理論としては、申立事項のハードルはこれによって乗り越えることができるとしても、認定事実の基礎となる事実が当事者の主張によって弁論に上程されているかという弁論主義のハードルが存在することに注意しなければならない(慰藉料における弁論主義は、実務上、厳格ではない)。」前掲高橋(下)256頁
(※12)「弁論主義とは,訴訟物たる権利関係の基礎をなす事実の確定に必要な裁判資料の収集,すなわち事実と証拠の収集を当事者の権能と責任に委ねる原則である。」前掲伊藤309頁
(※13)「訴訟物たる私人間の権利関係は,私的自治の原則に服し,当事者の自由な処分に委ねられる。弁論主義は,その権利関係の判断のための裁判資料の収集について私的自治の原則が適用されることを根拠としたものである。」前掲伊藤310頁
(※14)「弁論主義の根拠を私的自治に求める以上,その対象も権利関係の発生・消滅・変更の原因となる主要事実に限られるという結論が導かれる。」前掲伊藤312頁
(※15)弁論主義が適用される事実の範囲を主要事実に限ることの理由付けについて,間接事実にまで適用すると自由心証主義に反するというものがありますが,これは間接事実に適用することに消極的な理由付けにすぎず,主要事実に限ることの積極的な理由付けにはなっていません。したがって,この理由付けを書くこと自体は誤りではないですが,弁論主義の本質と結び付けた理由付けをすべきです。もっとも,本問では,間接事実への適用が問題となる事案ではないため,弁論主義の適用される事実の範囲について大展開する必要はなく,簡潔に流すべきでしょう。
(※16)「弁論主義の具体的内容は,以下の3つに区分される。第1に,権利関係を直接に基礎づける事実,すなわち主要事実については,当事者による主張がなされない限り,裁判所は,これを判決の基礎とすることはできない。この原則から,主張責任の概念,および判決の基礎となる事実によって構成される訴訟資料とその認定のための証拠資料の区別などが派生する。」「弁論主義の第1の内容,すなわち主要事実についての当事者の提出責任は,その事実にもとづく権利関係について私的自治が認められることを反映している。」前掲伊藤309,311頁
(※17)「民法709条の不法行為による損害賠償請求の要件事実は,一般に次のとおりである。」「請求原因は,① Xが権利または法律上保護されるべき利益を有すること ② Yが①の権利または利益を侵害したこと ③ ②についてYに故意があることまたは過失があることを基礎づける評価根拠事実 ④ Xに損害が発生したことおよびその額 ⑤ ②の加害行為と④の損害との間に相当因果関係が存在すること である(①から⑤まですべて必要)。」大島眞一『完全講義民事裁判実務の基礎〔第3版〕上巻』(民事法研究会,2019年)467頁(注:下線は清水)
(※18)損害額の認定について,前掲注11に引用したように,「慰謝料における弁論主義は、実務上、厳格ではない」とされています。前掲注10に引用した裁判例は,この点について「精神上損害の評価すなわち慰藉料額の算定は……裁判所が自由な心証によつて定めうるのであり、額を定めるにつき勘酌すべき事情について当事者の主張を要せぬばかりでなく、その額の算定自体についても当事者の主張に拘束されぬものと解すべきであつて、その限度では弁論主義の適用の外にあることになる。」と説明しています。したがって,仮に本問が慰謝料を250万円と認定したという問題であれば,弁論主義違反とはならない可能性が出てきます。しかし,本問はあくまで入院治療費という財産上の損害について問うているものです。そこで,前記裁判例の説明を,慰謝料以外の財産上の損害についても援用することができないかと思うかもしれませんが,これはできないと考えた方がよいでしょう。この裁判例でも指摘されているように,慰謝料は「裁判所が自由な心証によつて定めうる」性質のものであるからこそ,弁論主義の適用外となると言っているであり,「裁判所が自由な心証によつて定め」ることができない損害については,原則通り弁論主義の適用があるはずです。この裁判例でも,「他の財産上損害において、その細部の費目の主張と証拠によつて認定せられるべき額の主張とが分離せられず、証拠により厳密に額を認定せられるのとは異つて」という留保が付せられています。そうすると,財産上の損害である入院治療費については,当事者の主張として損害額の主張が出ていなければ,それを裁判所が勝手に認定することはできないということになります。
(※19)黙示的な主張という点ですが,司法研修所『改訂紛争類型別の要件事実』(法曹会,2007年)3頁は,売買代金支払請求について,「Xの主張した代金額と証拠により認定できる代金額との間に相違がある場合,Xは通常は契約の同一性を損なわない範囲内で異なる代金額をも黙示に主張していると考えられるから,その範囲内であればXの明示の主張と異なる代金額による売買契約の締結を認定することは差し支えない。」としています。これを,本問の不法行為に基づく損害賠償請求にも援用すると,Xが黙示的に150万円部分まで主張していると認められるのであれば,裁判所が入院治療費を150万円と認定してもよさそうですし,このように認定しても前掲注18とは矛盾しないことになります。もっとも,黙示的に主張が出ているかの判断は,この問題文の事情からは判断できません。実務上は弁論準備手続などで裁判所側から当事者に対して主張の意味内容の確認が行われることになるのではないかと思います。
(※20)「上訴は,相手方や裁判所に対して負担を課すものであるから,不要な上訴は排除しなければならない。そこで,上訴を提起する正当な利益を有する者による上訴のみが適法な上訴とされる。この利益のことを「上訴の利益」といい,控訴については「控訴の利益」という。」三木浩一ほか『民事訴訟法〔第2版〕』(有斐閣,2015年)604頁
(※21)「全部勝訴の判決を受けた当事者は、原則として控訴の利益がなく、訴えの変更又は反訴の提起をなすためであっても同様であるか、人事訴訟手続法九条二項(別訴の禁止)、民事執行法三四条二項(異議事由の同時主張)等の如く、特別の政策的理由から別訴の提起が禁止されている場合には、別訴で主張できるものも、同一訴訟手続内で主張しておかないと、訴訟上主張する機会か奪われてしまうという不利益を受けるので、それらの請求については、同一訴訟手続内での主張の機会をできるだけ多く与える必要があり、また、この不利益は、全部勝訴の一審判決後は控訴という形で判決の確定を妨げることによってしか排除し得ないので、例外として、これらの場合には、訴えの変更又は反訴の提起をなすために控訴をする利益を認めるべきである。」「そして、その理由を進めて行くと、いわゆる一部請求の場合につき、一個の債権の一部についてのみ判決を求める趣旨か明示されていないときは、請求額を訴訟物たる債権の 部として訴求したものと解すべく、ある金額の支払を請求権の全部として訴求し勝訴の確定判決を得た後、別訴において、右請求を請求権の一部である旨主張しその残額を訴求することは、許されないと解されるので(最高判昭和三二年六月七日民集一一巻六号九四八頁参照)、この場合には、一部請求についての確定判決は残額の請求を遮断し、債権者はもはや残額を訴求する機会を失ってしまうことになり、前述の別訴禁止が法律上規定されている場合と同一となる。したがって、黙示の一部請求につき全部勝訴の判決を受けた当事者についても、例外として請求拡張のための控訴の利益を認めるのが相当ということになる。」名古屋高裁金沢支判平成元年1月30日判時1308号125頁
(※22)「形式的不服説によれば,黙示の一部請求を全額認容された当事者に控訴の利益が認めらるかは,この場合が前記例外[原判決が確定した場合に当事者に失権効が働くような場合には,例外 的に,全部勝訴の当事者にも控訴の利益を認める]にあたるかどうかによって決まる。」「法律上別訴を提起することが許されず,当該訴訟手続内での訴えの変更によらなければ残額を請求できないとして,例外的に控訴の利益を肯定すべき場合の一つにあたるとするのが多数説である……。」「それでは,形式的不服説において,当事者が原審で請求拡張しえたのにしなかった場合にも,請求拡張のための控訴の利益が認められるか。」「小室教授は,例外として請求拡張のための控訴が許されるのは原告が過失なくして残額の請求をなしえなかった場合に限られると される……。ただし,債権が法律上不可分な場合に一部請求を認めない見解に立って,右の場合に公訴の利益を認めないと実体的正義が害されるとするものである。この考え方では,一部請求につき判例通説の見解に立つと,一層例外の承認に厳しくなろう。なぜなら,原告が残部請求の存在を認識できる場合には,一部請求であることを明示しさえすれば残部の請求を遮断されることはないはずであって,請求認容の一審判決で紛争を終了させようとして不服を申し立てなかった被告を犠牲にしてまで,原告に請求拡張のための控訴を許す必要があるかは疑問となるか らである……。」「これに対して,前記多数説は,この場合にも控訴の利益を認めるもののようである。これは,権利実現のための裁判制度の利用の途をできるだけとざさないようにしようという考慮が背後にある。そして,前記の点は攻撃防御方法の提出,訴えの変更の制限において評価すべきことになろう……。」「黙示の一部請求における残部請求の遮断は,政策による制限というより当事者の意思による権利不行使の結果とみれなくもないから,別訴禁止が法定されている他の例外の場合と処理を異にすることには合理性がないわけではない。とはいえ,原審で 残部請求しえた場合を排除する立場では,原告が原審において残部請求の存在に気付いていたかという不明確な要素に控訴の適法性が左右されることになり……,控訴の利益の有無をできるだけ明確な基準によろうとする立場からは不都合な難点がある。」「なお,多数説によっても,原告が原審において残部を請求しないと釈明するなど,その原審における態度に基づき,控訴の提起が信義則違反あるいは権利濫用として許されない場合があることは否定されまい。」判タ735号293頁


2020-05-06(Wed)

【ロー過去】中大ロー2019年度民事訴訟法

≪問題≫

 次の【事例】を読み,下記の【設問】に答えなさい。なお,下記の【設問】における各問はそれぞれ独立したものである。解答用紙は,表面(30行)のみを使用すること。

【事例】
 XはYに対し500万円の貸金返還請求訴訟を提起して,500万円の貸渡しの事実を主張したが,Yはこれを否認し,仮定的に500万円は弁済したと主張した。これに対し,Xは弁済について否認した。

【設問】
問1 証拠調べの結果,裁判所は,Xが主張する500万円の貸渡しの事実は認定できないが,この主張にかかる貸金債権とは社会的事実として同一性があるとは認められない別個のXのYに対する600万円の貸金債権があるとの心証を形成した。この場合,裁判所は,Yに対し600万円の支払いを命ずる判決をすることができるか。

問2 証拠調べの結果,裁判所は,500万円の貸渡しの事実は認定できるが,弁済の事実は認定することはできないとの心証を形成した。他方で,貸金債権の弁済期から10年以上経過していることが判明した。この場合,裁判所は,消滅時効を理由としてXの請求を棄却する判決をすることができるか。

≪出題趣旨≫

 本問は,民事訴訟法における基本原則である「処分権主義」および「弁論主義」について正しく理解しているか,事例に即してこれらの基本原則を適切に用い正確に結論を導くことができるか,を問うものである。

問1 処分権主義の意義と当てはめ
 民事訴訟において,裁判所による審判を求めるかどうか,求めるとして何を審判対象とするか,どの範囲で審判を求めるか,の決定は当事者に委ねられている(処分権主義)。その結果,裁判所は,当事者が申し立てていない事項について,判決をすることができない(民訴法246条)。当事者が申し立てている事項(申立事項)は,審判の対象となるべき権利関係(訴訟物)と,それについての審判の形式を含み,訴えによって特定されることになる。
 本問における訴訟の訴訟物は,いわゆる旧訴訟物理論によれば「(XのYに対する)消費貸借契約に基づく500万円の貸金返還請求権」である。債権は同一当事者間に同一内容の権利がその発生原因を異にすることによって重複して存在しうることから,債権を訴訟物とする場合には,それを特定識別する事実(民訴規53条1項における「請求を特定するのに必要な事実」)として,権利主体(債権者),義務者(債務者),権利内容(権利類型と給付内容)のほかに,権利の発生原因事実が必要となる。したがって,Xは,たとえば①XはYに対して,平成○○年○月○日,500万円を貸し付けた,②XとYは,①に際し,弁済期(返還時期)を平成□□年□月□日と定めた,③平成□□年□月□日は到来した,との請求原因事実(主要事実)を主張しなければならない。しかし,Xがこれらの主要事実を主張したにもかかわらず,証拠調べの結果,裁判所は,①の主要事実を認定できないのであれば,Xの請求を棄却する判決をしなければならない。
 かりに,証拠調べの結果,このXのYに対する500万円の貸金債権とは発生原因事実を異にする(問題文では,このことを「社会的事実として同一性があるとは認められない」と表現している),XのYに対する600万円の貸金債権の存在が認められたとしても,裁判所は,Xが申し立てていない事項について判決をすることができないのであるから,Yに対し600万円の支払いを命ずる判決をすることは処分権主義に反する。

問2 弁論主義の意義と当てはめ
 弁論主義とは,判決の基礎となる資料(事実および証拠)の収集提出を当事者の権能かつ責任とする建前である。この弁論主義の内容のひとつとして,「裁判所は,当事者のいずれもが主張しない事実を判決の基礎としてはならない」(第1テーゼないし主張原則)というものがあり,ここにいう事実とは主要事実に限ると一般に解されている。主要事実とは,訴訟物たる権利法律関係の発生・消滅等という法律効果の発生に直接必要な事実であり,実体法上の法律要件として掲げられた事実(要件事実)に照応する事実である。
 本問において,抗弁事由である消滅時効における主要事実は「弁済期から10年が経過したこと」および「YがXに対して消滅時効の援用の意思表示をしたこと」であるが,これらの事実はいずれの当事者からも主張されていない。それにもかかわらず,裁判所が,消滅時効を認定し,これを理由としてXの請求を棄却する判決をすることは弁論主義(第1テーゼないし主張原則)に反する。


処分権主義と弁論主義に関する基本的な問題です。

民訴を少し勉強した人であれば,結論がどうなるかくらいは分かると思います。

そうすると,入試本番で差がつくポイントは,裁判所が判断できる範囲が申立事項に限られるとか,当事者から主張のない主要事実を判決の基礎とすることができないといった原則を,処分権主義や弁論主義の根拠に遡っていかに正確に論証することができるかという部分でしょう。

また,短いながらも事例として具体的事実が与えられているので,本問に即した検討がきちんとなされているかという点になるかと思います。

≪答案≫
1 (※1)問1で,裁判所が,Yに対し600万円の支払いを命ずる判決をすることは,処分権主義に反するため,許されない。
 処分権主義とは,訴訟の開始,終了,審判対象の特定を当事者が自由に決定することができる原則をいう(※2)。これは,訴訟物たる権利関係は,実体法上,私的自治の原則の下にその主体たる当事者の自由な管理処分に委ねられるところ,訴訟法上にもこれを反映したものである(※3)。その結果,当事者の申立事項が裁判所による審判の対象となるため,裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決をすることができず(246条),申立事項以外のことについて判決をすると処分権主義違反となる。申立事項である訴訟物は,請求の趣旨及び原因によって特定される(※4)
 本問で,XのYに対する請求の訴訟物は,消費貸借契約に基づく貸金返還請求権である。Xは,その請求原因事実として,①金銭の返還の合意をしたこと,②金銭を交付したこと,③消費貸借契約が終了したことのそれぞれに係る具体的事実を主張して,前記訴訟物を特定することとなる(※5)。そして,これらの事実が認められない場合には,裁判所は,Xの請求を棄却しなければならない。ここで,裁判所が,Xの主張する貸金債権とは社会的事実として同一性があるとは認められない別個の貸金債権があるとの心証を形成したとしても,それは,Xの主張した前記事実とは別の事実に基づいて発生した債権である。そうすると,裁判所が心証を形成した貸金債権は,Xの主張した事実によって特定される貸金債権とは別個の債権であるから,Xが申し立てた訴訟物とはならない。したがって,裁判所は,処分権主義から,心証を形成した600万円の貸金債権について判決をすることができない。
 よって,裁判所は,Yに対し600万円の支払いを命ずる判決をすることができない。
2 問2で,裁判所が,消滅時効を理由としてXの請求を棄却する判決をすることは,弁論主義に反するため,許されない。
 弁論主義とは,裁判資料の収集提出を当事者の権能かつ責任に委ねる原則をいう(※6)。これも,私的自治の原則を権利関係の判断のための裁判資料の収集提出について適用したものである(※7)。その結果,当事者が自由に処分できる権利関係を直接に基礎づける事実,すなわち主要事実については(※8)(※9),私的自治の反映として,当事者による主張がなされない限り,裁判所は,これを判決の基礎とすることができない(※10)
 本問で,裁判所が認定しようとしている消滅時効の抗弁に係る主要事実は,ⓐ権利を行使することができる状態になったこと(民法166条1項2号),ⓑⓐから10年間が経過したこと,ⓒ援用権者が相手方に対し時効援用の意思表示をしたことである(※11)。しかし,Yからは,ⓐないしⓒのいずれの事実も主張されていない。したがって,裁判所は,これらの事実を判決の基礎とすることができない。
 よって,裁判所は,消滅時効を理由としてXの請求を棄却する判決をすることができない。

以 上


(※1)答案用紙の30行制限があるので,「第1 問1について」というタイトルなどは記載せず,1行目から本題に入りましょう。
(※2)「民事訴訟では,当事者が審判対象たる権利関係について処分権を有していることを反映して,当事者が,訴えの定期,審判対象の特定,審判対象の実体的処分および訴訟の終了について自由に決定できるとの原則を認めている。これを広く処分権主義と呼ぶが,そのうち,審判対象を特定し,その上限を明示する権限については,申立事項に関する処分権主義,あるいは申立事項拘束主義と呼ばれる(246条)。私的自治原則の訴訟手続への反映である。」山本和彦『Law Practice民事訴訟法〔第2版〕』(商事法務,2014年)104頁
(※3)「訴訟物たる権利関係は,実体法上は,私的自治の原則の下にその主体たる当事者の自由な管理処分に委ねられる。訴訟法上も,このことを反映して,いかなる権利関係について,いかなる形式の審判を求めるかは,当事者の判断に委ねられる。これが訴訟物についての処分権主義であり,246条がこれを規定する。」伊藤眞『民事訴訟法〔第6版〕』(有斐閣,2018年)219頁
(※4)「246条は,当事者の申立事項が裁判所による審判の対象となることを規定する。ここでいう申立事項は,訴訟物およびそれについての審判の形式を含み,訴状の請求の趣旨および原因によって特定される。裁判所は,申立事項の範囲内で申立てに理由があるか否かを審判しなければならないことが,処分権主義の帰結である。」前掲伊藤220頁
(※5)「確定期限による返還時期の合意がある場合の貸金返還請求権を発生させる要件は,次のとおりとなります。
 ア 消費貸借契約の成立
 (ア)金銭の返還の合意をしたこと(①)
 (イ)金銭を交付したこと(②)
 イ 消費貸借契約の終了(返還時期の合意とその到来)
 (ア)返還時期の合意をしたこと(③)
 (イ)イ(ア)の返還時期の到来(④)
 一方,当事者間に返還時期の合意がない場合には,イに代えて,
 イ’消費貸借契約の終了(催告と催告後相当期間の経過)
 (ア)アの債務の履行を催告したこと(③’)
 (イ)イ’(ア)の催告後相当の期間が経過したこと(④)
が要件となります。」司法研修所『新問題研究要件事実』(司法研修所,2011年)40頁
(※6)「弁論主義とは,訴訟物たる権利関係の基礎をなす事実の確定に必要な裁判資料の収集,すなわち事実と証拠の収集を当事者の権能と責任に委ねる原則である。」前掲伊藤309頁
(※7)「訴訟物たる私人間の権利関係は,私的自治の原則に服し,当事者の自由な処分に委ねられる。弁論主義は,その権利関係の判断のための裁判資料の収集について私的自治の原則が適用されることを根拠としたものである。」前掲伊藤310頁
(※8)「弁論主義の根拠を私的自治に求める以上,その対象も権利関係の発生・消滅・変更の原因となる主要事実に限られるという結論が導かれる。」前掲伊藤312頁
(※9)弁論主義が適用される事実の範囲を主要事実に限ることの理由付けについて,間接事実にまで適用すると自由心証主義に反するというものがありますが,これは間接事実に適用することに消極的な理由付けにすぎず,主要事実に限ることの積極的な理由付けにはなっていません。したがって,この理由付けを書くこと自体は誤りではないですが,弁論主義の本質と結び付けた理由付けをすべきです。もっとも,本問では,間接事実への適用が問題となる事案ではないため,弁論主義の適用される事実の範囲について大展開する必要はなく,簡潔に流すべきでしょう。
(※10)「弁論主義の具体的内容は,以下の3つに区分される。第1に,権利関係を直接に基礎づける事実,すなわち主要事実については,当事者による主張がなされない限り,裁判所は,これを判決の基礎とすることはできない。この原則から,主張責任の概念,および判決の基礎となる事実によって構成される訴訟資料とその認定のための証拠資料の区別などが派生する。」「弁論主義の第1の内容,すなわち主要事実についての当事者の提出責任は,その事実にもとづく権利関係について私的自治が認められることを反映している。」前掲伊藤309,311頁
(※11)「新民法においては,債権の消滅時効の法律要件は,
【主観的起算点から5年の場合】
① 権利を行使することができる状態になったこと(新民法166条1項1号)
② 債権者が上記①を知ったこと(同上)
③ 上記②から5年間が経過したこと(同上)
④ 援用権者が相手方に対し時効援用の意思表示をしたこと
又は
【客観的起算点から10年の場合】
①’権利を行使することができる状態になったこと(新民法166条1項2号)
②’上記①’から10年間が経過したこと(同上)
③’援用権者が相手方に対し時効援用の意思表示をしたこと
となります。」司法研修所『新問題研究要件事実追補-民法(債権関係)改正に伴う追補-』(司法研修所,2019年)1頁


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