2017-06-06(Tue)

最判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁


【最判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁】

       主  文
 原判決を破棄する。
 被上告人の控訴を棄却する。
 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。

       理  由
 上告代理人近藤博徳ほかの上告理由について

1 事案の概要
 本件は,法律上の婚姻関係にない日本国民である父とフィリピン共和国籍を有する母との間に本邦において出生した上告人らが,出生後父から認知を受けたことを理由として平成17年に法務大臣あてに国籍取得届を提出したところ,国籍取得の条件を備えておらず,日本国籍を取得していないものとされたことから,被上告人に対し,日本国籍を有することの確認を求めている事案である。
2 国籍法2条1号,3条について
 国籍法2条1号は,子は出生の時に父又は母が日本国民であるときに日本国民とする旨を規定して,日本国籍の生来的取得について,いわゆる父母両系血統主義によることを定めている。したがって,子が出生の時に日本国民である父又は母との間に法律上の親子関係を有するときは,生来的に日本国籍を取得することになる。
 国籍法3条1項は,「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であった者を除く。)は,認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において,その父又は母が現に日本国民であるとき,又はその死亡の時に日本国民であったときは,法務大臣に届け出ることによって,日本の国籍を取得することができる。」と規定し,同条2項は,「前項の規定による届出をした者は,その届出の時に日本の国籍を取得する。」と規定している。同条1項は,父又は母が認知をした場合について規定しているが,日本国民である母の非嫡出子は,出生により母との間に法律上の親子関係が生ずると解され,また,日本国民である父が胎児認知した子は,出生時に父との間に法律上の親子関係が生ずることとなり,それぞれ同法2条1号により生来的に日本国籍を取得することから,同法3条1項は,実際上は,法律上の婚姻関係にない日本国民であ
る父と日本国民でない母との間に出生した子で,父から胎児認知を受けていないものに限り適用されることになる。
3 原判決等
 上告人らは,国籍法3条1項のうち,日本国民である父の非嫡出子について父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことを日本国籍取得の要件とした部分が憲法14条1項に違反するとして,上告人らが法務大臣あてに国籍取得届を提出したことにより日本国籍を取得した旨を主張した。
 これに対し,原判決は,仮に国籍法3条1項のうち上記の要件を定めた部分のみが憲法14条1項に違反し,無効であったとしても,そのことから,日本国民である父の非嫡出子が認知と届出のみによって日本国籍を取得し得るものと解することは,法解釈の名の下に,実質的に国籍法に定めのない国籍取得の要件を創設するものにほかならず,裁判所がこのような立法作用を行うことは違憲立法審査権の限界を逸脱するものであって許されないし,また,国籍法3条1項の趣旨からすると,上記の要件を定めた部分が憲法14条1項に違反して無効であるとすれば,国籍法3条1項全体が無効となると解するのが相当であり,その場合,出生後に日本国民である父から認知されたにとどまる子が日本国籍を取得する制度が創設されるわけではないから,憲法14条1項に違反することにより国籍法3条1項の規定の一部又は全部が無効であったとしても,上告人らは法務大臣に対する届出により日本国籍を取得することはできないとして,上告人らの請求を棄却した。
4 国籍法3条1項による国籍取得の区別の憲法適合性について
 所論は,国籍法3条1項の規定が,日本国民である父の非嫡出子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した者に限り日本国籍の取得を認めていることによって,同じく日本国民である父から認知された子でありながら父母が法律上の婚姻をしていない非嫡出子は,その余の同項所定の要件を満たしても日本国籍を取得することができないという区別(以下「本件区別」という。)が生じており,このことが憲法14条1項に違反するとした上で,国籍法3条1項の規定のうち本件区別を生じさせた部分のみが違憲無効であるとし,上告人らには同項のその余の規定に基づいて日本国籍の取得が認められるべきである旨をいうものである。そこで,以下,これらの点について検討を加えることとする。
(1) 憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,この規定は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨であると解すべきことは,当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・刑集27巻3号265頁等)。
 憲法10条は,「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」と規定し,これを受けて,国籍法は,日本国籍の得喪に関する要件を規定している。憲法10条の規定は,国籍は国家の構成員としての資格であり,国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情,伝統,政治的,社会的及び経済的環境等,種々の要因を考慮する必要があることから,これをどのように定めるかについて,立法府の裁量判断にゆだねる趣旨のものであると解される。しかしながら,このようにして定められた日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別が,合理的理由のない差別的取扱いとなるときは,憲法14条1項違反の問題を生ずることはいうまでもない。すなわち,立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合,又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には,当該区別は,合理的な理由のない差別として,同項に違反するものと解されることになる。
 日本国籍は,我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。一方,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である。
(2)ア 国籍法3条の規定する届出による国籍取得の制度は,法律上の婚姻関係にない日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した子について,父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得すること(以下「準正」という。)のほか同条1項の定める一定の要件を満たした場合に限り,法務大臣への届出によって日本国籍の取得を認めるものであり,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した嫡出子が生来的に日本国籍を取得することとの均衡を図ることによって,同法の基本的な原則である血統主義を補完するものとして,昭和59年法律第45号による国籍法の改正において新たに設けられたものである。
 そして,国籍法3条1項は,日本国民である父が日本国民でない母との間の子を出生後に認知しただけでは日本国籍の取得を認めず,準正のあった場合に限り日本国籍を取得させることとしており,これによって本件区別が生じている。このような規定が設けられた主な理由は,日本国民である父が出生後に認知した子については,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得することによって,日本国民である父との生活の一体化が生じ,家族生活を通じた我が国社会との密接な結び付きが生ずることから,日本国籍の取得を認めることが相当であるという点にあるものと解される。また,上記国籍法改正の当時には,父母両系血統主義を採用する国には,自国民である父の子について認知だけでなく準正のあった場合に限り自国籍の取得を認める国が多かったことも,本件区別が合理的なものとして設けられた理由であると解される。
イ 日本国民を血統上の親として出生した子であっても,日本国籍を生来的に取得しなかった場合には,その後の生活を通じて国籍国である外国との密接な結び付きを生じさせている可能性があるから,国籍法3条1項は,同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ,日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて,これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。このような目的を達成するため準正その他の要件が設けられ,これにより本件区別が生じたのであるが,本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には,合理的な根拠があるというべきである。
 また,国籍法3条1項の規定が設けられた当時の社会通念や社会的状況の下においては,日本国民である父と日本国民でない母との間の子について,父母が法律上の婚姻をしたことをもって日本国民である父との家族生活を通じた我が国との密接な結び付きの存在を示すものとみることには相応の理由があったものとみられ,当時の諸外国における前記のような国籍法制の傾向にかんがみても,同項の規定が認知に加えて準正を日本国籍取得の要件としたことには,上記の立法目的との間に一定の合理的関連性があったものということができる。
ウ しかしながら,その後,我が国における社会的,経済的環境等の変化に伴って,夫婦共同生活の在り方を含む家族生活や親子関係に関する意識も一様ではなくなってきており,今日では,出生数に占める非嫡出子の割合が増加するなど,家族生活や親子関係の実態も変化し多様化してきている。このような社会通念及び社会的状況の変化に加えて,近年,我が国の国際化の進展に伴い国際的交流が増大することにより,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生する子が増加しているところ,両親の一方のみが日本国民である場合には,同居の有無など家族生活の実態においても,法律上の婚姻やそれを背景とした親子関係の在り方についての認識においても,両親が日本国民である場合と比べてより複雑多様な面があり,その子と我が国との結び付きの強弱を両親が法律上の婚姻をしているか否かをもって直ちに測ることはできない。これらのことを考慮すれば,日本国民である父が日本国民でない母と法律上の婚姻をしたことをもって,初めて子に日本国籍を与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付きが認められるものとすることは,今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するものということはできない。
 また,諸外国においては,非嫡出子に対する法的な差別的取扱いを解消する方向にあることがうかがわれ,我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも,児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存する。さらに,国籍法3条1項の規定が設けられた後,自国民である父の非嫡出子について準正を国籍取得の要件としていた多くの国において,今日までに,認知等により自国民との父子関係の成立が認められた場合にはそれだけで自国籍の取得を認める旨の法改正が行われている。
 以上のような我が国を取り巻く国内的,国際的な社会的環境等の変化に照らしてみると,準正を出生後における届出による日本国籍取得の要件としておくことについて,前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだすことがもはや難しくなっているというべきである。
エ 一方,国籍法は,前記のとおり,父母両系血統主義を採用し,日本国民である父又は母との法律上の親子関係があることをもって我が国との密接な結び付きがあるものとして日本国籍を付与するという立場に立って,出生の時に父又は母のいずれかが日本国民であるときには子が日本国籍を取得するものとしている(2条1号)。その結果,日本国民である父又は母の嫡出子として出生した子はもとより,日本国民である父から胎児認知された非嫡出子及び日本国民である母の非嫡出子も,生来的に日本国籍を取得することとなるところ,同じく日本国民を血統上の親として出生し,法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず,日本国民である父から出生後に認知された子のうち準正により嫡出子たる身分を取得しないものに限っては,生来的に日本国籍を取得しないのみならず,同法3条1項所定の届出により日本国籍を取得することもできないことになる。このような区別の結果,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子のみが,日本国籍の取得について著しい差別的取扱いを受けているものといわざるを得ない。
 日本国籍の取得が,前記のとおり,我が国において基本的人権の保障等を受ける上で重大な意味を持つものであることにかんがみれば,以上のような差別的取扱いによって子の被る不利益は看過し難いものというべきであり,このような差別的取扱いについては,前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだし難いといわざるを得ない。とりわけ,日本国民である父から胎児認知された子と出生後に認知された子との間においては,日本国民である父との家族生活を通じた我が国社会との結び付きの程度に一般的な差異が存するとは考え難く,日本国籍の取得に関して上記の区別を設けることの合理性を我が国社会との結び付きの程度という観点から説明することは困難である。また,父母両系血統主義を採用する国籍法の下で,日本国民である母の非嫡出子が出生により日本国籍を取得するにもかかわらず,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子が届出による日本国籍の取得すら認められないことには,両性の平等という観点からみてその基本的立場に沿わないところがあるというべきである。
オ 上記ウ,エで説示した事情を併せ考慮するならば,国籍法が,同じく日本国民との間に法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず,上記のような非嫡出子についてのみ,父母の婚姻という,子にはどうすることもできない父母の身分行為が行われない限り,生来的にも届出によっても日本国籍の取得を認めないとしている点は,今日においては,立法府に与えられた裁量権を考慮しても,我が国との密接な結び付きを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用しているものというほかなく,その結果,不合理な差別を生じさせているものといわざるを得ない。
カ 確かに,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子についても,国籍法8条1号所定の簡易帰化により日本国籍を取得するみちが開かれている。しかしながら,帰化は法務大臣の裁量行為であり,同号所定の条件を満たす者であっても当然に日本国籍を取得するわけではないから,これを届出による日本国籍の取得に代わるものとみることにより,本件区別が前記立法目的との間の合理的関連性を欠くものでないということはできない。
 なお,日本国民である父の認知によって準正を待たずに日本国籍の取得を認めた場合に,国籍取得のための仮装認知がされるおそれがあるから,このような仮装行為による国籍取得を防止する必要があるということも,本件区別が設けられた理由の一つであると解される。しかし,そのようなおそれがあるとしても,父母の婚姻により子が嫡出子たる身分を取得することを日本国籍取得の要件とすることが,仮装行為による国籍取得の防止の要請との間において必ずしも合理的関連性を有するものとはいい難く,上記オの結論を覆す理由とすることは困難である。
(3) 以上によれば,本件区別については,これを生じさせた立法目的自体に合理的な根拠は認められるものの,立法目的との間における合理的関連性は,我が国の内外における社会的環境の変化等によって失われており,今日において,国籍法3条1項の規定は,日本国籍の取得につき合理性を欠いた過剰な要件を課するものとなっているというべきである。しかも,本件区別については,前記(2)エで説示した他の区別も存在しており,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子に対して,日本国籍の取得において著しく不利益な差別的取扱いを生じさせているといわざるを得ず,国籍取得の要件を定めるに当たって立法府に与えられた裁量権を考慮しても,この結果について,上記の立法目的との間において合理的関連性があるものということはもはやできない。
 そうすると,本件区別は,遅くとも上告人らが法務大臣あてに国籍取得届を提出した当時には,立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっていたと解される。
 したがって,上記時点において,本件区別は合理的な理由のない差別となっていたといわざるを得ず,国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,憲法14条1項に違反するものであったというべきである。
5 本件区別による違憲の状態を前提として上告人らに日本国籍の取得を認めることの可否
(1) 以上のとおり,国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,遅くとも上記時点以降において憲法14条1項に違反するといわざるを得ないが,国籍法3条1項が日本国籍の取得について過剰な要件を課したことにより本件区別が生じたからといって,本件区別による違憲の状態を解消するために同項の規定自体を全部無効として,準正のあった子(以下「準正子」という。)の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは,血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり,立法者の合理的意思として想定し難いものであって,採り得ない解釈であるといわざるを得ない。そうすると,準正子について届出による日本国籍の取得を認める同項の存在を前提として,本件区別により不合理な差別的取扱いを受けている者の救済を図り,本件区別による違憲の状態を是正する必要があることになる。
(2) このような見地に立って是正の方法を検討すると,憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と国籍法の採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえれば,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知されたにとどまる子についても,血統主義を基調として出生後における日本国籍の取得を認めた同法3条1項の規定の趣旨・内容を等しく及ぼすほかはない。すなわち,このような子についても,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという部分を除いた同項所定の要件が満たされる場合に,届出により日本国籍を取得することが認められるものとすることによって,同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能となるものということができ,この解釈は,本件区別による不合理な差別的取扱いを受けている者に対して直接的な救済のみちを開くという観点からも,相当性を有するものというべきである。
 そして,上記の解釈は,本件区別に係る違憲の瑕疵を是正するため,国籍法3条1項につき,同項を全体として無効とすることなく,過剰な要件を設けることにより本件区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであって,その結果も,準正子と同様の要件による日本国籍の取得を認めるにとどまるものである。この解釈は,日本国民との法律上の親子関係の存在という血統主義の要請を満たすとともに,父が現に日本国民であることなど我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を満たす場合に出生後における日本国籍の取得を認めるものとして,同項の規定の趣旨及び目的に沿うものであり,この解釈をもって,裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは,国籍取得の要件に関する他の立法上の合理的な選択肢の存在の可能性を考慮したとしても,当を得ないものというべきである。
 したがって,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである。
(3) 原審の適法に確定した事実によれば,上告人らは,上記の解釈の下で国籍法3条1項の規定する日本国籍取得の要件をいずれも満たしていることが認められる。上告人らの国籍取得届が,被上告人が主張する父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという要件を満たす旨の記載を欠き,また,同要件を証する添付書類の添付を欠くものであったことは,同項所定の届出としての効力を左右するものではない。そうすると,上告人らは,法務大臣あての国籍取得届を提出したことによって,同項の規定により日本国籍を取得したものと解するのが相当である。
6 結論
 以上のとおり,上告人らは,国籍法3条1項の規定により日本国籍を取得したものと認められるところ,これと異なる見解の下に上告人らの請求を棄却した原審の判断は,憲法14条1項及び81条並びに国籍法の解釈を誤ったものである。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,上告人らの請求には理由があり,これらを認容した第1審判決は正当ということができるから,被上告人の控訴を棄却すべきである。
 よって,裁判官横尾和子,同津野修,同古田佑紀の反対意見,裁判官甲斐中辰夫,同堀籠幸男の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官泉徳治,同今井功,同那須弘平,同涌井紀夫,同田原睦夫,同近藤崇晴の各補足意見,裁判官藤田宙靖の意見がある。

裁判官泉徳治の補足意見は,次のとおりである。
1 国籍法3条1項は,日本国民の子のうち同法2条の適用対象とならないものに対する日本国籍の付与について,「父母の婚姻」を要件とすることにより,父に生後認知され「父母の婚姻」がない非嫡出子を付与の対象から排除している。これは,日本国籍の付与に関し,非嫡出子であるという社会的身分と,日本国民である親が父であるという親の性別により,父に生後認知された非嫡出子を差別するものである。
 この差別は,差別の対象となる権益が日本国籍という基本的な法的地位であり,差別の理由が憲法14条1項に差別禁止事由として掲げられている社会的身分及び性別であるから,それが同項に違反しないというためには,強度の正当化事由が必要であって,国籍法3条1項の立法目的が国にとり重要なものであり,この立法目的と,「父母の婚姻」により嫡出子たる身分を取得することを要求するという手段との間に,事実上の実質的関連性が存することが必要である。
2 国籍法3条1項の立法目的は,父母両系血統主義に基づき,日本国民の子で同法2条の適用対象とならないものに対し,日本社会との密接な結合関係を有することを条件として,日本国籍を付与しようとすることにあり,この立法目的自体は正当なものということができる。
3 国籍法3条1項は,上記の立法目的を実現する手段として,「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子」に限って日本国籍を付与することを規定し,父に生後認知された非嫡出子を付与の対象から排除している。
 しかし,「父母の婚姻」は,子や日本国民である父の1人の意思では実現することができない要件であり,日本国民を父に持ちながら自己又は父の意思のみでは日本国籍を取得することができない子を作り出すものである。一方,日本国民である父に生後認知された非嫡出子は,「父母の婚姻」により嫡出子たる身分を取得していなくても,父との間で法律上の親子関係を有し,互いに扶養の義務を負う関係にあって,日本社会との結合関係を現に有するものである。上記非嫡出子の日本社会との結合関係の密接さは,国籍法2条の適用対象となっている日本国民である母の非嫡出子や日本国民である父に胎児認知された非嫡出子のそれと,それ程変わるものではない。また,父母が内縁関係にあり,あるいは事実上父の監護を受けている場合においては,父に生後認知された非嫡出子の日本社会との結合関係が嫡出子のそれに実質的に劣るものということは困難である。そして,上記非嫡出子は,父の認知を契機として,日本社会との結合関係を発展させる可能性を潜在的に有しているのである。家族関係が多様化しつつある現在の日本において,上記非嫡出子の日本社会との結合関係が,「父母の婚姻」がない限り希薄であるとするのは,型にはまった画一的な見方といわざるを得ない。
 したがって,前記の立法目的と,日本国民である父に生後認知された子のうち「父母の婚姻」により嫡出子たる身分を取得したものに限って日本国籍を付与することとした手段との間には,事実上の実質的関連性があるとはいい難い。
 結局,国籍法3条1項が日本国籍の付与につき非嫡出子という社会的身分及び親の性別により設けた差別は,強度の正当化事由を有するものということはできず,憲法14条1項の規定に違反するといわざるを得ない。
4 そして,上告人らに対しては,国籍法3条1項から「父母の婚姻」の部分を除いたその余の規定の適用により,日本国籍が付与されるべきであると考える。
 国籍法3条1項の主旨は日本国民の子で同法2条の適用対象とならないものに対し日本国籍を付与することにあり,「父母の婚姻」はそのための一条件にすぎないから,その部分が違憲であるとしても,上記主旨はできる限り生かすのが,立法意思に沿うものというべきである。また,上記のような国籍法3条1項の適用は,「すべての児童は,国籍を取得する権利を有する」ことを規定した市民的及び政治的権利に関する国際規約24条3項や児童の権利に関する条約7条1項の趣旨にも適合するものである。
 ただし,上記のような国籍法3条1項の適用は,国会の立法意思として,「父母の婚姻」の部分を除いたままでは同項を存続させないであろうというがい然性が明白である場合には,許されないと解される。国籍法3条1項から「父母の婚姻」の部分を除くことに代わる選択肢として,まず,同条全体を廃止することが考えられるが,この選択肢は,日本国民である父に生後認知された非嫡出子を現行法以上に差別するものであり,すべての児童が出生や父母の性別により差別されないことを規定した市民的及び政治的権利に関する国際規約24条及び児童の権利に関する条約2条を遵守すべき日本の国会が,この選択肢を採用することは考えられない。次に,国籍法2条の適用対象となっている日本国民である母の非嫡出子及び胎児認知された非嫡出子についても,「父母の婚姻」という要件を新たに課するという選択肢が考えられるが,この選択肢は,非嫡出子一般をその出生により不当に差別するもので,憲法の平等原則に違反するから,国会がこの選択肢を採用することも考えられない。さらに,「日本で生まれたこと」,「一定期間以上日本に住所を有すること」,「日本国民と生計を一にすること」など,日本社会との密接な結合関係を証するための新たな要件を課するという選択肢が考えられるが,この選択肢は,基本的に法律上の親子関係により日本社会との結合関係を判断するという国籍法の血統主義とは別の観点から要件を付加するもので,国会がこの選択肢を採用するがい然性が高いということもできない。結局,国会の立法意思として,「父母の婚姻」の部分を除いては国籍法3条1項をそのまま存続させないであろうというがい然性が明白であるということはできず,「父母の婚姻」の部分を除いて同項を適用し,日本国民である父が生後認知した非嫡出子に日本国籍を付与する方が,立法意思にかなうものと解される。
 もとより,国会が,将来において,国籍法3条1項を憲法に適合する方法で改正することは,その立法裁量に属するところであるが,それまでの間は,「父母の婚姻」の部分を除いて同項を適用すべきである。
 また,「父母の婚姻」の部分を除いて国籍法3条1項の規定を適用することは,憲法の平等原則の下で同項を解釈し適用するものであって,司法が新たな立法を行うものではなく,司法の役割として当然に許されるところである。
5 多数意見は,前記差別について,立法目的と手段との間の関連性の点から違憲と解するものであって,基本的な判断の枠組みを共通にするものであり,また,国籍法3条1項の上告人らに対する適用についても,前記4と同じ趣旨を述べるものであるから,多数意見に同調する。

裁判官今井功の補足意見は,次のとおりである。
 私は,多数意見に同調するものであるが,判示5の点(本件上告人らに日本国籍の取得を認めることの可否)についての反対意見にかんがみ,法律の規定の一部が違憲である場合の司法救済の在り方について,私の意見を補足して述べておきたい。
1 反対意見は,日本国民である父から出生後認知された者のうち,準正子に届出による日本国籍(以下単に「国籍」という。)の取得を認め,そうでない者(以下「非準正子」という。)についてはこれを認める立法をしていないこと(立法不存在ないし立法不作為)が憲法14条1項に違反するとしても,非準正子にも国籍取得を認めることは,国籍法の定めていない国籍付与要件を判決によって創設するもので,司法権の範囲を逸脱し,許されないとするものである。
2 裁判所に違憲立法審査権が与えられた趣旨は,違憲の法律を無効とすることによって,国民の権利利益を擁護すること,すなわち,違憲の法律によりその権利利益を侵害されている者の救済を図ることにある。無効とされる法律の規定が,国民に刑罰を科し,あるいは国民の権利利益をはく奪するものである場合には,基本的に,その規定の効力がないものとして,これを適用しないというだけであるから,特段の問題はない。
 問題となるのは,本件のようにその法律の規定が国民に権利利益を与える場合である。この場合には,その規定全体を無効とすると,権利利益を与える根拠がなくなって,問題となっている権利利益を与えられないことになる。このように解釈すべき場合もあろう。しかし,国民に権利利益を与える規定が,権利利益を与える要件として,A,Bの二つの要件を定め,この両要件を満たす者に限り,権利利益を与える(反対解釈によりA要件のみを満たす者には権利利益を与えない。)と定めている場合において,権利利益を与える要件としてA要件の外にB要件を要求することが平等原則に反し,違憲であると判断されたときに,A要件のみを備える者にも当該権利利益を与えることができるのかが,ここでの問題である。このような場合には,その法律全体の仕組み,当該規定が違憲とされた理由,結果の妥当性等を考慮して,B要件の定めのみが無効である(すなわちB要件の定めがないもの)とし,その結果,A要件のみを満たした者についても,その規定の定める権利利益を与えることになると解することも,法律の合憲的な解釈として十分可能であると考える。
3 国籍法は,父母両系血統主義を採用し,その上に立って,国籍の取得の方法として,①出生による当然の取得(2条),②届出による取得(3条)及び③帰化による取得(4条から9条まで)の三つの方法を定めている。
 そして,2条による当然の取得については,出生の時に法律上の父又は母が日本国民であるという要件を備える子は,当然に国籍を取得することを規定している。次に,3条の届出による取得については,2条の補完規定として,血統上の父は日本国民であるが,非嫡出子として出生し,その後父から認知された子について,準正子に限り国籍取得が認められるとし,非準正子には国籍取得を認めていない。さらに,4条から9条までにおいては,2条及び3条により国籍取得の認められない者について帰化(法務大臣の許可)により国籍取得を認めることとしている。
 このような国籍法の定める国籍取得の仕組みを見ると,同法は,法的な意味での日本国民の血統が認められる場合,すなわち法律上の父又は母が日本国民である場合には,国籍取得を認めることを大原則とし,2条はこの原則を無条件で貫き,3条においては,これに父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという要件(以下「準正要件」という。)を付加しているということができる。このような国籍法の仕組みからすれば,3条は,血統主義の原則を認めつつ,準正要件を備えない者を除外した規定といわざるを得ない。この点について,反対意見は,3条1項は出生後に日本国民である父から認知された子のうち準正子のみに届出による国籍取得を認めたにすぎず,非準正子の国籍取得については単にこれを認める規定を設けていないという立法不作為の状態が存在するにすぎない旨いうが,国会が同項の規定を設けて準正子のみに届出による国籍取得を認めることとしたことにより,反面において,非準正子にはこれを認めないこととする積極的な立法裁量権を行使したことは明らかである。そして,3条1項が準正子と非準正子とを差別していることが平等原則に反し違憲であるとした場合には,非準正子も,準正子と同様に,国籍取得を認められるべきであるとすることも,上記2のように法律の合憲的な解釈として十分成り立ち得る。
 このように考えれば,多数意見は,裁判所が違憲立法審査権を行使して国籍法3条1項を憲法に適合するように解釈した結果,非準正子についても準正子と同様に同項により国籍取得を認められるべきであるとするものであって,同法の定める要件を超えて新たな立法をしたとの非難は当たらない。現行国籍法の下における準正子と非準正子との間の平等原則に違反する差別状態を裁判所が解釈によって解消するには,準正子に与えられた効果を否定するか,非準正子に準正子と同様の効果を与えるしかない。前者の解釈が,その結果の妥当性は別として,立法権を侵害するものではないことには異論はないであろう。これと同様に,後者の解釈を採ることも許容されるというべきである。
 私は,以上のような理由により,国籍法3条1項を憲法に適合するように解釈した結果,同項は,日本国民である父から出生後に認知された子は,届出により国籍を取得することができることを認めたものと解するのが相当であり,このように解しても立法権を侵害するものではないと考える。
4 反対意見によれば,同じく日本国民である父から認知された子であるにもかかわらず,準正子は国籍を取得できるのに,非準正子は司法救済を求めたとしても国籍を取得できないという平等原則に反する違憲の状態が依然として続くことになる。
 反対意見は,違憲の状態が続くことになっても,立法がない限り,やむを得ないとするものと考えられる。反対意見がそのように解する理由は,憲法10条が「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」と規定し,いかなる者に国籍を与えるかは国会が立法によって定める事柄であり,国籍法が非準正子に国籍取得を認める規定を設けていない以上,準正子と非準正子との差別が平等原則に反し違憲であっても,非準正子について国籍取得を認めることは,裁判所が新たな立法をすることになり,許されないというものと理解される。
 しかし,どのような要件があれば国籍を与えるかについて国会がその裁量により立法を行うことが原則であることは当然であるけれども,国会がその裁量権を行使して行った立法の合憲性について審査を行うのは裁判所の責務である。国籍法3条1項は,国会がその裁量権を行使して行った立法であり,これに対して,裁判所は,同項の規定が準正子と非準正子との間に合理的でない差別を生じさせており,平等原則に反し違憲と判断したのである。この場合に,違憲の法律により本来ならば与えられるべき保護を受けることができない者に対し,その保護を与えることは,裁判所の責務であって,立法権を侵害するものではなく,司法権の範囲を超えるものとはいえない。
5 非準正子についても国籍を付与するということになれば,国会において,国籍付与の要件として,準正要件に代えて例えば日本国内における一定期間の居住等の他の要件を定めることもできたのに,その裁量権を奪うことになるとする議論もあり得ないではない。そうであっても,裁判所がそのような要件を定めていない国籍法3条1項の合憲的解釈として,非準正子について国籍取得を認めたからといって,今後,国会がその裁量権を行使して,日本国民を父とする生後認知子の国籍取得につき,準正要件に代えて,憲法に適合する要件を定める新たな立法をすることが何ら妨げられるものでないことは,いうまでもないところであり,上記のような解釈を採ることが国会の立法裁量権を奪うことになるものではない。
 裁判官那須弘平,同涌井紀夫は,裁判官今井功の補足意見に同調する。

 裁判官田原睦夫の補足意見は,次のとおりである。
 私は,多数意見に賛成するものであるが,国籍の取得と教育を受ける権利等との関係及び胎児認知を受けた者と生後に認知を受けた者との区別の問題に関し,以下のとおり補足意見を述べる。
1 国籍は,国家の構成員たることを意味するものであり,日本国籍を有する者は,我が国に居住する自由を有するとともに,憲法の保障する基本的人権を享受し,職業を自由に選択し,参政権を行使し,また,法律が国民に認めた各種の権利を行使することができる。
 出生又は認知と届出により日本国籍を取得し得るか否かは,国民に認められたそれらの権利を当然に取得し,行使することができるか否かにかかわるものであり,その対象者の人権に直接かかわる事柄である。
 認知と届出による国籍の取得は,20歳未満の者において認められており(国籍法3条1項),また,実際にその取得の可否が問題となる対象者のほとんどは,本件同様,未就学児又は学齢児童・生徒である。したがって,それら対象者においては,国籍の取得により認められる参政権や職業選択の自由よりも,教育を受ける権利や社会保障を受ける権利の行使の可否がより重要である。
 憲法26条は,1項で国民の教育を受ける権利を定め,2項でその裏面として保護者にその子女に対して普通教育を受けさせる義務を定めるとともに,義務教育はこれを無償とする,と定める。そして,この憲法の規定を受けて教育基本法は,国民に,その保護する子に普通教育を受けさせる義務を定め,国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については,授業料を徴収しない,と規定する(旧教育基本法4条,教育基本法5条1項,4項)。また,学校教育法は,保護者に,その子女に対する小学校,中学校への就学義務を定める(平成19年法律第96号による改正前の学校教育法22条,39条,同改正後の学校教育法16条,17条)。そして,学校教育法施行令は,この就学義務を履行させるための事務として,市町村の教育委員会は,当該市町村の住民基本台帳に基づいて,当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童及び学齢生徒について学齢簿を編製し,就学予定者の保護者に対し,翌学年の初めから2月前までに小学校又は中学校の入学期日を通知しなければならない(学校教育法施行令1条,5条)等,様々な規定を設けている。これらの規定は,子女の保護者の義務の視点から定められているが,それは,憲法26条1項の定める当該子女の教育を受ける権利を具現化したものであり,当該子女は,無償で義務教育を受ける権利を有しているのである。ところが,日本国民以外の子女に対しては,それらの規定は適用されず,運用上,市町村の教育委員会が就学を希望する外国人に対し,その就学を許可するとの取扱いがなされているにすぎない。
 また,社会保障の関係では,生活保護法の適用に関して,日本国民は,要保護者たり得る(生活保護法2条)が,外国人は同法の適用を受けることができず,行政実務において生活保護に準じて運用されているにすぎないのである。
 このように,現行法上,本件上告人らのような子女においては,日本国籍を取得することができるか否かにより,教育や社会保障の側面において,その権利を享受できるか否かという点で,大きな差異が存するのである。
2 そこで,日本国民である父と日本国民でない母との間で出生し,出生後父から認知をされた子(以下「生後認知子」という。)の国籍取得につき,その父と母が婚姻をして,当該生後認知子が準正子となった場合にのみ認め,それ以外の場合に認めない国籍法3条1項の規定の生後認知子と準正子との取扱いの区別,また,日本国民たる父が胎児認知した場合に当該胎児認知子は当然に国籍を取得する(国籍法2条1号)ことと生後認知子との区別の合理性が,憲法14条1項に適合するか否かの観点から問題となる。
 多数意見は,国籍法3条1項が生後認知子のうち準正子と非準正子を区別することが憲法14条1項に違反するものとし,国籍法3条1項のうち「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した」という部分を除いた同項所定の要件が満たされるときは日本国籍を取得することが認められるとするが,その点については全く異論はない。
 それとともに,私は,生後認知子における準正子と非準正子との区別の問題と並んで,生後認知子と胎児認知子間の区別の問題も,憲法14条1項との関係で同様に重要であると考える。
 準正子となるか否かは,子の全く与り知らないところで定まるところ,その点においては,胎児認知子と生後認知子との関係についても同様である。しかし,準正の場合は,父母が婚姻するという法的な手続が経られている。ところが,胎児認知子と生後認知子との間では,父の認知時期が胎児時か出生後かという時期の違いがあるのみである。そして,多数意見4(2)エで指摘するとおり,胎児認知子と生後認知子との間においては,日本国民である父の家族生活を通じた我が国社会との結び付きの程度に一般的な差異が存するとは考え難く,日本国籍の取得に関して上記の区別を設けることの合理性を我が国社会との結び付きの程度という観点から説明することは困難である。かかる点からすれば,胎児認知子に当然に日本国籍の取得を認め,生後認知子には準正子となる以外に日本国籍の取得を認めない国籍法の定めは,憲法14条1項に違反するという結論が導かれ得る。
 そうして,国籍法3条1項自体を無効と解した上で,生後認知子については,民法の定める認知の遡及効(民法784条)が国籍の取得の場合にも及ぶと解することができるならば,生後認知子は,国籍法2条1号により出生時にさかのぼって国籍を取得することとなり,胎児認知子と生後認知子との区別を解消することができることとなる。しかし,このように認知の遡及効が国籍の取得にまで及ぶと解した場合には,認知前に既に我が国以外の国籍を取得していた生後認知子の意思と無関係に認知により当然に国籍を認めることの是非や二重国籍の問題が生じ,さらには遡及的に国籍を認めることに伴い様々な分野において法的問題等が生じるのであって,それらの諸点は,一義的な解決は困難であり,別途法律によって解決を図らざるを得ない事柄である。このように多くの法的な諸問題を生じるような解釈は,国籍法の解釈の枠を超えるものといわざるを得ないのであって,その点からしてかかる見解を採ることはできない。
 そうすると,多数意見のとおり国籍法3条1項を限定的に解釈し,20歳未満の生後認知子は,法務大臣に届け出ることによって日本国籍を取得することができると解することが,同法の全体の体系とも整合し,また,上告人ら及び上告人らと同様にその要件に該当する者の個別救済を図る上で,至当な解釈であると考える。
 なお,かかる結論を採る場合,胎児認知子は出生により当然に日本国籍を取得するのに対し,生後認知子が日本国籍を取得するには法務大臣への届出を要するという点において区別が存することになるが,生後認知子の場合,上記の二重国籍の問題等もあり,その国籍の取得を生後認知子(その親権者)の意思にゆだねて届出要件を課すという区別を設けることは,立法の合理的裁量の範囲内であって,憲法14条1項の問題が生じることはないものというべきである。

 裁判官近藤崇晴の補足意見は,次のとおりである。
 多数意見は,国籍法3条1項が本件区別を生じさせていることの違憲を宣言するにとどまらず,上告人らが日本国籍を取得したものとして,上告人らが日本国籍を有することを確認した第1審判決を支持し,これに対する控訴を棄却するものである。このように,国籍法3条1項の定める要件のうち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた他の要件のみをもって国籍の取得を認めることについては,立法府が準正要件に代えて他の合理的な要件を選択する機会を奪うこととなり,立法府に与えられた立法政策上の裁量権を不当に制約するものであって許されないとの批判があり得る。私は,この点に関する今井裁判官の補足意見に全面的に賛同するとともに,多数意見の一員として,更に補足的に意見を述べておきたい。
 多数意見は,国籍法3条1項の定める要件のうち準正要件を除いた他の要件のみをもって国籍の取得を認めるのであるが,これはあくまでも現行の国籍法を憲法に適合するように解釈した結果なのであって,国籍法を改正することによって他の要件を付加することが憲法に違反するということを意味するものではない。立法政策上の判断によって準正要件に代わる他の要件を付加することは,それが憲法に適合している限り許されることは当然である。
 多数意見が説示するように,父母両系血統主義を基調としつつも,日本国民との法律上の親子関係の存在に加え,我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて,これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとするという立法目的自体には,合理的な根拠がある。ただ,その目的を達成するために準正を要件とすることは,もはや立法目的との間に合理的関連性を見いだすことができないとしたのである。したがって,国籍法を改正することによって我が国との密接な結び付きの指標となるべき他の要件を設けることは,それが立法目的との間に合理的関連性を有するのであれば,立法政策上の裁量権の行使として許されることになる。例えば,日本国民である父が出生後に認知したことに加えて,出生地が本邦内であること,あるいは本邦内において一定期間居住していることを国籍取得の要件とすることは,諸外国の立法例にも見られるところであり,政策上の当否の点は別として,将来に向けての選択肢にはなり得るところであろう。
 また,認知と届出のみを要件とすると,生物学上の父ではない日本国民によって日本国籍の取得を目的とする仮装認知(偽装認知)がされるおそれがあるとして,これが準正要件を設ける理由の一つとされることがあるが,そのようなおそれがあるとしても,これを防止する要請と準正要件を設けることとの間に合理的関連性があるといい難いことは,多数意見の説示するとおりである。しかし,例えば,仮装認知を防止するために,父として子を認知しようとする者とその子との間に生物学上の父子関係が存することが科学的に証明されることを国籍取得の要件として付加することは,これも政策上の当否の点は別として,将来に向けての選択肢になり得ないものではないであろう。
 このように,本判決の後に,立法府が立法政策上の裁量権を行使して,憲法に適合する範囲内で国籍法を改正し,準正要件に代わる新たな要件を設けることはあり得るところである。このような法改正が行われた場合には,その新たな要件を充足するかどうかにかかわらず非準正子である上告人らが日本国籍を取得しているものとされた本件と,その新たな要件の充足を要求される法改正後の非準正子との間に差異を生ずることになる。しかし,準正要件を除外した国籍法3条1項のその余の要件のみによっても,同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能であることは多数意見の説示するとおりであるから,準正要件に代わる新たな要件を設けるという立法裁量権が行使されたかどうかによってそのような差異を生ずることは,異とするに足りないというべきである。

 裁判官藤田宙靖の意見は,次のとおりである。
1 私は,現行国籍法の下,日本国民である父と日本国民でない母との間に生まれた子の間で,同法3条1項が定める「父母の婚姻」という要件(準正要件)を満たすか否かの違いにより,日本国籍の取得に関し,憲法上是認し得ない差別が生じる結果となっていること,この差別は,国籍法の解釈に当たり同法3条1項の文言に厳格にとらわれることなく,同項は上記の準正要件を満たさない者(非準正子)についても適用さるべきものと合理的に解釈することによって解消することが可能であり,また本件においては,当裁判所としてそのような道を選択すべきであること等の点において,多数意見と結論を同じくするものであるが,現行法3条1項が何を定めており,上記のような合理的解釈とは正確にどのようなことを意味するのかという点の理解に関して,多数意見との間に考え方の違いがあることを否定できないので,その点につき意見を述べることとしたい。
2 現行国籍法の基本構造を見ると,子の国籍の取得については出生時において父又は母が日本国民であることを大原則とし(2条),日本国籍を有しない者が日本国籍を取得するのは帰化によることを原則とするが(4条),同法3条1項に定める一定の要件を満たした者については,特に届出という手続によって国籍を取得することができることとされているものというべきである。したがって,同項が準正要件を定めているのは,準正子でありかつ同項の定めるその他の要件を満たす者についてはこれを特に国籍取得の上で優遇する趣旨なのであって,殊更に非準正子を排除しようという趣旨ではない。言い換えれば,非準正子が届出という手続によって国籍を取得できないこととなっているのは,同項があるからではなく,同法2条及び4条の必然的結果というべきなのであって,同法3条1項の準正要件があるために憲法上看過し得ない差別が生じているのも,いわば,同項の反射的効果にすぎないというべきである。それ故また,同項に準正要件が置かれていることによって違憲の結果が生じているのは,多数意見がいうように同条が「過剰な」要件を設けているからではなく,むしろいわば「不十分な」要件しか置いていないからというべきなのであって,同項の合理的解釈によって違憲状態を解消しようとするならば,それは「過剰な」部分を除くことによってではなく,「不十分な」部分を補充することによってでなければならないのである。同項の立法趣旨,そして本件における違憲状態が何によって生じているかについての,上記に述べた考え方に関する限り,私は,多数意見よりはむしろ反対意見と共通する立場にあるものといわなければならない。
3 問題は,本件における違憲状態を解消するために,上記に見たような国籍法3条1項の拡張解釈を行うことが許されるか否かであって,この点に関し,このような立法府の不作為による違憲状態の解消は専ら新たな立法に委ねるべきであり,解釈によってこれを行うのは司法権の限界を超えるものであるという甲斐中裁判官,堀籠裁判官の反対意見には,十分傾聴に値するものがあると言わなければならない。それにもかかわらず,本件において私があえて拡張解釈の道を選択するのは,次のような理由による。
 一般に,立法府が違憲な不作為状態を続けているとき,その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって,とりわけ本件におけるように,問題が,その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり,かつ,問題となる違憲が法の下の平等原則違反であるような場合には,司法権がその不作為に介入し得る余地は極めて限られているということ自体は否定できない。しかし,立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており,また,その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば,未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において,著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために,立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で,司法権が現行法の合理的拡張解釈により違憲状態の解消を目指すことは,全く許されないことではないと考える。これを本件の具体的事情に照らして敷衍するならば,以下のとおりである。
 先に見たとおり,立法府は,既に,国籍法3条1項を置くことによって,出生時において日本国籍を得られなかった者であっても,日本国民である父親による生後認知を受けておりかつ父母が婚姻した者については,届出による国籍取得を認めることとしている。このこと自体は,何ら違憲問題を生じるものではなく,同項自体の効力については,全く問題が存在しないのであるから(因みに,多数意見は,同項が「過剰な」要件を設けていると考えることから,本件における違憲状態を理由に同項全体が違憲となる理論的可能性があるかのようにいうが,同項が設けられた趣旨についての上記の私の考え方からすれば,同項自体が違憲となる理論的可能性はおよそあり得ない。),法解釈としては,この条文の存在(立法者の判断)を前提としこれを活かす方向で考えるべきことは,当然である。他方で,立法府は,日本国民である父親による生後認知を受けているが非準正子である者についても,国籍取得につき,単純に一般の外国人と同様の手続を要求するのではなく,より簡易な手続によって日本国籍を取得する可能性を認めている(同法8条)。これらの規定の基盤に,少なくとも,日本国民の子である者の日本国籍取得については,国家の安全・秩序維持等の国家公益的見地からして問題がないと考えられる限り優遇措置を認めようとする政策判断が存在することは,否定し得ないところであろう。そして,多数意見も指摘するとおり,現行法上準正子と非準正子との間に設けられている上記のような手続上の優遇度の違いは,基本的に,前者には我が国との密接な結び付きが認められるのに対し,後者についてはそうは言えないから,との国家公益上の理由によるものと考えられるが,この理由には合理性がなく,したがってこの理由による区別は違憲であるというのが,ここでの出発点なのである。そうであるとすれば,同法3条1項の存在を前提とする以上,現に生じている違憲状態を解消するためには,非準正子についても準正子と同様の扱いとすることが,ごく自然な方法であるということができよう。そして,このような解決が現行国籍法の立法者意思に決定的に反するとみるだけの理由は存在しない。もっとも,立法政策としては,なお,非準正子の中でも特に我が国に一定期間居住している者に限りそれを認める(いわゆる「居住要件」の付加)といったような選択の余地がある,という反論が考えられるが,しかし,我が国との密接な結び付きという理由から準正子とそうでない者とを区別すること自体に合理性がない,という前提に立つ以上,何故に非準正子にのみ居住要件が必要なのか,という問題が再度生じることとなり,その合理的説明は困難であるように思われる。このような状況の下で,現に生じている違憲状態を解消するために,同項の対象には日本国民である父親による生後認知を受けた非準正子も含まれるという拡張解釈をすることが,立法者の合理的意思に抵触することになるとは,到底考えられない。
 他方で,本件上告人らについてみると,日本国籍を取得すること自体が憲法上直接に保障されているとは言えないものの,多数意見が述べるように,日本国籍は,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で極めて重要な意味を持つ法的地位であり,その意味において,基本権享受の重要な前提を成すものということができる。そして,上告人らが等しく日本国民の子でありながら,届出によってこうした法的地位を得ることができないでいるのは,ひとえに,国籍の取得の有無に関し現行法が行っている出生時を基準とする線引き及び父母の婚姻の有無による線引き,父母のいずれが日本国民であるかによって事実上生じる線引き等,本人の意思や努力の如何に関わりなく存在する様々の線引きが交錯する中で,その谷間に落ち込む結果となっているが故なのである。仮にこれらの線引きが,その一つ一つを取ってみた場合にはそれなりに立法政策上の合理性を持つものであったとしても,その交錯の上に上記のような境遇に置かれている者が個別的な訴訟事件を通して救済を求めている場合に,先に見たように,考え得る立法府の合理的意思をも忖度しつつ,法解釈の方法として一般的にはその可能性を否定されていない現行法規の拡張解釈という手法によってこれに応えることは,むしろ司法の責務というべきであって,立法権を簒奪する越権行為であるというには当たらないものと考える。なお,いうまでもないことながら,国籍法3条1項についての本件におけるこのような解釈が一般的法規範として定着することに,国家公益上の見地から著しい不都合が存するというのであれば,立法府としては,当裁判所が行う違憲判断に抵触しない範囲内で,これを修正する立法に直ちに着手することが可能なのであって,立法府と司法府との間での権能及び責務の合理的配分については,こういった総合的な視野の下に考察されるべきものと考える。

 裁判官横尾和子,同津野修,同古田佑紀の反対意見は,次のとおりである。
 私たちは,以下の理由により,国籍法が,出生後に認知を受けた子の国籍取得について,準正子に届出による取得を認め,非準正子は帰化によることとしていることは,立法政策の選択の範囲にとどまり,憲法14条1項に違反するものではなく,上告人らの請求を棄却した原審の判断は結論において正当であるから,上告を棄却すべきものと考える。
1 国籍の付与は,国家共同体の構成員の資格を定めるものであり,多数意見の摘示する諸事情など国家共同体との結び付きを考慮して決せられるものであって,国家共同体の最も基本的な作用であり,基本的な主権作用の一つといえる。このことからすれば,国籍付与の条件をどう定めるかは,明確な基準により,出生時において,一律,かつ,可能な限り単一に取得されるべきことなどの要請を害しない範囲で,広い立法裁量にゆだねられているというべきである。
 国籍が基本的人権の保障等を受ける上で重要な法的地位であるとしても,特定の国の国籍付与を権利として請求することは認められないのが原則であって,それによって上記裁量が左右されるものとはいえない。また,無国籍となるような場合は格別,いずれの国の保障を受けるか,例えば我が国の保障を受けるか,それとも他国の保障を受けるかということは,各国の主権にかかわることであり,法的な利益・不利益も,それぞれの国籍に応じて,居住国あるいは事柄によって相違し,時には反対にもなり得る相対的なものであることも考慮すべきである。
なお,いわゆる多重国籍は,国籍が出生時に一律に付与されることから不可避的に生じる事態であって,やむを得ないものとして例外的に容認されているものにとどまる。
 国籍法は,血統主義を基調としながらも,出生時において,血統のみならず,法的にも日本国民の子である者に対して,一律に国籍を付与する一方で,日本国民の血統に属する子が出生後に法的に日本国民の子となった場合には,出生後の生活状況が様々であることから,日本国民の子であることを超えた我が国社会との結び付きの有無,程度を具体的に考慮して国籍を付与するかどうかを決することとしていると解される。
 このような国籍法の体系から見れば,同法3条1項の規定は,国籍の当然取得の効果を認める面では同法2条の特別規定である一方,出生後の国籍取得という面では帰化の特別規定としての性質を持つものといえる。
2 多数意見は,出生後の国籍取得を我が国との具体的な結び付きを考慮して認めることには合理性があり,かつ,国籍法3条1項の立法当時は,準正子となることをもって密接な結び付きを認める指標とすることに合理性があったとしながらも,その後における家族生活や親子関係に関する意識の変化,非嫡出子の増加などの実態の変化,日本国民と外国人との間に生まれる子の増加,諸外国における法制の変化等の国際的動向などを理由として,立法目的との関連において準正子となったことを結び付きを認める指標とする合理性が失われたとする。
 しかしながら,家族生活や親子関係に関するある程度の意識の変化があることは事実としても,それがどのような内容,程度のものか,国民一般の意識として大きな変化があったかは,具体的に明らかとはいえない。
 実態の変化についても,家族の生活状況に顕著な変化があるとは思われないし,また,統計によれば,非嫡出子の出生数は,国籍法3条1項立法の翌年である昭和60年において1万4168人(1.0%),平成15年において2万1634人(1.9%)であり,日本国民を父とし,外国人を母とする子の出生数は,統計の得られる昭和62年において5538人,平成15年において1万2690人であり,増加はしているものの,その程度はわずかである。
 このように,約20年の間における非嫡出子の増加が上記の程度であることは,多数意見の指摘と異なり,少なくとも,子を含む場合の家族関係の在り方については,国民一般の意識に大きな変化がないことの証左と見ることも十分可能である。確かに,諸外国においては,西欧諸国を中心として,非準正子についても国籍取得を認める立法例が多くなったことは事実である。しかし,これらの諸国においては,その歴史的,地理的状況から国際結婚が多いようにうかがえ,かつ,欧州連合(EU)などの地域的な統合が推進,拡大されているなどの事情がある。また,非嫡出子の数も,30%を超える国が多数に上り,少ない国でも10%を超えているようにうかがわれるなど,我が国とは様々な面で社会の状況に大きな違いがある。なお,国籍法3条1項立法当時,これらの国の法制が立法政策としての相当性については参考とされたものの,憲法適合性を考える上で参考とされたようにはうかがえない。このようなことからすれば,これらの諸国の動向を直ちに我が国における憲法適合性の判断の考慮事情とすることは相当でないと考える。
 また,多数意見は,日本国民が母である非嫡出子の場合,あるいは胎児認知を受けた場合との差も指摘する。
 しかし,これらの場合は,出生時において法的に日本国民の子であることが確定しているのであって,その後の生活状況の相違が影響する余地がない一方,国籍は,出生時において,一律に付与される必要があることからすれば,これらの子にも国籍を付与することに合理性がある。実質的に見ても,非嫡出子は出生時において母の親権に服すること,胎児認知は任意認知に限られることなど,これらの場合は,強弱の違いはあっても,親と子の関係に関し,既に出生の時点で血統を超えた我が国社会との結び付きを認めることができる要素があるといえる。また,母が日本国民である場合との差は,出生時における子との種々のかかわり合いに関する父と母の違いから生じるもので,これを男女間における差別ととらえることは相当とは思われない。
3 一方,国籍法3条1項は,婚姻と出生の前後関係が異なる場合における国籍取得の均衡を図るとともに,親と生活関係を共にする未成年の嫡出子は親と同一の国籍に属することが望ましいという観点も考慮して立法されたものであり,その意味で出生時を基準とする血統主義を補完する措置とされるものであって,血統主義の徹底,拡充を図ることを目的とするものではない。そして,準正により父が子について親権者となり,監護,養育の権利,義務を有することになるなど,法律上もその関係が強固になること,届出のみにより国籍を付与する場合,その要件はできるだけ明確かつ一律であることが適当であること,届出による国籍取得は,外国籍からの離脱が条件とされていないこと,非準正子の場合は,我が国との結び付きの有無,程度が様々であるから,これを個別,具体的に判断する帰化制度によることが合理的で国籍法の体系に沿うものであるところ,帰化の条件が大幅に緩和されていることなどからすれば,認知を受けた場合全般ではなく,準正があった場合をもって届出により国籍取得を認めることとすることには十分合理性が認められるのであって,これらの点が多数意見指摘の事情によって変化したとはいえない。
 なお,多数意見は,帰化について,認知を受けた子に関しては帰化の条件が緩和されているとしても,帰化が法務大臣の裁量によるものであって,準正子と非準正子との差を合理的なものとするものではないとする。しかし,類型的に我が国社会との結び付きを認めることが困難な非準正子については,帰化によることが合理的なことは前記のとおりであるし,また,裁量行為であっても,国家機関として行うものである以上,制度の趣旨を踏まえた合理的なものでなければならず,司法による審査の対象ともなり得るものであり,その運用について考慮すべき点があるとしても,多数意見は,国籍法の体系及び簡易帰化の制度を余りにも軽視するものといわざるを得ない。
 以上からすれば,非準正子についても我が国との密接な結び付きを認めることが相当な場合を類型化して国籍取得を認めるなど,届出による国籍取得を認める範囲について考慮する余地があるとしても,国籍法が,準正子に届出による国籍の取得を認め,非準正子は帰化によることとしていることは,立法政策の選択の範囲にとどまり,憲法14条1項に違反するものではないと考える。
 もとより,私たちも,これらの子についても,必要に応じて,適切な保護等が与えられるべきことを否定するものではない。しかし,そのことと国籍をどのような条件で付与するかは,異なる問題である。
4 なお,仮に非準正子に届出による国籍の取得を認めないことが違憲であるとしても,上告を棄却すべきものと考える。その理由は,甲斐中裁判官,堀籠裁判官の反対意見とおおむね同旨であるが,以下の点を付加して述べておきたい。
 両裁判官指摘のとおり,非準正子が届出により国籍を取得することができないのは,これを認める規定がないからであって,国籍法3条1項の有無にかかわるものではない。同項は,認知を受けたことが前提となるものではあるが,その主体は嫡出子の身分を取得した子であり,その範囲を準正によりこれを取得した場合としているものである。
 多数意見は,国籍法が血統主義を基調とするもので,同項に関し,上記の前提があることを踏まえ,準正子に係る部分を除くことによって,認知を受けた子全般に同項の効果を及ぼそうとするもののようにうかがえる。しかし,準正子に係る部分を取り除けば,同項はおよそ意味不明の規定になるのであって,それは,単に文理上の問題ではなく,同項が専ら嫡出子の身分を取得した者についての規定であることからの帰結である。認知を受けたことが前提になるからといって,準正子に係る部分を取り除けば,同項の主体が認知を受けた子全般に拡大するということにはいかにも無理がある。また,そのような拡大をすることは,条文の用語や趣旨の解釈の域を越えて国籍を付与するものであることは明らかであり,どのように説明しようとも,国籍法が現に定めていない国籍付与を認めるものであって,実質的には立法措置であるといわざるを得ない。
 また,多数意見のような見解により国籍の取得を認めることは,長年にわたり,外国人として,外国で日本社会とは無縁に生活しているような場合でも,認知を受けた未成年者であれば,届出さえすれば国籍の取得を認めることとなるなど,我が国社会との密接な結び付きが認められないような場合にも,届出による国籍の取得を認めることとなる。届出の時に認知をした親が日本国民であることを要するとしても,親が日本国籍を失っている場合はまれであり,そのことをもって,日本国民の子であるということを超えて我が国との密接な結び付きがあるとするのは困難であって,実質は,日本国籍の取得を求める意思(15歳未満の場合は法定代理人の意思)のみで密接な結び付きを認めるものといわざるを得ない。
 このようなことは,国籍法3条1項の立法目的を大きく超えることとなるばかりでなく,出生後の国籍取得について我が国社会との密接な結び付きが認められることを考慮すべきものとしている国籍法の体系ともそごするものである。
 なお,国籍付与の在り方は,出入国管理や在留管理等に関しても,様々な面で大きな影響を及ぼすものであり,そのような点も含めた政策上の検討が必要な問題であることも考慮されるべきである。
仮に多数意見のような見解が許されるとすれば,創設的権利・利益付与規定について,条文の規定や法律の性質,体系のいかんにかかわらず,また,立法の趣旨,目的を超えて,裁判において,法律が対象としていない者に,広く権利,利益を付与することが可能となることになる。
 私たちは,本件のような場合についても,違憲立法審査権が及ぶことを否定するものではない。しかしながら,上記の諸点を考慮すれば,本件について,裁判により国籍を認めることは,司法権の限界との関係で問題があると考える。

 裁判官甲斐中辰夫,同堀籠幸男の反対意見は,次のとおりである。
 私たちは,本件上告を棄却すべきものと考えるが,その理由は次のとおりである。
1 国籍法は,憲法10条の規定を受け,どのような要件を満たす場合に,日本国籍を付与するかということを定めた創設的・授権的法律であり,国籍法の規定がなければ,どのような者が日本国民であるか定まらないのである。国籍法が日本国籍を付与するものとして規定している要件に該当しない場合は,日本国籍の取得との関係では,白紙の状態が存在するにすぎない。すなわち,日本国籍を付与する旨の規定を満たさない場合には,国籍法の規定との関係では,立法の不存在ないし立法不作為の状態が存在するにすぎないのである。このことは,国会が政策的見地から,国民に対し,一定の権利・利益を付与することとしている創設的・授権的な行政関係の法律の場合も,同様である。
2 国籍法2条1号によれば,日本国民たる父が胎児認知した子は,生来的に日本国籍を取得することとなる。また,同法は,3条1項において,父が日本国民である準正子は届出により日本国籍を取得する旨定める。しかし,出生後認知された者であって準正子に当たらない者(非準正子)については,同法は,届出により日本国籍を付与する旨の規定を置いていないのであるから,非準正子の届出による国籍取得との関係では,立法不存在ないし立法不作為の状態が存在するにすぎないというべきである。
3 国籍法が,準正子に対し,届出により国籍を付与するとしながら,立法不存在ないし立法不作為により非準正子に対し届出による国籍付与のみちを閉じているという区別(以下「本件区別」という。)は,3条1項が制定された当時においては合理的な根拠があり,憲法14条1項に違反するものではないが,遅くとも,上告人らが法務大臣あて国籍取得届を提出した当時には,合理的な理由のない差別となっており,本件区別は同項に違反するものであったと考える。その理由は,多数意見が4で述べるところと同様である。しかしながら,違憲となるのは,非準正子に届出により国籍を付与するという規定が存在しないという立法不作為の状態なのである。多数意見は,国籍法3条1項の規定自体が違憲であるとするものであるが,同規定は,準正子に届出により国籍を付与する旨の創設的・授権的規定であって,何ら憲法に違反するところはないと考える。多数意見は,同項の規定について,非準正子に対して日本国籍を届出によって付与しない趣旨を含む規定であり,その部分が違憲無効であるとしているものと解されるが,そのような解釈は,国籍法の創設的・授権的性質に反するものである上,結局は準正子を出生後認知された子と読み替えることとなるもので,法解釈としては限界を超えているといわざるを得ない。
 もっとも,特別規定や制限規定が違憲の場合には,その部分を無効として一般規定を適用することにより権利を付与することは法解釈として許されるといえよう。しかしながら,本件は,そのような場合に当たらないことは明らかである。国籍法は,多数意見が述べるように,原則として血統主義を採っているといえるが,徹底した血統主義を法定していると解することはできないのであるから,3条1項の規定について,出生後認知された子に対し届出による日本国籍を付与することを一般的に認めた上で,非準正子に対し,その取得を制限した規定と解することはできない。
 したがって,国籍法3条1項の規定の解釈から非準正子に届出による日本国籍の取得を認めることはできない。
4 以上のとおりであって,本件において憲法14条1項に違反することとなるのは,国籍法3条1項の規定自体ではなく,非準正子に届出により国籍を付与するという法が存在しないという立法不作為の状態であり,このことから,届出により国籍を取得するという法的地位が上告人らに発生しないことは明らかであるから,上告人らの請求を棄却した原判決は相当であり,本件上告は棄却すべきものと考える。
 なお,藤田裁判官は,非準正子に対し届出による国籍付与をしないという立法不作為が違憲であるとしており,この点で私たちと同一の立場に立つものである。しかし,さらに,国籍法3条1項の拡張解釈により権利付与を認めるべきであるとして,上告人らの請求を認容すべきものとしており,この見解は,傾聴に値すると考えるが,同項についてそのような解釈を採ることには直ちに賛成することはできない。
5 多数意見は,「本件区別により不合理な差別的取扱いを受けている者の救済を図り,本件区別による違憲状態を是正する必要がある」との前提に立っており,このような前提に立つのであれば,多数意見のような結論とならざるを得ないであろう。しかし,このような前提に立つこと自体が相当ではない。なぜなら,司法の使命は,中立の立場から客観的に法を解釈し適用することであり,本件における司法判断は,「本件区別により不合理な差別的取扱を受けている者の救済を図り,本件区別による違憲の状態を是正することが国籍法3条1項の解釈・適用により可能か」との観点から行うべきものであるからである。
6 日本国民たる要件は,法律により創設的・授権的に定められるものである。本件で問題となっている非準正子の届出による国籍取得については立法不存在の状態にあるから,これが違憲状態にあるとして,それを是正するためには,法の解釈・適用により行うことが可能でなければ,国会の立法措置により行うことが憲法の原則である(憲法10条,41条,99条)。また,立法上複数の合理的な選択肢がある場合,そのどれを選択するかは,国会の権限と責任において決められるべきであるが,本件においては,非準正子の届出による国籍取得の要件について,多数意見のような解釈により示された要件以外に「他の立法上の合理的な選択肢の存在の可能性」があるのであるから,その意味においても違憲状態の解消は国会にゆだねるべきであると考える。
7 そうすると,多数意見は,国籍法3条1項の規定自体が違憲であるとの同法の性質に反した法解釈に基づき,相当性を欠く前提を立てた上,上告人らの請求を認容するものであり,結局,法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって,実質的に司法による立法に等しいといわざるを得ず,賛成することはできない。
(裁判長裁判官 島田仁郎 裁判官 横尾和子 裁判官 藤田宙靖 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 泉徳治 裁判官 才口千晴 裁判官 津野修 裁判官 今井功 裁判官 中川了滋 裁判官 堀籠幸男 裁判官 古田佑紀 裁判官 那須弘平 裁判官 涌井紀夫 裁判官 田原睦夫 裁判官 近藤崇晴)



〔判断手法〕
「憲法14条1項は,……事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨」
「立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,
≪1≫なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合
又は
≪2≫その具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合
には,当該区別は,合理的な理由のない差別として,同項に違反するものと解されることになる。」

 ↑↑↑
「日本国籍は,
①我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。
一方,
②父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。
 ⇒ したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である。」


〔あてはめ〕
≪1≫
「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した嫡出子が生来的に日本国籍を取得することとの均衡を図ることによって,同法の基本的な原則である血統主義を補完するもの
「日本国民を血統上の親として出生した子であっても,日本国籍を生来的に取得しなかった場合には,その後の生活を通じて国籍国である外国との密接な結び付きを生じさせている可能性があるから,国籍法3条1項は,同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ,日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて,これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。……本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には,合理的な根拠があるというべきである。」
 ⇒ ≪1≫クリア
 
≪2≫
区別(1)国籍法3条1項の規定が設けられた当時の社会通念や社会的状況の下においては,日本国民である父と日本国民でない母との間の子について,父母が法律上の婚姻をしたことをもって日本国民である父との家族生活を通じた我が国との密接な結び付きの存在を示すものとみることには相応の理由があったものとみられ,当時の諸外国における前記のような国籍法制の傾向にかんがみても,同項の規定が認知に加えて準正を日本国籍取得の要件としたことには,上記の立法目的との間に一定の合理的関連性があったものということができる。」
  ↓↓↓
「しかしながら,その後,
 (a) 我が国における社会的,経済的環境等の変化に伴って,夫婦共同生活の在り方を含む家族生活や親子関係に関する意識も一様ではなくなってきており,今日では,出生数に占める非嫡出子の割合が増加するなど,家族生活や親子関係の実態も変化し多様化してきている。……これらのことを考慮すれば,日本国民である父が日本国民でない母と法律上の婚姻をしたことをもって,初めて子に日本国籍を与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付きが認められるものとすることは,今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するものということはできない
 (b) また,諸外国においては,非嫡出子に対する法的な差別的取扱いを解消する方向にあることがうかがわれ,我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも,児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存する。さらに,国籍法3条1項の規定が設けられた後,自国民である父の非嫡出子について準正を国籍取得の要件としていた多くの国において,今日までに,認知等により自国民との父子関係の成立が認められた場合にはそれだけで自国籍の取得を認める旨の法改正が行われている。」
 ⇒ 「前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだすことがもはや難しくなっているというべきである。」
 
区別(2)「このような区別の結果,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子のみが,日本国籍の取得について著しい差別的取扱いを受けているものといわざるを得ない。」
「日本国籍の取得が,前記のとおり,我が国において基本的人権の保障等を受ける上で重大な意味を持つものであることにかんがみれば,以上のような差別的取扱いによって子の被る不利益は看過し難いものというべきであり,
 ⇒ このような差別的取扱いについては,前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだし難いといわざるを得ない。」
 
「本件区別については,これを生じさせた立法目的自体に合理的な根拠は認められるものの,立法目的との間における合理的関連性は,我が国の内外における社会的環境の変化等によって失われており,今日において国籍法3条1項の規定は,日本国籍の取得につき合理性を欠いた過剰な要件を課するものとなっているというべきである。」
 ⇒ 「本件区別は,遅くとも上告人らが法務大臣あてに国籍取得届を提出した当時には,立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっていたと解される。」
 ⇒ ≪2≫クリアせず

〔結論〕
「上記時点において,本件区別は合理的な理由のない差別となっていたといわざるを得ず,国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,憲法14条1項に違反するものであったというべきである。」
2017-06-06(Tue)

最決平成19年10月19日家月60巻3号36頁

こんばんは。管理人です。

ロースクールが始まって2箇月が経ちました。

中間試験もひと段落つき(まだ残っていますが。),

若干の心のゆとりを取り戻しています。

ロースクールの授業は,とにかく進度が早いですね。

基礎的な理解がある前提だからなんでしょうけど,

パッパラパーの管理人にはとてもつらいものがあります。

予習段階でも,すごい量の知識が求められます。

知らない判例(それも百選に載っていないレベルのもの)を平気で聞いてくるので,

もう大変です。

そこで,このブログを当分の間,私の予習のためにちょいちょい活用していこうと思います。

といっても,上記の判例を調べて,

すぐに見れるようにしておくぐらいの意味しかないですけれども。

※以下,下線は管理人による。

【最決平成19年10月19日家月60巻3号36頁】

       主   文

 本件抗告を棄却する。
 抗告費用は抗告人の負担とする。

       理   由

 性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に子がいないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の規定は,現に子のある者について性別の取扱いの変更を認めた場合,家族秩序に混乱を生じさせ,子の福祉の観点からも問題を生じかねない等の配慮に基づくものとして,合理性を欠くものとはいえないから,国会の裁量権の範囲を逸脱するものということはできず,憲法13条,14条1項に違反するものとはいえない。このことは,当裁判所の判例(最高裁昭和28年(オ)第389号同30年7月20日大法廷判決・民集9巻9号1122頁,最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁)の趣旨に徴して明らかである。論旨は理由がない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田原睦夫 裁判官 藤田宙靖 堀籠幸男 那須弘平 近藤崇晴)

=========================
【最大判昭和30年7月20日民集9巻9号1122頁】

       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 論旨第一点及び第二点は単なる法令違反の主張であり(民法七八七条但書の解釈に関する原判示は正当である。なお、民法一六一条は時効の停止に関する規定で、これを本件のごとき除斥期間に類推適用することはできない。また、所論「認知の訴の特例に関する法律」は、父又は母の死亡の時期が容易に判明しない同法所定のごとき場合に民法七八七条但書の規定を適用することは妥当を欠くものと認めて、特別の規定を設けたのであつて、本件のごとく父の死亡の時期は明らかで、ただ、訴訟代理人の死亡に伴い出訴期間を経過した場合にまでこれを類推適用することはできない。)、「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号ないし三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
 同第三点中憲法一三条違反を主張する点は、認知の訴提起の要件をいかに定めるかは立法の範囲に属する事項であつて、法律が認知の訴の提起につき、父又は母の死亡の日から、三年を経過した場合はこれをなし得ないこととする規定を設けたことは、身分関係に伴う法的安定を保持する上から相当と認められ、何ら憲法一三条に違反するものではない。また、憲法一四条違反を主張する点は、民法七八七条但書の規定は、認知の訴の提起に関し、すべての権利者につき一律平等にその権利の存続期間を制限したのであつて、その間何ら差別を加えたものとは認められないから、所論は前提を欠き、上告理由としては不適法である。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
  最高裁判所大法廷
   裁判長裁判官 田中耕太郎
       裁判官 栗山茂
       裁判官 真野毅
       裁判官 小谷勝重
       裁判官 島保
       裁判官 斎藤悠輔
       裁判官 藤田八郎
       裁判官 岩松三郎
       裁判官 河村又介
       裁判官 谷村唯一郎
       裁判官 小林俊三
       裁判官 本村善太郎
       裁判官 入江俊郎
       裁判官 池田克
       裁判官 垂水克己

=========================
【最大判昭和39年5月27日民集18巻4号676頁】

       主   文

 本上告論旨は理由がない。

       理   由

 上告代理人吉井晃、同奥田実、同原田策司の上告理由第二点について。
 所論の要旨は、上告人が高令であることを理由に被上告人がした本件待命処分は、社会的身分により差別をしたものであつて、憲法一四条一項及び地方公務員法一三条に違反するとの上告人の主張に対し、原審が、高令であることは社会的身分に当らないとして上告人の右主張を排斥したのは、(一)右各法条にいう社会的身分の解釈を誤つたものであり、また、(二)仮りに右解釈に誤りがないとしても、右各法条は、それに列挙された事由以外の事由による差別をも禁止しているものであるから、高令であることを理由とする本件待命処分を肯認した原判決には、右各法条の解釈を誤つた違法があるというにある。
 思うに、憲法一四条一項及び地方公務員法一三条にいう社会的身分とは、人が社会において占める継続的な地位をいうものと解されるから、高令であるということは右の社会的身分に当らないとの原審の判断は相当と思われるが、右各法条は、国民に対し、法の下の平等を保障したものであり、右各法条に列挙された事由は例示的なものであつて、必ずしもそれに限るものではないと解するのが相当であるから、原判決が、高令であることは社会的身分に当らないとの一事により、たやすく上告人の前示主張を排斥したのは、必ずしも十分に意を尽したものとはいえない。しかし、右各法条は、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、差別すべき合理的な理由なくして差別することを禁止している趣旨と解すべきであるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱をすることは、なんら右各法条の否定するところではない
 本件につき原審が確定した事実を要約すれば、被上告人a町長は、地方公務員法に基づき制定されたa町待命条例により与えられた権限、すなわち職員にその意に反して臨時待命を命じ又は職員の申出に基づいて臨時待命を承認することができる旨の権限に基づき、a町職員定員条例による定員を超過する職員の整理を企図し、合併前の旧町村の町村長、助役、収入役であつた者で年令五五歳以上のものについては、後進に道を開く意味でその退職を望み、右待命条例に基づく臨時待命の対象者として右の者らを主として考慮し、右に該当する職員約一〇名位(当時建設課長であつた上告人を含む)に退職を勧告した後、上告人も右に該当する者であり、かつ勤務成績が良好でない等の事情を考慮した上、上告人に対し本件待命処分を行つたというのであるから、本件待命処分は、上告人が年令五五歳以上であることを一の基準としてなされたものであることは、所論のとおりである。
 ところで、昭和二九年法律第一九二号地方公務員法の一部を改正する法律附則三項は、地方公共団体は、条例で定める定員をこえることとなる員数の職員については、昭和二九年度及び昭和三〇年度において、国家公務員の例に準じて条例の定めるところによつて、職員にその意に反し臨時待命を命ずることができることにしており、国家公務員については、昭和二九年法律第一八六号及び同年政令第一四四号によつて、過員となる職員で配置転換が困難な事情にあるものについては、その意に反して臨時待命を命ずることができることにしているのであり、前示a町待命条例ならびに被上告人a町長が行つた本件待命処分は、右各法令に根拠するものであることは前示のとおりである。しかして、一般に国家公務員につきその過員を整理する場合において、職員のうちいずれを免職するかは、任命権者が、勤務成績、勤務年数その他の事実に基づき、公正に判断して定めるべきものとされていること(昭和二七年人事院規則一一―四、七条四項参照)にかんがみても、前示待命条例により地方公務員に臨時待命を命ずる場合においても、何人に待命を命ずるかは、任命権者が諸般の事実に基づき公正に判断して決定すべきもの、すなわち、任命権者の適正な裁量に任せられているものと解するのが相当である。これを本件についてみても、原判示のごとき事情の下において、任命権者たる被上告人が、五五歳以上の高令であることを待命処分の一応の基準とした上、上告人はそれに該当し(本件記録によれば、上告人は当時六六歳であつたことが明らかである)、しかも、その勤務成績が良好でないこと等の事情をも考慮の上、上告人に対し本件待命処分に出たことは、任命権者に任せられた裁量権の範囲を逸脱したものとは認められず、高令である上告人に対し他の職員に比し不合理な差別をしたものとも認められないから、憲法一四条一項及び地方公務員法一三条に違反するものではない。されば、本件待命処分は右各法条に違反するものではないとの原審の判断は、結局正当であり、原判決には所論のごとき違法はなく、論旨は採用のかぎりでない。
 よつて、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
  最高裁判所大法廷
   裁判長裁判官 横田喜三郎
       裁判官 入江俊郎
       裁判官 奥野健一
       裁判官 石坂修一
       裁判官 山田作之助
       裁判官 五鬼上堅磐
       裁判官 横田正俊
       裁判官 斎藤朔郎
       裁判官 長部謹吾
       裁判官 城戸芳彦
       裁判官 石田和外
       裁判官 柏原語六
       裁判官 田中二郎
       裁判官 松田二郎



最決平成19年10月19日家月60巻3号36頁下級審

【大阪高決平成19年6月6日】

       主   文

1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は,抗告人の負担とする。

       理   由

第1 事案の概要等
1 事案の概要
(1)抗告人は,平成18年11月13日,「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下「法」という。)3条1項に基づき,抗告人の性別の取扱いを男から女に変更することを求める審判申立てをした。
 なお,抗告人は,離婚した妻との間に女子(平成7年生,親権者母)をもうけている。
(2)原審は,平成19年3月30日,抗告人は,法にいう性同一性障害者と認めることができるが,抗告人には離婚した妻との間に子がいるから,法3条1項3号の要件を満たさないとして,抗告人の上記申立てを却下する旨の原審判をした。
(3)これに対して,抗告人が即時抗告したのが本件である。
2 抗告の趣旨及び理由
(1)抗告人は,原審判を取消し,本件を奈良家庭裁判所に差し戻す,との裁判を求めた。
(2)抗告理由は,要旨,次のとおりである。
 抗告人は,外形も精神的にも女性であるのに,戸籍等の性別欄が男性となっているため,社会生活上多大な支障を来している。戸籍の性別を記載された書類の提示を求められるような場合に,性同一性障害者であることを知られてしまうのが苦痛である。
 原審判は,法3条1項3号の「現に子がいないこと。」の要件に欠けるとして,抗告人の申立てを却下したが,同規定は,憲法13条及び14条1項に違反し無効であるから,抗告人の申立ては認容されるべきである。
 抗告人は,親権も放棄し,離婚後は子と会っていないので親子関係などの家族秩序に混乱が生じることや,あるいは子の福祉に影響を及ぼすことはない。
第2 当裁判所の判断
1 当裁判所も,原審判と同じく,本件申立てを却下すべきものと判断する。その理由は,原審判の理由説示と同じであるから,これを引用する。
2 抗告理由について
(1)抗告人は,法3条1項3号所定の「現に子がいないこと。」の要件(以下「3号要件」という。)は,憲法13条及び14条1項に違反し,無効であると主張する。
(2)しかし,この3号要件は,性同一性障害者の性別の取扱いの特例を認める本制度が親子関係などの家族秩序に混乱を生じさせ,あるいは子の福祉に影響を及ぼすことになりかねないことを懸念する議論に配慮して設けられたものであることが,その立法過程に照らし明らかである。すなわち,原審判も指摘するとおり,現に子がいる場合にも性別の取扱いの変更を認めると,「女である父」や「男である母」を生じることになり,これまで当然の前提とされてきた,父は男,母は女という,男女という性別と父母という属性との間に不一致を来し,これを社会的あるいは法的に許容できるかが問題となり,ひいては,家族秩序に混乱を生じるおそれがあること,あるいは,子に心理的な混乱や不安などをもたらしたり,親子関係に影響を及ぼしかねないことなどが,子の福祉の観点から,問題となり得ると指摘されたことから,我が国における性同一性障害に対する社会の理解の状況,家族に関する意識等も踏まえつつ,まずは,厳格な要件の下で,性同一性障害者の性別の取扱いの変更を認めることとすることもやむを得ないとの判断のもとに,3号要件が設けられたものである
 このような状況のもとにおいて,法が3号要件を設けたことについては,立法府としての合理的な根拠があるものというべきである。
 以上によると,性別が人格的生存あるいは人格的自律と関わるものであり,憲法13条が一般的に保障する範疇に含まれると解する余地があるとしても,性別の変更の取扱いについて,法が3号要件を設けたことが,それに合理的な根拠があると認められる以上,憲法13条の規定に反するということはできないものというべきである。また,同要件は,現に子のある性同一性障害者と,子のない性同一性障害者との取扱いを区別するものではあるが,上記のとおり,この区別には,合理的な理由があると認められるから,そのことの故に憲法14条1項に違反するものということもできない。
 なお,記録によれば,抗告人と離婚した妻との間の子は,妻が親権者となって養育しており,抗告人と子との面接等による交流はされていないことが認められるが,3号要件は,上記のとおり,個別的な親子関係のみならず,社会構成要素としての家族の秩序の混乱にも配慮して設けられた規定であるから,子の親権の有無や現に子を養育しているか等の個別の事由により,その適用が左右されるものではない。
 抗告人の主張は,採用することができない。
(3)なお,法の附則2項は,性別の取扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲その他性別の取扱いの変更の審判の制度については,法の施行(平成16年7月16日)後3年を目途として,法の施行の状況,性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ,必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする,と規定している。
 この規定は,法の立案・制定の過程において,本制度に係る審判を請求することができる性同一性障害者の範囲及び要件等について,各方面から様々な意見が出されたことに鑑み,立法府として,一定の期間における法の施行状況,性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を踏まえ、必要と認められる改正措置等を講ずることを検討することを予定して置かれたものである。そして,この3号要件については,最も議論の対象となったものであることを思えば,この検討の過程において,性同一性障害者に対する社会の理解や受容の程度,制度の変更を更に認めた場合の社会生活に及ぼす影響の内容や程度,家族のあり方等についての認識を踏まえて,この要件をそのまま維持すべきか,一定の限定を加えるべきか,あるいは廃止すべきかの問題が具体的に議論されることが望まれるところである
3 以上の次第で,原審判は相当であり,本件抗告は,理由がないから棄却することとして,主文のとおり決定する。 
平成19年6月6日
大阪高等裁判所第10民事部
裁判長裁判官 田中壯太 裁判官 松本久 裁判官 久保井恵子

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【奈良家審平成19年3月30日】

       主   文

本件申立てを却下する。

       理   由

1 申立人は,「申立人の性別の取扱いを男から女に変更する。」との審判を求め,申立ての実情として,申立人は性同一性障害者であり性別適合手術及び名の変更を済ませ外見上も女性として社会生活を営んでいるが,戸籍における性別が男となっているため様々な不便な思いをしている,と主張した。
2 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項は,性別の取扱いの変更の審判を請求することができる性同一性障害者の範囲について,〔1〕20歳以上であること,〔2〕現に婚姻をしていないこと,〔3〕現に子がいないこと,〔4〕生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること、〔5〕その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること,のいずれにも該当する者であることと規定しているところ,申立人について上記〔1〕,〔2〕,〔4〕及び〔5〕の各要件の充足は認められるものの,申立人には平成13年に協議離婚した妻との間に平成7年生の女子のあることが認められ,上記〔3〕の要件を欠いていることが明らかである。
3 申立人は,性別の取扱いの変更を求めるための要件として上記〔3〕を加えた現行法規(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号)は憲法13条,14条,25条に違反して無効であると主張するが,上記要件は,親子関係などの家族秩序に混乱を生じさせ,あるいは,子の福祉に影響を及ぼすことになりかねないことを懸念する議論に配慮して設けられたものであり,少なくとも,これが立法府の裁量権を逸脱し著しく不合理であることが明白であるとまではいえない。 
4 そうすると,本件申立ては,法の規定する要件に欠けるから,却下を免れない。
平成19年3月30日
奈良家庭裁判所
家事審判官 石田裕一


2017-03-13(Mon)

一橋ロー 面接再現

連続して記事を書きます。

宣言通り,ロー入試の情報を書けるだけ書いていこうと思います。

とりあえず,まずは,情報量が他と比べて圧倒的に少なかった,

一橋ローの面接の再現から。

この再現は,面接があった当日,帰りの電車の中で書いたものなので,

再現率はかなり高いです。

これだけは自信を持って言えます。

【当日の様子】
 一橋ローの面接は,午前と午後の2グループに分けられます。私は午後のグループでした。午後のグループは12時40分に全員集合で,13時から15分ずつ面接が進んでいく感じでした。私は13時からで,午後のトップでした。
 まず控室に入り,ステメンと想定問答集の最終確認をしつつ,友達と少し話をして緊張をほぐしていました。部屋は暖房が効いていて適度の暖かさでした。12時50分くらいになって,監督の先生(私の部屋は仮屋先生と,補助のおばさんの2人でした。)が入室し,試験での注意事項の告知と,出欠の確認がされました。そして,55分くらいになって,13時からの受験生が連行されました。
 受験生は,それぞれの試験教室の前の廊下で座って待たされます。こちらは暖房がかかっておらず,若干寒かったです。小型のストーブが置いてありますが,あまり効果はありませんでした。そうこうしているうちに,中から面接官の先生が出てきて,部屋に入るように誘導されました。
 面接官は2人いました。1人は〇〇先生(事情により伏字。以下「A」)でした。説明会に行ったときに,司会をなされており,懇親会でも少しお話をさせていただいたので分かりました。もう1人は,分からず,中大の福原先生みたいな人だなと思っていました。あとから調べたら,おそらく××先生(以下「B」)という方ではないかと思いました。

【面接再現】
A:【管理人】さんですか。お入りください。
管理人:はい。
A:荷物をこちらの机に置いてください。
  ~受験票の確認~
  では,そちらの席におかけください。
管:ありがとうございます。
B:えーっと,【管理人】さんでよろしいですか。
管:はい。
B:それでは,まず,私の方から質問をさせていただきます。
管:はい,よろしくお願いします。
B:では,まずは抽象的な質問からになりますが,【管理人】さんは,法科大学院にどのようなことを期待していますか。
管:(「過去問通りだ。」)はい,そうですね,私は,法科大学院は法曹を養成する機関,つまり,法曹として実務に出たときに必要となる素質を育成する場所だと考えています。そうだとすれば,私は,法科大学院では,法曹として必要なスキルやコミュニケーションといった能力を育成できる場を提供してくれることを期待しています。
B:それでは,【管理人】さんは,◆◆大学のご出身ということですが,なぜ一橋大学を選んだのでしょうか。
管:はい,それについては2つあります。まず,一橋大学さんには,ビジネスロー・コースというコースが設置されています。このビジネスロー・コースで学ぶことが,私の将来の法曹像を実現する上で適切だと考えたため,一橋大学を選びました。もう1つは,少人数制ということが挙げられると思います。他のロースクールですと,生徒の数か多くて,生徒の個性が埋没してしまいます。それに対して,少人数制であれば,個性を活かしながら勉強をすることができます。
B:ビジネスロー・コースのことについては,あとで補足的に聞くことになりますが……
管:(「!?」)
B:質問を変えますが,予備試験は受けられたことはありますか。
管:(「ほんとに予備のこと聞いてくんのか……。」)はい……えーっ,2回ほど受けました。
B:ちなみに,結果の方はどうでしたか。
管:2回とも短答落ちです(笑)(「そんなこと聞くなよ悲しくなるだろ……。」)
B:あぁ,これは,別に面接の評価に全く関係ないですからね。では,法科大学院に入学してからも受ける予定ですか。
管:そうですね,法科大学院では予習復習が大変だと,先輩から聞いたので,まだ分かりません。
B:そうですか。では,これも一般的な質問で,事前に準備されているかもしれませんが,【管理人】さんが一橋大学に入学することで周りの生徒に対して貢献できることはありますか。
管:はい,私は,学部のゼミが,△△先生という方のゼミだったんですが,ソクラテスメソッド……ソクラティックメソッドですね ,この形式で行われていましたが,これは法科大学院の授業スタイルと共通するものです。そうすると,この形式に慣れていますから,授業内で発言を求められたときに,積極的に発言をすることができます。発言を求められていなくても,積極的に議論に参加して,議論を活性化することができると考えています。そうすれば,周りの人も理解が深まりますし,そのような形で貢献できると思います。
B:では,昨今,グローバル化が叫ばれています。つまり,人・物・金・情報が世界中に広まっていっているわけですけれども,そのような中で,法曹に求められる素質や能力はなんだと思いますか。
管:そうですね……まず前提として,言語能力が必要になると思います。やはり言葉の壁というのがありますから,法曹になっても言語の勉強は怠らない。それがまず必要だと思います。それだけでなく,日本の製品が海外に輸出された,例えば私はステートメントにも書かせていただいたんですが,日本の技術が海外に輸出されていく。そのような場面で,必ず問題が生じてくると思うんですね。そのような問題点をあらかじめ予想するということも大事になってくるのではないかと思います。
B:海外に輸出することで生じる問題を予想するといいますけど,それは国内における問題点とは違う問題が生じるということですか。
管:えーっと,そうですね,まぁ,たしかに国内における問題と共通する問題も生じうるとは思います。ただ,それだけでなく,海外特有の,たとえば,技術を輸出したというときに,輸出先で不祥事が生じたら,その責任の所在が日本と海外のどっちにあるのかという問題も生じてくると思います。輸出先の土地柄などもありますし,宗教問題なども考えられると思います。
B:そのようなスキルは,どうやって身につけようと考えていますか。
管:そうですね,ビジネスロー・コースを拝見させていただいたときに,国際…企業法務戦略・交渉論という授業があったと思います。
B:んー?……あっ,あれか分かったはいはい。
管:(「自分のとこの授業だろうがよ……。」)そのような授業を通して,実務の第一線で働いていらっしゃる先生から,そのようなスキルを学ぶことができると考えています。
B:なるほど。(Aの方を見ながら)先生の方から何かありますか。
A:それでは,私の方から質問させていただきます。【管理人】さん先ほど,少人数制だから個性が発揮できるということをおっしゃいましたが,法科大学院を目指す人は,みな法律の専門家を目指しているわけですよね。そういう同じ考えの人が集まっている中では,個性の発揮というのは説明がつかないと思いますが,どうなんでしょうねえ。
管:(「そんな質問,過去問になかったよ……。」)そうですね,僕は,そのー,個性というのは,法律の面に限らず,それぞれの生徒が有している特徴,長所とか短所,こういったものがあると思いますので,少人数制の中で個性を発揮するということはできると思います。
A:じゃあ,あなたは,どういった個性を発揮することができますか。
管:まぁ,そうですね,私は,高校で生徒会長や学級委員長を歴任してきましたので,リーダーシップをとるという点では長けていると思います。ですから,少人数制では,チーム意識っていうのが,必然的に芽生えてくると思うので,全体を統率していったり,みなの勉強に対する意識を向上させるためのフォローやサポートをすることができると思います。
A:少人数制だということを強調されているようですが,少人数制のデメリットってないんですかねえ。
管:そうですね,少人数ということになると,やはり馬が合わない人が出てくる可能性はあります。
A:その場合,どうしたらいいんですかねえ。
管:私は,そのような馬が合わない人が出てくることは仕方がないと考えています。私も大学時代そのような人がいました。しかし,私は,そのような人と付き合い方を特に変えることなく,適切な距離感を保てば,問題ないと思います。そのような不可避的な状況だとすれば,予め分かっているわけですから,あまり消極的に捉えず,ポジティブに捉えるべきだと思います。たとえば,私はこうしてきたんですが,馬の合わない人を自分のライバルだと見立てる。そうすれば,悪い印象は抱かなくなります。そのように対処することができると思います。
A:(軽く頷きながら)では,ビジネスロー・コースで学んで,企業の技術の輸出についてかかわりたいとのことですが,会社の社長さんから,ある製品が他の会社の特許権を侵害してないか調査してほしいと依頼されたという設例を考えたときに,あなたは特許権を侵害していないか調査を行って,特許権を侵害しているのであれば,その製品の開発をやめなければならないわけですよね。そこで,あなたが調査を行っても,考えてもよく分からない問題が出てきたら,弁護士としてどうすればいいんでしょうねえ。
管:(「なんだこの質問……。」)そうですね,私は法科大学院では,同じ志を持った仲間とのつながりを大事にして,司法試験に受かって実務に出たあとでも相談しあえるような仲を気づきたいと考えています。そこで,私は,困難な問題に出会ったときでも,そのような仲間に相談するなどして,一定の解決を図りたいと思います。
A:それでも解決できなかったらどうですか。
管:それでも解決できなかったらですか……。その分野に精通した,他の専門家の方々とも相談して解決を図りたいと思います。
A:あなたに依頼をした社長さんは,どのようなことを求めているんでしょうかねえ。
管:そうですね,社長さんは,法律の専門職である私を頼って依頼してきているわけですから,そのような信頼を背負って,何らかの解決案を提示することが求められています。ですから,エンジニアの方だとか,他の専門家の方と協議するなどしたいと思います。
A:それでも分からないとなった場合はどうするんですか。
管:それでも分からない場合ですか(笑)(「何が聞きたいんだこいつは……。」)。まぁ,そうなると,その分野の専門家でも分からないということになりますので,解決は非常に困難になると思われますが(「っていうか無理だよ。」),そうですね,分からないなりに,その状況をどう打破するかといった一応の解決案を提示するべきだと思います。
A:(Bの方を見ながら)何かありますか。
B:大丈夫です。それでは,これで面接を終わります。おかえりになって結構です。
管:はい,ありがとうございました。
B:忘れ物しないようにね。

【実感等】
≪再現率≫
 95%
≪コメント≫
 私は,午後のグループでしたので,午前の受験生から,何を問われたのかを聞き出して,問われそうなことをあらかた予想していきました。特に,グローバル化についての質問については,今年のアドリブ質問だったのかと思いますが,午前でも聞かれていたようで,一応対策することができました。いきなりこれを聞かれていたら,かなり解答に困っただろうと思います。午後にあたった方は,午前のグループに友達がいる場合には,何を聞かれたのか,聞き出しておいた方がいいと思います。その他の質問は,過去問(過去の面接再現)と共通する部分が多く,対策がしやすかったと思います。ステメンについては,突っ込む先生と突っ込まない先生がいるようです。これは,運なのか,単に突っ込みどころがなかっただけなのか分かりませんが,一応何を聞かれても大丈夫なように対策しておくべきだと思います。私の場合は,ステメンに一応は関連しているが,予想の斜め上をいくような質問をされた感じがあり,かなりしどろもどろになってしまいました。あらゆる質問を想定して,対策を練っておくべきだと思います。
2017-03-13(Mon)

遅くなりましたが……

卒業前の長い長い休暇を過ごしている管理人です。

国立ローの入試が終わってから,遊びほうけています。

まだ,入試の結果と進路について報告をしていませんでした。

管理人は,無事,一橋ローに合格しまして,同ローに進学することになりました。

春から一橋に行かれる方,一橋の先輩方,よろしくお願いします。

慶應が終わってから,バイトを再開し,入試対策なんかほとんどやっていなかったので,

こりゃダメかも分からんね,という何とも言えない焦りもありましたが,

慶應押さえてるし,別に慶應でも良くね?

という心境に達した瞬間,この世のすべての邪念とか柵から解放された気分になり,

とても楽な気持ちで入試に臨めました。

これが一橋合格につながったのかもしれません。

ということで,やっぱり上位国立ローを受ける人は,

ひとまず上位私立を押さえておくのが精神的にも大事なんじゃないかなぁと思いました。

ロー入試にあたっては,情報が少ない中,

ネット上に転がっている様々な方のブログに助けられてきたので,

私もロー入試についての対策とか情報について,後日改めて記事にしたいと思います。


ところで,そんなお世話になったブログの数々を読んでいると,

「入試終了から入学までの間なんも勉強してませんでした」

と記述している記事が一定数見受けられた(某採点実感風)。

頭の悪い管理人は,この言葉を鵜呑みにして,

現在,終わりかけの大学生活を,貯め込んでいたものを吐き出すように,

水を得た魚のように謳歌しているのであります。

さっきまで,岩手旅行に出かけていました。超楽しかった(小並感)。

しかし,【上記の記事の各証言は高い信用性を有するとまではいえないのであって,

そのような証拠に依拠して,ロー入学前に何ら勉強をしなくていいとの事実を認定し,

これを動かし難い前提として,自分もロー入学まで何も勉強をしなくていいことを是認した管理人の判断は,


そういう奴らはどうせ口ではやっていないと言いつつも実は隠れて勉強をしている

との認定を妨げる方向に強く働く客観的事情を無視あるいは不当に軽視した点において,

論理則,経験則等に照らして不合理なものといわざるを得ない。


……と最高裁平成29年3月10日判決も述べているように(なお大部分を改変している),

本当に入学まで何も勉強していない奴なぞ,一人としていないのです。

管理人のように六法を数か月も触れないなんて人は存在しないのです。

管理人のようにボールペン持つの久々すぎて10分で指痛くなるなんて人は……

いや,管理人もそろそろヤバいなとは思ってはいるんですよ?

岩手にだって論文の問題と答案用紙は持っていったんですよ?すごいでしょ?

だけど,なぜか体が頭についてこないんですよ。

ホテルで論文書こうと思っていても,体が勝手にベッド入っちゃうので仕方ありません。

こればっかりは,もう本当に,ええ。

引越しが落ち着いたら少しは勉強します。。。


2016-12-15(Thu)

【旧司】民事訴訟法平成22年度第1問

ロー入試から解放されて,やっと自由な時間がもてるようになった管理人です。

今年も残すとこわずかとなりましたが,そうですね,私からは特にありません。

それでは,今日は,旧司最後の年の民訴です。

まずは問題から。

≪問題≫
 Aは,Bに対し,平成21年11月2日,返済期日を平成22年3月31日とする約定で200万円を貸し渡した。このような消費賃借契約(以下「本件契約」という。)が成立したことについてはAとBとの間で争いがなかったが,Bがその返済期日にAに本件契約上の債務を弁済したかどうかが争いとなった。
 そこで,Bは,同年4月30日,Aを被告として,本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を求める訴えを提起した。
 この事例について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えとは別の裁判所に,別訴として,Bを被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。この場合のBの訴えとAの訴えのそれぞれの適法性について論ぜよ。
2.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えに対する反訴として,Bを反訴被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。
 (1) この場合のBの訴えとAの反訴のそれぞれの適法性について論ぜよ。
 (2) 同年6月1日の第1回口頭弁論期日において,Bは,Aの請求に対して,BはAに本件契約上の債務を全額弁済したのでAの請求を棄却するとの判決を求めると述べるとともに,Bの訴えを取り下げる旨述べ,これに対し,Aは,Bの訴えの取下げに同意すると述べた。その後の同年7月15日の第2回口頭弁論期日において,Aは,反訴を取り下げる旨述べたが,Bは,Aの反訴の取下げに異議を述べた。この場合のAの反訴の取下げの効力について論ぜよ。

消極的確認訴訟かぁ……という感じです。

消極的確認訴訟については普段意識的に勉強することは少ないですから,

とりあえず,基礎的な論述を落とさないように心がけたいですね。

≪答案≫
第1.設問1
 1(1) まず,Aの訴えの適法性について検討するに,Aの訴えは先行するBの訴えと同一の消費貸借契約上の債務について争うものであるから,重複訴訟の禁止(142条)に反し,不適法とならないか。
 「裁判所に係属する事件」と同一か否かは,当事者及び訴訟物が共通しているか否かによって判断する。本件では,当事者は,どちらの訴えにおいても,A及びBである。そして,Bの訴えは消極的確認の訴えであり,Aの訴えは給付訴訟であるから,審判形式は異なるが,どちらにおいても,その審判対象は,AのBに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求権であるから,訴訟物も同一である。したがって,Aの訴えは,先行するBの訴えと「事件」の同一性が認められるから,重複訴訟の禁止に反する。そうすると,Aの訴えは,不適法却下となりそうである。
  (2) 他方で,Bの訴えの適法性について検討するに,上記のようにBの訴えは消極的確認訴訟であるのに対して,Aの訴えは給付訴訟であるから,Bの訴えは確認の利益を欠き,不適法とならないか。
 確認訴訟は,対象に限定がないうえ,執行力を有しないから,確認の利益によってその範囲を限定すべきである。確認の利益の有無は,①方法選択の適否,②対象選択の適否,③即時確定の利益から判断する。本件では,①上記のように,Aの訴えとBの訴えは,「事件」の同一性が認められることから,Aの訴えに対する判決が,先行するBの訴えに対する判決と同一内容の既判力を持ち,確認判決に期待される紛争解決機能が給付訴訟による紛争解決に代替・包摂される関係にある。そうすると,Bの訴えを独立して認める必要性が欠けるから,Bの訴えは方法選択が適切でないことになる。したがって,Bの訴えは,確認の利益を欠き,不適法却下となりそうである。
 2(1) 上記において,Aの訴えを不適法とした場合には,Bの訴えは適法であるが,Bの訴えを不適法とした場合には,Aの訴えは適法となり,両者は表裏の関係にある。そこで,どちらを不適法とすべきかが問題となる。
  (2) 重複訴訟の禁止及び訴えの利益は,いずれも無駄な訴訟を回避して,訴訟経済に資するようにすることを目的とするものである。したがって,どちらを優先させるべきかは,より適切な訴訟運営を行うことができるのはどちらかによって判断すべきである。
 この点,給付判決を維持する方が,直截的な解決になるとも思える。しかし,執行力が付与されるのは,給付判決の原告が勝訴した場合に限られ,原告が必ずしも勝訴するとは限らないことからすれば,このような直截的な解決に対する期待は,あくまで想定する程度のものでしかない。仮に,給付訴訟を維持することを優先してしまうと,確認訴訟において積み重ねてきた訴訟資料を無駄にすることになり,訴訟経済の点から妥当ではない。
 以上からすれば,後行の給付訴訟を不適法却下とすべきである。
 また,この理は,未だ先行する確認訴訟において審理が進んでいない場合にも妥当する。仮に,この場合に例外を認めてしまうと,訴訟の先行きが芳しくない場合に,これを無にするための策略的な訴訟提起を誘発するおそれがあるからである。
  (3) 本件においても,Bの訴えが先行する以上,Aの訴えは重複訴訟の禁止に反するものというべきである。
 3.したがって,Aの訴えは不適法である。その反面,Bの訴えは適法である。
第2.設問2
 1.(1)について
  (1) 設問1と同様に,Aは,Bの先行する消極的確認訴訟にもかかわらず,後発的に給付訴訟を提起している。そこで,両者の優劣が問題となる。
  (2) この点,Aの訴えは,設問1では別訴であったのに対して,本件では反訴(146条1項)として提起されている。反訴は,別訴とは異なり,本訴と同一手続きで審理されるため,本訴における訴訟資料を反訴に流用することができる。そうすると,反訴の場合には,訴訟不経済の弊害が生じないから,重複訴訟の禁止に反しない。
 したがって,この場合には,先行する確認訴訟が,一方的に訴えの利益を欠くことになり,不適法却下となる。
  (3) 本件でも,Aの訴えは,重複訴訟の禁止に反せず,適法である。その反面,Bの訴えは,訴えの利益を欠き,不適法である。
 2.(2)について
  (1) まず,Bのした訴えの取下げは,「判決が確定」する前である第1回口頭弁論におけるものであって(261条1項),かつ,「相手方」であるAの「同意」を得ているため(261条2項本文),有効である。
 そして,「本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては」「相手方の同意」が不要であるため(261条2項ただし書),Aは,Bの同意なく,訴えを取り下げることができるのが原則である。しかし,本件において,Bが本訴を取り下げたのは,上記のように不適法とされる関係にあるからである。そうすると,BがAの反訴において請求棄却判決を得て債務の不存在を確定する利益が,失われることになる。そこで,このような場合にも,同項ただし書の適用があるかが問題となる。
  (2) 同項ただし書の趣旨は,本訴に誘発されて提起された反訴が本訴の取下げを契機として取り下げられることについて,本訴原告には独自の利益がないのが通例であるといえ,むしろ同意の拒絶の余地を残すことは,当事者間の公平を害することから,反訴の取下げに本訴原告の同意を不要とした点にある。そこで,反訴が取り下げられることについて本訴原告に独自の利益があり,当事者間の公平を害さない場合には,同項ただし書の適用はないと考える。
  (3) 本件では,上記のように,Bの訴えは,Aの訴えの提起により不適法とされる関係にある。そうすると,Bの本訴における目的は,Aの反訴についての攻撃防御を尽くすことでしか達成することができない。したがって,Bは,Aの反訴が維持されることについて正当な利益を有しているといえる。また,両者が上記のような関係にある以上,Aが反訴を提起した段階で,Bの係争利益はAの反訴に取り込まれることが予想できているといえるから,Bが同意を拒絶したとしても,当事者間の公平を害することはない。
 したがって,本件では,同項ただし書の適用はない。
  (4) そうすると,Aが反訴を取り下げるには,同項本文により,Bの同意が必要となるが,Bはこれを拒絶している。
 したがって,Aの反訴の取下げは,その要件を充たさず,無効である。
以上

文字打つので疲れました。

答案用紙的には84行程度なので,4頁目の後半くらいですかね。

そのくらいの分量になります。

確認の利益と重複訴訟の禁止の優劣については,あまり考えたことがありませんでした。

たしかに,これらを単体で学ぶことはありますが,

両者がこのように衝突するんだなぁと,勉強になりました。

そして,これを別訴と反訴とで分けて聞いてくる点が,親切な設問だと思いました。

反訴の取下げの点は,マイナー論点ではあるものの,その中では有名な論点ですね(どっちだよ)。

この点については,その上までの設問で,ちゃんと利益分析ができていれば,

比較的容易に問題点は見つけることができるのかなと思います。

しかし,本番では,時間的な制約から,ここまでしっかり論述できた答案は,

あまり多くはないのではないかとみています。あくまで私見ですけど。

さすが,最後の年の旧司という感じの問題でした。難しいです。


今年も残り少しですが,最後の大学生活を思いっきり楽しく過ごして,

ほどほどに勉強もして,悔いのないものにしたいですね。

年末までに,もう1通くらい答案を書こうと思います。

以上
2016-11-04(Fri)

【旧司】民事訴訟法昭和61年度第2問

お久しぶりです。管理人です。

私大のロー入試が終わり,ひと段落ついたところでございます。

とりあえず,中大(全免),早稲田(半免),慶應に合格をいただきました。

慶應で免除がつかなかったのが心残りですが……

国立まであとわずかとなってしまったので,そちらも気を抜かずに頑張りたいと思います。


さて,今日は久しぶりに旧司民訴です。

≪問題≫
 甲は,駐車場として乙が使用している土地をその所有者Aから買い受けたと主張し,乙に対して,所有権に基づき土地の明渡しを求める訴えを提起した。
 乙はA甲間の売買の事実を認め,裁判所は和解勧告のため期日を続行したところ,次の期日になって,甲は,土地所有権侵害を理由として賃料相当損害金の支払いを求める請求を追加した。
 乙は,従前の態度を変えて,A甲間の売買の事実を争うことができるか。

一見,何やら自白の撤回の問題だなという感じですね……。

でも,それだけですと,あまりにもあっさり答案が終わってしまうので,

何か論じなければならない点があるんでしょうね……。

≪答案≫
1.乙は,従前,A甲間の売買の事実を認めていたところ,後にこの態度を変えて,A甲間の売買の事実を争おうとしている。ここで,乙のA甲間の売買の事実を認める陳述は,裁判上の自白にあたる。すなわち,裁判上の自白とは,口頭弁論又は弁論準備手続における相手方の主張と一致する自己に不利益な事実を認める旨の陳述をいうところ,甲は乙に対して所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求をしており,この請求原因は①甲が本件土地を所有すること,②乙が本件土地を占有することであって,A甲間の売買の事実は,①を基礎づける事実であるから,被告乙がこれを陳述することは,裁判上の自白にあたる。
 そうすると,乙が従前の態度を変えて,A甲間の売買の事実を争うためには,乙の上記自白の撤回が認められなければならない。
2⑴ 自白が成立した場合,その効果として審判排除効や不要証効(179条)が生じることから,相手方はこれに対して信頼するとともに,争点整理における効率的な審理という公益を生じさせる。そうすると,自白の撤回が無制限になされると,これらの利益が一方的に害されることになる。
 したがって,自白を構成する事実上の主張を当事者が事後に撤回することは制限されるべきである。
 しかし,自白の不可撤回効の目的と抵触しない場合や,撤回を認める必要性が大きい場合には,自白の撤回を認めるべきである。具体的には,①相手方が自白の撤回に同意した場合,②相手方または第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をするに至った場合,③自白された事実が反事実であり,かつ,それが錯誤に基いてなされた場合には,自白を撤回することができると考える。そして,③の場合,反事実の証明がなされたときは,それが錯誤に基いてなされた蓋然性が高いことから,錯誤については推定されると考える。
 ⑵ 本件において,事情から明らかではないが,①乙が自白を撤回するとこについて甲が同意した場合,②乙の自白が甲または第三者の刑事上罰すべき行為によってされた場合,③乙が,自白した事実が反事実であることを立証し,甲が反事実であること,かつ,それが錯誤に基づくことを覆すことができなかった場合には,乙の自白の撤回は認められる。
3⑴ 仮に,本件において,上記①~③が認められないとした場合であっても,乙は,甲が土地所有権に基づく損害賠償請求を追加したことに起因して,自白の撤回をしようとしている。そこで,このような事情の変更があった場合に,応訴態度を変更して自白を撤回することは許されるか。
 ⑵ この点について,係争利益の価値が著しく異なっている場合には,訴訟追行態度変更の自由を認めるべきであるとの理由から,訴えの変更(143条)による自白の取消しの余地を認めるべきであるとする見解がある。たしかに,一方当事者が係争利益の価値を著しく異にする訴訟活動を行う場合には,相手方の訴訟活動が無駄になる可能性があり,その意味で相手方にとって不意打ちとなる。このような場合に相手方にも訴訟追行態度変更の自由を認めなければ,当事者間に不均衡が生じかねず,上記見解を採用すべきとも思える。
 しかし,訴えの変更は,請求の基礎に変更がないことが要件とされており(143条1項本文),この点において,被告の利益は一定程度保障されている。そうすると,被告にたいする不意打ちは大きくはない。係争利益の価値が著しく異なるような場合には,訴えの変更自体を同要件によって制限すればよく,これと別に,相手方に訴訟追行態度変更の自由を認める必要はない。また,仮に上記見解を採用するにしても,どの程度の係争利益の懸隔があった場合に自白の撤回を許容するのかが明確ではないため,訴訟手続の安定性の見地からも上記見解は妥当ではない。
 したがって,上記見解は採りえない。
 ⑶ よって,訴えの変更を理由として自白の撤回を認めることはできない。
4.以上から,乙がA甲間の売買の事実を争うことができるか否かは,上記自白の撤回をしうる①~③の場合にあたるか否かによって決まる。
以上

最初は,自白の撤回について,いつものやつを淡々と……

2までがそれですが,これだけですと,(私の字のサイズでは)28行で終わってしまいます。

そこで,本問の特殊性から何か論点を見つけられないかと考えたときに,

問題文の2段落目に,いかにも触れてほしそうな感じで,

甲が請求の追加をしていましたので,これか,と。

私の能力では,ここに気付くまでが限界でした。

あとは,解析民訴を頼りにという感じですが,

訴えの変更に起因して自白の撤回を認める見解とか,初めてすぎたので,

こんな見解誰が知ってんだよと思いました。

しかも,見た感じ新堂教授しか主張していないような感じがしたので(他を確認していませんが),

これは採るのやめようと思い(ただの新堂嫌いの発露),

解析民訴の理由付け(基準の明確性)+自説(訴えの変更の要件)で否定してみました。

ネットに落ちている本問の参考答案とか,知人に見せてもらった某塾の参考答案とかは,

みんなこの見解を推しているようでした(みんな新堂教授大好きなんですね!)。

みなさんはお好きな説を採られたらよいのではないでしょうか。

以上
2016-08-16(Tue)

【高校入試】都立立川高校英語平成20年度第3問

(英語)
問題:東京都立立川高校平成20年度第3問
難易度:Bランク
解答時間の目安:18~20分

≪問題≫
3 次の文章を読んで,あとの各問に答えなさい。
  (*印のついている単語・語句には,本文のあとに〔注〕があります。)

  When I was five years old, my family moved from a city in Canada to New York because my father went back to college to study more. It was my father’s dream and my mother tried very hard to help him. I felt very sad because I had to leave our favorite house and say good-bye to my friends. I remember the words that my mother said to me then. She said, “Lisa, (1)we sometimes have to give up important things to help someone we love. Let’s think about the good things. We’re going to go to a new place together and we’ll make more friends!”
  The *apartment in New York was much smaller and older than our house in Canada. At first I didn’t like the rooms. My mother worked very hard to make the apartment *comfortable. We all cleaned the rooms and painted the walls, and my mother put little flowers here and there. Soon the apartment became a nice for us.
  Three days after we moved to New York, I started to go to a *kindergarten. It was two weeks before my 【  (2)  】 birthday and I wanted a birthday party. But I didn’t want a party in this strange place. I really wanted to go back to Canada and have a party with my friends there.
  On the morning of my birthday, I felt sad and *lonely because I still missed Canada very much. My mother tried to make me happy. She said, “You’ll have a happy birthday today. You’ll make a lot of new friends.” But I still felt sad and I couldn’t believe her. I went to my kindergarten.
  Just after class, we heard a *knock at our classroom door.
  “That will be our special *surprise,” our teacher, Ms. Smith, said and opened the door. We were surprised because my mother walked into our classroom with a box. The box was full of *cupcakes. Ms. Smith said to other children, “Today is Lisa’s birthday. Let’s have a party together.” Everyone sang “Happy Birthday” and we all had a wonderful time. (3)My mother’s words *came true. When I came home, I said to my mother, “Why did you come to school?” She said with a smile, (4) “When we love someone, we can do anything to make him or her happy.”
  There was a big field near our apartment, and children often played there. In the field, people who lived around there sometimes had parties. On warm evening, each family brought some food and enjoyed talking and playing games. During one of those parties in summer, (5)my mother asked me to go to our kitchen and bring a glass of water to her. I said OK to her and ran into our apartment.
  I found my mother’s favorite glass on the table. It was a present from my father for her birthday. My father visited many shops and finally found the glass. It was a little expensive for him. He spent all the money he had with him and bought it for her. My mother was so happy when he gave her the glass on her birthday.
  When I *poured water into it, I dropped it on the floor. The glass broke into pieces. I *was shocked. (6)I didn’t know what to do and stood in front of the pieces for some time. A *tear dropped from my eye. I started crying. I picked up a small piece and went back to my mother in the field. I thought, “【     (7)-a     】”
  She looked up when I came back to her. She was very surprised because I was crying.
  “Oh, no,” she said. “【     (7)-b     】” I couldn’t say any words, so I *handed her the piece of her favorite glass. I was crying very hard. When I tried to say something, my mother gave me a big *hug.
  “Oh, Lisa,” she said. “Don’t cry. Are you OK? You don’t need to cry about the glass. Please don’t worry.” I was still crying in her arms.
  “Stop crying, Lisa. You aren’t injured. 【     (7)-c     】 You are very important for us. So, don’t worry. You don’t have to cry.” She said to me with a smile.
  (8)She never said anything about her glass again but I knew that she felt so sad about it.

  I grew up and I am a mother of three boys now. A few days ago, my boys were running around in the living room with our dog. I told them to stop, but they were having a good time and didn’t stop. Soon my oldest son, John, hit the table and my favorite teacup fell off. The cup broke into a few pieces.
  When he came to me, he looked very *worried. He showed my broken cup to me.
  “I’m very sorry, mom,” he said with tears in his eyes.
  “*There you are! I told you, John!”
  “I’m very sorry, mom,” he was almost crying.
  Suddenly, I remembered that summer day. On the day I broke my mother’s favorite glass! I gave him a big hug and said, “That’s OK. Don’t cry, John. You aren’t injured, are you?”
  “【     (7)-d     】”
  “That’s good. I’m really glad,” I said to him with a smile.
  “I’m very sorry, mom.”
  “That’s all right. But please listen, John.”
  “Yes?”
  “When you play in the room next time, be more careful, OK?”
  “Yes, mom. I’ll be more careful,” he said with a smile.

  After my son returned to the living room, I stood in the kitchen and closed my eyes. I was thinking about that summer day. I wanted to say to my mother, “Thank you, mom. I still remember (9)the *lesson you taught me on that day. It was a small lesson, but it is one of the lessons which I can’t forget. It is still in my mind.”

〔注〕apartment アパートの部屋  comfortable 居心地の良い  kindergarten 幼稚園  lonely 寂しい
  knock ドアをたたく音  surprise びっくりさせる事  cupcake カップケーキ  come true 実現する  pour 注ぐ
    be shocked ショックを受ける  tear 涙  hand 手渡す  hug 抱擁  worried 不安である
    There you are! ほら,ごらんなさい!  Lesson 教訓・教え

〔問1〕(1)we sometimes have to give up important things to help someone we love.とありますが,Lisaの場合に当てはまると具体的にはどのようなことを表していますか。下の【 A 】~【 C 】に入る語として最も適切なものを,それぞれ本文中より1語ずつ抜き出しなさい。
   Lisa had to give up her favorite 【 A 】 and her 【 B 】 to help her 【 C 】.

〔問2〕【  (2)  】に入る,「~番目の」を表す英語1語を,数字を使わずに書きなさい。

〔問3〕(3)My mother’s words *came true.とありますが,具体的にはどのようなことを表していますか。Lisaの立場に立って,主語をIにした二つの英文で書き表しなさい。ただし,解答用紙にはすでに主語のIは記入してあります。

〔問4〕(4) “When we love someone, we can do anything to make him or her happy.”とありますが,この言葉に表れているLisaの母の気持ちに最も近いものを,次の中から選びなさい。
   ア “I wanted to make your father happy”
   イ “I wanted to make myself happy.”
   ウ “I wanted to make your classmates happy”
   エ “I wanted to make you happy.”

〔問5〕(5)my mother asked me to go to our kitchen and bring a glass of water to her.とありますが,この時にLisaの母が言ったと思われる言葉を,下の【 A 】と【 B 】に適切な英語を1語ずつ書き入れて完成させなさい。
   “【 A 】【 B 】 go to our kitchen and bring me a glass of water?”

〔問6〕(6)I didn’t know what to do and stood in front of the pieces for some time.とありますが,この時のLisaの気持ちに最も近いものを,次の中から選びなさい。
   ア グラスが割れてしまった理由がわからず,考え込んで悩んでいる。
   イ 何が割れたのかがわからず,不思議に思っている。
   ウ どうしたらいいかわからず,困惑している。
   エ 何をしたのかがわからず,誰かに尋ねたいと思っている。

〔問7〕【     (7)-a     】~【     (7)-d     】には,それぞれ次の①~④のいずれかが入ります。それぞれに入る文を順に並べたものとして正しいものを,下のア~エの中から選びなさい。
   ① I’m OK, mom.
   ② She will get angry.
   ③ I’m really glad.
   ④ What happened?
    ア ①――④――②――③
    イ ②――④――③――①
    ウ ③――②――①――④
    エ ④――③――①――②

〔問8〕(8)She never said anything about her glass againとありますが,その理由として最も適切なものを,次の中から選びなさい。
   ア Because she didn’t want to make her daughter sad.
   イ Because she was too angry to say anything about the glass.
   ウ Because she was angry and wanted to forget about the glass.
   エ Because she didn’t like the expensive glass.

〔問9〕(9)the lesson you taught me on that dayとありますが,その内容を表すものとして最も適切なものを,次の中から選びなさい。
   ア Be more careful when you play in the room.
   イ You don’t have to cry or worry about things.
   ウ You have to say sorry when you break something.
   エ People are more important than things.

〔問10〕本文の内容と合っているものを,次のア~カの中から二つ選びなさい。
   ア Lisa’s family moved from a city in Canada to New York because they bought a big house in New York.
   イ Lisa didn’t know that her mother would come to her kindergarten on the morning of her birthday.
   ウ Lisa’s father bought a beautiful teacup on Lisa’s birthday.
   エ Lisa’s mother got angry because Lisa broke her favorite teacup.
   オ At first Lisa got angry when John broke her favorite teacup.
   カ Lisa’s mother was surprised because Lisa remembered her lesson.

〔問11〕次の指示に従って,40~50語程度の英文を書きなさい。ただし,英文は二つ以上になってもかまいません。「,」「.」などは語数に含めません。
    Write about one of the lesson that you have learned from someone.



≪解説≫
1.文法解釈(略)

2.全訳
1 私が5歳のとき,家族がカナダの街からニューヨークへ引っ越すことになった。それは私の父がもっと勉強するべく大学へ戻るためであった。それは父の夢で,母は彼を一生懸命支えようと頑張った。私は,気に入っていた自分たちの家を去り,友達に別れを告げなければならなかったので,とても悲しかった。私はその時母が私に言った言葉を思い出した。「Lisa,私たちは,愛する者を支えるために大切なものを諦めなければならないことが時にはあるのよ。善いように考えよう。これから新しい街に行ってたくさん友達を作るのよ。」と彼女は言った。
2 ニューヨークのアパートの部屋はカナダにいた頃の家よりもかなり小さくて古かった。はじめ,私はその部屋が好きになれなかった。母は部屋を居心地良くすべく一生懸命働いた。私たちは部屋を掃除し,壁を塗り,そして母は方々に小さな花を置いた。すぐに部屋は善いものになった。
3 ニューヨークに移ってから3日後,私は幼稚園へ通い始めた。それは私の6歳の誕生日の2週間前で,誕生日会を開きたかった。しかし,私はこの慣れない場所で会を開きたくなかった。私はカナダに戻ってそこの友達と会を開きたいと本気で思った。
4 誕生日の朝,私はカナダが恋しくて,悲しく寂しい気分だった。母は私を励まそうとした。彼女は「今日は楽しい誕生日を送れるわよ。新しい友達もたくさんできるから。」と言った。それでも,私はまだ悲しい気分で,彼女を信じることができなかった。私は幼稚園へ行った。
5 授業の終わってすぐに,教室のドアをたたく音が聞こえた。
6 「特別サプライズだ。」と担任のSmith先生が言って,ドアを開けた。私たちは驚いた。なぜなら,私の母が箱を持って教室に入ってきたからだ。Smith先生は子供たちに,「今日はLisaの誕生日なんだ。一緒にパーティをしよう。」と言った。皆“Happy birthday”の歌を歌い,私たちは全員素敵な時間を過ごした。母の言葉は実現したのだ。家へ帰ると,私は母に「なんで幼稚園へ来たの。」と尋ねた。彼女は笑顔で「私たちは,人を愛するならば,その人を幸せにするために何だってできるのよ。」と言った。
7 私たちのアパートの近くには大きな広場があり,子供たちがそこでよく遊んでいた。広場では,その近所の人達が時々パーティを開いていた。ある暖かい夕方,それぞれの家族が食事を持ち寄って,話をしたりゲームをしたりして楽しんでいた。夏のあるパーティで,母が私に台所で水を汲んでくるように言った。私はいいよと言ってアパートへと駆け込んだ。
8 私は母のお気に入りのグラスを見つけた。それは父からの誕生日プレゼントであった。父は,いくつもの店を回り,やっとこのグラスを見つけたのだった。彼にとってみればそれは少し高価なものだった。彼は持ち合わせたお金をすべて使い切って,彼女にあげた。母は誕生日に父からそのグラスをもらうとたいそう喜んでいた。
9 それに水を注いだとき,私はそれを床に落としてしまった。グラスは粉々になってしまった。私はショックだった。私はどうしていいか分からず,しばらくその破片の前に立ち尽くした。涙が目からこぼれた。私は泣き出した。小さい破片を取り上げて,広場にいる母のもとへ戻った。私は「     (7)-a     」と思った。
10 私が戻ると,母は見上げた。彼女は,私が泣いていたので,とても驚いた様子だった。
11 「まぁ。」「     (7)-b     」私は何を言葉が出なかったので,母のお気に入りのグラスの破片を手渡した。私はめちゃくちゃ泣いていた。私が何かを言おうとすると,母は私を強く抱きしめた。
12 「まぁ,Lisa。」「泣かないで。大丈夫。グラスのことで泣かなくていいのよ。心配しないで。」と彼女は言った。私はまだ彼女の腕の中で泣いていた。
13 「泣くのをやめなさい,Lisa。けがをしてないでしょう。     (7)-c     私たちにとってあなたがとても大切なの。だから心配しないで。あなたが泣くことなんてないわ。」彼女は笑顔で私に言った。
14 彼女が再びグラスについて言及することはなかったが,私は彼女が悲しがっているのが分かった。
15 私はあれから大きくなって,今では3歳の男の子の母親である。数日前,子供たちが家の居間で犬と一緒に走り回っていた。私はやめなさいと言ったが,彼らは楽しんでいてやめようとしなかった。直後,長男のJohnがテーブルにぶつかり,私のお気に入りのティーカップが落ちた。カップは粉々になった。
16 彼は私のところへ来ると,とても困惑していた。彼は私に壊れたカップを見せてきた。
17 「お母さん,本当にごめんなさい。」と彼は目に涙を浮かべながら言った。
18 「ほら,だから言ったでしょ。John。」
19 「本当にごめんなさい。」彼はほとんど泣きそうだった。
20 その時ふと,私はあの夏の日を思い出した。私が母のお気に入りのグラスを割ってしまった日のことである。私は彼を強く抱きしめ,「いいのよ。泣かないでJohn。あなたはけがをしたわけじゃないでしょ。」と言った。
21 「     (7)-d     」
22 「それはよかった。とても嬉しい。」私は笑顔で彼に言った。
23 「本当にごめんなさい,お母さん。」
24 「いいわよ。だけどJohn,これだけはよく聞いてちょうだい。」
25 「うん。」
26 「次に部屋で遊ぶときは,もっと周りを見ること,いい。」
27 「分かったよ,お母さん。もっと気を付ける。」彼は笑顔で言った。
28 息子が今へ戻っていった後,私は台所に立ち,目を閉じた。あの夏の日のことを思い返していた。私は母に「ありがとう,お母さん。私はあの日あなたから教わった教訓を今でも覚えていたわ。それは小さな教訓だったけど,私の忘れられない教訓の1つだわ。私の心に今でも残っている。」

3.各問解答・解説
〔問1〕(配点:各2) 解答:A-house B-friends C-father
抽象的な文言を具体的な事実に当てはめることで,文脈を把握しているかについてみる問題である。本問下線部は,第1段落での事情を受けての,母からLisaへの言葉であるから,第1段落での状況を的確に把握していなければならない。まず1行目で「父の都合でニューヨークへ引っ越すことになった。」とあり,2行目で「引っ越すと気に入っていた家を出て,友達ともお別れしなければならず寂しい。」という感情が示されている。そのようなLisaに対して母が「諦めなければならない。」としているのは,「家を出ていくこと」と「友達と別れること」である。したがって,Aには「家=house」,Bには「友達=friends」(複数形でなければならない。)が,それぞれ入る。そして,この引っ越しは「父を支えるため」になされるのだから,Cには「父=father」が入る。

〔問2〕(配点:2) 解答:sixth
   文中の空欄にあてはまる語を,文脈から判断することで,文脈を把握しているかをについてみる問題である。本問ではLisaにとって何回目の誕生日か(=Lisaは何歳になるか。)について問われているので,Lisaの年齢に関する情報を探すと,第1段落1行目にWhen I was five years old….とあるので,当時5歳であることが分かる。とすると,次は6歳になる(=6回目の誕生日を迎える)ことになるので,「6回目」を表すsixthを入れればよい。

〔問3〕(配点:各4) 解答例:I had a happy birthday. I made a lot of new friends.
   文中に示された文言の内容について解釈することで,文の読解力についてみる問題である。My mother’s word came true.とあるので,その実現した内容について考えると,第6段落の状況としては,母がLisaの誕生日を祝うべく幼稚園まで来て,それによって,他の子供たちと楽しい時間を過ごせたというのであるから,本問下線部の直前までが,実現した内容である。では,これをMy mother’s wordとして表われている部分(=母の発言部分)を探すと,第4段落2行目にShe said, “You’ll have a happy birthday today. You’ll make a lot of new friends.”とある。そこで,My mother’s wordとは,この部分を指すことが分かる。では,これをLisaの立場になって書きかえると,Lisaはこの出来事を現在の視点から書き連ねているので,すべて過去の出来事である(本問下線部もcame trueという過去形になっている。)。したがって時制は過去としなければならない。よって,I had a happy birthday.とI made a lot of new friends.とすればよい。

〔問4〕(配点:2) 解答:エ
  ア 「私は父を幸せにしたかった。」
  イ 「私は私自身を幸せにしたかった。(=私は幸せになりたかった。)」
  ウ 「私はあなたのクラスメートを幸せにしたかった。」
  エ 「私はあなたを幸せにしたかった。」
   文の書き換えによって,文脈を把握しているかをみる問題である。本問下線部は,直前のLisaの“Why did you come to school?”という質問に対する回答である。したがって,本問下線部は,母が学校へ行った理由を答えているのである。すると,第6段落までの流れ,すなわち,①Lisaは誕生日を祝ってほしかった→②しかしニューヨークへ越してきたばかりなので,慣れない所で誕生日会をするのは嫌だった→③母が幼稚園へ来て,皆でLisaを祝うことを企てた,という文脈からすれば,母はLisaのために学校へ来たことになる。したがって,母(=私)はLisa(=あなた)を幸せにしたかったというエを選べばよい。

〔問5〕(配点:2) 解答:A-Will / Can / Would / Could B-you
   文の書き換えによって,助動詞の知識についてみる問題である。本問下線部は,母が私に台所で水を汲んでくるように言った,という意であるから,母としては,これをLisaに「依頼する」ことになる。そこで依頼の文(Will you ~? / Can you ~?等)を作ればよい。

〔問6〕(配点:2) 解答:ウ
   文中での人物の行動について,その理由を解釈することで,文脈を把握しているかをみる問題である。まず本問下線部前半でI didn’t know what to do….とあり,Lisaは「どうしたらいいのか分からない」という状態になっている。また,本問下線部後半ではI….stood in front of the pieces for some time.とあるから,前述の「どうしたらいいか分からない」という状態がしばらくの間続いていることが分かる。さらに,次の文でA tear dropped from my eye.とあるから,「困惑」の感情を表している。したがって,ウを選ぶことになる。アは,直前に….I dropped it on the floor.という原因が書かれているから,グラスが割れてしまった理由がわからないということは考えにくい。イ,エはアと同様のことから考えにくい。

〔問7〕(配点:2) 解答:イ
  ① 大丈夫だよ,お母さん。
  ② 彼女は怒るだろう。
  ③ 私はとても嬉しい。
  ④ 何が起きたのか。
   文中の空欄に適する文を補充することで,文脈を把握できているかをみる問題である。まず,(7)-aの含まれる段落での状況を確認すると,Lisaが水を汲んだグラスを落として割ってしまい,そのグラスは母のお気に入りのものであったというのである。すると,お気に入りのグラスを割られた母としては,それについて怒るだろうと考えるのが筋であるから,(7)-aには②が入る。次に,(7)-bの含まれる場面では,母が広場に戻ってきたLisaを見ると,泣いていたのであるが,母としては,その原因を知る余地がないから,その原因を尋ねるのが筋である。したがって(7)-bには④が入る。さらに,(7)-cの含まれる場面では,泣き続けるLisaに対してStop crying, Lisa. You aren’t injured.としたあと,You are very important for us.と述べていることから,Lisaが怪我をしていなくてよかったという気持ちが読み取れる。したがって(7)-cには③が入る。最後に(7)-dの含まれる場面では,LisaがJohnを抱きしめた後You aren’t injured, are you?という発言をしている。それを受けた本問空欄に対してThat’s good.としているから,Johnは無事けがをしなかったという文脈であることが分かる。したがって,(7)-dには①が入る。

〔問8〕(配点:2) 解答:ア
  ア 彼女は娘を悲しくさせたくなかったため。
  イ 彼女はグラスについて何も言えないほど怒っていたため。
  ウ 彼女は怒っていてグラスのことについて忘れたかったため。
  エ 彼女はその高価なグラスが好きではなかったため。
   文中での人物の行動について,その理由を解釈することで,文脈を把握しているかをみる問題である。本問下線部について直接理由を示した文はないので,消去法的に考えると(そんなことしなくても選択肢からして答えは分かりそうだが……),まずアについて,これを否定するような要素は見当たらない。次にイについて,母はLisaに対してYou are very important for us. So, don’t worry. You don’t have to cry.と述べていることからすれば,Lisaに対して怒っているような様子は受けてとれない。また,….I knew that she felt so sad about it.との記載があるが,ここから母が怒っている様子を読み取ることまではできない。したがって,イは誤りである。なお,Lisaはお気に入りのカップをJohnに割られてしまい怒っている様子が見られるが,本問ではLisaの母について問われているので不適切である。ウについてはイと同様の理由から誤りである。エについて,本件グラスは文中でもmy mother’s favorite glassと紹介されているから,母がこれを好きではないとするのは背理である。したがってエは誤りである。

〔問9〕(配点:2) 解答:エ
  ア 部屋で遊ぶときはもっと気を付けなければならない。
  イ (一般的な)物について泣いたり心配したりすることはない。
  ウ 何かを壊したときは誤らなければならない。
  エ 人は物よりも大事である。
抽象的な文言について,その内容を具体的に表すものを選ぶことで,読解力をみる問題である。本問ではthe lessonの内容が問われているが,ここでthe lessonはthat summer dayに母から教わったものである。すると,場面としては第7段落以降のLisaがグラスを割ったところを見なければならない。そこでは,第13段落1行目でYou aren’t injured…. You are very important for us.としていることから,グラスが壊れてしまっても,Lisaが無事ならよい,という心情が読み取れる。したがって,正答はエである。

〔問10〕(配点:各2) 解答:イ,オ
  ア Lisaの家族はニューヨークに大きな家を買ったため,カナダの街からニューヨークへ引っ越した。
  イ Lisaは,誕生日の朝,母が幼稚園に来るということを知らなかった。
  ウ Lisaの父はLisaの誕生日に美しいティーカップを買った。
  エ Lisaの母は,Lisaが,お気に入りのティーカップを壊したので怒った。
  オ 最初Lisaは,Johnが,お気に入りのティーカップを壊したときに怒った。
  カ Lisaの母はLisaが教訓を覚えていたため驚いた。
   本文と内容の一致するものを選ぶことで,読解力をみる問題である。アについて,Lisaの家族がニューヨークへ引っ越す理由は第1段落1行目に…. because my father went back to college to study more.と記されている。よってアは誤りである。イについて,第6段落1行目でWe were surprised because my mother walked into our classroom with a box.とあり,また同4行目でLisaが母に対しWhy did you come to school?と尋ねていること等を総合考慮すれば,Lisaはその日の朝,母がようちえんに来ることを知らなかったものと考えられる。したがってイは正しい。ウについて,第8段落1行目でI found my mother’s favorite glass on the table. It was a present from my father for her birthday.としているから,Lisaの父は「Lisaの母」に対し「グラス」を買ったのである。したがって,ウは誤り。エについて,〔問8〕の解説を参照。エは誤り。オについて,第18段落でThere you are! I told you, John!と発言していることから,Lisaが怒っている様子が窺われる。したがって,オは正しい。カについて,そのような記述はない。また,Lisaの母が驚いたのは第5段落でShe was very surprised because I was crying.とあるので,理由が異なる。したがって,カは誤り。

〔問11〕(配点:8) 解答例省略

以上
2016-08-14(Sun)

【高校入試】東京都英語平成19年度第4問

(英語)
問題:東京都平成19年度第4問
難易度:Aランク
解答時間の目安:13分

≪問題≫
4 次の文章を読んで,あとの各問に答えよ。
  (*印の付いている単語・語句には、本文のあとに〔注〕がある。)

  When Yumi was a junior high school student, she played video games with her younger brother Akira almost every day. Her parents felt sad to see that and often told her to study more. Her father was a *carpenter. He worked from early morning until late at night every day. But Yumi didn’t know why he worked so hard.
  When Yumi became a high school student, she made a lot of friends, and she began to enjoy learning things. Her life in high school was not so bad. But there was one thing she worried about. When her teacher asked her about her future, she couldn’t say anything. Most of her friends had their own dreams or plans, and they often told each other about them. She felt very sad when she couldn’t join them. She didn’t have any dreams or plans for the future. One night she told her father about that. He smiled and told her to come to his *job site some day. She didn’t know why he told her to do that.
  One day, on her way home from school, she decided to visit her father’s job site. When she got there, Yumi’s father was working with two young carpenters. He was showing them how to *plane a piece of wood. She saw something *professional in him. It was her first *experience to see him at his job site, and she got very excited. She thought her father was great. After a while, her father said to Yumi, “Come here. Let’s have some tea.” He gave a cup of tea to her and asked, “What do you think of my work, Yumi?” Yumi said, “It’s wonderful.” He said, “I have built about thirty houses in about fifteen years. Building a good house takes a long time.” Then she asked him, “Why did you decide to become a carpenter?” He answered, “I wanted to make a lot of people happy through building good houses. When I started to work as a carpenter, it was very hard for me, and I often wanted to give up. But I didn’t. Because my dream was to make a lot of people happy through building good houses. I *kept on working very hard.” She *was moved by her father’s words. They finished drinking the tea. Then a boy *came up to them. The boy was Akira. She was surprised and asked, “What are you doing here?” Akira answered, “I’m here to watch our father. I often come here after school. It’s interesting to watch him at his job site.” Yumi was surprised again and looked at her father. Her father was smiling. Akira was interested in his work! She thought Akira would *probably become a carpenter like him. On their way home, Akira said to Yumi, “I *am proud of our father. What about you?” She answered, “I am, too. Now I know why he told me to come to his job site.” Her father wanted her to know the *significance of working. She thought about her life. After that day, she began to think about her future. She also wanted to make a lot of people happy through her work. That became her big dream. She studied harder, and her school life got better.
  Now Yumi is an *architect and Akira is a carpenter. A lot of people in the town want her to *design their own houses. She is very busy, but she is very glad to make a lot of people happy through her work. Yumi’s big dream has *come true.

〔注〕carpenter 大工  job site 作業現場  plane a piece of wood 木材にかんなをかける  professional プロの
experience 経験  keep on working 働き続ける  be moved 感動する  come up to ~ ~に近寄ってくる
probably おそらく  be proud of ~ ~を誇りに思う  significance 意義  architect 建築
design デザインする  come true 実現する

〔問1〕But there was one thing she worried about.を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,下のどれを入れるのがよいか。
    But Yumi worried because 【     】.
   ア her life in high school was not so bad
   イ she enjoyed learning things in high school
   ウ her father kept on working very hard every day
   エ she didn’t have any dreams or plans for the future

〔問2〕次のア~エの文を,本文の内容の流れにそって並べ,順に記号を書け。
   ア Yumi visited her father’s job site and was excited to see her father.
   イ Yumi began to think about her future.
   ウ Yumi couldn’t say anything when her teacher asked her about her future.
   エ Yumi played video games with Akira almost every day.

〔問3〕次の(1)~(3)の文を,本文の内容と合うように完成するには,【     】の中に,それぞれ下のどれを入れるのがよいか。
   (1) Yumi’s father told Yumi to come to his job site because 【     】.
    ア he wanted her to build a good house
    イ he wanted her to decide to become a carpenter
    ウ he wanted her to know the significance of working
    エ he wanted her and Akira to help him with his work

   (2) Akira often came to his father’s job site because 【     】.
    ア he wanted to see his sister Yumi
    イ he was interested in his father’s work
    ウ he and two young carpenters were friends
    エ he was only interested in playing video games

   (3) Yumi’s school life got better when 【     】.
    ア she found a dream and studied harder
    イ she was moved by her father’s words
    ウ she saw something professional in her father
    エ she was surprised to see Akira at her father’s job site

〔問4〕次の質問に英語で答えよ。
   (1) How did Yumi feel when her friends were talking about their future at high school?
   (2) What has Yumi wanted to do through her work as an architect?



≪解説≫
1.全訳
 Yumiは中学生のとき,弟のAkiraとほとんど毎日テレビゲームをしていた。両親はそれを見て悲しくなり,彼女にもっと勉強をしろとよく言った。彼女の父は大工であった。彼は毎日朝早くから夜遅くまで働いていた。しかしYumiは,なぜ彼がそんなに熱心に働くのか分からなかった。
 Yumiは高校生になると,たくさんの友達をつくり,物事を学ぶことを楽しみ始めた。高校での生活はそんなに悪くはなかった。しかし1つだけ彼女が心配していることがあった。先生が彼女に将来のことについて尋ねると,彼女は答えることができなかった。友達のほとんどが自身の夢や構想を持ち,よくお互いに話し合っていた。彼女はその会話に入れなかったとき,とても寂しく感じた。彼女は将来の夢や構想がなかった。ある夜。彼女は父にそのことを話した。父は笑顔で,そのうち彼の職場へ来るように言った。彼女は彼がなぜそのようにしろと言ってきたのか分からなかった。
 ある日,学校からの帰り道,彼女は父の職場へ行ってみようと決意した。そこへ着くと,父は2人の若い大工と共に働いていた。父は彼らに木材へのかんなのかけ方を見せていた。彼女は彼の職人らしいところを見てとった。彼を職場で見るのは初めての経験であり,彼女はとても高まった。彼女は,父は偉大だと考えた。しばらくすると,父はYumiに「こっちに来な。お茶でも飲もうや。」と言った。彼は彼女に1杯のお茶を差し出して「Yumi,俺の仕事,どう思う?」と尋ねた。Yumiは,「すごい。」と言った。彼は「俺はおよそ15年で大体30棟の家を建ててきたんだ。家を建てるには時間がかかる。」と言った。そのとき彼女は「なんで大工になろうと思ったの?」と尋ねた。彼は「俺は家を作ることで皆を幸せにしてあげようと思ったんだ。大工として仕事を始めた頃は,それはそれは大変で,よくやめてやろうと思った。だが,俺はやめなかった。そりゃあ俺の夢は良い家を作って皆を幸せにすることだからな。俺は一生懸命働き続けた。」彼女は父の言葉に感動した。彼らはお茶を飲み終えた。そのとき,1人の少年が彼らのところに近寄ってきた。それはAkiraだった。彼女は驚いて「ここで何してんの?」と尋ねた。Akiraは「お父さんを見に来たんだ。僕は学校のあとよくここへ来てる。お父さんを職場で見るのが面白いんだ。」と答えた。Yumiはさらに驚いて父の方を見た。父は笑顔だった。Akiraは父の仕事に興味津々なんだ!彼女は,Akiraはもしかしたら彼のように大工になるかもしれないと考えた。帰宅路で,AkiraはYumiに「僕はお父さんのことを誇りに思う。お姉ちゃんはどう?」と言った。彼女は「私もよ。今なら私は,なんでお父さんが私に職場に来るように言ったのか分かるわ。」父は彼女に働くことの意義を知ってほしかったのだ。彼女は自分の人生について考えた。その日以降,彼女は自分の将来について考え始めた。彼女はまた,仕事を通して多くの人たちを幸せにできたらと思った。そのことが彼女の中で大きな夢となった。彼女はより勉強し,学校での生活は一段と良くなった。
 今,Yumiは建築士でAkiraは大工。町の多くの人たちが自身の家を彼女に設計してもらいたがっている。彼女はとても忙しい,しかし,仕事を通して多くの人たちを幸せにできてとても嬉しく思っている。Yumiの大きな夢は実現したのである。

2.各問解答・解説
〔問1〕(配点:4) 解答:エ
 要旨となっている文を解釈することで,本文の内容についての理解を見る問題である。今回は下線部にはっきりworried aboutと書いてあるので,「悪」のイメージの内容が書かれている部分を周辺から探せばよい。
ア しかしYumiは,高校での生活がそんなに悪くなかったため心配していた。
→誤り。本文の流れは「高校での生活はそんなに悪くなかった。(本文2段落目1行目後半)」→(しかし)→「彼女には心配事があった。(本文2段落目2行目下線部)」となっているため,高校での生活が悪くなかったことが心配事になっているわけではない。
イ しかしYumiは,高校で物事を学ぶことが楽しかったため心配していた。
→誤り。本文の流れは「物事を学ぶのを楽しみ始めた。(本文2段落目1行目)」→(しかし)→「彼女には心配事があった。(本文2段落目2行目下線部)」となっているため,高校で物事を学ぶことが楽しかったことが心配事になっているわけではない。
ウ しかしYumiは,父が毎日とても一生懸命働き続けていたため心配していた。
→誤り。Yumiは「なぜ彼がそんなに熱心に働くのか分からなかった。(本文1段落目最終文)」としているのみで,彼女が心配している内容とは書かれていない。
エ しかしYumiは,将来の夢や構想がなかったため心配していた。
→正しい。本文2段落目にある。下線部直後にYumiが先生に将来のことについて聞かれた際に何も答えられず,友達の会話にも入れなかったことが書かれている。それを受けて彼女は悲しく感じている(本文2段落目3行目後半)ことから,当該部分がYumiの心配事の内容だと分かる。

〔問2〕(配点:4) 解答:エ→ウ→ア→イ
 各肢を並び替えることで,内容の流れをつかむとともに,その要旨を捉えることができるかを見る問題である。本文をしっかり読んだうえで,各肢との適合部分を本文中から探し出す。
ア Yumiは父の職場を訪れ,父を見て高まった。
→本文該当箇所は3段落目1行目,3行目 ……she decided to visit her father’s job site.//……and she got very excited.
イ Yumiは将来について考えだした。
→本文該当箇所は3段落目14行目 After that day, she began to think about her future.
ウ Yumiは先生に将来のことについて尋ねられたとき,何も答えられなかった。
→本文該当箇所は2段落目2行目 When her teacher asked her about her future, she couldn’t say anything.
エ Yumiはほとんど毎日Akiraとテレビゲームをしていた。
→本文該当箇所は1段落目1行目 ……she played video games with her younger brother Akira almost every day.

〔問3〕
空欄に適切な文を挿入することで,内容の理解を見る問題である。問題文の空欄以外の部分に記載されている英文を頼りに,同趣旨または一致する該当箇所を本文から探し,適切な肢を選べばよい。
(1) (配点:4) 解答:ウ
  「Yumiの父は,……のために,Yumiに職場に来るように言った。」とあるので,本文2段落目4行目 He smiled and told her to come to his job site some day.と一致するが,ここにはその理由が書かれていない。本文を読み進めると,3段落目13行目にNow I know why he told me to come to his job site.とのYumiの発言がある。そこで,この周辺から理由となる部分を探す。
 ア 彼女に良い家を建ててほしかったため
 →誤り。そのような趣旨のことは本文中のどこにも書かれていない。
 イ 彼女に大工になるように決心してほしかったため
 →誤り。そのような趣旨のことは本文中のどこにも書かれていない。
 ウ 彼女に働くことの意義を分かってほしかったため
 →正しい。本文3段落目13行目後半Her father wanted her to know the significance of working.
 エ 彼女とAkiraに仕事を手伝ってほしかったため
 →誤り。そのような趣旨のことは本文中のどこにもかかれていない。

 (2) (配点:4) 解答:イ
「Akiraは,……のために,よく父の職場を訪れていた。」とあるので,Akiraが父の職場を訪れた理由を表している部分を探せばよい。本文3段落目9行目後半でYumiがAkiraに対しWhat are you doing here?と尋ね,それに対するAkiraの答えが直後に書かれているため,ここに注目する。
 ア Yumiに会いたかったため
 →誤り。そのような趣旨のことは本文中のどこにも書かれていない。
 イ 父の仕事に興味があったため
 →正しい。本文3段落目10行目,11行目後半I’m here to watch our father. …… It’s interesting to watch him at his job site. …… Akira was interested in his work!
 ウ 2人の若い大工と友達だったため
 →誤り。そのような趣旨のことは本文中のどこにも書かれていない。
 エ テレビゲームをすることだけに興味があったため
 →誤り。そのような趣旨のことは本文中のどこにも書かれていない。

 (3) (配点:4) 解答:ア
  「……した頃,Yumiの学校生活はより良くなった。」とあるので,本文3段落目15行目 She studied harder, and her school life got better.と一致する。この文が本段落の最終文となっているので,その直前辺りを探してみる。
 ア 夢を見つけ,より熱心に勉強した頃
 →正しい。本文3段落目15行目 That became her big dream. She studied harder, and her school life got better.
 イ 父の言葉に感動した頃
 →誤り。本文3段落目8行目後半に同様のことが書かれているが,このことが,間接的ではあっても直接的にYumiの学校生活を良くした原因ではない。
 ウ 父の職人らしいところを見てとった頃
 →誤り。このことがYumiの学校生活を良くした原因とは結びつかない。
 エ 父の職場でAkiraを見つけて驚いた頃
 →誤り。このことがYumiの学校生活を良くした原因とは結びつかない。

〔問4〕
 (1) (配点:4) 模範解答:She felt very sad.
  高校で友達らが将来のことについて語り合っているとき,Yumiはどう感じたか。
 →この場面が書かれているのは,本文2段落目である。3行目にShe felt very sad when she couldn’t join them.と書かれているので,ここから抜き出すだけでよい。

 (2) (配点:4) 模範解答:She has wanted to make a lot of people happy.
  Yumiは建築士としての仕事を通して何をし続けたいと思ったか。
 →この場面が書かれているのは,本文3段落目である。14行目にShe also wanted to make a lot of people happy through her work.と書かれている。
  ※質問文では現在完了が用いられているので答えも現在完了を用いる。

以上
2016-08-14(Sun)

【高校入試】東京都英語平成22年度第4問

(英語)
問題:東京都平成22年度第4問
難易度:Bランク
解答時間の目安:15分

≪問題≫
4 次の文章を読んで,後の各問に答えよ。
  (*印の付いている単語・語句には,本文のあとに〔注〕がある。)

  Greg was fourteen years old and liked to *draw pictures. He went to a park near his house every Sunday to draw. He *added color only for special pictures because he didn’t have much *paint. One Sunday, he went to the park to finish a picture for a contest. He decided to use the last paint he had. He thought, “I have to finish it today to *be in time for the contest.” In the park, he saw an old woman. She was sitting on a *bench and looking at a photo. He thought, “I’ve seen her there before.” Then he said, “Hello.” She said, “Hello. Oh, you sometimes draw pictures here.” He wanted to talk with her more and said, “My name is Greg Miller. You were looking at a photo.” She said, “Yes. My name is Karen Foster. This is my *grandson, Edward. He lives in another country.” She showed him the photo and said, “His parents sent it to me. I have seen him only once. It was three years ago. I want to see him again.” Greg wanted to do something for her and said, “I’ll draw a picture of you and Edward.” She said, “You’re kind.” He said, “You can keep sitting there. Please hold that photo in your hand and look at me.” He sat down near her and began drawing a picture with a pencil.
  Ms. Foster said, “I have a photo *studio. When Edward was born, I closed it for two weeks and went to see him. I took many photos of him. Now I can’t take a photo of him or feel him in my arms.” Greg finished drawing and showed her the picture. She said, “Wow! This is a *heart-warming picture! I like it very much.” In the picture, Edward was sitting on her *lap. She said, “I can feel Edward on my lap. I’m really happy.” He thought, “I draw pictures because I like to draw them. And my pictures can make people happy. That is a wonderful thing. I’ll add color to this picture. She’ll be happier.” But soon he thought, “If I do that, I will have to give up the contest.” When he saw her smile, he knew what to do. He said, “I’ll add color to it. It’s getting dark, and it’ll take a few hours. Will you meet me here again next Sunday?” She said yes.
  The next Sunday, Greg met Ms. Foster again in the park. He finished adding color to the picture there and gave it to her. She said, “Thank you, Greg. I really like this picture. It makes me happy. Please keep drawing pictures which make people happy. You can do that.” Then she gave him something. He was surprised and opened it. It was a box of paints. He said, “Thank you, Ms. Foster. I’ll never forget your words. I’ll try.”
  A few weeks later, when Greg went out, he saw some people in front of a photo studio. They were looking at something in its show window. When he came near the studio and saw its name, he knew it was Ms. Foster’s. An old man said to him, “This picture makes me happy. I remember my grandson.” Greg looked at the picture there and was surprised. It was his picture. It was on a table, and there was a message by it. He read the message and became happy. It was “I’m happy to be with my grandson.” When he went home, he saw the box of paints from Ms. Foster on his desk. He held the box of paints and remembered her words in the park. He thought, “I gave up the contest then, but I learned a wonderful things from her. I’ll try the contest next year.”

 〔注〕 draw 描く  add 加える  paint 絵の具  be in time for ~ ~に間に合う  bench ベンチ  grandson 孫息子  studio スタジオ  heart-warming 心温まる  lap ひざ

〔問1〕That is a wonderful things.の内容を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,どのような1語を入れるのがよいか。
    It is wonderful thing to be able to make people happy through my 【     】.

〔問2〕次の(1)~(3)の文を,本文の内容と合うように完成するには,【     】の中に,それぞれ下のどれを入れるのがよいか。
   (1) When Greg was drawing a picture with a pencil, Ms. Foster was 【     】.
    ア talking to him about Edward’s parents
    イ taking photos in the park
    ウ holding Edward’s photo in her hand
    エ looking at his picture

   (2) Greg thought, “I will have to give up the contest if I 【     】.”
    ア go to the park every Sunday to meet Ms. Foster
    イ use the last paint I have for Ms. Foster
    ウ talk with Ms. Foster more
    エ give a picture for the contest to Ms. Foster

   (3) The thing in the show window was a picture of 【     】.
    ア a table and a message
    イ Ms. Foster and Edward
    ウ the box of paints from Ms. Foster
    エ an old woman and Greg

〔問3〕本文の内容と合っているのは,次のうちではどれか。
   ア When Greg saw Ms. Foster in the park and said hello, she knew his name.
   イ Ms. Foster looked at Greg’s picture and said she couldn’t feel Edward in her arm.
   ウ Greg finished a picture for Ms. Foster in one day and gave it to her.
   エ Greg had to give up the contest, but he decided to try it next year.

〔問4〕次の質問に英語で答えよ。
   (1) Why did Ms. Foster say Greg was kind?
   (2) Whose photo studio did Greg see?



≪解説≫
1.全訳
 Gregは14歳で,絵を描くのが好きであった。彼は絵を描くために毎週日曜日に家の近くの公園へ行っていた。彼はあまり絵の具を持っていなかったため,特別な絵だけに色を加えた。ある日曜日,彼はコンテストに向けて絵を描き終えるために公園へ行った。彼は,持っていた最後の絵の具を使うことに決めた。彼は「コンテストに間に合わせるために今日中に絵を描き終えないとならないな。」と考えた。公園で,彼はあるお年寄りの女性を見かけた。彼女はベンチに座っていて,写真を眺めていた。彼は「彼女,ここで前に見たことあるぞ。」と思った。そして彼は「こんにちは。」と声をかけた。彼女は「こんにちは。ああ,あなた,たまに絵を描いてらっしゃる。」と言った。彼は彼女ともっと話したく,「私の名前はGreg Millerです。写真を見てらっしゃるんですね。」と言った。彼女は「はい。私の名前はKaren Fosterです。この子は,私の孫息子のEdward。彼は違う国に住んでいるの。」と言った。彼女は彼(Greg)に写真を見せ,「彼(Edward)の両親が私に送ってくれたんです。私は彼を1度しか見たことがないの。それは3年前です。彼にもう1度会いたいですね。」と言った。Gregは彼女に何かしてあげようと思い,「私があなたとEdwardの絵を描いてあげましょう。」と言った。彼女は,「優しい方ですね。」と言った。彼は「あなたはそこに座り続けていてかまいません。その写真を手に持って私の方を見てください。」と言った。彼は彼女の近くに座り,鉛筆で絵を描き始めた。
 Foster氏は「私はフォトスタジオを持っています。Edwardが生まれたときに,2週間そこを閉めて彼に会いに行きました。私は彼の写真をたくさん撮りました。今では,彼の写真を撮ることもできないし,彼を腕に感じることもできません。」と言った。Gregは絵を描き終え,彼女に絵を見せた。彼女は「まあ。心温まる絵ですね。私はとても好きです。」と言った。絵には,Edwardが彼女のひざに座っていた。彼女は「ひざにEdwardを感じ取れるわ。本当にうれしいです。」と言った。彼は「俺は絵を描くのが好きだから絵を描くんだ。そして俺の絵は人々を幸せにすることができる。素晴らしいことだ。この絵に色を加えようと思う。彼女はさらに嬉しくなろう。」と思った。しかし,すぐに彼は「もしそうすると,コンテストを諦めないとならない。」と考えた。彼女の笑顔を見ると,彼は何をすべきか分かった。彼は「これに色を付けようと思います。あたりが暗くなってきましたし,まだまだ時間を要します。来週の日曜日にまた会ってもらえませんか。」と言った。彼女は,はいと言った。
 次の日曜日,GregはFoster氏に公園で再び会った。彼はそこに色を付け終え,彼女に渡した。彼女は,「ありがとう,Greg。私は本当にこの絵が好きです。この絵は私を幸せな気持ちにしてくれます。どうぞ人々を幸せにさせる絵を描き続けてください。あなたならできます。」と言った。そして彼女は彼にある物を渡した。彼は驚いて,それを開けた。それは絵の具箱だった。彼は「ありがとう,Fosterさん。あなたの言葉は決して忘れません。やってみます。」と言った。
 数週間後,Gregは出掛けると,フォトスタジオの前に何人かの人だかりを見た。彼らはショーウィンドウの中の何かを見ていた。スタジオの近くへ行きその名称を見ると,彼はそれがFoster氏のものだということが分かった。ある老人が彼に「この絵は私を幸せな気持ちにさせてくれる。私の孫息子を思い出す。」と言った。Gregはそこの絵を見て驚愕した。それは彼の描いた絵だったのである。それはテーブルの上に置いてあり,そばにはあるメッセージが書かれていた。彼はそのメッセージを読み,嬉しくなった。そこには「私は孫息子と一緒にいれて幸せだ。」とあった。彼が家に帰ると,机にあったFoster氏からもらった絵の具の箱を眺めた。彼は絵の具の箱を持って,公園で言われた彼女の言葉を思い出した。彼は「俺はあのときはコンテストを諦めた。しかし,彼女から素敵なことを学んだ。来年コンテストに挑戦しよう。」と考えた。

2.各問解答・解説
〔問1〕(配点:4) 解答:pictures
 要旨を表す文を解釈することで,内容についての理解を見る問題である。下線部の主語は“That”という指示代名詞が用いられているので,これが何を指しているのかを考えればよい。下線部は,2段落目4行目からはじまるGregの考えたことの一部であるから,“That”はその直前までの内容(「俺は絵を描くのが好きだから絵を描くんだ。そして俺の絵は人々を幸せにすることができる。」ということ)を指していると考えられる。これを,問題中の与えられた文を考慮して検討すると,私は「私の描いた絵」を通して人々を幸せにすることができる,といえる。よって空欄には「絵」を表す“pictures”を入れればよいことになる。

〔問2〕
 空欄に適切な文を挿入することで,内容の理解を見る問題である。問題文の空欄以外の部分に記載されている英文を頼りに,同趣旨または一致する該当箇所を本文から探し,適切な肢を選べばよい。
 (1) (配点:4) 解答:ウ
  「Gregが鉛筆で絵を描いているとき,Foster氏は……。」とあるので,GregがFoster氏の絵を描き始めた1段落目8行目“Greg wanted to do ….”からの部分が該当する。このとき,Foster氏が何をしていたかを適切に表している肢を選ぶ。
 ア 彼にEdwardの両親のことについて話していた
 →誤り。2段落目からFoster氏が話していることはEdward自身のことについてであり,Edwardの両親についての記載はない。
 イ 公園で写真を撮っていた
 →誤り。そのような記載はない。また,1段落目9行目でGregがFoster氏に対し“You can keep sitting there.”と話していることから,Foster氏は座っているだけで他に何ら行動していないものと考えられる。
 ウ 手にEdwardの写真を持っていた
 →正しい。1段落目9行目でGregはFoster氏に対し“Please hold that photo in your hand ….”と言っており,それを否定する記載は特にない。
 エ 彼の絵を見ていた
 →誤り。1段落目9行目でGregはFoster氏に対し“Please ….look at me.”と言っており,それを否定する記載は特にないため,Foster氏は彼の絵は見ていないものと考えられる。

 (2) (配点:4) 解答:イ
  「Gregは『もし…なら,コンテストを諦めざるを得ない。』と考えた。」とあるので,2段落目5行目“But soon he thought….”からの部分が該当する。コンテストを諦めざるを得なくなってしまった理由は“If I do that,”とあるので,ここでいう“that”が何を指しているのかを考える。“that”は指示代名詞であり,原則直前ででてきたことを表す。本問では,“But soon”とあるから,直前の内容を指している。
 ア 毎週日曜日にFoster氏に会いに公園へ行くと
 →誤り。GregがFoster氏に会ったのは,1段落目2行目の“One Sunday….”と3段落目1行目の“The next Sunday….”の2回のみであるから,毎週日曜日に会っているとはいえない。また,Foster氏に会うこと自体がコンテストを諦めざるを得なくなった直接の根拠にはならない。
 イ Foster氏のために自らが持っている最後の絵の具を使うと
 →正しい。まず,1段落目2行目で“….he went to the park to finish a picture for a contest.”とあり,その次の文で“He decided to use the last paint he had.”とあることから,Gregが最後の絵の具をコンテスト用の絵に使おうとしていたことが分かる。ところが,1段落目8行目でGregはFoster氏に対し“I’ll draw a picture of you and Edward.”とあり,コンテスト用とは別の絵を描き始めたことが分かる。そして,2段落目5行目で“I’ll add color to this picture.”とあり,絵の具をコンテスト用とは別の絵に対して使おうとしている。以上の点を考慮すると,ここで絵の具を使ってしまえば,コンテスト用の絵には絵の具を使うことができなくなってしまうことが分かる。これらを踏まえて,“If I do that….”の“that”の内容を考えれば,直前の“I’ll add color to this picture.”を指していることが分かる。
 ウ Foster氏とこれ以上話をしていると
 →誤り。そのような記載はない。また,1段落目3行目で“I have to finish it today to be in time for the contest.”とあり,GregがFoster氏に最初に会った日曜日のうちに絵を描き終えないとコンテストに間に合わないことが分かるところ,再び翌週の日曜日にFoster氏に会った時点ではすでにコンテストには間に合わないものであると考えることが出来る。
 エ コンテスト用の絵をFoster氏にあげると
 →誤り。イの解説を参照。GregがFoster氏にあげた絵は,コンテスト用の絵とは別のものである。

 (3) (配点:4) 解答:イ
  「ショーウィンドウにあった物は…の絵だった。」とあるので,Foster氏のフォトスタジオにあるショーウィンドウが登場する4段落目が該当する。ここで話題になっている絵が何の絵だったのかを適切に表す肢を選ぶ。
 ア テーブルとメッセージの絵
 →誤り。「テーブル」は4段落目3行目“It was on a table….”で出てくるが,これは“his picture”が載せられていたテーブルというだけであり,テーブル自体が絵として描かれているわけではない。また「メッセージ」は4段落目4行目“there was a message by it.”で出てくるが,これは“his picture”のそばに置かれていたものであって,テーブルと同様それ自体が描かれていたわけではない。
 イ Foster氏とEdwardの絵
 →正しい。4段落目3行目で“It was his picture.”とあり,ここでいう“It”とは直前で出てくる“the picture”を指している。この“the picture”とは,4段落目1行目の“something in its show window.”と一致する。ここでいう“its”とは,“a photo studio”のことであり,これは4段落目2行目“it was Ms. Foster’s”からFoster氏のものであるということが分かる。したがって,“his picture”とは,GregがFoster氏にあげた絵のことを指している。
 ウ Foster氏からもらった絵の具箱の絵
 →誤り。4段落目4行目に“When he went home, he saw the box of paints from Ms. Foster on his desk.”とあるから,“the box of paints from Ms. Foster”は,Gregの自宅にあるのであって,“the show window”にはない。
 エ ある老婦人とGregの絵
 →誤り。“his picture”の内容は1段落目8行目に“I’ll draw a picture of you and Edward.”とあり,ここでいう“you”とは“Ms. Foster”のことであるから,絵に描かれているのは“Ms. Foster”と“Edward”の2人のみである。よって,Gregが絵に描かれているとしている本肢は誤りである。

〔問3〕(配点:4) 解答:エ
 本文の内容と合っている肢を選ぶことで,本文の内容の理解をみる問題である。各肢が表している場面を本文中から探し,それとの適合性を判断すればよい。
 ア Gregが公園でFoster氏に会いこんにちはと言ったとき,彼女は彼の名前を知っていた。
 →誤り。GregがFoster氏に公園で会う場面は1段落目3行目以降である。1段落目5行目で“My name is Greg Miller.”とGregから自己紹介しており,Foster氏がそれ以前からGregの名前を知っていたという事情は存在しないから,本肢は誤りである。
 イ Foster氏はGregの絵を見て,Edwardを腕に感じ取ることはできないと言った。
 →誤り。GregがFoster氏への絵を描き終えた場面は3段落目以降である。Foster氏がEdward を腕に感じ取ることができないとしている記載はない。なお,2段落目2行目にある“Now I can’t….feel him in my arms.”は,GregがFoster氏に絵を描き終える前の事情であり,本肢とは合わない。
 ウ GregはFoster氏への絵を1日で終わらせ,彼女にあげた。
 →誤り。2段落目6行目で“I’ll add color to it. It’s getting dark, and it’ll take a few hours. Will you meet me here again next Sunday?”とあるので,GregはFoster氏への絵を1日で描き終えることはできず,2週にわたっていることが分かる。
 エ Gregはコンテストを諦めざるを得なかったが,来年挑戦することを決めた。
 →正しい。〔問2〕(2)イの解説を参照。Gregは最後の絵の具をFoster氏への絵に使ってしまったため,コンテストは諦めざるを得なかった。そして,4段落目最終文で“I’ll try the contest next year.”とあるので,Gregが来年コンテストに挑戦しようとしていることが分かる。

〔問4〕
 (1) (配点:4) 模範解答:Because he said he would draw a picture of her and Edward.
  なぜFoster氏はGregが親切だと言ったのか。
 →この場面が書かれているのは1段落目8行目“You’re kind.”である。この直前でGregが“I’ll draw a picture of you and Edward.”と言っており,それを受けての発言であると考えられるので,ここを抜き出したうえで,質問に合う形に書きかえる。直接話法(引用符“”を用いた書き方)を用いる場合は本文を抜き出せばよいが,間接話法を用いる場合は,Gregが言った言葉の中の主語と動詞の時制に注意しなければならない。模範解答は間接話法を用いている。

 (2) (配点:4) 模範解答:He saw Ms. Foster’s photo studio.
  Gregはだれのフォトスタジオを見たか。
 →この場面が書かれているのは4段落目である。2行目で“he knew it was Ms. Foster’s.”としているところ,ここでいう“it”とは“a photo studio”を指しているので,このフォトスタジオはFoster氏のものであることが分かる。

以上
2016-08-14(Sun)

【高校入試】東京都英語平成23年度第4問

(英語)
問題:東京都平成23年度第4問
難易度:Aランク
解答時間の目安:13分

≪問題≫
4 次の文章を読んで,あとの各問に答えよ。
  (*印の付いている単語・語句には、本文のあとに〔注〕がある。)

  Hiroki was a third-year student at a junior high school. His school had a chorus contest in March every year. At the end of February, Hiroki and his *classmates were talking about the contest. They wanted to win it. Everyone around Hiroki knew he liked singing and sang very well. One of his classmates said, “Hiroki knows how to sing well. So I want Hiroki to become the *conductor of our chorus.” Everyone agreed. At first, Hiroki wanted to sing with his classmates. But, for his class, he finally agreed and became the conductor. They started to practice after school every day.
  There were two weeks until the contest. Hiroki wanted to make their chorus better and started to give *advice to his classmates. He stopped the practice very often to give advice, and the students weren’t able to enjoy singing. Some of them started to *complain about that. Linda, Hiroki’s classmate from America, said to him, “Hiroki, you give us a lot of advice, but we don’t understand it well.” She looked a little angry. Hiroki said, “Well, I’m going to sing now. Try to sing like me, everyone.” He began to sing in front of the class. His voice was very beautiful. Linda and the other students thought he was a really good singer. They still didn’t know how to sing well. But they stopped complaining and started to practice again. Their teacher, Mr. Nakano, was listening to them outside the classroom. He thought, “They are practicing hard. But they don’t have a good *harmony. They don’t know that.
  Only one week was left before the contest. Hiroki *was worried about the chorus because it was not good yet. Akira, one of his classmates, often sang *off-key. Hiroki stopped the practice and complained to him, “We have practiced hard for a week. But we can’t do well because you sing off-key.” Then Linda shouted, “Stop, Hiroki!” She ran to Hiroki and said, “Akira has also practiced very hard. We all know you can sing very well, but that doesn’t mean you can say anything.” Hiroki was surprised because Linda was very angry. His classmates also looked angry. He didn’t know what to do and left the classroom.
  When Hiroki was going home, he thought, “I said something terrible to Akira. I will *apologize to him tomorrow. But what should I do for the class?” Then, he saw his little brother Ken. Ken was playing soccer with his friends in a park and looked very happy. Hiroki was surprised to see that because he knew Ken was not good at sports. Ken usually didn’t play well, but his friends didn’t complain about that. Sometimes he played well, and his friends said, “Good Ken!” Ken smiled and ran hard. At that time Hiroki thought, “Now I know what I should do for the class. I will practice singing together with my classmates. We need to help each other. That will make good harmony in our chorus.”
  The next day Hiroki said to his classmates, “I was wrong, everyone. I said something terrible to Akira. I’m sorry.” He said to Akira, “Let’s practice singing together. I’ll stand next to you today when we sing.” Akira smiled and said, “Thank you, Hiroki.” The other students also smiled. Hiroki said, “Linda, will you be the conductor today?” “Sure!” Linda answered. She said, “We don’t have much time until the contest. Let’s practice hard to win it!” Everyone said, “Yes!”
  When Mr. Nakano came into the classroom, the students were singing. Hiroki was singing, too. They looked very happy because they were really enjoying singing. After the practice, Mr. Nakano said to them, “You are better than before!” Hiroki said, “Yes, we have good harmony now!”

 〔注〕classmate クラスメート  conductor 指揮者  advice 助言  complain 不満を言う  harmony 調和
    be worried about ~ ~を心配している  off-key 音程を外して  apologize to ~ ~に謝る

〔問1〕They don’t know that. の内容を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,下のどれを入れるのがよいか。
    They don’t know 【     】.
   ア Linda is a little angry.
   イ Hiroki is a really good singer
   ウ they don’t have good harmony
   エ only one week is left before the contest

〔問2〕次のア~エの文を,本文の流れに沿って並べ,順に記号で書け。
   ア Hiroki stopped the practice and said something terrible to Akira.
   イ Hiroki asked Linda to be the conductor and sang with his classmates.
   ウ Hiroki started to give advice to his classmates to make their chorus better
   エ Hiroki thought his class needed to help each other and apologized to his classmates.

〔問3〕次の(1)~(3)の文を,本文の内容と合うように完成するには,【     】の中に,それぞれ下のどれを入れるのがよいか。
   (1) Hiroki’s classmates wanted him to become the conductor because 【     】.
    ア he was not good at singing
    イ they knew he didn’t like singing
    ウ they thought he knew how to sing well
    エ he really wanted to become the conductor

   (2) Linda was very angry because 【     】.
    ア Akira often sang off-key
    イ Hiroki left the classroom
    ウ the chorus was not good yet
    エ Hiroki said something terrible to Akira

   (3) When Hiroki saw Ken in a park, 【     】.
    ア Ken looked very happy
    イ Hiroki said to him, “Good, Ken!”
    ウ Hiroki thought Ken was good at sports
    エ one of Ken’s friends complained to Ken

〔問4〕次の質問に英語で答えよ。
   (1) What did Hiroki decide to do for the class after he saw Ken in a park?
   (2) Why did the students look very happy when Mr. Nakano came into the classroom?



≪解説≫
1.全訳
 Hirokiは中学3年生であった。彼の学校では毎年3月に合唱コンテストがあった。2月の終わりに,Hirokiとクラスメートはコンテストについて話し合っていた。彼らはそれで優勝したかった。Hirokiの周りの生徒たちは皆,彼は歌うことが好きで,歌うのがとてもうまいことを知っていた。クラスメートの1人は「Hirokiならうまい歌い方を知ってるさ。だから,俺はHirokiに合唱の指揮者になってほしい。」と言った。皆賛成した。はじめは,Hirokiはクラスメートと一緒に歌いたかった。しかし,クラスのために,彼は最終的に同意して指揮者になった。彼らは毎日放課後に練習をしだした。
 コンテストまでは2週間。Hirokiは合唱をよりよくしようと,クラスメートにアドバイスをし始めた。彼はアドバイスをするためにかなり頻繁に練習を止めたため,生徒たちは歌うことを楽しめなかった。数人の生徒がそのことについて文句を言い始めた。アメリカ出身のクラスメートであるLindaは「Hiroki,あなたはたくさんアドバイスをくれるけど,私たちにはそれがよく分かんないわ。」と彼に言った。彼女は少し怒っているように見えた。Hirokiは「じゃあ,俺が今歌ってみせる。みんな,俺みたいに歌ってみてくれ。」と言った。彼は全員の前で歌いだした。彼の歌声はとてもきれいだった。Lindaや他の生徒は,彼は本当に上手に歌うなと思った。彼らは未だうまい歌い方が分かっていなかった。しかし,彼らは文句を言うのをやめて,練習を再開した。担任のNakano先生は,それを教室の外で聞いていた。彼は「皆かなり一生懸命練習しているな。だが彼らには調和が足りない。そのことを彼らは分かっていないんだ。」と思った。
 コンテストまで残された時間は1週間のみだった。Hirokiは未だ合唱が良くならないため,心配していた。クラスメートの1人であるAkiraはよく音程を外して歌っていた。Hirokiは練習を止めて彼に「俺らは1週間一生懸命練習をしてきた。だけど,君が音程を外して歌うせいで俺らがうまく歌えないじゃないか。」と文句を言った。するとLindaが「やめなさいよHiroki!」と叫んだ。彼女はHirokiのもとへ駆け寄って「Akiraだって一生懸命練習しているじゃない。私たちは皆あなたは歌がうまいことを知ってるわ,だけどだからといってあなたが何を言ってもいいということにはならないのよ。」と言った。HirokiはLindaが激怒していたため驚いた。クラスメートも同じく怒っているようだった。彼はどうしていいか分からず教室を去った。
 家へ帰るとき,Hirokiは「俺はAkiraにひどいことを言っちまった。明日謝ろう。だけど,俺はクラスのためにどうしたらいいんだ。」と考えた。すると,彼は弟のKenを見かけた。Kenは公園で友達とサッカーをしていて,とても楽しそうだった。彼はKenがスポーツが苦手だということを知っていたので,それを見て驚いた。Kenはほとんどうまくプレーできていなかったが,それについて友達が文句を言うことはなかった。たまにうまいプレーをすると,友達は「いいねKen!」と言った。Kenは笑顔になって,懸命に走った。その時Hirokiは「やっと俺はクラスのために何をすべきか分かった。クラスメートと一緒に歌う練習をしよう。互いに助け合う必要があるんだ。そうすれば合唱にも良い調和が生まれるだろう。」と思った。
 次の日,Hirokiはクラスメートに「みんな,俺が間違っていた。Akiraにもひどいことを言ったと思う。ほんとにすまなかった。」と言った。彼はAkiraに「一緒に練習しよう。歌うときに隣に立っているよ。」と言った。Akiraは微笑んで,「Hiroki,ありがとう。」と言った。他の生徒も笑顔だった。Hirokiは「Linda,今日は君が指揮者になってくれるかい。」と言った。「もちろん!」とLindaは応えた。彼女は「コンテストまで時間はないわ。優勝するために一生懸命練習するわよ!」と言った。皆「おう!」と言った。
 Nakano先生が教室に入ってきたとき,生徒たちは歌っていた。Hirokiもである。彼らは歌うことを楽しんでいて,とても楽しそうに見えた。練習のあと,Nakano先生は「前よりも良くなっているぞ!」と彼らに言った。Hirokiは「はい,今なら俺たちは調和のとれた合唱ができます!」と言った。

2.各問解答・解説
〔問1〕(配点:4) 解答:ウ
 要旨となっている文を解釈することで,本文の内容についての理解を見る問題である。Theyとは,Hiroki,Lindaとそのクラスメートを指している。本問では指示代名詞thatの内容が問題となっているので,直近の文からHirokiとそのクラスメートが知らないこととして適切な内容となる部分を探し出せばよい。
ア Lindaが少し怒っていることを彼らは知らない。
→誤り。本文2段落目4行目にShe looked a little angry.とあるが,これはHiroki目線での話である。とすると,少なくともHirokiはLindaが少し怒っていることを知っているので,Hirokiを含めてだれもLindaが少し怒っていることを知らないとしている点で本肢は誤っている。
イ Hirokiが歌を歌うのが本当に上手だということを彼らは知らない。
→誤り。本文2段落目5行目にLinda and the other students thought he was a really good singer.とあるので,クラスメートは,Hirokiは歌がうまいことを知っている。
ウ 彼らには調和が足りないということを彼らは知らない。
→正しい。thatは代名詞だから,なるべく近くの内容を指している。そうすると,本問下線部の直前にBut they don’t have a good harmony.と書かれており,これをthatの内容としても文の流れとしてもおかしくない。
エ コンテストまで1週間しかないことを彼らは知らない。
→誤り。本問下線部は本文2段落目に書かれているところ,2段落目の話の時点では,There were two weeks until the contest.(1行目)とあるので,時系列が誤っている。

〔問2〕(配点:4) 解答:ウ→ア→エ→イ
各肢を並び替えることで,内容の流れをつかむとともに,その要旨を捉えることができるかを見る問題である。本文をしっかり読んだ上で,各肢との適合部分を本文中から探し出す。
ア Hirokiは練習を止めて,Akiraにひどいことを言った。
→本文該当箇所は3段落目2行目 Hiroki stopped the practice and complained to him,…… とあり,complainedの内容は4段落目1行目でI said something terrible to Akira.としている。
イ Hirokiは,Lindaに指揮者になるよう頼み,クラスメートと一緒に歌った。
→本文該当箇所は5段落目~6段落目Linda, will you be the conductor today? ~ Sure! …… Hiroki was singing, too.
ウ Hirokiはクラスメートに,合唱をよりよくするためにアドバイスをしはじめた。
→本文該当箇所は2段落目1行目 Hiroki wanted to make their chorus better and started to give advice to his classmates.
エ Hirokiは,クラスには互いに助け合うことが必要であると考え,クラスメートに謝った。
→本文該当箇所は4段落目5行目,5段落目1行目 We need to help each other. …… I’m sorry.

〔問3〕
 空欄に適切な文を挿入することで,内容の理解を見る問題である。空欄以外の部分に記載されている英文から,同趣旨または一致する該当箇所を本文中から探し出し,適切な肢を選ぶ。
(1) (配点:4) 解答:ウ
  「……のため,クラスメートはHirokiに指揮者になってほしかった。」とあるので,本文1段落目3行目 So I want Hiroki to become the *conductor of our chorus. ~ Everyone agreed.と一致する。Hirokiに指揮者になってほしいと思った根拠を表している肢を選ぶ。
 ア 彼は歌を歌うのが苦手だったため
 →誤り。本文1段落目2行目にEveryone around Hiroki knew he liked singing and sang very well.とあるので,彼は歌を歌うのが苦手だったとしている点で誤っている。
 イ 彼は歌を歌うのが好きではないということを彼らは知っていたため
 →誤り。アの解説参照。
 ウ 彼は歌のうまい歌い方を知っていると彼らは考えたため
 →正しい。Soは順接で,直前の内容を理由として文を続ける場合に用いるので,直前にあるHiroki knows how to sing well.が根拠になっていると考えられる。
 エ 彼は本当に指揮者になりたかったため
 →誤り。本文1段落目4行目にAt first, Hiroki wanted to sing with his classmates.とあるので,彼はむしろ指揮者になろうという意志はなかったものと考えられる。

 (2) (配点:4) 解答:エ
  「……のため,Lindaはかなり怒っていた。」とあるので,本文3段落目4行目 Hiroki was surprised because Linda was very angry.と一致する。Lindaが激怒した原因を表している肢を選ぶ。
 ア Akiraが音程を外して歌っていたため
 →誤り。Akiraが音程を外して歌っていることを咎めているのはHirokiであり,LindaはAkira has also practiced very hard.(3行目)というように,Akiraを庇っている。
 イ Hirokiが教室を出ていったため
 →誤り。Hirokiが教室を出ていったのは,Lindaに激怒されどうしていいか分からなくなったためであり,順序が逆である。
 ウ 合唱が未だうまくなっていなかったため
 →誤り。合唱が未だうまくならず心配していたのはHirokiであり,Lindaが激怒した原因ではない。
 エ HirokiがAkiraにひどいことを言ったため
 →正しい。

 (3) (配点:4) 解答:ア
  「Hirokiが公園でKenを見たとき,……」とあるが,この場面は本本文4段落目に書かれている。4段落目に書かれている事実と合致している肢を選ぶ。
 ア Kenはとても楽しそうだった
 →正しい。2行目にKen was playing soccer with his friends in a park and looked very happy.とある。
 イ Hirokiは彼に「いいね,Ken!」と言った
 →誤り。このように言ったのはKenの友達であって,Hirokiではない。
 ウ Hirokiは,Kenはスポーツが得意だと思った
 →誤り。Hirokiはhe knew Ken was not good at sports.(3行目)というように,Kenは現にスポーツが苦手であるということを知っており,また,Ken usually didn’t play well, ……とあるので,Kenはスポーツが得意だという事情も書かれていない。
 エ Kenの友達の1人が彼に文句を言った
 →誤り。3行目にbut his friends didn’t complain about that.とある。

〔問4〕
 (1) (配点:4) 模範解答:He decided to practice singing together with his classmates.
  Hirokiは公園でKenを見かけた後,クラスのために何をしようと決めたか。
 →この場面が書かれているのは本文4段落目である。HirokiがKenを公園で見掛けた後に考えたことが4行目At that time ~からはじまる。Kenがしようと決めたことであるから,主語がKenのみを指している文,すなわちI will practice singing together with my classmates.を抜き出したうえで,質問文の形に合うように書きかえる。

 (2) (配点:4) 模範解答:Because they were really enjoying singing.
  Nakano先生が教室に入ったとき,なぜ生徒はとても楽しそうだったか。
 →この場面が書かれているのは本文6段落目であるが,They looked very happy because they were really enjoying singing.と,設問と同内容のことが直接書かれている部分があるので,理由となる部分のみを抜き出して書けばよい。

以上
プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

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