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2019-04-15(Mon)

【事例から民法を考える】事例⑫「私の預金が……」

【今日の一品】

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こちらは,またまたムタヒロですが,

本日から発売開始の新メニュー「親次郎」です。

二郎系のインスパイアですね。

ちゃんと野菜ニンニクアブラカラメのマシに対応しています。

味は本家と比べれば薄口(それでもしょっぱいですが)

麺は太めですが,若干縮れています。

全体的に府中に若干似ている気がしなくもないという感じです。

大盛野菜カラメにしましたが,量はそこまで多くなく,

普通サイズであれば一般人でも難なく食べきれることでしょう。

二郎まで行くのが億劫だというときにはもってこいです。

ところで,今回は,じれかん民法の事例⑫です。

≪問題≫

●事例
 ⑴ AはB銀行甲支店に定期預金(「本件定期預金」)を有していた。
 C銀行乙支店にはDが普通預金口座(「本件口座」)を開設していた。本件口座では,⑵および⑶の事情が生じるまで,入金はもっぱらDのために,出金はもっぱらDの手続により行われていた。Cの普通預金規定には,「この預金口座には,為替による振込金も受け入れられます」という定めが置かれていた。
 ⑵ 2013年6月24日午後11時頃,E(Aの妻,Dの母)は,Dと称する者から,麻雀による借金返済のため本件口座への送金を依頼する電話を受けた。これはDの麻雀友達FがDを装ってしたものだったが,Eは,同様の依頼をDから何度も受けていたこともあり,Dからの電話と誤信した。Eは,それまで自己資金で送金していたが,今回は資金不足のため本件定期預金を原資にすることにした。しかし,Dの放蕩な生活にAが立腹してAとDは関係断絶の状態であったため,Eは翌25日朝に通帳と届出印を無断で持ち出し,自ら作成した委任状を用いて本件定期預金の解約申入れをし,利息を含めた解約金30万円につき振込送金の手続をした。同日,本件口座にAを依頼人として30万円の入金がされた(「本件振込み」)。これにより,本件口座の残高は30万円になった。
 ⑶ 同日午後2時50分頃に,Fが,C銀行乙支店に現れ,Dと称し,本件口座の通帳と届出印を押捺した払戻請求書を提出して,30万円の払戻しを請求した。窓口担当者は,自称Dが運転免許証等の本人確認資料を所持していなかったため,キャッシュカードの暗証番号を記入させたが,自称Dは3度間違った番号を記入した。自称Dは,「しばらく口座にお金がなく,ATMを使っていないので暗証番号を忘れてしまいました。どうしてもお金がいるので,親に朝いちばんに送ってもらったんです。何とかなりませんか」と述べた。担当者は,①通帳と届出印が真正のものであること,②自称Dに生年月日を問うたところ直ちに正しく答えたこと,③本件口座の最近の出入金の状況が自称Dのいうとおりであり,依頼振込人の名字がDと同一であること,④自称Dの態度に全体として不審な点を認めなかったことから,上司と相談のうえ,本件口座の開設時に届け出られた電話番号をさらに尋ね,自称Dが正しい番号を即座に答えたため払戻しに応じることにした(「本件払戻し」)。もっとも,払戻請求書の筆跡は口座開設の申込書と異なっており,経験を積んだ者ならばそのことに気づいたと思われるにもかかわらず,担当者は業務経験が1か月程度しかなかったこともあり,相違に気づかなかった。
 Fが持参した通帳と届出印は,Fが2013年6月23日未明に酔いつぶれたDをその自宅まで送り届けた際に隙をみて盗んだものだった。Fは,Dの私生活を熟知していたことから一計を案じ,Dを装ってEに本件振込みをさせて,本件払戻しを請求していた。
 ⑷ Eは,同年6月30日にDから金を無心する電話を受け,騙されたことを知った。後にDを装ったのはFであると判明したが,Fの行方は不明である。
 Aは,本件振込にかかる30万円を取り戻したいと考えている。Aは,誰に対して30万円の支払を請求することができるか。


債権の準占有者です。

478条ですね。

債権総論で一番嫌いな条文ですね。

判例が類推適用とか色々言うせいで,

ごちゃごちゃしていますよね。

≪答案≫
第1 AのBに対する請求について
 1 AはBに対して本件定期預金を解約してその解約金として30万円の支払を請求することが考えられる。これに対して,Bは,本件振込みをもって払戻しの効力が認められるから,既払いであると反論する。そこで,Bの反論の当否について検討する。
 2 まず,Eを本人Aの代理人であるとして,本件定期預金契約の期限前解約とその解約金の振込の効力がAに帰属するとの主張をすることが考えられるが,Eがそれらにつき代理権を授与された事実はない。したがって,有権代理(民法99条)による効果帰属も,同法112条の表見代理による効果帰属も認められない。さらに,AがBにEへの代理権授与を伝えた事実も,Eに他の代理権を与えた事実もないから,同法109条の表見代理も,同法110条の表見代理も成立しない。
 したがって,代理の構成によっては,前記の効力をAに帰属させることはできない。
 3 そこで,Bは,本件振込みが,債権の準占有者に対する弁済(同法478条)であるとして,その効力がAにも帰属すると反論する。
  ⑴ 民法478条の趣旨は,弁済が債務者の義務であることから,債務者が履行遅滞責任を免れるためには,弁済の時点までに看守可能な事情のみから相手方の受領資格の有無を判断すればよいとし,弁済とその受領が日常的に大量に行われるものであることから迅速性,安全性が求められ,債務者が弁済時に看守し得なかった事情によって弁済の効力が否定されることがないようにしたものである。そして,債権者の受ける不利益は限定的であるため,債権者に不利益の負担を求めやすく,権利者の帰責事由を問わないものとしたものである。
 このような趣旨に照らし,受領者が債権者と代理人のいずれと詐称したかによって,債務者を保護すべき程度が異なるわけでもない。したがって,「債権の準占有者」とは,債権者その他受領権者らしい外観を呈する者をいう(※1)
 これを本件についてみると,EはAの通帳と届出印を無断で持ち出し,自ら作成した委任状を用いて,Bに対して本件定期預金の解約を申入れをしているから,Aの代理人であることを詐称している者である。そうすると,Eは,本件定期預金契約の解約による解約金の受領権者らしい外観を呈しているから,「債権の準占有者」である(※2)
  ⑵ア 本件振込みは本件定期預金の払戻しのためにされたものであるが,前記のように期限前解約と解約金の振込という行為に区別することも可能である。また,銀行が定める一般的な定期預金規定には,銀行はやむをえないと認めた場合にのみ期限前解約の申入れに応じるとされており,定期預金の期限前払戻しを義務的行為と捉えられないようにも思われる。そうすると,本件振込みをもって「弁済」があったとはいえないようにも思える。
 しかし,定期預金規定の定めにもかかわらず預金者が期限前解約を申し入れれば当然に認められ,満期による払戻しとは利息に違いがあるだけというのが実情であり,かつ,銀行・預金者双方の通常の認識でもある。そうすると,期限前解約の申入れを独立の法律行為として扱うことは適当ではなく,また,期限前払戻しは事実上銀行の義務となっているということができる。
 したがって,本件振込みは「弁済」にあたる(※3)
   イ なお,本件定期預金の払戻しは,振込みによってされている。振込みは,仕向銀行が被仕向銀行に対して受取人の預金口座への入金を依頼し,被仕向銀行がこれを実行するというものであるところ,入金とは,被仕向銀行が振込金相当額について受取人として指定された者の口座からの払戻請求に応じる準備を整えることをいい,その準備は入金記帳の時に整うとされるのが実情である。そうすると,本件では,遅くともFによる払戻請求の時点においてBは本件定期預金債権の弁済に当たる行為をしているということができる。
  ⑶ 善意無過失とは,本来,債務者が弁済の時に相手方に受領権があると信じ,そのように信じることにつき過失がないことをいう。本件で,Bが弁済の時にEに受領権があると信じ,そのように信じることにつき過失がないといえれば,Bにおいて善意無過失であったといえる。
 4 以上から,Bが善意無過失であれば,Bは本件振込みの効力をAに対しても主張することができるから,AはBに対して30万円の支払を請求することはできない。
第2 AのCまたはDに対する請求について
 1 Aは,DがCに対して30万円の預金債権を取得しているから,不当利得返還請求(同法703条)をする。ここで,Dは,ⓐそもそも預金債権は成立していない,ⓑCがFに対して本件払戻しをしたことによって準占有者に対する弁済としての効力を生ずるから,自己に利得はないとの反論をすることが想定される。そこで,Dのこれらの反論の当否について検討する。
 2 まず,ⓐについて検討すると,銀行の普通預金規定には,振込みがあった場合にはこれを預金口座に受け入れるという趣旨の定めがあるだけで,受取人と銀行との間の普通預金契約の成否を振込依頼人と受取人との間の振込みの原因となる法律関係の有無に係らせていることをうかがわせる定めはない。また,振り込みは,銀行間及び銀行店舗間の送金手続きを通して安全,安価,迅速に資金を移動する手段であって,多数かつ多額の資金移動を円滑に処理するため,その仲介に当たる銀行が各資金移動の原因となる法律関係の存否,内容等を関知することなくこれを遂行する仕組みが採られている。そうすると,振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは,振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律行為が存在するか否かにかかわらず,受取人と銀行との間に振込額相当の普通預金契約が成立し,受取人が銀行に対して当該金額曹宇の普通預金債権を取得する(※4)
 そうすると,DはCに対して30万円の預金債権を取得することとなる。
 3⑴ 次にⓑについて検討する前提として,DがCに対する30万円の預金債権を行使することができるかどうかについて検討すると,普通預金債権を有する以上は受取人はその払戻しを請求することができ,ただそれを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用(同法1条3項)に当たるものとして許されないにすぎない(※5)。本件では,前記の特段の事情は認められない。
  ⑵ そこでⓑについて検討すると,Fは預金債権者であるDを装っていたのであるから「債権の準占有者」である。
 本件払戻しにより30万円の現金が交付されているから,「弁済」にあたる。
 それでは,Cは善意無過失であったといえるか。①から④の事情からすると,Cは銀行として受領権者を確認するために構築された合理的な仕組みに沿って本人確認を行ったものということもできなくはない。しかし,払戻申込書の筆跡が口座開設の申込書と異なっており,経験を積んだ者ならばそのことに容易に気づいたと思われることからすると,Cが弁済時に看取し得た事情を見逃して弁済をしたものと言わざるを得ない。したがって,Cにおいては,弁済の時にDを称するFに受領権があると信じたことについて過失がある。
 よって,本件払戻しは,債権の準占有者に対する弁済としての効力を有さず,Cはなおも弁済の義務を負うから,Dは不当利得返還義務を免れない。
 4 以上から,AはCに対して30万円の支払を請求することができる。

以 上


(※1)「債務の弁済は,債権者または正当な受領権限を有する者に対してしなければ効力を有しないのが原則である。しかし,民法478条は,債権の準占有者に対して善意・無過失でした弁済であれば,弁済が効力を有すると規定している。これはフランス民法に倣い,『指名』債権でありながらその債権者が誰であるかが分からないという例外的な事態において債務者を保護する趣旨で設けられたものであった。そのため,立法段階で債権の準占有者として想定されていたのは,債権の表見相続人や債権譲渡が無効であった場合の債権譲受人のように,実際には債権者ではないが万人から見て債権者らしく見える者であった。これによれば,詐称代理人は,債権の受領権限を誤認した場合であり,債権の帰属主体を誤認した場合ではないので,準占有者には含まれないことになる。戦前の判例もまた,民法205条における準占有の定義との整合性に配慮しつつ,準占有者とは,自己のためにする意思をもって債権を行使する者,すなわち自ら債権者と称する者であり,詐称代理人は含まれないとしていた……。」「これに対して学説は,詐称代理人に対する弁済の効力はもっぱら表見代理の問題であり478条によるべきではないとする否定説もあったが,多くは判例を批判して肯定説を展開し,占有において代理占有が認めるられる以上準占有についても同様であるという見解や,205条は準占有者保護の規定であるのに対して478条は弁済者保護の規定であるから,自己のためにする意思は不要であるという見解が示された。これらによれば詐称代理人も478条の準占有者に含まれることになる。」「戦後になると判例は,この批判を受け入れて,詐称代理人も準占有者に含まれると解するにいたった。それが本判決[最判昭和37年8月21日民集16巻9号1809頁]である。本件は無権利者が代理権に関するしょるいを偽造した事例であるが,現在では,代理人の越権行為である場合……,夫婦間での代理行為の場合……にも詐称代理人が準占有者であることを当然の前提とする判決が出揃っており(ただし前者は預金担保貸付け,後者は生命保険の契約者貸付けに対する類推適用事例),今日ではあえてこの問題が争点になることはなくなっている。」「学説でも,戦後は肯定説が通説となり,これを受けて,準占有者とは『外観上正当な弁済受領権限があるように見える者』であるとして,本人詐称だけでなく詐称代理人を含むよう包括的に定義されるようになった。また,その根拠については,205条との関係を説くのではなく478条が権利外観保護法理の一つの現れであること,具体的にもたまたま本人と称したか代理人と称したかで弁済における債務者保護に差を設けるのは妥当ではないことをあげるのが一般的になった(とくに本件のように会社が債権者である場合には,弁済を受領するのは代理人である)。しかし,なお否定説も少数ながら唱えられており,対立は平行線をたどっている。他方では,預金担保貸付けのような弁済意外の行為への478条の類推適用を批判する観点から,義務的な履行行為の範疇で捉えられない行為については,表見代理規定の適用(詐称代理人)またはその類推適用(本人詐称)によるべきであるとして,別の角度から478条と表見代理との関係を論じる説も現れている。」中田裕康ほか『民法判例百選Ⅱ債権〔第7版〕』74頁
(※2)「債権者の代理人と称して債権を行使する者も民法478条にいわゆる債権の準占有者に該ると解すべきことは原判決説示のとおりであつて、これと見解を異にする上告理由第四点は理由がない。」前掲最判昭和37年8月21日
(※3)「第一審判決を引用する原判決の確定するところによれば、上告人は昭和33年6月4日被上告銀行との間で金額50万円期間元年利率年6分とする定期預金契約を締結したが、その際、契約当事者において、右預金を期限前に払い戻す場合には利息を日歩7厘(普通預金の利息と同率)とする商慣習による意思を有していたものと認めるべきところ、同年10月11日、被上告銀行は、原判示の経緯により、前記預金の期限前払戻を請求した上告人の代理人と称する訴外Aに対し、前記定期預金の元金50万円とこれに対する昭和33年6月4日から同年10月10日まで日歩7厘の割合による利息とを払い戻したというのである。」「右の事実によれば、原審は、本件定期預金債権の期限前払戻について、当事者間に前記合意の存した事実を認定しているものと解せられるところ、かかる合意の存しない場合は別論として、本件においては、期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約成立時にすでに合意により確定されているのであるから、被上告銀行のなした前記の期限前払戻は、民法478条にいう弁済に該当し、同条の適用をうけるものと解するのが相当である。したがつて、原審が、前記期限前払戻について、本件定期預金契約の解約を前提とするかのごとき判示をしたのは、措辞必ずしも妥当ではないが、右払戻について同条の適用を肯定したのは、結論において正当である。所論は、いずれも、原審の前記認定にそわない独自の見解であつて、採用できない。」最判昭和41年10月4日民集20巻8号1565頁
(※4)振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し、受取人が銀行に対して右金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当である。けだし、前記普通預金規定には、振込みがあった場合にはこれを預金口座に受け入れるという趣旨の定めがあるだけで、受取人と銀行との間の普通預金契約の成否を振込依頼人と受取人との間の振込みの原因となる法律関係の有無に懸からせていることをうかがわせる定めは置かれていないし、振込みは、銀行間及び銀行店舗間の送金手続を通して安全、安価、迅速に資金を移動する手段であって、多数かつ多額の資金移動を円滑に処理するため、その仲介に当たる銀行が各資金移動の原因となる法律関係の存否、内容等を関知することなくこれを遂行する仕組みが採られているからである。」最判平成8年4月26日民集50巻5号1267頁
(※5)「振込依頼人から受取人として指定された者(以下「受取人」という。)の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは,振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず,受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し,受取人において銀行に対し上記金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当であり……,上記法律関係が存在しないために受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負う場合であっても,受取人が上記普通預金債権を有する以上,その行使が不当利得返還義務の履行手段としてのものなどに限定される理由はないというべきである。そうすると,受取人の普通預金口座への振込みを依頼した振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合において,受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては,払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当たるということはできないものというべきである。」最判平成20年10月10日民集62巻9号2361頁



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