FC2ブログ
2019-04-15(Mon)

【事例から民法を考える】事例⑯「損していいのは誰?」

じれかんも,なんだかんだで半分が終わりました。

もう折角なので全部答案書いちゃいましょうかね。

どうしましょうかね。

短答ヤバいんですよね……

とりあえず,今回は,事例⑯です。

≪問題≫

●事例
 運動用品の販売を業とするAは,新たにスポーツクラブの経営に乗り出す計画を立てたが,建物を自身で建てる余裕まではなかったため,1993年2月,不動産の賃貸・管理を業とするBに協力を仰いだ。AがBに示した案は,Bの建物をAが賃借し,ここに機器を設置してスポーツクラブを営業し,売上げの50%を賃料としてBに支払うというもので,Aからは,法人会員契約の打診も複数受けているため売上げは月額2000万円を下回らないとの試算も提示された。この話に興味を持ったBは,自身は適当な物件を有していなかったが,他者の物件を賃借して施設を調達しようと考え,運送業を営むCに,C所有の倉庫のうち甲建物をスポーツ施設に改装し自己に賃借してくれないか打診した。当初は難色を示していたCも,Bの再三の説得により,甲建物の改装費用6000万円と郊外に新たに倉庫を建設する費用8000万円につき銀行から融資を受けた場合の毎月の返済が確保でき,Cに利益が生ずるだけの賃料なら応じてもよい,と返答するにいたった。そこでBは,改装費用のうち壁面塗装工事分1200万円をBが負担すればCの銀行への返済を月額650万円にできると見積もり,不動産賃貸価格の相場も勘案しつつ,Cに次のような契約を提案し,Cもこれを了承した。すなわち,①スポーツ施設に改装した甲建物をBがCから賃借する,②BがCに支払う賃料月額は800万円とし契約期間中値下げはしない,③Bは甲建物を営業に必要な範囲で管理改修し,一括して第三者に転貸できる,④賃貸借期間は引渡日から18年とし,BまたはCが期間満了の6か月前に相手方に解約を申し入れなかった場合は自動的に延長する等である。
 甲建物の改修工事が終わった1993年8月,B・C間で上記の内容の賃貸借契約が正式に締結されて甲建物の引渡しがなされ,同日には,A・B間でも,賃料をAの売上げの50%とするほかは,B・C間の賃貸借とほぼ同じ内容とする転貸借契約が締結された。こうしてAのスポーツクラブは開業したが,その後の不景気でAの業績は悪化し,次のような状況が生じた(設問はそれぞれ独立の問いである)。

【設問1】 AからBに支払われる賃料月額が600万円にまで落ち込んだため,2004年3月,BはCに対して賃料を500万円に減額するよう求めた。これは認められるか。

【設問2】 AがBに支払う賃料が減少したため,BはCに賃料の減額を求めたが,Cがこれに応じないため,2005年3月,BはCに対する賃料の支払を停止した。Cの再三の催告にもかかわらずBの不払が続いたため,同年10月,Cは,賃貸借契約を解除する旨Bに通知し,Aに賃貸借契約を直接結ばないかと打診してきた。この後,BのAに対する転貸賃料の支払請求を,なお甲建物で営業を続けているAは拒むことができるか。

【設問3】 Cが賃料の減額に応じないので,Bは2011年8月の期間満了時に契約を更新しないことを決め,同年2月にその旨をCに通知した。折しも甲建物をダンススタジオとして利用したいといってきた者があったこともあり,Cはこれを了承した。Cは,同年9月,Aに対してB・C間の賃貸借契約の終了を通知し,2012年5月に甲建物の明渡しを請求した。これは認められるか。


転貸借関係です。

いままでやってきた問題に比べれれば,

割と解きやすい感じはしました。

判例の射程聞かれまくりでもちろんレベルは高いですが,

なんだそら!!!というような解釈論に持ち込まれるようなことはなかったように思います。

司法試験でもこれくらいのレベルだったら全然出題されるんじゃないでしょうか。

知らんけど。

≪答案≫
第1 設問1
 1 BがCに対して賃料を減額するように求めることの法的根拠は,借地借家法32条1項所定の借賃減額請求権であると考えられる。そこでまず,BC間の契約に借地借家法の適用があるかどうかについて検討する。
 ABC間の法律関係は,BがAに賃貸するための甲建物をCに保有させ,これをBが賃借し一括してAに転貸するという形式であって,いわゆるサブリース契約の方式をとるものである。この点,サブリース契約における賃借人は業界大手の不動産業者であり,賃貸人である不動産所有者は不動産業において素人ともいうべき地位にある。そこで,通常賃貸借契約において立場が弱い賃借人を保護しようとする借地借家法の適用が排除されるべきようにも思える。しかし,BC間においては,CがBに対して甲建物を使用収益させ,BがCに対してその対価として賃料を支払うというものであり,BC間の契約が甲建物の賃貸借契約(民法601条)であることは明らかである。したがって,BC間の契約には,借地借家法の適用され,同法32条の規定も適用されるものというべきである(※1)(※2)
 2 もっとも,サブリース契約においては,賃貸人と賃借人との間の賃貸借契約は,賃借人の転借人に対する転貸事業の一部を構成するものであり,賃貸人と賃借人との間の契約における賃料額等に係る約定は,賃貸人が賃借人の転貸事業のために多額の資本を投下する前提となるものであって,当該契約における重要な要素であるということができる。これらの事情は,当該契約の当事者が,前記の当初賃料額を決定する際の重要な要素となった事情であるから,衡平の見地に照らし,借地借家法32条1項の規定に基づく借賃減額請求の当否及び相当賃料額を判断する場合に,重要な事情として十分に考慮されるべきである(※3)
 これを本件についてみると,BC間の賃貸借契約は,BからCに対して持ちかけたものであって,難色を示すCを再三説得して締結したものであるとはいえ,CもBとともに利益を得ようとしていたのは事実であるから,Cも賃料減少のリスクを覚悟すべき立場にあったといえる。また,銀行からの融資を得て自身の所有物件に付加した価値を,Bの犠牲の上に返済金を確保させてまで,自身のもとにとどめられるとする必要もないように思われるし,特に返済額650万円のなかに倉庫の新築分も含まれていることからすると,借賃減額請求は認められないようにも思われる。しかし,将来的にAの経営が悪化する可能性は,一般的にみても当然予想できるものであり,Bにとっては常に減収のリスクを負っていたといえるにもかかわらず,BはAとの間の転貸料についてはAの営業利益に連動さらる方式をとっている一方で,Cとの間ではあえて賃料を定額にしている。そうすると,Bにおいて営業利益の変動のリスクを引き受けることを前提に,Cと契約を結んでいたとみることができる。以上の事情からすると,Aからの転貸料が減少してCへの賃料を支払うことができなくなったのは,当初からBが負うものとされたリスクが現実化したものにすぎないから,借賃減額請求権を行使することはできないというべきである。
 よって,Bの請求は認められない。
第2 設問2
 1 BがAに転貸賃料の支払を請求するためには,AB間の甲建物の転貸借契約が存続していることが必要である。一方で,BC間の甲建物の賃貸借契約が債務不履行により解除されているが,ここでの解除により,Cの承諾がある転貸借契約の帰趨が問題となる。
 2 判例によれば,賃貸人の承諾のある転貸借においては,転借人が目的物の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権原を有することが重要であること,賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは,転借人は賃貸人に対し,目的物の返還義務を負うとともに,遅くとも当該請求を受けた時から返還義務を履行するまでの愛゛だの目的物の使用収益について,その対価相当分の金銭を支払う義務を免れないこと,賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上,転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして,転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復し得ることは,もはや期待できないことを理由に,転貸借は,賃貸人が転借人に目的物の返還を請求した時に,転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了するとしている(※4)。この判例は,賃貸人から転借人に対して返還請求がすでになされている事案において,転貸人による転貸賃料の支払請求を否定したものであって,返還請求がなされていない場合には支払請求が認められることを言うものではない。また,返還請求のみが社会通念上履行不能と被浮かされるべき事態であるとしているものではない。そうすると,返還請求がなされていない場合でも,社会通念上転借権の対抗力回復を不能と評価し,転貸借契約の終了を認めることができる場合があるというべきである。
 3 これを本件についてみると,CはAに対して直接に賃貸借契約を締結しようと打診をしてきている。契約締結にいたっていない現段階では,なおBC間の賃貸借契約が復活する余地が完全に否定されるものではないが,その期待は薄いというべきである。また,AがCとの賃貸借契約に前向きである場合には,Bがこれを妨げることができる立場にはない以上,AB間の転貸借契約は,CがAに対して打診をした時点で,社会通念上履行不能となったと評価される。したがって,CからAへの打診があった時点で転貸借契約は終了するから,それ以降についてはBはAに対して転貸料の支払を請求することはできず,Bが請求してても,Aはこれを拒むことができる。
第3 設問3
 1 CのAに対する甲建物の明渡し請求が認められるか否かは,BC間の賃貸借契約の終了をAに対して対抗することができるか否かにかかる。そこで,この点について検討する。
 2 この点,転貸借契約は元となる賃貸借契約の成立を前提として存続するから,賃貸借契約が解除された場合には,転借人は転借権を賃貸人に対抗することができないのが原則である。もっとも,具体的な事実関係から,信義則上,賃貸人が賃貸借契約の終了を転借人に対抗することができない場合があるというべきである(※5)。そして,賃貸人が,単に転貸借を承諾したにとどまらず,転貸借の締結に加功し,転借人による当該目的物の占有の原因を作出したといえるような場合には,信義則上,賃貸人は賃貸借契約の終了を転借人に対抗することができない(※6)
 3 これを本件についてみると,BC間の賃貸借は,AB間の転貸借ありきで作出されたものであり,Bが難色を示すCを再三説得して甲建物を改装させるなどしたものであるから,CとBが転貸借ないし転借人確保のためにき協力して事業を展開していくというよりも,むしろBとAの間で計画した事業を後からCが加わる形になっており,また転貸料の設定のされ方からみても,転貸人と短借人との間の距離は極めて近いということができる。そうすると,Cが目的物件により多くの資本投下をしたとしても,Cが転貸借の締結に加功したということはできないというべきである。
 したがって,CはBとの間の賃貸借契約の終了をAに対抗することは,信義則に照らしても許されるというべきであるから,CのAに対する甲建物の明渡請求は認められる。

以 上


(※1)「前記確定事実によれば,本件契約における合意の内容は,上告人が被上告人に対して本件賃貸部分を使用収益させ,被上告人が上告人に対してその対価として賃料を支払うというものであり,本件契約は,建物の賃貸借契約であることが明らかであるから,本件契約には,借地借家法が適用され,同法32条の規定も適用されるものというべきである。」最判平成15年10月21日集民211号55頁
(※2)「本件契約のようないわゆるサブリース契約については,これまで,当事者間における合意の内容,すなわち締結された契約の法的内容はどのようなものであったかという,意思解釈上の問題がしばしば争われており,本件においても同様である。そして,その際,サブリース契約については借地借家法32条の適用はないと主張する見解(以下「否定説」という。本件における上告人の主張)は,おおむね,両当事者間に残されている契約書上の「賃貸借」との表示は単に形式的・表面的なものであるにすぎず,両当事者間における合意の内容は,単なる建物賃貸借契約にとどまるものではない旨を強調する。」「しかし,当事者間における契約上の合意の内容について争いがあるとき,これを判断するに際し採られるべき手順は,何よりもまず,契約書として残された文書が存在するか,存在する場合にはその記載内容は何かを確認することであり,その際,まずは契約書の文言が手掛りとなるべきものであることは,疑いを入れないところである。本件の場合,明確に残されているのは,「賃貸借予約契約書」と称する契約文書であり,そこに盛られた契約条項にも,通常の建物賃貸借契約の場合と取り立てて性格を異にするものは無い。そうであるとすれば,まずは,ここでの契約は通常の(典型契約としての)建物賃貸借契約であると推認するところから出発すべきであるのであって,そうでないとするならば,何故に,どこが(法的に)異なるのかについて,明確な説明がされるのでなければならない。」「この点,否定説は,いわゆるサブリース契約は,①典型契約としての賃貸借契約ではなく,「不動産賃貸権あるいは経営権を委譲して共同事業を営む無名契約」である,あるいは,②「ビルの所有権及び不動産管理のノウハウを基礎として共同事業を営む旨を約する無名契約」と解すべきである,等々の理論構成を試みるが,そこで挙げられているサブリース契約の特殊性なるものは,いずれも,①契約を締結するに当たっての経済的動機等,同契約を締結するに至る背景の説明にとどまり,必ずしも充分な法的説明とはいえないものであるか,あるいは,②同契約の性質を建物賃貸借契約(ないし,建物賃貸借契約をその一部に含んだ複合契約)であるとみても,そのことと両立し得る事柄であって,出発点としての上記の推認を覆し得るものではない。」「もっとも,否定説の背景には,サブリース契約に借地借家法32条を適用したのでは,当事者間に実質的公平を保つことができないとの危惧があることが見て取れる。しかし,上記の契約締結の背景における個々的事情により,実際に不公平が生じ,建物の賃貸人に何らかの救済を与える必要が認められるとしても,それに対処する道は,否定説を採る以外に無いわけではないのであって,法廷意見が,借地借家法32条1項による賃料減額請求の当否(同項所定の賃料増減額請求権行使の要件充足の有無)及び相当賃料額の判断に当たり賃料額決定の要素とされた事情等を十分考慮すべき旨を判示していることからも明らかなように,民法及び借地借家法によって形成されている賃貸借契約の法システムの中においても,しかるべき解決法を見いだすことが十分にできるのである。そして,さらに,事案によっては,借地借家法の枠外での民法の一般法理,すなわち,信義誠実の原則あるいは不法行為法等々の適用を,個別的に考えて行く可能性も残されている。」「いずれにせよ,必ずしも否定説によらずとも,実質的公平を実現するための法的可能性は,上記のとおり,現行法上様々に残されているのであって,むしろ,個々の事案に応じた賃貸借契約の法システムの中での解決法や,その他の上記可能性を様々に活用することが可能であることを考慮するならば,一口にサブリース契約といっても,その内容や締結に至る背景が様々に異なり,また,その契約内容も必ずしも一律であるとはいえない契約を,いまだ必ずしもその法的な意味につき精密な理論構成が確立しているようには思えない一種の無名契約等として,通常の賃貸借契約とは異なるカテゴリーに当てはめるよりも,法廷意見のような考え方に立つ方が,一方で,法的安定性の要請に沿うものであるとともに,他方で,より柔軟かつ合理的な問題の処理を可能にする道であると考える。」前掲最判平成15年10月21日藤田裁判官補足意見
(※3)「前記の事実関係によれば,本件契約は,不動産賃貸等を目的とする会社である被上告人が,上告人の建築した建物で転貸事業を行うために締結したものであり,あらかじめ,上告人と被上告人との間で賃貸期間,当初賃料及び賃料の改定等についての協議を調え,上告人が,その協議の結果を前提とした収支予測の下に,建築資金として被上告人から234億円の敷金の預託を受けて,上告人の所有する土地上に本件建物を建築することを内容とするものであり,いわゆるサブリース契約と称されるものの一つであると認められる。そして,本件契約は,被上告人の転貸事業の一部を構成するものであり,本件契約における賃料額及び本件賃料自動増額特約等に係る約定は,上告人が被上告人の転貸事業のために多額の資本を投下する前提となったものであって,本件契約における重要な要素であったということができる。これらの事情は,本件契約の当事者が,前記の当初賃料額を決定する際の重要な要素となった事情であるから,衡平の見地に照らし,借地借家法32条1項の規定に基づく賃料減額請求の当否(同項所定の賃料増減額請求権行使の要件充足の有無)及び相当賃料額を判断する場合に,重要な事情として十分に考慮されるべきである。」前掲最判平成15年10月21日
(※4)「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的物の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権原(転借権)を有することが重要であり、転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほかならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を受けた時点から返還義務を履行するまでの間の目的物の使用収益について、不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、もはや期待し得ないものというほかはなく、転貸人の転借人に対する債務は、社会通念及び取引観念に照らして履行不能というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」最判平成9年2月25日民集51巻2号398頁
(※5)「甲が其の所有物を乙に賃貸し,乙が甲の承諾を得て之を丙に転貸したるときは,丙は其の転貸借契約の内容に従いて右物件の使用収益を為す権利を有し,其の使用収益は甲に於ても之を認容せざるべからざるものにして,乃ち丙は甲に対しても右の権利を主張し得るものなること言うを俟たざる所なるを以て,其の権利は甲単独の意思を以て任意に之を消滅せしめ得べき道理なれば勿論,甲乙間の合意を以てするも之を消滅せしめ得べき理由なきものと云うべく,此の結論たるや信義の原則よりして観るも洵に当然のことなりと云うべし……。故に縦令甲と乙とが右の賃貸借解除の合意を為すも,其の合意は乙丙間の転貸借に影響して丙の権利を消滅せしむべき理由なきものなるに拘らず,原審が,被上告人は自己所有の本件土地を訴外柿澤茂一郎に賃貸し,同人は被上告人の承諾を得て之を上告人に転貸したるものなるも,被上告人が柿澤茂一郎との合意により右賃貸借を解約したるを以て,被上告人は上告人に対して本件土地の明渡を請求し得るものと為したるは,法律の解釈を誤りたる違法あるもにして,此の点に於て論旨理由あり。」大判昭和9年3月7日民集13巻4号278頁
(※6)「前記事実関係によれば、被上告人は、建物の建築、賃貸、管理に必要な知識、経験、資力を有する訴外会社と共同して事業用ビルの賃貸による収益を得る目的の下に、訴外会社から建設協力金の拠出を得て本件ビルを建築し、その全体を一括して訴外会社に貸し渡したものであって、本件賃貸借は、訴外会社が被上告人の承諾を得て本件ビルの各室を第三者に店舗又は事務所として転貸することを当初から予定して締結されたものであり、被上告人による転貸の承諾は、賃借人においてすることを予定された賃貸物件の使用を転借人が賃借人に代わってすることを容認するというものではなく、自らは使用することを予定していない訴外会社にその知識、経験等を活用して本件ビルを第三者に転貸し収益を上げさせるとともに、被上告人も、各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れ、かつ、訴外会社から安定的に賃料収入を得るためにされたものというべきである。他方、京樽も、訴外会社の業種、本件ビルの種類や構造などから、上記のような趣旨、目的の下に本件賃貸借が締結され、被上告人による転貸の承諾並びに被上告人及び訴外会社による再転貸の承諾がされることを前提として本件再転貸借を締結したものと解される。そして、京樽は現に本件転貸部分二を占有している。」「このような事実関係の下においては、本件再転貸借は、本件賃貸借の存在を前提とするものであるが、本件賃貸借に際し予定され、前記のような趣旨、目的を達成するために行われたものであって、被上告人は、本件再転貸借を承諾したにとどまらず、本件再転貸借の締結に加功し、京樽による本件転貸部分二の占有の原因を作出したものというべきであるから、訴外会社が更新拒絶の通知をして本件賃貸借が期間満了により終了しても、被上告人は、信義則上、本件賃貸借の終了をもって京樽に対抗することはできず、京樽は、本件再転貸借に基づく本件転貸部分二の使用収益を継続することができると解すべきである。このことは、本件賃貸借及び本件転貸借の期間が前記のとおりであることや訴外会社の更新拒絶の通知に被上告人の意思が介入する余地がないことによって直ちに左右されるものではない。」最判平成14年3月28日民集56巻3号662頁



スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
訪問者数
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード