FC2ブログ
2019-04-14(Sun)

【事例から民法を考える】事例⑨「勝手なマネは許さない!」

昨日はなんだかんだ1通しか答案が書けませんでした。

最悪ですね。

今日は頑張りたいと思います(もう午後)

今回は,じれかん民法の事例⑨です。

≪問題≫

●事例
 菓子卸売業者Aは,2010年3月,メーカーBとの間で製品を継続的に購入する基本契約を締結して取引を開始した。しばらくはAのBに対する代金支払は滞りなく行われていたが,2011年5月に生じた300万円,同年9月に生じた200万円,2012年2月に生じた500万円の各売掛代金債権の支払を,Bの再三の督促にもかかわらずAが行わないため,Bは,2012年7月にAとの取引を停止するとともに,計1000万円の売掛代金債権につき弁済期を2013年4月とし遅延損害金等を約した準消費貸借契約をAとの間で締結した。2013年1月現在,Bのなしうる主張等に関する次の各設問に答えよ(設問はそれぞれ独立の問いである)。

【設問1】 Aの経営者αの親戚Cはは,2010年11月,αに懇請されて1000万円をAに貸渡した。当初は無担保での貸付だったが,2011年4月にはAが小売店Dに対して有する300万円の売掛代金債権につきCがAに代わって弁済を受領する旨の代理受領が合意され,Dの承諾も得た。同年8月,Cは,貸付金の一部の弁済として,先の代理受領の対象分も含め,現にAがDに対して有する400万円の債権をAから譲り受け,直ちにDから全額弁済を受けた。同年10月,倒産の危機に瀕したAから緊急の資金援助を求められたCは,200万円の新規融資に応じるとともに,Aが新たに取引を開始した小売店EにAが将来有することとなる売掛代金債権を包括的に譲り受けることとし,Aの債務不履行等があればCの請求により債権が確定的に移転することや,Aが予め作成してCに預けた債権譲渡通知書がCからEに送付されるまではAが取立てをできること等が約された。2011年12月と2012年4月にAはEに対する各400万円の債権を取得したが,Eへの取立てはなされなかった。2012年9月,支払期日までにAが債務の弁済をしなかったため,Cは,Aへ通告をしたうえで譲渡通知をEに送付し,同年10月にEから800万円の弁済を受けた。
 以上の状況において,Bは,A・C間の債権譲渡に関していかなる主張ができるか。また,Eから受領した800万円の支払をBがCに求めてきた場合に,Cは,A・C間の債権譲渡を合意解除し,800万円をAに返還することによって,これを斥けることができるか。

【設問2】 【設問1】において,EがCに対していまだ弁済をしていなかったなら,Bは,CないしEに対していかなる主張ができるか。

【設問3】 Aは,2010年2月,唯一のめぼしい財産ともいうべき自己所有の甲土地を1200万円でFに売却する旨の売買契約を締結し,同年11月に登記を移転させた。2009年にAに対して1000万円の債権を取得し,いまだ弁済を受けていないGは,売買契約の事実は当初より知っていたが,Aには甲土地以外にも十分な財産があり,かつ事業拡大の必要経費を捻出するためのものとAから聞かされていたため黙認していた。ところがGは,2011年2月になって,Aの債権者Fに便宜を図るための廉価での売却であったことを知り,2013年1月,Fに対して登記名義の回復を求める訴えを提起した。これは認められるか。仮にこの訴えが認められ,その後甲土地につき強制執行手続が開始されたとしたら,Bは配当を受けることができるか。


詐害行為取消しですね。

模試でバリバリ聞かれましたし,

改正前ということで,聞くなら今みたいなところもあります。

ちゃんと勉強しておきたいところです。

≪答案≫
第1 設問1
 1 まず,Bとしては,A・C間においてAがEに対して将来有することとなる売掛代金債権を包括的に譲渡したこと(以下「本件将来債権譲渡」という。)が,公序良俗(民法90条)に反するため無効であるとの主張を行う。
  ⑴ 前提として,本件将来債権譲渡が,債権譲渡としての本契約であるか債権譲渡の予約であるかが問題となる。本件将来債権譲渡に係る契約では,Cの請求により債権が確定的に移転することとされていることからするとCの意思表示に確定的に債権が移転するという債権譲渡の予約であるようにも思える。しかし,本件将来債権譲渡後も,Cが債権譲渡通知書をEに対して送付するまではAが取立てをすることができるものとしていることからすれば,債権譲渡が確定的にされていることを前提として本来債権の取立てをすることができないはずのAにも取立権を認めたものというべきである。したがって,本件将来債権譲渡は,債権譲渡としての本契約である。
  ⑵ 次に,将来債権の譲渡をすることが可能かどうかについて検討すると,債権譲渡契約にあたっては,譲渡の目的とされる債権が特定される必要がある。ここで,取立権や通知が留保された状態での将来債権譲渡は,通常の将来債権譲渡よりも将来債権の譲渡予約に類するものであるところ,その通知の送付時において譲渡の目的となるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば足りる(※1)(※2)
 本件では,AがEとの間で売買契約を締結したことに基づき一定額の売掛代金債権を有することとなり,その債権の発生原因や額が予め定められているから,Cが通知を送付する時点で譲渡の目的となるべき債権をAが有する他の債権から識別することができる程度に特定されている。したがって,本件将来債権譲渡は,債権の特定性を欠かない。
  ⑶ そこで,本件将来債権譲渡が公序良俗に反しないかどうかについて検討する。
 取立権や通知を留保しての将来債権を譲渡することは,債務者の経営を過度に拘束し,あるいは他の債権者を不当に害する場合には,公序良俗に反し無効となると考える(※3)(※4)
 本件将来債権譲渡は,Cが通知をすることによって,その時に有することとなったEに対する売掛代金債権を行使することができるとするものであって,当該通知がされるまでは,Aは,本件将来債権譲渡の対象となる債権を自ら取り立てたり,これを処分したりすることができ,Aの債権者もこれを差し押さえることができる。その上,被担保債権額に比して譲渡される債権の額が特別に大きいわけけではない。そうすると,Aの経営を過度に拘束し,あるいは他の債権者を不当に害する場合であるとはいえないから,公序良俗に反するものとはいえない。
 以上から,本件将来債権譲渡は有効である。
 2 次に,Bは,Cを相手方として,A・C間においてAがDに対して有する債権の譲渡(以下「本件債権譲渡」という。)及び本件将来債権譲渡について詐害行為取消権(同法424条)を行使することが考えられる。
  ⑴ Bが詐害行為取消権を行使するための被保全債権について検討すると,債権者のための共同担保は債権の弁済期にあると否とにかかわらずその債権のために存在するから,被保全債権は詐害行為までに発生していれば足り,取消権行使の時までに履行期が到来している必要はない(※5)。また,準消費貸借契約に基づく債務は,当事者の反対の意思が明らかでない限り,既存債務と同一性を維持しつつ,単に消費貸借の規定に従うこととされるにすぎないものと推定されるのであるから,既存債務成立後に特定債権者のためになされた債務者の行為は,詐害行為の要件を具備するかぎり,準消費貸借契約成立前のものであつても,詐害行為としてこれを取り消すことができる(※6)
 これを本件についてみると,BのAに対する債権の弁済期は2013年4月であって,同年1月の時点では弁済期が到来していないものの,これが詐害行為取消権の行使の上で障害となるものではない。また,BのAに対する債権は,2012年7月の準消費貸借契約にかかるものであるが,元の売掛代金債権は2010年3月に基本契約が締結されているものの,実際に取引がなされていないこの段階では,売掛代金債権の発生の基礎となる法律関係は存在するとはいえない。そうすると,2011年5月に300万円,同年9月に200万円,翌年2月に500万円の成立が認められるため,これらが被保全債権となる。
  ⑵ それでは,本件債権譲渡及び本件将来債権譲渡は,「債権者を害する」行為であるといえるか。
   ア(ア) まず,本件債権譲渡については,それに先行してAのDに対する売掛代金債権につき代理受領の合意がされているため,代理受領が担保手段として用いられていることからすれば,その後同債権につき重ねて債権譲渡がされても,新たな詐害行為が構成されることはなく,したがって被保全債権の成立前である2011年4月に合意がされているため詐害行為取消権を行使することができないとの反論が考えられる。
 しかし,代理受領の合意がされていても,他の一般債権者との関係においては,受任者はなんら優先的な地位を有することを主張できるものではなく,債務者の当該債権は総債権者のための共同担保を構成していることに変わりはないから,代理受領の合意がされた後に当該債権が譲渡されても,当該債権譲渡を詐害行為として取り消すことができる(※7)(※8)
 そうすると,本件でも,2011年4月に代理受領の合意がされていることは,2011年8月に同債権が譲渡されたことに対して詐害行為取消権を行使する上での妨げとならない。
    (イ) 本件債権譲渡は,CのAに対する貸金返還請求権へ充当させる目的でされた代物弁済である。判例によれば,債務超過の状態にある債務者が、他の債権者を害することを知りながら特定の債権者と通謀し、右債権者だけに優先的に債権の満足を得させる意図のもとに、債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡したときは、たとえ譲渡された債権の額が右債権者に対する債務の額を超えない場合であつても、詐害行為として取消の対象になる(※9)。しかし,金銭債権の譲渡をもって金銭債権の弁済に代えるという代物弁済は,弁済とほぼ同義である。そうすると,債権譲渡をもっている代物弁済を,代物弁済であるとの一事をもって基本的に詐害行為にあたるということはできない。
 これを本件債権譲渡についてみると,AがCに負う債務額を超えるものではなく,債務者にとって格別不利益な内容ではないから,詐害行為であるということはできない。
 したがって,Bは,本件債権譲渡について詐害行為取消権を行使することはできない。
   イ 本件将来債権譲渡は,AのCに対する既存の債務600万円に加え新規融資である200万円を担保するものである。
    (ア) まず,既存債務について担保権を設定する行為により,当該債権者は,担保の目的物につき他の債権者に優先して,被担保債権の弁済を受け得られることになるので,それだけ他の債権者の共同担保は減少する。その結果債務者の残余の財産では,他の債権者に対し十分な弁済を為し得ないことになるときは,他の債権者は従前より不利益な地位に立つこととなり即ちその利益を害せられることになるので,債務者がこれを知りながら敢えて担保権を設定した場合は,他の債権者は民法424条の取消権を有する(※10)
 これを本件についてみると,Aには多数の債権者がいるところ,本件将来債権譲渡により,Cが優先的に弁済を受けることになるので,他の債権者の共同担保が減少する。そして,Aは,これによって他の債権者が従前より不利益な地位に立つことを知りながら敢えて債権譲渡担保を設定しているし,Aはそのことを認識していると考えられるから,詐害行為であるといえる。
    (イ) 次に新規融資について担保権を設定する行為については(※11),倒産の危機に瀕したAを救済する措置としてなされた点に鑑みれば詐害性は小さいともいえなくはない。しかし,救済融資にしては,新規融資額が既存債権の額に比べて僅少である。そうすると,本件将来債権譲渡は,Aの経営危機を熟知するCが,Aと結託し,他の債権者に抜け駆けして債権の回収を図ることを狙ったものというべきであり,債権者として許される範囲を超えた行為であると認められる。
 したがって,新規融資の200万円部分についても詐害行為であるといえる。
  ⑶ 本件将来債権譲渡は,財産権を目的としない法律行為ではないし(同法424条2項),Cが「債権者を害すべき事実を知らなかった」ともいえない(同条1項ただし書)。
 以上から,本件将来債権譲渡については詐害行為取消権を行使することができる。
 3 それでは,Bはいくらの範囲で詐害行為取消権を行使することができるか。詐害行為の時点をいつとするかが問題となる。
 詐害行為取消権の大正に将来債権が含まれていたり,譲渡人への取立権限留保がある場合には,対象債権の額は変動するから,担保目的が過大であるかどうかの判断は対象債権が特定されて初めてなし得る。したがって,詐害行為の時点は,対象債権が確定したときである。
 これを本件についてみると,CがEに対して譲渡通知を行った2012年9月の時点で,対象債権が確定するから,詐害行為の時点は2012年9月を基準とすべきである。
 そうすると,Bはこの時点までに被保全債権の1000万円を取得しているから,詐害行為とされる800万円の全額を取り消すことができる。
 4 なお,AC間で本件将来債権譲渡が合意解除されたとしても,Bはなお本件将来債権譲渡を詐害行為として取り消すことができる。なぜなら,一旦詐害行為となる責任財産の処分が行われても,後にこれが合意解除されて債務者の責任財産が原状に復すれば,もはやこれを詐害行為として取り消す必要はないから,詐害行為取消権の行使は許されないが,合意解除が債務者の責任財産が原状に復したとはいえないときには,詐害行為取消権はなお行使できる。そして,本件将来債権譲渡の前はAは売掛代金債権を有していたのに対して,合意解除した後では,譲受債権を回収した現金が支払われたというのであって,債権と現金とではその執行可能性に格段の違いがあることからすれば,本件将来債権譲渡の合意解除によってAの責任財産が原状に復したと評価できないからである(※12)
第2 設問2
 本件将来債権譲渡に係る債権について,EがCに対して未だ弁済をしていない段階について,詐害行為取消しの効力は相対的であって,訴訟当事者である債権者と受益者又は転得者との間においてのみ生じるにすぎず,債務者には及ばないから,第三債務者に対して履行の請求をすることはできない。そこで,原状回復を計る方法として,第三債務者に対して債権譲渡が詐害行為により取り消された旨の通知を求めることができるとすべきである(※13)
 本件では,BはCに対して,Dに対し本件将来債権譲渡が詐害行為により取り消された旨の通知をすることを求めることができる。
第3 設問3
 1 Gは,AがFに対してした甲土地の売却(以下「本件売却」という。)を詐害行為であるとして取り消す。
 Gは,本件売却が行われる以前から,Aに対して債権を取得しているから,被保全債権が存在する。本件売却は,甲土地を廉価で売却するというものであって,債権者の共同担保を積極的に減少させるものである上,Aはそのことを認識していたと考えられるから,詐害行為である。Fが「債権者を害すべき事実を知らなかった」とも考えられない。
 もっとも,本件売却は,2010年2月にされており,現時点で年以上が経過しているから,詐害行為取消権が消滅時効にかかっていないか。「債権者が取消しの原因を知った時」は,債務者が債権者を害することを知って法律行為をなした事実を債権者が知ったときをいう。そして,債務者が財産を処分したことを知るだけでは足りず,当時の債務者の財産状態からみて債権者を害するものであることを知っていることが必要であり,また,単に債権者が詐害の客観的事実を知っているだけでは足りず,債務者に詐害の意思があることをも知っていることが必要である。
 本件では,Gは当初より本件売却について認識していたが,その段階では,廉価売却であることについて知っておらず,債権者を害するものであることを知っていたということはできない。そうすると,Gがこれらを知るに至ったのは,2011年2月であり,この時点が時効の起算点となる。したがって,この時点からでは未だ2年が経過していないから,時効消滅しない。
 したがって,Gは,本件売却について詐害行為取消しをすることができる。
 2 Bは,本件売却の後にAに対して債権を有するに至った者であるから,詐害行為の以前に被保全債権が成立しておらず,詐害行為取消権を行使することができない。それでは,他の債権者が詐害行為取消権を行使して,強制執行が開始した際に,詐害行為取消権を行使できない債権者も配当に加わることはできるか。
 仮に詐害行為がなく,ある債権者のした強制執行が順調に行われていれば,すべての債権者が配当に加入して平等弁済を受けられていたはずであるだったことから,たまたま詐害行為があったときに,その後に債権を取得したという理由で配当加入が認められないのでは均衡を失する。したがって,詐害行為取消権を行使し得ない者であっても,強制執行開始後の配当手続に加入することができる。
 そうすると,本件でも,Bは配当を受けることができる。

以 上


(※1)債権譲渡契約にあっては、譲渡の目的とされる債権がその発生原因や譲渡に係る額等をもって特定される必要があることはいうまでもなく、将来の一定期間内に発生し、又は弁済期が到来すべき幾つかの債権を譲渡の目的とする場合には、適宜の方法により右期間の始期と終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべきである。」「ところで、原判決は、将来発生すべき診療報酬債権を目的とする債権譲渡契約について、一定額以上が安定して発生することが確実に期待されるそれほど遠い将来のものではないものを目的とする限りにおいて有効とすべきものとしている。しかしながら、将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約にあっては、契約当事者は、譲渡の目的とされる債権の発生の基礎を成す事情をしんしゃくし、右事情の下における債権発生の可能性の程度を考慮した上、右債権が見込みどおり発生しなかった場合に譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべきであるから、右契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではないと解するのが相当である。」最判平成11年1月29日民集53巻1号151頁
(※2)債権譲渡の予約にあっては、予約完結時において譲渡の目的となるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば足りる。そして、この理は、将来発生すべき債権が譲渡予約の目的とされている場合でも変わるものではない。」最判平成12年4月21日民集54巻4号1562頁
(※3)「契約締結時における譲渡人の資産状況、右当時における譲渡人の営業等の推移に関する見込み、契約内容、契約が締結された経緯等を総合的に考慮し、将来の一定期間内に発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約について、右期間の長さ等の契約内容が譲渡人の営業活動等に対して社会通念に照らし相当とされる範囲を著しく逸脱する制限を加え、又は他の債権者に不当な不利益を与えるものであると見られるなどの特段の事情の認められる場合には、右契約は公序良俗に反するなどとして、その効力の全部又は一部が否定されることがあるものというべきである。」前掲最判平成11年1月29日
(※4)「前記のような本件予約の締結に至る経緯に照らすと、被上告人がAの窮状に乗じて本件予約を締結させ、抜け駆け的に自己の債権の保全を図ったなどということはできない。さらに、本件予約においては、Aに被上告人に対する債務の不履行等の事由が生じたときに、被上告人が予約完結の意思表示をして、Aがその時に第三債務者である上告人らに対して有する売掛代金債権を譲り受けることができるとするものであって、右完結の意思表示がされるまでは、Aは、本件予約の目的となる債権を自ら取り立てたり、これを処分したりすることができ、Aの債権者もこれを差し押さえることができるのであるから、本件予約が、Aの経営を過度に拘束し、あるいは他の債権者を不当に害するなどとはいえず、本件予約は、公序良俗に反するものではない。」前掲最判平成12年4月21日
(※5)「債務者の財産は,一般債権者の共同担保となるものにして,詐害行為取消権は,債権者が債務者の財産に対し有する此担保の利益を害せらるるを防止するを目的とするものなること,民法第424条の法意に照らして明らかにして,其共同担保は,債権の弁済期に在ると否とに拘らず其債権の為めに存するものなれば,債権の弁済期未だ到来せざる場合に於いても,弁済の資力に乏しき債務者が其有する財産を処分するときは,債権者の不利益を来すこと債権の弁済期既に到来したる場合と擇ぶ所なきものとす。故に,詐害行為取消権は,債権者の債権が行為当時未だ弁済期に達せざるも,之を行使することを得べきものと解するを相当とす。」大判大正9年12月27日民録26輯2096頁(一部現代語表記に改め,句読点挿入済)
(※6)準消費貸借契約に基づく債務は、当事者の反対の意思が明らかでないかぎり、既存債務と同一性を維持しつつ、単に消費貸借の規定に従うこととされるにすぎないものと推定されるのであるから、既存債務成立後に特定債権者のためになされた債務者の行為は、詐害行為の要件を具備するかぎり、準消費貸借契約成立前のものであつても、詐害行為としてこれを取り消すことができるものと解するのが相当である。」最判昭和50年7月17日民集29巻6号1119頁
(※7)「前記二認定の事実によれば、福岡石材が昭和六二年一二月五日被控訴人に対して三井建設承諾のもとに代理受領を委任した債権と、昭和六三年二月三日の本件譲渡債権とは、一部重複しているのではないかと推測されないでもないが、仮にそうだとしても、代理受領委任契約によって受任者が他の一般債権者に対する関係で当該債権につき優先的地位を主張できるものではないから、福岡石材の本件譲渡債権が控訴人のための共同担保を構成していたことに変わりはなく、右結論に消長を来たさない」福岡高判平成3年3月14日金法1369号77頁
(※8)「債務超過の状態にある債務者が、特定の債権者に対する債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡することは、譲渡される債権の額が債権者に対する債務の額を超えない場合であつても、詐害の意思がある限り、詐害行為として取消の対象となることは、当裁判所の判例とするところであり……、このことは、右債権譲渡が債権者に対する債務について譲渡担保を設定する趣旨である場合であつても、また、右譲渡される債権を目的として予め債務者より債権者に対しいわゆる代理受領の委任がなされ第三債務者の承認を得ている場合であつても、異なるところはない。けだし、債務者がその一般財産を特定の債権者のための譲渡担保に供するときは、その結果として他の債権者の共同担保が減少することに変わりはなく、また、債務者が特定の債権者に対する債務の担保として自己の第三者に対する金銭債権につき右債権者を受任者とする代理受領委任契約を締結し、第三者がこれを承認したときは、債務者及び第三者は、右契約の効力として、受任者に対してのみ弁済の受領を得さしめる義務を負うこととなるが……・、他の一般債権者との関係においては、受任者はなんら優先的な地位を有することを主張できるものではなく、債務者の右債権は総債権者のための共同担保を構成していることに変わりはないと解すべきだからである」最判昭和51年7月19日集民118号273頁
(※9)債務超過の状態にある債務者が、他の債権者を害することを知りながら特定の債権者と通謀し、右債権者だけに優先的に債権の満足を得させる意図のもとに、債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡したときは、たとえ譲渡された債権の額が右債権者に対する債務の額を超えない場合であつても、詐害行為として取消の対象になるものと解するのが相当……である」最判昭和48年11月30日民集27巻10号1491頁
(※10)「債務者が或債権者のために根抵当権を設定するときは、当該債権者は、担保の目的物につき他の債権者に優先して、被担保債権の弁済を受け得られることになるので、それだけ他の債権者の共同担保は減少する。その結果債務者の残余の財産では、他の債権者に対し十分な弁済を為し得ないことになるときは、他の債権者は従前より不利益な地位に立つこととなり即ちその利益を害せられることになるので、債務者がこれを知りながら敢えて根抵当権を設定した場合は、他の債権者は民法424条の取消権を有するものと解するを相当とする。」最判昭和32年11月1日民集11巻12号1832頁
(※11)「右のような事実関係に徴すれば、前記各譲渡担保による所有権移転行為は、当時A夫妻は他に資産を有していなかつたから、債権者の一般担保を減少せしめる行為であるけれども、前記のような原審の確定した事実の限度では、他に資力のない債務者が、生計費及び子女の教育費にあてるため、その所有の家財衣料等を売却処分し或は新たに金借のためにれを担保に供する等生活を営むためになした財産処分行為は、たとい共同担保が減少したとしても、その売買価格が不当に廉価であつたり、供与した担保物の価格が借入額を超過したり、または担保供与による借財が生活を営む以外の不必要な目的のためにする等特別の事情のない限り、詐害行為は成立しないと解するのが相当であり、右と同旨の見解に立つて本件詐害行為の成立を否定した原判決の判断は、正当として是認できる。」最判昭和42年11月9日民集21巻9号2323頁
(※12)「そこで,検討するに,いったん詐害行為となる責任財産の処分が行われても,後にこれが合意解除されて債務者の責任財産が原状に復することになれば,最早,これを詐害行為として取り消す必要はないから,詐害行為取消権の行使は許されないというべきであるが……,合意解除されても債務者の責任財産が原状に復したとはいえないときには,詐害行為取消権はなお行使できるものと解すべきである……。そして,債務者の責任財産が原状に復したといえるかどうかは,詐欺行為取消権(民法424条)の制度が,逸出した債務者の責任財産を取り戻して債務者の責任財産を保全する制度であることにかんがみると,債権者が債務者の責任財産に対して強制執行することの難易をも考慮して,詐害行為が行われた前と同様の状態に戻ったかどうかを検討すべきである。」「これを本件についてみると,本件債権譲渡の前は債務者が売掛金債権を有していたのに対して,合意解除した後では,譲受債権を回収した現金が債務者の口座に振り込まれて支払われたというのであって,売掛金債権と現金とではその執行可能性に格段の違いがあることにかんがみると,本件債権譲渡の合意解除によって債務者の責任財産が原状に復したと評価することは困難である。」福岡地判平成21年3月26日判タ1299号224頁
(※13)「詐害行為取消の効力は、相対的であつて、訴訟当事者である債権者と受益者又は転得者との間においてのみ生じるにすぎず、債務者には及ばないから、本件においては、被控訴人らは、債務者である三和水産に代位して第三債務者である右控訴人らに対し履行の請求を求めることはできないと解すべきである。しかし、他方被控訴人は、詐害行為取消による原状回復を計る方法として、控訴人村田に対し、第三債務者である控訴人三和興産、同伊藤に対し債権譲渡が詐害行為により取消された旨の通知をすることを求めることができると解すべきである。」東京高判昭和61年11月27日判タ641号128頁



スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
訪問者数
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード