FC2ブログ
2019-04-13(Sat)

【事例から民法を考える】事例⑩「あなたとは立場が違うんです」

おはようございます。

今日は早朝から新宿駅へ行っていました。

目的は,中央線開業130周年記念弁当を購入することです。

実は一昨日も買いに行ったんですが,

朝9時半くらいの時点でもう売り切れていましたので,

今日は頂の開店時間6時半にあわせて行くことにしました。

朝6時半から弁当屋の開店待ちのために,

長蛇の列を作っている光景を見るのは,

生まれて初めてでしたね。

おかげさまで無事購入をすることができました。

その足で立川でも同じく弁当を買って,

今国立に戻ってきています。

10時になったら国分寺にも買いに行く予定です。

国分寺で買ってきてから,改めて報告したいと思います。

ところで,今回は,じれかん民法の事例⑩です。

≪問題≫

●事例
 A社は,Bが代表取締役,Bの長男CとBの妻Dが専務取締役を務める家族経営の小規模な印刷業者である。A社は,新たな設備を導入し事業拡大を図るべく,従前より取引関係のあった銀行Gに融資を申し込んだ。Gは,これまでA社が貸付金の返済を滞りなく行ってきたこと等からこれに応ずることとしたが,A社の敷地等には抵当権がすでに設定されていたため,B・C・DらA社の関係者以外の資力十分な者も連帯保証人に加わることを融資の条件に決め,その旨をBに伝えた。Bは,旧知の間柄で,A社と取引関係のある会社を経営するEに,連帯保証人になってくれるよう懇請したところ,Eはこれを受けた。こうして,GとA社との間で消費貸借契約が,GとB・C・D・Eとの間で連帯保証契約が締結され,3600万円の融資が実施された。なおGと各連帯保証人との間で交わされた契約書には「保証人は,この契約から生ずる一切の債務につき,A社と連帯し,かつ保証人相互の間で連帯して履行の責任を負う」との条項が挿入されていた。
 その後,A社は,経営状態が極度に悪化し,弁済期が到来したにもかかわらずGに対する返済ができなくなった。以下の各設問に示した事情のもとで,Eの主張は認められるか(設問はそれぞれ独立の問いである)。

【設問1】 Eが連帯保証人となることを了承したのは,Bから「A社の経営状態は良好で資産もある。何よりこの融資では相当の個人資産をもつ私も連帯保証人になる。Eを連帯保証人にすることは,G内部での融資審査をパスするため形式上求められたもので,Eに迷惑をかけることは絶対にないし,Gもそのことは承知している」と告げられ,資産に関する偽造書類を提示されたためであった。また,保証契約締結に際し,EはGの融資担当者に「A社は大丈夫ですか」と尋ねたところ,「A社さんとは長い付き合いですが,信用もあり返済もきちんとしているので問題ないですね」との返答であった。弁済期後,GがEに対して3600万円の連帯保証債務の履行を求めてきたため,Eが話が違うと言って抗議したところ,Gは,今回の融資では,Bらにまとまった資産がないから,Eが連帯保証人となることを条件にしたのだとEに説明した。Eは,Bに騙されて連帯保証人となった等と主張して弁済を拒むことができるか。

【設問2】 Gは,Bに対して,A社として2000万円だけでも今週中に弁済をしてほしい,そうしてくれれば残額はEから弁済を受けることにし,かりにEが弁済不能になったとしてもB個人の負担する連帯保証債務は免除する旨の示談を持ちかけてきた。Bは,これを受け入れ,A社による主たる債務の履行として直ちに2000万円をGに弁済した。その後GがEに対して連帯保証債務の履行として1600万円の支払を求めてきたとき,Eは,GがBに対し免除したことを理由に,自らの債務の減額を主張することができるか。

【設問3】 Eは,Bから「A社が融資を受けて経営規模を拡大すれば,お宅の会社の売上げも大幅に増える」と言われ,連帯保証人を引き受けた。その後A社が無資力となり支払不能に陥ったため,Gは連帯保証債務の履行としてEに3600万円の請求をした。自身も経営難ながら辛うじてGに600万円を支払ったEは,B・C・Dに求償をすることができるか。


保証をがっつり論文で書いたことって全然ないので,

解説を読んでいても初めて知ることばかりでしたね。

あと連帯保証と保証連帯の違いとか,

短答ではたまに聞かれますけど,

そのあたりもちゃんと解説してくれているので,

とてもありがたかったです。

しかし,論文でこんなの出たら何も書けないですよ……。

≪答案≫
第1 設問1
 1 まず,Eは,Bに騙されたことが詐欺にあたるとして,Gとの間で締結した連帯保証契約(民法454条。以下「本件保証契約」という。)を取り消す(同法96条1項)ことが考えられる。
  ⑴ Bには,真実は十分な資力がなかったにもかかわらず,Eに対しこれがあるように告げ,EをしてBに十分な資力があるように誤信させているから,違法な欺罔行為によってEが錯誤に陥っており,この錯誤によりEは本件保証契約を締結する意思表示をGに対してしている。また,Bには,Eを錯誤に陥らせる故意と,その錯誤に基づいて本件保証契約を締結する意思表示をさせようとする故意のいずれもが認められると考えられるから,詐欺の故意が認められる(※1)。したがって,Eは,Bとの関係では詐欺取消しの要件を満たす。
 もっとも,本件保証契約との関係では,Bは「第三者」であるから,相手方Gが「その事実を知って」いなければ,これを取り消すことはできない(同条2項)。
  ⑵ また,Eは,Gの発言自体を欺罔行為と捉えて,直接本件保証契約を取り消すことも考えられるが,Gの発言が契約時に事実と異なっていたとまでは評価することができないため,違法な欺罔行為があったということはできない。したがって,Eは,本件保証契約について詐欺取消しを主張することはできない。
 2 そこで,Eは,A社に十分な資力があったことについて錯誤があったことを理由として,本件保証契約の無効(同法95条本文)を主張することが考えられる。
 意思表示が錯誤無効とされるためには,法律行為の要素に錯誤があることを要する。「錯誤」とは,内心的効果意思と表示の不一致を表意者が知らないことをいう。Eは,本件保証契約を締結すること自体に内心的効果意思と表示とに不一致を生じておらず,あくまでその動機であるBの資力について誤信しているにすぎない。そこで,このような動機についての誤信も「錯誤」となりうるかについて検討すると,内心的効果意思と表示の不一致がない以上原則として無効を来たすものではない。もっとも,民法95条本文は表意者の保護を図る趣旨に出たものであるところ,動機に錯誤がある場合でもその趣旨は妥当する。しかし,あくまで表意者の内心にすぎない動機をもって契約を無効とすると,それを知り得ない相手方からすれば不意打ちとなり,取引の安全を害する。そこで,意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとしてその無効を来たすためには,その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となり,もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要する。そして,動機は,たとえそれが表示されても,当事者の意思解釈上,それが法律行為の内容とされたものと認められない限り,表意者の意思表示に要素の錯誤がはない(※2)
 これを本件についてみると,EはGの融資担当者に「A社は大丈夫ですか」と尋ねてA社の支払能力について懸念する態度を見せたのにたいして,Gの融資担当者はA社は問題ない旨の回答をしているから,一連のやりとりから見て,EはA社に十分な支払能力があることを前提として本件保証契約を締結するとの動機を表示していたとみることができる(※3)。そして,保証契約を締結する当事者としては,主債務者か第一次的には弁済をすることを当然の前提としていると考えられるから,融資の時点で十分な支払能力を有していない主債務者のために保証人となろうとする者は存在しないというべきである(※4)。そうすると,もしA社の資力についての錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる。したがって,Eが本件保証契約の締結に向けてして意思表示は,法律行為の要素に錯誤があったというべきであるから,本件保証契約は無効である。
 よって,Eは,弁済を拒むことができる。
第2 設問2
 1 Eは,GがBに対し1600万円部分の連帯保証債務を免除したことをもって,自らの債務の減額を主張しているため,共同連帯保証人の一人に免除がされた場合の効果について検討する。
 2⑴ この点,主たる債務者と連帯して数人が保証債務を負担した場合には,各保証人は主たる債務者を通じて,債権者に対して各自全部義務を負担し,各保証人間には連帯債務関係に準ずる法律関係が生ずるとして,民法437条が準用されるとする見解もある(※5)。しかし,このように考えると,債権者が連帯保証人の一人について免除をした場合に,債権の効力を弱めることとなり,債権の効力を強化しようとする連帯保証の趣旨に反することとなる。したがって,複数の連帯保証人が存する場合であっても,当該保証人が連帯して保証債務を負担する旨特約した場合でなければ,各保証人間に連帯債務ないしこれに準ずる法律関係は生じず,連帯保証人の一人に対する債務の免除は他の連帯保証人に効果を及ぼすものではない(※6)
  ⑵ そこで,まず本件保証契約において,Eが他の連帯保証人と保証連帯がされていたといえるかどうかについて検討すると,本件保証契約には「保証人相互の間で連帯して履行の責任を負う」との条項が挿入されているから,保証連帯の特約があるということができそうである。もっとも,本件保証契約は,あくまでGE間で締結されたものにすぎず,当該契約の効力が他の連帯保証人に当然に及ぶものではない。しかし,EはBの委託を受け保証人になったのであり,BE間には相応の強い結びつきがあったのであるから,保証連帯特約が連帯保証人間で締結されていないとしても,B,C及びDとEとの間に,分別の利益が生じないという意味にとどまらない連帯関係を認めることができる。したがって,Eは,他の連帯保証人と保証連帯の関係にある。
  ⑶ そうだとしても,民法437条は任意規定であるから,本件におけるGのBに対する免除が民法437条の適用のある性質を有しているかどうかについて検討する。
 GがBに示談を持ちかけた際に,残額はEから弁済を受けることとされているから,Gとしては免除の効果をEに及ぼす前提がないものと考えられ,民法437条の適用を前提としていないものと認められる。また,Eの求償に応じたBがGに不当利得返還請求をなし得る趣旨もうかがえないから,GがBに対してした免除は,不訴求特約であると考えられる。したがって,GがBに対してした免除の効力はEには及ばない。
 3 よって,GがBに対してして免除を理由として,Eは自らの債務が減額されたとの主張をすることができない。
第3 設問3
 1 保証人が複数いる場合には,その間の求償権は,自己の負担部分を超える弁済をしたときに行使することができる(同法465条1項)。そこで,まずEの負担部分について検討すると,主たる債務は全額で3600万円であるから,各自の負担部分は等分の割合となるのが原則であるので(同法456条,427条),900万円となる。そうすると,Eは未だ600万円しか弁済していないから,負担部分を超えての弁済をしていないように思われ,B,C及びDに対し求償をすることができないように思われる。
 ここで,Eは,自己の負担部分が600万円より小さいと主張することが考えられる。すなわち,Eは,主債務者A社の経営責任者ないしその親族であるB,C及びDとは明らかに立場が異なり,これらの者と異なり融資による直接的な受益がないことから,Eが本件保証契約を締結するにあたっては,自己の負担部分を0とする黙示の合意がBらとの間で形成されていたというべきであり,受益の程度から見てEの負担部分が0であると認定することができると主張する。
 しかし,Eが本件保証契約を締結するにあたっては,A社への融資により,Eの経営する会社の売上げの増大も見込まれることを前提としているのであるから,Eに何らの受益ももたらさないということまではできない。そうすると,Eの負担部分が0であるとの黙示的な合意があったとは認められない。したがって,Eの前記主張は認められないから,Eの負担部分は900万円である。
 2 そうだとしても,Eは,A社が無資力である本件では,負担部分を超えて弁済をしていなくとも他の連帯保証人に対して求償をすることができると主張することが考えられる(※7)
 主債務者が無資力であるときは,債務の最終負担者は連帯保証人にならざるを得ないから,このような場合には,各連帯保証人の公平を図るという見地から,例外的に,連帯保証人の一部に無資力者がいる場合の負担割合を定めた民法444条を準用し,債権者に弁済をした連帯保証人は,弁済額が自己の負担部分の額を超えないときでも,他の連帯保証人に対し,本来の負担割合に応じた金額を求償することができる。
 これを本件についてみると,A社が無資力である以上,主債務の最終負担者はEら連帯保証人となるから,民法444条を準用し,B,C及びDに対し各自150万円の求償をすることができる。

以 上


(※1)「第1に,詐欺者に,他人を騙して錯誤に陥らせる故意と,その錯誤に基づいて一定の意思表示をさせようという故意の,2段の故意のあったことが必要である(大判大正6・9・6民録23輯1319頁)。」佐久間毅『民法の基礎1総則〔第3版〕』170頁
(※2)「意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとしてその無効を来すためには,その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となり,もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要する。そして,動機は,たとえそれが表示されても,当事者の意思解釈上,それが法律行為の内容とされたものと認められない限り,表意者の意思表示に要素の錯誤はないと解するのが相当である」最判平成28年1月12日民集70巻1号1頁
(※3)「原告が宅地建物取引主任の資格を有していて不動産業に通じており、二郎から求められてHに入社したこと(甲二〇の一、同二一)、したがって、原告は、二郎の連帯保証人の要請に応じなければならない立場にはなかったことを考慮すると、原告が、最終的に責任を負うべき二郎に支払能力がないことを知っていたとすれば、本件各契約を締結しなかった(二郎の要請を断った)と認められ(だからこそ、後記認定のとおり、Sに二郎の支払能力を確かめたのである)、しかも、本件各契約締結の際、Sは、原告の「乙川さんは大丈夫ですか」の問いに対し、「乙川さんとは長い付き合いであり、乙川さんは資産も信用もあり、支払いもきちんとしているので間違いありませんよ」と答えて〈証拠略〉右原告の動機は表示されているとみることができるから、本件各契約は、錯誤により無効となるというべきである。」水戸地裁下妻支判平成11年3月29日金判1066号37頁
(※4)「およそ融資の時点で破綻状態にある債務者のために保証人になろうとする者は存在しないというべきであるから、保証契約の時点で主債務者がこのような意味での破綻状態にないことは、保証しようとする者の動機として、一般に、黙示的に表示されているものと解するのが相当である。」東京高判平成17年8月10日判タ1194号159頁
(※5)主たる債務者と連帯して数人が保証債務を負担した場合には、各保証人は主たる債務者を通じて、債権者に対して各自全部義務を負担し、各保証人間には連帯債務関係に準ずる法律関係を生ずるものと解するのが相当である……。このことは、共同保証人間の求償権を定めた民法465条1項『……各保証人カ全額ヲ弁済スヘキ特約』という特約には各共同保証人間に連帯の特約ある場合の外に、各共同保証人が主たる債務者と連帯して弁済すべき特約ある場合をも含むものと解すべきところ、この場合に一人の保証人が全額其の他自己の負担部分を超える額を弁済したときの他の共同保証人に対する求償権につき連帯債務者の求償権に関する規定を準用していることは各連帯保証人の相互の関係が連帯債務関係に準ずるものと解したが故であり、また同条2項が『前項ノ場合ニ非スシテ互ニ連帯セサル保証人……』と規定して、前項すなわち同条1項の場合は共同保証人間の関係が、連帯債務関係であることを前提としているものと解すべきであることよりも推知し得るところである。」「そして各連帯保証人の負担部分については、別段の定のない限り、平等であると解すべきであるから……、連帯債務に関する民法437条を準用し、連帯保証人の一人に対して為した債務の免除は、その保証人の負担部分についてのみ他の保証人の利益のためにも、その効力を生ずるものと云うべきである。」最判昭和43年11月15日民集22巻12号2649頁奥野裁判官反対意見
(※6)「原審の確定するところによれば、訴外A(主債務者)は昭和34年3月訴外B(債権者)との間で原判示の準消費貸借契約を締結し、上告人および訴外Cは右準消費貸借上の債務につき連帯して保証する旨約したというのであり、記録によれば、上告人は、連帯保証人の一人である訴外Cがその後において訴外Bから前記保証債務の免除を受けるにいたつた旨抗弁していることが明らかである。しかしながら、複数の連帯保証人が存する場合であつても、右の保証人が連帯して保証債務を負担する旨特約した場合(いわゆる保証連帯の場合)、または商法511条2項に該当する場合でなければ、各保証人間に連帯債務ないしこれに準ずる法律関係は生じないと解するのが相当であるから、連帯保証人の一人に対し債務の免除がなされても、それは他の連帯保証人に効果を及ぼすものではないと解するのが相当である。」前掲最判昭和43年11月15日
(※7)「連帯保証における債務の最終的負担者は、主債務者であるから、連帯保証人が数人ある審合に、債権者に弁済をした連帯保証人は、原則として、弁済額のうち自己の負担部分の額を超える金額についてのみ、他の連帯保証人に対し求償し得るというべきである。しかし、主債務者が無資力であるときは、債務の最終的負担者は連帯保証人にならざるを得ないから、このような場合には、各連帯保証人の公平を図るという見地から、例外的に、連帯債務者の一部に無資力者がいる場合の負担割合を定めた民法444条を準用し、債権者に弁済をした連帯保証人は、弁済額が自己の負担部分の額を超えないときでも、他の連帯保証人に対し、本来の負担割合に応じた金額(本件では負担割合は平等であるから、弁済額を連帯保証人の数で除した金額)を求償することができるものと解するのが相当である。」東京高判平成11年11月29日判タ1047号207頁



スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
訪問者数
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード