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2019-04-11(Thu)

【事例から民法を考える】事例⑲「財布はひとつ?」

さて,久しぶりですが,

【今日の一品】のコーナーです。

今日紹介する商品はこちら。

S__14909442.jpg

蒙古タンメン中本新宿店の今月の限定,

「五目蓋飯」です。

その名の通り,麺ではなくご飯ものです(麺もセットで付いてきますが。)。

甘辛く炒めた具沢山の野菜にごまと刻んだ紫蘇がかかったものです。

辛さは抑えめ(おそらく中本基準で3くらい)ですし,

味付けも独特なので,中本らしさは薄いかもしれませんが,

野菜をおいしくたくさん食べれるという中本の良さは変わりません。

セットで付いてくる麺は冷やし麺で,

五目味噌タンメンのスープがベースとなっているようですが,

酸っぱさが足されており,今までにない新しい味付けとなっています。

ちなみにこのスープ,バターとの相性は悪くはありませんがよくもありません。

ご飯の方にはもしかしたらバターが合うかもしれません。

試してみればよかったですね。

気になった方は是非中本新宿店へ。

今月15日までの限定発売です。

ところで,今回は,じれかん民法の事例⑲です。

これで家族法が終わります。

≪問題≫
省略


日常家事債務ということですが,

親権者の利益相反の議論と少し混ざりそうです。

利益相反のときは専ら客観的に判断するような書き方をする記憶がありますが,

こちらでは主観面が考慮できるかどうかを一応検討しないといけないようですね。

あと110条の趣旨類推のところですが,

本問の事情からは判断できないような気がします。

もう110条類推は考えなくてもよいというメッセージでしょうか。

≪答案≫
第1 設問1
 1 FはAに対して,本件立替払契約が日常家事に関する法律行為(民法761条)に属すると主張しているので,この主張の当否について検討する。
 2⑴ 民法761条にいう日常の家事に関する行為とは,個々の夫婦がそれぞれの共同生活を営むうえにおいて通常必要な法律行為をいう。同条の趣旨は,夫婦の一方と取引関係に立つ第三者を保護するものであるから,日常の家事に関する法律行為に該当するかどうかは,客観的に,当該法律行為の種類,性質等を十分に考慮して判断すべきである(※1)(※2)。この点,夫婦は,同居・協力・扶助義務を負い(同法752条),共同生活を営むのであるから,社会一般的に共同生活に必要とされる標準的な事項については,仮に内部的な不一致や夫婦の一方の濫用的な振舞いの危険性があるとしても,基本的に共同責任を負うのが,共同生活の本質に即した婚姻の一般的な効果であると考えられるから,第三者の信頼は,夫婦であれば相互に許可をとることなく許されるだろうと定型的に期待される行為であるかどうかに向けられる。したがって,問題となる法律行為の種類,性質等を考慮する際にも,このような視点から検討すべきである。
 これを本件についてみると,教材本体だけで60万円近くの代金額に達するところ,通常の家庭で夫婦の一方が60万円近い取引をその他方に許可をとることなく許されるものとは考えにくい。そうすると,本件立替払契約は,その法律行為の性質からして,個々の夫婦がそれぞれの共同生活を営むうえにおいて通常必要な法律行為であるということはできない。
  ⑵ もっとも,民法761条は,夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果について規定する前提として,夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定していることから,この代理権を基礎として民法110条の適用により取引の第三者の保護を図ることも考えられる。しかし,当該代理権を基礎として民法110条所定の表見代理の成立を肯定することは,夫婦の財産的独立をそこなうおそれがあって相当ではない。そこで,第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときに限り,民法110条の趣旨を類推適用して,その第三者の保護を図るべきである(※1)
 本件では,Fにおいて本件立替払契約の締結が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由があるといえるような事情はないから,民法110条の趣旨を類推適用することはできない。
 3 したがって,本件立替払契約は,日常の家事に関する法律行為ではないから,FはAに対して本件立替払契約に基づく未払金の支払を請求することはできない。
第2 設問2
 GはAに対して,Bの負っている借入金の残債務が日常家事債務であると主張しているので,この主張の当否について検討すると,金銭の借入れは,月々の生活費をつなぐ程度の額であれば,使途目的にかかわらず,借入れが日常家事であるとされる可能性はある。しかし,本件では,50万円の借入れを行っているため,生活費をつなぐためにしては金額が大きすぎるといわざるを得ず,その性質上,通常の家庭で夫婦の一方が他方に許可をとることなく許されるものとは考えにくい。したがって,Bの負っている借入金の残債務は個々の夫婦がそれぞれの共同生活を営むうえにおいて通常必要な法律行為であるということはできない。
 また,Gにおいて借入金の借入れが当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由があると認められるような事情はない。
 よって,Bの負っている借入金の残債務は,日常の家事に関する法律行為ではないから,GはAに対して残債務の支払の請求をすることはできない。

以 上



(※1)「民法761条は、『夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによつて生じた債務について、連帯してその責に任ずる。』として、その明文上は、単に夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果、とくにその責任のみについて規定しているにすぎないけれども、同条は、その実質においては、さらに、右のような効果の生じる前提として、夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解するのが相当である。」「そして、民法761条にいう日常の家事に関する法律行為とは、個々の夫婦がそれぞれの共同生活を営むうえにおいて通常必要な法律行為を指すものであるから、その具体的な範囲は、個々の夫婦の社会的地位、職業、資産、収入等によつて異なり、また、その夫婦の共同生活の存する地域社会の慣習によつても異なるというべきであるが、他方、問題になる具体的な法律行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属するか否かを決するにあたつては、同条が夫婦の一方と取引関係に立つ第三者の保護を目的とする規定であることに鑑み、単にその法律行為をした夫婦の共同生活の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも充分に考慮して判断すべきである。」「しかしながら、その反面、夫婦の一方が右のような日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権の存在を基礎として広く一般的に民法110条所定の表見代理の成立を肯定することは、夫婦の財産的独立をそこなうおそれがあつて、相当でないから、夫婦の一方が他の一方に対しその他の何らかの代理権を授与していない以上、当該越権行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護をはかれば足りるものと解するのが相当である。」最判昭和44年12月18日民集23巻12号2476頁
(※2)「法761条本文に規定する『日常の家事に関する法律行為』によって発生した債務とは,婚姻共同体において家庭生活を営むために通常必要とされる法律行為に基づく債務を意味すると考えられるところ,日常の家事に関する法律行為に該当するかどうかを決するに当たっては,同条が夫婦の一方と取引関係に立つ第三者の保護を目的とする規定であることにかんがみれば,客観的に,当該法律行為の種類,性質等を十分に考慮して判断すべきであると考えられ,夫婦間における内部的な事情やその行為の具体的な目的のみを重視して,判断すべきものではないと解される。」千葉地判平成22年10月28日判タ1344号200頁



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