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2019-04-08(Mon)

【事例から民法を考える】事例㉑「別れても vs. 別れたら」

TKCの個人成績がついに明かされました。

大変微妙な成績です。

とりあえず調整後の得点は,

憲法 47.3点 628位
行政 56.7点 164位
民法 47.1点 582位
商法 55.1点 259位
民訴 56.5点 178位
刑法 50.0点 466位
刑訴 42.8点 858位
倒産 58.3点 71位

論文 413.8点 217位
短答 134.0点 121位
総合 858.2点 171位
(受験者数:1575人)

という感じです。

上三と刑訴がひどいということが如実に表れています。

っていうか選択が一番点とれるとは思いませんでしたね……。

とりあえず,残り約1か月ですが,頑張っていきたいと思います。

今回は,じれかん民法の事例21です。

≪問題≫

●事例
 A女,B男は,1985年に婚姻し,それ以来,Bの母C,父Dと,P県Q郡に所在する建物甲(D所有)で,同居してきた。Dは1950年から甲の一角で漬物製造販売業を営んでいたが,1975年頃からは,Dの体力が低下してきたため,Bがそれまで正社員として勤めていた会社を辞め,家業を手伝うようになった。Bの婚姻後はAも加わり,Dが販売,仕入などを担当し,AとBが無報酬で,漬物の漬け込み作業等の労力を要する仕事を担当してきた。A,B間には1990年に第1子Eが,1998年に第2子Fが出生した。1990年頃からDには認知症が現れ,夜間徘徊などが見られるようになり,Cが高齢で他人の面倒を見ることができない状態にあることもあって,Aは昼夜の別なくDに付き添って療養看護に努めた。Dは2000年に肺炎をきっかけに入院し,入院6か月後に死亡した。Dの入院中は,AはDの病院に毎日通い,Dの身の回りの世話を行った。C,DにはBの他にG,H,Iの子があったが,Bは,会社勤務時代に貯めてあった貯蓄を元手に,Dの療養看護にかかる費用を支払い,また,1990年以降は,甲の火災保険,公租公課を負担し,Dらの生活費の附則を補ってきた。1995年には,甲が老朽化し,またDの介護にも不便であったため,Bの負担により甲の補修改造が行われた。BがG,H,Iにこれらの負担の分担を求めることなく,G,H,IからDの療養看護の仕方や甲の補修等について異論が出されることもなかった。Dの死亡の際には,BがDの葬儀を主宰し,BがDを含むB方家の祭祀財産を承継した。
 この場合について,以下の設問に答えなさい(設問はそれぞれ独立の問いである)。

【設問1】 上記事例において,B及びAがDと同居し,家業を手伝い,療養看護に努め,生活費等を負担してきた事情は,Dの遺産からのBらの取り分を増やす方向に作用するか。Dに対する扶養義務の履行との関係はどのように考えられるか。

【設問2】 上記事例に続いて,次のような事柄が生じたとする。A,Bは引き続き甲でCと共に生活していたが,2003年にBが水難事故で死亡した。Bの葬儀は,Aが喪主として執り行い,親族からは異議はなかった。Aは引き続き甲にとどまり,Cと同居し,家事及びCの身辺の世話を行ったほか,B方家の毎年の盆の法事を主宰するなどした。ところが,2006年頃から,CとAとの折り合いが悪くなり,AとG,H,Iとの間で話し合いが持たれるなどしたが,結局Aが甲を出てCと別居することとなった。CはかわいがってきたE,Fと離れることを拒んだが,AはE,Fを連れて出た。また,この際,AはBの位牌を持ち出して,自らの仏壇を備え,また,将来的にはBの遺骨を引き取り自分達夫婦の墳墓を建立したいと考えたが,Cの理解が得られなかった。その後,AはJ男と知り合い,2008年にJと再婚した。Jは,親子としてE,Fの養育に関わっていきたいと希望している。
 この場合において,①AがCと円満な同居生活を送っている段階,②Aが甲を出てJと再婚する段階(この段階の基準時は2008年とする)のそれぞれで,Aの氏,AとCとの関係,B方家の祭祀承継,E・Fの養育の諸事情は法的にどのように扱われることになるか,根拠となる条文を示して,述べなさい。

【設問3】 上記事例に続いて,次のような事柄が生じたとする(【設問2】に記載された事柄は【設問3】では考慮しないこと)。
 A,Bは引き続き甲でCと共に生活していたが,2002年にAとBは協議により離婚し,Aが甲を出た。その際,B及びCはE及びFを手放したくないと強く訴えたため,E及びFは甲に残された。その後,2003年にBはゴルフ競技中に心臓発作で倒れ,死亡した。B死亡後,AはCに対してE及びFを引き取って育てたい旨を申し入れたが,Cとの話し合いはまとまらなかった。2006年,AはJと再婚した。A・Jは,E及びFを引き取って,育てていくことを希望している。
 この場合において,A,Bの離婚の効果を,【設問2】におけるBの死亡の場合と対比しつつ,簡潔に説明しなさい。
 また,この場合において,A,Bの離婚後のE及びFの親権者にBが指定されていたとき,Bの死亡後,2006年の時点で,A,C,Jとの関係においてE及びFの監護教育及び財産管理に関する法律関係はどのようになるか。


問題文が長いです。

見ればわかりますね。

≪答案≫
第1 設問1
 1 BはDの子であるから,BはDの相続人となる(民法887条1項)。Dが死亡したことにより相続が開始しているため(同法882条),BはDから,その相続分に応じて(同法900条),Dの権利義務を承継する(同法896条本文)。
 2 相続分の算定にあたっては,特別の寄与をした者がいる場合には,その寄与分を加えることとなる(同法904条の2第1項)。そこで,BとAがDと同居して家業を無報酬で手伝い,療養看護に努め,生活費等を負担してきた事情が寄与分の算定上考慮されるかどうかについて検討する。
 3⑴ まず,BによるDの家業への手伝いは,「被相続人の事業に関する労務の提供」である。Bは,Dが営む漬物製造販売業の工程のうち,漬物の漬け込みといった労力を要する仕事を担当し,家業の維持を図ることに貢献しているから「被相続人の財産の維持」を行っている。そして,Bは,これを無報酬で行うとともに,扶助義務として家業を手伝うことまでは通常要求されないものと考えられるから,「特別の寄与」である(※1)
 したがって,BがDの家業を手伝ったことは,Bの相続分の算定の上で寄与分として考慮される。
  ⑵ 次に,BがDの生活費等を負担したことはどうか。BはDの直系血族であり,BはG,H及びIとともにDに対して扶養義務を負う(同法877条1項)ことから問題となる。
 前提として,扶養義務者の1人が他の扶養義務者に対して本来負担すべきであった扶養料の求償を請求することは,扶養義務者間の公平の観点から認められる(※2)。そうすると,扶養による被相続人の財産維持等への貢献は,本来他の扶養義務者に対する求償の問題であり,相続の枠外で考慮されるべきであるようにも思われる。しかし,共同相続人と複数の扶養義務者は人的に重なることが多い上,寄与分も扶養義務者間の求償もそれらの者の間で公平を図るという共通の目的を有している。そうすると,過去の扶養料の負担についても,寄与分として考慮し,遺産分割の中で一度に清算することを認めるべきである。したがって,扶養義務者の1人が自己が負うべき扶養義務の範囲を超えて扶養を行った場合には,これを寄与分として相続分の算定上考慮することができる。
 そこで,BがDの生活費等を負担したことが寄与分として算定できるかどうかについて検討すると,生活費等の負担は「その他の方法」である。「被相続人の財産の維持」には,財産の価値の減少を防ぐことや,出費を減らすことも含まれるところ,Bが生活費等を負担することにより,火災保険の契約関係を維持し,公租公課の支払を怠ることを防いでいるため,これにあたる。そして,Dの子は,Bの他にもG,H及びIがいるため,これらの者が共同してDの扶助をする義務があるところ,Bのみが生活費等を負担しており,それを全て自らの貯蓄から切り崩して行っていたのであるから,自らが負うべき扶助義務の範囲を超えた「特別の寄与」があったというべきである。
 したがって,BがDの生活費等を負担したことは,Bの相続分の算定の上で寄与分として考慮される。
  ⑶ それでは,AによるDの家業への手伝い及び療養看護はどうか。AはDの相続人の地位にはなく,相続人であるBの配偶者にすぎないが,このようなBがした貢献もBの寄与分として主張することができるかどうかについて検討する。
 この点,配偶者の貢献は子の手足としてなされたものとして,子自身の貢献と一体のものとして,相続人たる子が配偶者の分も含めて寄与として主張することができるとする見解もありうるが,民法は夫婦別産制(762条1項)を採用している上,配偶者以外の者が寄与した場合には同様の考慮ができないため不均衡が生ずるため,妥当ではない。そもそも,相続分の算定において寄与分を考慮するのは,遺産分割手続の中で共同相続人間の公平を図るためのものである。そうすると,寄与者は共同相続人に限られるべきである。
 したがって,相続人たるBの配偶者であるAがDを療養看護したことをもって寄与分を主張することはできない。もっとも,ここでのAの貢献は,AとDとの間に黙示的な雇用契約(同法623条)の関係が成立しているものとみて,財産法上の規定に従って処理されるべきである。
第2 設問2
 1 ①AがCと円満な同居生活を送っている段階
 まず,Bの死亡によりAとBとの婚姻は解消されるが,Aは婚姻前の氏に復さず,婚姻中の氏を継続して称する(同法750条,751条1項参照)。
 AとBとの婚姻によって,Aとの関係でCとは姻族として親族となるが(同法725条3号),AB間の婚姻関係の解消によって直ちに影響されることはない(同法728条2項)。
 祭祀承継については,Bの死亡によって,Bを含む祭祀について,祭祀財産をAが承継する場合がありうる。Bの死亡によりA,B間の婚姻が解消されていても,AがB方家の祭祀財産の承継人となることは妨げられない。
 AB間の子E及びFとの関係では,Bが死亡することにより共同親権者(同法818条3項)の一方が欠ける結果,Aが単独親権者となる(同法818条1項)。AがCと同居しているときには,CによってE及びFの事実上の監護養育がされていることもあるが,Aの親権とCの事実上の監護養育との関係が問題かすることはほとんどない。
 2 ②Aが甲を出てJと再婚する段階
  ⑴ まず,Aは,いつでも婚姻前の氏に復することができる(同法751条1項)。また,Aは,B方の姻族との親族関係を終了させることもできる(同法728条2項)。
  ⑵ AがBの祖先の祭祀財産を承継した後に,復氏又は姻族関係の終了の意思表示を行ったときには,Aは祭祀承継の権利を失い,新たに祭祀承継すべき者は,関係者の協議により,又は家庭裁判所によって定められることになる(同法751条2項,769条)。
 ここで,AがBの位牌及び遺骨をB方家の墳墓及び仏壇から引き取り,自ら祭祀を主宰することを望んでいる。生存配偶者が原始的に亡夫の祭祀を主宰するとすれば,亡夫方の祖先の祭祀承継から亡夫の部分が欠けることになるため問題となる。しかし,夫の死亡後その生存配偶者が原始的にその祭祀を主宰することは,婚姻夫婦及びその子をもって家族関係形成の一つの原初形態としている民法の法意(739条1項,750条参照)及び慣習に照らし,法的にも承認されるものである(※3)。その場合,亡夫の遺骨が祭祀財産に属すべきものであることは条理上当然であるから,配偶者の遺骨の所有権は,通常の遺産相続によることなく,その祭祀を主宰する生存配偶者に原始的に帰属する。したがって,AがBの位牌及び遺骨をB方家の墳墓及び仏壇から引き取ることも許容される。
  ⑶ Aは,E及びFの親権者であるので,E及びFの養育について基本的に問題を生じない。もっとも,Aが婚姻前の氏に復することでAとE及びFとの氏が異なることになった場合には,15歳以上であるEは自ら,15歳未満であるFについては親権者であるAが,家庭裁判所の許可を得て届け出ることによって,氏をAと同じ氏にすることができる(同法791条1項,3項)。E及びFは,青年に達したときから1年以内に従前の氏に復することができる(同条4項)。
 ここで,Cが,AがE及びFを連れていくことを望まず,引渡しの紛争に発展する可能性もあるが,Aは親権者であるのに対しCは事実上監護養育に携わっていたにすぎないのであるから,Cが妨げることはできない。
  ⑷ AがJと再婚した際に,JとEとの関係は,何らの手続をとらない場合には,一親等の姻族となるにすぎず,その限りで扶養義務を負うにとどまる(同法877条2項)。JとEとが親子関係になるには,養子縁組をすることが考えられる。E及びFはいずれも未成年であるが,Aの直系卑属を養子とする場合であるから,家庭裁判所の許可は不要である(同法798条ただし書)。AがJの氏を称する場合には,E及びFと氏が異なることとなるため,家庭裁判所の許可を得て届け出ることによって氏をJと同じ氏とすることができる。
第3 設問3
 1 離婚の効果について
 AとBとは協議により離婚している(同法763条)ため,Aの氏は,死別の場合と原則と例外が入れ替わり,離婚によって婚姻前の氏に復し(同法767条1項),届出により,婚姻中の氏を称し続けることができる(同条2項)。
 Cとの姻族関係は,離婚により当然に終了し(同法728条1項),当事者の意思による選択の余地はない。
 離婚の際には,E及びFの親権者を父母の一方に定めなければならない(同法819条1項)。そのため,AとBとの間で親権者の指定で争いが生じることがあり,AとBとの協議によって親権者を定められないときには,裁判所が定めることになる(同条5項)。このときの基準は子の利益であり,離婚後に父母それぞれが用意できる養育環境,子の年齢,学校や友人との関係等の状態,子の意向,子の養育環境の継続性・安定性などを考慮して決せられる。
 2 離婚後に単独親権者が死亡した場合について
  ⑴ AとBとの協議離婚においては,E及びFの親権者がBと定められているが,その後にBは死亡している。そうすると,未成年者に対して親権を行う者がなくなっているから,後見が開始するものとも考えられる(同法838条1号)。しかし,E及びFには母Aがあり,Aは,Bの生前であれば,親権の変更により(同法819条6項)なお親権者となり得る立場にいた者である。そこで,この場合には,Aの存在を重視して,後見が開始するものとはせず,Aを親権者とするべきである。したがって,AはE及びFに対して親権者として監護養育(同法820条)及び財産管理(同法824条)を行うこととなる。
  ⑵ AとJとが再婚し,E及びFを引き取る場合には,15歳以上であるEは自らJと養子縁組を行い,15歳未満であるFは,Aの代諾によって(同法797条),FとJの養子縁組を行うことができる。いずれの場合にも,家庭裁判所の許可は不要である(同法798条ただし書)。

以 上


(※1)「寄与は『特別の』寄与でなければならない。そのためには,①共同相続人がその寄与に対する対価・補償を得ていないこと(無償性),②被相続人との身分関係において通常期待される程度を超えるものであることが必要である。夫婦間の協力扶助義務(752条)や,直系血族・兄弟姉妹間の扶助義務(877条1項)などの義務の履行としての行為は,義務の履行として通常期待される範囲を超えたものでなければ,特別の寄与として評価されない。また,③寄与行為が相当期間に及び,専従性がある場合(継続性・専従性)も,特別の寄与とされる可能性が高い。」前田陽一ほか『LEGAL QUEST民法Ⅵ親族・相続〔第3版〕』295頁
(※2)「扶養権利者が扶養義務者中の一人と同居することを好まず他の一人と同居して居るというには何かそれ相当の理由があるかも知れない例えば前者は扶養をすることはするが権利者に相当の扶養をしないとか或は更に進んで虐待の為め権利者は同居に堪えないとかいう場合がないではないかかる場合に後者が見兼ねて引取つて世話をしたとしたらどうであろうか(本件がそういう場合だというのではない或は結論としては原審の判断を相当ならしめる様な場合であるかも知れないがそれは当審では審理判断を為し得ないことだし原判文だけではわからない。)こういう場合にもなお前者は全面的に義務を免れ費用を出す義務もなく後者のみ全費用を負担しなければならないとするのは不当であろう若しそういうことになると冷淡な者は常に義務を免れ情の深い者が常に損をすることになる虞がある。」最判昭和26年2月13日民集5巻3号47頁
(※3)「夫の死亡後その生存配偶者が原始的にその祭祀を主宰することは,婚姻夫婦(及びその間の子)をもつて家族関係形成の一つの原初形態(いわゆる核家族)としているわが民法の法意(民法739条1項,750条,戸籍法6条,74条1号参照)及び近時のわが国の慣習(たとえば,婚姻により生家を出て新たに家族関係を形成したのち死亡した次,三男等の生存配偶者が原始的に亡夫の祭祀を主宰していることに多くその例がみられる。)に徴し,法的にも承認されて然るべきものと解され,その場合,亡夫の遺体ないし遺骨が右祭祀財産に属すべきものであることは条理上当然であるから,配偶者の遺体ないし遺骨の所有権(その実体は,祭祀のためにこれを排他的に支配,管理する権利)は,通常の遺産相続によることなく,その祭祀を主宰する生存配偶者に原始的に帰属し,次いでその子によて承継されていくべきものと解するのが相当である。」東京高判昭和62年10月8日家月40巻3号45頁



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