FC2ブログ
2019-04-05(Fri)

【基礎演習民事訴訟法】問題30「境界確定訴訟」

ついに基礎演習が解き終わります。

11日かかりましたね。

2週間かからなくてよかったです。

≪問題≫

 登記簿上,東京都三鷹市下連雀□丁目〇番△号の1の土地(以下,甲土地)と,東京都三鷹市下連雀□丁目〇番△号の2の土地(以下,乙土地)とは,隣接する関係にある。
 甲土地は,昭和47年以来Aが所有していたが,平成11年3月2日にAからBに譲渡された。平成18年6月7日にBは死亡し,Bの妻Cが甲土地を相続している。登記もそのとおり移転している。
 乙土地は,昭和47年から現在に至るまでFが所有し続けており登記簿上の名義人もFである。
 甲・乙両土地が存在する地面には,両土地の境界を示す石票として,ア・イ,ウ・エの石票の4つの石票があった(次頁図参照)。ウ・エの石票の方が古く,昭和47年以前から存在するものと考えられるが,ア・イの石票は昭和50年頃,AとFの教義により設定された石票である。
 昭和50年頃ア・イの石票が設置されて以来,Fはア・イの境界までを自己の土地と信じ,占有し続けてきた。
 ところが,CとFの間で,甲土地と乙土地の境界がア・イの線で画されるのか,それともウ・エの線で画されるのかにつき,争いが生じた(ア・イ・エ・ウ・アで画される土地を「本件係争地」とする)。
【図省略】
〔設問〕
 CがFを被告として,⑴甲・乙土地の境界がウ・エ線であることの確定を求める訴え,⑵本件係争地の土地所有権確認の訴えを提起した。
 それに対しFが,境界はア・イ線だと争った上,仮に境界がウ・エ線であるとしても,Fはア・イ線まで土地を時効取得したと主張した。
 裁判所は,甲・乙間の境界は不明だが,諸般の事情からオ・カの線で引くべきであると判断した場合,裁判所は⑴・⑵の訴えにつきいかなる判決を下すべきか。


締めくくりは境界確定。

書き方よく分かんないですね。

えんしゅう本にも境界確定の問題があった記憶がありますが,

どんな答案の書き方だったか全く記憶にないですね。

≪答案≫
第1 ⑴の訴えについて
 1⑴ Cが提起した甲・乙土地の境界の確定を求める訴え(以下「本件境界確定訴訟」という。)において,Cはその境界がウ・エ線であると主張しているのに対し,Fはウ・エ線の全部に接続する甲土地を時効取得したと主張しているため,Cに本件境界確定訴訟の当事者適格が認められるかどうかについて検討する。
  ⑵ 境界確定の訴えは,隣接する土地の境界が事実上不明なため争いがある場合に,裁判によって新たに土地を区分する公法上の境界を確定することを求める訴えであり(※1)(※2),判決の確定によって境界が確定するという点では形成の訴えであるが,形成原因が定められていないため,訴訟物たる形成原因を観念することができない形式的形成の訴えである(※3)。そうすると,公法上の境界を私人の意思によって定めることはできないのであるから,裁判所が合目的的な見地から裁量を行使することによって,境界を確定することが予定されている点で,その実質は非訟事件である(※4)
 当事者適格は,特定の訴訟物について,誰が当事者として訴訟を追行し,また,誰に対して本案訴訟をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるところ,このような訴えにおいては,相隣接する土地の各所有者が,境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として,当事者適格を有する(※5)
  ⑶ これを本件についてみると,Fがウ・エ線の全部に接続する甲土地の一部を時効取得したと主張しているが,甲土地の全部を時効取得しない限りは,CとFとは,境界に争いがある隣接土地の所有者同旨という関係にあることに変わりはない。したがって,Cは,本件境界確定訴訟の当事者適格を失わない(※6)(※7)
 2⑴ 次に,裁判所は,甲土地と乙土地との境界について,C及びFが主張する線とは別の線が境界であるとの心証を抱いている。そこで,当事者の申し立てていない別の線を境界として定めることができるかどうかが,処分権主義と関連して問題となる。
  ⑵ 処分権主義とは,訴訟の開始,審判の対象・範囲,訴訟の終了に関する決定を当事者の権能かつ責任とする建前をいい,訴訟外の私的自治を訴訟上に反映したものである。しかし,前記のように,境界確定の訴えは,私人が自由に処分することができない境界を対象とするから,そもそも訴訟物たる権利関係が存在せず,私的自治が妥当しない。したがって,私的自治を根拠とする処分権主義は,境界確定の訴えには妥当しない(※8)。そうすると,裁判所は,当事者が主張する境界に拘束されず,自らその境界を定めることができる(※9)
  ⑶ これを本件についてみると,甲・乙土地の境界について,Cはウ・エ線,Fはア・イ線をそれぞれ主張するが,裁判所はいずれの主張にも拘束されるものではなく,自らが心証を抱いたオ・カ線を境界として定めることができる。
第2 ⑵の訴えについて
 1 CがFに対して本件係争地の所有権の確認を求める訴えを提起しているが,これは私法上の権利関係をその対象とする確認の訴えである。したがって,⑴の訴えと異なり,処分権主義が妥当する。
 2 まず,Fが本件係争地を時効取得したとの抗弁が認められる場合には,裁判所は,請求棄却判決をすべきである。
 3 Fの時効取得の抗弁が認められない場合には,C及びFの所有権界は,甲・乙土地の境界と一致することとなるが,これが不明であることから,本件係争地についてのCの所有権の存在を証明責任を超えて確信することができないため,裁判所は,請求棄却判決をすべきである。なお,裁判所がオ・カ線を境界として設定したことをもって,Cの土地所有権もオ・カ線まで認めらるとも思えるが,Cの土地所有権が及ぶのはあくまで客観的に存在していた甲・乙土地の筆界であり,裁判所が新たに設定したオ・カ線とは異なるため,オ・カ線までXの土地所有権が認められるものではない。

以 上


(※1)「土地の境界の確定を求める訴えも,土地を区分する公法上の境界(筆界)の確定を求める訴訟であると解したうえで形式的形成訴訟に属すると考えるのが判例である(最判昭和43・2・22民集22巻2号270頁等)。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』38頁
(※2)「境界確定の訴は、隣接する土地の境界が事実上不明なため争いがある場合に、裁判によつて新たにその境界を確定することを求める訴であつて、土地所有権の範囲の確認を目的とするものではない。」最判昭和43年2月22日民集22巻2号270頁
(※3)「判決の確定によって法律関係が変動するという点では形成の訴えと共通するが,形成原因が具体的に定められておらず,訴訟物たる形成原因を観念することができないためにどのような判決を下すべきかが裁判官の健全な裁量に委ねられるという点で形成の訴えと異なる訴訟類型を『形式的形成訴訟』という。」前掲三木ほか38頁
(※4)「このような訴訟類型では,裁判所は事実に法を適用するというよりは,合目的的な見地から裁量を行使することになるから,形式的形成訴訟は非訟事件であるとされる。」前掲三木ほか38頁
(※5)「右訴えは、もとより土地所有権確認の訴えとその性質を異にするが、その当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となるのである。」最判平成7年3月7日民集49巻3号919頁
(※6)「右の訴えにおいて、甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。」前掲最判平成7年3月7日
(※7)「本件訴訟中の境界確定を求める訴えは、上告人が伊野町字長畑四〇九一番の土地を所有するとして、これに隣接する同所四九二番の土地の所有者である被上告人に対し、右両土地の境界の確定を求めて提起したものであるが、原審の適法に確定するところによれば、上告人の所有であった同所四〇九一番の土地全部が被上告人により時効取得された結果、上告人は右土地全部につき所有権を喪失したというのであるから、上告人は右の境界確定を求める訴えについての原告適格を失ったというべきであって、右訴えは不適法な訴えとして却下を免れない。」最判平成7年7月18日集民176号491頁
(※8)「形式的形成の訴えの訴訟上の特色としては,処分権主義および弁論主義が妥当しないことが挙げられる。処分権主義および弁論主義は,訴訟物たる権利関係について私的自治の原則が妥当することにその根拠をもつが,この訴えの場合には,訴訟物たる権利関係が存在しないので,2つの原則が妥当しない。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』163頁
(※9)「境界確定の訴えを例にとれば,原告は,隣接する土地の境界線を定めることを申し立てれば足り,確定を求める特定の境界線を示す必要はない。かりに原告が特定の境界線を示したとしても,裁判所は,その境界線を越えた境界線を定めることも許されるし,控訴審における不利益変更禁止の原則も妥当しない。」前掲伊藤163頁



スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
訪問者数
カレンダー
08 | 2019/09 | 10
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード