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2019-04-04(Thu)

【基礎演習民事訴訟法】問題26「不利益変更禁止の原則」

忘れてたんですが,

別に忘れてはないんですが,

法学セミナー4月号のモニターの感想の締め切りが,

明々後日に迫っているんですよね。

迫っているんですが,全然読んでないという問題が生じています。

モニター1発目から仕事ができない奴みたいになるのもアレなんで,

早いところ基礎演習を終わらせて,法セミを読む時間を作らないといけません。

そんなわけで,今回は,26問目です。

≪問題≫

 Xは,Yに対して,貸金1,000万円が未払いであると主張して,その支払を求める訴えを提起した。Yは,Xの貸金返還請求権の成立を争いながら,予備的にXに対する反対債権(400万円の金銭債権)を相殺の抗弁に供した。
 第1審では,Xの貸金債権とYの反対債権の両債権の成立を認め,Yの予備的相殺の抗弁を理由ありとして,600万円の支払を命じる判決が出された。
 しかし,その後Xだけが,第1審判決を不服として控訴期間内に控訴し,Yは控訴も附帯控訴もしなかった。
〔設問〕
1.この第1審判決に対し,Yは,控訴せずに,判決で命じられた金600万円を任意にXに弁済した,とする。控訴審でYの弁済の主張が認められるとき,控訴裁判所は,本件控訴をどのように審理・判決すべきであろうか。
2.控訴審で,相殺以前にYの反対債権が不存在との判断に至り,またXの訴求債権も不存在との判断に至った場合,控訴裁判所は,本件控訴をどのように審理・判決すべきであろうか。


引き続き控訴です。

不利益変更のところですね。

不利益に変更するなよっていうことが言えればいいんだと思います(小並感)

≪答案≫
第1 設問1
 1 第1審において,XのYに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求権(以下「本件訴求債権」という。)は,600万円の限度で認容されている(以下,この判決を「本件判決」という。)。その後,YがXに対して600万円を任意に弁済しているため,第1審において認容された額に対応する本件訴求債権が消滅している。そうすると,本件訴求債権の額は,本件判決で認容された額よりも少ない,多くとも400万円しか存在しないこととなるから,控訴審は,第1審判決を取り消し,変更するべきかどうかについて検討する。
 2 控訴裁判所は,「不服申立ての限度においてのみ」,第1審判決を変更することができるとされているから(同法304条),相手方の控訴又は附帯控訴がない限り,控訴人の不利に第1審判決の取消し又は変更をすることはできない(以下「不利益変更禁止原則」という。)(※1)
 3 これを本件についてみると,本件判決に対して控訴を提起しているのはXのみであるところ,Xが不服とするのは,本件判決のうち,本件訴求債権中400万円が不存在であるとされた部分である。そうすると,Xが不服申立てをしたのは,当該400万円の範囲に限られるのであるから,裁判所は,この範囲を超えた600万円部分について判断することはできない。したがって,裁判所は,600万円部分について判断し得ない以上,本件訴求債権が600万円を下回ってしか存在しないとの認定をすることはできない。
 よって,控訴審としては,控訴棄却判決(同法302条1項)をすべきである。
第2 設問2
 1 控訴審裁判所は,本件訴求債権が不存在であるとの心証に達しているから,本件判決を取り消して,請求棄却判決を出すべきかどうかについて検討する。
 2 まず,Xが控訴を提起したことによってどの範囲で不服申立てがされているかが問題となる。
 この点,相殺の抗弁が容れられて訴求額の全額が認容されなかった原告が控訴したときには,その不服申し立ての範囲は,反対債権の存在が認められた部分に限られるとする見解がある。この見解によれば,控訴審裁判所が審理・判断することができるのは,本件反対債権の存否にとどまり,これが存在すると認められれば控訴を棄却し,これが存在しないのであれば,本件判決を取り消して,本件訴求債権の全額に係る請求を認容する判決に変更することとなる。しかし,この見解による場合には,控訴審裁判所が本件訴求債権が存在しないとの心証に達しているにもかかわらず,これと真逆の事実認定をしなければならない点で不合理である。
 不利益変更禁止原則は,あくまで,既判力を生じる判断部分において,原判決より控訴審判決の判断内容が不利益になってはならないとするものであって,同原則から審理範囲が反対債権の存否に限られるものではない。また,相殺によって消滅した部分の訴求債権が相殺以前には存在したという原判決の判断部分には既判力が生じないため,その判断自体が不利益変更禁止原則の対象となるものではない。したがって,この場合の控訴人の不利益の範囲,すなわち相殺によって消滅した部分については,もともとの訴求債権の存否も審理対象から外れるものではない。
 これを本件についてみると,本件訴求債権のうち本件反対債権によって消滅した400万円部分が本件反対債権との相殺によって消滅する以前は存在したとの判断に既判力は生じないのであるから,控訴審裁判所はこの点についても判断することができる。
 3 その結果,控訴審裁判所は,本件訴求債権がもともと不存在であるとの事実を認定した場合には,本件反対債権について判断するまでもなく請求棄却となるはずであるが,そのように判断すると,本件判決によって本件反対債権の不存在についての既判力を喪失することとなり,控訴人にとって不利益な変更となる。
 したがって,控訴審裁判所は,控訴棄却の判決をすべきである。
以 上

(※1)「控訴裁判所は,不服申立ての限度でのみ,第1審判決の取消しおよび変更をすることができる(304条)。控訴裁判所は,不服申立ての範囲を超えて控訴人に有利に第1審判決の取消しまたは変更をすることができず,また,相手方の控訴または附帯控訴がないかぎり,控訴人の不利に第1審判決の取消しまたは変更をすることはできないということである。前者を『利益変更禁止の原則』といい,後者を「不利益変更禁止の原則」という。」前掲三木ほか606頁



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