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2019-04-03(Wed)

【基礎演習民事訴訟法】問題23「補助参加人の権限と判決効・訴訟告知の効力」

ローライブラリーに昨年の短答の解説が掲載されたようなので,

昨年の短答を解かないといけないですね。

基礎演習を終えたら短答を始めないと間に合わないですよね。

あと1か月で,短答にどれくらい振るべきなのか悩みどころです。

短答弱者としては残り1か月短答に全振りしたいところですが,

まだ憲法民法商法の論文の演習を残していることに鑑みると,

それは無謀であり,浅はかであるように思えます。

なんでこんなことになってしまったのか……

≪問題≫

 Zは,甲市内に自分が所有しかつ居住する家屋の周囲にコンクリートブロック塀を設けることにし,A建設会社に工事を請け負わせて,塀は完成した。それから5年後,Zは,転勤のため転居する必要が生じ,その家屋をそっくりYに賃貸して,乙市内に移り住んだ。それから数年後に,甲市で地震があり,甲市内は震度5を記録した。その地震により,Yの居住する家屋の周囲のブロック塀が倒壊し,その横をたまたま通りかかったXがその下敷きになって重傷を負い,身体に重大な後遺症を負った。そこで,Xは,Yを相手に,ブロック塀は民法717条1項の土地の工作物に当たり,その設置または保存に瑕疵があったとして,甲地方裁判所に損害賠償を求める訴えを提起した。
 訴訟において,Yは,ブロック塀の設置または保存に瑕疵があったことを争うとともに,かりに瑕疵が認められるとしても自分は必要な注意義務を尽くしていたから損害賠償の責任を負わないと主張した。Xは,かりにYが主張するとおり,Yが必要な注意義務を尽くしていたならば,民法717条1項ただし書により,Yは損害賠償責任を免れ,むしろZが責任を負う可能性があることから,XY間の訴訟に利害関係のあるZに訴訟告知をした。これに対して,Zは,XY間の本件訴訟にX側に補助参加した。Zの補助参加後,本件訴訟の審理が進み,結局,裁判所は,ブロック塀の設置または保存に瑕疵があったことは認めたものの,Yは必要な注意義務を尽くしていたとして,Xの請求を棄却する判決を言い渡した。
〔設問〕
1.Xの請求を棄却する判決に対して,補助参加人のZは,自己の名において控訴を提起することができるか。もし控訴ができるなら,控訴期間はいつから進行するか。
2.Xの請求を棄却する判決がそのまま確定したとする。そのあとで,XがZを被告として民法717条1項ただし書に基づいて損害賠償請求の訴えを提起した場合,Zは,Yが必要な注意義務を尽くしていなかったから損害賠償責任はYが負うべきで,自分は負わないと争うことはできるか。
3.かりにXの訴訟告知に対してZがX・Yのいずれの側にも補助参加をしなかったとする。XY間の訴訟が,Yが必要な注意義務を尽くしたことを理由にXの請求棄却判決で終結し,そのまま判決が確定したあとでXがZに対して損害賠償請求の訴えを提起した場合,ZはXに対して,Yが必要な注意義務を尽くしていなかったから損害賠償責任はYが負うべきで,自分は負わないと争うことができるか。


参加的効力って一番よく分からないですよね。

予備論文の民訴でここらへんを聞かれたような記憶がありますが,

さっぱり分からず何も書けませんでしたね(ドヤ顔)

≪答案≫
第1 設問1
 1 Zは,XのYに対する占有者の工作物責任に基づく損害賠償請求訴訟(以下「本件前訴」という。)に補助参加(民訴法42条)をしているが,前提として,Zが補助参加の利益(同法44条1項)を有しているかどうかについて検討する。
 補助参加の利益は,「訴訟の結果について利害関係を有する」場合に認められる(同法42条)。ここで,「訴訟の結果」とは判決理由中の判断を含み,「利害関係」とは専ら訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合であって,法律上の利害関係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう。
 本件前訴では,ブロック塀の設置または保存の瑕疵がなかったとしてYが勝訴すれば,ZはXからの損害賠償請求を免れることができるから,私法上の法的地位に影響を及ぼすおそれがあり,訴訟の結果について法律上の利害関係を有する。したがって,Zには,本件訴訟に補助参加する利益が認められる。
 2 補助参加人Zは,「上訴の提起」をすることができる(同法45条1項本文)。もっとも,補助参加人の上訴の提起は,補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができない場合(同項ただし書),又は被参加人の訴訟行為と抵触する場合(同条2項)にはすることができない。これは,補助参加人は,自ら固有の請求を持たずに,当事者間の訴訟に参加する従たる当事者に過ぎないため(※1),被参加人のできない行為についてまで独自の地位を主張して訴訟行為をすることを制限したものである。そうすると,既に被参加人において上訴期間が経過している場合には,被参加人はもはや上訴の提起をすることができないのであるから,補助参加人が上訴の提起をすることができるのは,被参加人の上訴期間に限られる(※2)(※3)(※4)(※5)
 これを本件についてみると,Zは自己の名において控訴を提起することができるが,その控訴期間は,Xの控訴期間が進行するとき,すなわち,Xが判決書の送達を受けた日(同法285条)からである。
第2 設問2
 1 XのZに対する所有者の工作物責任に基づく損害賠償請求訴訟(以下「本件後訴」という。)において,本件前訴に補助参加したZが,本件前訴において認定されたYが必要な注意義務を尽くしていたとの事実を争うことは,民訴法46条柱書所定の裁判の効力(以下「参加的効力」という。)により遮断されないか。
 2 補助参加の制度は,補助参加人が,被参加人を勝訴させることにより自己の利益を守るため,被参加人に協力して訴訟を追行することを認めた制度である。そうすると,補助参加人が被参加人の訴訟の追行に現実に協力し,または,これに協力し得たにもかかわらず,被参加人が敗訴の確定判決を受けるに至ったときには,その敗訴を責任を補助参加人にも分担させるのが衡平にかなうというべきである。したがって,参加的効力とは,既判力とは異なる,判決確定後補助参加人が被参加者に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力である。また,参加的効力は,判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけでなく,その前提として判決の理由中でなされた,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などの事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断にも及ぶ(※6)(※7)
 3 これを本件についてみると,Zは本件前訴においてXを被参加者として補助参加をし,共同して訴訟追行をしたにもかかわらず,X敗訴の判決が出されているから,その責任を分担することになる。そして,本件前訴の訴訟物は占有者の工作物責任に基づく損害賠償請求権であって,Yが必要な注意義務を尽くしたときには,当該請求権行使の障害となる抗弁事実となるのであるから,Yが必要な注意義務を尽くしていたことは,本件前訴の判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定であるということができる。したがって,当該認定については,本件前訴における参加的効力が及ぶため,参加的効力を受けるZは,本件後訴において,この点を争うことができない。
 よって,Zは,Yが必要な注意義務を尽くしていなかったから損害賠償責任はYが負うべきで,自分は負わないと争うことはできない。
第3 設問3
 1 本件前訴において,XがZに対して訴訟告知(民訴法53条1項)をしているにもかかわらず,ZはX及びYのいずれにも補助参加をしていない。そして,Zは,本件後訴において,Yが必要な注意義務を尽くしていないことを主張しようとしているが,これは民訴法53条4項所定の参加的効力により遮断されないか。
 2 民訴法53条4項は同法46条を準用しているから,参加的効力が及ぶ範囲は,同法46条柱書所定の参加的効力と同様に解釈されるべきである。そうすると,被告知者に補助参加の利益が認められる以上は,その者が参加しなかった場合であっても,告知者の敗訴の責任を分担すべきであるから,この者にも参加的効力が及ぶ(※8)(※9)(※10)(※11)
 3 そうすると,前記のように,Zは補助参加の利益を有しているのであるから,参加的効力が及ぶ。したがって,Zは,Yが必要な注意義務を尽くしていなかったから損害賠償責任はYが負うべきで,自分は負わないと争うことができない。

以 上


(※1)「補助参加人は自らの固有の請求を持たない。したがって,判決の名宛人となることはない。その意味で,補助参加人は真の意味での当事者ではなく,従たる当事者と呼ばれることもある。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』563頁
(※2)「補助参加人は、独立して上訴の提起その他一切の訴訟行為をなしうるが、補助参加の性質上、当該訴訟状態に照らし被参加人のなしえないような行為はもはやできないものであるから、被参加人(被告・控訴人・上告人)のために定められた控訴申立期間内に限つて控訴の申立をなしうるものと解するを相当とする……。所論は、これと異る見解を前提とするものであつて、採用できない。」最判昭和37年1月19日民集16巻1号106頁
(※3)「判決が主たる当事者および補助参加人されざれに送達されることを前提として,補助参加人独自の上訴期間を認めるかどうかについては,考え方の対立がある。しかし,訴訟物たる権利についての訴訟追行権が主たる当事者に帰属していることを考えれば,主たる当事者が上訴権を失っているにもかかわらず,補助参加人独自の上訴期間にもとづいて上訴を認めるのは行き過ぎである。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』642頁
(※4)「もともと請求は,被参加人と相手方との間のものであって,これを前提に非当事者として介入・干渉しているにとどまる補助参加制度においては,補助参加人の独立性も,基本的前提である従属性を掘り崩さない限度で認められるにすぎないはずです。被参加人ができなくなった上訴を補助参加人に認める必要はないというべきでしょう。被参加人との間に協調関係が存在しないことなどから被参加人に対する判決送達時期を知り得ないとしても,自ら独自に判決の送達を受けている以上,速やかに裁判所に対して被参加人に対する送達時期を確認した上で,前記のような反対説が危惧する場合であればなおさら被参加人の上訴期間を頼みにせずに,直ちに自ら上訴を提起すべきであると考えられます。このようなところから,補助参加人の上訴を被参加人の上訴期間内に限定する通説・判例……が支持されます。」藤田広美『解析民事訴訟〔第2版〕』477頁
(※5)補助参加とは異なり,共同訴訟的補助参加の場合には,上訴期間を補助参加人独自に計算することを前提としたものとして,最決平成28年2月26日判タ1422号66頁があります。この点について,ジュリ1505号143頁によれば,「補助参加人に判決効が及ぶ場合には,通常の補助参加とは異なり共同訴訟的補助参加として扱うことが判例(最判昭和40・6・24民集19巻4号1001頁,最判昭和45・1・22民集24巻1号1頁など)・学説上認められており,補助参加人の従属的な性格は否定され,必要的共同訴訟人と同様の規律(民訴40条)が妥当するとされている。このことから,共同訴訟的補助参加に該当する場合には,補助参加人の上訴期間は被参加人のそれとは別に計算されるとするのが通説的見解である」とされています。
(※6)「民訴法70条[現行民訴法46条柱書]の定める判決の補助参加人に対する効力の性質およびその効力の及ぶ客観的範囲について考えるに、この効力は、いわゆる既判力ではなく、それとは異なる特殊な効力、すなわち、判決の確定後補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力であつて、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決の理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶものと解するのが相当である。けだし、補助参加の制度は、他人間に係属する訴訟の結果について利害関係を有する第三者、すなわち、補助参加人が、その訴訟の当事者の一方、すなわち、被参加人を勝訴させることにより自己の利益を守るため、被参加人に協力して訴訟を追行することを認めた制度であるから、補助参加人が被参加人の訴訟の追行に現実に協力し、または、これに協力しえたにもかかわらず、被参加人が敗訴の確定判決を受けるに至つたときには、その敗訴の責任はあらゆる点で補助参加人にも分担させるのが衡平にかなうというべきであるし、また、民訴法70条が判決の補助参加人に対する効力につき種々の制約を付しており、同法78条[現行民訴法53条]が単に訴訟告知を受けたにすぎない者についても右と同一の効力の発生を認めていることからすれば、民訴法70条は補助参加人につき既判力とは異なる特殊な効力の生じることを定めたものと解するのが合理的であるからである。」最判昭和45年10月22日民集24巻11号1583頁
(※7)「旧民訴法70条[現行民訴法46条柱書]所定の効力は,判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく,その前提として判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶものであるが……,この判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうものであって,これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではないと解される。けだし,ここでいう判決の理由とは,判決の主文に掲げる結論を導き出した判断過程を明らかにする部分をいい,これは主要事実に係る認定と法律判断などをもって必要にして十分なものと解されるからである。そして,その他,旧民訴法70条所定の効力が,判決の結論に影響のない傍論において示された事実の認定や法律判断に及ぶものと解すべき理由はない。」最判平成14年1月22日集民205号93頁
(※8)「旧民訴法78条[現行民訴法53条4項],70条[現行民訴法46条柱書]の規定により裁判が訴訟告知を受けたが参加しなかった者に対しても効力を有するのは,訴訟告知を受けた者が同法64条[現行民訴法42条]にいう訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られるところ,ここにいう法律上の利害関係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される」前掲最判平成14年1月22日
(※9)受験生の多くが使っているような民訴の教科書を一通り見てみたところ,判例のように補助参加の利益があれば参加的効力を及ぼすことができるとする見解を採っているものは見当たりませんでした。したがって,ここのところは学説にのって,補助参加の利益だけでは足りず,実体法上のより強い結びつきを要求する立場を採ってもいいかもしれません。その場合には,補助参加の参加的効力の場合の理由づけ(第2の2の部分)で「補助参加人が被参加人の訴訟の追行に現実に協力し,または,これに協力し得たにもかかわらず」の後半部分は削る必要がある気がします。
(※10)「伝統的通説は補助参加の利益で足りるという立場を採用しているが,有力説は,これに加えて,被告知者による告知者に対する協力が正当に期待できることが必要であると説く。参加的効力の根拠は,実際に訴訟追行した参加人も被参加人とともに敗訴の責任を負担するのが衡平であるという点に求められるのであるから,実際に参加していない被告知者に参加的効力を及ぼすためには,それを正当化するさらなる理由が必要であるというのである。そして,有力説は,被告知者による告知者に対する協力が正当に期待できる場合とは,告知者が敗訴した場合,それを直接の原因として告知者が被告知者に対して求償ないし賠償を求め得るような実体関係がある場合である,と論じる。告知者が敗訴した場合に告知者の求償に応じなければならないような者は,告知者勝訴に向けて協力すべきであると考えられるからである。たとえば,債権者から保証債務の履行を求められた保証人による訴訟告知を受けた主債務者は,保証人敗訴の際は求償に応じなければならないから,参加して告知者に協力すべきであり,それをしなかった以上,参加的効力が生じてもやむを得ないといいやすいであろう。なお,判例は伝統的な通説に親和的な判断を示したことがあるが……,傍論的な判断であり,その立場が明確になっているとはいえない。」前掲三木ほか572頁
(※11)学説による場合の論証((※10)を参照)「この点,判例は,補助参加の利益を有する者であれば,民訴法53条4項所定の効力を及ぼすことができるとしている。しかし,補助参加における参加的効力と異なり,訴訟告知における参加的効力は,実際に参加をしていない被告知者にこれを及ぼすものであるから,被告知者による告知者に対する協力が正当な期待できる場合でない限り,参加的効力を及ぼすことを正当化することはできない。そこで,告知者が敗訴した場合,それを直接の原因として告知者が被告知者に対して求償ないし賠償を求め得るような実体関係がある場合に限って,被告知者による告知者に対する協力が正当に期待できる場合であるということができ,参加的効力を及ぼすことができる。」



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