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2019-04-03(Wed)

【基礎演習民事訴訟法】問題22「補助参加の利益」

朝起きれない日々が続きます。

最近また朝寒いですよね???

そりゃ布団から出れないっすわ。

≪問題≫

 Aは,ある海沿いの岸壁に腰をかけて釣りをしていた。そこに,Bが運転する自動車が突っ込んできて,Aは跳ね飛ばされた。Aは救急車で救急病院に搬送され,手術を受けたが,翌日死亡した。他方,Bはそのまま車ごと海に転落し,水死した。
 そこで,Aの遺族である妻Cは,Bの遺族である子Dを相手方に,不法行為に基づく損害賠償請求権として1億円の支払を求めて訴えを提起した(甲訴訟)。その訴訟手続において,Dは,Bの過失を認めたが,Aが死亡したことについては,Aの搬送されたE病院における手術に過誤があったためであり,適切な措置がとられていればAは救命されていたはずであるとして,Aの死亡に起因する損害については,賠償義務を争った。このような状況を知って,E病院を経営するE医療法人は,Aの手術について過誤はなく,Aが死亡したのはBの加害に基づくものであると主張して,原告Cを補助するため参加の申出をした。
 他方,Bは生前,F社およびG社との間で生命保険契約を締結していた。そこで,Dは,F社を被告として,死亡保険金5,000万円の支払を求めて訴えを提起した(乙訴訟)。それに対し,F社は,Bの死亡は自殺であると主張し,保険契約者の自殺について保険会社は免責される旨の契約上の条項を援用して,保険金の支払義務を争った。このような状況を知って,将来同様に保険金の支払請求訴訟をDから起こされることを懸念するG社は,やはり事故が自殺による旨を主張して,被告F社を補助するため参加の申出をした。
〔設問〕
1.甲訴訟において,E医療法人の補助参加の申出について,被告Dが異議を述べた。裁判所はどのように判断すべきか。
2.乙訴訟において,G社の補助参加の申出について,原告Dが異議を述べた。裁判所はどのように判断すべきか。


補助参加です。

事実上の利害関係ではダメっていうところと,

法的利益に対する事実上の影響で足りるっていうところが,

毎回混ざりそうになってよろしくないです。

≪答案≫
第1 設問1
 1 CのDに対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟(以下「甲訴訟」という。)に,Eが補助参加の申出をしている(民訴法42条)のに対して,Dが異議を述べている(同法44条1項)から,裁判所は,Eの「補助参加の許否」,すなわちEに補助参加の利益があるかどうかについて判断する必要がある。そこで,Eに補助参加の利益が認められるかどうかについて検討する。
 2 補助参加の利益は,「訴訟の結果について利害関係を有する」といえる場合に認められる(※1)
  ⑴ そもそも補助参加は当事者の一方を勝訴させることを通じて自らの法的利益を保護する機会を補助参加人に与えることを目的としてされるものである(※2)。そうすると,法的利益に対する影響は,判決主文中の判断であろうと判決理由中の判断であろうと違いがないから,「訴訟の結果」とは判決理由中の判断も含まれる(※3)(※4)
  ⑵ 次に「利害関係」とは,専ら訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られ,単に事実上の利害関係を有するにとどまる場合は補助参加は許されない。そして,法律上の利害関係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう(※5)(※6)(※7)
 3 これを本件についてみると,Dの主張によれば,Bが自動車でAに衝突した事故(以下「本件交通事故」という。)についてBの過失があったことは認められるが,Aの死亡結果はEが適切な措置を採らなかった事故(以下「本件医療事故」という。)が介在したために生じたものかどうかが争われている。本件交通事故がAの死亡を招来せしめるものであるとすれば,本件交通事故と本件医療行為のいずれもがAの死亡という不可分の一個の結果を招来し,この結果について相当因果関係を有する関係にある。したがって,本件交通事故における運転行為と本件医療行為における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たる。そうすると,この場合に,DとEは,Aの被った損害の全額について連帯して責任を負うこととなる(※8)
 ここで,Eが補助参加をするに当たっては,本件医療事故が単独でAの死亡を招来させたというDの主張を排斥するために,①Aの死亡についてBの行為が寄与しているとの主張か,②Eには過誤がなかったとの主張をすることが考えられる。
 まず①の場合についてみると,CD間の訴訟においては,D自身の損害賠償義務について争われているところ,Dが責に任ずるべき損害額の範囲は,Eの医療過誤の有無やそれのAの死亡結果に対する影響度などを加味して決定されるから,Eの医療過誤についての事実認定が判決理由中においてされることが想定される。このとき,甲訴訟の結果いかんによってEのCに対する損害賠償責任に消長をきたすものではないが,甲訴訟においてDのCに対する損害賠償責任が認められれば,EはCに対しDと各自損害を賠償すれば足りることとなり,自ら損害を賠償したときにはDに対し求償し得ることになるのであるから,甲訴訟の判決がEの私法上の法的地位に影響を及ぼすおそれがある場合にあたる。したがって,Eは,専ら訴訟の結果につき法律上の利害関係を有するということができるから,Eには補助参加の利益が認められる。よって,この場合には,Eは甲訴訟に補助参加をすることができる(※9)
 次に②の場合についてみると,原告Cとしては,①の認定さえ得られればDに対する全部勝訴判決を得られることができるのであり,②の認定は甲訴訟との関係では傍論となる部分である。そうすると,そもそも判決理由中にも現れない可能性があるため,補助参加の利益が認められない。
第2 設問2
 DのFに対する保険契約に基づく保険金支払請求訴訟(以下「乙訴訟」という。)において,Dの請求が認められるか否かは,Bの死亡が自殺によるものであるか否かによって決せられることとなる。したがって,乙訴訟の判決理由中の判断には,Bが自殺によって死亡したのか偶然の事故によって死亡したのかが示されることとなる。しかし,DとFとの間の保険契約による法律関係と,DとGとの間の保険契約による法律関係とは,ともにBにつき死亡を原因とする保険金を給付する同種の保険契約関係というにすぎないものであり,相互に損害を補填し合う関係にある旨の主張立証はないから,何ら法的関連や関係がない。乙訴訟において,Bに生じた本件交通事故が偶然な外来の事故に当たるか否かが決せられたとしても,GとDとの間で,本件交通事故によるBの死亡についての保険金支払い義務の存否に付き法律上何ら影響するものではなく,Gの私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に何ら影響することはなく,ただ,同一の争点に対する判断として参考にされ,事実上影響することがありうるというにすぎない。したがって,Gには法律上の利害関係があるということはできないため,補助参加の利益が認められない。したがって,Gは乙訴訟に補助参加することができない(※10)

以 上


(※1)「補助参加の利益は,『訴訟の結果について』『利害関係を有する』場合に認められる(民訴法42条)。補助参加の利益の判断は,判決における『何に関する判断』が補助参加人の『いかなる利害関係』に『どの程度影響するか』という,3点に分けて考察することができる。すなわち,⑴ 『訴訟の結果』の意義,⑵ 『利害関係』の内容及び⑶ その程度が問題となる。」最判解民事篇平成13年度(上)63頁
(※2)「補助参加の趣旨は,当事者の一方を勝訴させることを通じて自らの法的利益を保護する機会を補助参加人に与えることである。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第3版〕』558頁
(※3)「補助参加人自身の法律上の地位が争われる場合に事実上不利な影響が生じるという点では,判決主文中の判断であろうと理由中の判断であろうと違いはないはずであり,また,補助参加人を当事者とする後訴の審理の内容を考えると,事実上不利な影響を生じるのは,判決主文の判断ではなく,理由中の判断以外に考えられない。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』639頁
(※4)「『訴訟の結果』には,訴訟物たる権利又は法律関係のみならず判決理由中の判断も含まれ,判決理由中の判断に付き法律上の利害関係が認められる場合にも補助参加の利益を認めるべきであるとする説であり,近時有力に主張されるようになり,第1説と逆転して多数説を形成するに至ったとも評価されている。その根拠に関しては,次の2つの見解がある。」「参加人の具体的な権利義務への影響から考える見解……は,補助参加の対象となった訴訟の判決が,補助参加人が当事者となった後訴に対して影響が生じるという点では,判決主文における判断と判決理由中の判断に違いはないとして,判決理由中の判断について利害関係を有する者についても利害関係があるとする。」「いかなる場合に判決理由中の判断に対する法律上の利害関係があるとするかについては,論者によって多少の違いがある。ⅰ 井上治典教授は,一方当事者の敗訴した理由によって,第三者が一定の請求を受け若しくは訴えられる蓋然性があり,第三者を当事者とする第2の訴訟で,当該第1の訴訟の判決理由中の判断が参考にされて第三者に不利益な判断がなされる蓋然性がある場合であるとする。ⅱ 新堂幸司教授,高橋宏志教授は,その訴訟の主要な争点についての判断を前提にして参加人の権利義務その他法的地位が決められる関係にあることから,被参加人の受ける判決の判断によって参加人の法的地位が事実上不利な影響を受けるおそれがある関係がある場合であるとする。ⅲ 飯倉一郎教授は,訴訟物及び請求原因について利害関係を有する場合であるとする。ⅳ 奈良次郎元判事は,原告又は被告の主張に従えば,参加人の法的地位に変動,影響を生じ,これに伴う将来の法的紛争の顕在化が十分予想されることから,その法的関係を未然に明確化し紛争を予防又は法的に簡明化することが妥当な場合であるとする。」「当該手続内における手続保障から考える立場[は,]補助参加する訴訟の後訴への影響とは無関係に,当該手続内における補助参加の利益を考える立場である。」「この立場に立つ井上治典教授は,結果志向から過程志向へ支店を転換すべきであり,参加の利益にとってより本質的なファクターは,当該訴訟の後訴への影響ではなく,その訴訟において第三者が紛争主体として自らの立場から主張立証を行う利益と必要性があるかという点であるとし,補助参加の許否を導く基本的視点は,第三者がその訴訟の中で自ら主張・立証を試みることを必要とするほどにその紛争が広がりを持ち,第三者の関与を是認できるほどにその地位の不安定・不利益が現実化しているのか,あるいはこの訴訟を契機として第三者が正面に立たなければならない紛争が顕在化するおそれがどの程度あるのかであると述べる。」「また,伊藤眞教授は,判決の後訴への影響力を認めることは,補助参加人の裁判を受ける権利を害するものであり,これを認めるべきではないとした上で,補助参加を認める必要があるのは,補助参加の対象となる訴訟の結果たる判決主文または理由中の判断において補助参加人自身の法律上の地位そのもの,またはその前提となる法律関係あるいは事実関係についての判断がされ,それが補助参加人に事実上の不利益を及ぼすからであるとする。そして,かかる観点から,判決主文中の判断及び判決理由中の判断が補助参加人たるべき者の法律上の地位と論理的関係にある限り,補助参加の利益が認められるとする。」前掲最判解民事篇平成13年度(上)63頁
(※5)「民訴法42条所定の補助参加が認められるのは,専ら訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られ,単に事実上の利害関係を有するにとどまる場合は補助参加は許されない……。そして,法律上の利害関係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される。」最判平成13年1月30日民集55巻1号30頁
(※6)「『利害関係』の程度については,法律上の利害関係があれば,必ずしも判決が直接に補助参加人の権利義務に影響を及ぼすべき場合に限られず,判決の効力(既判力や執行力)が直接参加人に及ぶ必要はない。判決の効力が及ぶ場合は,共同訴訟的補助参加になる。訴訟の結果を前提にして補助参加人の権利義務その他法的地位の決定に参考なるおそれ,すなわち事実上の影響があればよいとされている。この点は,第1の訴訟における判断が第2の訴訟で事実上影響力を及ぼすことで足りると説明され,① 被参加人が敗訴すれば,参加申出人が求償・損害賠償その他一定の訴えを提起される関係にある場合,② 第1の訴訟が第2の訴訟の先決関係にある場合,③ 当事者の一方と同様の地位・境遇にある者が補助参加を申し出る場合等に認められるとされる(ただし,③の場合にはこれを否定する学説もある。)。」前掲最判解民事篇平成13年度(上)66頁
(※7)「本決定[前掲最判平成13年1月30日]は,判例及び多数説の立場に立って利害関係が法律上の利害関係でなければならないことを確認したものである。」「さらに,本決定は,『法律上の利害関係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される。』旨判示して,法律上の利害関係の意義ないし内容及び程度……を明らかにしたものである。」前掲最判解民事篇平成13年度(上)69頁
(※8)「原審の確定した事実関係によれば,本件交通事故により,Aは放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの,事故後搬入された被上告人病院において,Aに対し通常期待されるべき適切な経過観察がされるなどして脳内出血が早期に発見され適切な治療が施されていれば,高度の蓋然性をもってAを救命できたということができるから,本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが,Aの死亡という不可分の一個の結果を招来し,この結果について相当因果関係を有する関係にある。したがって,本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから,各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。本件のようにそれぞれ独立して成立する複数の不法行為が順次競合した共同不法行為においても別異に解する理由はないから,被害者との関係においては,各不法行為者の結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害の額を案分し,各不法行為者において責任を負うべき損害額を限定することは許されないと解するのが相当である。けだし,共同不法行為によって被害者の被った損害は,各不法行為者の行為のいずれとの関係でも相当因果関係に立つものとして,各不法行為者はその全額を負担すべきものであり,各不法行為者が賠償すべき損害額を案分,限定することは連帯関係を免除することとなり,共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとしている民法719条の明文に反し,これにより被害者保護を図る同条の趣旨を没却することとなり,損害の負担について公平の理念に反することとなるからである。」最判平成13年3月13日民集55巻2号328頁
(※9)「記録によれば、被上告人は、本訴により、補助参加人の保有し運転する自動車と上告人成田精吉の保有し同下山正二の運転する自動車が交差点で衝突した反動により傷害を負ったことに基づき、補助参加人及び上告人らを共同被告として損害賠償を請求したが、第一審においては補助参加人に対する請求はほぼ全部認容され、上告人らに対する請求は棄却されたところ、補助参加人が、自己に対する第一審判決については控訴しなかったが、上告人らもまた右事故につき損害賠償責任を免れないとして、被上告人のため補助参加を申し立てると同時に、原審に対し被上告人を控訴人とする控訴を提起したことが認められる。右の場合においては、被上告人と上告人らの間の本件訴訟の結果いかんによって補助参加人の被上告人に対する損害賠償責任に消長をきたすものではないが、本件訴訟において上告人らの被上告人に対する損害賠償責任が認められれば、補助参加人は被上告人に対し上告人らと各自損害を賠償すれば足りることとなり、みずから損害を賠償したときは上告人らに対し求償し得ることになるのであるから、補助参加人は、本件訴訟において、被上告人の敗訴を防ぎ、上告人らの被上告人に対する損害賠償責任が認められる結果を得ることに利益を有するということができ、そのために自己に対する第一審判決について控訴しないときは第一審において相手方であった被上告人に補助参加することも許されると解するのが、相当である。」最判昭和51年3月30日集民117号323頁
(※10)「一審被告と抗告人らとの間の基本事件保険契約による法律関係と、補助参加申出人と抗告人らとの間の本件保険契約による法律関係とは、同一被保険者につき死亡を原因とする保険金を給付する同種の保険契約関係というにすぎないものであり、相互に損害を補填し合う関係にある旨の主張立証はないから、何ら法的関連や関係がない。基本事件において、争点である被保険者である太郎に生じた本件事故が偶然な外来の事故に当たるか否かが決せられたとしても、補助参加申出人と抗告人甲野花子との間で、本件事故による太郎の死亡についての保険金支払義務の存否につき法律上何ら影響するものではなく、補助参加申出人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に何ら影響することはない。ただ、同一の争点に対する判断として、これが参考にされ、事実上影響することがあるというにすぎないのであり、このような影響を与える関係を法律上の利害関係ということはできない。」「基本事件において、補助参加申出人に一審被告への補助参加を認めても、上記事実上の影響以外には何ら法律的な関係がない以上、両者間に参加的効力を観念する余地はなく、抗告人らとの間でも何らかの法的効果を考える余地はなく、補助参加申出人には補助参加制度が前提とする法律上の利害関係がないことは、このことからも明らかというべきである。また、補助参加を認めることによる紛争解決の一回性を考えるとしても、それは事実上のものにすぎず、補助参加申出人に対し何ら法的拘束力が生じない以上、法的な拘束力等によってもたらされる紛争解決効は存しないのであるから、紛争解決の一回性を理由に補助参加の是非を考えることもできない。」東京高決平成20年4月30日判タ1301号302頁



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