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2019-04-03(Wed)

【基礎演習民事訴訟法】問題21「独立当事者参加」

さて,基礎演習もあと10問。

さっさと終わらせましょう。

今回は,21問目です。

≪問題≫

 ABCの三者間で金員の貸し借りを巡って紛争を生じ,AがBに対して貸金の支払を求める訴えを提起したところ,Cが,Bに金員を貸し付けたのは自分であると主張し,Aに対しては自己の貸金債権の確認を,Bに対してはその支払を求めて,独立当事者参加の申出をした。
〔設問〕
1.この訴訟において,AがBに金員を渡したことを主張し,Bはこれを認めたが,Cは争っている場合,どのように扱われるか。
2.この訴訟において,AB間で,従前から別途争われていた商品の問題も含めて,「AはBに対して債権を有しないことを確認する。BはAの倉庫にある商品〇〇がAの所有に属することを確認する」旨の合意が成立した場合,どのように扱われるか。
3.この訴訟の第1審において,Aの請求認容,Cの両請求棄却の判決が下されたのに対して,Cのみが控訴し(Bは控訴も附帯控訴もせず),控訴審が貸金債権はCに帰属すると判断する場合,どのような判決をすべきか。


独当です。

いろんな論点があって難しいです。

本問では問われていませんが,

上訴してない人が上訴人なのか被上訴人なのかという,

もうそんなのどうでもよくないかと思ってしまうような論点とか,

そういうのがたくさんありますよね。

マジでどうでもいいと思います。

≪答案≫
第1 設問1
 1 AのBに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟に,Cが独立当事者参加の申出をしているが,Bに金員を貸し付けたのは自分であると主張していることから,権利主張参加(民訴法47条1項後段)の申出をしているものと考えられる。そこで,前提として,Cについて権利主張参加の要件を満たしているかについて検討する。
 権利主張参加は控訴審においてもすることができ,また,その審理には同法47条4項が準用する同法40条の適用があることから,権利主張参加ができる場合については一定程度限定するべきであるため,原告の請求と参加人の定立する請求とが論理的に両立しないことが要件となる(※1)。CがBに対して請求する貸金返還請求権は,AがBに対して請求する貸金返還請求権と同一の債権であって,債権者という地位が一人に決定されるはずである以上,両請求は論理的に両立しないから,Cは同請求を立てて権利主張参加をすることができる。
 2 独立当事者参加が認められる場合には,前記のように,民訴法47条4項が準用する同法40条の適用がある。これは,第三者が当事者間の訴訟によって不利益を被ることを避けるため,当事者間の訴訟追行を牽制する権限を認めたものである。そうすると,本件では,Bは,Aから金員を借り受けた点について自白しているが,同条1項により,その効力は認められない(※2)
第2 設問2
 AとBとの間では,AがBに対して債権を有しないとの確認をしているが,これは原告が訴訟係属後期日においてその請求について理由がないことを認めて訴訟を終了させるものであるから,請求の放棄である(民訴法266条1項)(※3)。そこで,一当事者を除外して,訴訟物を処分する行為をすることができるかについて検討する。
 前記の通り,独立当事者参加において,民訴法47条4項が準用する同法40条の適用があるのは,参加人の不利益回避のために当事者間の訴訟追行を牽制する権限を認めた点にある。そうすると,参加人に不利益とならない訴訟行為であれば,参加人にこれに対する牽制権を認める必要はないから,参加人の不利益にならない訴訟物の処分行為であれば,当事者間においてこれをすることができる(※4)
 これを本件についてみると,AのBに対する債権とCのBに対する債権とは,論理的に両立しない関係にあることからすると,AのBに対する債権が不成立であることは,Cにとってその競合する債権者がいなくなることを意味するから,Aの請求の放棄はCの利益にこそなれ不利益になることはない。したがって,AはBとの間で,その債権の請求の放棄をすることができる。
 したがって,民訴法40条1項にかかわらず,裁判所において,Aが請求を放棄したものとして扱われる。
第3 設問3
 1 Cは第1審において全部敗訴しているから,控訴の利益を有し,控訴をすることができる(民訴法281条1項)。
 2⑴ 控訴裁判所は,CのBに対する貸金債権が認められるものと判断しているため,第1審において請求棄却とされた部分を取り消して,これを認容する判決をする(同法304条)。しかし,第1審では,AのBに対する貸金債権が認容されているから,これを請求棄却の判決に変更しなければ,両請求が認容されることとなり,合一確定がされないこととなる。そこで,AのBに対する貸金債権について請求棄却判決に変更することができるかどうかについて検討する。
  ⑵ 前提として,AのBに対する請求については,AもBも控訴していないため,これが控訴審に移審しているか問題となるが,独立当事者参加においては,請求間において合一確定の要請が働くから,Cのみの控訴によってAのBに対する請求を認容する部分は遮断され,控訴審に移審する。
  ⑶ 控訴裁判所は,「不服申立ての限度においてのみ」,第1審判決を変更することができるとされているから(同法304条),控訴人の不服申立ての範囲を超えて控訴人に有利に第1審判決を取消しまたは変更することができない(以下「利益変更禁止原則」という。)(※5)。そうすると,Cの控訴は,あくまで,自己の債権が認められなかったことを不服とするものであるから,当該債権が認容されれば不服申立ての範囲における判断は達成されるということができる。したがって,控訴裁判所が,AのBに対する貸金債権についてもこれを棄却する判決に変更することは,利益変更禁止原則に反するように思われる。
 しかし,利益変更禁止の原則は,処分権主義に由来するものであるところ(※6),処分権主義は相手方の不意打ちを防止する機能を有している(※7)。この点,独立当事者参加においては,合一確定の必要が認められる以上,控訴の不服申立ての範囲に含まれない請求に関する判決と,控訴の不服申立ての範囲に含まれる請求に関する判決とが矛盾する場合には,控訴の不服申立ての範囲に含まれない請求に関する判決であっても,これを変更する必要がある。この場合の変更を認めても,合一確定に資する限りにおいて第1審の勝訴当事者には不意打ちはないということができる(※8)。したがって,独立当事者参加がされている場合には,その上訴があったときには,利益変更禁止原則に優先して独立当事者参加における合一確定の要請を図るために,勝訴当事者の請求に関する判決を変更することができる。
 これを本件についてみると,第1審におけるAのBに対する貸金債権を認容する判決は,CのBに対する貸金債権を認容する判決と矛盾抵触するものであるから,後者を認容する限りにおいて,前者を棄却する必要がある。したがって,控訴裁判所は,AのBに対する貸金債権に関する第1審判決を取消して,棄却判決に変更することができる。
 3 よって,裁判所は,原判決を取り消して,AのBに対する請求を棄却し,CのBに対する請求を認容する判決をすべきである。

以 上


(※1)「権利主張参加は,原告の請求と参加人の定立する請求とが論理的に両立しない場合に限りすることができる。」「47条1項の文言自体は,原告と参加人の請求が相互に両立し得ないことを明示的に要求していないが,権利主張参加は控訴審においてもすることができ,また,その審理には40条が準用されるという強い規律を伴うものであることを考えると,一定の限定解釈を施すことにも理由がある。」「原告と参加人の請求が相互に両立不可能であるか否かを判断する際に,狭義の訴訟物の次元でのみ両立不可能性を考える立場と,判決内容の実現可能性の次元まで含めて両立不可能性を考える立場(この立場は,請求の趣旨の次元での両立不可能性を要件とするものと表現されることもある)とがある。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』575頁
(※2)「40条1項は,共同訴訟人の1人の訴訟行為は全員の利益においてのみその効力を生ずると定める。これによれば,共同原告の1人が請求原因事実を主張し,または相手方の主張を争った場合には,それは利益なものとして全員に対して効力が生ずる一方で,裁判上の自白は1人で行っても効力を生じず,裁判所は自白をした当事者についても自白に反する事実を認定できる,ということになる。訴訟資料を統一する趣旨である。」前掲三木ほか553頁
(※3)「請求の放棄とは,原告が,訴訟係属後,期日において,その請求について,その理由がないことを認めて訴訟を終了させようとする訴訟行為である。」前掲三木ほか494頁
(※4)「判決の合一性を確保するために当事者の1人がなす訴訟行為は,参加人の不利益になる限りその効力を生じない(40Ⅰ)。参加人のなす訴訟行為についても同様である。不利益になる訴訟行為の例としては,自白や請求の放棄・認諾が挙げられる。」「ただし,不利益になるかどうかは,当事者と参加人との間に共同関係がないので,一律には決定されない。たとえば,所有権確認および所有権にもとづく明渡請求訴訟に,真の所有者であると主張する者が参加した場合において,原告がその請求を放棄することは,参加人にとって不利益になるとは言い難い……。これに対して,被告が原告の請求を認諾することは,参加人にとって不利益な行為と評価される。損害賠償請求権発生原因事実についての被告の自白も,損害保険会社が詐害防止参加をしているときには,その効力を生じない。岐阜地判平成24・1・17判時2159号134頁。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』680頁
(※5)「控訴裁判所は,不服申立ての限度でのみ,第1審判決の取消しおよび変更をすることができる(304条)。控訴裁判所は,不服申立ての範囲を超えて控訴人に有利に第1審判決の取消しまたは変更をすることができず,また,相手方の控訴または附帯控訴がないかぎり,控訴人の不利に第1審判決の取消しまたは変更をすることはできないということである。前者を『利益変更禁止の原則』といい,後者を「不利益変更禁止の原則」という。」前掲三木ほか606頁
(※6)「利益変更・不利益変更禁止の原則は処分権主義に由来すると解するのが多数説であるが,このような理解によれば処分権主義の妥当しない局面においてはこれらの原則も妥当しないということになる。」前掲三木ほか607頁
(※7)「[処分権主義は]原告の意思を尊重するという意義を有するが,それと同時に,全部敗訴した場合の危険の限度を予告し,それによって訴状送達を受けた段階で,被告がかかる危険を考慮したうえで訴訟追行の仕方を決めることを可能にする,という機能も認められる。」前掲三木ほか57頁
(※8)「本判決[最判昭和48年7月20日民集27巻7号863頁]は,利益変更禁止原則の基礎とされる処分権主義に対して,独立当事者参加の制度趣旨である合一確定の要請の優先を認めたものということができる。実質的に見ても,合一確定を求める上訴当事者の利益,または附帯上訴等をしなくても二重敗訴を免れる他の敗訴当事者の利益……を図ることができ,他方で,そのような変更を認めても,合一確定に資する限りにおいて勝訴当事者にも不意打ちはないと言えよう」高橋宏志ほか『民事訴訟法判例百選〔第5版〕』223頁



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