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2019-04-02(Tue)

【基礎演習民事訴訟法】問題20「類似必要的共同訴訟」

すごい寝坊により午前中を溶かしました。

これはいけませんねえ。

≪問題≫

 A株式会社(A社)は,ある定時株主総会(本件総会)において,一定の者にを取締役,監査役に選任する決議(本件決議)をしたが,A社の株主であるBは,その意思に反して,取締役に選任されなかった。
 Bは,「本件総会は,A社が取締役会設置会社であるにもかかわらず取締役会の決議がないまま代表取締役が招集したもので,会社法298条4項に違反するものであった」と主張し,本件決議の手続が違法であったから本件決議は取り消されるべきであるとして,同法831条1項1号に基づいて,本件決議の日から3か月以内に,A社を被告として,株主総会決議取消しの訴えを提起した。そうしたところ,Bの訴えとは別に,A社の別の株主であるCも,本件決議についてBと同様の主張をして,同様の期間内に株主総会決議取消の訴えを提起した。
〔設問〕
1.Bの訴訟とCの訴訟とで,別々の手続が進行するとしてよいか。別々に手続を進行させるべきでないとすると,その理由は何か。
2.Bの訴訟手続とCの訴訟手続とが併合され,訴訟手続が1つとなった場合,もしその後にCが死亡したら,その訴訟手続はCの死亡によってどのような影響を受けるか。
3.Bの訴訟手続とCの訴訟手続とが併合された上で,地方裁判所でいずれについても請求を棄却する旨の判決が言い渡されたところ,Cはもう訴訟はあきらめようと思って控訴できる期間内に控訴しなかったが,Bはさらに上級審の審判を受けたいと思って控訴した。この場合,Cも,控訴審において控訴人となるか。


昨日固有必要的共同訴訟をやりましたので,今日は類似必要的共同訴訟です。

固有の方と違って解説が読みやすかったです。

これは固有の方の解説がよくなかったのか,

それともちょうどそのとき私の頭がまわっていなかっただけなのかは分かりません。

分かんないけど多分前者です。

≪答案≫
第1 設問1
 1 Bの訴訟とCの訴訟とが必要的共同訴訟(民訴法40条1項)とされるのであれば,これらを別々の手続で進行させることはできなくなるため,この点について検討する。
 2 類似必要的共同訴訟とは,訴訟物たる権利関係の性質から確定判決の既判力が他の訴訟追行権者に対して拡張されるため,共同訴訟人独立の原則(同法39条)が排除される訴訟形態である。この場合,当事者適格そのものは各当事者に認められるため,常に共同訴訟人たるべき者の全員が当事者となる必要はないが,既判力が他の当事者たるべき者に拡張されることから,共同訴訟人ごとに異なる判決が出されると既判力の矛盾抵触を生じさせることとなり,紛争の統一的解決にとって望ましくない。したがって,既判力が共同訴訟人たるべき者に拡張される場合には,類似必要的共同訴訟となる(※1)
 これを本件についてみると,Bの訴訟もCの訴訟も,いずれも同一の株主総会の決議取消しの訴え(会社法831条1項)であるから,「会社の組織に関する訴え」にあたるため(同法834条17号),その請求を認容する確定判決の既判力は第三者に対しても及ぶとされている(同法838条)。この点,片面的な判決効拡張の場合には,一方の訴訟で判決が確定した場合には,他方の訴訟でも原告の請求認容となるはずであるから,判決効の衝突は起こらないため,類似必要的共同訴訟の根拠はあたらないとすることも考えられる。しかし,判決の結論が認容か棄却かは,審理の時点ではあらかじめ予測できないのであって,原告の勝訴と敗訴が同時に確定し,又は一方の原告の敗訴確定後に他方の原告の勝訴となる場合もあるのであるから,なおも既判力の矛盾抵触の可能性は残されている(※2)。したがって,株主総会取消しの訴えは類似必要的共同訴訟として扱われる。
 3 そうすると,BとCは,共同して訴訟を追行する必要があるから,これを別々の手続で進行させることはできない。
第2 設問2
 Bの訴訟とCの訴訟が併合されれば,類似必要的共同訴訟となるから,必要的共同訴訟の規律が妥当する(民訴法40条)。この点,仮にCが単独で追行する訴訟においてCが死亡した場合には,その訴訟手続は中断し,Cの相続人等がこれを受継することとなる(同法124条1項1号)。これは,受継すべき者が,受継をして訴訟追行をするための準備の期間を与えるものである。もっとも,Cに訴訟代理人がある場合には,引き続き当該訴訟代理人が訴訟追行すれば足り,相続人等が受継のための準備する期間を与える必要がないため,訴訟手続は中断しない(同条2項)。
 本件のように必要的共同訴訟とされる場合において,共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断の原因があるときには,共同訴訟人の全員との関係で訴訟手続が中断する(同法40条3項)。なぜなら,前記の類似必要的共同訴訟の根拠から,共同訴訟人間において手続の進行が統一されなければならないところ,そのうちの一人に訴訟追行ができない事由があるのであれば,この者との手続進行の統一を図るためには全員との関係で手続進行を中断しなければならないからである。
 そうすると,本件では,Cに訴訟代理人がある場合には,中断の原因がないため,訴訟手続に影響はないが,Cに訴訟代理人がない場合には,中断の原因があるため,訴訟手続はBとの関係でも中断する。
第3 設問3
 まず,上訴は,原判決よりも有利な判決を求めて再審理を要求するものであるから,民訴法40条1項の「利益」になる行為であるとして,上訴をしなかった者も上訴人になるとする見解がある(※3)。しかし,敗訴判決を受けた上訴しなかった者は,訴訟活動を続行する意思を失っており,その者を上訴人として取り扱い続けることは実情に合わないばかりか,これらの者に上訴審当事者としての権利義務を課することはかえって不当であり,訴訟経済に反する(※4)(※5)
 類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば,それによって原判決の確定が妨げられ,当該訴訟は全体として上訴審に移審し,上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶところ,類似必要的共同訴訟で要求される合一確定の要請は,前記の限度で上訴の効力が生ずれば足りるものである。そして,共同訴訟人各人の個別的な利益が直接問題となっているなどの特段の事情がない限り,提訴後に共同訴訟人の数が減少しても,その審判の範囲,審理の態様,判決の効力等には影響がない。したがって,前記の特段の事情がない限りは,自ら上訴をしなかった者は,上訴人にならない(※6)(※7)(※8)(※9)(※10)
 これを本件についてみると,株主総会取消しの訴えは,取消事由として規定される瑕疵によって公正な決議が妨げられたかもしれないことを是正するための手段であるうえ,会社法831条1項はその文言上「株主」の範囲を自己の利益を問題とする者に限定していない(※11)。そうすると,株主総会取消しの訴えは,実質的には他の株主全体を代表して提起追行する訴訟であって,共同訴訟人各人の個別的な利益が問題となっているものではない。そうすると,本件において,前記のような特段の事情はないのであるから,上訴をしなかった者を上訴人として取り扱う必要はないというべきである。
 したがって,Cは控訴審において控訴人とはならない。

以 上


(※1)「法は,必要的共同訴訟の成立要件として『訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合』と規定する(40Ⅰ)。ここでいわれる合一確定の必要は,訴訟物たる権利関係に関する判決を矛盾なく統一すべき必要といいかえられるが,その内容は以下のように分析される。」「第2は,訴訟物たる権利関係の性質から確定判決の既判力が他の訴訟追行権者に対して拡張される場合である。すなわち,権利関係についての訴訟追行権自体は,共同訴訟人たるべき各人に帰属するが,1人の共同訴訟人に対する判決の既判力が他の共同訴訟人に対して拡張されることから,既判力の抵触を防ぐ目的で判決内容の合一性が要請される。したがって,この場合にも共同訴訟人独立の原則は全面的に排除されるが,固有必要的共同訴訟と異なって,常に共同訴訟人たるべき者の全員が当事者とされなければならないわけではない。これが類似必要的共同訴訟である。」「固有必要的共同訴訟の場合には,当事者適格が共同で行使されなければならないことから判決の合一確定の必要がある。これに対して類似必要的共同訴訟の場合には,当事者適格そのものは,各当事者に認められるが,ある当事者に対する既判力が他の当事者たるべき者に拡張されるところから,合一確定の必要が生じる。すなわち,共同訴訟人独立の原則を適用すると,判決の内容が共同訴訟人ごとに異なる可能性が生じ,また,裁判所の弁論の分離によっても同様の可能性が生じる。しかし,共同訴訟人の1人に対する判決の既判力が他の共同訴訟人のについて拡張されることを前提とすると,このような可能性は,既判力の抵触を生じさせることになり,紛争の統一的解決にとって望ましいとはいえない。そこで,このような類型の訴訟においては,固有必要的共同訴訟と同様に共同訴訟人独立の原則が排除される。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』623頁
(※2)「人事訴訟の場合には,請求認容判決の既判力も棄却判決の既判力も第三者に拡張されること(人訴24Ⅰ)が根拠とされるのに対して,会社関係訴訟の場合には,請求認容判決の既判力のみが拡張されること(会社838)が根拠となる。後者の場合でも,判決の結論が認容か棄却かは,審理の時点ではあらかじめ予測することはできないので,ありうべき認容判決の既判力の拡張可能性が合一確定の必要を基礎づける。」前掲伊藤630頁注40
(※3)「本件訴訟のように普通地方公共団体の数人の住民が当該地方公共団体に代位して提起する地方自治法二四二条の二第一項四号所定の訴訟は、その一人に対する判決が確定すると、右判決の効力は当該地方公共団体に及び(民訴法二〇一条二項)、他の者もこれに反する主張をすることができなくなるという関係にあるのであるから、民訴法六二条一項にいう「訴訟ノ目的カ共同訴訟人ノ全員ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合」に当たるものと解するのが相当である。そうすると、本件訴訟を提起した一五名の第一審原告らのうち本件上告人ら五名がした第一審判決に対する控訴は、その余の第一審原告らに対しても効力を生じ(民訴法六二条一項)、原審としては、第一審原告ら全員を判決の名宛人として一個の終局判決をすべきところであつて、第一審判決に対する控訴をした本件上告人らのみを控訴人としてされた原判決は、違法であることが明らかである。」最判昭和58年4月1日民集37巻3号201頁
(※4)「そもそも、必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すればそれによつて他の者も上訴人としての地位に就くものと一般に解されているのは、要するに、本来合一的にのみ確定されるべき性質を持つ判決が区区になることを避けるための方法としてであるにほかならない。しかしながら、右のような目的のためには、必ずしもあらゆる場合において一部の共同訴訟人が上訴すれば他の者も上訴人としての地位に就くものとする必要はないばかりか、自ら上訴をせず上訴追行の意思を有しない者にも上訴人としての地位を付与し自ら上訴した者と同様の上訴審当事者としての権利、義務を課することはかえつて不当でもあり、訴訟経済に反するところでもある。」前掲最判昭和58年4月1日木下忠良反対意見
(※5)[前掲最判昭和58年4月1日]によれば,上訴審としては,上訴しなかった者も上訴人として取り扱い準備書面を送達したり,期日の呼出しをしたりす必要があるほか,判決に当事者として表示した上,その送達をしなければならない。しかし,実際には,敗訴判決を受けた上訴しなかった者は,訴訟活動を続行する意思を失っており,その者を上訴人として取り扱い続けることは実情に合わない面がある。そこで,[前掲最判昭和58年4月1日]の後は,むしろ訴えの取下げを勧告して,訴訟関係から完全に離脱させるように促すのが,一般的な取扱いとなっていた。ところが,上訴をした共同原告や訴訟代理人を通じて上訴をしなかった者と連絡をとることが困難であったり,両者の信頼関係が失われているため,取下げの手続を執ることが容易でない場合があるという問題があり,他方,万一このことを看過すれば,判決の内容に全く問題がない場合でも,破棄差戻しの理由にならざるを得ないこととなってしまう。」最判解民事篇平成9年度(中)577頁
(※6)「類似必要的共同訴訟については、共同訴訟人の一部の者がした訴訟行為は、全員の利益においてのみ効力を生ずるとされている(民訴法62条1項)。上訴は、上訴審に対して原判決の敗訴部分の是正を求める行為であるから、類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶものと解される。しかしながら、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りるものである上、住民訴訟の前記のような性質にかんがみると、公益の代表者となる意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就き続けることを求めることは、相当でないだけでなく、住民訴訟においては、複数の住民によって提訴された場合であっても、公益の代表者としての共同訴訟人らにより同一の違法な財務会計上の行為又は怠る事実の予防又は是正を求める公益上の請求がされているのであり、元来提訴者各人が自己の個別的な利益を有しているものではないから、提訴後に共同訴訟人の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には何ら影響がない。そうであれば、住民訴訟については、自ら上訴をしなかった共同訴訟人をその意に反して上訴人の地位に就かせる効力までが行政事件訴訟法7条、民訴法62条1項によって生ずると解するのは相当でなく、自ら上訴をしなかった共同訴訟人は、上訴人にはならないものと解すべきである。この理は、いったん上訴をしたがこれを取り下げた共同訴訟人についても当てはまるから、上訴をした共同訴訟人のうちの一部の者が上訴を取り下げても、その者に対する関係において原判決が確定することにはならないが、その者は上訴人ではなくなるものと解される。」最判平成9年4月2日民集51巻4号1673頁
(※7)「類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶと解される。しかしながら、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りるものである上、取締役の会社に対する責任を追及する株主代表訴訟においては、既に訴訟を追行する意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就くことを求めることは相当でないし、複数の株主によって株主代表訴訟が追行されている場合であっても、株主各人の個別的な利益が直接問題となっているものではないから、提訴後に共同訴訟人たる株主の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には影響がない。そうすると、株主代表訴訟については、自ら上訴をしなかった共同訴訟人を上訴人の地位に就かせる効力までが民訴法40条1項によって生ずると解するのは相当でなく、自ら上訴をしなかった共同訴訟人たる株主は、上訴人にはならないものと解すべきである」最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁
(※8)「株主代表訴訟は,……個々の株主が共益権に基づいて,実質的には他の株主全体を代表して,形式的には第三者の法定訴訟担当として提起追行する類似必要的共同訴訟であるところ,個々の株主にとっての個別的具体的利益が直接問題となるものではなく,原告株主の数が提訴後に減少しても,審判の範囲,審理の態様,判決の効力には格別差違を生じない点や,株主全体の代表として訴訟を追行する意思を失った者に対して上訴人の地位に就き続けることを求めることが相当でないという点では,住民訴訟と基本的に変わる所はないと思われる」最判解民事篇平成12年度(下)620頁
(※9)「数人の提起する養子縁組無効の訴えは,いわゆる類似必要的共同訴訟と解すべきであるところ……,記録によれば,上告人兼申立人が本件上告を提起するとともに,本件上告受理の申立てをした時には,既に共同訴訟人であるX1が本件養子縁組無効の訴えにつき上告を提起し,上告受理の申立てをしていたことが明らかであるから,上告人の本件上告は,二重上告であり,申立人の本件上告受理の申立ては,二重上告受理の申立てであって,いずれも不適法である。」最決平成23年2月17日家月63巻9号57頁
(※10)「本件の養子縁組無効の訴えでは,X1とX2にとって,自己の個別具体的な利益が直接に問題となっており,また,訴訟担当として訴訟追行するという関係にもないのであって,上記の二つの最高裁判決[前掲最判平成9年4月2日及び前掲最判平成12年7月7日]の類似必要的共同訴訟についての考え方が当てはまるとは決していえない。」判タ1375号49頁
(※11)「招集手続の瑕疵が決議取消しの事由とされているのは,手続瑕疵のそれ自体に対する非難というよりむしろその瑕疵によって公正な決議の成立が妨げられたかも知れぬことを是正するためである……。そして,会社法831条1項は,その文言上提訴株主について決議に対する異議を述べた,自分自身の利益が害されたなどといった要件を設けておらず,『株主』一般に対して決議取消し訴訟提起権を与えている……。さらにまた,それらに加えて総会決議取消しの訴えが法定[ママ]・定款を遵守した会社運営を求めるという基本的性格を有する訴訟であるため,株主によるコーポレート・ガバナンスを実現する重要な措置として位置づけられることを考え合わせると,他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由にして株主が決議取消しの訴えを提起し得ると解することは妥当である。」岩原紳作ほか『会社法判例百選〔第3版〕』77頁



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