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2019-03-30(Sat)

【基礎演習民事訴訟法】問題10「主張・証明責任-要件事実入門」

おはようございます。

久々に定時(朝7時)に起きれました。

今日はちゃんとお勉強をすることができます。

今回は,基礎演習の10問目です。

≪問題≫

 XがYに対し,建物収去土地明渡しおよび土地所有権移転登記手続を求めて訴えを提起した(本件訴訟)。X・Yは,本件に関する事情をそれぞれ次のように説明している。
 Yの説明によれば,店舗用地を物色していたところ,適当な場所に甲土地が更地として売りに出されていることを発見し,甲土地の登記簿上Aに所有権の登記があることを確認し,甲土地上の看板に記載されていたAの連絡先に電話した。電話では,Aを名乗る者が応答し,甲土地は自分(A)が所有していること,売買契約の交渉には代理人としてBを当たらせることを,Yに告げた。Yは,Aの委任状を持参したBと売買契約交渉に入り,数か月後,諸条件に合意して,Aの代理人としてのBと甲土地の売買契約を締結し,甲土地の引渡しを受け,所有権移転登記を経由し,甲土地上に店舗建物(乙建物)を建築して,営業を開始した。
 Xの説明によれば,甲土地は,もともとAの所有地であったところ,Aの単独相続人CからXが買い受けたものである。Xは,Yに対し,甲土地上で店舗営業を継続したいのであれば甲土地を更地評価額で買い取るように求めたが,Yに拒絶されたため,その交渉を断念し,本件訴訟を提起するものである。
〔設問〕
 本件訴訟の訴訟物を明らかにし,これをめぐるX・Yの攻撃防御方法を整理せよ。


要件事実……

民訴っちゃ民訴なのかな……

予備試験の科目的には民実ですよね。

(途中から答案書くのが面倒になっています)

≪答案≫
1 本件訴訟の訴訟物は,所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権及び所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権である(※1)
2⑴ 所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権の発生要件は,①原告がその物を所有していること,②被告がその物を占有していることである(※2)
 ①原告の所有については,口頭弁論終結時における所有を立証する必要があるが,過去の所有権取得原因を主張立証すれば,その喪失事由がない限り現在まで継続してその者に帰属しているものとして扱われるところ,この場合には所有権取得の前主がその物を所有していたことまで主張立証しなければならない。しかし,特に土地についての来歴をその原始取得まで遡って主張立証することは現実的に不可能であるから,原告及び被告の間である時点での所有についての主張の一致があるときは,権利自白が成立したものとみて,その時点におけるその者の所有を裁判の基礎とすることができる。
 これを本件についてみると,Yは甲土地をAから購入し,その際にAが所有していたことを主張している。一方で,Xも甲土地をAの単独相続人Cから購入したと主張しているから,元々Aが所有していたことについては認めている。したがって,両者の主張が一致するAの所有の限度で権利自白が成立している。そこで,XはCがAから甲土地を相続したこと,及びCから本件土地を購入したことを主張立証することによって,甲土地の所有を主張立証することができる。
 ②Xとしては,Yが甲土地上に建築した建物の収去まで求めたいのであるから,Yが甲土地上に建物を所有して土地を占有していることを主張立証する必要がある(※3)
 ⑵ア これに対して,Yは,自身もAから甲土地を購入したことから,対抗要件の抗弁を主張する。甲土地については,Aを起点として,Xに対する物権変動とYに対する物権変動が生じているようにみえるので,YはXとの関係で「第三者」(民法177条)である。そこで,XがYに甲土地の所有権を対抗するためには,登記を具備していることが必要である。そこで,Yとしては,Xが甲土地の登記を具備するまで,Xを所有者として認めないとの主張を行うこととなる。したがって,この場合の主張は,Xの主張する請求原因事実と両立し,その法律効果の発生を妨げる働きをするから,抗弁として位置づけられる。
 そこで,Yは対抗要件の抗弁を主張するために,③自己が「第三者」にあたることを主張する必要がある。ここでは,YはAとの間の甲土地の売買の事実を主張することとなる。本問では,AY間の売買は,Aの代理人Bを通じて行われていることから,Bについて代理の要件(民法99条)を満たしていることが必要である。代理の要件は,④代理人と相手方との法律行為,⑤代理人による顕名,⑥④に先立って本人が代理人に④についての代理権を授与したことが必要である。そこで,Yとしては,これらの事実について主張立証することとなる。
  イ また,Yとしては,対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を主張する。Yは,自身もAから甲土地を購入している上,その移転について登記を具備しているのであるから,民法177条の「第三者」にあたり,Xの請求は認められないとの主張である。この場合には,YがAから確定的に所有権を取得し,その結果,Xが所有者であったことはなかったことになるから,Xの主張する物権的請求権は発生しない。そうすると,第三者であるYが対抗要件を具備したことは,請求原因事実と両立し,その法律効果の発生を妨げる働きをするから,抗弁として位置づけられる。
 Yが対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を主張するためには,⑦自己が「第三者」にあたること,⑧対抗要件を具備したことが必要である(※4)。したがって,Yはこれらの事実を主張立証することとなる。
  ウ また,Yが甲土地を取得した時期によっては,取得時効を理由として所有権喪失の抗弁を主張することも考えられる。取得時効の要件は,民法162条1項によれば,⑨所有の意思をもって,⑩平穏に,かつ,公然と,⑪他人の物を,⑫20年間占有したことである。しかし,占有の事実があれば⑨及び⑩は推定される(同法186条)。また,判例によれば,自己の物についても時効取得が成立する余地があるから,⑪は要件とならない。さらに,占有の最初の時点と時効完成時の2点の占有を主張立証すれば,その間の占有の継続が推定される(同法186条2項)。したがって,Yが時効取得を主張するためには,結局のところ,時効期間の起算点における目的物の占有と,時効期間経過時の目的物の占有を主張立証すれば足りる。
  エ なお,Yが短期取得時効(同法162条2項)を主張するためには,前記に加えて,⑫無過失であることも主張立証することが必要である。無過失のような規範的要件にあっては,それ基礎づける具体的事実たる評価根拠事実を主張立証することになる。
 ⑶ア 以上に対して,Xは,Yが背信的悪意者であることを主張立証することによって,対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を覆す再抗弁を主張することができる。
  イ また,Xは,Yに所有意思がないことや,無過失の評価障害事実等を主張立証することによって,Yの取得時効の主張を覆す再抗弁を主張することができる。
3⑴ 所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権の発生要件は,⑬原告がその不動産を所有していること,⑭その不動産について相手方名義の所有権移転登記が存在することである。Xは,これらの事実を主張立証することとなる。その立証方法については,前記と同様である。
 ⑵ 抗弁以下は,前記と同様である。

以 上


(※1)解説114頁では「本件の訴訟物は,XのYに対する所有権妨害排除請求権としての土地明渡請求権および登記回復請求権である(請求の趣旨は,建物収去土地明渡請求および真正の登記名義回復のための所有権移転登記手続請求となる)。」としていますが,司法研修所の整理(ローでもこちらで学びますし,予備試験でもこの見解を前提とするはずです。)では,物権的妨害排除請求権は「他人の占有以外の方法によって物権が侵害されている場合」に立つものであり(司法研修所『新問題研究要件事実』55頁),「他人の占有によって物権が侵害されている場合」には物権的返還請求権が立つとされています(前掲新問研55頁)。本問では,Yは甲土地上に建物を建築して占有しているので,土地の明渡しを求めるのであれば,返還請求権としての明渡請求権になるはずです。一方で,登記は占有以外の方法によって物権を侵害するものであるので,妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権でよいと思います。
(※2)「所有権に基づく返還請求権を発生させるための実体法上の要件については様々な考え方がありますが,所有権の内容を完全に実現することが相手方の占有によって妨げられている場合には,所有者は,占有者に対して,所有権の内容の完全な実現を可能にするために,所有権に基づいてその物の返還を請求することができ,ただし,相手方が正当な占有権原を有する場合にはその請求ができないと解釈する立場があります。この立場によれば,所有権に基づく返還請求権の発生要件は,ⅰ その物を所有していること ⅱ 相手方がその物を占有していること であり,ⅲ 相手方がその物に対する正当な占有権原を有していること は発生障害要件であると解されます(最判昭35.3.1民集14.3.327[20])。」前掲新問研57頁
(※3)「Yが土地上に建物を所有して土地を占有しているとして,建物収去土地明渡請求をする場合には,建物収去の主文を導くため,占有についての争いの有無にかかわらず,被告が土地上に建物を所有して土地を占有していることを主張・立証しなければならない。」大島眞一『完全講義民事裁判実務の基礎〔第2版〕上巻』292頁
(※4)「対抗要件具備による所有権喪失の抗弁の要件としては,民法177条の第三者であることと対抗要件を具備したことが必要です。」前掲新問研81頁



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