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2019-03-27(Wed)

【基礎演習民事訴訟法】問題4「代理(法定代理,訴訟代理,法人の代表)」

昨日のジンギスカンのせいか何なのか分かりませんが,

微妙に腹の調子が悪いです。

今日はおとなしく帰って寝たいですね。

その前に基礎演習の4問目です。

≪問題≫

 X君は,この春に後行を卒業し大学への進学を希望する18歳の少年である。このほど,第2希望の私立K大学に合格したため,所定の入学金と半年分の授業料からなる学納金200万円を納入した。X君は,L大学を第1希望として受験勉強に励んできたが,不合格となってしまったため,K大学へ進学するつもりでいた。そんな折りも折り,なんと,L大学から追加合格の通知が届いた。
 早速,X君は,L大学への入学手続とK大学の入学辞退手続を行った。こうしてX君は,4月1日からの大学生活をスタートさせたものの,K大学からは,学納金の返還が一向になされなかった。そこで,X君は,その両親Pとともに,何度もK大学に学納金の返還を催促したが,K大学の窓口では「担当者が不在」などと言を左右にするばかりで,応じてもらえなかった。そこで,X君と両親Pは,弁護士Cに相談した結果,訴訟やむなしという判断に至り,弁護士Cに特別授権を含む訴訟委任をしたうえで,K大学を経営する学校法人Yを相手取って,学納金のうち授業料に相当する金150万円および訴状の送達の日の翌日からその完済に至る日まで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めて,訴えを提起した。その際に,訴状の原告当事者の欄にX君,その法定代理人の欄に両親P,そして,訴訟代理人の欄に弁護士Cの名前をそれぞれ記載し,被告当事者欄には学校法人Yと,その代表者として法人登記簿上の理事長であるAの名前を記載した。この被告当事者欄をめぐって,後々,X君は思いもよらない争いが展開されることになる。
 訴状副本と期日呼出状は,いずれもAに宛てて,A個人の住所に送達された。ところが,Aは,提訴から半年以上も前の理事会において不行跡を理由に理事長および理事を解任されており,すでにYとは無関係であるとして,これらを放置していた。しばらくして,Y欠席のまま,X勝訴を伝える判決文に代わる調書の正本がAに送達された。この段になって,Aは,Yに連絡したほうがよかろうと思い,Yに関係書状をすべて郵送した。
 連絡を受けて驚いたYは,A前理事長の解任騒動以来放置しておいた代表者の登記を,Aの解任の際に併せて選任されたBに改めたうえで,真の代表者であるB理事長を代表者として,控訴を提起した。その控訴状の中で,訴え提起当時すでにAは解任されており,代表者ではなくなったAを代表者として提起された本件訴えは不適法として却下すべきであると述べた。
 これに対して,X君らは,登記事項は登記した後でなければ第三者に対抗できないとする私立学校法28条2項,または,民法109条の規定の趣旨により,YについてAに代表権限を認めるべきであると主張した。
〔設問〕
1.法人の訴訟上の代表者はどのように定められるか。また,法人の訴訟上の代表者に関して,表見法理の適用があるか。
2.法人の代表者に代表権限が欠けていることを看過して下された第1審判決に対して控訴が提起された場合,控訴審裁判所は,どのようにしたらよいか。


訴訟行為と表見代理の関係についてです。

これも判例が一応あるところですが,

学説では反対説の方が強いようです。

学部のゼミでも詳しく学んだ気がしますが,

もう何一つ覚えていません。

悲しいですね。

≪答案≫
第1 設問1
 1 法人の訴訟上の代表者については,法定代理に関する規定が準用されるところ(民訴法37条),法定代理については民法その他の法律に従うこととされている(同法28条)。したがって,法人の訴訟上の代表者は,当該法人を規律する法令の定めるところによって決定される。
 本問では,私立大学を運営する学校法人Yが被告とされているところ,学校法人の代表者は理事長とされていることから(私学法37条1項)(※1),Yの訴訟上の代表者は理事長であるBである。
 2⑴ 法人を被告として訴える場合には,訴状に法人に加えてその代表者の名前を表示し(民訴法37条,133条2項1号),代表者に対して訴状を送達する必要がある(同法37条,102条1項)。ここで,原告としては,法人の代表者が誰であるかを登記によって判断することとなる。このとき,登記簿上の代表者が真の代表者でなかった場合,訴え提起その他の訴訟行為は,補正または追認がなされない限りすべて不適法となるはずである。
 しかし,このような帰結は,登記に表示された外観に対する原告の信頼を害するものである。そこで,この場合に,実体法上の表見代理を適用して,外観を信頼した原告を保護すべきではないかが問題となる(※2)
  ⑵ 実体法上の表見代理の規定は,いずれも取引の相手方を保護し,取引の安全を図るために設けられた規定であるから,取引行為と異なる訴訟手続において法人を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されない(※3)(※4)。また,訴訟行為においては,一つの行為が他の行為の前提となり,これらが有機的に結合して手続を形成していくのであって,これらの行為の効力は一義的に明白であることが必要であるから,相手方が善意であるかどうか,又は過失があるかどうかなどによってその効力が左右されるのは妥当ではない(※5)(※6)
 したがって,訴訟行為に表見代理の規定を適用することはできない。
  ⑶ そうだとしても,法人が訴訟係属を知り得る状況にありながら,法人の側から代表者変更の通知がなされなかった等の特段の事情がある場合にまで,登記簿上の代表者による訴訟追行の結果を覆滅させることとなると,それまでの訴訟活動がすべて無駄となり,訴訟経済に反することとなる。そこで,前記の特段の事情がある場合には,表見代理を類推適用し,相手方が善意であるかどうかにかかわらず,登記簿上の代表者による訴訟追行の結果を覆滅させることはできなくなると考える(※7)(※8)
  ⑷ これを本件についてみると,Xが提起した訴訟に係る訴状は,Yには送達されず,元理事長のAに送達されたのみである。そうすると,Yにとってすれば,Xが訴訟を提起した事実を知り得る状況にはなかったといわざるを得ない。したがって,Xが提起した訴訟中,AをYの理事長とすることについて表見代理の適用あるいは類推適用は認められないこととなる。
第2 設問2
 1 まず,法人を相手方とする訴訟では,法人の真の代表者に宛てて訴状が送達されなけれはばならず,代表権のない者に宛てた送達は適法な訴状送達の効果(訴訟係属)を生じないため,控訴審裁判所,訴え自体を不適法なものとして却下することが考えられる。しかし,下記のように,訴状の不備については,訴状の補正(民訴法138条2項,137条1項)を命じることで治癒される可能性がある以上,ただちに訴えを却下することは妥当ではない。
 2 次に,控訴審裁判所が,訴状の補正を命じ,真の代表者の所在を明らかにさせ,その者に対して改めて訴状を送達することが考えられる。これによって,真の代表者による従前の手続の追認(同法37条,34条2項)と以降の訴訟追行が期待される。なお,真の代表者を突き止めることができなかった場合には,相手方の申立てにより,控訴審裁判所は,特別代理人(同法37条,35条)を選任することができる。しかし,第1審で法人側が敗訴している場合には,真の代表者による追認の期待は薄いと考えられるため,この場合には前記の方法は妥当ではないこととなる。
 3 そこで,控訴審裁判所は,第1審判決を取り消した上で,第1審裁判所に事件を差し戻す(同法308条1項)ことが考えられる。その上で,第1審裁判所は,訴状の補正を命じることとなる。
 本件でも,控訴審裁判所は,第1審判決を取り消した上で,第1審に事件を差し戻し,Xに対して訴状の補正を命じることとなる。

以 上


(※1)私立学校法
(役員の職務)
第三十七条 理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。
2,3 略
(※2)「法人等の代表者についてとりわけ問題となるのは,表見代理適用の可否である。すなわち,法人を被告として訴える場合,訴状に法人を加えてその代表者の名前を表示し(37条・133条2項1号),代表者に対して訴状を送達する必要があるが(37条・102条1項),原告としては,法人の代表者が誰であるかは,登記をみて判断せざるを得ない。ところが,登記簿上の代表者が真の代表者でなかった場合,訴え提起その他の訴訟行為は,補正または追認がなされないかぎりすべて不適法となるはずである。しかし,この帰結は,登記に表示された外観に対する原告の信頼を害するものである。たしかに,一般論としては,真の代表者を通じて訴訟追行をするという法人側の利益は保護に値するものであるが,法人側が真実に反する登記を放置していた場合にまで,相手方の犠牲においてそうした保護を貫徹すべきかどうかは疑わしい。そこで,この場合には,実体法上の表見代理を適用して,外観を信頼した相手方を保護すべきではないかが問題となるわけである。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』115頁
(※3)「所論は、まず、民法109条、商法262条の規定により被上告会社についてAにその代表権限を肯認すべきであるとする。しかし、民法109条および商法262条の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたつては適用されないものと解するを相当とする。この理は、同様に取引の相手方保護を図つた規定である商法42条1項が、その本文において表見支配人のした取引行為について一定の効果を認めながらも、その但書において表見支配人のした訴訟上の行為について右本文の規定の適用を除外していることから考えても明らかである。したがつて、本訴において、Aには被上告会社の代表者としての資格はなく、同人を被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である旨の原審の判断は正当である。」最判昭和45年12月15日民集24巻13号2072頁
(※4)前掲最判昭和45年12月15日が商法42条1項(現行商法24条,会社法13条に相当)について触れている部分は,この論点に一般的に敷衍かることができるのかどうか不明でしたので(例えば,私学法には同様の規定は見当たりません。),この点については答案上省略しています。
(※5)「民法825条の規定は、共同して親権を行うべき父母の一方が、他方の意思に反して共同名義で未成年者に代わつて法律行為をし又は未成年者がこれをすることに同意した場合において、その外形を信頼した善意の相手方を保護し、もつて取引の安全を図ることを目的としたものであつて、取引行為とは異なる訴訟行為には適用されないものと解するのが相当である。けだし、訴訟行為においては、一つの行為が他の行為の前提となり、これらが有機的に結合して手続を形成していくのであつて、右行為の効力は一義的に明白であることが必要であり、民法825条が規定するように相手方が善意であるかどうかによつてその効力が左右されるのは妥当でないし、また、訴訟行為が外形上父母の共同名義で行われてさえいれば、他の一方の意思に反した場合でもその効力に影響がないと解することは、民訴法が、親権の共同行使の原則のもとで、未成年者が適法に代理されているかどうかを職権調査事項とし、これを看過した場合を絶対的上告理由(民訴法395条1項4号)及び再審事由(民訴法420条1項3号)として規定していることと相容れないからである。」最判昭和57年11月26日民集36巻11号2296頁
(※6)前掲最判昭和57年11月26日は,民法825条の適用についてのみ判断したものですので,これを表見代理一般に敷衍するのであれば,「善意であるかどうか」の部分に「過失があるかどうか」も加えることとなるように思います(例えば,民法109条ただし書参照)。
(※7)「中間的な立場として,次のようなものがある。」「法人が訴訟係属を知り得る状況にあったにもかかわらず,法人の側から代表者変更の通知がなされなかった等の事情がある場合,表見法理を適用し,相手方の善意・悪意に関係なく,登記簿上の代表者による訴訟追行の結果を覆滅させるべきではないとの見解がある。」高橋宏志ほか『民事訴訟法判例百選〔第5版〕』43頁
(※8)なお,この見解は,表見代理の適用を認める見解から,適用場面を制限するために主張されるものですが,前掲高橋ほか43頁には「納谷・前掲29頁,菊井=村松・前掲343頁,石川・前掲627頁は,消極説を採るが同様の結論を認める」との記載があることから,表見代理の適用を認めない見解からも採り得るものであると考えられます。この場合には,消極説を採用する論証で,表見代理の規定が取引上の保護を図るものであるため訴訟行為には適用がないと指摘していますので,表見代理の「適用」は無理だと思われ,少なくとも「類推適用」となるか,あるいは表見代理とは別の根拠によって主張が制限されることになると思われます。



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