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2019-03-26(Tue)

【基礎演習民事訴訟法】問題2「当事者適格⑴ 法定訴訟担当」

【今日の一品】のコーナーです。

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こちらは,一橋ローのすぐご近所にあります,

『ジンギスカンGOCHI』でございます。

ジンギスカンといえば北海道のイメージですが,

それが国立で食べられるということですから,

一橋ロー生としては一回は行っておきたいところ。

北海道民でもないのに味のことについて語ると怒られそうなので,

特に触れないことにしますが,

お値段は2300円(アルコール一品付きで2500円)で1時間食べ放題です。

「食べ放題」っていうのがいいですね。

一番大好きな日本語です。

ところで,今回は,基礎演習の2問目です。

≪問題≫

 XはSに対して1,000万円を融資し,その返済期限は既に到来している。しかし,債務超過(総資産の評価額よりも負債総額の方が大きい状態)に陥っているSは,Xに対して融資金の返済をしていない。Sがその関連会社Yに代金800万円で動産を売却したが,弁済期の到来した売買代金請求権を行使していない,という事実関係をXは知ったので,Xは債権者代位権を行使して,SのYに対する売買代金請求権について800万円の自己への支払を求めてYを被告として訴えを提起した。
〔設問〕
1.Sは,「Xに対する融資金返還債務は,保証人Pが既に弁済しているため消滅済みであって,XはYに対して訴えを提起できる地位になく,むしろS自らがYに対して800万円の支払を求めて訴えを提起できてしかるべきである。」と主張している。この主張を貫徹するために,XのYに対する訴訟の係属中に,Sはどのような手続をとることができるか。
2.Xは,Yに対する訴訟の係属中に,Yとの間で,「YはXに対して2か月ごとに150万円の弁済を5回する。残余の50万円は放棄する。」という内容の訴訟上の和解をすることができるか。
3.SのYに対する売買代金請求権は既に時効により消滅していることを理由にXの請求を棄却する判決がされて,これが確定した後に,SはYに対して800万円の売買代金の支払を求めて訴えを提起できるか。


当事者適格ということで,

債権者代位訴訟にまつわる論点が広く扱われています。

債権者代位は旧司でも重点的に聞かれた年もありますし,

一定程度の理解をしておくことは必須なんだろうと思います。

≪答案≫
第1 設問1
 1 本件では,XがSに対して1000万円の貸金返還請求権(以下「本件貸金返還請求権」という。)を有し,SがYに対して800万円の売買代金支払請求権(以下「本件売買代金支払請求権」という。)を有しているところ,Xが本件貸金返還請求権を被保全債権として,本件売買代金支払請求権を代位行使している。これに対して,Sは,本件貸金返還請求権は,弁済により消滅しているため,Xが本件売買代金支払請求権を代位行使することはできないと主張している。
 そこで,この主張の当否について検討する。
 2 民法423条1項は,債権者が「自己の債権を保全するため」に,債務者に属する権利を行使することができることを規定しているため,債権者代位権を行使するためには,被保全債権が存在することが必要である。ここでは,被保全債権の存在が,債権者代位訴訟の当事者適格を基礎付けることとなる。したがって,被保全債権が消滅している場合には,債権者は債権者代位訴訟の当事者適格を失うのであるから,不適法な訴えとして却下される。そうすると,本件貸金返還請求権が消滅しているのであれば,Xは,本件売買代金支払請求権を代位行使することができなくなる。
 この点,債権者が債務者に属する債権について代位行使に着手し,その事実を債務者に通知するか,債務者が了知したときには,債務者は代位の目的となった権利につき債権者の代位権行使を妨げるような処分をする権能を失う(※1)。一方で,債権者が当事者適格を失ったときには,債務者は自ら債権を行使することができる。本件でも,Xの当事者適格が否定されれば,Sは本件売買代金支払請求権を自ら行使することができる。したがって,Sとしては,Xの当事者適格を失わせるために,前記の主張を行うこととなる。
 3 そこで,Sが前記主張を行うための手段について検討する。
  ⑴ まず,Sが,本件売買代金請求権を行使するため,Yに対して訴訟を提起することが考えられる。しかし,債権者代位訴訟においては,その判決の効力が債務者にも拡張されるため(民訴法115条1項2号),債権者代位訴訟では債権者の当事者適格が肯定された上で請求認容判決がされる一方で,債務者が債権者に当事者適格がないことを理由に独立して訴訟を提起した上で請求棄却判決がされるなどすれば,両判決の既判力が抵触することとなる。そうすると,債務者が提起した訴訟は,既判力の矛盾抵触を避けようとする民訴法142条に反することとなるため,不適法となる。したがって,本件でも,SがYに対して,本件売買代金請求権の行使として訴訟を提起することはできない。
  ⑵ そこで,Sは,Xに対して本件貸金返還請求権の不存在確認請求を,Yに対して本件売買代金支払請求をそれぞれ定立して,XのYに対する債権者代位訴訟に独立当事者参加(民訴法47条1項)することが考えられる。この場合の参加は,権利主張参加となる。そのため,要件としては,Xの請求と,Sが定立する請求が両立しないことが必要である(※2)。この点,Xの請求も,Sが定立する請求も,ともに本件売買代金支払請求であるから,請求自体が両立しないものとはいえない。しかし,同一の債権について当事者適格が認められるのは,XとSの一方のみであるから,当事者適格の段階で両立が不可能である。したがって,このような場合にも,権利主張参加の要件である請求の非両立性が認められると考える(※3)
 独立当事者参加による場合には,Xの請求と,Sの定立した請求とは,併合審理が強制され,訴訟の目的は合一に確定されるのであるから(民訴法47条4項,40条),民訴法142条の趣旨である審判重複による不経済,既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないため,同条に抵触しない。
 よって,Sは,前記の通り,独立当事者参加を申し立てることができる。
第2 設問2
 訴訟上の和解とは,訴訟の係属中両当事者が訴訟物に関するそれぞれの主張を譲歩した上で,期日において訴訟物に関する一定内容の実体法上の合意と訴訟終了についての訴訟法上の合意をなすことをいう(※5)。訴訟上の和解をするためには,和解による合意の対象について,当事者が実体法上の処分権限を有する事項であることが必要である(※6)
 債権者代位権は,債務者の責任財産の保全という目的の限度で債務者の財産管理に債権者が介入することが認められる制度である。したがって,実体法上,代位債権者は,代位の目的である権利の処分権まで有するものではない。そうすると,債権者代位訴訟における債権者と第三債務者とが互譲に基づいて和解をすることはできないようにも思える。しかし,訴訟の続行を望まない債権者に判決に至るまで訴訟追行を強いる必要もないのであるから,債権者代位訴訟において訴訟上の和解がされた場合であっても,訴訟の終了効は生じ,当事者間では和解による合意に拘束されることとし,一方で,債務者に対する関係では,和解による合意の拘束力は及ばないとすれば足りる。
 そこで,本件でも,XがYとの間で訴訟上の和解をすることはできるが,その効力はSには及ばないこととなる。
第3 設問3
 前記のように,債権者代位は,法定訴訟担当であるから,債権者代位訴訟の判決の効力は,債務者にも及ぶ(民訴法115条1項2号)。しかし,債権者代位が行われる場面では,担当者である債権者と被担当者である債務者との間には,被保全債権の当事者としての対立構造が成立している。そうすると,担当者が被担当者の利害を十分に反映して訴訟追行することは必ずしも期待できないというべきである。このときには,債権者代位訴訟において,債権者の勝訴判決が得られた場合は格別,敗訴判決が出された場合には,この判決の効力を被担当者である債務者に及ぼすことを正当化することには疑問がある。
 そこで,代位債権者による訴訟担当が認められる条件として,代位訴訟について,債務者に告知することを要求することが考えられる。これによれば,債務者としては,告知を受けることによって代位訴訟の係属を知り,代位訴訟に参加して自己の利益を主張することができるのであるから,債務者の利害が保障されることとなる(※7)
 したがって,本件でも,Xが本件売買代金支払請求権について代位して訴訟を提起するにあたり,Sに対して告知をしているのであれば,本件訴訟の判決はSにも及ぶこととなる。この場合には,Sは,Yに対して本件売買代金請求権を行使して,800万円の支払を求めることはできない。

以 上


(※1)「按ずるに債権者が民法423条第1項に依り適法に代位權の行使に着手したるときは債務者は其の権利を処分することを得ざるものにして従って債権者の代位後は債務者に於いて其の代位せられたる権利を消滅せしむべき一切の行為を為すを得ざるは勿論自ら其の権利を行使することを得ざるものと解するを相当とす。蓋し裁判上の代位に関する非訟事件手続法第76条第2項に依れば債権の履行期到来前に於いて債権者が代位を為す場合に於いても債務者は其の権利を失うものなるを以て履行期到来後なるに拘らず其の到来前の場合に比し代位の効力薄弱なるを得ざるは当然のことなりと謂うべく若し然らずとせば債権者は代位の目的を達すること能わざるに至るべきのみならずいったん代位権を行使したる債権者の行為を徒労に帰せしむる処あればなり。故に債権者が訴を以て代位権を行使したる後に在りては債務者は第三債務者に対し処分行為と目すべき訴えを提起することを得ざると同時に之が為先に債権者の提起したる訴が理由なきに帰するものに非ず尤も債権者が代位権を行使したる後如何なる時期より債務者に於いて其の権利を処分することを得ざるに至るやに付いては法文上之を明定するところなきも前示非訟事件手続法第76条第1項の法意に準拠し債権者は債務者をして其の権利に付き処分権を失わしめんとせば其の者に対し代位権の行使に着手したることを通知するか又は債務者に於いて既に債務者が代位権の行使に着手したることを了知し居れるが如き事実の存在せざるべからざるものと謂うべく債務者は右通知を受けたる時より又は右了知の時より其の権利を処分することを得ざるに至るものと解せざるべからず。」大判昭和14年5月16日民集18巻9号557頁(ひらがな表記・一部漢字を変換済み)
(※2)「権利主張参加は,原告の請求と参加人の定立する請求とが論理的に両立しない場合に限りすることができる。たとえば,原告がある不動産についての所有権の確認を請求しているのに対し,第三者が同不動産の所有権は自らに帰属すると主張して独立当事者参加を申し出る場合や,原告がある貸金債権の履行を請求しているのに対して,第三者が当該債権は自己に帰属すると主張して参加を申し出る場合が,この要件を満たす典型例である。なお,47条1項の文言自体は,原告と参加人の請求が相互に両立し得ないことを明示的に要求していないが,権利主張参加は控訴審においてもすることができ,また,その審理には40条が準用されるという強い規律を伴うものであることを考えると,一定の限定解釈を施すことにも理由がある。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』575頁
(※3)「次のような事例を考える。Zに対して債権を有するXが,債権者代位権に基づいて,Zの有するYに対する不動産所有権移転登記請求権を主張し,Zへ移転登記せよとの判決を求めて,Yに対して訴えを提起した。他方,Zは,Xが主張する被保全債権は既に消滅しており,Xには債権者代位訴訟についての原告適格が欠けていると考える。」「このような場合について判例は,ZがXに対しては被保全債権不存在確認請求を,Yに対しては所有権移転登記請求を定立しつつ独立当事者参加をすることを認める(最判昭和48・4・24民集27巻3号596頁)。このような判例の処理は実質論としては妥当なものであると評価できるが,この場合に権利主張参加の要件を満たすか否かは疑わしい。XおよびZは同一の権利に基づいて同一内容の判決を求めており,いかなる意味でも請求の両立不可能性を認めることはできないからである(なお,判例は権利主張参加と明言しているわけではなく,詐害防止参加を認めたものと解する余地もあるが,Xの訴訟追行が当然に詐害的であるわけではなく,詐害防止参加の要件が常に満たされるとも言い難い)。この判例の処理を説明するとすれば,Xの訴えとZの訴えは一方が当事者適格を満たさないという理由で却下されざるを得ず,双方の請求が同時に認容されるということはないという意味での両立不可能性は認められるという点に着目して,47条を類推適用したものというほかなさそうである。」前掲三木ほか577頁
(※4)「債権者が民法四二三条一項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であつても、債務者が民訴法七一条により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法二三一条の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。けだし、この場合は、同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴を提起する特別の必要を認めることができるのであり、また、債務者の提起した訴と右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないからである。したがつて、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきものと解すべきではない。もつとも、債権者が適法に代位権行使に着手した場合において、債務者に対しその事実を通知するかまたは債務者がこれを了知したときは、債務者は代位の目的となつた権利につき債権者の代位権行使を妨げるような処分をする権能を失い、したがつて、右処分行為と目される訴を提起することができなくなる(大審院昭和一三年(オ)第一九〇一号同一四年五月一六日判決・民集一八巻九号五五七頁参照)のであつて、この理は、債務者の訴提起が前記参加による場合であつても異なるものではない。したがつて、審理の結果債権者の代位権行使が適法であること、すなわち、債権者が代位の目的となつた権利につき訴訟追行権を有していることが判明したときは、債務者は右権利につき訴訟追行権を有せず、当事者適格を欠くものとして、その訴は不適法といわざるをえない反面、債権者が右訴訟追行権を有しないことが判明したときは、債務者はその訴訟追行権を失つていないものとして、その訴は適法ということができる。」前掲最判昭和48年4月24日
(※5)「訴訟上の和解とは,訴訟の係属中両当事者が訴訟物に関するそれぞれの主張を譲歩した上で,期日において訴訟物に関する一定内容の実体法上の合意と,訴訟終了についての訴訟法上の合意をなすことを指す。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』461頁
(※6)「合意の客体たる権利関係は,訴訟物たる権利関係とこれに付随する権利関係とに分けられるが,主として問題となるのは前者である。訴訟上の和解の構成要素として訴訟物たる権利関係について私法上の合意が含まれる以上,その権利関係およびその他合意の対象となる権利関係が,当事者の処分に委ねられること,すなわち私的自治に服するものでなければならない。請求の法規・認諾の場合と同様に,この点に関して問題となる権利関係として人事法律関係および団体法律関係があり,また,当事者の処分権限から問題となるものとして,訴訟担当者がある。」「訴訟担当者による和解について説明する。選定当事者などの任意的訴訟担当者の場合には,訴訟追行権の基礎となっている受験の内容によって和解の可否が決せられる。授権が訴訟物たる権利関係について処分権をも含んでいるものであれば,担当者は,相手方当事者と権利関係についての合意をなした上で,訴訟終了の合意をなすことも可能である。これに対して,そのような処分権が与えられていなければ,被担当者たる権利主体を和解に関与させ,私法上の合意をなさしめた上で,訴訟当事者間で訴訟終了の合意をなす方法をとらなければならない。」「次に法定訴訟担当についても,担当者の訴訟追行権の基礎が重要である。破産管財人は,破産者の財産について包括的な管理処分権を与えられているので(破78Ⅰ),破産財団に関する訴訟における和解の権限について制約を受けない。これに対して,債権者代位訴訟における代位債権者は,代位の目的たる債権について無制限の処分権を認められているわけではない。民事執行法157条にもとづく債権者取立訴訟についても,同様のことが当てはまる。関連する近時の問題としては,株式会社における責任追及等の訴え(株主代表訴訟)(会社847)における和解の問題がある。原告たる株主は,訴訟担当者と理解されているが,訴訟物たる会社の被告取締役に対する損害賠償請求権については実体上の処分権は与えられていない。したがって,債権者代位訴訟などの場合と同様に,権利の主体たる会社を和解に参加させなければ,訴訟上の和解の成立が認められない。」前掲伊藤464頁
(※7)「法定訴訟担当の中でも,担当者のための訴訟担当の場合には,担当者と被担当者との間の利害が本来対立する関係にあるから,担当者が被担当者の利害を十分に反映して訴訟追行することは必ずしも期待できない。そのため,この場合には,被担当者の利益をどのように保護するかという点が重要な問題となる。」「とりわけ代位債権者の請求を棄却する判決の効力が被担当者に及ぶことが十分に正当化されるかどうかについては,疑問が生じる。そこで,学説では,この点について,以下のような各種の見解が提唱されてきた。」「第3の見解は,債権者代位訴訟が法定訴訟担当であること,代位債権者の受けた判決の効力が有利にも不利にも債務者に及ぶことを前提としつつ,代位債権者による訴訟担当が認められるための条件として,代位訴訟の提起について,債務者に告知することを要求するというものである。この見解によれば,債務者としては,告知を受けることによって代位訴訟の係属を知り,代位訴訟に参加して自己の利益を主張できることとなる。……第三債務者としては,とくに債務者の引込みというような措置をとるという負担を課されることなく,二重応訴の危険を免れることになる。」前掲三木ほか128頁



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