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2019-03-26(Tue)

【基礎演習民事訴訟法】問題1「当事者能力」

やっぱり,ロープラをやめて基礎演習をやります。

こっちの方が問題数が少ないので,とりあえずこっちを潰して,

足りない分野をロープラで補充する感じでいきます。

≪問題≫

【ケース1】
 Xスポーツクラブは,100名の構成員によって組織され,構成員相互の親睦とクラブライフのこうじょうを目的とする任意団体であって,法人ではない。Xの規約では,年1回の定時総会における決議事項は,前年度の重要事項の報告,新年度の運営方針,役員の選任ならびに予算および決算であり,出席構成員の過半数により決議することとされている。Xの運営にかかる事項については,総会で選任された役員をもって構成される理事会において,出席役員の過半数をもって決定される。Xは理事会で互選された理事長をおくものとされており,今回はAが理事長に選出された。また,Xの規約では,構成員は1万円の年会費を支払い,そこには競技場の使用料も含まれるものとされていた。
 Xは,同じ競技を愛好するYくらぶとの間で,対抗試合を企画した。XとYは,Zの管理する競技場を利用しようと考え,会場使用料・賞金その他の諸経費を合計した60万円を折半すること,対抗試合の主催者はXとし,会場確保等の一切の準備作業はXが行い,対抗試合の終了後にまとめてYと清算すること等を事前に書面で取り決めた(本件合意)。対抗試合の翌日,Xが分担金30万円の支払をYに求めたところ,Yは一切払うつもりはないと返答し,Xの要求に応じようとしない。そこでXは,臨時総会を開催して,Yを相手取って民事訴訟を提起する旨を全会一致で決議したところ,構成員全員から協議協賛金として1人あたり5,000円のカンパを受けた。理事会は,このカンパに年会費積立金の一部を加えて弁護士費用に充てることを決議し,その1週間後,Aは弁護士を通じて裁判所に訴状を提出した。
〔設問〕
1.裁判所は,Xに対して民事訴訟法29条を適用して当事者能力を認めるべきか。また,Xに固有の財産があるかどうかは,この判断にどのような影響を及ぼすか。
2.Xが本件訴訟を提起するにあたって,臨時総会を開催し,全会一致で訴訟提起を決議したことは,Xが適法に訴えを提起する上でどのような意義を有するか。
3.Xは,Yに対して,自己に対して分担金を支払うよう請求することができるか。

【ケース2】
 Bは,Xの設立時における発起人メンバーの1人であってXの初代理事長である。BはXを設立するにあたり,クラブ運営の便宜を図るため,Bが所有し,当時自らは全く使用していなかった土地建物をXに無償で譲渡し,登記名義については,Xには法人格がなく,X名義の登記ができないことから,Bの個人名義のままにしておくことにした。設立時以来,Xはそこを活動拠点とし,役員会,各種委員会等の開催場所として頻繁に利用していた。[ケース1]のように,新たにAが理事長に選任され,Xの代表者が交代することになったため,Aは,Bに対して本件土地建物の所有権移転登記手続を求めた。
〔設問〕
1.本件土地建物が,Bの個人名義で登記されている理由を検討しなさい。
2.Xが原告となり,Bに対して本件土地建物の所有権移転登記手続を求める訴訟を提起できるかを検討しなさい。


権能なき社団ですね。

これはもう新司で出題されてますよね。たしか。

まぁでもまた出題される可能性もあるわけなので,

しっかりお勉強しておきたいと思います。

≪答案≫
【ケース1】
第1 設問1
 1 裁判所は,Xに対して民訴法29条を適用して当事者能力(※1)を認めることができるか。「法人でない社団」の判断基準について検討する。
 2 当事者能力とは,民事訴訟の当事者として本案判決の名宛人となることのできる一般的な資格をいう。民訴法29条が法人でない社団について当事者能力を認めているのは,法人でない社団であっても,現実に社会生活上活動している以上,紛争に関係することがあり,その場合には,端的に団体に当事者能力を認めることが,当事者双方にとって便宜であるからである(※2)。したがって,民訴法29条にいう「法人でない社団」かどうかは,現実に社会生活上活動をしている民法上の権利能力なき社団と同様の判断基準によるべきであり,団体としての組織をそなえ,多数決の原理が行なわれ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,その組織において代表の方法,総会の運営,財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する(※3)
 なお,団体が必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく,そのような資産を有していなくても,団体として,内部的に運営され,対外的に活動するのに必要な収益を得る仕組みが確保され,かつ,その収支を管理する体制が備わっているなどの事情があれば,「法人でない社団」として当事者能力が認められる(※4)(※5)
 3 これを本件についてみると,Xは,,100名の構成員によって組織され,構成員相互の親睦とクラブライフの香城敏麿を目的として結成された任意団体であるから,団体としての組織を備えている。
 Xの規約では,年1回の定時総会における決議事項については,出席構成員の過半数により決議することとされており,またXの運営にかかる事項についても,理事会における役員の過半数をもって決定されることとされているから,多数決の原理が行われている。
 また,Xは会員制の任意団体であって,構成員である会員が変動してもX自体は存続するのであるから,構成員の変動にかかわらず団体そのものが存続する。
 Xでは,理事会で互選された理事長をおくものとされており,代表の方法が確定している。また,前記のように,総会における決議の方法等については規約上定められている。Xは,不動産をその資産として保有していないが,年会費制度を採用していることから,収入を得る仕組みが確保されており,規約上,総会によって予算と決算の決議が行われるものとされていることから,収書管理する体制も備わっているということができる。これらの事情からすれば,Xでは,団体としての主要な点が確定していると認められる。したがって,Xが固有の財産を有しているかどうかは,この判断に影響しない。
 4 よって,Xは,「法人でない社団」に該当するから,裁判所は,Xに対して民訴法29条を適用して,当事者能力を認めるべきである。
第2 設問2
 1 権利能力のない社団が,債権を有する相手方に対して,その履行を請求する訴訟を提起する場合には,当該債権を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権が必要である。なぜなら,当該訴訟についてされた確定判決の効力は構成員全員に対して及ぶものであり(民訴法115条1項2号)(※6)権利能力のない社団が敗訴した場合には構成員全員の総有権を失わせる処分をしたのと事実上同じ結果をもたらすことになるからである(※7)
 2 これを本件についてみると,XはYとの間で,競技場の使用料を折半することとし,その分担金である30万円をYが負担する旨の合意がされているにもかかわらず,Yがこれを支払わないのであるから,XはYに対し30万円を請求することとなる。この請求権は,Xの構成員の総有に属しているものである。そうすると,XがYに対してこの請求を求める訴訟を提起するには,Xの構成員の同意が必要である。
 したがって,本件でXにおいて臨時総会が開催されたのは,Xによる当該請求権の処分について,その帰属主体である構成員が同意したことと同等の意義を持つものであり,この同意には,当該権利に関するXへの管理処分権の授与も含まれる。
第3 設問3
 法人でない社団は,権利能力を有しない以上,財産権の主体となることができないから,構成員の権利についての訴訟担当者として訴訟追行することは格別,自己を当事者として財産の給付を求める訴訟を提起することはできない(※8)
【ケース2】
第1 設問1
 本件土地建物は,Bが所有していたものであるが,これをXに譲渡している。そうすると,実質的には,Xが本件土地建物を所有しているようにもみえるため,まずは本件土地建物についてX名義で登記することが考えられる。しかし,権利能力なき社団の資産はその社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであって,社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから,社団の資産たる不動産についても,社団はその権利主体となり得るものではない。また,不動産登記法上にも,権利能力なき社団がその名において登記申請をする資格を認める規定を設けていない。したがって,X名義で本件土地建物の登記をすることはできない(※9)
 次に,本件土地建物が帰属する総有の主体である構成員全員の名義で登記をすることが考えられる。しかし,この方法に拠るときは,構成員に1人でも交替があっただけで,登記による公示が不正確となり,登記名義をその都度訂正する必要が生じ,極めて煩瑣である。したがって,構成員全員の名義による登記は,可能ではあるが,現実的ではない。
 そこで,構成員の代表者が個人の名義で登記をするのが現実的である。この場合には,商品構成員の総有に属する不動産は,構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるものであるから,代表者は,この趣旨における受託者たる地位において当該不動産について自己の名義わもって登記をすることができる(※10)
 なお,ここで,団体の肩書を付して代表者の名義をもって登記をすることは許されないというべきである。なぜならば,このような登記を許すことは,実質において社団を権利者とする登記を許容することにほかならず,不動産登記法が権利者として登記することができる者を実体法上権利能力を有する者に限定しみだりに拡張を許さないものとして趣旨に反するからである(※11)
 以上の理由から,本件土地建物は,Bの個人名義で登記されているものと考えられる。
第2 設問2
 1 Xにおいては,代表者がBからAに交替しているため,本件土地建物の登記名義をBからAに移転しようと考えている。ここで,Bに対する所有権登記移転登記請求をXが行うことができるか,すなわち,Xに当事者適格が認められるかが問題となる。
 2 当事者適格とは,特定の訴訟物について当事者として訴訟を追行し,本案判決を受けることができる資格をいう(※12)当事者適格は,特定の訴訟物について,誰が当事者として訴訟を追行し,また,誰に対して本案訴訟をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるところ,権利能力なき社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については,実質的には当該社団が有しているとみるのが実態に即していることに鑑みると,当該社団が当事者として当該不動産の登記に関する訴訟を追行し,本案判決を受けることを認めるのが,簡明であり,かつ,関係者の意識にも合致している。したがって,権利能力なき社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する(※13)
 3 本件でも,Xは,Bに対し,本件土地建物の所有権移転登記手続を求める訴訟の原告適格を有するから,当該訴訟を提起することができる。このとき,訴訟の判決の効力は,構成員全員に及ぶから,当該判決の確定後,Aが,当該判決により自己の個人名義への所有権移転登記の申請をすることができる。

以 上


(※1)『当事者能力』とは,民事訴訟の当事者として本案判決の名宛人となることのできる一般的な資格をいう。……当事者能力という概念は,基本的には実体法上の権利能力に対応する概念であるが,権利能力とは別個の,訴訟法上の概念である。すなわち,権利能力が,実体法上の権利義務関係の主体となる資格であるのに対して,当事者能力は,民事訴訟の本案判決の名宛人となるための資格を意味する。したがって,ある当事者に当事者能力が認められない場合,その者を当事者とする訴えについて本案判決をすることはできず,訴えは不適法として却下される。このように,原告または被告が当事者能力を有することは,訴訟要件の1つである」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』102頁
(※2)「法人格のない社団または財団について,民法上権利能力が本来認められていないにもかかわらず当事者能力が認められるのは,法人格のない団体であっても,現実に社会生活上活動している以上,紛争に関係することがあり,その場合には,端的にそうした団体に当事者能力を認めることが,相手方にとっても,また団体の側にとっても便宜であるという点にある。すなわち,もし法人格のない団体に当事者能力を求めないこととなると,個々の団体構成員が当事者として訴訟追行せざるを得ないこととなり,しかも,団体の財産関係について,通説・判例のいうように団体構成員の総有に属すると考える場合には(最判昭和39・10・15民集18巻8号1671頁参照),構成員全員が当事者とならないかぎり当事者適格が認められない固有必要的共同訴訟……となってしまうことから,手続進行上,きわめて負担が大きい。これに対して,団体に当事者能力が認められれば,訴訟手続を簡明化し,訴訟追行に伴う負担を大幅に軽減できるものと考えられるのである。」「こうした考慮から,現行法は,法人格のない団体に,比較的広く当事者能力を認めている」前掲三木ほか383頁
(※3)「法人格のない社団すなわち権利能力のない社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原理が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要することは、裁判所の判例とするところである(昭和三五年(オ)第一〇二九号、同三九年一〇月一五日第一小法廷判決、民集一八巻八号一六七一頁)。」最判昭和42年10月19日民集21巻8号2078頁
(※4)「財産的側面についていえば,必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく,そのような資産を有していなくても,団体として,内部的に運営され,対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され,かつ,その収支を管理する体制が備わっているなど,他の諸事情と併せ,総合的に観察して,同条にいう『法人でない社団』として当事者能力が認められる場合があるというべきである。」最判平成14年6月7日民集56巻5号899頁
(※5)「[前掲最判昭和42年10月19日]は,団体の主要な点が確定していることを要するとして,『財産の管理』を掲げる。……もっとも,ここでいう『財産』……には二義性があり,厳密には,①構成員の個人財産から区別された『団体財産』(個々の財産の集合体としての一種の目的財産)が形成されていることと,②団体財産として分別管理される『個々の財産』が存在することを区別して考えるべきである……。」「[ケース1]のXという団体は,不動産をその資産として保有していないが,年会費制度を採用していることから,『収入を得る仕組み』を確保しているとみられる……。[最判昭和39年10月15日民集18巻8号1671頁]との関係で言えば,『収入を得る仕組み』は,上記のように構成員に対する金銭債権の形で存在する場合もあることから,上記②の意味の『財産』(『個々の財産』)に相当するそれらの『収支を管理する体制』は,①の意味の『財産』(『団体財産の形成』ないし『財産の管理』)の問題である。①の『財産』は……不可欠であるところ,それが存在することは,『収入を得る仕組み』の存在を認定できるXについては認めてよいと考えられる(①の『財産』を主要事実とみたとき,②の『財産』はその重要な間接事実に相当する事実と位置づけられる。……)。」解説5頁
(※6)「[最判平成6年5月31日民集48巻4号1065頁,最判平成26年2月27日民集68巻2号192頁など]これらの判決は,団体の当事者適格が訴訟担当によるものかどうかを必ずしも明示していないが,権利帰属主体である構成員に判決効が及ぶという帰結は,訴訟担当に親和的なものといえる。このことから,学説では,この場合における訴訟担当の性質について,構成員の授権に基づく任意的訴訟担当とする見解,入会権などの共同所有の実体法上の性質から導かれる法定訴訟担当とする見解,29条の規定そのものが,同条に適用される場合における団体の当事者適格を認める趣旨を含むとして,同条を根拠とする法定訴訟担当とする見解などが主張されている。これらの見解は,説明の仕方の相違にとどまる部分もあるが,理論的には,実体法上団体構成員に帰属する権利義務について,構成員の意思に関わりなく当然に団体の当事者適格が認められるとすることには問題がある。したがって,基本的には,広い意味で構成員の授権を基礎として,当事者適格の有無を判断するのが適当であろう。」前掲三木ほか386頁
(※7)「権利能力のない社団である入会団体の代表者が構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行するには、当該入会団体の規約等において当該不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要するものと解するのが相当である。けだし、右の総有権確認請求訴訟についてされた確定判決の効力は構成員全員に対して及ぶものであり、入会団体が敗訴した場合には構成員全員の総有権を失わせる処分をしたのと事実上同じ結果をもたらすことになる上、入会団体の代表者の有する代表権の範囲は、団体ごとに異なり、当然に一切の裁判上又は裁判外の行為に及ぶものとは考えられないからである。」前掲最判平成6年5月31日
(※8)「法人格のない社団に当事者能力が認められると,その団体が訴訟上自己の名で当事者となり得ることはもちろんであるが,その場合に,訴訟物である実体法上の権利義務との関係で,,団体がどのような地位に立つのかについては,議論がある。」「この点について,伝統的な通説は,団体に当事者能力を認めることは,その団体に,事件限りでの権利能力を認めることを意味するとし,具体的には,団体を権利者または義務者として判決をすることが可能になる,と考えてきた。」「これに対して,判例は,29条にそのような効果を認めず,法人格がない以上,その団体には実体法上の権利能力は認められない,との立場を貫徹する。したがって,29条の団体が原告となって,団体自身の所有権確認の訴えを提起した場合,権利能力を有しない団体自身が所有者となることは論理的にあり得ない以上,請求は主張自体失当として棄却すべきであるし(最判昭和55・2・8判時961号69頁),団体構成員の総有に属する不動産に関して,団体そのものが登記請求権を取得することも,あり得ないものとされる(最判昭和47・6・2民集26巻5号957頁)。」前掲三木ほか385頁
(※9)「論旨は、権利能力なき社団に登記申請の資格を認めるべきことを前提とし、訴外連合会のような権利能力なき社団の資産たる不動産につきその公示方法として登記をするにあたつては、社団であることの実体に即し、法人が登記申請人となる場合に関する不動産登記法36条1項2号および3号の規定を準用して、登記簿に社団の名称、事務所を記載し、かつ権利能力なき社団であることを示すため社団代表者の氏名住所を併記する方法を認めるべきであつて、代表者個人名義の登記を許すべきではないから、代表者個人の名義による登記の申請を認める原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)には、同条の解釈適用を誤つた違法があるというのである。」「しかしながら、権利能力なき社団の資産はその社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであつて、社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから、社団の資産たる不動産についても、社団はその権利主体となり得るものではなく、したがつて、登記請求権を有するものではないと解すべきである。不動産登記法が、権利能力なき社団に対してその名において登記申請をする資格を認める規定を設けていないことも、この趣旨において理解できるのである。したがつて、権利能力なき社団が不動産登記の申請人となることは許されず、また、かかる社団について前記法条の規定を準用することもできないものといわなければならない。」最判昭和47年6月2日民集26巻5号957頁
(※10)「右のように権利能力なき社団の構成員全員の総有に属する社団の資産たる不動産については、従来から、その公示方法として、本件のように社団の代表者個人の名義で所有権の登記をすることが行なわれているのである。これは、不動産登記法が社団自身を当事者とする登記を許さないこと、社団構成員全員の名において登記をすることは、構成員の変動が予想される場合に常時真実の権利関係を公示することが困難であることなどの事情に由来するわけであるが、本来、社団構成員の総有に属する不動産は、右構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるものであるから、代表者は、右の趣旨における受託者たるの地位において右不動産につき自己の名義をもつて登記をすることができるものと解すべきであり、したがつて、登記上の所有名義人となつた権利能力なき社団の代表者がその地位を失つてこれに代る新代表者が選任されたときは、旧代表者は右の受託者たる地位をも失い、新代表者においてその地位を取得し、新代表者は、信託法の信託における受託者の更迭の場合に準じ、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることの協力を求め、これを訴求することができるものと解するのが相当である。」前掲最判昭和47年6月2日
(※11)「所論は、右の場合においても、登記簿上、たんに代表者個人名義の記載をするにとどめるのは相当でなく、社団の代表者である旨の肩書を付した記載を認めるべきであつて、判決においてもその趣旨の登記をなすことを命ずべきものと主張する。」「しかしながら、かりに、そのような方法が代表者個人の固有の権利と区別し社団の資産であることを明らかにする手段としては適当であるとしても、かような登記を許すことは、実質において社団を権利者とする登記を許容することにほかならないものであるところ、不動産登記法は、権利者として登記せらるべき者を実体法上権利能力を有する者に限定し、みだりに拡張を許さないものと解すべきであるから、所論のような登記は許されないものというべきである。」前掲最判昭和47年6月2日
(※12)『当事者適格』とは,特定の訴訟物について当事者として訴訟を追行し,本案判決を受けることができる資格をいう。ある訴えについて本案判決をするためには,本案判決が合理的にみて必要であると認められなければならない。そして,そうした津要請は,請求の内容が適切かという客体の面と,その訴えにおいて適切な者が当事者とされているかという主体の面から判断される……。後者が,当事者適格の問題である。」前掲三木ほか372頁
(※13)訴訟における当事者適格は,特定の訴訟物について,誰が当事者として訴訟を追行し,また,誰に対して本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるべき事柄である。そして,実体的には権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については,実質的には当該社団が有しているとみるのが事の実態に即していることに鑑みると,当該社団が当事者として当該不動産の登記に関する訴訟を追行し,本案判決を受けることを認めるのが,簡明であり,かつ,関係者の意識にも合致していると考えられる。また,権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については,当該社団の代表者が自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟を提起することが認められているが(最高裁昭和45年(オ)第232号同47年6月2日第二小法廷判決・民集26巻5号957頁参照),このような訴訟が許容されるからといって,当該社団自身が原告となって訴訟を追行することを認める実益がないとはいえない。」「そうすると,権利能力のない社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有すると解するのが相当である。そして,その訴訟の判決の効力は,構成員全員に及ぶものと解されるから,当該判決の確定後,上記代表者が,当該判決により自己の個人名義への所有権移転登記の申請をすることができることは明らかである。なお,この申請に当たって上記代表者が執行文の付与を受ける必要はないというべきである。」最判平成26年2月27日民集68巻2号192頁



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