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2019-03-26(Tue)

【Law Practice民事訴訟法】発展問題2「移送」

さて,刑訴が終わりました。

今年に入ってから,刑法,行政法,刑訴法をやったことになります。

残りの科目もやっていかないといけないですね。

成績的には,民訴がC,民法がDときているので,

これらの2科目をやるべきなのでしょう。

ということで民訴をやります。

とりあえず,ロープラでいいですかね。

基礎演習もやっておきたいんですが,

時間的に余裕はなさそうですね……。

ロープラも問題数が多いので,全部の答案を作っている暇はなさそうです。

≪問題≫

 A銀行(本店・東京都中央区)は,Y1社(本店・奈良県奈良市)に対し,手形貸付をしていたが,その債務についてY1の代表者であるY2が連帯保証していた。この取引は,すべてA銀行奈良支店において行われていた。A銀行とY1の間の銀行取引約定書には,当該銀行取引に関して紛争が生じた場合には,A銀行の本店の所在地を管轄する地方裁判所を専属管轄裁判所とする旨を定める条項があった。その後,Y1は業績不振に陥り,債務の履行を遅滞したので,A銀行は上記貸付債権を不良債権であるとしてX社(本店・東京都新宿区)に譲渡した。X社は,Y1およびY2を被告として,東京地裁に上記手形貸付債権および連帯保証債権の履行を求めて訴えを提起した。X社は,前記銀行取引約定書の条項に基づき東京地裁が管轄権を有すると主張したが,Y1らは,①上記条項は公序良俗ないし独占禁止法に反して無効である,②奈良地裁における審理のほうが当事者間の衡平に資するなどと主張し,民事訴訟法16条および17条に基づき奈良地裁に移送を申し立てた。
 このような移送の申立ては認められるか。


移送です。

管轄の問題は,去年の司法試験で出題されたんでしたっけ。

噂ではそう聞きましたが,まだ問題を見ていないので分かりません。

移送は条文があるので,まだとっつきやすいですね。

≪答案≫
1 民訴法16条に基づく移送について
 ⑴ 民訴法16条は,訴訟が提起された裁判所が,当該訴訟の管轄権を有していない場合に,これを有している裁判所へ移送することを規定したものである。そこで,まず前提として,XのY1及びY2に対する請求に係る訴訟(以下「本件訴訟」という。)について,東京地裁が管轄権を有しているかについて検討する。
 ⑵ 訴訟は,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属するのが原則である(民訴法4条1項)。したがって,本件訴訟の管轄は,Y1の住所地を管轄する奈良地裁に属するそうすると,本件訴訟は,奈良地裁にしか管轄権が認められないようにも思える。(※1)
 もっとも,A銀行とY1との間では,銀行取引約定書において,A銀行の本店の所在地を管轄する地方裁判所を専属管轄とする旨の約定がされている(以下,ここでの約定を「本件専属的管轄合意」という。)。これは,専属的合意管轄(民訴法11条1項)を定めるものであると考えられる。本件専属的管轄合意が有効であれば,本件訴訟は,東京地裁にも管轄権が認められることとなる。
 ⑶ しかし,前記の銀行取引約定書は,A銀行とY1との間において取り交わされたものであるから,A銀行から債権譲渡を受けたXが本件専属管轄的合意を主張することができるかについては問題となる。
 専属的管轄合意は,訴訟法上の合意(※2)ではあるが,内容的にはその債権行使の条件として,その権利関係と不可分一体のものであり,いわば債権の属性をなすものである。そして,本件のような記名債権においては,その属性,内容は当事者間で自由に定めうるものである。その上,当該債権を譲渡する場合には,それらの属性,内容はそのまま譲受人に引き継がれるべきものである。したがって,債権について管轄合意が付されている場合には,その管轄合意の効力は,譲受人との間でも生じることとなる(※3)
 本件でも,Xは管轄合意の付された債権を譲り受けているのであるから,XはY1及びY2に対して,本件専属管轄合意を主張することができる。
 ⑷ それでは,本件専属的管轄合意は有効か。この点,Y1及びY2は,本件専属管轄的合意は,公序良俗ないし独禁法に反して無効であるとの主張をしているため,この点について検討する。
 この点,独禁法は,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的すとするところ,これらの目的は,専門的機関である公正取引委員会による措置をして達成することを予定しているから,独禁法違反の行為は,別途公序良俗に反する場合でない限り,その私法上の効力は否定されない(※4)
 そこで,本件専属管轄的合意が公序良俗に反するかどうかについて検討すると,A銀行とY1との取引はすべてA銀行奈良支店で行われているにもかかわらず,紛争が生じた場合には東京地裁を専属管轄とすることは,A銀行とY1との取引上の力関係の格差を利用した不合理な合意であるといわざるを得ない。したがって,本件専属合意管轄は,公序良俗に反し無効である。
 ⑸ しかし,金銭債権の弁済場所は,別段の意思表示がない限り,債権者の現時の住所であるところ(民法484条),債権の弁済時までに債権者の住所変更があった場合には,債権者の現時の住所とは,当初の住所ではなく弁済時の新住所とされることに鑑み,債権譲渡があった場合には,その債権の履行場所は新債権者の住所地となると考える(※5)
 したがって,本件専属的管轄合意が無効であっても,Y1及びY2はXに対して弁済を行うに際して,Xの住所地を義務履行地としなければならないことから,結局のところ東京地裁に管轄権が認められる(民訴法5条1号)。
 よって,民訴法16条に基づく移送は認められない。
2 民訴法17条に基づく移送について
 ⑴ 民訴法17条は,複数の管轄裁判所があり,一方の裁判所において当事者が訴訟を追行することが当事者間の衡平に反する場合には,他方の裁判所に移送することができることを規定したものである。本件訴訟については,前記のように,東京地裁と奈良地裁が管轄権を有している。また,専属的合意管轄について,民訴法20条1項の適用はない。したがって,本件訴訟は,民訴法17条の移送の対象となる。
 そこで,本件訴訟を東京地裁から奈良地裁に移送することが,「当事者間の衡平を図るため必要がある」といえるかどうかについて検討する(※6)
 ⑵ 本件訴訟の審理に際しては,Y2の証人尋問のほか,A銀行奈良支店の担当者らの証人尋問か必要になる可能性もある。また,本件訴訟に係る契約は,A銀行奈良支店において締結されているのであるから,A銀行奈良支店に証拠となるべきものが存在する可能性もある。これらの事情からすれば,本件訴訟の審理は,東京地裁よりも奈良地裁の方が優っている。
 さらに,銀行取引をする者にとっては,通常,その銀行取引店舗を履行場所として考えらるのが一般であって,新債権者の住所地が債務の弁済場所とされ,このような義務履行地に基づいて管轄裁判所が決定されることは予想外の事態であるといえ,このような不利益を債務者が甘受すべき合理的理由は乏しい。したがって,本件訴訟の移送を認めなければ,Y1及びY2の不利益が大きいというべきである。
 以上からすれば,本件訴訟は,当事者間の衡平を図るため,奈良地裁に移送することが必要であるというべきである(※7)
 ⑶ よって,民訴法17条に基づく移送は認められる。

以 上


(※1)ここは最悪省略できると思います。
(※2)「民事訴訟は,国家によって運営され,大量の事件を全体として適正,公平,迅速,経済の要請……を満たすように処理すべき制度である。たとえば,ある事件の手続に過度の時間を要するならば,これが他の事件の処理に影響し,現在または将来の訴訟当事者に不利益が及ぶ。したがって,訴訟手続は,民訴法等の訴訟法規の定めに従って統一的な方式で進められる必要があり,個々の事件において裁判所や当事者が任意に手続を定めることは,原則として許されない。……訴訟に関する合意の効力の有無は,この任意訴訟の禁止の原則との関係で問題となり,この原則のもとでは,たとえば訴訟手続の進行方法について当事者が合意しても,そのような契約は裁判所を拘束せず,その意味で当該合意は効力を有しない……。」「しかし,訴訟法上の当事者主義である処分権主義や弁論主義が妥当する事項については,当事者の意思を尊重しても,訴訟法規の趣旨や公益に反しない場合が考えられる。そこで,処分権主義や弁論主義の妥当する範囲内の事項については,その内容が合理的かつ明確なものであれば,ほかに無効事由がない限りは,当事者の合意が有効と認められることになる。ここで『有効である』ということの意味は,訴訟法上,裁判所を拘束したり裁判所の判断資料になったりすることを中心に考えるのが相当である。当事者間の効力,たとえば当事者間で合意違反による債務不履行責任が生じるかどうかは,訴訟法上の効果を考えるうえではあまり意味がない。」「このような観点から有効とされる『訴訟に関する合意』の具体例としては,明文で許容されているものを含め,不起訴の合意,仲裁合意(仲裁13条)(以上の2つは,訴え却下の理由として抗弁事項となり得る。仲裁合意につき,仲裁法14条。……),管轄の合意(11条。……),不控訴の合意……,訴え取り下げの合意……,上訴取下げの合意,自白契約(ある事実の存在を認めて争わない旨の合意。……),証拠制限契約……といったものである。」三木浩一ほか『LEGAL QUEST民事訴訟法〔第2版〕』150頁
(※3)「本件の銀行取引に基づく訴訟については、上記1のとおり、中京銀行本店あるいはその奈良支店の所在地を管轄する裁判所(名古屋地方裁判所あるいは奈良地方裁判所)を管轄裁判所とする旨の管轄の合意がある。」「このような管轄の合意(付加的な管轄合意と認められる。)は、訴訟法上の合意ではあるけれども、内容的にはその債権行使の条件として、その権利関係と不可分一体のものであり、いわば債権の属性をなすものである。そして、本件のような記名債権においては、その属性、内容は当事者間で自由に定めうるものであるし、その譲渡の際には、それらの属性、内容はそのまま譲受人に引き継がれるべきものである。とすれば、本件債権について上記の管轄合意の効力は、相手方にも及ぶことになる。そして、本件債権は、中京銀行の奈良支店が行った手形貸付けに基づくものであることからすれば、上記管轄合意によって本来的に予定されていた管轄裁判所は、奈良地方裁判所であると認めるのが相当である。」東京高判平成15年5月22日判タ1136号256頁
(※4)独禁法19条に違反した契約の私法上の効力については、その契約が公序良俗に反するとされるような場合は格別として、上告人のいうように同条が強行法規であるからとの理由で直ちに無効であると解すべきではない。けだし、独禁法は、公正かつ自由な競争経済秩序を維持していくことによつて一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするものであり、同法20条は、専門的機関である公正取引委員会をして、取引行為につき同法19条違反の事実の有無及びその違法性の程度を判定し、その違法状態の具体的かつ妥当な収拾、排除を図るに適した内容の勧告、差止命令を出すなど弾力的な措置をとらしめることによつて、同法の目的を達成することを予定しているのであるから、同法条の趣旨に鑑みると、同法19条に違反する不公正な取引方法による行為の私法上の効力についてこれを直ちに無効とすることは同法の目的に合致するとはいい難いからである。」最判昭和52年6月20日民集31巻4号449頁
(※5)「本件のような金銭債権の弁済場所は、別段の意思表示なき限り、債権者の現時の住所である(民法四八四条)。そして、債権の弁済時までに債権者の住所変更があった場合、債権者の現時の住所とは、当初の住所ではなく弁済時の新住所とされるのと同様に、債権譲渡があった場合、その債権の履行場所は新債権者の住所地となると解される。」前掲東京高判平成15年5月22日
(※6)「当事者間の衡平とは,原告と被告の訴訟追行の負担の均衡を意味している。旧法31条の下では,……『損害』として規定され,その内容として下級審裁判例は,17条が挙げる証拠方法の所在などを考慮してきた。現行法は,そのような考慮要素を法文中に取り込んだ上で,単に被告の負担だけではなく,移送によって原告の受ける不利益も比較考量しなければならないという趣旨から,当事者間の衡平の概念を規定したものである。」伊藤眞『民事訴訟法〔第4版補訂版〕』94頁
(※7)「本件の主たる争点は、抗告人西島の保証責任の有無であると考えられる。そうすると、本案事件の審理に際しては、抗告人西島の本人尋問のほか、その取扱支店であった中京銀行奈良支店の担当者らの証人尋問が必要になる可能性が高いが、同抗告人はもちろん、証人予定者も奈良市あるいはその周辺に住所を有すると考えられる。」「このようにみてくると、本案事件の審理の便宜という面では、東京地方裁判所よりも奈良地方裁判所の方が優っていると認められる。」「また、債権譲渡に伴い、その義務履行地が新債権者の住所地に変更されるとみるべきこと、それは本件債権についても基本的に同様であると考えられることは上記2のとおりである。しかしながら、銀行取引をする者にとっては、通常、その銀行の取引店舗あるいは本店を履行場所として考えるのが一般であろう。そうすると、このような新債権者の住所地が債務の弁済場所とされ、このような義務履行地に基づいて管轄裁判所が決定されることは予想外の事態であり、それによって、債務者の被る不利益は多大なものがあると考えられる。それは、本件についても同様であるが、このような不利益を抗告人らが甘受すべき合理的理由は乏しい。また、これは上記3のような管轄についての合意の趣旨にも反するものである。なお、本訴は、手形貸付けの原因債権の譲渡に伴う履行請求であるが、それと表裏一体の関係にある手形債権の行使の場合には、その債権は取立債権であり、その義務履行地は、債務者の営業所又は住所ということになる(商法五一六条二項)点も考慮されなければならない。」



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