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2019-03-22(Fri)

【事例演習刑事訴訟法】第23講「伝聞法則⑴」

今日は若干(1時間半)の寝坊があったため,

答案作成が遅れています。

今日中に今回の答案を含めて3通書きたいと思っていますが,

果たして間に合うのでしょうか。

もう夕方になってしまいましたが……

≪問題≫

【設 問】
 Xは,Vに対する強姦致死罪で起訴されたが,犯人性を否認した。そこで,検察官は,Vの友人であったWについて,立証趣旨を「被害前のVの言動状況」として,その証人尋問を請求したところ,採用された。証人Wは,検察官の主尋問に対して,「Vから,生前,『Xは嫌いだ。いやらしいことばかりするから』と打ち明けられた」旨証言したところ,弁護人は,直ちに異議を申し立て,「伝聞であって排除されるべきである」旨述べた。裁判所は,検察官に対して意見を求めたところ,検察官は,「当該証言によって立証しようとするのは,WがVから上記の内容を打ち明けられたこと自体であって,非伝聞である」旨の意見を述べた。裁判所は,どのような措置を採るべきか。


いよいよ伝聞にやってきました。

刑訴と言えば伝聞みたいなとこありますからね(ない)

古江本でも5問も収録されています。

この5問を通じて伝聞マスターになろうと思います。

≪答案≫
1 本件では,証人Wが「Vから,生前,『Xは嫌いだ。いやらしいことばかりするから』と打ち明けられた」旨証言(以下,Vの発言を「本件原供述」といい,Wの証言を「本件証言」という。)したことについて,伝聞であるか否かが争われている。そこで,本件証言が「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述」(刑訴法320条1項。以下「伝聞証拠」という。)に該当するかどうかについて検討する。
2⑴ 刑訴法320条1項が伝聞証拠の証拠能力を制限しているのは,伝聞証拠に含まれる原供述には,知覚・記憶・表現・叙述の供述過程があり,各過程において誤りが入り不確かな推認となるにもかかわらず,反対尋問,偽証罪による処罰予告,裁判所による供述態度の観察により原供述の真実性の確認ができないためである。そこで,伝聞証拠とは,公判廷外の供述を内容とする証拠であって,要証事実との関係で原供述の内容の真実性が問題となるものをいう。
 ⑵ これを本件についてみると,本件証言はWが公判廷外においてVが発言した内容をいうものであるから,公判廷外の供述を内容とする証拠である。
 次に,要証事実との関係で本件原供述の内容の真実性か問題となるかについて検討する前提として,本件における要証事実が何かについて検討する。本件の公訴事実はXのVに対する強姦致死罪であるところ,Xはその犯人性を否認しているから,公判廷での争点はXの犯人性である。この点,本件証言の立証趣旨は「被害前のVの言動状況」とされているが,検察官の意見を総合すると,本件証言の立証趣旨は,WがVから本件原供述を聞いた事実であると考えられる。しかし,本件原供述に含まれるいずれの発言をもってしても,Xが犯人であることの間接事実を推認することはできないのであるから,争点に対して何らの証明力を有していない。そうすると,検察官の設定する立証趣旨によっては,本件証言は証拠として無意味であるため,要証事実を検察官の設定する立証趣旨とすることはできない。本件証言は,XがVに対していやらしいことばかりしていた事実から,XがVに対して情を通じたいとの野心を有していたことを推認し,もってVに対する強姦の動機を推認するものである。したがって,本件証言の要証事実は,「XがVに対していやらしいことばかりしていたこと」である。
 そして,本件証言に含まれる「いやらしいことばかりするから」との発言が真実でなければ,前記の推論過程は成立しないのであるから,本件証言は要証事実との関係でその内容の真実性が問題となる。
 したがって,本件証言は伝聞証拠にあたる。
4 もっとも,本件証言について伝聞例外の適用がある場合には,例外的に本件証言にも証拠能力が認められる。本件証言は,「被告人以外の者」であるWが「被告人以外の者」であるVの「供述」を内容とする「供述」であるから,刑訴法324条2項が準用する同法321条1項3号の要件を満たした場合には,伝聞例外の適用を受け,証拠能力が認められる。
 本件原供述の「供述者」であるVは「死亡」しているため,供述不能の要件を満たす。そこで,本件証言が「犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであ」り(※1),かつ,本件証言が「特に信用すべき情況の下にされたものである」(※2)と認められれば,同項の要件を満たす。
5 よって,裁判所は,本件証言について,前記の要件を満たす場合には弁護人の異議を棄却し(※3),前記の要件を満たさない場合には異議を認容する。

以 上


(※1)「単に犯罪事実の存否に関連する程度では足りない。当該供述を証拠とするか否かにより事実認定(犯罪事実及び重要量刑事実の認定)に著しい差異・影響を生じさせる可能性があると外形的に認められる趣旨に解すべきであろう。」酒巻匡『刑事訴訟法』544頁
(※2)「『特信情況』は,証拠能力の要件であるから,供述内容の信用性・証明力それ自体ではなく,供述のなされた際の事情,供述の動機・態様等の外部的事情を考慮勘案して判断される。動機・態様がごく自然な場合や逆に異常な事態の場合(例,臨終の発言,衝動的発言)故に特信情況が認められることもあり得る。事件とは無関係に作成された私人の日記,手紙,メモ等は,その作成時点の外部的情況が,一般的に真実を記載することが通常期待されるものであるかで判断される。例えば,真実を記載しなければ当人の事後の行動に支障をきたす事情がある,相手に真意を伝達する必要がある,他人には知られないという意識で記載されたものと認められる等の事情は特信情況を示す素材となろう。」前掲酒巻545頁
(※3)棄却なのか却下なのかについてはこちらを参照


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
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