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2019-03-22(Fri)

【事例演習刑事訴訟法】第22講「補強法則」

今日も今日とて刑事訴訟法。

残すところあと10問となり,終わりが見えてきました。

やっぱり,ただ演習書を読むだけよりも,

実際に答案を書いた方が理解度は向上するものだと実感しています。

古江を解き終わるころには,私も刑訴の鬼になっていることでしょう。

今回は,古江の第22講です。

≪問題≫

【設 問】
 被告人は,A国の国籍を有する外国人であり,有効な旅券も乗員手帳も所持しないで,平成20年8月ころ,同国から船で本邦の海岸に上陸したものであるが,上陸後引き続き平成26年10月まで山口県内および福岡県内等に居住するなどし,もって本邦に不法に在留したとして,出入国管理及び難民認定法違反罪(不法在留。同法70条2項・1項1号,3条1項1号)により起訴された。被告人は,捜査段階から一貫して,不法入国した事実をも含めて自白し,公判廷でも起訴事実を認めた。検察官は,被告人が我が国に密入国以来同居していた者の検察官に対する供述調書,出入(帰)国および外国人登録記録等に関する照会回答書,被告人の司法警察職員に対する供述調書および検察官に対する供述調書の取調べを請求したところ,弁護人は,これらの書証すべてに同意したので,裁判所は,これらの書面を証拠採用の上,証拠調べを行い,被告人質問,情状証人の尋問を経て,結審し,即日,懲役1年2月(執行猶予)および罰金100万円の有罪判決を言い渡した。
 ところが,上記出入(帰)国および外国人登録記録等に関する照会回答書は,被告人(A国人)に関するものではなく,B国籍の別人についての出入国記録に関するものであったのに,検察官が誤って取調べを請求し,裁判所がこれに気付かないまま取調べを了したものであることが判明した。
 弁護人も,判決言渡し後,このことに気付き,量刑不当に加えて,被告人が本邦に在留した事実については補強証拠はあるものの,被告人が有効な旅券等を所持しないで本邦に上陸した事実について自白を唯一の証拠として有罪の認定をした訴訟手続の法令違反があるとして,控訴を申し立てた。
 訴訟手続の法令違反は認められるか。


補強証拠ですね。

学部の頃にこの講を何回も読んだ気がしますが,

全く定着していないということは,

全く理解しないまま読んでいたということでしょう。

今回改めて読んでみて,微かに光が差し込んだ気がします。

やっぱり答案を書く前提で読むのとそうでないのとでは違います。

≪答案≫
1 被告人は不法在留の公訴事実で有罪判決を言い渡されているが,弁護人は,被告人が有効な旅券等を所持しないで本邦に上陸した事実(以下「本件上陸事実」という。)について自白を唯一の証拠として有罪の認定をした訴訟手続に法令違反があると主張している。
 前提として,被告人は,不法入国した事実をも含めて認める旨の供述をしているから,犯罪事実の全部を認める供述として「自白」(刑訴法319条)にあたる(以下,被告人の供述を「本件自白」という。)。
 そうすると,本件上陸事実について,補強証拠が必要であるとすれば,本件自白のみによってこの事実を認定した裁判所の手続は,刑訴法319条2項に違反するため,刑訴法377条,397条により破棄されることとなる。そこで,本件上陸事実について,補強証拠が必要であるかどうかについて検討する。
2 刑訴法319条2項の趣旨は,自白が裁判官によって偏重されやすい性質を有しているため,自白のほかにこれを補強する証拠を要求し,もって誤判を防止して,真に罪のない者が処罰される危険を排除する点にある。そこで,補強証拠が必要となるのは,犯罪事実のうち,自白の真実性を担保し,誤判を防止する範囲で足りる。
3 これを本件についてみると,不法在留罪は,我が国における外国人の在留を一般的に許さず,適法に入国した事実を犯罪成立阻却事由としているのではなく,外国人の在留が不法上陸にかかる場合だけを禁圧するものであって,不法上陸を犯罪構成要件要素としているのである。そうすると,有効な旅券等を所持しないで本邦に上陸した事実は,犯罪構成要件要素であるから,補強証拠が必要である。
4 よって,原審は,補強証拠を必要とする本件事実を,本件自白を唯一の証拠として認定しているから,刑訴法319条2項に違反するものであり,原判決は破棄を免れない。

以 上


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
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