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2019-03-21(Thu)

【事例演習刑事訴訟法】第20講「自白の証拠能力⑴」

さて,【本日の一品】改め【昨日の一品】のコーナーです。

さて,私が昨日いただいたラーメンは一体なんだったのか。

S__14467074.jpg

こちらは,八王子にあります……

正確には,ありました,九州らーめん桜島の味噌らーめんでございます。

まず特徴的なのは,見てお分かりのように,

上にドーンと何か載ってますね。

こちら,麹味噌でございまして,

これをスープに溶かしながら食べていくということですね。

独特のスタイルだと思います。

味噌にも具材が豊富に入っており,

味噌の甘みを引き立てるのに一役買っております。

らーめん自体の具材は至ってシンプル。

トッピングを何もつけなければもやしだけ。

私はチャーシューをプラスしました。

さて,こちらのお店,「ありました」というのは,

実は昨日3月20日をもって閉店となってしまったんですね。

私も前々から八王子に来たときに気になっていたお店なんですが,

遂に最初で最後の訪問ということになってしまいました。

もっと早くからこの味を知っていれば,

何回も通っていたことでしょう。

惜しいですね。

最終日ということで,店の外には長蛇の列ができており,

店に入れるまで2時間弱はかかりました。

八王子のソウルフードとして人気を博していたことがとてもよく分かりました。

ところで,今回は,古江の第20講です。

≪問題≫

【設 問】
 警察官Kは,Xが,A町長選挙に際し,立候補していたBの選挙運動員Cから,B候補に投票することの報酬として供与されることを知りながら,現金10万円の供与を受けたとの公職選挙法違反罪(受供与)の嫌疑で,Xを通常逮捕した。Xは,逮捕当初から勾留15日目まで一貫して現金の授受を否認していた。そこで,取調べにあたっていた警察官Kは,Xに対して,「事実を認めたら,俺がうまく検事に話して確実に不起訴にしてやるから」などと申し向けたところ,Xは,B候補への投票依頼の趣旨を認識しながらCから現金10万円の供与を受けたことを自白するに至り,その旨の供述調書が作成された。しかし,Xは,検察官の取調べにおいては,再び,現金授受事態を否認した。
 検察官は,Xへの供与を自白したCのKに対する供述は信用できると判断して,Xを逮捕事実に係る公職選挙法違反の罪で,公訴提起した。Xは,公判でも公訴事実を否認し,現金授受の事実はない旨主張した。この場合において,裁判所は,Xの自白を証拠とすることができるか。


自白です。

自白って,なんか知らないけど難しそうな響きしてませんか???

あれかな,民訴の自白のところがごっちゃごちゃしてるせいかな。

民訴に比べると,刑訴の自白は根拠論や適用方が整理されているので,

理解はしやすいですけど,

実践となるとやはり難しいですよね。

違収排とか絡んでくるのがキモいですね。

≪答案≫
1 XがB候補への投票依頼の趣旨を認識しながらCから現金10万円の供与を受けた旨供述したことは,自己の犯罪事実の全部を認める供述であるから,「自白」(刑訴法319条)である(以下,Xの供述を「本件自白」という。)(※1)。裁判所が本件自白を採用するためには,本件自白が「任意にされたもの」である必要がある(憲法38条2項,刑訴法319条1項)。そこで,本件自白が,「任意にされたもの」であるかどうかについて検討する。
2 憲法38条2項及び刑訴法319条1項が,任意性を欠く自白を証拠とすることができないものとしたのは,供述に際して被疑者・被告人の自由な意思決定を妨げ虚偽の自白を誘発する状況がある場合には,これを用いて裁判をすることが誤った事実認定につながるおそれがあるため,これを排除するものである(※2)。したがって,供述過程にある被疑者の自由な意思決定を妨げる事情により被疑者が心理的強制を受け,類型的に虚偽の自白が誘発されるおそれのある疑いが認められるときには,その状況の下でされた自白は「任意にされたものでない疑」があるということになる。
3 これを本件についてみると,Xが本件自白をするに至るまでには,警察官KがXに対して「事実を認めたら,俺がうまく検事に話して確実に不起訴にしてやるから」などと申し向けている(※3)。警察官は,被疑者を不起訴にする権限を有してはいないが(刑訴法248条参照),通常の被疑者であれば,警察官と検察官の権限分配について必ずしも正確に理解していないものと考えられ,警察官本人から直接的にこのように申し向けられれば,警察官が検察官に不起訴の判断をするように働きかける権限があるものと誤信するものと考えられる。ここで,Kが提示した内容は,自白と引き換えに不起訴処分とすることであるが,既に15日の長期にわたり身柄を拘束され相当程度疲弊しているXからすれば,何よりも先に獲得したい利益であると考えられる。そのうえで,Kは確実に不起訴にすると断言しており,その利益を高確率で与える旨を,弁護士等を介さずに直接申し向けており,特にXが不起訴処分の利益を得るために自白をするように誘導しているものである。これらの事実からすれば,Kの提示した利益誘導により,Xは不起訴処分という大きな利益を得るために自白をしようという心理状態に陥っていたものとみることができる。したがって,本件自白がされるまでに,Xは類型的に虚偽の自白が誘発される状況にあったとみることができる。このような状況の下でXは本件自白をするに至っているのであるから,本件自白は「任意にされたものでない疑」があるというべきである。
4 以上から,本件自白は「任意にされたもの」とはいえないから,証拠能力が認められない。よって,裁判所は,本件自白を証拠とすることができない。

以 上


(※1)『自白』(法319条)とは,被疑者・被告人が自己の犯罪事実ないし公訴事実の全部または主要部分を認める供述をいう。」酒巻匡『刑事訴訟法』507頁
(※2)「憲法38条2項が直接要請する自白排除は,拷問の禁止(憲法36条)とも相俟って人心に対する違法不当な圧迫・侵害を防止し,供述の自由を確保する趣旨である。強制等により獲得された真実の自白であってもこのような趣旨から排除される。」「これに加えて,法319条1項の定める『任意にされたものでない疑のある自白』とは,供述過程に虚偽の自白を誘発するおそれのある状況,すなわち供述に際して被疑者・被告人の自由な意思決定を妨げる事情が認められる場合をいう。これは,虚偽自白による誤った事実認定の危険を排する趣意である。」前掲酒巻509頁
(※3)「利益誘導や約束が被疑者の審理に影響を及ぼし,類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあるかどうか,そしてそのような状況下で自白がなされたかどうか……については,①自白採取者側の事情として,㋐利益供与(約束)の主体の権限(警察官が『必ず起訴猶予になる』と申し向けた場合でも,被疑者が当該警察官には検察官に働きかける力があるといった被疑者の認識こそが重要であって,必ずしも利益供与(約束)の権限がある場合に限らない……),㋑供与する利益の内容(起訴猶予の約束はその一類型。供与される利益の内容が,被疑者にとって,自白することの不利益を凌駕するだけの利益があるかどうか。不起訴,保釈など刑事責任に関する利益が中心であろうが,覚せい剤の注射など世俗的利益でも足るとされている),㋒利益供与(約束)の意図・方法(⒜自白獲得を意図したか,単に不用意に発言したにすぎないか,⒝具体的・明示的か,暗示・示唆か,⒞直接か,弁護人その他の者を介してか,など),次に,②被疑者側の事情として,㋐提示された利益(約束)の受けとめ方(提示された利益の被疑者にとっての大きさ。同じタバコ1本の供与でもヘビースモーカーかどうかで異なり得る),㋑当時の身体的・精神的状況(精神状態の不安定,持病など健康状態,知能程度など)等の事情を総合的に考慮して判断することになるだろう」解説280頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
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