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2019-03-18(Mon)

【事例演習刑事訴訟法】第15講「訴因変更の要否」

本日をもって,ローを修了しました!!!!!

終わってしまってから思うのは,

入学前に思っていたよりかはロー生活は大変ではなかったということですね。

なんというか,周囲に恵まれた部分はかなり大きかったと思います。

感謝の念が絶えません。

あと,学位記ももらうことができました。

S__14401538.jpg

色盲なんで(割とガチ)よく分からないですけど,

ワインレッドっぽい?かっこいい学位記をいただけました。

修了式とかいろいろやって,なんとなくの雰囲気はできていましたが,

やっぱりあと2ヶ月は同じ場所に通い続けるわけで,

修了したとかどうとか関係ないなあというのが正直なところです。

残りの期間も頑張りたいです。

ところで,今回は,古江の第15講です。

≪問題≫

【設 問】
 検察官の「被告人は,甲と共謀の上,平成26年8月1日午前2時ころ,金品窃取の目的で,横浜市西区の乙百貨店1階非常口の電気錠に暗証番号を入力するなどして同百貨店に侵入し,同所において,宝石10点を窃取した」との訴因に対し,裁判所は,審理の結果,甲との共謀は認められず,被告人の弁解どおり,同年7月30日,鎌倉市内の甲宅で,甲に乙百貨店の警備に関する情報を漏示して甲の犯行を容易にしたとの建造物侵入・窃盗の各幇助事実が認められるにすぎないとの心証を得た。裁判所は,訴因変更手続を経ることなく建造物侵入・窃盗の各幇助の事実を認定することができるか。


訴因変更の要否っていうやつですね。

平成13年の判例については最低限理解しておかないと手も足も出ないことになってしまいそうです。

しかし,本問では,いわゆる2段階目の部分については,あてはめで触れずに終わってしまいそうです。

こんなときにも,2段階目の規範を長々と書いた方がいいのでしょうか。

悩みどころです。

本問では,おまけみたいな感じで縮小認定についても触れられています。

包摂関係ってよく分かんないですよね。

≪答案≫
1 検察官が主張する訴因(以下「本件訴因」という。)は,被告人と甲とが共謀して百貨店に侵入し宝石を窃取したという建造物侵入・窃盗の共同正犯であるのに対し,裁判所が認定しようとする事実は,被告人は甲が百貨店に侵入し宝石を窃取することを容易にしたという建造物侵入・窃盗の幇助犯である。そこで,裁判所が本件訴因と異なる事実を認定しようとするにあたり,訴因変更手続を経る必要があるかどうかについて検討する。
2⑴ 刑訴法は,当事者主義を採用しているため(256条6項,298条1項,312条1項),裁判所の審判対象は検察官が主張する「罪となるべき事実」の具体的主張である訴因であるところ,その機能は,裁判所に対し審判対象を画定する点にあり,その反射効として,被告人に防御範囲を明示する役割を果たす。したがって,裁判所の審判対象の画定に必要不可欠な事実,すなわち,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定するに足る具体的事実,及び他の犯罪事実と区別するに足る事実に変更がある場合には訴因変更手続が必要になる。
 また,訴因事実と異なる認定事実が一般的に被告人の防御にとって重要な事項であるときは,争点明確化による不意打ち防止の要請に基づく措置がとられるべきであるから,検察官が訴因においてこれを明示した場合には,原則として,訴因変更手続を要する。もっとも,被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし,被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる事実を認定することができる(※1)
 ⑵ これを本件についてみると,本件訴因と裁判所の認定する事実とでは,建造物侵入・窃盗について,共同正犯か幇助かの相違があるが,両者は刑法上の構成要件をその特殊性に鑑みて修正したものであるから,別個の構成要件を成すものである。そうすると,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定するに足る具体的事実に係るものである。したがって,この点について本件訴因と異なる認定をするにあたっては,訴因変更の手続を経る必要があるように思われる。
3⑴ もっとも,裁判所が認定しようとする事実は,本件訴因において主張されている事実に包摂されているものとみて,訴因変更手続を経ることなく裁判所が前記事実を認定することができないか。
 ⑵ 裁判所が認定しようとする事実が訴因において主張されている事実に包摂されている場合には,検察官は,裁判所が認定しようとする事実についても黙示的・予備的に主張しているものとみることができる。そうすると,当該事実を認定しても,裁判所は検察官の主張していない事実を認定することにはならない。したがって,両事実が前記のような関係にある場合には,裁判所が当該事実を認定するにあたっては,訴因変更手続を経る必要がないというべきである(※2)
 ⑶ これを本件についてみると,共同正犯と幇助との構成要件自体を比較したときには,両者は正犯性の有無が異なるのみであって,後者は前者に包摂されているようにも思える。
 しかし,幇助犯の訴因は,幇助に当たる具体的事実の記載が必要とされているので,「共謀の上」との事実が,考えられるあらゆる幇助の態様を黙示的・予備的に主張しているとみることは想定し難い。したがって,裁判所の認定しようとする事実は,本件訴因に係る事実に包摂されているということはできない。
4 よって,裁判所が建造物侵入・窃盗の幇助の事実を認定するためには,訴因変更手続を経ることが必要である。

以 上


(※1)「訴因と認定事実とを対比すると、前記のとおり、犯行の態様と結果に実質的な差異がない上、共謀をした共犯者の範囲にも変わりはなく、そのうちのだれが実行行為者であるかという点が異なるのみである。そもそも、殺人罪の共同正犯の訴因としては、その実行行為者がだれであるかが明示されていないからといって、それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべき事実の特定に欠けるものとはいえないと考えられるから、訴因において実行行為者が明示された場合にそれと異なる認定をするとしても、審判対象の画定という見地からは、訴因変更が必要となるとはいえないものと解される。とはいえ、実行行為者がだれであるかは、一般的に、被告人の防御にとって重要な事項であるから、当該訴因の成否について争いがある場合等においては、争点の明確化などのため、検察官において実行行為者を明示するのが望ましいということができ、検察官が訴因においてその実行行為者の明示をした以上、判決においてそれと実質的に異なる認定をするには、原則として、訴因変更手続を要するものと解するのが相当である。しかしながら、実行行為者の明示は、前記のとおり訴因の記載として不可欠な事項ではないから、少なくとも、被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし、被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ、かつ、判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には、例外的に、訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定することも違法ではないものと解すべきである。」最決平成13年4月11日刑集55巻3号127頁
(※2)「訴因変更の要否に関して,いわゆる『縮小認定』に当たる場合には,訴因変更を要しないと解されてきた。かつて最高裁判所の判例は,防禦上の不利益の観点から,訴因制度は『裁判所が勝手に,訴因又は罰条を異にした事実を認定することに因って,被告人に不当な不意打を加え,その防禦権の行使を徒労に終らしめることを防止するに在るから,かかる虞れのない場合,例えば,強盗の起訴に対し恐喝を認定する場合の如く,裁判所がその態様及び限度において訴因たる事実よりもいわば縮小された事実を認定するについては,敢えて訴因罰条の変更手続を経る必要がないものと解する』と説示していた(最判昭和26・6・15刑集5巻7号1277頁。このほか,殺人未遂の訴因で傷害を認定した場合について,最判昭和29・8・24刑集8巻8号1392頁など)。このような帰結を,審判対象の画定という見地から説明すれば,次のようになろう。」「前記のとおり,審判対象の画定という見地からは,訴因変更は,検察官が当初設定した訴因の記載と,『罪となるべき事実』の特定に不可欠な事項において差異があり,実質的に異なる事実を認定する場合に必要となる。そこで,縮小認定される事実は,審判対象として実質的に『異なる』のかどうかが問題である。例えば,強盗の要件事実たる反抗を抑圧するに足りる強度の暴行脅迫は認定できず,被害者を畏怖させたにとどまるとの心証を得た場合,罪となるべき事実の特定に不可欠な部分に差異があるように見える。」「しかし,当初の訴因の記載に含まれていた一部事実を別の罪となるべき事実として認定する場合とは,当初の検察官主張事実に対して一部消極の判断をするのであり,検察官の主張の枠外にある別個固有の事実を積極的に認定するのではない。認定される縮小犯罪事実は,当初から検察官により黙示的・予備的に併せ主張されていた罪となるべき事実とみることができるから,縮小認定は,訴因の記載と『異なる』事実認定の問題ではなく,訴因の記載どおりの認定の一態様である。したがって,一般には,検察官の設定構成した当初の訴因の拘束力と訴追意思を逸脱したものではないから,訴因変更の問題は生じないというべきである。」酒巻匡『刑事訴訟法』296頁


【事例演習刑事訴訟法の他の問題・答案は下記のリンクから】
・ 第1講(任意捜査と強制捜査)
・ 第2講(職務質問・所持品検査)
・ 第3講(任意取調べの限界)
・ 第4講(身柄拘束の諸問題⑴-現行犯逮捕の適法性,違法逮捕後の勾留,違法逮捕と再逮捕の可否)
・ 第5講(身柄拘束の諸問題⑵-重複逮捕・勾留,同時処理による例外)
・ 第6講(身柄拘束の諸問題⑶-別件逮捕・勾留)
・ 第7講(令状による捜索・差押え⑴-捜索すべき場所の特定性,差押え目的物の特定性)
・ 第8講(令状による捜索・差押え⑵-場所に対する令状による身体に対する捜索の可否,「必要な処分」としての原状回復,電磁的記録の内容を確認せずにする差押えの可否)
・ 第9講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑴-逮捕の現場,差押えの関連性)
・ 第10講(逮捕に伴う無令状捜索・差押え⑵-逮捕現場の第三者に対する捜索の可否,最寄りの場所における被逮捕者の捜索・差押えの可否)
・ 第11講(おとり捜査)
・ 第12講(接見交通)
・ 第13講(一罪の一部起訴)
・ 第14講(訴因の特定)
・ 第15講(訴因変更の要否,縮小認定)
・ 第16講(訴因変更の可否)
・ 第17講(科学的証拠)
・ 第18講(法律上の推定)
・ 第19講(類似事実証拠排除法則)
・ 第20講(自白の証拠能力⑴-約束による自白)
・ 第21講(自白の証拠能力⑵-派生証拠,反復自白)
・ 第22講(補強法則)
・ 第23講(伝聞法則⑴-総論)
・ 第24講(伝聞証拠⑵-領収書の証拠能力,犯行メモの証拠能力)
・ 第25講(伝聞証拠⑶-手続的公正を欠く場合)
・ 第26講(伝聞証拠⑷-再伝聞)
・ 第27講(伝聞法則⑸-弾劾証拠)
・ 第28講(違法収集証拠排除法則⑴-総論)
・ 第29講(違法収集証拠排除法則⑵-外国捜査機関の違法収集証拠)
・ 第30講(違法収集証拠排除法則⑶-違法性の承継,毒樹の果実)
・ 第31講(択一的認定)
・ 第32講(一事不再理効)
・ 第33講(攻防対象論-上訴審における職権調査の限界)
◎その他の答案リンク集はこちら→
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