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2019-03-12(Tue)

【事例研究行政法】第2部問題15

予定よりも1通答案作成が遅れています。

なんとしても今日中に事例研究を終わらせたかったのですが,

果たしてどうなることやら……

≪問題≫

 次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

 甲市では,2000年頃から,市役所内にごみ減量対策本部を設置し,資源ごみ,不燃ごみ,可燃ごみの分別収集を進め,ごみの減量や再資源化を推進してきた。このような取組みは一定の成果をあげ,甲市のごみの量は漸減傾向にある。しかし,甲市は海に面した町ではなく,また,市の面積も狭くその多くが宅地であることから,ごみ焼却処理施設から排出されたご焼却灰や不燃ごみを埋立処分するための処分場を新設することができず,一層のごみの減量を図る必要があった。一方で,甲市の財政状況も悪化していたこともあり,ごみ減量対策本部では,家庭系ごみの収集を有料化することを提言し,既に有料化を行っている他市の状況を調査した。その結果,家庭ごみの収集を有料化しても,料金が廉価な場合にはそれほどの効果がなく,有料化実施直後はごみの量が減少するが,後にごみの量が元に戻ることがあることがわかった,そこで,ごみ減量対策本部では,有料化する場合,既に有料化を実施している他市より,料金を高めに設定することを提言した。
 甲市では,ごみ減量対策本部の提言に基づき,家庭系ごみの収集を有料化することとし,「甲市廃棄物の減量化,資源化及び適正処理等に関する条例」(以下「本件条例」という)を制定し,料金については別表で定めた(いずれも【資料2】参照)。甲市に居住するXは,家庭系ごみ収集の有料化に反対であり,本件条例は違法であると考えている。そこで,Xは訴訟で争うことを決意し,弁護士Aのもとを訪れた。弁護士BはA弁護士の事務所の若手弁護士である。

〔設問〕
1.Xは,どのような訴訟を提起して争うことが適切と考えられるか,検討せよ。なお,行訴法に規定があるものに限り,仮の救済については検討する必要はない。
2.Xは,上記の訴訟において,本件条例の違法性につきどのような主張をすることができるか,甲市の反論を考慮しながら,検討せよ。

【資料】(略)


条例制定行為の処分性です。

処分性のお勉強をしていれば必ず見聞きするところです。

保育所廃止条例の判例が異色を放ちすぎているという気もするので,

同判例には何かしらの形で触れておいた方がよいのでしょう。

本案は,知らない of 知らない。

≪答案≫
第1 設問1
 1 まずXとしては,甲市長が本件条例を制定した行為(以下「本件条例制定行為」という。)の取消訴訟(行訴法3条2項)を提起することが考えられる。
 そこで,本件条例制定行為が取消訴訟の対象となる「処分」にあたるかどうかについて検討すると,「処分」とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。条例制定行為は,一般に,その条例の適用のある地域のすべての者を対象とするものであるから,特定人の具体的権利義務に直接影響を及ぼすものではなく,処分性が認められない(※1)(※2)。もっとも,判例には,保育所廃止条例の制定に処分性を肯定したものがある。同判例は,⑴保育所廃止によって法的効果が直接的に生じること,⑵対象が特定されていること及び⑶救済方法としての合理性が認められることから,処分性を肯定したものであると考えられる(※3)。これを本件条例制定行為についてみると,たしかに⑴ごみ袋の有料化によって,他の行政庁の処分を待つことなく,家庭系ごみの収集を求める者に対しては,ごみ袋の購入による金銭の負担を直接生じさせるものではあるが,⑵その対象となる者は甲市に居住して家庭系ごみの収集を求める者のすべてであり,将来の住民も本件条例の適用を受けることになるはずであるから,対象の特定性に欠けるうえ,⑶Xがごみ収集の費用を払わなければすむようにすればそれでよいのであって,判決の第三者効を強調する必要性もなく,救済方法としての合理性が認められるものではない。したがって,本件条例制定行為は,処分性が認められない(※4)
 よって,Xは,本件条例制定行為の取消訴訟を提起することはできない。
 2 そこでXとしては,本件条例制定行為が無効であることを前提として,甲市が指定の収集袋によらないでXが排出した一般廃棄物を収集する義務が存在することの確認訴訟(行訴法4条後段)を提起することが考えられる。
 確認訴訟においては,訴訟要件としての確認の利益として,①確認対象としての適切性,②方法選択の適切性及び③即時確定の必要性があることが必要である
 ①本件条例制定行為により,Xはすでにごみの収集に際して有料の指定ごみ袋を使用することが義務付けられているから,これを使用せずに甲市がごみを収集することは,現在の法律関係であって,確認対象として適切である。②前記のように,Xは本件条例制定行為自体の取消訴訟を提起することができず,具体性を欠く本件条例制定行為について無効確認訴訟を提起することも確認対象の適切性を欠くものと考えられるから,その他に適切な争う方法がないといえ,方法として適切である。③前記のように,本件条例制定行為により,Xにはすでに有料でなければごみを回収してもらえないことによる法的地位に対する危険が現に生じているため,即時確定の利益が認められる。したがって,Xの上記義務存在確認訴訟は,確認の利益が認められるため,適法にこれを提起することができる。
第2 設問2
1 Xは,本件条例が,地方自治法227条に違反し違法であるとの主張を行う。
 地方自治法227条は,普通地方公共団体が「特定の者のために」事務をする場合に手数料を徴収することができるとしている。ここにいう「特定の者のため」とは,一私人の要求に基づき主としてその者のために行う事務をいい,その事務は一私人の利益又は行為のため必要になったものであることを要し,もっぱら普通地方公共団体の行政上の必要のためにする事務はこれに含まれない。
 これを本件についてみると,たしかにごみを出してそれを市に収集してもらうことは,ごみを出す市民の利益のために市がごみを収集していると考えることができ,「特定の者のため」の事務であるようにも思われる。しかし,廃棄物処理法(以下「法」という。)は,自分でごみを処理することを努力義務としている(6条の2第4項)が,一方で,原則として自分でごみを焼却処理することは許さないものとしている(16条の2)。そうすると,甲市の市民は,通常,家庭系ごみを市に収集してもらわざるを得ないのであり,ごみの収集事務は甲市の市民一般を対象としていると考えられる。また,法は,一般廃棄物の収集等を市町村の義務としている(6条の2第1項)から,専ら普通地方公共団体自体の行政上の必要のためにする事務であると考えられる。そうすると,廃棄物処理手数料は,「特定の者のため」の手数料であるとはいえない。
 さらに,旧法は,条例で手数料を定めることができるとしていた(6条の2第6項)ところ,これは本来手数料ではないものを手数料として扱うことを可能にする創造的な規定であったというべきであり,同規定が削除された以上は,家庭系ごみの収集等につき「手数料」を徴収することは許されない。
 以上からすると,本件条例は,地方自治法227条に違反するものであるといえ,違法である。
 2 またXは,仮に本件条例が地方自治法227条に違反していなくとも,本件条例28条1項別表第1に定めるごみ袋の金額が他の市町村のそれに比して約3倍という高額な金額になっている点が,平等原則に反するとの主張を行う。
 これに対して,甲市は,そもそも手数料の料金をどのように定めるかは甲市がその合理的な裁量に基づいて決定することであり,著しく不合理な料金設定でない限り,当不当の問題を生じるとしても,違法であるとの判断には至らない上,本件条例施行規則では経済的に支払いが難しいものに対する対応もされているから合理性を保っていると反論することが想定される。
 しかし,前記のとおり,家庭系ごみの収集は本来普通地方公共団体の事務とされており,その実施に係る費用について,法は普通地方公共団体が負担すべきであることを前提としていると考えられる。そうすると,その費用負担を市民に転嫁させるような料金の設定は,合理性を欠くものである。さらに,本件条例施行規則をもってしても,Xのような年金生活者等への対応は十分であるとはいえず,なお合理性を欠くものであると考えられる。
 したがって,本件条例28条1項別表第1は,平等原則に反し,違法である。

以 上


(※1)「行政立法を定立する行為や,条例制定行為は,一般的には,特定人の具体的権利義務に直接影響を及ぼすものではなく,処分性は否定される。」櫻井敬子=橋本博之『行政法[第4版]』285頁
(※2)「地方公共団体の議会の固有の立法作用に基づく条例の制定行為をもって,『行政庁』の行為と解することには,文言解釈として疑問があるといわざるを得ない。実質論としても,違憲又は違法な条例は当然に無効とされるべきであり,条例の制定行為に行政処分に一般的に認められている公定力(当該行政庁が権限のある機関により取り消されない限り有効なものとして扱われるという通用力)や不可争力(取消訴訟の出訴期間の経過により当該行政処分の効力が争えなくなるという効力)を認めることは相当でない。実効的な権利救済という観点からしても,違憲又は違法な条例による権利侵害に対しては,通常の場合,当該条例が無効であることを前提とした当事者訴訟や民事訴訟を提起することにより十分な権利救済を図ることができるものであり,また,確認の利益が認められる限りは,当事者訴訟又は民事訴訟としての条例の無効確認の訴えも許されるものと解されるから,条例の制定行為の無効確認を求める訴訟を抗告訴訟として認める必要性は認め難い。以上のことからすると,条例の制定行為は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないと解するのが相当であるように思われるが,仮に例外的にその処分性を肯定する余地があり得るとしても,条例の制定行為の処分性が肯定されるのは,当該条例によって限られた特定の者に対してのみ具体的な効果が生ずることが規定上明らかにされている場合や要件等の規定の仕方は一応抽象的になっているものの実際には特定の者に対してのみ効果を生じさせることを目的として条例が制定され,他の者に適用される可能性がない場合など,その条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することができるような極めて例外的な場合に限られるというべきであろう。」最判解民事篇平成18年度(下)814頁
(※3)特定の保育所の廃止を定める条例を制定した行為の処分性を肯定した最判平成21年11月26日民集63巻9号2124頁では,その理由として,「①その制定行為が行政庁の処分と実質的に同視し得るものであることと,②その制定行為の適法性を取消訴訟において争い得るとすることに合理性があること(救済方法としての合理性)を挙げて」います(最判解民事篇平成21年度(下)863頁)。その上で,「上記①の理由づけの部分は,更に,ⓐ本件改正条例が,他に行政庁の処分を待つことなく,その施行により保育所廃止の効果を発生させ,当該保育所に現に入所中の児童及び保護者の法的地位に直接変動をもたらすものである旨(法的効果とその直接性)を述べる部分と,ⓑ本件改正条例が,本件各保育所の廃止のみを内容とし,当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者の法的地位にのみ具体的な効果を生じさせるものである旨(対象の特定性)を述べる部分とに分けて理解すべきものと考えられる」とされています(前掲平成21年度(下)863頁)。したがって,条例制定行為の処分性を肯定する方向に議論をするにあたっては,⑴法的効果とその直接性,⑵対象の特定性,⑶救済方法としての合理性の観点から検討することになると思われます。
(※4)自分の勉強のために長々と書きましたが,実際の答案でこんなに欠く必要はないでしょう。他のことを書く時間がなくなってしまいます。


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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