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2019-03-11(Mon)

【事例研究行政法】第2部問題13

事例研究行政法もやっと終わりが見えてきました。

この問題を含めてあと5問です。

明日2問,明後日2問やれば終わりです。

なんだかんだで時間がかかってしまいましたねえ……。

他にもやらなきゃならぬ科目があるというのに……。

短答も……。

あっ,TKCの短答は,自己採点によると134点でした。

周囲を見る限り,刑法ができなかったという方が多数発生しているのですが,

逆に自分は刑法が一番点数が高かったです。

41点でした。

まぁでも結果が返ってくるまではこの出来がいいのか悪いのかは何ともいえません。

とはいえこれだけは言えますが,

刑訴は爆死した(2回目)

≪問題≫

 次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

 Aは,産業廃棄物処理施設の設置許可を申請しようとして,B県の担当部署に相談した。担当部署の職員は,「B県産業廃棄物処理指導要綱」に従い,Aに対して,周辺住民の同意書を取得したうえで,B県との事前協議を行うように指導した。Aは,周辺住民に対する説明会を十数回にわたって行い,同意書を得ることを試みたが,Aの処理施設による大気汚染や水源汚染等を心配する周辺住民が反対運動を展開したため,同意書を得ることはできなかった,そこで,Aは,同意書の取得を断念し,B県との事前協議を経ずに,産業廃棄物処理施設の設置許可申請書をB県の担当部署に提出した。

〔設問〕
 次の各場合に,B県知事のとった措置が違法であるとして,AがB県に対して行訴法に基づく訴訟を提起するとすれば,それぞれ,どのような訴訟を提起し,どのような主張をすることが考えられるか。必要に応じて,B県側の反論を想定したうえで,論じなさい。
1.B県知事は,Aの周辺住民の同意書を取得せず,B県との事前協議を経ていないことを理由に,申請書を一切審査せず不受理とし,Aに対して返戻した。
2.B県知事は,申請内容を審査した結果,技術上の基準(廃棄15条の2第1項1号)および申請者の能力に関する基準(同項3号)には適合していると判断したが,周辺住民の同意が得られていないことを理由に,不許可処分をした。
3.B県知事は,申請内容を審査した結果,廃棄物処理法15条の2第1項各号が定める基準のいずれにも適合しているとの判断に至った。しかし,周辺住民の反対運動が激化してきたため,Aに対して,話し合いによる紛争解決を指導し,紛争が解決されるまで,許可を留保することとした。Aは,市道に応じて,周辺住民との話し合いを試みたが,住民側は交渉のテーブルに就こうとしなかった。そこで,Aは,住民を交渉のテーブルに就かせることを狙って,B件に対し,「本件申請に対して速やかに何らかの作為をせよ」との趣旨の要望書を提出した。これに対し,B県知事は,紛争が未解決であることを理由に,許可の留保を継続した。

【資料】(略)


第1部問題2と似たような問題ですね……

設問3は品川マンション事件によせていくことになるんでしょうが,

この判例嫌いなんですよね……。

読み方いまいち分かんないし……。

≪答案≫
第1 設問1
 1 Aは,B県の担当部署に産業廃棄物処理施設(以下「産廃施設」という。)の設置許可申請書(以下「本件設置許可申請書」という。)を提出したにもかかわらず,B県知事が産業廃棄物処理施設の設置の許可決定(以下「本件許可決定」という。)又は不許可決定(以下「本件不許可決定」という。)をしないことについて,不作為の違法確認訴訟(行訴法3条5項)を提起し,これと併せて,本件許可の義務付け訴訟(同条6項2号)を提起することが考えられる。
 2⑴ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)は,産廃施設の設置にあたっては行政庁である都道府県知事の許可を受けなければならないとしており(15条1項),そのために産廃施設を設置しようとする者は,所定の申請書を提出しなければならず(同条2項),都道府県知事において諾否の応答をすべきこととされている。したがって,産廃施設を設置しようとする者がする産廃施設の設置許可の申請は,行手法上の「申請」(同法2条3号)であって,「法令に基づく申請」(行訴法3条5項)にあたる。そして,Aは,B県の担当部署に対して,本件設置許可申請書を提出しているから,これをもってB県の事務所に到達したものとみることができ,「申請をした者」であるといえる(※1)
 したがって,Aの上記不作為の違法確認訴訟は,訴訟要件を満たす。
  ⑵ 法は産廃施設の設置申請について,その申請権者を限定していないから,Aにはこの申請権がある。
 Aは,B県知事が本件設置許可申請書を不受理として返戻した行為(以下「本件返戻行為」という。)が,行手法7条に違反し違法であると主張する。行政庁は,申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならないところ(行手法7条),本件返戻行為は事実上の行為にすぎず,法的にはB県知事が審査を怠って処分をしていない状態となる。したがって,本件返戻行為の後も,B県知事は本件設置許可申請書について審査を行い相当期間内に応答をしなければならないところ,B県知事はこれをしていないから,行手法7条に違反し違法である。
 これに対し,B県知事は,本件返戻行為は,周辺住民の同意書(以下「本件同意書」という。)が「申請書に必要な書類」として添付されている必要があるところ,これがないため,補正を求めた行為であると反論する。しかし,「必要な書類」とは「法令に定められた申請の形式上の要件」であるところ,本件同意書を取得すべきことは,行政指導の基準となる要綱であるB県産業廃棄物処理指導要綱(以下「要綱」という。)2条に定められているにすぎず,法令に定められているわけではない。また,本件同意書は,「当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類」にもあたらない。したがって,本件同意書の添付がないことは,「法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない」とはいえないから,本件返戻行為は行手法7条に違反し違法である。
 3⑴ 本件許可決定又は本件不許可決定は,行政庁である都道府県知事が行う「一定の処分」であるところ,Aはこれを求める旨の「法令に基づく申請」をしている。そして,B県知事は,「その処分をすべきであるにかかわらず」これをしていない(行訴法3条6項2号,37条の3第1項1号)。Aは,「法令に基づく申請をした者」である(同条2項)。したがって,Aは,本件許可の義務付け訴訟を,上記不作為の違法確認訴訟に併合提起する(同条3項1号)。
  ⑵ しかし,この訴訟に係る請求が認容されるためには,Aは,法15条の2第1項各号に掲げる基準のいずれにも適合していることを主張立証しなければならないところ,当該基準は専門技術的判断が必要となるにもかかわらず,B県知事は現時点でこれらの適合性について全く審査していない。そうすると,Aにおいて,これらの主張立証を行うことには困難であると考えられる。
 そこで,裁判所としては,上記不作為の違法確認訴訟についてのみ判決をし,上記義務付け訴訟については判決をしないこととすることが考えられる(行訴法37条の3第6項)。
第2 設問2
 1 Aは,本件不許可決定の取消訴訟(行訴法3条2項)を提起し,併せて,本件許可決定の義務付け訴訟を提起することが考えられる。
 2⑴ 本件不許可決定は,前記のようにAの本件設置許可申請書の提出が「申請」にあたることから,これに対する応答として申請に対する処分(行手法第2章)にあたり,「処分」(行訴法3条2項)にあたる。Aは,本件不許可決定の名あて人であるから,「法律上の利益を有する者」(同法9条1項)として原告適格を有する。本件不許可決定は,B県知事がしたものであるから,被告はB県である(同法11条1項1号)。出訴期間は未だ徒過していない(同法14条)。したがって,Aの提起する上記取消訴訟は,その訴訟要件を満たす。
  ⑵ Aは,法は周辺住民の同意を得ることを許可基準として規定していないから(15条の2),B県知事が周辺住民の同意が得られていないことを理由として本件不許可決定をしたことは違法であると主張する。
   ア これに対して,B県知事は,法15条の2第1項の文言上,同項各号のいずれにも適合していると認めるときであっても,不許可とする余地は排除されていないから,周辺住民の同意を得ていないことを理由に不許可とすることも,B県知事の裁量の範囲内であると反論することが想定される。
 しかし,産廃施設の許可制度(法15条)は,本来自由であるはずの財産権の行使を,衛星や生活環境保全の見地から制限するものであるから,行政庁は,許可基準として法定されていない基準の不充足を理由に不許可とすることは許されない。これを本件についてみると,周辺住民の同意は,法15条の2の要件には掲げられていないところ,それにもかかわらずB県知事は,法定されていない基準としての周辺住民の同意の不充足を理由に本件不許可決定をしている。したがって,本件不許可決定は,違法となる。
   イ また,B県知事からは,法15条の2第1項各号の該当性を認定するにあたっては,都道府県知事に専門技術的な裁量が認められるところ,同項2号の「周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮」がなされているかどうかを判断するための基準として,周辺住民の同意を得ることを求めているのであり,このような基準を定めることは,都道府県知事の裁量の範囲内であると反論することが想定される。
 しかし,本件不許可決定が裁量権の行使としてされたことを前提として,その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。生活環境の保全の見地から周辺住民の意見を許可の判断に反映させる手続きは,法15条6項に規定されている。この手続を超えて周辺住民の同意を許可の要件とすることは,周辺住民に拒否権を与えることになる。生活環境の保全について適正な配慮が十分になされていても,必ずしも周辺住民の同意が得られるとは限らないことを考えると,これは,法15条の2第1項2号の基準該当性を判断するための審査基準として不合理である。そうすると,仮に同号該当性の認定に都道府県知事の裁量が認められるとしても,そのような不合理な審査基準に基づく不許可決定は,裁量の範囲を逸脱するものである。したがって,本件不許可決定は違法である。
 3⑴ 本件不許可決定は,Aが「法令に基づく申請」をしたのに対して,B県知事がこれを「棄却する旨の処分」をしたものであって,前記のようにこれは「取り消されるべきもの」である(行訴法37条の3第1項2号)。Aは,「法令に基づく申請をした者」である(同条2項)。したがって,Aは,上記取消訴訟とともに,上記義務付け訴訟を併合提起する(同条3項2号)。
  ⑵ 本件設置許可申請書については,B県知事において,法15条の2第1項1号及び3号に適合することを既に示している。したがって,Aは,本件設置許可申請書が,同項2号にも該当することを主張する。これが認められれば,B県知事が本件許可決定をすることが「法令の規定から明らかであると認められ」ることとなる(同条5項)。
第3 設問3
 1 Aは,B県知事が,本件許可決定又は本件不許可決定をしないことの不作為の違法確認訴訟を提起し,これと併せて,本件許可決定の義務付け訴訟を提起する。
 2⑴ Aの上記不作為の違法確認訴訟が訴訟要件を満たしていることは,前記の通りである。
  ⑵ Aは,B県知事が行政指導を理由に本件許可決定の留保をしていることが,行手法33条及び7条に違反し違法であるとの主張を行う。
 地方公共団体は,地域における環境の整備保全を責務の1つとしており,法も生活環境の保全を目的の1つとしている(1条)ことからすると,関係地方公共団体において,当該地域の生活環境の保全を図るために,産廃施設の許可申請者に対し,一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い,申請者が任意にこれに応じている場合には,社会通念上合理的と認められる期間許可を留保し,行政指導の結果に期待することがあったとしても,直ちに違法な措置であるとまではいえない(※2)。もっとも,このような許可の留保は,申請者の任意の協力・服従の下に行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまる。したがって,四囲の客観的状況により,申請者において行政庁に対し,許可を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明していると認められる場合には,行政指導に対する申請者の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえるような特段の事情が存在しない限り,許可の留保は違法となる(※3)
 これを本件についてみると,Aは,「本件申請に対して速やかに何らかの作為をせよ」との意思を,行政庁に対する要望書という形で,真摯かつ明確に表明しており,かつ,Aは,申請前から既に行政指導に従って周辺住民の同意を求めて十数回の説明会を行っており,申請後も指導に応じて周辺住民との話し合いを行うべく努力を重ねたにもかかわらず,周辺住民は交渉のテーブルに就こうとすらせずに反対運動をエスカレートさせていることからすると,話し合いによる紛争解決に至らなかったことがAのみの責任であるということはできず,前記特段の事情があるとはいえないから,要望書提出以降の許可の留保は違法である。
 これに対して,B県知事は,Aによる要望書の提出は,住民との交渉上の駆け引きの手段として行われたものであって,紳士な意見表明とはいえないと反論することが想定される。しかし,前記のようなAの度重なる努力にもかかわらず,周辺住民が交渉のテーブルにすら就こうとしないことからすると,紛争の長期化に伴う許可の遅延によってAが莫大な損害を被るおそれがある。このような客観的状況の下でのAによる要望書の提出は,真摯な意思表明であるということができる。
 したがって,B県知事が本件許可決定を留保したことは,違法である。
 3⑴ Aが提起する上記義務付け訴訟が訴訟要件を満たしていることは,前記の通りである。
  ⑵ 前記のように,B県知事が本件許可決定の留保をしたことは違法であるから,上記不作為の違法確認訴訟に「係る請求に理由があると認められ」,B県知事が本件許可決定をすべきことが「法令の規定から明らかであると認められ」る。

以 上


(※1)「行政事件訴訟法(以下単に「行訴法」という。)一二七条[現行行訴法37条]は、不作為の違法確認の訴えの原告適格について『処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。』と規定するが、ここに『処分又は裁決についての申請をした者』とは、申請権限の有無を問わず、当該訴訟の対象となつている不作為の内容である処分裁決について現実に申請した者であることを要し、かつ、それをもつて足りるものと解すべきである(即ち、現実に申請した者が法令に基づく申請権を有しない場合には、行政庁はその申請に対して応答することを義務づけられていないから行政庁の不作為は実体法上違法とならず、本案において請求は理由がないものとして棄却されることになるのであつて、要するに申請権限の有無は本案の判断事項であつて原告適格の問題ではない。」金沢地判昭和46年3月10日行裁22巻3号204頁
(※2)「普通地方公共団体は、地方公共の秩序を維持し、住民の安全、健康及び福祉を保持すること並びに公害の防止その他の環境の整備保全に関する事項を処理することをその責務のひとつとしているのであり(地方自治法二条三項一号、七号)、また法は、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的として、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定める(一条)、としているところであるから、これらの規定の趣旨目的に照らせば、関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が任意にこれに応じているものと認められる場合においては、社会通念上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を留保し、行政指導の結果に期待することがあつたとしても、これをもつて直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。」最判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁
(※3)「もつとも、右のような確認処分の留保は、建築主の任意の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合のものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは、違法であると解するのが相当である。したがつて、いつたん行政指導に応じて建築主と付近住民との間に話合いによる紛争解決をめざして協議が始められた場合でも、右協議の進行状況及び四囲の客観的状況により、建築主において建築主事に対し、確認処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、当該確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めているものと認められるときには、他に前記特段の事情が存在するものと認められない限り、当該行政指導を理由に建築主に対し確認処分の留保の措置を受忍せしめることの許されないことは前述のとおりであるから、それ以後の右行政指導を理由とする確認処分の留保は、違法となるものといわなければならない。」前掲最判昭和60年7月16日


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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