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2019-03-10(Sun)

【事例研究行政法】第2部問題12

TKC模試が終わりました。

刑訴爆死です。

行政法が終わったら刑訴やります。

今言えるのはそれだけです。

今日は第2部問題12です。

≪問題≫

 次の文章を読んで,資料を参照しながら,若手弁護士Lの立場に立って,以下の設問に答えなさい。

 産業廃棄物の収集,運搬,処理および再生に関する事業等を目的とする会社であるAは,甲県乙市内の山林9,818㎡の土地の所有権を売買により取得し,甲県知事から廃棄物処理法15条による許可を受けて,同所に産業廃棄物処理場(以下「本件処分場」という)を設けた。さらに,Aは,本件処分場に産業廃棄物を搬入するための目的で,乙市長に対し,林道丙線(以下「本件林道」という)の使用許可を申請した。
 本件林道は,乙市が開設した総延長3,648m,幅員4mの林道で,乙市林道台帳に登載され,乙市長によって管理されている。本件林道の起点には,鉄製の大きな門扉が設置され,右門扉にはかんぬきがかけられているが,施錠はされていない。乙市長は,乙市林道台帳に登載された林道の維持管理に関する事項を,訓令である乙市林道維持管理規程(以下「本件規程」という)によって定める。
 本件規程によれば,林産物,土石その他の物品を運搬するため,林道を使用する者は,乙市長の許可を受けなければならず(本件規程3条1項),乙市長は,使用者が,⑴本件規程に違反したとき,⑵林道の使用方法が適正を欠き,林道の維持に支障をきたすおそれがあると認められるとき,⑶林道の維持修繕のため必要があるとき,のいずれかに該当する場合には,三木使用許可を取り消し,または,林道の使用を停止することができる(本件規程9条)。なお,上の使用許可の規程は,⑴林道沿線等の居住者の日常生活のための林道利用,⑵公共事業等のための林道利用および占有,⑶併用林道規定に係る国有林野の産物の買受人および国有林野事業の請負人の併用林道利用および占有,⑷不特定の一般利用者のいずれかに該当する場合には,適用されない(本件規程12条)。また,使用者は,林道の設置,補修,林道の維持管理等の経費に充てるため,分担金を納付しなければならない(本件規程11条)。
 Aの申請の内容は,運搬物の種類を産業廃棄物(安定5品目)および重機とし,1ヵ月あたり15tないし20tをダンプカーにより運搬することとし,使用区間を本件林道の起点付近から2kmとするものであったが,乙市長は,本件林道の使用を不許可とする決定(以下「本件不許可」という)をし,Aに通知した。不許可の理由は,本件林道は,森林法に基づき,林産物の運搬,林業営業および森林管理のために必要な交通の用に供する趣旨で解説されたものであるところ,産業廃棄物が搬入されると,山林は破壊され,汚水は浸透して地下水を汚染し,下流住民の健康を蝕むことになるし,トラックが日常侵入するようになると,道路が破壊され,林産物の搬出や森林管理のための車両の通行にも支障を来すことになる,というものであった。
 Aの代表者であるBは,本件不許可の通知を受けてから約1週間後に,本件林道を使用するための訴訟について検討するため,弁護士JおよびKと面談した。

〔設問〕
1.Aが本件林道の使用許可を得るために提起すべき訴訟(行訴法に規定されたものに限る)について述べなさい。なお,仮の救済について触れる必要はない。
2.Aが本件不許可の違法性について行うべき主張について述べなさい。

【資料】(略)


設問は素直です。

とりあえず処分性は,地方自治法をこねくり回してどうにかするという感じですね。

こんな問題がいきなり出されても,地方自治法をひける自信はありません。

資料に載っている判例をどう答案に活かすかもポイントになりそうですね。

よく分からないです。

≪答案≫
第1 設問1
 1 Aは,本件不許可決定の取消訴訟(行訴法3条2項)を提起し,これと併合して,本件林道の使用の許可決定(以下「本件許可決定」という。)の義務付け訴訟(同条6項2号)を提起することが考えられる。
 2⑴ 本件不許可決定が抗告訴訟の対象となる「処分」にあたるか。
 「処分」とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたしその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
 本件林道は,乙市において公用又は公共用に供し,又は供することと決定した財産であるから,「行政財産」である(地方自治法238条4項)。そうすると,本件許可決定は,同法238条の4第7項に基づいて行われることとなる。ここで,目的外使用許可は,その実質は,乙市がAとの間で本件林道について賃貸借関係を設定するものともいえるため,目的外使用許可を契約締結の申込みに対する承諾とみることもできる。この場合には,対等当事者間における契約関係の設定にすぎず,乙市において優越的地位が認められないから,公権力性を有しない行為であるとして,処分性が否定される。
 しかし,同法238条の4は,行政財産について用いる「許可」(同条7項)ないし「許可を取り消す」(同条9項)という文言を使用しているところ,このような文言は通常行政処分に対するものとして用いられるものである。一方で,同法238条の5は,普通財産については「貸付」(同条1項)ないし「契約の解除」(同条4項)という文言を使用しており,これらは通常の契約関係の設定の場面で用いられるものである。さらに,同法238条の4は,行政財産については貸付や私権の設定を禁止し(同条1項),例外的に貸付け等ができる場合を列挙しているが(同条2項),これらの規定とは別個に目的外使用許可についての定めを置いている。以上のような地方自治法の規定からすると,同法は,目的外使用許可を,単なる契約関係の設定とは区別した上で,行政庁が公権力をもって行う行為であることを承認しているということができる。したがって,目的外使用許可の一環としてされる本件許可決定も,公権力性が肯定される。
 もっとも,行政財産の目的外使用許可については,地方自治法上,申請制度について規定されていない。そうすると,行政財産の目的外使用を行おうとする者には,その申請権が認められておらず,これの不許可決定がされたとしても,国民の権利義務を形成しまたはその範囲が確定されたとはいえないともみられる。
 しかし,行政財産の目的外使用許可は,申請者の申請なしになされることはおよそ考えられないのであるから,地方自治法は,申請者により申請がなされることを当然の前提としているものとみるべきである。そして,申請に対して許可がされると,これにより申請者は,行政財産を適法に使用収益する具体的権原を有することとなるのであるから,そのような許可を求める申請者の地位は,一種の権利ないし法律上の地位ということができる。そうすると,これに対してされる不許可決定は,申請者の前記権利ないし地位について,権利義務を形成しまたはその範囲を確定するものであるということができる。したがって,本件不許可決定は,国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定するものである。
 本件不許可決定は,地方自治法238条の4第7項に基づいて,乙市長が行ったものであるから,法律上認められている行為である。
 以上から,本件不許可決定は,抗告訴訟の対象となる「処分」である。
  ⑵ Aは,本件不許可決定の名あて人であるから,「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)として,原告適格を有する。本件不許可決定を行ったのは,乙市長であるから,被告は乙市となる(同法11条1項1号)。出訴期間は満たされている。
 3 よって,Aは,本件不許可決定の取消訴訟を適法に提起することができる。また,Aとしては,本件許可決定がなされることを望んでいると考えられるから,本件許可決定の義務付け訴訟を併合提起する(同法37条の3第3項2号)。同訴えについても,訴訟要件を満たすため,適法に提起することができる。
第2 設問2
 1 行政庁が行政財産について目的外使用許可をするにあたっては,その用途又は目的を妨げないことが求められており(地方自治法238条の4第7項),その判断にあたっては,当該行政財産の性質や目的外使用の内容など諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠である。そうすると,このような判断は,これを決定する乙市長の広範な裁量に委ねられている。
 もっとも,本件不許可決定が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。
 2⑴ Aは,乙市長が,産業廃棄物が搬入されることによる山林破壊を本件不許可決定の理由としたことは,他事考慮であって違法であるとの主張を行う。
 行政財産の目的外使用の不許可をするための理由は,当該行政財産の用途又は目的を妨げるおそれがある場合に限られるところ(地方自治法238条の4第7項),産業廃棄物の搬入による環境破壊は,本件林道の設置の用途又は目的とは無関係である。したがって,乙市長が本件不許可決定にあたって,この事情を考慮したことは,考慮すべきでない事情を考慮したものであり,その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるから,本件不許可決定は違法である。
  ⑵ Aは,乙市長が,地下水質汚濁による下流住民の健康被害を本件不許可決定の理由としたことは,考慮不尽であって違法であるとの主張を行う。
 森林法が「森林の保続培養と森林生産力の増進」を目的としていること(同法1条)(※1)や,住民の生命・健康という法益の重要性に鑑みて,環境破壊のおそれを考慮しうるとしても,搬入されるのは安定5品目のみであるから,環境破壊が発生するおそれはない。したがって,乙市長が本件不許可決定にあたって,これらの事情を考慮したことは,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くものであって,その内容が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認められるから,本件不許可決定は違法である。
  ⑶ Aは,乙市長が,トラックが日常進入することによる道路破壊,他の車両の通行上の支障を本件不許可決定の理由としたことは,考慮不尽であって違法であるとの主張を行う。
 Aにおいて予定している搬入量はそれほど大量ではないため道路が傷む可能性は小さい上,必要があれば通過車両の重量や通行量を制限することもできる。また,道路が傷んでも分担金によって補修することも可能である。さらに,本件林道は,元々利用者が少ないことから,本件林道の本来の目的のための利用にとって支障になるおそれはない。したがって,乙市長が本件不許可決定にあたって,これらの事情を考慮したことは,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くものであって,その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるから,本件不許可決定は違法でである。
 3 また,Aは,乙市長が本件不許可決定の理由として挙げた事情の外にも,本件許可決定がされなければAが得た本件処分場の設置許可が無意味となるから,この点を考慮しなかった点に違法があるとの主張を行う。
 判例(※2)では,行政庁が,桟橋を設けることが採石場において採石業を行うために不可欠である点を考慮しなかった点について,考慮不尽を理由に違法としたものがある。この判例からすれば,正当な目的を達成するために,使用許可が必要不可欠である場合には,これらの点を十分に考慮せずになされた不許可決定は違法となる可能性がある。
 これを本件についてみると,Aは許可を受けて本件処分場を設置しているところ,本件林道が本件処分場に産業廃棄物を搬入する唯一のルートであって,本件林道を使用できなければ適法に設置された本件処分場を使用することがほぼ不可能となる。また,本件林道の利用態様も,他の利用者と同様に,一時的に通行するだけであるし,道路という施設の本来の目的に近い利用方法である。これらの点からすれば,Aは,本件処分場の使用という正当な目的を達成するために,本件林道の使用許可が必要不可欠であるということができる。したがって,乙市長がこれらの点を考慮しなかったことは,考慮すべき事情を考慮しないことによりその内容が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認められるから,本件不許可決定は違法である。

以 上


(※1)(参照条文)森林法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もつて国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。
(※2)最判平成19年12月7日民集61巻9号3290頁


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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