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2019-03-04(Mon)

【事例研究行政法】第2部問題11

何度も言っていますが,明日模試なんですよね。

答案書いてないで早く寝ろよって感じですよね(23時10分を示す時計を見ながら)

≪問題≫

 次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

 甲市の乙商店街では,日頃から多くの買物客が来るため,多くの店舗が道路上に商品を並べて営業している。この道路は幅員8mであるが,道路の両側に商店が並ぶため,午前9字から午後8字までは歩行者専用として使用され,その時間中は許可を受けた商品搬送車のみが通行できる。なお,この道路にほぼ平行して片側1車線で歩道がついた道路が約100m離れた場所を通過している。このため商店街の道路は専ら商店街利用者その他の歩行者や自転車のための道路として利用され,自動車については,平行して走る道路が利用されてきており,この2本の道路により交通需要に十分に対応できる状況である。
 この商店街の道路を毎日通学利用しているK大学法科大学院の学生A(甲市の住民である)は,この道路上での商品の展示により,道路幅が狭まるとともに買物客の多いお昼頃から夕方にかけては自転車と歩行者が衝突しそうになることもたびたびあるし,また,自己の所有地でもない道路を商売に使うことはおかしいと考え,まず,甲市役所の道路管理課に商品の撤去を命令するよう要望した。
 これに対して,道路管理課の職員は,「たしかにあの商店街は,道路上に物を置いていますね。町さのうえ,危険があるようでしたら,対処します」と回答した。
 その後甲市の道路管理課と商工課の職員は,実際に状況を調査するために,買物客が集まる午後3時から4時にかけて現場に赴き,商店主,および買物客にも事情を聞いた。商店主は,「みんなやっているし,お客さんを呼び込むためには,目玉商品をよく見える道路上に並べることが必要だ」と回答した。また,買物客からは「道路上に多少商品が並べられても気にならないし,品定めをしたり,各店の店員と話をするには店内の奥に商品があるよりも,手前にある方がよい」との回答が多かったが,中には通行の邪魔になるし危険だという回答も複数あった。
 そこで,甲市役所内で検討会議をした。会議では,商工課の職員がこの商店街が市の中心部の経済を支える役割を担っていることを挙げて,多少の陳列行為は摘発しないよう求めたが,道路管理課は,摘発は控えるものの,法令上の禁止行為等については住民に知らせるべきだと説明した。そこで甲市役所の道路管理課長は,職員を派遣して,商店主たちに「道路上の通行の妨げになるような商品陳列は控えるように」という,口頭での指導をした。
 ところが,その後も商店の道路上への商品の陳列はとどまらず,最近では,毎日,開店前の朝9時過ぎから,夕方6時頃まで,幅員8mの道路のおよそ半分程度は商品で占拠される状況が続いている。
 Aは,このようなことは許されないと考え,法的手段をとりうるか否かを検討することとした。

〔設問〕
1.甲市は,このような道路上の商品展示をやめさせるため,行政指導以外に,道路法上どのような法的手段をとることができるか,検討しなさい。
2.乙商店街の店舗の経営者は,道路上に多少の商品を置いても,通行が危険な状態にならない限り,規制されるのはおかしいし,また,この商店街は市の経済を支えているし,市の商工課からも頑張って欲しいと言われているのだから,これを一方的に規制することはおかしいと考えている。また,道路上にものを置いているのは,商店街の店舗だけでなく,商店街の入り口にある鋼板では看板を道路上に置いているし,電柱も道路上に設置されている。このような状況で,商店街だけ狙い打ちで帰省するのはおかしい,しかも看板や電柱は24時間道路上にあるが,道路上の商品陳列行為は朝9時から夜8時までで,朝の通勤・通学時間は置いていない。夕方はむしろ買い物に便利である,とも考えている。
 これらの商店主たちの言い分について,設問1で検討した甲市の手段に対する反論の法的主張として構成できるか検討しなさい。また上記言い分以外に,例えば,適法に展示をするため適切な反論が可能であれば,これも説明しなさい。
3.Aは,道路上に商品がはみ出しているのは違法であるので,何とかしてこのような違法行為をやめさせたいと考えている。Aのこの希望を実現するために,Aが,甲市に対して,何らかの法的手段をとるよう求める訴訟を提起することができるかどうかを検討しなさい。
4.Aは,問題の道路は甲市の市道であるので,このような違法状態を放置することは甲市の財産管理としても許されないと考えており,また,商店主が公共の財産を私物化して利益を得ていることに疑問を感じている。Aが,住民訴訟で甲市の管理責任を追及することは可能かどうかを検討しなさい。
 なお,本件では,道路交通法の問題は解答の範囲外とする。


ついに出ました,住民訴訟。

でも,そんなにがつがつ聞かれているようなわけではなさそうですね。

安心しました。

あとは,そんなに難しいことはないですかね。

設問2が変わった形式だなあとは思いましたけれども。

≪答案≫
第1 設問1
 1 甲市は,道路管理者として,道路法71条に基づく監督処分をすることが考えられる。
 2⑴ 道路法32条1項6号は,「露店,商品置場その他これらに類する施設」を道路上に設けるにあたり,道路管理者の許可を必要とする。乙商店街の商店主ら(以下「Yら」という。)が道路上に並べる商品(以下「本件商品」といい,本件商品を道路上に並べる行為を「本件陳列行為」という。)は,ここでいう「類する施設」にあたるから,道路管理者である甲市の許可を受ける必要があるところ,Yらはこの許可を受けていない。したがって,Yらは,道路法に「違反している者」(同法71条1項1号)として,監督処分の対象となる。
  ⑵ 道路法43条2号は,「みだりに道路の交通の支障を及ぼす虞のある行為」をすることを禁止している。本件陳列行為によって,幅員8mの道路のおよそ半分程度は本件商品で占拠される状態となっている。そうすると,商店街の性質上,本件商品を眺めている買物客が周囲をよく確認せずに道路上へ進出することも想定されるところ,4mの幅員では乙商店街を通行する自転車と接触する危険を安全に回避することが困難であると考えられるから,本件陳列行為は,「みだりに道路の交通の支障を及ぼす虞のある行為」であると認められる。このことは,本件陳列行為が午前9時過ぎから午後6時頃までに限って行われるものであったとしても,乙商店街の利用者のピークが昼頃から夕方にかけてであり,その間が特に前記の危険が高まっているということができるから,異なるものではない。したがって,Yらは,道路法に「違反している者」として,監督処分の対象となる。
 3 監督処分は,Yらが本件陳列行為を行うことを制限するものであるから,「不利益処分」(行手法2条4号本文)にあたる。したがって,甲市がYらに対して監督処分を行うには,弁明の機会を付与し(同法13条1項2号),その理由を提示する必要がある(同法14条1項)。
 4 なお,監督処分は「法律に基づき行政庁により命ぜられた行為」(行政代執行法2条)であるが,甲市が撤去命令をする場合には,Yらは毎日午後6時頃には本件商品を道路上から片付けているのであるから,これをもって義務が履行されていると評価され,代執行を行うことはできない。また,甲市が本件商品の展示の禁止命令をする場合には,非代替的不作為義務を課すものであって,代執行の対象とならない。したがって,甲市はいずれの監督処分についても,行政代執行を利用することはできない。
第2 設問2
 1 まずYらは,甲市がする監督処分は,その要件を欠き違法であるとの主張を行う。
 道路法32条1項本文では,「工作物,物件又は施設を設け」と定め,同項6号も「露店施設」と定めているから,これらの規定は一定の施設を規制対象とするものであるから,単に道路上に商品を置くことをこれに含めることはできない。したがって,本件陳列行為は,道路法32条1項6号に該当しない。
 また,道路法32条1項7号は,1号ないし6号の規定を,道路の構造または交通に支障を及ぼすものの例示としていると考えられる。前記のように,本件陳列行為を施設の設置とみることはできない上,本件陳列行為は交通の激しい朝の通勤・通学時間には避けられ,乙商店街の道路が午前9時から午後8時までの歩行者用に規制された際にしかされていない。当該時間には,許可された自動車しか通行することができないため,一般的に自動車の通行を阻害しているものとは認められない。さらに,これまでのところ,特に事故が起こったことはないものと考えられ,昼間や買い物の時間では商品が多少道路上にあっても特に問題を生ずるものではない。そして,甲市が午後3時から4時頃にかけて調査を行ったところ,本件陳列行為を問題視する回答は少なく,むしろ肯定的な回答が多かったのである。したがって,本件陳列行為は,「交通に支障を及ぼす虞」があるということはできないため,本件陳列行為は道路法32条1項7号に該当しない。
 さらに,前記のことからすると,本件陳列行為は道路法43条2号にも該当しない。
 以上からすると,本件陳列行為について甲市がする監督処分は,その要件を欠くため,違法である。
 2 またYらは,本件商品を適法に展示するために,甲市から占用許可を得ることが考えられる。
 甲市は監督処分を行う前提として,本件陳列行為が道路法32条1項6号にいう「これらに類する施設」にあたると主張しているから,これ自体に対する反論は行わず甲市に対して占用許可を申し立て,これを得れば,Yらは適法に本件陳列行為を行うことができる。
 3 さらにYらは,甲市がする監督処分が行手法上の弁明の機会の付与及び理由提示を欠いてされた場合には,この手続上の違反を主張することができる。
 4 なお,Yらが,市の商工課から頑張って欲しいと言われていること,交番では道路上に看板が立てられていること,電柱が設置されていることは,甲市が行う監督処分に対する反論を構成しない。
第3 設問3
 1 Aは,甲市が監督処分を発令することの義務付け訴訟(行訴法3条6項1号)を提起することが考えられる。
 2⑴ 前記のように,監督処分は「不利益処分」であるから,義務付け訴訟の対象となる「処分」にあたる。
  ⑵ もっとも,Aは,甲市がする監督処分の名あて人ではないから,「法律上の利益を有する者」(同法37条の2第3項)にあたるかが問題となる。
 「法律上の利益を有する者」とは,当該処分がされないことにより自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして,当該処分を定めた根拠法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,これを個々人の個別的利益としても保護する趣旨であると考えられる場合には,このような利益も法律上保護された利益であるということができる。
 この点,Aは,乙商店街の道路を自由に通行かることができる状態を権利として主張するものてあると考えられる。しかし,道路法は,私人に対して道路の排他的使用権を認めているものではない。そうすると,道路法上,私人が道路を通行する利益は,道路の供用開始によって事実上受ける反射的利益に過ぎないものとして扱われているというべきであり,このような利益をそもそも一般的公益としても保護する趣旨ではないと考えられる。
 したがって,Aは,「法律上の利益を有する者」にはあたらないため,原告適格を有しない。
 3 よって,Aは上記義務付け訴訟を適法に提起することはできない。
第4 設問4
 Aは,甲市がその財産管理を怠る事実が違法であることの確認を求める請求(地自法242条の2第1項3号)及びYらに対し損害賠償または不当利得返還請求をすることを甲市市長に求める請求(同項4号)をする。
 道路法4条は,道路上において私権を行使することはできないとし,同法32条1項は,道路に広告塔その他これに類する工作物等を設け,継続して道路を使用しようとする場合においては,道路管理者の許可を受けなければならないと定めている。その上で,同法71条1項は,道路上に許可なく工作物を設置した者に対して監督処分をすることができる旨を規定している。そうすると,甲市は,Yらが本件陳列行為をしていることが同法32条1項に違反し,前記監督処分をすることができるにもかかわらず,これを行使しないのであるから,甲市がこれを発令しないことは,違法である。したがって,Aは,甲市がその財産管理を怠る事実が違法であることの確認を求める請求をすることができる。
 また,前記の道路法32条1項の規定にの併せ,同法39条1項は,道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収することができる旨を定めており,この規定に基づく占用料は,都道府県道に係るものにあっては道路管理者である都道府県の収入となる(道路法施行令19条の4第1項)。そうすると,道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収して収入とすることができるのであるから,道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する(※1)。したがって,Aは,甲市市長はYらに対し,損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有していることから,これを行使するように求める請求をすることができる。

以 上


(※1)「道路法32条1項は,道路に広告塔その他これに類する工作物等を設け,継続して道路を使用しようとする場合においては,道路管理者の許可を受けなければならないと定めている。そして,同法39条1項は,道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収することができる旨を定めており,この規定に基づく占用料は,都道府県道に係るものにあっては道路管理者である都道府県の収入となる(道路法施行令19条の4第1項)。このように,道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収して収入とすることができるのであるから,道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得するものというべきである。」最判平成16年4月23日民集58巻4号892頁


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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