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2019-02-28(Thu)

【事例研究行政法】第2部問題6

行政法のお勉強が進んでいなさすぎて,

答案構成に時間がかかるんですよね。

1日のほとんどが事例研究1問だけで終わってしまいます(大問題)

そして,今日1日かけて解いた問題はこちらです。

≪問題≫

 次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

 甲県に所在する乙市においては,パチンコ店の立地については,風営法に基づく規制と自主条例である「乙市パチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等に関する条例」(以下「乙市条例」という)による規制とが行われている。
 まず,風営法に基づく規制は以下のとおりである。風営法は,パチンコ店等の風俗営業を都道府県公安委員会の許可にかからしめるとともに(風営3条1項),立地にかかる許可要件は,政令(風営法施行令)が定める基準に従って都道府県条例によって具体化する,という仕組みを設けている(風営4条2項2号)。甲県は,風営法4条2項2号に基づく条例として,「甲県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」(以下「甲県条例」という)を定め,「第1種地域」での営業を禁止している。「第1種地域」とは,風営法施行令6条1号イにいう「住居集合地域」を具体化したものであり,第1種低層住居専用地域をはじめとする,都計法上の住居系用途地域が,第1種地域に指定されている(甲県条例別表〔第1条関係〕を参照)。なお,乙市内の用途地域は,都計法および同法施行令により,甲県が定めるものとされている。
 他方,乙市は,ベッドタウンとして知られる都市であり,都計法上の住居系用途地域以外の地域であっても住宅の比率が高いことから,乙市の良好な住環境の保全のためには,より広範な地域に風俗営業の規制を及ぼす必要があると考え,独自に,「乙市パチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等に関する条例」(以下「乙市条例」という)を制定し,甲県条例にいう第1種地域に当たらない地域についても,パチンコ店等の建築等を規制している。
 Xは,乙市内における,都計法上の準工業地域に当たる地域において,パチンコ店を開業しようと考え,乙市条例による乙市市長Pの同意を求めたところ,Pは,Xに対し,2010年3月に,同条例4上により同意することはできない旨の通知をした。これに対し,Xが,Pの同意を得ないままパチンコ店の建築工事を開始したため,Pは,Xに対し,建築を中止するよう指導し,Xがこれに応じないため,乙市条例8上に基づき建築の中止を命じたが,Xはこれを無視して建築を続け,公示を完成させた。
 乙市条例に基づく規制を無視してパチンコ店の建築を強行した者はXが初めてであり,Xの建築・営業を放置しておくと乙市条例による規制が骨抜きになってしまうおそれがあること,また,条例を遵守している他の業者や市民による批判も高まってきたことから,Pは,Xに対して強硬な姿勢で臨むことにし,同年7月,Xが建築したパチンコ店用の建築物につき,乙市行政手続条例が定める手続を経て,1ヵ月の履行期限を定めて,乙市条例8条に基づき,原状回復措置としてパチンコ店の建物の除却を命じた。Xがこれに従わなかったため,Pは,除却命令の代執行をすることを決意し,同年8月に,1ヵ月の履行期限を定めて,行政代執行法(以下「代執行法」という)3条1項に基づく戒告を行った。

〔設問〕
1.Xが代執行を阻止するためには,行政機関のいかなる行為を捉えて,いかなる訴訟を提起すべきか。仮の救済の手段も含めて論じなさい(いずれも,行訴法に定められたものに限る)。
2.Xが勝訴するためには,本案においてどのような主張をすべきか。複数の訴訟を提起しうると考える場合には,それぞれの訴訟ごとに検討せよ。なお,乙市条例が都計法・建基法に違反するという主張も考えられるが,この点については論じなくてもよい。


半分憲法

そういう印象です。

特に法令と条例の関係のくだり。

実際の試験で解いたことないんですよね。

いざ出されたら木端微塵になりそうです。

この問題で触れられてよかったですね。

≪答案≫
第1 設問1
 1 まずXは,乙市条例3条による乙市市長Pの同意の求めに対してしたPによる不同意(以下「本件不同意」という。)の取消訴訟(行訴法3条2項)及びPが当該同意をすべきことの義務付け訴訟(同条6項2号)を併合提起し(同法37条の3第3項2号),Pが当該同意をすべきことの仮の義務付け(同法37条の5第1項)を申し立てることが考えられる。
 もっとも,このような訴訟によっては,目前に迫った代執行を阻止するための救済手段としては,迂遠であり現実的ではない。したがって,本件不同意の取消訴訟及び同意の義務付け訴訟の提起は適切ではない。
 2 次にXは,Pのした乙市条例8条に基づく原状回復命令(以下「本件原状回復命令」という。)の取消訴訟を,乙市を被告として提起し(同法11条1項1号),その執行停止(行訴法25条2項)を申し立てることが考えられる。
 本件原状回復命令は,Pがその優越的地位に立って一方的にXの建築したパチンコ店(以下「本件パチンコ店」という。)の原状回復というXの財産権に制約を加える行為であるから,「処分」にあたる。Xは本件原状回復命令の名宛人であるから原告適格を有し(同法9条1項),出訴期間(同法14条)も問題ないものと考えられる。したがって,本件原状回復命令の取消訴訟は,これを適法に提起することができる。
 本件原状回復命令がされた場合には,一度完成させた本件パチンコ店をすべて取り壊すこととなり,工事途中での原状回復と比してもその損害の程度が大きい(※1)。また,本件原状回復命令を受けることで,本件パチンコ店の取引先等との業務上の信頼関係等の毀損も生じかねず,このような損害は回復が困難であると認められる(※2)。したがって,本件原状回復命令によって生じる「損害の困難の程度」を考慮し,「損害の程度」を勘案すると,Xが負担する損害は「重大な損害」であるといえる。また,Xに対しては,既に行政代執行の手続が開始されているから,上記の損害を「避けるため緊急の必要がある」と認められる。以上から,上記本件原状回復命令の執行停止の申立ては,これを適法にすることができる。
 3 またXは,Pのした行政代執行法3条1項に基づく戒告(以下「本件戒告」という。)の取消訴訟を,乙市を被告として提起し,その執行停止を申し立てることが考えられる。
 「処分」とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。本件戒告は,Pが優越的地位に立って一方的にする行為であって,公権力の主体たる公共団体が行う行為である。本件戒告は,それ自体によってXに新たな義務を課すものではない事実行為であるが,代執行の前提要件として代執行手続の一環をなすとともに,代執行が行われることをほぼ確実に示す表示でもある。そして,戒告がされてから事前に代執行をとどめる手段がないことからすれば,戒告は後に続く代執行と一体的な行為である。その結果,本件戒告はXの権利義務を形成するものであるということができる。したがって,本件戒告は「処分」にあたる。(※3)(※4)Xは「義務者」として本件戒告を受けた者であるから原告適格が認められ,出訴期間も徒過していないものと考えられる。したがって,Xは本件戒告の取消訴訟を適法に提起することができる。
 そして,本件原状回復命令の取消訴訟におけるのと同様に,本件戒告により「重大な損害」が生じ,Xはこれを「避けるため緊急の必要がある」と認められるから,本件戒告の執行停止の申立ても,これを適法にすることができる。
 4 さらにXは,Pが行政代執行法3条2項に基づいてする通知(以下「本件通知」という。)又は同法2条に基づいてする代執行(以下「本件代執行」という。)の差止訴訟(行訴法3条7項)を提起し,これらの仮の差止め(同法37条の5第2項)を申し立てることが考えられる。
 もっとも,Xとしては,上記のように本件戒告の取消訴訟を提起することができ,その方が要件が緩和されているのであるから,あえて本件通知及び本件代執行の差止訴訟を提起する実益がなく,また,「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」(行訴法37条の4第1項ただし書)にあたる可能性がある。したがって,Xが本件通知及び本件代執行の差止訴訟を提起するのは,適切ではない。
第2 設問2
 1 本件原状回復命令の取消訴訟について
  ⑴ まずXは,乙市条例が風営法並びにその委任を受けた同法施行令及び甲県条例に違反し,条例制定権の限界(憲法94条)を超え違法であるとの主張を行う。
 条例が国の法令に違反するかどうかは,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかを判断する。(※5)
 乙市条例は良好な環境を確保することを目的としている一方,風営法は善良な風俗と清浄な風俗環境を保持し少年の健全な育成を目的としているから,少なからず良好な環境を確保する点も含んでいると考えられ,両者は同一の目的に出たものであると考えられる。風営法は,具体的な規制の基準を都道府県条例に委任しており(風営法4条2項2号),その限りで地方の実情に応じた規制を予定しているとも思える。しかし,当該委任は,都道府県条例によって基準を具体化し,都道府県公安委員会が執行することによって実現されるものであり,市町村条例が上乗せ規制をすることは予定していないというべきである。また,風営法による規制は,営業の自由に対する強力な規制を施すものである上,風営法施行令6条3号は制限地域の指定を良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度とすることを定めていることからすれば,風営法に基づく規制を超える規制をすることを同法は予定していない。したがって,風営法の規制に上乗せして規制を置く乙市条例は,風営法と矛盾定食するものである。
 そうすると,乙市条例は,憲法94条に違反するから,無効となる。
 よって,本件原状回復命令は,その根拠を有しないから,法律による行政の原理に反し違法である。
  ⑵ またXは,仮に風営法が,地方の実情に応じた規制を容認する趣旨であるとしても,乙市条例は都計法上の商業地域以外の地域においてパチンコ店の建築を例外なく不同意にするという仕組みを設けていることは,営業の自由に対する過剰な制約であって,憲法22条1項に違反する疑いのある,合理性を欠くものであって,憲法94条に違反し無効であると主張する。その結果,本件原状回復命令は,その根拠を有しないから,違法である。
  ⑶ 次にXは,仮に乙市条例が憲法94条に違反するものではなくとも,乙市条例8条の文言は,建築の前または工事中の命令権限について定めたものであり,完成した建物の除却を命ずることはその要件外であるから,同条を根拠として本件原状回復命令をすることはできないと主張する。その結果,本件原状回復命令は,その根拠を有しないから,違法である。
  ⑷ さらにXは,仮に乙市条例8条を根拠として本件原状回復命令をすることができるとしても,本件パチンコ店は都計法・建基法に違反していないうえ,乙市条例の実質的な目的は営業を阻止することにあると考えられるから,その目的のために完成した建物の除却を命じるのは財産権の過剰な侵害であって,比例原則に反すると主張する。その結果,本件原状回復命令は,比例原則に反し,違法である。
 2 本件戒告の取消訴訟について
  ⑴ 本件原状回復命令の取消訴訟におけるのと同様に,乙市条例が憲法94条に違反し無効である結果,Xが従うべき義務が存在せず,これを強制執行する代執行の前提となる本件戒告もその前提を欠くから,「法律に基づき行政庁により命ぜられた行為」(行政代執行法2条)の要件を欠き,違法である。
  ⑵ またXは,本件パチンコ店は準工業地域(都計法9条10項)に立地するため,その周囲の状況から本件パチンコ店が存在することで直ちに良好な環境が害されることになるとは考えにくく,「その不履行を放置することが著しく公益に反する」とはいえないから,本件戒告はその要件を欠き,違法である。

以 上


(※1)「改正法における『重大な損害』の文言は,損害の『性質』のみに着目した要件から,損害の『程度』ないし『量』に着目した要件に改め,執行停止について個別・具体的な紛争状況に即した適切な判断を担保することを目的としている。」櫻井敬子=橋本博之『行政法[第4版]』332頁
(※2)最決平成19年12月18日判時1994号21頁は,弁護士が所属弁護士会から懲戒処分を受けた事例で,「上記懲戒処分によってXに生ずる社会的信用の低下,業務上の信頼関係の毀損等の損害が同条[行訴法25条]2項に規定する『重大な損害』に当たるものと認めた原審の判断は,正当として是認することができる。」として,「社会的信用の低下」,「業務上の信頼関係の毀損」等も「重大な損害」の要素となることを指摘しています。
(※3)「もつとも戒告は代執行そのものではなく、またこれによつて新な義務ないし拘束を課する行政処分ではないが、代執行の前提要件として行政代執行手続の一環をなすとともに、代執行の行われることをほぼ確実に示す表示でもある。そして代執行の段階には入れば多くの場合直ちに執行は終了し、救済の実を挙げえない点よりすれば、戒告は後に続く代執行と一体的な行為であり、公権力の行使にあたるものとして、これに対する抗告訴訟を許すべきである。」大阪高決昭和40年10月5日行集16巻10号1756頁
(※4)「戒告,代執行令書の通知は,いずれも事実行為であり,義務者に新たな義務を課したり権利を制約するものではない。しかし,行われようとしている代執行が要件を充足していない等違法なものである場合に,義務があるとされた者には事前にこれをとどめる手段がないことから,戒告・代執行令書の通知について,救済の見地から処分性を認め,取消訴訟の対象とするのが通説・判例である。」前掲櫻井=橋本181頁
(※5)最判昭和50年9月10日刑集29巻8号489頁は,法律と条例との抵触について,「地方自治法一四条一項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法二条二項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によつて前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。」と判示していますが,さすがにどう考えてもこれを全部答案に示すことは不可能ですし不要だと思われ,どうにかしてコンパクトにする必要があるんですが,どこまで書けばいいのかもよく分からないところです。とりあえず,「例えば」以下の部分は,単なる例示であって規範ではないと思われるため,答案上はごっそり切り落とすことにしました。


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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