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2019-02-26(Tue)

【事例研究行政法】第2部問題4

やべぇ……

このペースだと模試までに事例研究解きおわんねえ……

どうしようかな……

やるしかないか……

≪問題≫

 次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

Ⅰ Aは,甲県の山林内の谷地にある土地(以下「本件土地」という)に土砂を搬入して,最終的にはこれを農地にすることを計画した。本件土地は,山林内の谷地のままの自然な状態に置かれていたものであり,一部においては樹木が生い茂っている。本件土地の地目は山林とされており,本件土地および周辺の山々においては,これまでのところ果樹園等の農地に利用されている様子はない。本件土地は,甲県知事により宅地造成等規制法(以下「宅造法」という)3条に基づき指定された宅地造成工事規制区域の中にある。
 Aは,本件土地における農地の造成が宅造法等による規制の対象になるかどうかについて,甲県の担当者と事前相談を行った。その際甲県の担当者は,農地の造成はそもそも宅造法による規制の対象外であり,本件土地に土砂を搬入して農地を造成する場合,面積1,000㎡程度であれば他の法令や条例による規制も受けない旨の回答をした。そこでAは,本件土地において土砂の搬入を開始した。Aはその後,断続的に土砂を本件土地に搬入し,土砂の埋立面積は500㎡を超えた。しかしながら本件土地は,土砂の搬入が開始されてから約5年が経過した時点においても,農地として提供できる状態には至っておらず,施工完成の時期がいつになるかさえ明らかでないという状況であった。
 この事態を知った甲県の担当課では,Aが本件土地で農地を造成するというのは単なる口実であって,Aは本件土地を土砂の堆積場として利用しているだけではないのか,本件土地への土砂の搬入が農地の造成に当たらないとすると,これを宅造法によって規制することができるのではないかという意見が出されるようになった。そこで甲県は,Aによる本件土地への土砂の班に雄(以下「本件土砂搬入」という)は宅造法2条2号にいう「宅地造成」に該当するという解釈を前提として,Aに対して本件土砂搬入を直ちに停止すること,および同法8条1項本文の許可を申請することを求める行政指導を行い,Aがこれに応じない場合には同法14条2項に基づく監督処分のほか刑事告発を検討するという方針を決定した。この方針に従って甲県の担当者がAに対して行政指導を行ったところ,Aは,本件土砂搬入が同法2条2号にいう「宅地造成」に該当すると判断されたことには不服があり,訴訟提起も辞さない意向である旨を表明した。

〔設問1〕
1.甲県の立場から,本件土砂搬入が宅造法2条2号にいう「宅地造成」に該当することを主張しなさい。
2.上記の甲県の主張に異論があるAとしては,行政訴訟を提起して争う場合,どのような訴訟を提起すれば良いか。訴訟要件充足性に注意して,複数の訴訟を検討しなさい。

Ⅱ 乙県では,「宅地造成等規制法第8条第1項本文に基づく宅地造成に関する工事の許可に係る事務取扱要綱」が作成されている。この要綱中には,上記許可の申請者は,宅地造成に伴う災害により被害を受けるおそれがある者との間で,災害の発生を防止するための措置,災害発生時の原状回復および補償に関する協定(以下単に「協定」という)を締結するよう努めなければならず,申請者が正当の理由なく協定を締結しない場合には許可を与えないという定めがある(以下この定めを「本件協定条項」という)。
 Bは,乙県知事により宅造法3条に基づいて指定された宅地造成工事規制区域の中にある土地において宅地造成に関する工事を行うことを計画し,乙県の担当者と事前相談を行った。その際乙県の担当者は,本件協定条項を示して,当該土地に隣接する場所にある土地(以下「本件隣接地」という)を所有しているCとの間で協定を締結するよう求めた。本件隣接地に住宅はなく,Cは同署に居住しているわけではないが,そこで樹木を植栽している。樹木の管理はCの親族であるDが行っており,Dは本件隣接地を頻繁に訪れている。
 Bは協定の締結について交渉するためCの自宅を訪問したが,その際Cは,Bが計画している工事によって土砂が流出し,本件隣接地および同所で植栽されている樹木が被害を受けるおそれがあると主張して,協定の締結を拒否した。Cとの間で協定を締結することは困難であると感じたBは,協定の締結は宅造法8条1項本文の許可を受けるための絶対条件ではないのではないかと考えるようになった。そこでBは,協定を締結しないまま,乙県知事に対して同許可を求める申請をした。しかしながら乙県知事は,Bの申請に係る工事に伴って土砂が流出した場合には本件隣接地が被害を受ける可能性があり,Cとの間で協定を締結しないことについて正当の理由は認められないとして,Bに対して不許可処分をした(以下「本件不許可処分」という)。
 CおよびDの住所は本件隣接地の付近にはない。Bが協定を締結するためにCの自宅を訪問したのはこれまで1回のみである。

〔設問2〕
1.本件不許可処分は適法化。反対説の主張にも留意しつつ検討しなさい(本件不許可処分に手続上の違法はないものとする)。
2.仮に乙県知事がBの申請を認めて許可処分をした場合,CおよびDはその取消訴訟を提起することができるか。原告適格に絞って検討しなさい。


1問でいろんなこと聞いてきすぎなんですよね。

だから答案を書くのにめちゃくちゃ時間かかるんですよね。

本当に困ります。

≪答案≫
第1 設問1
 1 小問1
 本件土砂搬入が「宅地造成」(宅造法2条2号)にあたるか。
 本件土地は,山林内にあり,一部においては樹木が生い茂っていることに加えて,地目としても山林とされているのであるから,「森林」(同法2条1号)にあたる。そうすると,本件土地は,「宅地以外の土地」にあたる。
 本件土砂搬入は,本件土地を,Aの相談のような農地造成のために用いるものではなく,土砂の堆積自体を目的として行われるものである。土砂の堆積場は,「農地,採草放牧地及び森林並びに道路,公園,河川その他政令で定める公共の用に供されている土地」にはあたらないから,それら以外の土地として「宅地」にあたる。そうすると,本件土砂搬入は,「宅地以外の土地を宅地にする」行為である。
 本件土砂搬入により,本件土地内に土砂が堆積されていることから,当該行為は「盛土」にあたる。これにより,土砂の埋立面積は500㎡を超えているから,「盛土であって,当該盛土をする土地の面積が500平方メートルを超えるもの」にあたり(宅造法施行令3条4号),「土地の形質の変更で政令で定めるもの」にあたる。
 したがって,本件土砂搬入は「宅地造成」にあたる。
 2 小問2
  ⑴ Aとしては,甲県知事が宅造法14条2項に基づいてする命令(以下「本件命令」という。)の差止訴訟(行訴法3条7項)を提起することが考えられる。
 本件命令は,Aに本件土砂搬入を停止させるものであるから,甲県知事がその優越的地位によって一方的にAの権利義務を形成するものであって,法律上認められているものであるから,「処分」にあたる。
 「一定の処分」とは,裁判所において判断が可能な程度に特定された処分を意味する。本件命令は,宅造法14条2項に基づくものであるから,その根拠法規が特定されている。この点,同項には,工事施行停止命令と措置命令とが予定されているが,Aは本件土砂搬入に宅造法が適用されないことを理由として本件命令の差止めを求めているから,両者を区別する意味はない。したがって,宅造法14条2項に基づく処分であることが特定されたことをもって,裁判所において判断が可能な程度に処分が特定されているということができる。
 また,甲県は,Aが行政指導に応じない場合には本件命令を行うことを予定しており,既にAはこの行政指導に不服であることを表明しているから,本件命令が発令される蓋然性が認められ,「処分がされようとしている場合」にあたる。
 「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには,国民の権利利益の実効的な救済及び司法と行政の権能の適切な均衡の観点から,処分がされることにより生ずるおそれのある損害が,処分がされた後に取消訴訟(行訴法3条2項)等を提起して執行停止(同法25条1項)の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要する(※1)。これを本件についてみると,本件命令によりAに生ずる損害は財産上の損害にすぎないから,金銭賠償による損害の回復が可能であって,直ちに回復困難な損害が生ずるものとは認められない。また,本件命令がされた後に,Aは本件命令の取消訴訟を提起し,その執行停止の決定を受ければ,損害の発生を避けることができる。したがって,本件命令によりAに「重大な損害を生ずるおそれ」があるとはいえない。
 よって,Aは本件命令の差止訴訟を提起することはできない。
  ⑵ そこで,Aとしては,本件土砂搬入が「宅地造成」にあたらないことの確認を求める当事者訴訟(行訴法4条後段)を提起することが考えられる。
 確認訴訟においては,訴訟要件として,確認の利益として,①確認対象としての適切性,②方法選択の適切性及び③即時確定の必要性があることが必要である。
 ①Aは,本件土砂搬入が「宅地造成」に該当するとの甲県の主張に異論があるため,本件土砂搬入が「宅地造成」に該当しないことを確認することが直截的である。そして,これは現在の法律関係に関するものであるから,確認対象として適切である。
 ②Aとしては,上記のように,差止訴訟を適法に提起することができないため,その他にとりうる手段がなく,方法選択の適切性が認められる。
 ③Aと甲県との間では,宅造法の適用をめぐる具体的な紛争が発生しており,本件土砂搬入に宅造法が適用されると本件命令がされるか否かに関わらず,Aによる本件土地の利用が制限され(宅造法8条),これに違反した場合には刑事罰も科される危険がある(同法27条3号)。そうすると,Aには既にその法的地位に具体的な危険が生じており,現時点において裁判所による確認を求める必要があるといえるから,即時確定の利益が認められる。
 したがって,上記当事者訴訟においては,確認の利益が肯定される。
 よって,Aは,本件土砂搬入が「宅地造成」にあたらないことの確認を求める当事者訴訟を適法に提起することができる。
第2 設問2
 1 小問1
  ⑴ 本件不許可処分は,BがCとの間で,乙県が作成した「宅地造成等規制法第8条第1項本文に基づく宅地造成に関する工事の許可に係る事務取扱要綱」(以下「本件要綱」という。)中に規定されている協定(以下「本件協定」という。)を締結していないことに正当な理由がないことを理由としてされたものである。
 そこで,前提として,本件要綱の法的性質について検討すると,宅造法では,宅地造成工事規制区域内における宅地造成工事については,都道府県知事の許可を受けなければならず(8条1項本文),申請に係る宅地造成工事計画が9条の規定に適合しないと都道府県知事かが認めるときには,許可がされない(同条2項)。そして,9条1項は,宅地造成工事が,政令または都道府県の規則で定める技術的基準に従い,宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものであることを要求している。また,宅造法施行令15条2項は,都道府県知事が規則で技術的基準を強化・付加することを認めている。申請に係る工事計画がこの規定に従っていない場合には,宅造法8条1項本文の許可は与えられない。
 しかし,本件協定条項は,甲県の規則の形式で定められたものではなく,内容面からみても,宅造法に言う技術的基準に当たるということはできない。したがって,本件協定条項は,行政規則(※2)の性質を有する審査基準である。
  ⑵ そこで,本件協定条項を設ける本件要綱の合理性について検討する。
 この点,Bとしては,本件要綱は,内容において不合理であると主張する。すなわち,宅造法8条1項本文に定める許可にあたって不許可事由を定める同法9条は,工事が技術的基準に従っているか否かにのみ着目していること,及び宅地造成に関する工事をすることは本来自由であることに鑑みれば,技術的基準に適合する工事については必ず許可が与えられなければならない。しかし,本件協定条項は,そのような工事であっても不許可処分をすることを認めるものであり,宅造法8条1項本文の許可の制度趣旨に反するものである。さらに,本件協定条項は宅地造成に伴う災害により被害を受けるおそれがある者に事実上工事に対する拒否権を与えるものであって,法が予定するところではない。したがって,本件協定条項を定める本件要綱は,その内容が不合理であるため,これに基づく本件不許可処分は違法である。
 しかし,宅造法8条2項は,同法9条の規定に適合する計画は必ず許可しなければならないとは規定しておらず,むしろ宅造法は宅地造成に伴う災害を防止し,国民の生命および財産の保護を目的としているから(1条参照),そのような災害により被害を受けるおそれのある者との間で災害防止に関する協定を締結することは同法の目的に反しない。また,本件協定条項は,正当な理由がある場合には,協定を締結することを強制しておらず,申請者に過度な負担を課すものではない。したがって,本件要綱は,その内容が不合理であるとは認められない。
  ⑶ 次に,本件協定条項の適用にあたり,「正当な理由」が存在するか否かについて検討する。
 この点,Bとしては,協定の締結に努力したにもかかわらず,Cが工事に反対しているため協定を締結することができなかったのであり,協定不締結についてBに責任はないといえるため,「正当な理由」があると主張する。
 しかし,Bは協定を締結するためにCの自宅を訪問したのは1度のみであって,未だに両者の間で協定が締結される可能性が全くないということはできない。また,Bの真正に係る工事に伴って土砂が流出した場合には,本件隣接地が被害を受ける可能性があり,協定を締結する必要性は未だ失われていない。そうすると,本件協定条項の適用にあたり「正当な理由」はない。
  ⑷ よって,本件不許可処分は適法である。
 2 小問2
  ⑴ C及びDは,乙県知事がBに対してした許可処分(以下「本件許可処分」という。)の取消訴訟を提起するための原告適格を有しているか。
  ⑵ 処分の取消訴訟の原告適格は「法律上の利益を有する者」に認められるところ(行訴法9条1項),「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含む場合には,このような利益も法律上保護された利益にあたる(※3)
 本件許可処分の根拠法規は宅造法8条1項本文であり,この許可を行うにあたっては,宅地造成工事が技術的基準に従い,宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置を講ぜられたものでなければならない(9条1項)。また,都道府県知事は,工事の施工に伴う災害を防止するため必要な条件を許可に付することができる(8条3項)。これらの規定は,いずれも宅地造成工事に伴う災害を未然に防止しようとする趣旨に出たものである。加えて,宅造法1条は,宅地造成に伴う崖崩れまたは土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより,国民の生命および財産の保護を図ることを目的としており,同法3条は宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい地域を宅地造成工事規制区域に指定するものとしている。これらの規定を併せて考えれば,宅造法8条1項本文は,宅地造成工事規制区域内における宅地造成に関する工事に伴って崖崩れまたは土砂の流出による災害が発生することを防止し,国民の生命および財産を少なくとも一般的公益として保護しているものであると考えられる。
 そして,宅地造成に伴う崖崩れまたは土砂の流出による災害が発生した場合には,当該宅地造成に関する工事が行われる土地に近接する一定の範囲において,生命や身体,財産に関する直接的な被害が生ずることが予想される。このような被害の内容,性質等に鑑みれば,宅地造成に関する工事の許可についての宅造法の規定は,当該許可にかかる工事に伴う災害により直接的な被害を受けるおそれのある個々の生命・身体および財産を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと考えることができる。
 これを本件についてみると,Cは,その財産である本件隣接地を所有している者であり,宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂流出が生じれば,本件隣接地に対する直接的な侵害を受けるから,本件隣接地はCの個別的利益として宅造法8条1項本文によって保護される。したがって,Cは「法律上の利益を有する者」として,原告適格を有する。
 また,Dは,本件隣接地を所有する者ではないが,同場所に頻繁に訪れ樹木の管理を行っている。そうすると,Dは,同場所に定住している者にも匹敵し得るほど本件隣接地に強い結びつきを有する者であるということができる。そして,宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂流出にDが巻き込まれる可能性があり,その生命・身体に対する侵害を直接的に受ける可能性があるから,Dの生命・身体は,Dの個別的利益として宅造法8条1項本文によって保護される。したがって,Dは「法律上の利益を有する者」として,原告適格を有する。

以 上


(※1)「差止めの訴えの訴訟要件については,当該処分がされることにより『重大な損害を生ずるおそれ』があることが必要であり(行訴法37条の4第1項),その有無の判断に当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされている(同条2項)。行政庁が処分をする前に裁判所が事前にその適法性を判断して差止めを命ずるのは,国民の権利利益の実効的な救済及び司法と行政の権能の適切な均衡の双方の観点から,そのような判断と措置を事前に行わなければならないだけの救済の必要性がある場合であることを要するものと解される。したがって,差止めの訴えの訴訟要件としての上記『重大な損害を生ずるおそれ』があると認められるためには,処分がされることにより生ずるおそれのある損害が,処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。」最判平成24年2月9日民集66巻2号183頁
(※2)「委任命令にせよ執行命令にせよ,法規命令と見なされて国民に対する法的拘束性を認められるには,明示的であれ黙示的であれ法律のお墨付きを得たものでなければならない。これに対し,もともと国民に対する法的拘束力を認め得るものではないため,法律のお墨付きを直接得る必要もなく制定される行政立法のことを,『行政規則』という。行政規則には,『通達・訓令』と呼ばれるもの,『公営造物規則』と呼ばれるもの,『裁量基準』と呼ばれるもの等がある。」曽和俊文ほか『現代行政法入門[第3版]』37頁
(※3)「行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき『法律上の利益を有する者』とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。」最判平成17年12月7日民集59巻10号2645頁
(※4)原告適格の書き方例(一般的公益の認定)として,平成28年公法系科目第2問の優秀答案はこのような書き方をしています。「本件例外許可の根拠法規は法48条1項但書であり,それによれば,良好な住環境を害するおそれがないと認める場合に例外許可ができると定めており,また,本文においては,別表2(い)に掲げる建築物以外の建築を禁じている。そして,同項は建築確認(法6条)がなされる際の『建築基準法令の規定』の一つに位置付けられているところ,同じく『建築基準法令の規定』の一つに,建築物の敷地,構造または建築設備に関する法律として,都市計画法が存在する。すなわち,同法は『目的を共通にする関係法令』に位置付けられるため,同法の規定についても見る。ここで,同法8条1項1号において第一種低層住居専用地域を定義し,3項2号イにおいては建築物の容積率や敷地面積の最低限度等,市街地の環境を確保するための規定が置かれ,また,ロにおいては,建築物の建ぺい率や建築物の高さの限度等,第一種低層住居専用地域における良好な環境を保護するための規定が置かれている。これらの目的を共通にする関連法令の規定から,48条1項但書は,低層住宅にかかる良好な住環境を保護していることが推察でき,加えて法1条においては,国民の生命や健康の保護が目的として掲げられている。以上のことから,48条1項但書は,第一種低層住居専用地域における住民の良好な住環境を少なくとも公益として保護していると解される。」辰巳法律研究所編『平成28年司法試験論文合格答案再現集』6頁
(※5)原告適格の書き方例(個別的利益の認定)として,前掲優秀答案はこのような書き方をしています。「続いて,個別的法益としてもこれを保護しているかどうかについてみるに,本件例外許可がなされた場合には,自動車の騒音や排ガス,ライトグレア等による被害が発生しうる。そして,本件スーパー銭湯は年中無休で,しかも午前10時から午後12時までほぼ終日営業されており,また,土日休日には1日に約550台もの自動車が出入りするというのであるから,これらの被害の蓄積により重大な健康被害が生じるといえる。しかも,かかる被害は施設に近づけば近づくほど大きくなるという関係にある。また,48条14項は,利害関係人に対して公聴会を設ける旨定めている。そして,ここにいう『利害関係人』の意義は法からは明らかではないが,行政庁自ら要綱として申請建築物から一定の距離内の土地建物の所有者に対し案内書を送付するとしていることからすれば,同項にいう利害関係人には申請建築物の近隣住民が含まれていると解すべきである。以上より,近隣住民にとっての健康被害が重大なうえ,法も近隣住民に対する公聴会参加の機会を保障していることからして,上記利益は個々人の個別的利益としても保護されているといえる。そして,どの範囲の近隣住民まで認められるかについて検討するに,上記要綱は法令ではないものの,これを参考にし,申請建築物の50メートル内に居住し,重大な健康被害が生じうる者について,原告適格が認められると考える。」前掲辰巳6頁


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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