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2019-02-25(Mon)

【事例研究行政法】第2部問題3

今日からまた行政法を進めます。

一刻も早く事例研究を終わらせてしまわないといけません。

第2部は先がまたまだ長いです。

続きの問題3からです。

ちなみに先に言っておくと,同問題については,

平裕介先生によるとても参考になる答案が既にWeb上に公開されていますので(→こちら),

当ブログの答案を見る必要は1ミリもありません。

もっとも,平先生のブログは,さすが研究者ともあって,

方々の文献に当たられていますが,

こちらは所詮一受験生が書いた者にすぎないので,

たぶん多くの受験生が使用しているであろう一般的な基本書と,

事例研究の解説のみを使って答案を書いています。

その意味では,実際に答案に示すことができる

現実的な答案に近いものが示せているのではないかと思います。

(とはいえ平先生の答案が答案政策上とびきり現実的でないことを書いているわけでもありませんが。)

≪問題≫
 次の文章を読んで,資料を参照しながら,あなたが,Mの依頼を受けたP法律事務所の若手弁護士Qであるとして,以下の設問に答えなさい。

 Mは,介護保険法に基づく居宅介護支援事業などを目的として設立された株式会社である。2009年4月26日,Mは,甲県乙市内にある本件土地をBから購入し,そこに,老人デイサービスセンターを設置することを計画した。
 本件土地は市街化調整区域にあり,通常は開発が抑制されているところであったが,老人福祉施設である老人デイサービスセンターの経営は第2種社会福祉事業に該当し,その施設は「当該開発区域の周辺地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物」(都計34条1項1号)に該当するので,法制度上は開発許可を得て建設することができるものであった。そこでMは,甲県知事から都計法29条に基づく開発許可を得るための準備を始めた。
 ところで,開発許可申請を行うについては,当該開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意(都計32条)が必要とされている。本件土地の東側には,開発行為に関係がある公共施設として市道丙号線および水路が存在していた(なお,本件で「関係がある」と言えるかどうかも問題となりうるが,この点につき「関係がある」ことについて争いがないものとする)。そこでMは,本件道路および水路の管理者である乙市の市長に対して,公共施設管理者の同意願を提出した。
 乙市市長は,Mに対して,2009年8月20日付けで,本件同意願に対して同意しない旨の通知をした。しかし,Mとしては,この不同意通知にはとうてい納得がゆかなかった。市道丙号線は,老人デイサービスセンターが設置された場合の送迎車両等の頻繁な通行に対しても十分な幅員を有しており,市道との関係で乙市市長が不同意をする理由はないはずであった。また,Mが計画している老人デイサービスセンターでは,法律の規制に適合した合併浄化槽を設置することを計画しており,飲用に耐えうる水質の排水がされ,汚水等が流れる可能性は全くないように工夫されていた。それゆえ本件開発行為による水路への排水によって放流先である水路の適切な管理に何ら支障も弊害も生じるおそれがないはずであった。
 そこでMは,2009年10月13日付けで,甲県開発審査会に対して本件不同意通知についての審査請求を行った。しかし,甲県開発審査会は,公開による口頭審理を実施したうえ,2010年1月6日付けで,本件審査請求を却下する旨の裁決を行った。却下裁決の理由は,開発審査会に与えられた権限が都計法50条に掲げる処分は存在せず,法32条の同意ないしこれを拒否する行為は,法50条に掲げられた行為に当たらないことから,これに対する審査権限を有しないというものであった。
 Mは,開発審査会に対する審査請求と並行して,2009年10月19日付けで,甲県知事に対して,乙市の同意書のないままに本件開発行為に係る開発許可を申請した。しかし,甲県知事は,2010年1月15日付けで,本件開発行為に関係のある公共施設の管理者である乙市の同意を得たことを証する書面が開発許可申請に添付されていないことを理由として不許可処分を行った。
 Mは,乙市の不同意通知に対して強い不満があり,また,同意書がないことを理由とする甲県知事の開発不許可処分に対しても納得がゆかない。そこで,訴訟を提起して,これらの違法性を争いたいと考えて,2010年1月20日,P法律事務所を訪ねた(P法律事務所でのやりとりの一部については後掲【資料1】を参照)。

〔設問1〕
1.不同意の違法性を争い,公共施設管理者の同意を得るためには,いかなる訴訟を提起すればいいのか。また,その場合に,訴訟要件において特に留意すべきことは何か。
2.不許可処分の違法性を争い,開発許可を得るためには,いかなる訴訟を提起すればいいのか。また,その場合に,訴訟要件において特に留意すべきことは何か。

〔設問2〕
 上記の設問1-1,1-2の訴訟の本案において,被告の行為の違法性をどのように主張すればいいのか。

【資料】略


最高裁を叩くだなんておこがましいこと,僕にはできません!!

っていうか,そんな知恵は僕にはありません!!

≪答案≫
第1 設問1
 1 小問1
  ⑴ Mは,乙市市長がした公共施設管理者としての不同意(以下「本件不同意」という。)について争おうとしている。この点,判例では,公共施設管理者の不同意について処分性(行訴法3条2項)を否定したものがある(※1)。そこで,本件不同意について,処分性を否定する場合と,これを肯定する場合とに分けて検討する。
  ⑵ 本件不同意の処分性を否定する場合
 Mとしては,乙市を被告として,同意義務があることの確認訴訟(行訴法4条後段)を提起することが考えられる。確認訴訟においては,訴訟要件として,確認の利益として,①確認対象としての適切性,②方法選択の適切性及び③即時確定の必要性があることが必要である(※2)
 これを本件についてみると,①同意義務の有無の確認は現在の法律関係の確認であるから,確認対象として適切である。②同意の処分性が否定される場合には,抗告訴訟によってこれを争うことができず,他に適切な救済手段がないから,方法選択として適切である。③同意が得られない場合には開発許可申請をすることができず,同意義務の有無を現時点で確認することが紛争の解決に必要であるから,即時確定の必要性もある。したがって,同意義務があることの確認訴訟は,その確認の利益を有し,訴訟要件を満たす。
 よって,Mは,同意義務があることの確認訴訟を適法に提起することができる。
  ⑶ 本件不同意の処分性を肯定する場合
   ア Mとしては,乙市を被告として(行訴法11条1項1号,38条1項),本件不同意の取消訴訟(同法3条2項)及び同意の義務付け訴訟(同条6項2号)を併合提起することが考えられる(同法37条の3第3項2号)。
   イ まず本件不同意の取消訴訟の訴訟要件について検討する。
 「処分」とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(※3)
 これを本件についてみると,本件不同意は,乙市市長が都計法32条1項によって認められた優越的地位に基づいて一方的に行うものであって(※4),公権力の主体たる公共団体が行う行為である。
 判例によれば,公共施設管理者の同意の要件があってはじめて開発行為を認める法効果が生じるのであって,公共施設管理者の不同意は,開発行為を禁止又は制限する効果をもつものではなく,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定するものではないとされている(※5)
 しかし,都計法30条2項及び32条1項によれば,開発許可の申請にあたっては,公共施設管理者の同意書面を添付する必要があり,この同意がないと開発許可の申請ができない構造となっており,公共施設の管理者がこの同意をしない場合には,開発許可の適否の判断を受ける機会自体が得られないこととなる。自己の所有地において開発行為を行うのは,憲法29条によって保障された財産権の行使であり,当該法令上の制限に適合しているのか否かの判定を受ける機会は保障されるべきであることからすると,公共施設管理者の不同意は,開発許可申請を適法に行う地位を侵害するものである(※6)。また,公共施設管理者による不同意の処分性を肯定しない場合には,開発行為の許可を求める国民は,開発行為の途を閉ざされることとなるから,その者の実効的な権利救済の観点からも,処分性が肯定されるべきである。そうすると,本件不同意は,国民の権利義務を形成またはその範囲を確定するものである。
 したがって,本件不同意は,「処分」にあたる。
 Mは本件不同意の相手方であるから,原告適格が認められる(行訴法9条1項)。
 本件不同意が通知されたのは2009年8月20日であるから,2010年1月20日現在では,出訴期間を徒過していない(同法14条1項)。
 よって,本件不同意の取消訴訟は,その訴訟要件を満たすから,適法に提起することができる。
   ウ 次に同意の義務付け訴訟に係る訴訟要件について検討すると,公共施設管理者による同意は,Mの開発行為を行う地位を付与するための一要件として機能し,裁判所に判断可能な程度に特定されているから,「一定の処分」(行訴法3条6項2号)にあたる。
 Mは,都計法32条1項による同意を得るための申請をしているから,「法令に基づく申請」(同法37条の3第1項2号)をしている。
 また,Mは,本件不同意の取消訴訟を適法に提起することができるから,これを併合提起することとなる(同法37条の3第3項2号)。
 よって,同意の義務付け訴訟は,その訴訟要件を満たすため,適法に提起することができる。
 2 小問2
 Mは,甲県を被告として,甲県知事がした不許可処分(以下「本件不許可処分」という。)の取消訴訟及び許可の義務付け訴訟を併合提起する。
 本件不許可処分は,甲県が都計法29条1項に基づいてした処分であって,「第50条第1項に規定する処分」にあたるから,これに対する処分の取消しの訴えを提起するにあたっては,開発審査会の裁決を経る必要がある(都計法52条)。したがって,Mは,上記訴え提起する前提として,甲県開発審査会に対して審査請求を行わなければならない点に留意すべきである。
第2 設問2
 1 設問1小問⑴の訴えとの関係
  ⑴ まず,Mとしては,本件不同意は,その要件を欠くため,違法であるとの主張を行う。
 本件不同意は,都計法32条1項の規定に基づいてされているところ,同条3項は同意の前提となる協議について,「公共施設の適切な管理を確保する観点から」行うものとしている。前提として,この点について乙市市長に裁量が認められるかについて検討すると,同意があることは開発許可申請の前提となっていることに鑑みると,不同意は公共施設の適切な管理に支障がある場合に限定されるべきであり,裁判所がその支障の有無について独自に判断できることからすると,司法審査との関係で認められる行政裁量はないというべきである(※7)
 そこで,Mが計画している老人デイサービスセンター(以下「本件センター」という。)の設置についてみると,本件センターからの排水は合併処理浄化槽で浄化された清水であり,放流先である水路の適切な管理に何らの支障も弊害も生じるおそれはないものである。また,市道丙号線は,本件センターへの送迎車両等の頻繁な通行に対しても十分な幅員を有しているので市道の適切な管理に対する支障もないということができる。したがって,本件センターの設置にあたり,開発行為に関係がある公共施設については,いずれもその適切な管理に支障を及ぼすおそれがないのであるから,都計法32条3項の指針に従えば,本件不同意はその要件を欠くこととなる。
 したがって,本件不同意は違法である。
  ⑵ なお,乙市からは,本件不同意は,都計法が都市計画について,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条),都市開発に伴う公共施設への影響を考慮して,これの適切な管理を確保する観点から,開発許可申請者と公共施設管理者との間で協議を行うものとしているところ(32条3項),このような観点からの判断をするには,当該施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地からの判断が不可欠であるため,その同意にあたっては,行政庁の広範な裁量にゆだねられているとの反論が想定される(※8)(※9)
 そこで,Mとしては,仮に乙市市長に裁量が認められる場合であっても,本件不同意は,その裁量を逸脱・濫用したものであって,違法であるとの主張を行う(行訴法30条)。そして,乙市市長が本件不同意をすることの判断の内容が社会通念上著しく妥当性を欠く場合には,裁量の逸脱・濫用が認められる(※10)(※11)
 これを本件不同意についてみると,丙町協議会の排水同意は都計法上要求されておらず,これがないことを不同意の理由とすることはできない。また,同意は「公共施設の適切な管理を確保する観点から」行われるべきであり,地元団体からの反対署名があることを考慮して不同意とすることは,考慮すべきでない事情を考慮したものである。さらに,公共施設の適切な管理の支障が認められるかについて,客観的事実に照らして検証・検討することなく,住民団体の反対を理由に不同意とすることは,公共施設管理者としての責任を放棄したものである。以上に照らすと,乙市市長が本件不同意をすることの判断の内容が社会通念上著しく妥当性を欠くものということができるから,乙市市長が本件不同意をしたことは,その裁量を逸脱・濫用したものである。
 したがって,本件不同意は違法である。
 2 設問1小問⑵の訴えとの関係
  ⑴ 本件不同意の処分性が否定される場合
 Mとしては,本件不許可処分は,公共施設管理者である乙市市長の同意がないことによるから,上記のように本件不同意が違法であるとされる以上,乙市市長は同意をすることとなり,甲県のすべき許可処分の要件を満たすこととなる。したがって,本件不許可処分は,許可処分の要件を満たすにもかかわらず,これがされなかったものであるから,違法である。
 これに対して,甲県は,都計法上公共施設管理者の同意書を開発許可申請の添付資料としているのは(30条2項),同意・不同意の判断を公共施設管理者に委ね,知事としては同意書の有無の形式審査をするだけで足りるとする趣旨であるから,甲県知事の審査権限は同意・不同意にまで及ぶものではなく,裁判所の審査も同意・不同意にまで及ぶものではないとの反論をすることが想定される。
 しかし,甲県知事の審査権限と裁判所の審査範囲とは,必ず一致する必要があるものではなく,裁判所は独立して実体的判断をすることができる。したがって,裁判所は,本件不同意の違法性を理由として,本件不許可処分が違法であるとすることができる。
  ⑵ 本件不同意の処分性が肯定される場合
 Mとしては,乙市市長の同意は,甲県知事がする開発許可と一連の手続を形成しているから,本件不許可処分の取消訴訟の中で,本件不同意の違法性を主張することができるとの主張を行う。
 先行処分に係る違法性を後行処分の取消訴訟の中で主張することは,先行処分に係る排他的管轄に抵触するものであって,原則としては認められないが,先行処分と後行処分とが同一の目的を達成するために行われ両者が結合して初めてその効果を発揮する関係にあり,先行処分を争うための手続的保障が十分に与えられていない場合には,先行処分と後行処分とは一体的な手続であると評価され,先行処分に係る違法を後行処分の取消訴訟の中で主張することができる(※12)
 これを本件についてみると,公共施設管理者の同意は開発許可の前提として要求される行為であって,それ自体独立した意味をもつものではない。また,不同意が処分であるか否か不明である本件のような場合には,不同意の処分性を認めたからといって,不同意の違法性を不同意の取消訴訟の中でしか争えないとすることは,手続的保障を欠くものであるといえる。したがって,本件不同意と本件不許可処分とは,一体的な手続であると評価されるから,本件不同意の違法性を本件不許可処分の取消訴訟の中で主張することが可能である。
 したがって,本件不許可処分は違法である。

以 上


(※1)最判平成7年3月23日民集49巻3号1006頁は「公共施設の管理者である行政機関等が法三二条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分には当たらない」と判断しています。
(※2)「『確認の利益』の有無をいかなる基準で判断すべきかについては,以下のような議論がある。当事者訴訟も本質的には民事訴訟であるから,『確認の利益』も民事訴訟と同様に考えてよいというのが,通説・判例の考え方である。すなわち,①確認の対象は原則として『現在の法律関係』であり(確認対象選択の適切性),②給付訴訟や形成訴訟で救済できる場合にはそちらによる救済を優先すべきであり(方法選択の適切性あるいは確認訴訟の補充性),③法律関係や権利義務の存否を確認することで原告の救済がなされる場合,すなわち紛争が成熟性を有する場合に認められる(即時確定の必要性)。」曽和俊文ほか『現代行政法入門[第3版]』320頁
(※3)最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁
(※4)櫻井敬子ほか『行政法[第4版]』280頁では,公権力性について,「裁判実務上,処分性を根拠づける『公権力の行使に当たる行為』とは,『法が認めた優越的地位に基づき,行政庁が法の執行としてする権力的な意思活動』であると解されてきた。」と紹介されていますが,一方で,「公権力性の具体的な内容は,それを『法が認めた優越的地位』や『私的利益に還元できない公益』と敷衍してみたところで,なお明確な基準とはいい難く,結局ところ,根拠法令において当該行為を抗告訴訟の対象とする趣旨が認められるかどうかにつき,総合的に判断するほかはない。」としていますので,単純に「優越的地位に基づいて一方的にする行為」などと評価をしただけでは公権力性は認定しきれていないのだろうと思います。もっとも,本問では少なくとも公権力性がそこまで問題とならないと思われるので,あまり詳細なあてはめは,かえって答案としてのバランスを欠くことになるのだろうと思われます。
(※5)「国若しくは地方公共団体又はその機関(以下「行政機関等」という。)が公共施設の管理権限を有する場合には、行政機関等が法三二条の同意を求める相手方となり、行政機関等が右の同意を拒否する行為は、公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為ということができる。この同意が得られなければ、公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことはできないが、これは、法が前記のような要件を満たす場合に限ってこのような開発行為を行うことを認めた結果にほかならないのであって、右の同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえない。したがって、開発行為を行おうとする者が、右の同意を得ることができず、開発行為を行うことができなくなったとしても、その権利ないし法的地位が侵害されたものとはいえないから、右の同意を拒否する行為が、国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものであると解することはできない。」前掲最判平成7年3月23日
(※6)「法30条2項、32条1項によれば、開発許可の申請については、公共施設の管理者の同意書面を添付する必要があるので、この同意がないと開発許可の申請ができない構造となっており、公共施設の管理者がこの同意をしない場合には、前記同意書の添付がないという理由で開発許可の申請に対し不許可処分がなされる結果となる。このように開発許可の申請に対し、最終的に都道府県知事の許可に至るまで法32条の同意や協議が一つの仕組みを形成しているものであって、法32条の同意と開発許可との関係が、公共施設の管理者の同意がなければ、開発許可の申請そのものすらできないという結果をもたらすという意味で、双方が密接に連動する仕組みを形成している。本件においても、本件不許可処分(甲16)は、本件開発行為に関係のある公共施設の管理者の同意を得たことを証する書面が開発許可申請に添付されていないことのみを理由として却下されている。したがって、法32条所定の公共施設の管理者による同意が不当になされなかった場合には、正当に開発行為の許可を求める国民は、開発行為の途を閉ざされる結果となり、そのような場合にも法律の規定がない限りは救済されないとすることは、ひいては憲法29条あるいは22条1項の趣旨に反することとなる。」高松高判平成25年5月30日地自384号64頁
(※7)「設問2では,公共施設管理者の同意には裁量がある,と何ら説明なく前提とする答案が多いことに驚いた。被告であればともかく原告の立場からは,裁量を否定する主張をまずは展開すべきであろう。すなわち,同意があることが開発許可申請の前提となっていることに鑑みると,不同意は公共施設の適切な管理に支障がある場合に限定されるべきであり,裁判所がその支障の有無について独自に最終的に判断できるはずであるとすると,司法審査との関係で認められる行政裁量はないということになる。原告としてはまずこのように主張し,次に,仮に裁量があるとしてもそれは無制限ではなく,裁量権の範囲を逸脱しまたは濫用すれば違法であると論じていくべきであろう。」曽和俊文ほか『事例研究行政法[第3版]』189頁
(※8)「都市計画法は,都市計画について,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条),都市施設の整備に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなければならず,当該都市について公害防止計画が定められているときは当該公害防止計画に適合したものでなければならないとし(13条1項柱書き),都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとしているところ(同項5号),このような基準に従って都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるに当たっては,当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられている」最判平成18年11月2日民集60巻9号3249頁
(※9)この部分は,自分の勉強のために長々と書いただけですし,実際の答案でこんなに書く必要はないと思いますし,裁量がある根拠を簡単に示すだけでいいと思います。
(※10)「裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である。」前掲最判平成18年11月2日
(※11)重要な事実の基礎を欠くこととなる場合と,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合との両方を答案上示す必要はないと思いますし,たぶん両方書いている時間もないと思うので,必要となる方だけ示しました。
(※12)「本件条例4条1項は,大規模な建築物の敷地が道路に接する部分の長さを一定以上確保することにより,避難又は通行の安全を確保することを目的とするものであり,これに適合しない建築物の計画について建築主は建築確認を受けることができない。同条3項に基づく安全認定は,同条1項所定の接道要件を満たしていない建築物の計画について,同項を適用しないこととし,建築主に対し,建築確認申請手続において同項所定の接道義務の違反がないものとして扱われるという地位を与えるものである。平成11年東京都条例第41号による改正前の本件条例4条3項の下では,同条1項所定の接道要件を満たしていなくても安全上支障がないかどうかの判断は,建築確認をする際に建築主事が行うものとされていたが,この改正により,建築確認とは別に知事が安全認定を行うこととされた。これは,平成10年法律第100号により建築基準法が改正され,建築確認及び検査の業務を民間機関である指定確認検査機関も行うことができるようになったこと(法6条の2,7条の2,7条の4,77条の18以下参照)に伴う措置であり,上記のとおり判断機関が分離されたのは,接道要件充足の有無は客観的に判断することが可能な事柄であり,建築主事又は指定確認検査機関が判断するのに適しているが,安全上の支障の有無は,専門的な知見に基づく裁量により判断すべき事柄であり,知事が一元的に判断するのが適切であるとの見地によるものと解される。以上のとおり,建築確認における接道要件充足の有無の判断と,安全認定における安全上の支障の有無の判断は,異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが,もともとは一体的に行われていたものであり,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして,前記のとおり,安全認定は,建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり,建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。他方,安全認定があっても,これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず,建築確認があるまでは工事が行われることもないから,周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し,建築確認については,工事の施工者は,法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると,安全認定について,その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても,その者において,安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく,建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて,その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。」


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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