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2019-02-22(Fri)

【新司】倒産法平成18年第2問

ついに




つ  い  に




倒産法の過去問が解き終わります!!!!!


いやー全年度分答案を作るのは結構大変でした。

やっぱり他の科目よりも勉強経験が浅い分,

何をどこまで書けばいいのかといった相場観が出来上がっておらず,

答案をどう構成するかというレベルでの悩みが多かった気がします。

でも,やっぱり13年分も解けば,それもなんとなくは分かってきたかなあ……

……

…………

……………………………………

そうでもないかもなあ……

≪問題≫

〔第2問〕(配点:50)
 次に掲げる事例について,以下の設問に答えなさい。
【事 例】
 A社は,建設工事を業とする株式会社であったが,折からの不況で,資金繰りが悪化していた。そこで,B信用金庫から1000万円の借入れをしようとしたところ,B信用金庫からは,A社の代表者であるCと,さらにもう1人十分な資力を有している者の計2名の連帯保証と不動産担保とがない限り,融資はできないと言われた。A社はいわゆる同族会社であり,その株式の70%はCが保有しており,代表者であるCのほか,親族である2名の取締役がいるが,業務はCが全面的に執り行っており,他の取締役には十分な資力がなかった。そこで,Cは,高校時代からの友人であり,以前若干の資金援助をしたこともあるDに「絶対に迷惑をかけることはないから。」と懇願し,連帯保証人となるとともに,Dの所有する山林を担保に提供することに同意してもらった。その結果,平成17年10月20日,B信用金庫は,C及びDを連帯保証人とし,D所有の山林に抵当権の設定を受けて,A社に対し1000万円を貸し付けた。なお,C及びDは,連帯保証や物上保証をするに際して保証料を受領していない。
 しかし,その後,A社の主要な受注先である大手建設株式会社が同年11月15日,突然更生手続開始の申立てをし,従来の下請関係を抜本的に見直す措置がとられたため,A社の売上高は大幅に減少した。その結果,平成18年2月24日,A社は,ついに振り出した約束手形を決済できず,当該手形が不渡りになってしまった。そして,3月3日,A社は,破産手続開始の申立てをし,同月10日,開始決定がされた。また,A社の代表者であるCも,多額の連帯保証債務を弁済できない状態になり,3月3日,自ら破産手続開始の申立てをし,同月10日,開始決定がされた。Dは,このような状況の推移に驚いていたが,4月初めになって,B信用金庫の担当者から連帯保証債務の即時の履行を強く請求された。ところが,D自身,自己の経営しているコンビニエンス・ストアについて,近くに24時間営業のスーパーマーケットが出店したことなどから急激にその売上げが落ち込んでいたところであり,そこにこのような連帯保証債務の履行の請求がされれば事業の継続は困難になると判断して,4月14日,再生手続開始の申立てをし,同月28日,開始決定がされた。
 B信用金庫は,A社の破産手続において1000万円の貸付債権について届出をし,Cの破産手続において1000万円の連帯保証債務に係る債権について届出をするとともに,D所有の山林に対する抵当権を近く実行する旨をDに通知した。ところが,Cの破産手続における債権調査では,Cの破産管財人Eは,上記連帯保証契約を否認する旨を主張して,B信用金庫の破産債権を認めない旨の認否をしたので,B信用金庫は破産債権査定申立てをした。また,B信用金庫がD所有の山林に対する抵当権を実行しようとしているので,Dの再生手続の監督委員Fは,否認権を行使する権限の付与を受け,上記抵当権設定契約を否認する旨を主張して,抵当権不存在確認の訴えを提起した。

〔設 問〕
1.あなたがFであるとして,B信用金庫に対する抵当権不存在確認訴訟において,否認権の行使を基礎づけるため,どのような主張をすることが考えられるか。想定されるB信用金庫からの反論も指摘しながら論じなさい。
2.あなたがB信用金庫の代理人であるとして,Cの破産手続における破産債権査定の手続において,Eの否認権の主張に反論するため,どのような主張をすることが考えられるか。CがA社の代表者であるという点を考慮に入れて,想定されるEからの反論も指摘しながら論じなさい。


どいつもこいつも倒産しやがってという感じの問題です。

破産も再生もどっも出てくるのでこんがらがりそうです。

それにしても,全体を通じて,最判昭和62年7月3日の判示をめちゃくちゃ聞いてきますね。

構造的に反対意見についても言及せざるを得ない問題になっています。

第1問との難易度の差が大きすぎではないですかね……

≪答案≫
第1 設問1
 1 Fとしては,DがB信用金庫のために抵当権を設定することを内容とする抵当権設定契約(以下「本件抵当権設定契約」という。)について,無償行為否認(民再法127条3項)をすることが考えられる。
 2⑴ Dは,平成18年4月14日に再生手続開始の申立てをしているから,平成17年10月20日にされた本件抵当権設定契約は,「支払の停止等の前六月以内」にされた行為である。
  ⑵ それでは,本件抵当権設定契約の締結は「無償行為」にあたるか。
 「無償行為」とは,「これと同視すべき有償行為」との対比から,外形的に対価を一切伴わない行為をいう(※1)。本件抵当権設定行為は,DがA社から保証料を支払われることなく,A社のために,A社のB信用金庫に対する1000万円の債務(以下「本件貸金債務」という。)について物上保証をして,対価なくDの所有する山林(以下「本件山林」という。)を担保に供するものであるから,「無償行為」にあたる。
 これに対して,B信用金庫は,債権者の立場からすれば,A社に対する出捐をしているのであり,Dもこの出捐を目的として保証をしているのであるから,両者は相互に密接に関連しており,一体として観察されるべきであり,A社にも。そして,Dは,本件抵当権設定契約をした時点では,自らは何らの出捐をしていないのであり,抵当権が実行されたときにはじめて出捐をするのであって,この場合には,実質的対価としての求償権を取得するのであるから,全く対価のない無償行為ということはできないと反論することが想定される(※2)
 しかし,無償行為が否認の対象となる根拠は,その対償たる破産者の行為が対価を伴わないものであって破産債権者の利益を害する危険が特に顕著であるため,破産者及び受益者の主観を考慮することなく,専ら行為の内容及び時期に着目して特赦な否認類型を認めたことにある。したがって,その無償性は,専ら破産者について決すれば足り,受益者の立場において無償であるか否かは問わない(※3)。また,求償権は,物上保証人が弁済をしたことに対する補てんを主たる債務者に求めるものにすぎず,物上保証をすることの対価としての性質を有するものではないから,無償行為であることに変わりはない(※4)。そうすると,本件抵当権設定契約については,Dについてのみその無償性を判断すれば足りる。そして,上記のように,Dとの関係では,何ら対価なく本件抵当権設定行為がされているのであるから,「無償行為」にあたる。
 3 よって,Fとしては,本件抵当権設定契約を無償行為否認することができる。
第2 設問2
 1 前提として,Eの主張する否認権は,CがB信用金庫のためにした連帯保証契約(以下「本件連帯保証契約」という。)が無償行為であるとする無償行為否認(破産法160条3項)である。
 2 これに対しては,B信用金庫としては,A社がいわゆる同族会社であって,Cはその代表者であるから,実質的には無償行為にはあたらないと反論することが想定される。一方で,Eからは,CとA社とは別人格であって,これを別個に判断すべきであるとの反論が想定される。
 そこでこの点について検討すると,CがA社に対する善管注意義務(会社法330条,民法644条)ないし忠実義務(会社法355条)を履行するとともに自己の出資の維持ないし増殖を図るために保証をしたものといえるときには,C自ら直接ないし間接に経済的利益を受け破産財団の保全に資したものとして対価関係が認められるため,無償行為にはあたらない(※5)。CはA社の株式を70%保有しており,A社の利益の大部分がCに還元されることとなっているとともに,CはA社の業務を全面的に執り行っているから,その業績を左右させる地位にある。そうすると,Cとしては,A社の代表者として,その資金繰りを安定化させるべ義務を有しており,その履行としてB信用金庫からの借入れを行っており,その結果として,自己の出資の維持ないし増殖にも資する構造となっている。また,CはA社の破産手続開始の申立てと同日に自己の破産手続開始の申立てをしていることから,その利害が密接に関連していたとものと考えられ,A社の資金繰りの維持がC自らの経済的利益に直結していたことが推認される。そうすると,Cは,A社に対する補償をすることによって,自ら直接ないし間接に経済的利益を受け。破産財団の保全に資したものと認められるから,対価関係を肯定することができる。
 したがって,Cが本件連帯保証契約を締結したことは,無償行為にはあたらない。
 3 よって,B信用金庫は以上の主張をすることによって,Eの否認権の主張は認められないこととなる。

以 上


(※1)「『無償行為と同視すべき有償行為』とは,『破産者が対価を出捐したが名目的な金額に過ぎず経済的には対価としての意味を有しない行為を指す』(東京高判平成9年3月25日判時1621号113頁)。したがって,『無償行為』とは外形的に『対価』を伴わないいわば『純粋の無償行為』であり,民法上の無償契約性の判断とは必ずしも一致しない。」山本和彦ほか『倒産法概説[第2版補訂版]』291頁
(※2)「多数意見は、破産者が保証等の行為をしたとしても、それだけでは破産者自身が反対給付を受けることはなく無償行為に当たると解するのであるが、債権者の立場からすれば、主たる債務者に対する出捐をしているのであり、破産者自身債権者の右出捐を目的として保証等の行為をしているのである。両者は相互に密接に関連しており、一体として観察されるべきであつて、別々に切り離して評価することは許されない。もちろん、破産者は、右行為の時点では、債権者から反対給付を受けることはないが、自らは何らの出捐をすることもなく、単に債務の負担をするだけであり、将来保証債務を履行し若しくは担保権を実行された場合にはじめて出捐をすることとなるのであつて、この場合には破産者は実質的対価としての求償権を取得する。したがつて、贈与のような、全く対価のない無償行為ということはできない。なおまた、担保の供与についてみるに、破産者が右のように他人の債務について担保の供与をした場合ではなく、破産者が自己の債務について破産債権者に担保を供与した場合には、破産法七二条二号ないし四号の危機否認の規定が適用されることになるのであるが、ここでは受益者の悪意が否認の要件となる。同じく破産者が担保の供与をした場合であつても、自己の債務についてしたときには主観的要件が必要とされるのに、他人の債務についてしたときにはこれを要しないというのでは、両者の均衡がとれず、甚だ不合理であるといわざるをえない。この二つの場合とも、別除権の対象となりうる点では同じである。」最判昭和62年7月3日民集41巻5号1068頁島谷六郎裁判官反対意見
(※3)「同号[現行破産法160条3項]にいう無償行為として否認される根拠は、その対象たる破産者の行為が対価を伴わないものであつて破産債権者の利益を害する危険が特に顕著であるため、破産者及び受益者の主観を顧慮することなく、専ら行為の内容及び時期に着目して特殊な否認類型を認めたことにあるから、その無償性は、専ら破産者について決すれば足り、受益者の立場において無償であるか否かは問わない」前掲最判昭和62年7月3日多数意見
(※4)「破産者が取得することのあるべき求償権も当然には右行為[破産者の保証等の行為]の対価としての経済的利益に当たるとはいえない」前掲最判昭和62年7月3日多数意見
(※5)「主たる債務者が破産者及びその一族の所有かつ経営にかかるいわゆる同族会社であり、破産者がその代表者で名実ともにこれを支配しうる経営者であるような関係にあつて、債権者が破産者の保証若しくは担保の供与(以下「保証等」という。)があればこそ会社に対して出捐をしたものであり、かつ、会社が右出捐を得られないことになれば、その営業の維持遂行に重大な支障を来たすため、破産者自らこれに代わる措置を講ずることを余儀なくされたなどの事情があつて、実質的に、破産者が会社に対する善管注意義務ないし忠実義務を履行するとともに自己の出資の維持ないし増殖を図るため保証等をしたものといえるときには、破産者自ら直接ないし間接に経済的利益を受け破産財団の保全に資したものとして、右行為は無償行為には当たらないものと解するのが相当である。けだし、右の経済的利益の有無は、具体的事案に即して実質的に考察すべきものであつて、多数意見が引用している大審院の判例も、対価関係の存否の判断については破産者の意思をも参酌しうるものとし、破産者自ら経済的利益を受けたといえる場合の例示として、主たる債務者の扶養義務者である破産者が保証等をすることにより債権者の出捐がされたため破産者の右義務の履行が緩和された場合、あるいは一種の企業形態である匿名組合において匿名組合員たる破産者が相手方の営業上の債務につき保証等をした場合を挙げているところ、その趣旨とするところは、前者にあつては、主たる債務者が債権者から出捐を得られなければ、それによる経済的不利益が破産者に帰するため、破産者のする保証等が右の不利益を免れさせる意義を有することとなり、また、後者にあつては、破産者が相手方の営業のために出資しその営業より生ずる利益の分配請求権を有する地位にあるため、自己のする保証等が利益分配請求権及び出資の維持ないし増殖に資するからにほかならないからであり、以上の理は、前述のような場合にも等しく妥当するものというべきである。」前掲最判昭和62年7月3日林藤之輔裁判官反対意見



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