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2019-02-22(Fri)

【新司】倒産法平成18年第1問

今朝はとても早起きをして,京王ライナー2号の1番列車に乗ってきました。

1年前の下り京王ライナーのデビュー時のような華々しさはありませんでしたが,

調布の上り通過など見どころは多かったと思います。

初日ということで,座席は満席近く埋まっていたようですが,

今後利用者がどのように推移していくか注目したいところですね。

ちなみに,上りの調布通過シーンは,YouTubeにて公開しています。

2号は乗務員室のカーテンを閉めていたので,

前面展望で上り調布通過を拝めたのは4号が初ということになります。


ところで,今日は平成18年第1問です。

≪問題≫

〔第1問〕(配点:50)
 甲建物を所有するA社から同建物を賃借しているBが,次のような事情の説明及び質問をしてきたとする。Bの説明の中の事実関係はすべて証拠によって証明できるものと仮定して,Bの1から4までの質問にどのように回答すべきか検討しなさい。
 なお,回答に際しては,仮にA社について破産手続が開始された場合,A社にはある程度の財産があることから異時廃止になる見込みはなく,破産手続は7,8か月くらいで最後配当を経て終結するであろうことを前提としなさい。

【Bによる事情の説明】
 私は,甲建物の2階全部を所有者であるA社から賃借していて,現在事務所として使っています。賃貸借期間は3年,賃料は毎月50万円で,敷金として300万円(賃料6か月分)を差し入れています。
 賃貸借の開始からもうすぐ2年8か月が経過しますが,A社の債権者からの申立てに基づいて,間もなくA社について破産手続開始の決定がされるようです。約定期間の満了まであと約4か月ありますが,その残り4か月間は,私はまだ甲建物で仕事を続ける必要があります。ただ,賃料がほぼ同額でもう少し広い賃貸物件が見つかったので,約定期間が満了したら賃貸借契約は更新せずに,別の建物に事務所を移すつもりでいます。
 私は,今まで賃料の支払を怠ったことはなく,A社が破産したとしても,A社の社長のCには昔から世話になっていることから,取りあえず残り4か月分も約定どおりに支払うつもりでいます。なお,敷金については,今後万一賃料の不払等があれば格別,そうでなければ控除の対象となる損害金等は現時点ではない旨をCに確認済みです。

【Bの質問】
1.A社の破産管財人がA社の破産を理由として私に甲建物からの即時の退去を求めることはできますか。
2.A社の破産手続開始の決定後も私が賃料を支払い続けることを前提にして,後で敷金相当額を幾らかでも回収する方法はないのでしょうか。
3.A社の破産手続において敷金返還請求権を行使しなければならないとして,その行使はどのようにすればよいのでしょうか。また,どのように支払を受けることができるのでしょうか。
4.Cによると,A社は再生手続開始の申立てをすることを検討中であるとのことです。仮にA社について再生手続が開始されても,私は賃料を支払い続けるつもりですが,この場合,敷金返還請求権をどのように行使することができるでしょうか。


えっ……!!?!??!?!?!?!???

なんというか,

平和すぎじゃないですか???

込み入った論点は特にないように思うんですが……

え……逆に,この13年間で司法試験委員会に一体何があったんでしょう……

それくらい問題の難易度の差がすごいと感じました。

≪答案≫
第1 質問1
 1 A社とBとの間では,甲建物2階部分についての賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)が締結されている。これに基づいて,A社はBに対して甲建物を使用収益させ,BはAに対してこれの対価を支払う義務を負うこととなるから(民法601条),双務契約である。そして,約定の賃貸借期間は満了していないため,残期間分の双方の義務が未履行の状態となっている。この状態で,A社は破産手続が開始されようとしている。したがって,本件賃貸借契約は,双方未履行双務契約として,破産法53条の規律に従うこととなるのが原則である。
 この場合,A社の破産管財人は,本件賃貸借契約を「解除」するか,これを継続して「履行を請求する」かを選択することとなる(同条1項)。
 2 もっとも,本件賃貸借契約について,破産法56条1項の適用がある場合には,同法53条の適用はなくなり,本件賃貸借契約が係属することとなる。
 そこで,本件賃貸借契約について,同法56条1項の適用があるかについて検討すると,建物賃貸借の対抗力は建物の引渡しによって生ずるところ(借地借家法31条),BはA社から既に甲建物2階部分の引渡しを受けているから,Bは甲建物の賃借権について対抗力を有している。したがって,「賃借権を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき第三者に対抗することができる要件を備えている場合」にあたるから,破産法56条1項の適用がある。
 したがって,本件賃貸借契約について,同法53条1項の適用はないから,本件賃貸借契約が破産管財人によって解除されることはない。
 3 したがって,Bに対しては,A社の破産管財人はA社の破産を理由として甲建物からの即時の退去を求めることはできないであろうと回答することとなる。
第2 質問2
 1 BはA社に対して,本件賃貸借契約に付随する敷金契約に基づいて,敷金返還請求権を有する。前提として,敷金返還請求権の法的性質について検討すると,敷金は賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することのあるべき一切の債権を担保し,賃貸借終了後建物明渡がなされた時において,それまでに生じた一切の被担保債権を控除しなお残額があることを停止条件として,その残額につき敷金返還請求権が発生する(※1)
 2⑴ そうすると,敷金返還請求権は,停止条件付債権であるから,これを自働債権として相殺をすることは原則としてできない(破産法67条1項,2項前段)。
  ⑵ もっとも,敷金返還請求権の上記性質に照らすと,賃借人としては,敷金を賃貸人に差し入れたときから,敷金と賃料とを相殺することに対する期待を少なからず有しており,賃貸人が破産した場合には特にそのような期待を強く有しているということができる。
 そこで,破産法70条後段は,賃借人は賃貸人に対し,賃料債務に弁済について,弁済額の寄託を請求することができるものとしている。Bは「敷金の返還請求権を有する者」であり,本件賃貸借契約に基づいて「賃料債務を弁済」する場合であるから,「弁済額の寄託を請求することができる」。
 この方法により,Bは,本件賃貸借契約に係る残賃貸期間分の賃料債務として支払う200万円分の寄託を請求することができ,本件賃貸借契約が終了したときに200万円の回収を図ることができる。
 3 したがって,Bに対しては,寄託請求により200万円の回収をすることができると解答することになる。
第3 質問3
 1 上記のように,BがA社に対して有する敷金返還請求権は,本件賃貸借契約に付随して締結された敷金契約に基づくものである。この敷金契約は,A社の破産手続開始前にされたものであるから,上記敷金返還請求権は,「破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」であるとして「破産債権」として扱われる(破産法2条5項)。
 2 破産債権は,破産手続によらなければ,これを行使することができない(同法100条1項)。上記敷金返還請求権は,停止条件付債権であるが,そうであっても破産手続に参加することはできる(同法103条4項)。したがって,Bは,上記敷金返還請求権を,破産債権として届出をする必要がある(同法111条1項)。その後,上記敷金返還請求権について,調査がされ(同法117条以下),異議等がなければ確定する(同法114条1項)。
 3 上記敷金返還請求権が確定すれば,A社の破産財団から配当を受けることとなるのが原則である(同法193条1項)。もっとも,上記敷金返還請求権は停止条件付債権である以上,その条件が成就するとは限らないから,本来的に配当を受ける基礎が不安定な状態である。そこで,停止条件付債権については,除斥期間内に条件が成就したことを証明しなければ,最後配当を受けることができない(同法198条2項)。
 したがって,Bとしては,A社の最後配当に関する除斥期間内に,上記敷金返還請求権の停止条件が成就したことを証明しなければならない。
第4 質問4
 1 A社が再生手続を開始した後に,Bが本件賃貸借契約に基づいて賃料を支払った場合には,Bが有する敷金返還請求権は,「賃料の六月分に相当する額の範囲内におけるその弁済額を限度として,共益債権」として扱われる(民再法92条3項)。そうすると,本件賃貸借契約の残賃貸借期間は4か月であるから,200万円を限度として,共益債権として扱われる。
 共益債権は,再生手続によらないで,随時弁済を受けることができる(同法121条1項)。
 2 Bの敷金返還請求権のうち,残部の400万円の部分(以下「本件残部債権」という。)については,A社の「再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」であるから「再生債権」として扱われる(同法84条1項)。
 再生債権は,再生計画の定めによらなければ弁済を受けることができない(同法85条1項)。そこで,Bとしては,本件残部債権について届出をする(同法94条1項)。そのうえで,これについて調査を受け(同法100条以下),異議等がなければ確定する(同法104条1項)。そして,再生手続においては,破産手続と異なり,弁済を受けるための除斥期間が設けられていないため,再生計画内で条件が成就すれば足りる。

以 上


(※1)「家屋賃貸借における敷金は、賃貸借存続中の賃料債権のみならず、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当損害金の債権その他賃貸借契約により賃貸人が貸借人に対して取得することのあるべき一切の債権を担保し、賃貸借終了後、家屋明渡がなされた時において、それまでに生じた右の一切の被担保債権を控除しなお残額があることを条件として、その残額につき敷金返還請求権が発生するものと解すべきであり、本件賃貸借契約における前記条項もその趣旨を確認したものと解される。」最判昭和48年2月2日民集27巻1号80頁


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