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2019-02-21(Thu)

【新司】倒産法平成19年第2問

こんばんは。

明日は,平成31年2月22日。

そうです。

京王電鉄のダイヤ改正が行われる日です。

明日の改正では,朝の時間帯に,京王八王子・橋本から新宿方面への京王ライナーが設定されます。

ついにきたかという感じですね。

ただ,京王八王子・橋本から,それぞれ2本ずつということで,

夜の新宿からの京王ライナーに比べれば,本数は少なめです。

やはり,ラッシュ時にライナーをねじ込むことができるほど線路容量に余裕はなさそうです。

どうせ明大前で団子運転する羽目になるでしょうし。

ちなみに私は,明日の京王八王子発の1番列車に乗車する予定です。

席は既に確保してあります。

あとは朝起きれるかどうかの問題です。

心配ですね。

ところで,倒産法平成19年第2問を解きます(唐突)(恒例)

≪問題≫

[第2問](配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 Aは,宅地建物取引主任者の登録を経た上,宅地建物取引業の免許を受けて自ら不動産仲介業を営んでいたが,平成10年に購入したマンションの住宅ローンの返済のためや,平成15年ころから始めた株取引及び商品先物取引により生じた2000万円余りの損失の処理のために,いわゆる消費者金融業者からも借入れを繰り返すようになった。その結果,平成19年1月当時,Aの負債は,住宅ローンの残債務1600万円のほか,損失処理のための借入債務も,知人及び消費者金融業者からの借入れを主なものとして合計1500万円に達していた。他方,その当時のAのめぼしい財産としては,住宅ローンを被担保債権とする抵当権が設定されている時価1500万円のマンション,平成18年5月にBに絵画を時価相当額である50万円で売却したことにより生じた売買代金債権及び時価40万円の中古自動車があるだけであった。その上,収入が安定せず,その額もかろうじて生活費を賄える程度に減少していたので,Aは,弁済期にある債務を継続的に支払えない状況に陥った。そこで,Aは,平成19年1月下旬,債務の整理について,自治体が主催する法律相談を受けたこともあったが,その時は,破産手続を選択する決断ができなかった。
 Aは,その後も負債の返済に窮していたため,平成19年2月初旬,消費者金融業者に借入れを申し込む際,申込書の「他の業者からの借入額」を記載する欄に,正直に記載すると借入れを断られるとの思いから100万円と記載した。Aは,応対した従業員から「本当にこれ以上の負債はないのですか。」と尋ねられたものの,「他にはありません。」と答え,50万円を借りたが,この借入れについては,わずかの返済しかできなかった。
 また,Aは,借入先を探している際,クレジットカードを利用して家電量販店でパソコンを購入し,それを送ってくれれば購入価格の半額程度で買い取るとの情報をある業者から得た。藁にもすがる思いであったAは,平成19年3月上旬,クレジットカードを利用して家電量販店において60万円でパソコンを3台購入し,直ちにその業者に送って30万円を得た。しかし,その金員は他の返済に費消され,クレジットカード会社へはほとんど弁済することができなかった。
 平成19年3月下旬,返済の督促に耐えきれなくなったAは,弁護士Cに相談の上,同年4月6日,破産手続開始及び免責許可の各申立てをし,同月11日,破産手続が開始され,裁判所により破産管財人Dが選任された。

 〔設 問〕
1.Aは,自治体が主催した法律相談を受けた際,担当弁護士が説明してくれた小規模個人再生手続にも関心を持ったが,「不動産仲介業の収入が減って生活費を賄うのがやっとの状態だから,小規模個人再生手続を利用することは難しいと思う。」との説明を受けた。
 破産手続との比較において小規模個人再生手続の利点を指摘するとともに,担当弁護士が「小規模個人再生手続を利用することは難しい。」と判断した理由を簡潔に説明しなさい。
2.Bから次のような相談を受けた弁護士Eは,Bに対して,どのように答えるのが適切か検討しなさい。
【Bの相談】
 私は,平成18年5月にAから絵画1点を代金50万円で購入し,その引渡しを受けましたが,贋作ではないかとの疑いもあって代金を支払っていませんでした。その後,平成19年4月下旬に至り,本物であることが判明したので,Aに対し,50万円を支払いました。ところが,同年5月中旬になって,Aの破産管財人と称するDから,50万円をDに支払うように求められました。
 私は,Dの求めに応じなければならないのでしょうか。
3.破産手続開始の申立てを受任した弁護士Cは,Aから次の質問を受けた。どのように答えるのが適切か検討しなさい。
【Aの質問】
 私は,破産手続が開始された後は,業者から委託を受けて化粧品や健康食品の訪問販売の仕事に従事して生計を立てようと考えています。仕事をするためには自動車があった方が便利ですし,公共交通機関が乏しい地方であることから,高齢の母の通院の介助や日用品の買物といった日常生活の場面でも自動車が不可欠です。そこで,中古自動車を保有し続けることができるのであればありがたいのですが,それは可能でしょうか。
4.Aの免責許可の申立てについて裁判所が判断する際に検討すべき事項を指摘して説明しなさい。ただし,設問2及び3に現れた事実は考慮しないものとする。

(参照条文) 宅地建物取引業法
 (試験)
第16条第1項 都道府県知事は,国土交通省令の定めるところにより,宅地建物取引主任者資格試験(以下「試験」という )を行わなければならない。 。
 (取引主任者の登録)
第18条第1項 試験に合格した者で,宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは,国土交通省令の定めるところにより,当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし,次の各号のいずれかに該当する者については,この限りでない。
 一,二 (略)
 三 破産者で復権を得ないもの
 四~八 (略)
 (登録の消除)
第68条の2第1項 都道府県知事は,その登録を受けている取引主任者が次の各号の一に該当する場合においては,当該登録を消除しなければならない。
 一 第18条第1項第1号から第5号の2までの一に該当するに至つたとき。
 二~四 (略)


なんだか,一大論点!!みたいなところはなく,

最初から最後まで,つらつらと平凡なことを書いて終わりな問題な気がします。

とりあえず条文を見つけるのを頑張ろうねという感じです。

≪答案≫
第1 設問1
 1⑴ 破産手続による場合は,自由財産又は差押禁止財産を除いて破産手続開始時に有する一切の財産が破産財団とされ(破産法34条1項,2項),裁判所による免責許可(同法252条1項)によって免責がされない限り(同法253条1項本文),破産財団から破産債権者のために配当が行われることとなる(同法193条1項)。したがって,破産者の手元には,自由財産又は差押禁止財産しか残らないこととなる。
 一方で,小規模個人再生による場合は,再生手続であるから,再生債務者が再生計画案を策定し(民再法154条以下),再生債権者による可決の決議(同法172条の3)及び裁判所による認可(同法174条)を経れば,その再生計画に従って弁済をすれば足り,自由財産又は差押禁止財産以外にも財産を手元に残すことができる。
  ⑵ 破産手続による場合には,免責不許可事由(破産法252条1項各号)が存する場合には,免責を受けることができないところ,Aには後述のように免責不許可事由が存すると判断される可能性がある。この場合には,上記のように破産手続による財産の換価配当がされることとなる。
 一方で,小規模個人再生による場合には,再生債務者に破産法上の免責不許可事由が存する場合であっても,上記のように,再生計画による弁済を完了すれば,その他の責任は免れることができる。
  ⑶ また,本問では特に,Aが宅地建物取引主任者であるところ,破産手続が開始した場合には,復権(破産法255条以下)を得ない限り,その登録が消除される(宅建業法68条の2第1項1号,18条1項3号)。そうすると,Aは,従来の職を続けることができなくなり,収入減が断たれることとなる。
 一方で,小規模個人再生による場合には,再生手続の開始は宅建業法上の登録の消除事由とされていないから,Aは従前どおり,不動産仲介着を得を営むことができる。
  ⑷ さらに,Aは住宅ローンとして1600万円の債務を負っているところ,小規模個人再生であれば,住宅資金特別条項を付することができ(民再法198条,199条),マンションを従前どおり使用し続けることができる。
 2 小規模個人再生が認可されるためには,再生計画の不認可事由(民再法174条2項,231条2項)がないことが必要である。
 そこで,Aが小規模個人再生を選択した場合に,再生計画に不認可事由が存在しないかについて検討すると,Aが自治体主催の法律相談を受けた当時,損失処理のための借入債務が計1500万円に達していたのであるから,これが「無異議債権」または「評価済債権」とされた場合には,同法231条2項4号の事由に該当しないことが必要である。しかし,当時Aは,不動産仲介業の収入が減って生活費を賄うのがやっとの状態であって,収入を原資として弁済をすることは困難である。そうすると,Aが弁済原資に充てられるのは,50万円の絵画の売買代金債権と40万円の中古自動車(以下「本件自動車」という。)だけであるから,「基準債権の総額の五分の一」である300万円を準備することができないものと考えられる。
 したがって,Aは小規模個人再生を利用することが難しいものと考えられる。
第2 設問2
 Bは,Aとの間で,絵画の売買契約(民法555条)を締結し,平成19年4月下旬に,当該契約に基づく代金支払債務の履行として50万円の支払をしている。しかし,これよりも前である同月11日に,Aは破産手続を開始している。そうすると,Bは,Aについて破産手続の開始があったことを「知らないで」弁済したのでなければ,支払をした全額についてAの破産手続との関係で効力を主張することができない(破産法50条1項)。
 そして,破産手続開始について公告がされた後には,Bは,Aの破産手続開始の事実を知っていたものと推定されるところ(同法51条),破産手続開始の公告はAの破産手続開始決定のあと直ちにされるから,Bが上記支払をした時点ではAの破産手続開始の公告はされていたものと考えられる。したがって,Bは,Aの破産手続開始の事実を知っていたものと推定される。
 よって,Bは,Aの破産手続開始の事実を知らなかったことを反証しない限り,全額の支払について効力を主張することができず,反証に失敗した場合には,Aの破産財団が受けた利益の限度でしか効力を主張することができず,その余の部分についてDに支払をしなければならない。
第3 設問3
 1 本件自動車は,「破産手続開始の時において有する一切の財産」に含まれるものであるから,破産財団に属するのが原則である(破産法34条1項)。したがって,Aは本件自動車を保有し続けることができないのが原則である。
 2⑴ 本件自動車は,差押禁止動産(民執法131条)には該当しないため,当然に自由財産になるものではない(破産法34条2項)。
  ⑵ もっとも,裁判所の決定により,破産者の自由財産の範囲を拡張することはできる(同条4項)。そこで,裁判所が,本件自動車について自由財産とすることの裁判をすることができるかについて検討する。
 「破産者の生活状況」としては,Aの生活地域は,公共交通機関の乏しいところで,日常生活に自動車が不可欠とされる状況にある。したがって,Aの生活状況からすると,本件自動車が必要であるといえる。「財産の種類及び額」としては,本件自動車は,中古車であって,その価値も40万円とさほど高額ではない。そうすると,これを換価して配当に充てても,破産債権者の満足に資する程度は低い。したがって,本件自動車を自由財産としても,破産手続上の弊害は小さいと考えられる。そして,「収入を得る見込み」としては,Aは現在,破産手続開始により宅地建物取引主任者としての資格が制限され,無職の状態である。そこで,Aとしては収入の安定化を図るために早期に再就職する必要があるところ,Aは訪問販売の仕事を始めようと考えている。これを始めるにあたっては,自動車があった方が便利であるとされている。したがって,本件自動車は,Aの収入の安定化のためにも,必要であると考えられる。また,「その他の事情」としては,Aの高齢の母の通院の介助のためにも本件自動車が必要である。
 以上からすると,本件自動車を自由財産とすべき必要性が高く,その場合の弊害も小さいのであるから,裁判所としては,本件自動車を破産財団に属しないこととする決定をすることができる。
 3 したがって,Cとしては,Aに対して,裁判所に対して上記決定をすることの申立てをすることによって,本件自動車を破産財団に属しないこととすることができる可能性がある旨を伝えるべきである。
第4 設問4
 1 裁判所は,Aの免責許可の申立てについて判断する際に,免責不許可事由(破産法252条1項)の存否について検討する。
 2⑴ まず,Aが株取引及び商品先物取引により2000万円の損失を生じさせたことが,「浪費行為」(同項4号)にあたらないか。
 Aは,平成10年にマンションを購入し,多額の住宅ローンの返済債務を負っていたのであるから,宅地建物取引主任者としての収入等に照らして堅実な返済方法をとるべきであったにもかかわらず,株式投資や商品先物投資を行い,その結果2000万円もの過大な債務を負担したものであるから,「浪費行為」にあたる(※1)。したがって,Aには,免責不許可事由が存する。
 もっとも,この場合にも裁判所は,裁量的に免責許可の決定をすることができるが(破産法252条2項),Aは上記の損失を出したあとも,消費者金融業者から借入れを繰り返すなど,その場しのぎの借財を行うなどして,結局自己の債務を増やすような行動に出ているのであるから,一切の事情を考慮しても免責許可の決定はできないように思われる。
  ⑵ また,Aが,消費者金融業者に借入れを申し込む際に,自己の借入額をについて虚偽の申告をしたことが,「詐術」にあたらないか。
 「詐術を用いて」とは,破産者が信用取引の相手方に対し自己が支払不能等の破産原因事実のないことを信じさせ,あるいは相手方がそのように誤信しているのを強めるために,資産若しくは収入があることを仮装するなどの積極的な欺罔手段を取った場合若しくはこれと同視すべき場合をいい,破産者が破産原因事実があることを黙秘しただけでは足りない(※2)。しかし,Aは,従業員から,記入した額以上の債務がないことについて念押し的に確認されているにもかかわらず,これに対して虚偽の回答をするなどして,Aが借入額が100万円程度しかなく,Aに破産原因事実がないものとの従業員の誤信を強めているから,「詐術を用いて」にあたる。したがって,Aには,免責不許可事由が存する。
 そして,Aには,特に裁量免責を認めるべき事情が存しないから,裁量免責もされない。
  ⑶ さらに,Aが60万円でパソコンを購入し,それを30万円で業者に売却したことが,「著しく不利益な条件で処分した」ものとされないか。
 Aは,当該パソコンを購入してから直ちに業者に売却しているから,購入から売却までの間に当該パソコンの価値が半減するはずがなく,当初から,クレジットを現金化することのみを目的としてされた転売行為であるといえ,「著しく不利益な条件で処分」したことにあたる。したがって,Aには,免責不許可事由が存する。
 そして,Aには,裁量免責が認められるべき事情はないから,裁量免責はされない。

以 上


(※1)東京高決平成8年2月7日判時1563号114頁は,借金をして株式投資を行ったもののこれに失敗し多額の債務を負担したため,再度株式投資を行ってこれを返済しようと計画して,新たな借金をして株式投資を行ったものの,株価の暴落により大きな損失を被った者の免責不許可決定の抗告事件において,「抗告人は、投資顧間会が倒産したことにより株式投資により得た利益を失い、債務を弁済するために再度株式投資を始めた昭和六二年には、約三〇〇〇万円の借財をしていたのであるから、銀行員としての収入等に照らして堅実な返済方法をとるべきであったにもかかわらず、再度株式投資を計画し、当時の抗告人の財産状態に照らして不相応な計三六五〇万円もの多額な借入れを行って、その大部分をもとに株式投資を再開し、その結果過大な債務を負担したものであって、その行為は、破産法三七五条一号所定の浪費行為に該当するというべきである。」と述べて,浪費行為該当性を肯定しています。
(※2)「『詐術ヲ用ヒ』たとは、破産者が信用取引の相手方に対し自己が支払不能等の破産原因事実のないことを信じさせ、あるいは相手方がそのように誤信しているのを強めるために、資産もしくは収入があることを仮装するなどの積極的な欺罔手段をとった場合もしくはこれと同視すべき場合を指すのであって、破産者が単に支払不能等の破産原因事実があることを黙秘して相手方に進んで告知しなかったことのみでは『詐術ヲ用ヒ』た場合に当たらないものと解するのが相当である」大阪高決平成2年6月11日判時1370号70頁



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