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2019-02-18(Mon)

【新司】倒産法平成29年第2問

随分前に書いたシリーズもこれにて終結。

平成29年第2問です。

どんな問題だったか,全く覚えてません。

≪問題≫

〔第2問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 A社は,精密部品の製造及び販売を業とする株式会社である。Bは,A社の代表取締役であり,その発行済株式の全部を有していた。A社は,優秀な技術をいかして研究を重ねた結果,競合する他社に勝る品質と価格を実現し,主要取引先である甲社及び乙社に対し,それぞれの仕様に応じた製品を供給して,順調に事業を営んでいた。
 ところが,平成28年10月末,甲社向けの製品に仕様と異なる多数の欠陥品が生じたことから,同年11月末に甲社との取引が打ち切られた。そのため,A社は,売上げがほぼ半減し,平成29年1月末日の資金繰りに窮することとなった。
 そこで,A社は,弁護士Cを代理人として,平成29年1月25日に再生手続開始の申立てをした。同日,A社について弁済禁止の保全処分(ただし,金5万円以下の債務の弁済は,その対象外とされた。)及び監督命令が発せられ,弁護士Kが監督委員に選任された。
 平成29年2月7日,A社について再生手続開始の決定がされた。同決定時のA社の負債の総額は約3億円,債権者総数は50名である。

〔設 問〕
1.再生債権の弁済に関する原則に触れつつ,以下の小問に解答しなさい。
 ⑴ 再生債権者のうち,債権額3万円未満の者は12社であり,その債権の総額は30万円,その弁済期はいずれも平成29年2月20日であった。同年2月10日までに,そのうち3社からA社に連絡があり,いずれも全額の弁済を強く求めた。他の9社は,特段の要求をせず,債権届出書の作成中であることが判明した。
 A社は,弁済を求めている3社に対して支払をすることができるか。C弁護士の立場に立って,そのための方策を根拠とともに述べなさい。また,他の9社については,どうすべきか。
 ⑵ 再生債権者のうち,製造工程の一部を受注していた者は5社であり,その債権額は70万円から300万円までであった。Bは,申立ての直後からこれら各社を回り,再生手続の遂行について理解を求めたところ,D社を除く4社はおおむね協力的であり,再生債権の届出を行い,従来どおりに取引を継続することを了解した。
 一方,D社(債権額100万円,弁済期平成29年2月10日)は,同月15日,債権全額の支払がない限り,今後一切A社との取引をしないと通告してきた。A社は,近時開発した製品αに不可欠なパーツβの製作を全てD社に発注していた。製品αは,A社の戦略商品であり,再生手続開始の申立て後も主要取引先である乙社から安定した出荷の継続を要請され,乙社との取引の継続に必須であるのみならず,将来の取引先拡大など発展の要としても位置付けられている。
 しかし,A社にパーツβの在庫はほとんど残っておらず,D社がパーツβを納品しない限り,A社は製品αの生産ができなくなる。
 A社は,D社に対して支払をすることができるか。C弁護士の立場に立って,そのための方策を根拠とともに述べなさい。
2.A社について管理命令が発せられ,弁護士Lが管財人に選任された場合と比較しつつ,以下の小問に解答しなさい。
 ⑴ A社は,本社の近くに丙土地(担保設定なし)を所有していた。その隣地に居住していたEは,「近々2台目の乗用車を買おうと思っており,その駐車場に丙土地がちょうどよい。お隣同士だから50万円くらいなら買ってもよい。」とBに持ち掛けた。Bは,申出に応じることとし,平成28年10月15日,A社は,Eに対し,丙土地を売却して代金50万円を受領した。おって,その所有権移転登記手続を行う予定であったが,同月末に生じた欠陥品問題の対応にBが追われた事情もあり,登記手続が行われないまま,再生手続開始の申立てに至った。
 Eは,平成29年2月10日,A社に対し,丙土地の所有権移転登記手続を求める訴えを提起した。
 Eの所有権移転登記手続の請求は認められるか。A社の反論を踏まえて,論じなさい。
 ⑵ F社は,中古機械の販売等を業とする株式会社であるが,その代表取締役Gは,平成28年9月末の決算期に合わせて在庫の台数を調整し,架空の売上げを計上しようと考え,旧知のBに協力を要請した。A社は,中古機械を必要としていなかったが,Bは,Gの意図を理解し,両社が通謀の上,平成28年9月末日,A社は,F社から中古機械(市場価格300万円程度)を500万円で購入する契約を締結した。同日,F社は,当該中古機械をA社に引き渡したが,打合せどおりF社は代金を請求せず,A社も支払をしなかった。当該中古機械は,A社内に据え置かれたまま,再生手続開始の申立てに至った。
 F社は,平成29年2月20日,当該中古機械の売買契約は,通謀虚偽表示(民法第94条)により無効であるとして,A社に対し,その引渡しを求める訴えを提起した。
 F社の引渡請求は認められるか。A社の反論を踏まえて,論じなさい。


あー……

こんな問題あったな……

≪答案≫
第1 設問1
 1 小問⑴
 A社は,弁済を求めている3社に対して支払をすることができるか。これらの3社がA社に対して有する債権は「再生債権」(民再法84条1項)とされているところ,再生債権については,再生手続開始後は,再生計画外で弁済をすることができない(同法85条1項)のが原則である。
 そこで,C弁護士としては,これらの3社に対する弁済をすることを許可することを裁判所に求めることが考えられる(同条5項前段)。A社の負債総額は約3億円であるところ,これらの3社の再生債権はいずれも3万円未満いのものであり,負債総額の0.03%に満たないから,「少額の再生債権」である。そして,A社に対する債権者総数は50名であって,比較的人数が多い。そこで,再生手続を進める上では,人数が多いことによる手続の煩雑が想定されるが,特にこれらの3社については弁済を強く求める態度に出ている。そうすると,今後の再生計画の策定などにおいて,これらの3名が決議において反対するなど,その早期な再生手続の阻害となり得る。したがって,これらの3社に弁済をすることで,「想起に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができる」と認められる。以上から,A社は,弁済を求めている3社に対し支払をすることができる。
 また,他の9社についても,C弁護士は,弁済の許可を裁判所に求める。上記同様「少額の再生債権」を有するにすぎず,人数の多い本件の再生手続においては,再生債権者数を減らすことで,費用を軽減することもでき,「再生手続を円滑に進行」することができる。したがって,A社は,他の9社についても,その債務の弁済をすることとなる。
 2 小問⑵
 C弁護士としては,D社に対する弁済を許可するよう裁判所に求めることが考えられる(民再法85条5項後段)。
 D社がA社に対して有する債権額は100万円であり,負債総額の約0.3%にすぎず,「少額の再生債権」である。A社がD社としていた取引の内容としては,A社が戦略商品としている製品αに不可欠なパーツβの政策をD社が行うというものである。製品αは,主要取引先である乙社から安定した出荷の継続を要請されており,乙車との取引の継続に火っすとされている。そして,A社は,これまで主要取引先としてきたのは,甲社及び乙社であったが,甲社との取引が打ち切られた現在では,乙社との取引が継続されなければ事業の継続が不可能となる。したがって,製品αの供給をとめるわけにはいかないところ,この不可欠なパーツβは,A社に在庫がほとんどなく,D社がパーツβを納品しない限り製品αの生産はできない。また,甲社との取引がなくなった現在では,他社との取引を拡大することも視野に入れる必要があるところ,これもD社からの供給がなければ行うことができない。以上からすると,D社が再建全額の弁済がない限り,A社との取引をしない旨通告している状況の下では,「弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来す」ということができる。そして,通告があった段階で弁済期を徒過しているから,「早期に弁済」する必要がある。
 以上から,A社はD社に対して支払をすることができる。
第2 設問2
 1 小問⑴
 Eの所有権移転登記手続の請求は認められるか。AE間では,丙土地の売買契約が締結され,EはAに500万円を支払っているから,Eは丙土地を所有している。そして,Aが限最゛も丙土地の所有権移転登記を具備している。したがって,Eの請求は認められるようにも思える。ここで,Aとしては,再生手続開始決定により,再生債務者としての地位を取得したことによって「第三者」(民法177条)にあたるため,Eの請求は認められない旨反論する。
 ここで,A社について管理命令が発せられ,管財人Lが選任されている場合には,A社の財産の管理処分権がLに移る結果(民再法66条),Lがあたかも差押債権者と同様の地位を取得するため,「第三者」にあたり,Eとの間で対抗関係になる。
 他方で,A社について監督命令が発せられているにすぎない本問では,A社の財産の管理処分権は未だA社に残っている(同法38条1項)。そうすると,A社が「第三者」にあたることを主張する結果,自己が行った土地の売却について相反する態度をとることになる。しかし,再生債務者は,再生債権者との間で公平誠実義務を負うから(同法38条2項),それまでの地位と独立した再生債務者固有の地位を取得することとして,相反する態度をとらせても問題ない
 したがって,A社は「第三者」にあたり,Eとの間で対抗関係に立つところ,Eは所有権移転登記を具備しておらず,したがって,Eの請求は認められない。
 2 小問⑵
 F社の引渡請求は認められるか。AF間の中古機械の売買契約は無効とされることから,その所有権はF社に帰属する。そして,A社がこれを占有している。したがって,F社の請求は認められるようにも思える,ここで,A社としては,自己が「善意の第三者」(民法94条2項)にあたるため,F社の請求は認められない旨反論する。
 ここで,管財人Lが選任されている場合には,管財人が再生債権者の利益を代表して選任される以上,「善意」の判断は,再生債権者を基準として行う。そして,再生債権者の中に一人でも「善意」の者がいる場合には,その者を保護する必要があるから,「善意」であると判断される
 他方で,監督命令が発せられているにすぎない場合には,A社が「善意の第三者」にあたるかを判断することとなるが,A社は自ら虚偽表示に基づく取引に加担した者である。しかし,法は再生債務者に管理処分権を残しながら公平誠実義務を課していることからすると,再生手続開始後は,再生債務者であっても再生債権者を代表する地位にあるといえる。したがって,この場合にも,再生債権者を基準として「善意」の判断をすることとなる。
 本件では,F社で架空計上がされるなど,外部から虚偽表示であることが認識できない態様で取引されているから,再生債権者に少なからず「善意」の者がいると考えられる。したがって,F社の引渡請求は認められない。

以 上



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