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2019-02-17(Sun)

【新司】倒産法平成30年第2問

第2問もたぶんいろいろ落としている気がしますが,

修正するのも面倒なので,とりあえずそのまま掲載します。

気が向いたら,出題趣旨とかを見ながら修正をかけていきたいと思います。

≪問題≫

〔第2問〕(配点:50)
次の事例について,以下の設問に答えなさい。
【事 例】
 食品製造業を営むA株式会社(以下「A社」という。)は,味に定評のある老舗であり,自らが所有する甲食品工場で弁当等を生産し,特に定番の総菜商品は有名デパートを含む得意先各社から受注を得ていた。しかし,A社は,平成30年正月に向けて発売した期待の新商品が不人気に終わり,不良在庫を抱えて資金繰りが悪化した。折悪しく大口の売掛先から受け取っていた同年3月末日を満期とする手形が不渡りとなったことから,A社は資金繰りに窮して破綻が決定的となり,A社代表取締役社長B(以下「B社長」という。)は,C弁護士に民事再生手続による事業再生を依頼した。
 A社は,自ら振り出した同年4月25日を満期とする手形を決済できないことが確実になったことから,同月20日,C弁護士が申立代理人となって再生手続開始の申立てをし,必要な手続費用を予納した。同日,この申立てが受理されて,裁判所は監督委員としてD弁護士を選任した。A社には,税金の滞納や労働債権の未払は生じていない。B社長は,従来どおり甲食品工場を生産拠点として事業を継続し,得られる収益によって再生債権を弁済する内容の再生計画案を想定している。
 C弁護士は,同月21日にA社の主要債権者である以下の3者に連絡したところ,以下のとおりのコメントを得たので,その旨を裁判所に報告した。
<コメント①:E銀行>
 E銀行は,A社の総債権者の中で唯一の担保権者であり,甲食品工場に抵当権を有している。A社の再生手続開始の申立時に判明している全ての債権者が再生債権者としてその権利を行使することが見込まれる額の総額(以下「総権利行使見込額」という。)に対して,E銀行が再生債権者としてその権利を行使することが見込まれる額が占める割合は30%である。
 E銀行のコメントは,「突然の申立てに困惑して行内の考えもまとまっておらず,現時点で手続に賛成とは到底申し上げられない。担保権の行使についてはこれから検討する。」とのことであった。
<コメント②:F株式会社(以下「F社」という。)>
 F社は,A社の最大の仕入先である。総権利行使見込額に対して,F社が再生債権者としてその権利を行使することが見込まれる額が占める割合は15%である。
 F社のコメントは,「どうせ再建はできないと思うので,協力することは考えていない。」とのことであった。
<コメント③:G株式会社(以下「G社」という。)>
 G社は,F社に次ぐA社の仕入先である。総権利行使見込額に対して,G社が再生債権者としてその権利を行使することが見込まれる額が占める割合は10%である。
 G社のコメントは,「定番の総菜を中心にすれば,A社の業績回復も不可能ではないと思う。自社の債権については,再生債権として再生計画に基づく弁済を受けることは仕方がないが,再生手続開始の申立て後も取引を継続して新たに食材をA社に卸した場合,その代金までも回収することができないとすれば被害が拡大してしまうので,不安である。」とのことであった。

〔設問1〕
⑴ 裁判所が再生手続開始の決定をすることができるかどうかについて,E銀行,F社及びG社のコメントを踏まえ,理由を付した上で論じなさい。
⑵ A社は,G社に食材の取引を継続してもらえるようにするため,どのような方策を採ることが考えられるか。

【事 例(続き)】
 裁判所は,平成30年4月30日,再生手続開始の決定をした。当該決定がされた後に,監督委員D宛てにB社長の不正を知らせる匿名の通知があり,これを契機として以下の事実が判明した。
<判明した事実①>
 A社の仕入先であるH株式会社(以下「H社」という。)は,同年3月末日現在,A社に対し食材等に係る売掛債権を有していた。A社の手形不渡りが確実であることを知ったH社は,同年4月19日,A社と協議し,再生手続開始の申立て後もA社との取引を継続することを約束する一方,A社は,在庫として保有する食材をH社に代物弁済した。
<判明した事実②>
 A社は,長年にわたりF社から食材を仕入れてきた。平成25年頃,F社はA社に対して代金の割引を申し出た。しかし,B社長は,これを断り,F社に対し,仕入価額はそのまま据え置きつつ,F社が申し出た割引額に相当する額をバックマージンとしてB社長の妻への顧問料の名目で支払うように求め,再生手続開始の申立ての直前まで,B社長の妻名義の預金口座に毎月送金させていた。B社長の妻がF社の顧問となっている実態はなく,B社長が当該預金口座を実質的に管理しており,当該預金口座に送金された金銭は,B社長の個人的な遊興費に充てられていた。

〔設問2〕
⑴ <判明した事実①>について,A社が行った代物弁済につき,監督委員Dが訴え又は否認の請求によって否認権を行使してH社に価額の償還を求めるためには,A社は,どのような手続を採る必要があるか。また,そのような手続を採ることが必要とされる理由についても,管財人が選任されている場合と対比しつつ論じなさい。
⑵ <判明した事実②>について,A社は,B社長に対して,F社からB社長の妻名義の預金口座に送金された金額に相当する額の支払を求めることとしたが,B社長は,C弁護士の説得にもかかわらず,これを任意に支払おうとはしなかった。この事情を知ったG社は,「A社の主張どおり,B社長はA社に当該額を支払うべきだが,このままではB社長がこれを支払わずに費消してしまうおそれがある。C弁護士の説得を待っていてはらちが明かない。」と考えた。この場合に,G社は,A社の再生手続において,どのような方策を採ることが考えられるか。


破産の方の問題もそこそこ長かったのに,

さらに民再でもこれだけの分量の問題をぶつけてくるの,

普通に考えて頭おかしいと思うんですよね。

≪答案≫
第1 設問1
 1 小問⑴
 裁判所が,再生手続開始の決定をするには,民再法「第二十一条に規定する要件を満た」し,かつ,「第二十五条の規定によりこれを棄却する場合」にあたらないことが必要である。
  ⑴ A社は,自ら振り出した平成30年4月25日を満期とする手形を決済できないことが確実になっており,今後この状態が係属した場合には再び手形を決済できない事態が想定され,このとき銀行取引の停止により,「支払を停止」することとなり「支払不能」が推定されることとなる(破産法15条2項)。したがって,A社は現時点において「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれ」があるということができるから,「第二十一条の規定する要件を満た」す。
  ⑵ C弁護士がA社の申立代理人として必要な手続費用を予納しており,他の倒産手続は係属しておらず,A社は破綻が決定的になったことから民事再生手続をとることを決断しているから「不当な目的」を有するものとは考えられず,民再法25条1号,2号及び4号の事由は存在しない。
 再生計画案の可決のためには,議決権者の過半数の同意及び議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意が必要である(民再法172条の3第1項)。A社の再生について明確に反対していてるのは,権利行使額が総額の15%であるF社のみであるから,上記同意がとれないことが明白な状況に至っていない。そして,最大の権利行使額を有するE銀行は,賛否を決めかねている状態にあり,これを説得して賛成してもらうことができれば,上記同意を十分にとることができる。したがって,「再生計画案の作成若しくは可決の見込みがないことが明らか」とはいえない。また,E銀行は担保権の実行も検討しているが,別途,別除権協定を結ぶことで回避することができるものであるから,「再生計画が遂行される見込みがない」とはいえず(民再法174条2項2号),「再生計画の認可の見込みがないことが明らかである」とはいえない。以上から,民再法25条3号事由も存しない。
 よって,「第二十五条の規定によりこれを棄却する場合」にはあたらない。
  ⑶ ゆえに,裁判所は,再生手続開始の決定をすることができる。
 2 小問⑵
 A社は,G社に食材の取引を継続してもらえるようにするため,食材取引によって生ずるG社のA社に対する代金債権を共益債権とする旨の許可をとることを裁判所又は監督委員Dに対して申し立てることが考えられる。
 A社は,食品製造業を営んでおり,原材料となる食材の仕入れが不可欠となるところ,G社はA社にとって第2位の仕入先である。そうすると,A社としては,G社から食材を仕入れることは,「事業の継続に欠くことができない行為」にあたる。
 G社としては,新たにA社に食材を卸したとしても代金が回収できないのではないかとの懸念を抱いているが,共益債権とすることで,再生手続における弁済禁止(民再法85条1項)を回避し,随時弁済を受けることができるため(民再法121条1項),G社の上記懸念も取り除くことができる。
 したがって,A社は,裁判所に対し,上記許可をすることを申し立てることができる(民再法120条1項)。また,裁判所が,Dに対し,上記許可に代わる承認をすることができる権限を付与した場合には,A社はD社に対し,上記承認をすることを申し立てる。
第2 設問2
 1 小問⑴
 A社では,監督委員Dが選任されているから,この者をして否認権を行使するためには,A社が「利害関係人」として裁判所に対し,「否認権を講師する権限を付与する」ことを申し立てる必要がある(民再法56条1項)。
 これに対し,管財人が選任されている場合には,上記のような権限の付与をまたずして当初から否認権を有する。このような差異は,管理処分権の所在について差異があることから生ずる。すなわち,民再法の基本原則としては,再生債務者のもとに財産の管理処分権を遺しておきながらも,再生債務者が自己の行為を否認できるとすると,自己矛盾の行動となってしまうため,監督委員の選任をもってこれを回避しているにすぎない。したがって,財産の管理処分権が再生債務者に残っているから(民再法38条1項),否認権という例外的な行為をするために上記権限の付与が必要となる。他方で,管財人が選任された場合には,財産の管理処分権が管財人に移転するため(民再法66条),上記のような配慮が必要とならず,権限の付与が必要とならない
 2 小問⑵
 G社は,A社の再生手続において,B社長の財産に対する保全処分をすることが考えられる(民再法142条1項)。
 B社長は,A社の「取締役」であるところ,B社長は,F社からの割引の申出を断り,その相当額を個人的な遊興費として使用しているから,本来であればA社が支払わなくて済んだ分の差額についてA社に損害を生じさせている。したがって,A社からB社長に対しては,任務懈怠に基づく損害賠償請求権(会社法423条1項)が成立しているため,「取締役の責任に基づく損害賠償請求権」が発生している。
 そして,「法人である再生債務者」であるA社については,「再生手続開始の決定」がされている。したがって,要件を充足する。
 A社の再生手続においては,「管財人が選任されていない」から,「再生債権者」であるG社が保全処分の申立てをすることができる(民再法142条3項)。

以 上




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