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2019-02-16(Sat)

【新司】倒産法平成23年第2問

そういえば,TKCとかいうところの模試を受けることにしました。

元々模試を受ける予定はなかったのですが,

某塾の口述模試を受けたおかげで,この模試が安く受けられるとのことで,

場慣らし的な意味で受験することにしました。

ここで悪い結果が出てしまうと,その後の精神状態に響きそうなので,

頑張りたいと思います。

その模試までに,倒産法の過去問,事例研究行政法,短答の過去問は終わらせておきたいところです。

というわけで,倒産法平成23年第2問を解きます。

≪問題≫
〔第2問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 X株式会社(以下「X社」という。)は,甲建物をY株式会社(以下「Y社」という。)に賃貸し,Y社は,甲建物において製造業を営んでいた。ところが,Y社が賃料の支払を怠ったため,X社は,賃料不払を理由に賃貸借契約を解除したと主張して,平成20年1月7日,Y社を被告として,賃貸借契約の終了に基づき,甲建物の明渡し並びに未払賃料及び明渡し済みに至るまでの賃料相当損害金の支払を求める訴えを提起した(以下,提起された訴訟を「本件訴訟」という。)。
 その後,Y社は,同年2月1日,裁判所から,再生手続開始決定を受けたが,同時に監督命令が発せられ,監督委員として弁護士Aが選任された。Y社は,同年5月1日,再生計画案を作成して裁判所に提出した。
 Y社の再生計画案は,届出再生債権者の多数の賛成を得て可決され,同年8月1日に再生計画の認可決定が確定した。
 認可された再生計画(以下「本件再生計画」という。)の骨子は,次のとおりである。

 ・ 再生の基本方針
   Y社は,コストの削減に努めるとともに,売れ筋商品に特化して収益を上げる。そして,その収益でもって,確定再生債権額に対し,破産配当率3%を超える8%に相当する額を平成21年から平成28年まで毎年4月末日限り均等分割で支払う。
 ・ 再生債権の総額及び債権者数
    再生債権の総額 10億円
    債権者数    40名
 再生計画の認可決定の確定後,Aは,Y社の本件再生計画の遂行を監督し,Y社は,本件再生計画に基づき,平成21年4月末日に第1回目の,平成22年4月末日に第2回目の支払をしたが,その後,コストの削減が思うようにいかず,販売不振も重なって収益が上がらず,全ての再生債権に対する平成23年4月末日の第3回目の支払をしなかった。
 本件再生計画の定めによって認められた確定再生債権の総額は,8000万円であり,同日時点において履行された額は,2000万円である。

 〔設 問〕 以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.本件訴訟は,Y社についての再生手続開始決定によりどのような影響を受けるか論じなさい。
2.上記事例において,確定した1億円の再生債権を有しており,本件再生計画の定めによって200万円の弁済を受けているZは,このままの状態が続くと,Y社の損失はますます膨らみ,自己の債権の残額の回収が著しく困難になると考えた。Zは,民事再生法上,どのような措置を採ることができるか論じなさい。


これ,本件訴訟とか一括りにしていますけど,

よく見たら,3つくらい訴訟物あるじゃないですか……

天下の司法試験にしてはやり口が汚いです。

これは訴訟物が1個だと勘違いした受験生もいるんじゃないですか???

いないですよね。書いてありますもんねちゃんと。

≪答案≫
第1 設問1
 1 本件訴訟は,X社がY社に対し,①甲建物の明渡し,②未払賃料の支払,③賃料相当損害金の支払をそれぞれ求めるものである。このように,本件訴訟は異なる請求が混在しているため,これらを別個に検討する。
 2 ①について
 ①の訴訟物は,賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての甲建物明渡請求権である。そうすると,これは債権的請求権であるが,その実質は,X社が所有するためY社に属しない甲建物をY社から取り戻すものであるから,取戻権として扱われる(民再法52条1項)(※1)。そうすると,取戻権に係る訴訟手続について規律する民再法上の規定はないため,中断するものではない。
 3 ②について
 ②の訴訟物は,賃貸借契約に基づく賃料支払請求権である。そして,X社とY社との間の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)は,Y社の再生手続開始前に締結されたものであるから,これに基づく賃料支払請求権は,「再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」にあたり,「再生債権」となる(民再法84条1項)。
 再生債権に関する訴訟手続は,再生手続開始の決定により中断するから(民再法40条1項),②の請求に係る訴訟も中断する。再生債権は,再生計画によらなければ弁済を受けることができないから(民再法85条1項),X社は,②の請求に係る債権をY社の再生手続に参加するために届出を行い(民再法94条1項),調査を受ける(民再法99条以下)。そして,調査の結果,Y社がこれを認め,かつ届出再生債権者の異議がなかった場合には,同債権は確定する。一方で,Y社がこれを認めず,又は届出再生債権者の異議があった場合には,異議者等の全員を相手方として,中断していた訴訟の受継を申し立てることとなる(民再法107条1項)。
 4 ③について
  ⑴ ③の訴訟物は,不法行為に基づく損害賠償請求権である。このうち,Y社の再生手続開始前までに発生した賃料相当損害金は,Y社の再生手続開始前にY社が甲土地を不法に占有していたことを原因として生じたものであるから,「再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」にあたり,「再生債権」である。そうすると,この部分については,②の請求に係る訴訟と同様の取扱いを受けることとなる。
  ⑵ ③の請求のうち,Y社の再生手続開始後に発生したものについては,Y社の再生手続開始後,その再生手続の遂行のために甲建物を使用していたことにより生じたものであると考えられる。そうすると,この部分は,「再生手続開始後の再生債務者の業務に関する費用の請求権」にあたり,「共益債権」である(民再法119条2号)。共益債権は,再生手続によらないで随時弁済を受けることができ(民再法121条1項),これに係る訴訟について民再法上の規定はないから,訴訟は中断しない。
第2 設問2
 1 まず,Zとしては,再生債権者表に基づく強制執行をすることが考えられる。Y社の再生計画では,確定再生債権に対し8%に相当する額を支払うこととされているから,確定した1億円の債権を有しているZは,800万円の権利が認められている。そして,再生計画の条項が再生債権者表に記載されることにより(民再法180条1項),ZはY社に対して,再生債権者表の記載に基づき強制執行をすることができる(民再法180条3項)。
 2 次に,Zとしては,再生計画の取消し(民再法189条1項)の申立てをすることが考えられる。
 Y社は,本件再生計画に定める第3回目の支払を怠っているから,「再生債務者等が再生計画の履行を怠ったこと」にあたる(民再法189条1項2号)。
 「再生計画の定めによって認められた権利の全部について裁判所が評価した額」は確定再生債権の総額である8000万円から既に履行された2000万円を差し引いた6000万円であるところ,Zは確定債権として1億円を有し,これの8%弁済を受けることから元々800万円の権利を有し,これに対して200万円の弁済を受け,結局600万円の権利を有しているため(※2),「十分の一以上に当たる権利を有する再生債権者」である。そして,Zは,再生計画の定めによる第3回目の支払を受けていないから,「その有する履行期限が到来した当該権利の一部について履行を受けていないもの」である。したがって,Zは,Y社の再生計画の取消しの申立てについて,申立適格を有する(民再法189条3項)。
 そして,この場合には,再生債権は原状に復することとなる(民再法189条7項)。その上で,Zは,Y社について破産手続開始の申立てを行うことが考えられる(民再法249条1項,250条1項)。これにより,破産配当率3%に従った,最低限の配当を得ることができる。
 3 また,再生計画認可後の手続廃止(民再法194条)も考えられるが,これは申立権者が「再生債務者等」(民再法2条2号)及び「監督委員」に限定されているから,再生債権者にすぎないZが当然にこれを申し立てることはできず,事実上これを促すことのみすることができる。
以 上

(※1)「一般の取戻権は,『破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利』(破62条)が破産手続の開始によって影響を受けることなく行使できることを破産手続において認める制度であるから,その有無は,実体法上『破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利』があるかどうかによって決まる。例えば,破産者が第三者の所有する動産を占有しており,破産管財人の管理下へと移行されて破産管財人が占有している場合,破産者が何ら適法な占有権原を有しないときは,所有者である第三者は『破産財団に属しない財産を破産財団から取り戻す権利』を有する。破産者の占有が賃貸借や使用貸借に基づくものであったが,それらの契約が終了・解消されて破産者が返還義務を負う場合にも,貸主は,取戻権の行使として破産管財人に対し目的物の返還請求ができる。」山本和彦ほか『倒産法概説[第2版補訂版]』183頁
(※2)ここでいう「十分の一以上に当たる権利」の該当性について,既に再生計画に従った弁済を受けている場合には,その弁済後の額を基準とするのか,再生計画によって確定した債権額を基準とするのかは,よく分からないところです。これは予備校などが出している解説を読んでも,結論が割れていますとはいえ,600万円にしろ800万円にしろ,「十分の一」要件は満たすことには変わりありません。


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