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2019-02-12(Tue)

【事例研究行政法】第2部問題2

ねっむ!!

ねむくない??

ねむいよね???

≪問題≫
次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

 建設会社であるPは,甲県乙市内の,都計法上の都市計画区域に指定された地域において,地上15階建て,高さ約45mの高層分譲マンション(以下「本件マンション」という)を建設することを計画し,建基法に基づく建築確認を申請することにした。乙市には建基法4条にいう建築主事が置かれており,建基法6条により乙市建築主事に建築確認を申請することもできるが,Pは,建基法6条の2により,国土交通大臣によって指定確認検査機関としての指定を受けた株式会社Cに建築確認を申請することにした。また,Pは,建基法18条の2による構造計算適合性判定を,甲県知事の委任を受けた指定構造計算適合性判定機関である株式会社Dに申請した。Pは,2016年4月8日,Dから構造計算適合性判定(以下「本件構造計算適合性判定」という)を受けて,建基法6条の3第7項に従って適合性判定通知書をCに提出し,同月15日,Cから建築確認(以下「本件建築確認」という)を受けた。Pは,同月22日,建基法89条に従い,本件建築確認を受けていることを示す表示板(以下「本件表示板」という)を現場に設置したうえで,工事に着手した。
 ところが,本件マンショ建設中の同年11月1日に,Pが手がけた,本件マンション以外の一連のマンションについて,Pによるコストダウンの要求に応えようとした一級建築士Qが耐震強度に関する構造計算書を偽造していたことが発覚し,専門家から,それらのマンションは震度5強の地震で倒壊するおそれがあるという指摘がなされた。また,同月10日に,本件マンションについても,構造計算書の偽造が行われている可能性が高いという内部告発もあったが,Pは,このマンションについては偽造はなされていないとして工事を続行している。
 本件マンションの近隣住民であるAらは,同月20日に,この問題に関する対策会議を開催し,本件マンションが建設されれば,その倒壊のおそれにより,Aらの生命・財産に対する重大な危険が生じると考え,建設の中止を求めるために法的手段を用いることにした。

〔設問〕
1.Aらは,建設工事差し止めの民事訴訟を提起するほか,行訴法が定める訴訟を用いることを検討している。2016年11月16日の段階で,Aらが用いることのできる偽陽性訴訟を挙げ,その訴訟要件について論じなさい。なお,仮の救済や本案における主張については論じなくてよい。
2.その後,Aらは,設問1で検討した訴訟を提起したが,仮の救済は認められず,訴訟係属中に本件マンションが完成し,Pは,建基法7条の2による検査済証の交付を受けるため,Cに検査を引き受けさせた。この段階において,設問1で検討した訴訟につき,訴えの客観的利益が認められるか。
3.本件マンションが完成し,検査済証が交付された段階で,Aらが救済を求めるために提起しうる行政訴訟を挙げ,その訴訟要件について論じなさい。なお,仮の救済や本案における主張については論じなくてよい。

【資料】(略)


むっず!!

むずくない??

むずいよね???

≪答案≫
第1 設問1
 1 まず,Aらは,本件構造計算適合性判定の取消しの訴え(行訴法3条2項)を提起することが考えられる。
  ⑴ 本件構造計算適合性判定は,株式会社Dが行ったものではあるが,建基法6条の3第1項ただし書により,株式会社Dは公権力の主体たる公共団体としての甲県から委任を受けたことにより,これと同様の地位を取得したものと考えられる。そして,構造計算適合性判定がなければ,建築主は建築確認を受けることができず,適法に建築ができないという意味で,建築主の権利に影響を及ぼしている。したがって,本件構造計算適合性判定は,取消訴訟の対象となる「処分」にあたる。このことは,建基法94条1項が,指定構造計算適合性判定機関の処分について審査請求がてきる旨の定めを置いていることからも肯定することができる。
  ⑵ Aらは,「処分の相手方以外の者」(行訴法9条2項)であるが,「法律上の利益を有する者」(同条1項)に該当するか検討する。本件構造計算適合性判定の根拠規定は,建基法6条の3第1項であるが,ここでは建築物の計画が同法20条1項2号に定める基準に適合することが要件とされている。そして,本件マンションが該当する建築物の区分については,当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合することが求められている(建基法20条1項2号イ)。この規定の趣旨は,地震等の自然災害が生じた場合であっても,当該建築物の倒壊を防ぎ,もって住民の生命,健康及び財産の保護を図る点にあると考えられる(同法1条参照)。そうすると,法は,住民の生命,健康及び財産を個々人の個別的利益として保護する趣旨と考えられ,本件マンションの周辺住民であれば,本件マンションの倒壊によりこれらの法益が侵害されるおそれがある。したがって,Aらは,「法律上の利益を有する者」にあたり,原告適格が認められる。
  ⑶ 本件構造計算適合性判定が取り消されれば,本件建築確認が失効するか,失効しないにしても判決の拘束力(行訴法33条)によりCにおいて本件建築確認を取り消す義務及び特定行政庁において建基法6条の2第6項が定める不適合通知により本件建築確認を失効させる義務が生じると考えられるので,訴えの客観的利益も認められる。
  ⑷ 被告適格は,Dにある(行訴法11条2項)。
  ⑸ 本件構造計算適合性判定がされたのは,2016年4月8日であり,そこから起算して1年を経過していないから,客観的出訴期間は徒過していない(行訴法14条2項)。また,本件建築確認とは異なり,本件構造計算適合性判定については,それが表示板に示されるなど外部的に周知されてはいないのであるから,Aらがこれを知った日は,早くとも2016年11月1日であると考えられ,これから6か月を経過していないから,主観的出訴期間も徒過していない(行訴法14条1項)。
  ⑹ よって,本件構造計算適合性判定の取消しの訴えは,訴訟要件を満たす。 
 2 次に,Aらは,本件建築確認の取消しの訴え(行訴法3条2項)を提起することが考えられる。
  ⑴ 本件建築確認は,株式会社Cが行ったものではあるが,建基法6条の2第1項により,株式会社Cは公権力の主体たる公共団体としての建築主事から指定を受けることにより,これと同様の地位にあり,その地位に基づいて建築確認を行っている。これにより,Pは,本件マンションを建築することができるようになるという法効果を受けることとなる。したがって,本件建築確認は,取消訴訟の対象となる「処分」にあたる。
  ⑵ Aらは,「処分の相手方以外の者」(行訴法9条2項)であるが,「法律上の利益を有する者」(同条1項)に該当するか検討する。本件建築確認の根拠規定は,建基法6条の2第1項であるが,ここでは同法6条1項と同様の効果を規定している。同法6条1項によれば,建築確認を行うに当たっては,「計画が建築基準関係規定に適合するものであること」が要件とされている。そして,本件マンションが該当する建築物の区分については,当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合することが求められている(建基法20条1項2号イ)。この規定の趣旨は,地震等の自然災害が生じた場合であっても,当該建築物の倒壊を防ぎ,もって住民の生命,健康及び財産の保護を図る点にあると考えられる(同法1条参照)。そうすると,法は,住民の生命,健康及び財産を個々人の個別的利益として保護する趣旨と考えられ,本件マンションの周辺住民であれば,本件マンションの倒壊によりこれらの法益が侵害されるおそれがある。したがって,Aらは,「法律上の利益を有する者」にあたり,原告適格が認められる。
  ⑶ 建築確認が取り消されれば,Pは適法に工事を継続することができなくなるため,訴えの客観的利益も認められる。
  ⑷ 被告適格を有するのは,株式会社Cである(行訴法11条2項)。
  ⑸ それでは,出訴期間(行訴法14条)は徒過していないといえるか。本件建築確認がされたのは,2016年4月15日であるから,ここを起算日とする客観的出訴期間(行訴法14条2項)は未だ徒過していない。しかし,Pは,同月22日に本件表示板を設置して工事に着手しているから,これをもって「処分があったことを知った」として,主観的出訴期間(行訴法14条1項)が徒過したとされないか。
 行訴法が,客観的出訴期間を設けつつも主観的出訴期間を別途設けていることからすると(※1),「処分があったことを知った日」とは,当事者が書類の交付,口頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知った日を指すものであって,抽象的な知り得べかりし日を意味するものではない。もっとも,社会通念上処分のあったことを当事者の知り得べき状態に置かれたときは,反証のない限り,その処分のあったことを知ったものと推定する。
 これを本件についてみると,本件表示板は,本件マンションの工事現場に設置されており,これをもって,周辺住民に対しては本件建築確認がされたことが周知されているとみることができるから,本件表示板の設置をもって社会通念上本件建築確認のあったことを当事者の知り得べき状態に置かれたといわざるを得ず,当事者において本件建築確認のあったことを知ったものと推定される。そして,Aらにおいて,これを覆す特段の反証が可能であるようには思われない。したがって,本件建築確認の取消訴訟の主観的出訴期間の起算点は2016年4月22日である。
 もっとも,Pが手がけた一連のマンションについて耐震強度が偽装されていたことが発覚したのは,2016年11月1日である。そうすると,この段階に至るまで,Aらにとっては,本件建築確認の取消しの訴えを提起する契機がなかったということもでき,そのことから,出訴期間を徒過したことは「正当な理由」によるものであるということができる。
 したがって,本件建築確認の取消訴訟の出訴期間は,その要件を満たす。
  ⑹ もっとも,本件では,構造計算書に偽造があった点が問題となっているのであるから,違法な行為自体があったのは,本件構造計算適合性判定である。そうすると,本件構造計算適合性判定における違法性が本件建築確認に承継されない限り,本件建築確認の違法性は認められないこととなる。
 そこで,違法性が承継されるかについて検討すると,取消訴訟の排他的管轄と出訴期間を定めた行訴法の趣旨から,原則として処分の違法性は処分ごとに個別に判断すべきであるが,両処分が一体的に手続を構成していると評価できる場合には,違法性が後続の処分にも承継される(※2)
 これを本件についてみると,構造計算適合性判定は,違法な建築物の出現を防ぐという点で,建築確認と同一の目的を有しており,建築確認と結合して建築主に建築を可能にさせるという1つの効果を生じさせる。また,構造計算適合性判定は,それ自体を周辺住民には告知されず,周辺住民がその存在を速やかに知ることはできないから,構造計算適合性判定自体を争うことの手続的保障が十分であるとはいえない。さらに,周辺住民が仮に構造計算適合性判定について知り得たとしても,その後の建築確認により不利益が現在化するまで訴訟を提起しないという判断をすることが不合理であるとまではいえない。そうすると,本件構造計算適合性判定と本件建築確認とは,手続的に一体であるとみることができるから,本件構造計算適合性判定における違法性は本件建築確認にも承継される。
  ⑺ よって,本件建築確認の取消しの訴えは,訴訟要件を満たす上,本件構造計算適合性判定の取消しの訴えと併せて提起する実益がある。
 3 また,Aらは,上記の取消訴訟の出訴期間要件が満たされなかった場合に備えて,本件構造計算適合性判定及び本件建築確認の無効確認の訴え(行訴法3条4項)を提起することが考えられる。
  ⑴ 本件構造計算適合性判定及び本件建築確認がそれぞれ「処分」にあたることは,前述の通りである。
  ⑵ Aらは,本件控訴う計算適合性判定及び本件建築確認のそれぞれについて,無効確認を求める「法律上の利益」を有している。
  ⑶ それでは,「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」といえるか。
 同要件は,法律上別の救済手段が容易されている場合に,手続上の交通整理を行う趣旨から,義務付け訴訟の提起を塞ごうとするものである。他方で,同要件を第三者に対して直接民事上の請求をすることが可能である場合にも適用してしまうと,義務付け訴訟の提起できる場面が著しく狭められる。そこで,「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは,当該処分に基づいて生じる法律関係に関し,処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては,その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより,当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として,当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味する。
 これを本件についてみると,Aらは民事差止訴訟も提起しているが,これは人格権の侵害を理由とするものであって,本件構造計算適合性判定及び本件建築確認の無効を先決問題としていないから,無効確認訴訟による方が直截的に解決することができる。したがって,「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」といえる。
  ⑷ よって,上記の無効確認の訴えは,その訴訟要件を満たす。
 4 加えて,Aらは,Pらが違法な建築物を建設しようとしていることを理由に,建基法9条1項に基づくPに対する工事施工停止命令の発付を求める義務付け訴訟(行訴法3条6項1号)を提起することも考えられる。
  ⑴ 工事施工停止命令は,Pが建築物を建設することを制限する甲県知事の行う一方的な行為であるから「処分」である。
  ⑵ 工事施工停止命令は,裁判所が判断可能な程度に特定された処分であるから,「一定の処分」である。
  ⑶ 工事施工停止命令がされない場合には,本件マンションが完成した後,自然災害を起因としてこれが倒壊し,周辺住民の生命,健康及び財産に危害が及ぶおそれがあり,その損害は著しく回復が困難であるから,「重大な損害を生ずるおそれ」がある。
  ⑷ 上記の取消訴訟及び無効確認訴訟が提起できるとしても,これらの審査対象は建築計画が建築基準関係規定に適合しているか否かであるのに対し,上記義務付け訴訟は,建築工事そのものの違法性に着目してその停止を命ずることを義務付けるものであるから,終局的な目的である本件マンションの建設を中止させること自体について直截的な「他に適当な方法」は存在しないということができる。
  ⑸ したがって,Aらは,上記義務付けの訴えを提起することができる。
第2 設問2
 1 取消訴訟及び無効確認訴訟の帰趨
 建基法によれば,建築主は,同法6条1項の建築物の建築等の工事をしようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が当該建築物の敷地,構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならず(6条1項,6条の2第1項),特定行政庁は,建基法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に違反した建築物又は建築物の敷地については,建築主等に対し,当該建築物の除却その他これらの規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる(9条1項)とされている。そうすると,建築確認は,建基法6条1項の建築物の建築等の公示が着手される前に,当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを甲県的に判断する行為であって,それを受けなければ当該工事をすることができないという法的効果が付与されており,建築関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。
 しかし,当該工事が完了した後における建築主事等の検査は,当該建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを基準とし,同じく特定行政庁の違反是正命令は,当該建築物及びその敷地が建基法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準と市,いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準としていない。また,違反是正命令を発するかどうかは,特定行政庁の裁量にゆだねられているから,建築確認の存在は,検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではない。さらに,たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても,検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない
 以上からすると,本件の取消訴訟及び無効確認訴訟が認容されたとしても,本件マンションの出現自体は防げないのであるから,Aらの具体的利益が客観的に回復することができるとはいえなくなっているから,訴えの客観的利益が欠けることとなる(※3)
 2 義務付け訴訟の帰趨
 本件マンションの工事の完成によって,工事施工停止命令の対象となるべき工事が完了するのであるから,同命令を発令する対象がなくなるため,これを義務付けることを求める訴えは,その客観的利益を失う。
第3 設問3
 1 まず,Aらは,検査済証の交付(建基法7条の2第5項)の取消訴訟を提起することが考えられる。
  ⑴ 検査済証の交付を受けなければ,その建築物を居住のために使用することができないという法効果を伴うから(建基法7条の6),検査済証の交付は取消訴訟の対象となる「処分」である。
  ⑵ 検査済証の交付は,これによって当該建築物を居住の用に供することができるようになるという法効果しか有さず,当該建築物の倒壊による周辺住民の生命,健康及び財産を保護する趣旨を含むものではないから,Aらは「法律上の利益」を有さず,原告適格が否定されるおそれがある(※4)
  ⑶ また,違法是正命令の発令は特定行政庁の裁量とされていることからすると,上記にみたように,訴えの客観的利益を欠くものとされるおそれがある。
  ⑷ 以上から,検査済証の交付の取消訴訟を提起することはできない。
 2 また,Aらは,本件マンションの除却等の命令(建基法9条1項)の義務付け訴訟を提起することが考えられる。
 工事施工停止命令の場合と異なり,建基法9条1項に基づく命令には,その手段が複数あることから,「一定の処分」といえないようにも思えるが,裁判所において判断可能な程度の特定があれば足りるのであって,建基法9条1項の指摘がされていれば,裁判所において判断が可能であると考えられるから,「一定の処分」にあたる。
 そして,その他の要件についても,上記の義務付け訴訟と同様に満たされる。
 したがって,Aらは,本件マンションの除却等の命令の義務付け訴訟を提起することができる。
以 上

(※1)主観的出訴期間の起算日の理由付けについて,最判昭和27年11月20日民集6巻10号1038頁は,自作農創設特別措置法のものではありますが,「同条の一項は、『この法律による行政庁の処分で違法なものの取消又は変更を求める訴は……当事者がその処分のあつたことを知つた日から一箇月以内にこれを提起しなければならない。但し、処分の日から二箇月を経過したときは……訴を提起することはできない。』と規定し、その但書において同条項所定の訴は、処分の日から二箇月を経過したときは、当事者が処分のあつたことを知らなくともこれを提起することができないものとして、処分の不確定な状態を処分の日から二箇月に限定したところからこれを見ると、同条にいう『処分のあつたことを知つた日』とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知つた日を指すものであつて、抽象的な知り得べかりし日を意味するものでないと解するを相当とする。」というように,主観的出訴期間とは別に客観的出訴期間が設けられている点に着目しているように読めます。
(※2)違法性の承継について検討する際の整理として,最判平成21年12月17日民集63巻10号2631頁の調査官解説(最判解民事篇平成21年度(下)983頁)は,「後続処分の取消訴訟において先行処分が違法であるがゆえに後続処分も違法であると主張される場合,まず,両者の関係を定めた法令の規定があればそれに従う。例えば,固定資産課税台帳に登録された価格の決定が違法であっても,その違法性は固定資産税の賦課決定に承継されないから(地方税法432条3項,434条2項),賦課決定の取消訴訟において価格の決定の違法が主張されてもそれ自体理由がないとして排斥されることになる(他の立法例については仲野参照)。これに対し,法令の規定がない場合は解釈によって対処するほかない。その際,第1に検討すべきは,先行処分の違法が後続処分の違法をもたらす関係にあるか否かであるこの関係が否定されるのであれば,後続処分の取消訴訟において先行処分の違法性を主張することは無意味であり,主張自体理由がないことになる。違法性の承継を否定した前掲最三小判昭39・5・27(他の吏員の昇任と待命)はこの類型に当てはまると見ることができる。関係規定の解釈により先行処分の違法が後続処分の違法をもたらす関係にあると判断されると,第2段階の検討に移る。結論からいうと,そのような関係がある以上常に違法性の承継を肯定すべきであるとするならば行政の手続の安定性が害される事態が生じ得るから,違法性の承継が否定される場合があることを認めざるを得ない。先行処分が違法であり,その違法が後続処分の違法もたらす関係にあっても,解釈により違法性の承継を否定しなければならない場合があるということである。この結論を導き出すための解釈上の手掛かりになるのが行政処分の取消訴訟の出訴期間制限(すなわち不可争力)という制度の存在であり,この制度を踏まえると次のような解釈上の操作が可能となる。まず,先行処分の違法性が後続処分に承継されるという判断をするためには,関係規定の解釈上,『適法な先行処分』の存在が後続処分の要件になっているといえばいい。先行処分が違法であればこの要件を欠くことになるから後続処分は取り消すべきである。逆に,先行処分の違法性が後続処分に承継されないと判断するためには,関係規定の解釈上,『適法な先行処分』の存在ではなく『(その適否を問わず)不可争力が生じた(有効な)先行処分』の存在が後続処分の要件になっているといえばいい。先行処分が仮に違法であったとしても-無効事由に当たるほどの違法でない限り-,出訴期間が経過してしまえばこの要件を欠くことはないから,先行処分の違法が後続処分の取消事由にはならない。先行処分が違法である以上後続処分も違法であるとしてこれを取り消すのが法治主義の見地からは一貫するようにみえるが,取消訴訟の出訴期間制限という制度の存在により,もう一つ別の回路が開かれるわけである。最近の学説が違法性の承継を否定する根拠として不可争力を挙げるのは以上のことを意味するのではないかと思われる。不可争力という行政処分の効力の存在が違法性の承継を否定する決め手となるのではなく(もし決め手になるのであれば先行処分に不可争力が生じた場合は常に違法性の承継が否定されることになるが,大多数の学説はこの立場を採らない。),不可争力という制度(この場面では出訴期間制限といったほうが分かりやすい。)の存在が媒介となって解釈により違法性の承継を否定することが可能となるのである。」と指摘しています。

①先行処分と後続処分との関係を定めた法令の規定
 ↓    ↓
ない   ある
 ↓
②関係規定の解釈上,先行処分の違法が後続処分の違法をもたらす関係
 ↓    ↓
ある   ない
 ↓
③解釈による先行行為の後続処分における要件としての位置付け
 ↓    ↓
 ↓  不可争力が生じた先行処分の存在
 ↓
適法な先行処分の存在
 ↓
違法性の承継を肯定


(※3)「建築基準法によれば、建築主は、同法六条一項の建築物の建築等の工事をしようとする場合においては、右工事に着手する前に、その計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築関係規定」という。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならず(六条一項。以下この確認を「建築確認」という。)、建築確認を受けない右建築物の建築等の工事は、することができないものとされ(六条五項)、また、建築主は、右工事を完了した場合においては、その旨を建築主事に届け出なければならず(七条一項)、建築主事が右届出を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、届出に係る建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを検査し(七条二項)、適合していることを認めたときは、建築主に対し検査済証を交付しなければならないものとされている(七条三項)。そして、特定行政庁は、建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に違反した建築物又は建築物の敷地については、建築主等に対し、当該建築物の除却その他これらの規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる(九条一項。以下この命令を「違反是正命令」という。)、とされている。これらの一連の規定に照らせば、建築確認は、建築基準法六条一項の建築物の建築等の工事が着手される前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であつて、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果が付与されており、建築関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。しかしながら、右工事が完了した後における建築主事等の検査は、当該建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを基準とし、同じく特定行政庁の違反是正命令は、当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準としいずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上、違反是正命令を発するかどうかは、特定行政庁の裁量にゆだねられているから、建築確認の存在は、検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。したがつて、建築確認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。」最判昭和59年10月26日民集38巻10号1169頁
(※4)こういうことを解説には書いてあるわけですが,検査済証が交付されるのは「当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたとき」となっており(建基法7条5項),基となる建築基準関係規定自体には,人の生命,健康及び財産の保護まで考えられているのではないかと思われるので,そうすると,それを確認するという作業を意味する検査済証の交付にも,人の生命,健康及び財産の保護の趣旨が少なからず含まれているのではないのかなあとも思いました。ただ,結局のところ,建築基準関係規定に何が書いてあるのかを具体的には知らないですし,上に書いたような立論がそもそも正しいのかどうかはよく分かりません。


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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