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2019-02-11(Mon)

【新司】倒産法平成24年第2問

試験前の限られた時間で何をどこまでやるべきなのか,

そろそろ計画を立てないといけないなという気はしているのですが,

その「どこまで」やればいいのかが未だに見極められていません。

試験のレベル自体は過去問をやっていれば分かりますし,

自分自身のレベルもこれまでの勉強の経過から大体分かっているつもりです。

そうすると,周囲のレベルがいかがなものかということが最大の関心になってくるわけですね。

こればかりは模試とか受けてみないと分からないのでしょうけど,

未だに模試の申込みすらできていないという。

もう1か月きっているんですが,まだ間に合うのでしょうか。。。

ところで,倒産法の平成24年第2問を解きます(またも唐突)。

≪問題≫
〔第2問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 金属製品のリサイクル業等を営むA株式会社(以下「A社」という。)は,債権者50社に対して総額約10億円の負債を負っていたことから,破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとして,平成23年5月30日に再生手続開始の申立てを行ったところ,同日に監督委員として弁護士Xが選任された上,同年6月3日に再生手続開始の決定を受けた。

 〔設 問〕 以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.A社は,平成23年1月21日,その主要な取引銀行であるB銀行から1億円の融資を受けるに当たり,その担保として,B銀行に対し,取引先のC株式会社(以下「C社」という。)外10社に対する金属製品の販売に係る売掛金債権をそれぞれ譲渡した。その際,対抗要件の具備については留保し,B銀行がA社を代理して譲渡通知を行うことができる旨の委任がA社からB銀行にされた。
 B銀行は,A社が再生手続開始の申立てを行ったことを受け,同年6月1日,上記の売掛金債権の譲渡担保について確定日付のある証書による債務者らに対する譲渡通知をしたものの,C社に対する売掛金債権については,この譲渡通知を行うことを失念していた。B銀行は,同月13日になってこれに気付いたことから,同日,C社に対し,当該売掛金債権につき確定日付のある証書によって譲渡通知をするとともに,同月15日には,C社から確定日付のある証書による承諾も,取得した。
 以上の場合において,A社がB銀行に対してC社に対する売掛金債権がA社に帰属することを主張することができるかどうかについて,B銀行の譲渡通知及びC社の承諾がそれぞれ再生手続上どのように取り扱われるかを踏まえて,論じなさい。
2.A社は,財産評定を完了し,平成23年7月29日,裁判所に対し,財産目録及び貸借対照表を提出した。これらによれば,A社の再生手続開始の時点における資産総額は,3億円であり,共益債権,一般優先債権及び破産手続において清算するための費用等を控除して算定した予想破産配当率は,10%とされていた。Xが調査を進めたところ,A社について,主要な取引先であるD株式会社(以下「D社」という。)から再生債権である未払の売掛金を即時に弁済しなければ新規の取引を全て打ち切る旨を告げられたため,やむを得ず,再生手続開始後財産評定前の段階で,D社に対し,裁判所に無断で,500万円の弁済をしていたという事実が当該財産評定後に判明した。
 なお,当該財産評定においては,上記の500万円の弁済後の資産が計上されていた。
 その後,A社は,同年8月29日,裁判所に対し,再生計画案を提出した。当該再生計画案における権利の変更の一般的基準の要旨は,次の①から④までのとおりであった。
① 再生債権の元本並びに再生手続開始の決定の日の前日までの利息及び遅延損害金の合計額のうち,10万円までの部分は,免除を受けず,10万円を超える部分は,再生計画の認可の決定が確定した時にその95%の免除を受ける。
② 再生手続開始の決定の日以後の利息及び遅延損害金は,再生計画の認可の決定が確定した時に全額の免除を受ける。
③ 権利変更後の債権額のうち,10万円までの部分は,再生計画の認可の決定が確定した日から2か月以内に支払う。
④ 権利変更後の債権額のうち,10万円を超える部分は,均等額で5回に分割し,平成24年から平成28年までの間,毎年7月末日限り,支払う。
 以上の事実関係を踏まえ,裁判所がA社の提出した再生計画案を決議に付すかどうかを判断するに当たり,どのような法律上の問題点があるかを論じ,あわせて,XがA社に対してどのような是正措置を採るように勧告すべきかについて,論じなさい。


設問1はなんとか耐えられるかな……?

ただ,注のところにいくつか判例を示しましたが,

これらの判例って,この年からしたら,最新判例の部類に入るわけですよね。

これらの判例を使うことは必ずしも求められていないのかもしれませんが,

直近の判例を知っているかいないかでだいぶとっつきやすさが変わると思います。

ちなみに,百選の5版が出たのが,平成25年のようなので,

百選掲載判例ではないわけです。

一方で重判には刑裁があるようなので,

やはり司法試験の直前に重判をある程度つぶしておくのも重要かもしれません。

果たしてそんな時間はあるのでしょうか……。

≪答案≫
第1 設問1
 1 B銀行は,A社との間で,A社のC社に対する売掛金債権(以下「本件債権」という。)について譲渡担保を設定しており,これの譲渡を受けている。平常時であれば,B銀行はA社との関係で当事者であるから,これを対抗要件の具備をすることなく対抗することができる。
 しかし,A社について再生手続が開始すると,A社は債権者に対して公平誠実義務を負い(民再法38条2項),債権者の利益を代表する機関となるから,差押債権者類似の地位に立つといえ,第三者性を帯びることとなる(※1)。したがって,B銀行がA社からの債権譲渡をA社に対抗するためには,債権譲渡の第三者対抗要件を備える必要がある(民法467条)。
 そうすると,B銀行の譲渡通知及びC社の承諾は,いずれも本件債権の譲渡について第三者対抗要件を備えるためのものである。
 2 もっとも,B銀行の譲渡通知及びC社の承諾は,A社の再生手続開始決定の後にされたものである。この場合にも,B銀行は本件債権の譲渡をA社に対抗することができるかが問題となる。
  ⑴ まず,B銀行の譲渡通知について検討すると,民再法45条1項は,「不動産又は船舶」に関する登記を再生手続開始後に具備しても,「再生手続の関係においては,その効力を主張することができない」旨を規定し,同条2項は,「権利の設定,移転若しくは変更に関する登録」について準用する旨を規定している。そうすると,債権譲渡の第三者対抗要件については,同条の明文上規定されていないため,再生手続開始後にこれを具備した場合でも再生債務者に対抗することができるようにも思える。
 しかし,同条の趣旨は,再生手続が開始した場合において再生債務者の財産について特定の担保権を有する者の別除権の行使が認められるためには,個別の権利行使が禁止される一般債権者と再生手続によらないで別除権を行使することができる債権者との衡平を図る点にある(※2)(※3)。そうすると,一般債権者との衡平を図る要請は,同条に規定する場合に限られず求められるから(※4),債権譲渡の第三者対抗要件との関係でも,同条を類推適用するべきである。
 そうすると,B銀行は,本件債権の譲渡通知を,A社の再生手続開始後に行っているから,民再法45条1項の類推適用により,これをA社の再生手続との関係では対抗することができない。
  ⑵ 次に,C社の承諾について検討すると,C社の承諾は,「再生債務者の行為によらないで権利を取得」した場合(民再法44条1項)にあたるとして,やはりB銀行は本件債権の譲渡をA社に対抗することができないのではないか。
 民再法44条も,同法45条と同様の趣旨の下,再生手続開始後に権利を取得したとしても,これを再生手続の関係で主張することができないとしたものである。そうすると,確定日付のある証書による承諾についても,対抗力のある権利取得を可能にする点で,再生手続開始後の権利取得というべきであるから,同時用が適用される。
 そうすると,B銀行は,C社の承諾によっても,本件債権の譲渡をA社に対抗することができない。
 3 以上から,本件債権についての債権譲渡担保の設定は,A社の再生手続との関係で対抗することができないから,A社はB銀行に対して本件債権がA社に帰属することを主張することができる。
第2 設問2
 1 裁判所がA社の提出した再生計画案を決議に付すかどうかを判断するに当たっては,民再法169条1項各号に掲げる事由があるかどうかを検討することとなる。そして,同項に掲げる事由のいずれかがある場合には,再生計画案の付議決定を行うことができないこととなる。
 2⑴ まず,A社は,再生手続開始後財産評定前の段階で,D社に対し,裁判所に無断で,500万円の弁済を行っている。再生手続開始後は,再生債権については,再生計画の定めるところによらなければ弁済をすることができないから(民再法85条1項),A社がD社に対し行った500万円の弁済は,「法律の規定に違反」しており(民再法174条2項1号),「再生計画案について第百七十四条第二項各号に掲げる要件のいずれかに該当する」として(民再法169条1項3号),再生計画案の付議決定が行われないという法律上の問題点がある。
  ⑵ また,A社の作成した再生計画案①は,再生債権のうち10万円を超える部分は95%をカットする旨が規定されているから,同債権は5%の配当しか受けられないこととなる。一方で,A社が清算手続を行った場合の予想破産配当率は10%とされている。そうすると,上記再生計画案の規定によると,同債権については,A社について清算手続を行う場合よりも低い配当しか受けられないのであるから,清算価値保障原則に反するものであって,「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反する」として(民再法174条2項4号),「再生計画案について第百七十四条第二項各号に掲げる要件のいずれかに該当する」として(民再法169条1項3号),再生計画案の付議決定がオナ割れないという法律上の問題点がある。
 3⑴ そこで,XがA社に対して勧告すべき是正措置について検討すると,まずD社に対する500万円の弁済については,弁済を再生手続に対抗できないとして不当利得に基づく利得金返還請求権(民法703条)の行使を行うことが考えられる。
  ⑵ また,D社に対する500万円の弁済について,民再法85条5項の許可を裁判所に求めることも考えられる。この場合,A社の資産総額は3億円であって,これに比して500万円は「少額」である。また,D社は主要な取引先であり,今後の新規取引を行う必要性があることから,「事業の継続に著しい支障」が生じるおそれを回避するため弁済を行う必要性が肯定される。したがって,A社としては,裁判所に対し,上記の許可の申立てをすべきである。
  ⑶ 再生計画案①については,裁判所の許可を得て,再生計画案の修正を行うことが考えられる(民再法167条)。
以 上

(※1)「再生債務者について……第三者性を認めるべきか否かについて……通説はこれを肯定する……。その論拠としては,①破産の場合と同様に,再生手続開始決定も包括的差押えの実質を有し,再生債務者も再生手続開始決定によりいったんは管理処分権を剝奪されるが,しかしそれと同時に,再生債権者の利益を擁護すべき公平誠実義務(民再38条2項)が課される管理処分権があらためて付与される,などという理由から,再生債務者は再生債権者の利益を代表すべき機関として差押債権者類似の地位に立つと説明されるのが一般的である」近藤隆司「21 再生債務者の第三者性-民法177条の第三者」伊藤眞ほか『倒産判例百選[第5版]』45頁
(※2)最判平成22年6月4日民集64巻4号1107頁
(※3)このような理由づけをわざわざ書かなくても,その上に書いたA社の第三者性をそのまま引用すれば足りるような気もします。この点,加毛明「58 所有権留保と民事再生手続」伊藤眞ほか『倒産判例百選[第5版]』119頁は,「本判決[前掲最判平成22年6月4日]は再生債務者の第三者性に言及しないものの,別除権行使に登記・登録等の具備を要求する前提として,一般債権者が個別の権利行使を禁止されることを挙げるので,民事再生手続の開始によって対抗問題が生じることを肯定する見解と親和的である」としています。
(※4)「この理由づけによれば,45条が規定する登記・登録のある財産に限らず,差押債権者との関係で対抗要件の具備が実体法上要求される場合一般について,対抗要件具備が必要とされることになろう」前掲加毛119頁



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