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2019-02-09(Sat)

【新司】倒産法平成25年第2問

第1問が難しすぎて,倒産法選択をやめようか考えてしまいましたが,

試験まであと3か月しかないのに他の科目をやっている暇はないことに気づき,

3秒で断念しました。

これから選択科目を選ばれる方向けに言っておくことは,

倒産法は絶対に選ばない方がいい

≪問題≫
〔第2問〕(配点:50)
 次の事例を読んで,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 建設業を営むX株式会社(以下「X社」という。)は,A株式会社(以下「A社」という。)からマンションの建築工事の注文を受け,平成24年9月1日,A社との間で,請負代金総額10億円,工事期間10か月間として,建築工事請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結し,着工した。本件請負契約においては,請負代金の支払条件として,着工時である同日に前受金として4億円を支払い,その後は,同年12月末日に5億円の中間金を支払い,マンションの引渡し時に 1 億円を支払うことと約定されていた。また,本件請負契約の締結に際し,A社は,B銀行との間で,本件請負契約に基づいてX社が受領した請負代金を何らかの事情によりA社に返還しなければならない場合には,X社の当該返還債務をB銀行が連帯して保証する旨の契約を締結した。
 ところが,X社は,C銀行を始めとする金融機関から総額35億円の融資を受けていたほか,下請業者に対して買掛金債務等を合計2億2000万円負担し,総額で,37億2000万円の負債を有しており,平成25年4月15日には,同日を支払期日とする7500万円の約束手形の決済が困難なことが判明した。そこで,X社は,同日,裁判所に破産手続開始の申立てを行ったため,即日に破産手続開始の決定を受けるに至り,弁護士Yが破産管財人に選任された。
 当該破産手続開始の決定の時において,X社がA社から請け負ったマンションの出来高は,85%に過ぎなかったが,X社は,前受金を含め,A社から,既に9億円の請負代金を受領していた。また,X社は,本件請負契約に関し,下請業者であるD株式会社(以下「D社」という。)との間で,毎月末日に出来高を確認して翌月末日にその出来高相当額を支払うという条件により,請負契約(以下「本件下請契約」という。)を締結しており,X社に対する破産手続開始の決定があった時点におけるD社の施工の出来高も,本件下請契約の対象となる工事全体の85%であったが,X社は,本件下請契約の請負代金総額6億円のうち,出来高70%相当額の4億2000万円しか支払っておらず,同年3月分の請負代金6000万円と同年4月の15日間の請負代金3000万円の合計9000万円が未払の状態となっている。
 なお,本件請負契約及び本件下請契約において,出来高は,A社に帰属するものとされている。

 〔設 問〕以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.⑴  Yは,本件請負契約に基づく建築工事の継続を断念し,D社との間の本件下請契約も,解除した。この場合において,D社の有する本件下請契約に基づく請負代金請求権の行使方法について,論じなさい。
  ⑵ Yは,裁判所の許可を得て,本件請負契約に基づく建築工事を継続することとし,D社との間の本件下請契約に基づく建築工事は,継続されることとなった。この場合において,D社が有する本件下請契約に基づく請負代金請求権の行使方法について,論じなさい。
2.Yは,本件請負契約に基づく建築工事について,このままD社を含む下請業者へ即時現金払で継続した場合には,資金繰りが続かないおそれがあると判断し,本件請負契約を破産法第53条第1項の規定に基づき,解除した。しかし,出来高がいまだ85%に過ぎなかったため,A社は,Yに対し,既にX社に支払った本件請負契約に基づく請負代金9億円のうち,出来高の未達成部分である5000万円の返還を請求した。
 ⑴ A社のYに対する請負代金返還請求権の破産手続における法的性質について,論じなさい。
 ⑵ A社は,請負代金の返還を求めるに当たり,X社の破産財団が換価手続中であり,いまだ資金がない状態であると考え,連帯保証人であるB銀行に対し,保証債務の履行を求めたため,B銀行は,この連帯保証債務を履行し,5000万円の求償債権を有するに至った。この場合において,B銀行のYに対する権利行使の方法について,論じなさい。


この年は,第1問が民再だったので,

破産は第2問に回されています。

このフェイクというかトラップというかはなんなんですかね。

普通に第1問で破産出せよっていう感じです。

≪答案≫
第1 設問1
 1 小問⑴
 X社とD社との間の本件下請契約は請負契約(民法632条)であり,マンションの工事も報酬の支払も一部未履行となっているから,双方未履行双務契約として破産法53条1項がてきようされるのが原則である。もっとも,X社はその注文者であって,破産手続を開始しており,本件下請契約を解除しているから,請負契約における注文者の破産に関する民法642条の規定が適用される。同条による解除は,出来高部分にはその効果が及ばないから,D社の有する請負代金請求権の行使方法については,マンションの出来高部分に関する部分と未履行の部分とに分けて検討する。
 まず出来高部分については,「請負人は,既にした仕事の報酬……について,破産財団の配当に加入することができる」とされている(民法642条1項後段)。D社は,X社の破産手続開始時までに,工事全体の85%を完成させており,それに相当する額のうち,9000万円の支払を受けていないのであるから,9000万円について破産債権として行使することができる。破産債権は,破産手続によらなければ行使することができず(破産法100条1項),D社としては,当該債権を破産債権として届出を行う(破産法111条1項)。
 次に未履行部分については,その対価としての報酬は「既にした仕事の報酬」にはあたらないから,民法642条1項後段による破産債権としての行使をすることはできない。しかし,この場合には,請負人としては,工事の完成により得べかりし利益がある場合には,これを損害として,その賠償を請求することができる(民法642条2項)。そうすると,D社に,仮に得べかりし利益があった場合には,これを破産債権として届出をすることができる。
 2 小問⑵
 上記のように,X社とD社とは請負契約を締結しているから,破産管財人Yのみならず,請負人であるD社もこれを解除できるのであるから(民法642条1項前段),本件下請契約に基づく建築工事が継続されることは,双方の解除権が放棄されたことを意味する。そして,この場合には,民法642条の適用はなく,原則通り,破産法53条の規定によることとなり,これに基づいて履行選択がされたものと考えることができる。
 破産管財人による履行選択がされた場合には,この後にされたD社による下請工事に係る報酬請求権は,財団債権として扱われる(破産法148条1項7号)。
 これに対して,破産管財人による履行選択がされるまでに発生した報酬請求権がどのように扱われるかは,明文の規定がなく問題となる。この点,本件下請契約の一体性を重視すれば,履行選択後の報酬請求権と履行選択前の報酬請求権とは不可分であるから,一体的に破産法148条1項7号の適用を受けると考えることもできる。しかし,破産法148条1項7号の趣旨は,破産手続が開始した後にもあえて契約関係を存続させることによる相手方に対する負担に鑑みて,衡平の観点から特に履行選択後の反対債権を財団債権として保護するものである。そうすると,一個の契約に基づく債権であっても,その支払時期が分割されているなどの特約がある場合には,可分な債権として扱うことができるから,履行選択後に支払時期が到来する債権についてのみ財団債権となると考えるべきである。X社とD社との間では,「毎月末日に出来高を確認して翌日末日にその出来高相当額を支払う」という条件が付されているから,債権の支払時期が特約により分割されている。そうすると,可分な債権として,履行選択後に支払時期が到来する部分のみが財団債権となるから,それ以前に発生した報酬請求権は,破産債権として行使し得るにすぎない。
第2 設問2
 1 小問⑴
 本件請負契約は,特に代替性が認められないものではないから,Yは本件請負契約を破産法53条1項により解除することができる(※1)。この場合には,A社の支払済みの請負報酬の内金から工事出来高部分を控除した残額である5000万円については,「反対給付が破産財団中に現存するとき」にあたるから,破産法54条2項前段に基づき財団債権としてその返還を求めることができる(※2)
 2 小問⑵
  ⑴ B銀行が取得したX社に対する5000万円の求償債権は,X社の破産手続開始前に締結されたA社との保証契約に基づく保証債務の履行の結果として取得したものであるから,「破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」であって,破産債権(破産法2条5項)である。そうすると,B銀行が,求償債権として5000万円の請求権を行使する場合には,破産手続による必要があるから,これの届出を行う必要がある。
  ⑵ また,B銀行は,A社との間で保証契約を締結した者であり,「正当な利益を有する者」として,X社に代わって,A社に対して5000万円の支払を行っているため,弁済による代位(民法500条)により,A社のX社に対して有する原債権である5000万円の返還請求権も取得している。この債権は,A社が行使する限りは,上記のように財団債権として扱われるものであるが,これをB銀行が行使する時にも財団債権として行使することができるのかが問題となる。
 この点,原債権は,求償債権を担保するものであるから,求償債権が破産債権としてしか行使し得ない以上,担保としての性質しか有しない原債権に破産債権としての性質以上のものを付与することは妥当でないとし,破産債権としてのみ行使し得るとする考え方もあり得る。しかし,破産手続上,原債権の行使自体は制約されていない以上,これを破産債権としてしか行使し得ないとする根拠はない。また,他の破産債権者は原債権者による財団債権としての行使を甘受せざるを得ない立場にあったのであるから,原債権を財団債権として行使することを許容しても,不当に不利益を被るということはできない。したがって,弁済による代位により財団債権を取得した者は,同人が破産者に対して取得した求償権が破産債権にすぎない場合であっても,破産手続によらないで上記財団債権を行使することができるというべきである(※3)
 そうすると,B銀行は,求償債権が破産債権であるにもかかわらず,原債権が財団債権としての性質を有することをもって,5000万円の債権を破産手続によらずして行使することができる(破産法2条7項)。
以 上

(※1)最判昭和62年11月26日民集41巻8号1585頁「法59条[現行破産法53条]は,請負人が破産宣告を受けた場合であっても,当該請負契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため,破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り,右契約について適用される」
(※2)前掲最判昭和62年11月26日
(※3)最判平成23年11月22日民集65巻8号3165頁多数意見




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