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2019-02-07(Thu)

【新司】倒産法平成25年第1問

そんなわけで,刑法事例演習教材をもうすぐ1周し終わるんですが,

なんでもっと早くやっておかなかったんだろうと思いますよね。

予備論文も口述も,全部ここに書いてあるじゃないですか。

失敗しましたね。

本自体は学部のときに購入してあったので,やろうと思えばもっと早くからやれたんですがね。

過去の自分最低ですね。

ところで,今日は平成25年倒産法です(唐突)。

≪問題≫
〔第1問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 精密機械の製造等を営む取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は,経営不振となり,その財産をもって債務を完済することができない状態に陥ったため,再生手続開始の原因があるとして,平成24年4月5日に再生手続開始の申立てを行ったところ,同日中に監督命令を受け,同月10日,再生手続開始の決定を受けるに至った。

 〔設 問〕 以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.A社は,平成22年4月1日,B株式会社(以下「B社」という。)との間で,精密機械の製造に使用するための機械設備(以下「」本件設備」という。)を目的として,契約期間を8年とし,フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約(以下「本件リース契約」という。)を締結し,その後,B社から本件設備の引渡しを受けて使用するとともに,本件リース契約の約定に従い,毎月末日にリース料を支払ってきた。本件リース契約には,A社が1回でもリース料の支払を怠った場合に関し,A社は,期限の利益を喪失し,また,B社は,本件リース契約を解除し,本件設備を引き揚げることができるとの約定がある。
 A社は,嗄声性手続開始の申立ての準備に伴う混乱から,再生手続開始の決定の前である平成24年3月末日を支払期日とするリース料の支払いを怠ってしまったものの,再生手続開始の決定の後,B社との間で,改めて本件設備を継続して使用することができるよう,協議を行ってきた。しかし,B社からは,本件設備の使用による減価が著しいことから,同年3月末日支払分を含めたリース料の残りの全額を支払うことができないのであれば,一日も早く引き上げたいとの意向を示されており,このままでは,B社から本件リース契約を解除されるおそれがある。
 本件設備は,A社の事業の継続に不可欠な設備であり(なお,本件設備には,他に何らの担保権等の設定はない。),また,B社以外の者から新たにリース契約等を締結することによって同等の設備を調達することも困難であることから,A社としては,債務不履行を理由にB社から契約を解除され,本件設備を引き揚げられてしまう前に,本件設備を継続的に使用することができるよう,B社とのごういを成立させたいと考えている。
 以上の場合において,A社の依頼を受けた弁護士として,当該合意を成立させるべく,B社との間の協議を行う機会を確保するため,どのような申立てをすべきであるかについて,A社が申立てをした場合の裁判所における審理の方法に関する問題点にも触れつつ,論じなさい。また,既にB社が解除の意思表示を行い,A社に本件設備の引渡しを求めているとして場合に違いが生ずるかどうかについて,B社の権利行使の方法にも触れつつ,論じなさい。
2.C株式会社(以下「C社」という。)は,A社に精密機械の部品を供給している会社であり,A社に対して再生債権として売掛金債権を有している者であるが,かねてより,A社の技術力を高く評価していたため,A社の経営の再建に当たり,そのスポンサー候補として,名乗りを上げた。
 A社の経営は,創業者の息子であり,その全ての株式を保有する代表取締役Dがその実権を把握していたが,今般のA社の経営不振は,Dが採算性を十分に考慮することなく,他の分野に業務を拡大し,多額の赤字を出したことが主たる原因であった。そこで,C社は,A社に資金を供給するに当たり,Dの取締役からの退任を求めるとの方針の下,A社との間の交渉に入った。しかし,A社は,Dの退任を拒否し,C社との間の交渉を打ち切った上で,スポンサーを得ることなく,自ら経営を合理化し,今後の経営によって得られる利益から再生債権の弁済を行うという再生計画案を作成し,裁判所に提出した。
 C社は,A社の大口債権者であるE銀行などの複数の再生債権者が,Dが引き続きAA社の経営に当たることは望ましくなく,C社がスポンサーとなることが再生債権者全体の利益になるとして,C社がスポンサーとなるのであれば,支援をする旨を伝えられた。そこで,C社は,A社の作成した再生計画案に対抗するため,届出再生債権者案として,A社がその事業を1億円でC社に譲渡し,A社は,当該事業譲渡の代金を弁済原資として,再生計画認可の決定の確定から3か月後に再生債権額の8%を弁済し,弁済時にその余の再生債権額については免除を受けるとの内容の再生計画案を作成し,裁判所に提出した。
 その後,債権者集会において,A社が提出した再生計画案は否決され,他方,C社が提出した再生計画案が可決され,裁判所は,再生計画認可の決定をした。
 しかし,A社は,当該再生計画認可の決定があった後も,当該事業譲渡の実施を拒み,株主総会を開催しようともしない。
 以上の場合において,C社は,A社の再生手続が廃止されることを避けるため,どのような申立てをすべきかについて,論じなさい。


なんか,倒産法の問題って毎回毎回なんとなくリアルですよね。

そりゃ実務家の先生も入って問題作ってるんだから,そうなんでしょうけど,

自分が実務に出てからも普通にありそうな事例ですよね。

特に設問2とか,中小企業の経営者であれば結構いそうじゃないですか。

知らんけど。

っていうか,なんで第1問から民再なんですか。

≪答案≫
第1 設問1
 1 前段
  ⑴ A社としては,本件設備がB社によって引き上げられないよう,担保権の実行手続の中止命令(民再法31条)の申立てをすべきである。
 フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約は,リース期間満了時にリース物件に残存価値はないものとみて,リース業者がリース物件の取得費その他の投下資本の全額を回収できるようにリース料が算定されているものであって,その実質はユーザーに対して金融上の便宜を付与するものである(※1)。そうすると,本件リース契約は,消費貸借契約の一形態であって,その返済が滞ったときに,本件設備を引き上げることを担保とするものである。したがって,債務不履行時に本件設備を引き上げることは,担保権の実行としてみることができる。A社としては,本件設備が引き上げられるのを阻止したいのであるから,これを中止させるためには担保権の実行手続の中止命令の申立てをすることとなる。もっとも,リース物件の引上げは,民再法53条1項に規定された「担保権」ではないが,上記のように実質的に担保権と同様の役割を果たしているから,民再法31条を類推適用し,その実行の中止命令を申し立てる。
  ⑵ 本件設備は,A社の事業の継続に不可欠な設備であり,B社以外の者から新たにリース契約等を締結することによって同等の設備を調達することも困難であるとされているから,担保権実行手続を中止しなければ,A社は事業を継続することができず,再建が著しく困難になる。したがって,本件設備の引上げを阻止することは,A社の再建の上で必要不可欠であって,これを事業に用いることにより,A社が再建し,再生計画に定める弁済を行うことができるようになるから,清算価値保障原則の観点からも,「再生債権者の一般の利益に適合」するといえる。また,A社は,B社に対し,平成24年3月末日分のリース料の支払いを怠っているが,A社はこれまでにリース料の支払いを怠ったことはなく,同月末日分のリース料も支払うことができなかったわけではなく,たまたま支払忘れてしまっただけであって,将来的なリース料の支払をすることができないことを意味するものではない。また,本件設備は,当初の合意と同様に精密機械の製造ために用いられるものとされているから,中止命令前後で使用態様が変わるものではなく,中止命令による特段の損害を生じさせるものではないから,B社に「不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるとき」にあたる。したがって,本件設備の引上げに対する担保権の実行手続の中止命令の申立ては,その発令要件を満たしている。
  ⑶ なお,この手続によると,裁判所は,B社の「意見を聴かなければならない」とされている(民再法31条2項)。そうすると,B社に対する必要的審尋において,B社が解除権を行使する機会を与えてしまう可能性がある。そこで,これを避けるために,裁判所としては,必要的審尋の手続をとらずに中止命令を発令することが考えられる。
 民再法31条2項の趣旨は,裁判所が競売申立人の意見を聴き,同条1項の要件を充足するかを判断するためにされるものである。しかし,ここでの審尋は,典型担保のように,その実行に一定の時間を要する場合を前提に,その間を利用して審尋を行うこととしたものであり,非典型担保のようにその実行に時間がかからない場合はそもそも同項の前提が欠ける。そこで,実行に時間を要しない担保権の実行手続の中止命令を発令するにあたっては,必要的審尋の手続をとることを要しないものと考える。
 これを本件についてみると,B社の担保権の実行は,解除権の意思表示をもって終了するのであるから,時間を要するものではない。そのため,裁判所は,B社による本件設備の引上げの中止命令を出すにあたり,必要的審尋を行わないこととすることができる。
 2 後段
 B社が解除の意思表示を行い,本件リース契約が解除された場合には,A社の本件設備に対する利用権は消滅し,B社に完全な所有権が復帰することとなる。そうすると,B社が解除の意思表示をした時点で,本件設備に対する担保権の実行は終了しており,B社が解除の意思表示を行った後にする本件設備の引上げは,その所有権に基づくものであるから,取戻権(民再法52条)の行使となる。したがって,この場合には,もはや担保権実行手続の中止命令を発令することはできない。
第2 設問2
 1 A社は,A社がその事業を1億円でC社に譲渡する内容の再生計画が裁判所において認可されたにもかかわらず,その内容たる事業譲渡の実施を拒んでいるため,「再生計画が遂行される見込みがないことが明らかになった」として,再生手続が廃止されるおそれがある(民再法194条)。
 2 そこで,まずC社としては,管理命令(民再法64条1項)の申立てをすることが考えられる。「再生債務者」であるA社の経営は代表取締役のDが実権を把握している状態であるが,A社が経営不振に陥ったのは,まさにDが採算性を十分に考慮することなく業務を拡大したことにあるから,「再生債務者の事業の再生のために特に必要がある」場合にあたる。したがって,裁判所は,管理命令を発令し,A社の財産の管理処分を管財人に行わせることとする(民再法66条)。
 3⑴ 次に,上記管理命令によって選任された管財人により,A社の事業の譲渡を実行することが考えられる。しかし,事業を譲渡するにあたっては,原則として株主総会の特別決議が必要であるが(会社法467条1項1号,309条2項11号),A社の株主はD一人のみであるところ,DはA社の代表取締役として事業譲渡を拒んでいる立場であるから,株主総会による事業譲渡の決議をすることは不可能であると考えられる。そこで,管財人としては,裁判所に対して,株主総会の決議による承認に代わる許可を求めることが考えられる(民再法43条1項)。
  ⑵ A社は,「その財産をもって債務を完済することができない」状態に陥っている。
 「当該事業等の譲渡が事業の継続のために必要である場合」とは,当該事業が譲受人のもとで再生することが見込まれるという意味で事業譲渡が必要な場合を含む(※2)。A社は,Dの経営能力がなかったことから経営不振に陥っているのであるから,A社の事業を再生するためには,A社から当該事業を切り離す必要がある。そして,A社の大口債権者であるE銀行などの複数の再生債権者は,C社がスポンサーとなるのであれば,支援をする旨を伝えているのであるから,譲受人であるC社のもとであれば,取引が継続し,事業が再生することが見込まれる。したがって,A社の事業を譲渡することは,「当該事業等の譲渡が事業の継続のために必要である場合」にあたる。
  ⑶ よって,裁判所は,事業譲渡に係る代替許可をすることができる。
以 上

(※1)最判平成7年4月14日民集49巻4号1063頁
(※2)「許可の要件は,『当該再生債務者の事業の再生のために必要である』ことである(民再42条1項後段)。これは,再生債務者自身が経済的に再生するために当該事業を切り離すことによって,当該事業が譲受人のもとで再生することが見込まれるという意味で事業譲渡が必要な場合を含む。これは,民事再生法が,営業ないし事業の全部譲渡をも想定しており,必ずしも再生債務者のもとでの事業再生のみを目的としているわけではないことから正当化される。したがって,再生債務者自身は当該事業に関する取引先の信用を失っているが,譲受人のもとで営業をすれば取引が継続し,事業が再生することが見込まれるといった場合も,事業譲渡を認めるべき適例とされている。」山本和彦ほか『倒産法概説第2版補訂版』421頁



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