FC2ブログ
2019-01-25(Fri)

【新司】倒産法平成26年第1問

さて,もう1月も終わりです。

こないだ年が明けたばかりかと思いきや。

早いですね。

焦りが隠せません。

とにかく倒産法を仕上げないといけないですね。

≪問題≫
〔第1問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 Aは,先物取引に失敗したことを原因として,消費者金融からの借入れも含め約1億円の負債を負うに至り,債務の支払が不能となったことから,平成24年9月14日,破産手続開始及び免責許可の申立てをし,同月21日,破産手続開始の決定を受け(以下,同開始決定に基づく破産手続を「本件破産手続」という。),破産管財人Xが選任された。
 Aの友人であるBは,本件破産手続開始の申立て前の平成22年10月20日,Aに対し,金銭消費貸借契約書を作成することなく,現金で1000万円を貸し付けた。Bは,その当時,自宅において,内縁関係にあったCと同居していたが,その後,Cとの関係が悪化したことから自宅を出て,本件破産手続の開始時点においては外国に長期滞在していたため,同手続が開始されたことを知らなかった。他方,Cは,本件破産手続開始の通知をBの自宅において受け取ったが,同手続が開始された事実をBに知らせることなく,自らがAに上記1000万円を貸し付けたものとして破産債権の届出をした。
 破産管財人Xは,Cから届出のあった破産債権の存否及び額等についてAに確認をしたところ,Aは,B及びCは経済的に一体の関係にあり,いずれにしても1000万円を借り受けたことは事実である上,Cが資金を拠出した可能性もあると考えたことから,Cによる破産債権の届出を否定するほどのことはないと考え,破産管財人Xに対し,Cの届出内容に間違いはないと説明した。破産管財人Xは,Aの預金通帳の取引履歴についても確認したところ,平成22年10月20日に現金で1000万円の預入れがされたとの事実を確認することができ,Cの届け出た破産債権の債権者がBであることを示す資料も見当たらなかった。
 そこで,破産管財人Xは,平成24年12月10日の一般調査期日において,Cの届け出た破産債権を認め,これに対して他の破産債権者も異議を述べなかったため,当該破産債権は確定した。

〔設 問〕 以下の1から3までについては,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.上記事例において,Bは,Cの届け出た破産債権が確定した後に帰国し,本件破産手続が係属している事実及びAに対する上記貸付けについてCが自らの債権であるとして破産債権の届出をした事実を知った。Bは,Aに対して当該貸付けをしたのは自らであるとして,最後配当に関する除斥期間の経過前に,裁判所に対して破産債権の届出をすることができるかについて,論じなさい。
 また,Bが当該破産債権の届出ができるとした場合,破産管財人Xは,この届け出られた破産債権についていかなる認否をすべきかについて,論じなさい(なお,Bの破産債権届出の際に上記貸付けがBによるものであることを示す証拠が裁判所に提出されたことを前提とする。)。
2.上記事例において,Bは,最後配当の実施後に帰国し,Cが10%の最後配当(100万円)を受けたことを知った。そこで,Bは,Cに対し,不当利得返還請求権に基づき,Cが受領した配当金100万円の返還を求める訴えを提起し,Aに対する上記貸付けをしたのは自らであるから,Cが届け出た破産債権は,CではなくBに帰属すると主張した。BがCに対して当該主張をすることが許されるかについて,論じなさい。
3.上記事例において,Aは,本件破産手続開始の申立て前の平成24年8月初旬,Dから共同投資のための資金として500万円を現金で預かったが,自己の借入金の返済資金が不足したため,Dの承諾を得ることなく,当該預り金の全額を流用して自己の借入金の返済に充てた。Aとしては,保有していた投資商品Mについて同月中旬に1200万円の償還が予定されていたことから,その一部を流用した預り金に充てる心積りであり,そうすれば共同投資に支障が生じることはなく,Dに損害を与えることもないと考えていた。ところが,投資商品Mの投資先は,償還期日直前に突然倒産し,Aは1200万円の償還金を受け取ることができなくなった。その結果,Aは,上記預り金を投資資金に充てることも,Dに返還することもできなくなり,Dに対してその損害を賠償すべき債務を負うこととなった。
 Aは,本件破産手続開始及び免責許可の申立てをする際,Dに迷惑をかけたくないとの思いから,Dに対する損害賠償債務については,本件破産手続の結果にかかわらず支払おうと考え,債権者一覧表及び債権者名簿に記載しなかった。Dは,本件破産手続が開始したことを知っていたが,同手続外でAから支払を受けようと考え,Aに対する破産債権の届出をしなかった。
その後,本件破産手続は終結し,平成25年2月,Aに対する免責許可の決定が確定した。Aは,本件破産手続中に転職したこともあり,生活は楽ではなかったものの,Dに対する上記の思いから,同年3月,Dとの間で,AのDに対する500万円の損害賠償債務を目的とし,同債務を1年以内に返済することを内容とする準消費貸借契約を締結した。
 Dは,平成26年4月,Aに対し,上記準消費貸借契約に基づく債務の履行を求めたが,Aは,その当時,新しい職場での仕事がようやく軌道に乗り始めたところであり,Dに対する上記債務を返済すると経済的に困窮するおそれがあったことから,Dの請求に応じなかった。
 Dが,Aに対し,上記準消費貸借契約に基づき500万円の支払を求める訴えを提起し,Aが同契約上の義務を争った場合,Dの請求が認められるかについて,予想されるA及びDの主張を踏まえて,論じなさい。

倒産法初心者には,まず根拠条文を探すので一苦労です。

今回の問題も,条文を探すのにだいぶ時間がかかりました。

どうしたらいいんでしょうね。

もういっそのこと条文素読しますか。

そんなことより,この年の問題,なんとなく民訴っぽいにおいがしませんか?

既判力周りの議論を応用してっていう……。

まぁ,民訴の演習も久しくしていないので,もうそこらへんの議論も忘れてしまったんですがね。

≪答案≫
第1 設問1
 1 Bは,破産債権の届出をすることができるか。Aの破産手続は,平成24年12月10日に一般調査期日が終了しているため,これ以降にBが破産債権を届け出るためには,破産法112条1項に該当する場合でなければすることができない。
 そこで,同項の該当性について検討すると,同項の趣旨は,破産手続の迅速な進行のため破産債権の届出期間の経過後は原則として破産債権の届出を認めないこととしつつ,破産債権者に原因なく破産債権の届出ができなかった場合にまでこれを認めないとすることは当該破産債権者の利益を著しく害するものであるから,その調和を図ったものである。そうすると,「その責めに帰することができない事由」とは,破産債権者の利益が優先される程度に帰責性がない場合をいい,破産債権者の過失なく破産手続開始の事実を知らず,一般調査期日を徒過した場合はこれにあたる
 これを本件についてみると,Aの破産手続開始当時に,Bは外国に滞在していたために同手続の開始を知るに至らなかったのであるが,Bが外国に滞在していたのは,仕事の都合上などのBの任意によらない理由によるものではなく,BがCとの関係が悪化したために自宅から出ていったという専ら私的な理由によるものである。また,BとCとは,Bの自宅において同居していたのであるから,関係の悪化を理由として別居を希望するのであれば,Cを出ていかせることもできたにもかかわらず,あえて自らが出ていったのであるから,Bの任意によってBの自宅を離れたものである。そして,別居に乗じてわざわざ外国に滞在することを任意でしている。そうすると,BがAの破産手続開始の通知を,自宅に届いた時点でBに何らかの形で知らせるような積極的な準備をしていない限り,Bには過失があるというべきである。しかし,当時自宅には,関係が悪化しているCしかおらず,そのような者に通知の到達を知らせるように手配することは期待できないのであって,Bにおいてもそれを容易に認識できるのであるから,やはり,Aの破産手続開始の事実を知らなかったことについて,Bに過失があったというべきである。したがって,Bには,「その責めに帰することができない事由」があったということはできないから,破産法112条1項に該当しない。
 よって,Bは,破産債権の届出をすることができない。
 2 仮に,Bが当該破産債権の届出ができるとした場合,Xはいかなる認否をすべきか。同債権については,既にCが自己の名義で届出をし,これが確定しているため,そのこととの関係で問題となる。
 破産債権が確定すると,これに係る破産債権者表の記載は,破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する(破産法124条3項)。これは,破産債権の確定がされた後に破産債権者表の記載に変更が生じると,迅速な進行が求められる破産手続の安定性が害されるため,これを争うことができないようにしたものである。したがって,真の破産債権者であっても,虚偽の届出がされた破産債権が確定した場合には,破産債権者表の記載について争うことはできないものと考える。
 これを本件についてみると,BはAに対して,Aの破産手続開始前に1000万円を貸し付けているから,これに係る1000万円の返還請求権は,「破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」であり,「破産債権」にあたるため(破産法2条5項),Bは「破産債権者」である(破産法2条6項)。そして,同債権は,Cが既に届出を行い,一般調査期日において確定するに至っている。したがって,Bは,これを争うことはできない。
 よって,Xは,Bが届出をした同債権について認めないこととするべきである。
第2 設問2
 1 BのCに対する不当利得返還請求に係る主張は認められるか。前記のように破産債権の確定による破産債権者表の記載が「確定判決と同一の効力を有する」ことから,Bの主張が遮断されることとなるかが問題となる。
 ここで,既判力とは,確定判決の後訴に対する通用力ないし拘束力をいう。「確定判決」の効力には,既判力が含まれるから(民訴法114条1項),これと同一の効力を有するのであれば,破産債権者表の記載についても既判力があると考えるのが素直である。また,破産手続外であれば確定した破産債権について争うことができるとすれば,結局のところ,破産手続によって得られた結果が覆されることとなり,破産手続の安定性を害することとなるから,破産法124条3項の上記趣旨からしても,「確定判決と同一の効力」には,既判力が含まれると考える。
 そうすると,本件では,上記のようにBもAの破産手続における破産債権者であるから,破産債権者表の記載はBとの関係でも既判力を有するから,これと抵触する主張をすることはできない。そして,Aの破産手続における破産債権者表の記載では,本来BのAに対する1000万円の債権は,Cが債権者として確定しているから,この点について既判力が生じており,Bが債権者であるとの主張はこれと抵触する。したがって,Bの主張は認められないのが原則である。
 2 そうだとしても,本件では,真の債権者ではないCが,Bが海外に滞在していることを奇貨として,自己が債権者であると偽って債権の届出をしているから,既判力による主張の遮断を例外的に排斥することはできないか。
 既判力の生じる根拠は,その者に当該債権について届出を行い,これを破産管財人に認めさせ,異議のある破産債権者との間で争う機会があるという意味での手続保障があったことにある。したがって,このような機会がなかった者との関係では,そもそも既判力の生じる根拠が欠けるのであるから,既判力を生じさせるべきではない。もっとも,既判力が生じないとすることは,破産手続の安定性を害することとなるから,これとの調和の観点から,同趣旨のもと規定されたと考えられる,民訴法338条1項各号に該当する事由に比類する事由がある場合に限り,既判力を排斥することができると考える。
 これを本件についてみると,Aの破産手続における最後配当が実施されるまでの間,BはAに破産手続が開始されていたことを知らなかったのであるから,自己の破産債権の届出をする機会がなかったといえる。そして,同債権についてCが届出を行っているが,Cは自己名義により届出を行っており,Bの債権として届出をしたものではないから,これは代理人が必要な授権を欠いていたものと同視することができ,民訴法338条1項3号に規定する事由に比類する。したがって,Bは,破産債権者表の記載に生じた既判力を排斥することができる。
 よって,BはCに対して,上記主張をすることができる。
第3 設問3
 1 Aとしては,DのAに対する損害賠償請求権は,Aの免責許可決定により消滅しているから,これに係る債務を目的とした準消費貸借契約は認められないとの主張を行う。
 2 これに対して,Dは,まず,上記請求権が,非免責債権にあたるとの主張を行う。
 そこで,この点について検討すると,上記請求権が該当し得るのは,破産法253条1項2号及び6号である。
  ⑴ まず,2号の該当性から検討すると,同号の趣旨は,悪質な態様による不法行為によって損害が生じた者については,これを保護する要請が強いことから,破産手続によってもこれを免責することができないとしたものである。そこで,同号にいう「悪意」とは,単なる故意にとどまらず,積極的な害意があることを意味する
 これを本件についてみると,Aは,Dから預かっていた500万円を自己の借入金の返済に充てるという,専ら私的な用途に用いているため,Dに対する害意があるようにも思われる。しかし,その当時,Aは,近日中に500万円を大きく上回る1200万円の償還が予定されており,これを預り金に補てんする意図であったのであるから,Dの不利益にならないように配慮していたということができ,Dに対する害意があったということはできない。また,その当時において,Aは,投資先が倒産することを予見できなかったのであって,これを知りつつ借入金の返済に充てたものではないから,やはりDに対する害意はない。したがって,Aに「悪意」はあったということはできないから,2号には該当しない。
  ⑵ 次に,6号の該当性について検討すると,DはAに対する破産手続が開始したことを知っているため,「当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者」にあたり,6号から除外される。
  ⑶ したがって,Dの債権が非免責債権にあたるとするDの上記主張は認められない。
 3⑴ また,Dとしては,免責の効果として,債権が消滅するものではないから,Dの上記債権に係る債務を目的とした準消費貸借契約の締結も有効であると主張する。
 そこで,この点について検討すると,免責制度の趣旨は,破産者が破産手続によって債務を整理し,更生する機会を与えるものである。そうすると,破産者に対して当該債権の強制執行ができなくなれば,破産者に対して債権の取立てがされることはなくなり,更生する機会が与えられるのであるから,その限りで免責の目的を達成することができる。したがって,免責の効果として債務の消滅まで認める必要はない
 そうすると,Dの上記債権は,免責の対象とはなるが,免責許可決定によっても,当該債権自体が消滅することとはならない。したがって,これに係る債務を目的として締結した準消費貸借契約は有効とされる余地がある。
  ⑵ これに対して,Aとしては,準消費貸借契約の締結がAの任意によるものではないから,同契約は無効であると主張する。
 そこで,この点について検討すると,免責の効果として債務の消滅まではされないことから,債務自体は残存するものの,これを履行することを強制されれば事実上免責の効果を潜脱して債権の回収が図れることとなり,免責制度の目的が達成されなくなる。そこで,破産者が免責許可決定後に債務について処分したとしても,それが破産者の任意によらない限りは,有効とはならないと考えるべきである。
 これを本件についてみると,Aは,自己が500万円を横領したことにより,Dに対して損害賠償債務を負うこととなったため,自己の責任によりDに迷惑を掛けたくないとの思いから,準消費貸借契約を締結するに至っているため,この点をみればAの任意による処分であるともみられる。しかし,当時,Aは破産手続中に転職したことから,生活が楽ではなく,そのような中で500万円という大金の処分を行うのには,相当の覚悟が必要であって,半ば強迫観念に駆られるような状態で同契約を締結するに至ったのではないかとも考えられる。そして,Dが上記契約に基づく債務の履行を求めたころには,経済的に困窮することとなるとの理由から,これを拒んでおり,さらに経済的に困窮していたとみられる同契約締結時には,Aの真意としては500万円の支払をできればしたくはないと考えていたことを推認させる。これらの事情からすれば,同契約の締結は,Aの任意に基づくものであったということはできないのであるから,同契約は無効である。
 3 以上から,Dの請求は認められない。

以 上


これ,もしかして,長すぎて答案に書ききれないのでは……。
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
訪問者数
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード