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2019-01-21(Mon)

【新司】倒産法平成27年第2問

続いて第2問です。

頑張ります。

≪問題≫
〔第2問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 食品製造会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は,平成26年2月頃,販売する製品に虫の死がいが入っていたことが発見されたことから,生産を一時停止し,販売した製品を回収しなければならない事態となり,同年3月末の借入債務の返済及び仕入代金の支払のために発行した約束手形の決済等ができない見通しとなった。そこで,A社は,同月25日に再生手続開始の申立てをしたところ,同日,監督命令を受け,同年4月2日,再生手続開始の決定を受けた。

〔設 問〕 以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.A社は,再生手続開始の決定時において,現に稼働している工場及びその敷地(以下,まとめて「工場不動産」という。)並びに使用していない旧工場の跡地(以下「本件土地」という。)を所有していた。なお,工場不動産の評価額は3000万円,本件土地の評価額は5000万円であり,本問を通じて,各評価額については争いがないものとする。
 A社は,B銀行からの2億円の借入債務を被担保債権として,同銀行のために,工場不動産及び本件土地に第1順位の抵当権(共同抵当)を設定し,その登記をするとともに,金融業者C社からの1000万円の借入債務を被担保債権として,同社のために,本件土地に第2順位の抵当権を設定し,その登記をした。そして,これらの抵当権は再生手続開始の決定時において存続していた。
 A社の事業計画においては,本件土地は処分する一方,工場不動産は確保して事業を継続することとされており,本件土地の売却代金及び事業収益を再生債権の弁済等(別除権協定に基づく債務の弁済を含む。)に充てることが予定されていた。A社は,その計画の実現のため,B銀行との間で別除権協定を締結し,次のとおり合意した。

1 A社は,B銀行に対し,本件土地及び工場不動産の評価額の合計に相当する8000万円を次のとおり分割して支払う。
① 再生計画認可決定の確定後1か月以内に500万円
② 同確定後6か月以内に5000万円
③ 同確定後1年以内に500万円
④ 同確定後2年以内に500万円
⑤ 同確定後3年以内に500万円
⑥ 同確定後4年以内に500万円
⑦ 同確定後5年以内に500万円
2 1の各支払をA社が遅滞しない限り,B銀行は,本件土地及び工場不動産に設定された抵当権を実行しない。
3 A社が1の各支払を遅滞なく完了したときは,B銀行は,本件土地及び工場不動産に設定された抵当権を全て抹消する。ただし,1の各支払の完了前であっても,1①及び②の支払が遅滞なく完了したときは,B銀行は,本件土地について設定された抵当権を抹消する。

 なお,A社は,本件土地の売却代金を上記1②の5000万円の支払に充てることを予定しており,上記別除権協定の締結に先立ち,監督委員の同意を得て,D社との間で,本件土地に設定された各抵当権の抹消を条件に本件土地を5000万円で売買する契約を結んでいた。このため,A社及びB銀行は,上記3ただし書の規定を設け,上記1①及び②の支払が遅滞なく完了した場合には,本件土地について設定された抵当権を抹消することとしたものである。
 一方,A社は,C社に対しては,本件土地の価値に余剰がないことを考慮し,少額の支払と引換えに抵当権を抹消することを要請したが,C社はこれに応じなかった。そのため,A社の再生計画は平成26年10月に認可されたにもかかわらず,C社の抵当権に関しては,抹消に関する合意が成立していなかった。
 A社は,C社の抵当権を抹消することができないとすれば,B銀行との別除権協定に基づく債務を履行することができないために工場不動産について抵当権が実行され,その結果,再生計画の履行ができなくなるのではないかと考え,本件土地について担保権消滅の許可の申立てをすることとした。なお,担保権消滅の許可の申立てが認められた場合に必要となる資金については,D社から融資を受け,売買代金と相殺する予定であった。
 この場合,A社による担保権消滅の許可の申立てが認められるかどうかについて,論じなさい。
2.A社の再生計画案は可決され,平成26年10月31日に再生計画認可の決定がなされ,その認可決定は,同年11月28日に確定した。A社の再生計画の権利変更の定めは,確定再生債権の10パーセントを5回に均等分割し,これを平成27年から平成31年まで各年3月末日限り支払い,その余は再生計画認可の決定の確定時に免除を受けるという内容のものであった。
 同認可の決定の確定後,E及びFは,A社に対し,以下のとおり,A社に対する債権の弁済を求めた。
 Eは,平成20年創業の個人事業者であり,同年からA社に食品原料の納入を行っており(継続的に納入する義務を負っていたわけではないものとする。),A社の再生手続開始の決定当時,A社に対し,2か月分(平成26年2月分及び同年3月分。ただし,同月20日までに納入済みであった。)の未払売掛金債権100万円(同年2月分として60万円,同年3月分として40万円)を有していた。A社及びEは,同年2月のA社製品への虫混入事件の発覚以降,A社の要請に基づき,債務の繰延べに関する協議を行っており,A社が再生手続開始の申立てをした時点では,合意内容はほぼ固まりつつあった。ところが,A社が同申立てをしたことから,協議は中断され,再生手続の開始に伴い,Eに対して,A社の再生手続開始の決定に関する通知がされた。Eは,同年2月分の売掛金債権については,再生手続において,債権届出を行ったが,同年3月分の売掛金債権(以下「本件売掛金債権」という。)については,もともとの弁済期が再生手続開始決定後の同年4月15日であったため,再生手続の対象にならないと考え,届出をしなかった。A社も,食品原料の仕入先をEから他の事業者に切り替えていたこともあり,本件売掛金債権については失念し,認否書に記載しなかった。そのため,Eの本件売掛金債権は,再生債権者表に記載されず,また再生計画においても変更されるべき権利として明示されなかった。その後,Eは,平成27年1月,A社に対し,本件売掛金債権40万円の支払を求めた。
 Fは消費者であり,A社製造の食品をインターネット経由で継続的に購入していたところ,平成26年3月初旬,原因不明の発しんが出て病院で治療を受けた。その後,同年12月,A社が製造した食品を摂取した消費者に発しん等の健康被害が複数発生しているとの報道がされ,検査の結果,Fに生じた発しんもA社の食品を摂取したことが原因であることが判明した。そこで,Fは,A社に対し,発しんの治療費等を含む損害の賠償として100万円の支払を求めたが,A社は,Fの主張する損害賠償請求権(以下「本件損害賠償請求権」という。)は,再生債権者表に記載されず,また再生計画においても変更されるべき権利として明示されていないために,Fの求めには応じられないと回答してきた。このため,Fは,平成27年1月,A社に対し,本件損害賠償請求権に基づき,100万円の支払を求めた。
 上記事例において,Eの有する本件売掛金債権及びFの有する本件損害賠償請求権が民事再生法上どのように取り扱われるかについて,論じなさい。


え,まって。

長くね。

問題文に2頁丸々使ってるじゃん。

≪答案≫
第1 設問1
 1 A社による担保権消滅の許可の申立て(民再法148条1項)は認められるか。
 2⑴ 「再生債務者」であるA社の「財産」である本件土地には,B銀行及びC社による「抵当権」が設定されているから,「再生手続の時において再生債務者の財産につき第五十三条第一項に規定する担保権……が存する場合」にあたる。
  ⑵ それでは,本件土地は「再生債務者の事業の継続に欠くことのできないもの」にあたるか。本件土地は,D社に対して売却されることが予定されており,A社の今後の事業には用いられないものとみられることから,A社の事業の継続に不可欠であるということができるかが問題となる。
 民再法148条1項の趣旨は,再生手続外での担保権の実行により重要な財産が売却されることで,事業の継続が不可能となることは,再生債務者の再建を困難にさせ,ひいては再生債権者の一般の利益を損なうこととなるから,当該目的物の上に存する担保権を全て消滅させ,再生債務者が事業で使用収益できるようにした点にある。もっとも,担保権の消滅は,担保権者の担保権実行時期の選択権や担保権の不可分性を制限するものであるから,事業の継続に不可欠である場合に限って担保権の消滅を認めたものである。そうすると,「再生債務者の事業の継続に欠くことのできないもの」とは,担保権者の不利益を考慮してもなお債権者の一般の利益に資するための事業の継続のため必要となる目的物をいう。そして,債権者の一般の利益を目的として判断する以上,当該目的物自体が事業に用いられるか否かは重要ではなく,事業の継続を促進させる効用を有するものであれば足りる
 これを本件についてみると,本件土地については,D社との間で,設定された抵当権の抹消を条件として5000万円で売却することが予定されている。そうすると,抵当権の抹消がされない限りは,A社は本件土地を売却することができず,D社から5000万円の支払を受けることができない。ここで支払を受けた5000万円は,A社に対する別除権協定における弁済計画のうち,再生計画認可決定後6か月以内に支払う5000万円に充てられるものである。これが支払われた場合には,B銀行は,工場不動産に設定した抵当権を抹消するものとされている。工場不動産は,A社が事業を継続する場所として使用することを予定している。A社は,食品製造会社であるから,食品の製造を行うことによって利益を上げ,これを債権者に対する弁済資金とするほかない。したがって,工場不動産をA社の下で維持することが再生債権者の一般の利益に資することとなる。そうすると,工場不動産についてB銀行による抵当権が実行されるのを阻止するためには,別除権協定に定められた弁済を行うしかなく,5000万円の資金を本件土地の売却によってしか調達することができないA社としては,D社の条件に見合うように本件土地に設定された抵当権を抹消することが再生債権者の一般の利益に資することとなる。一方で,本件土地の評価額は5000万円であるところ,これに設定されたB銀行の有する第1抵当権は2億円であるから,この段階で既にオーバーローンとなっており,C社が有する第2抵当権は実行してもほぼ無価値であったということができる。したがって,本件土地に設定された抵当権を抹消することによるC社の不利益は少ないと考えられる。以上からすると,本件土地は事業の継続を促進させる効用を有し,かつ,担保権者の不利益を考慮してもなお債権者の一般の利益に資するための事業の継続のため必要となるものということができるから,「再生債権者の事業の継続に欠くことのできないもの」にあたる。
 3 よって,A社による担保権消滅の許可の申立ては,その要件を充足するから,認められる。
第2 設問2
 1 Eの有する本件売掛金債権について
 本件売掛金債権は,「再生債権」(民再法84条1項)であるから,これを再生手続において行使するためには,原則として再生計画によらなければならない(民再法85条1項)。そして,再生計画に定めがない再生債権は,「この法律の規定によって認められた権利」でない限り,免責される(民再法178条1項)。本件売掛債権が,「第百一条第三項に規定する場合において,再生債務者が同項の規定による記載をしなかった再生債権」(民再法181条1項3号)にあたる場合には,「この法律の規定によって認められた権利」にあたるから,免責されない。
 そこで,本件売掛金債権が民再法101条3項にあたる場合か否かについて検討すると,本件売掛金債権は「届出がされていない再生債権」である。「再生債務者」であるA社は,本件売掛金債権について,失念しているが,これをもって「知っている場合」にあたるかどうかが問題となる。
 民再法101条3項の趣旨は,再生手続が再生債権者の一般の利益のために行われるものであるから,届出がされていない債権であっても,再生債務者において知っている債権がある場合には,これを再生手続に組み込まなければ,当該再生債権者を不利益に扱うこととなり,再生手続の目的に反するから,再生手続に組み込むことを求めたものである。もっとも,自己の債権を届け出なかった債権者の側にも落ち度があることからすると,再生債務者に厳格に債権の調査を要求することは酷である。したがって,「知っている場合」とは,認否書を作成する手続において,再生債務者が現実にその債権の存在を知っていた場合をいう
 これを本件についてみると,A社は,認否書を作成する手続の間,本件売掛金債権について失念しており,現実にその債権の存在をしっていたものとは認められないから,「知っている場合」にはあたらない。したがって,本件売掛金債権は,「第百一条第三項に規定する場合において,再生債務者が同項の規定による記載をしなかった再生債権」にはあたらないから,「この法律によって認められた権利」ではない。
 したがって,本件売掛金債権は,免責の対象となる。
 2 Fの有する本件損害賠償請求権について
 本件損害賠償請求権も,「再生債権」である。そして,本件損害賠償請求権は再生債権者表に記載されていないから,「この法律によって認められた権利」にあたらない限り,免責の対象となる。本件損害賠償請求権が,「再生債権者がその責めに帰することができない事由により債権届出期間内に届出をすることができなかった再生債権で,その事由が第九十五条第四項に規定する決定前に消滅しなかったもの」(民再法181条1項1号)にあたる場合には,「この法律によって認められた権利」にあたるから,免責されない。
 そこで,「責めに帰することができない事由」の意義について検討すると,民再法181条1項1号は同法95条4号に規定する決定前に消滅しなかったものについて免責の例外事由としている。民再法95条4項の趣旨は,債権者の責めに帰することができない事由によって届出をすることができない場合には,期間遵守を求めることができないから,決議に付す旨の決定がされるまでであれば追完を認めることとしたものである。したがって,「責めに帰することができない事由」とは,債権者の意思によっては届出期間の遵守ができない場合をいう
 これを本件についてみると,Fの発しんは,症状が出た当初は原因が不明であり,加害者を特定することができない状態にあったのであり,その後,平成26年12月になってようやく原因がA社の食品を摂取したことにあることが判明し,加害者がA社であると特定するに至っている。そうすると,損害賠償請求権は加害者が特定されなければこれを行使することができないから,平成26年12月まではFの意思によってはこれを行使することができなかったということができる。そして,この時点では,すでにA社の再生計画の認可決定が確定した段階であるから,Fは,到底届出期間を遵守することができなかったものといえる。したがって,Fの意思によっては本件損害賠償請求権について届出期間を遵守することはできなかったのであるから,「責めに帰することができない事由」にあたる。そして,この事由は付議決定時までに消滅していない。よって,本件損害賠償請求権は,「この法律によって認められた権利」であるから,変更の対象となる。

以 上


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