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2019-01-21(Mon)

【新司】倒産法平成27年第1問

冷静に考えてですよ?

新司本番まで4か月を切っているわけです。

しかし倒産法の勉強はまだ始まったばかりです。

破産法も民再法も条文は多いし判例も難しいものばかりです。

どう頑張っても間に合わなくないですか?

残りの期間倒産法に全振りしますか?

いいえ,そんなことはできません。

予備で刑法,刑訴でEをたたき出した私には,そんなことはできるわけがありません。

これまで新司に受かってきた先輩方は,この危難をどうやって乗り越えてきたのか。

あっ,もっと早くからやっていたんですね。

そうですよね。うん。分かります。。。

≪問題≫
〔第1問〕(配点:50)
 次の事例について,以下の設問に答えなさい。
 【事 例】
 A株式会社(以下「A社」という。)は,平成8年に設立された機械部品の製造販売を業とする会社であり,近隣の工場に製造した工作機械の部品等を卸していた。
 A社は,平成26年初め頃からの急激な円安により原材料費が急騰したため,同年8月頃から急速に資金繰りを悪化させ,同年11月末には支払不能に陥った。そこで,A社は,同年12月10日,債権者及び売掛金に弁護士受任通知を発して支払を停止した上,同月15日,破産手続開始の申立てをしたところ,同月17日,破産手続開始の決定がされ,破産管財人Xが選任された。

〔設 問〕 以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1.上記事例において,XがA社の売掛金台帳を調査したところ,部品納入先であるBに対して,平成26年10月1日から同年11月末日分までの納入分に係る合計216万円の売掛債権(以下「本件売掛債権」という。)が未収となっていることが判明した。そこで,Xは,Bに対し,平成27年1月末日までに本件売掛債権216万円を支払うよう催告した。
 上記催告を受けたBは,Xに対し,「本件売掛債権については,平成26年12月12日,同月11日付けの確定日付のある証書により,A社からY社に譲渡された旨の債権譲渡通知を受領したため,同月15日,Y社に対して全額を支払った。」と説明した。
 そこで,Xが更に調査をしたところ,A社とY社との間においては,平成24年5月10日にA社がY社から設備投資のため1000万円の融資を受けるに当たり,A社のBに対する売掛債権について,同日,次のとおりの債権譲渡契約が締結されていることが判明した。

(債権譲渡)
1 A社は,A社がY社に対して負担する一切の債務を担保するため,A社がBに対して現に有する売掛債権及び将来取得する売掛債権をY社に包括的に譲り渡す。
(効力発生時期)
2 前項の譲渡の効力は,A社が,支払を停止したとき又は破産手続開始の申立てをしたときにその効力を生ずる。

 また,Y社は,上記債権譲渡契約の締結に当たり,将来の債権譲渡通知のために,A社から委任状等の必要書類をあらかじめ受領しており,Bが平成26年12月12日に受領した債権譲渡通知は,A社が同月10日に支払を停止したため,上記債権譲渡の効力が発生したとして,Y社がA社を代理して行ったものであることも判明した。
 この調査結果を踏まえ,Xは,Y社に対し,否認権を行使することにより,Y社がBから受領した本件売掛債権に係る売掛金216万円の返還を求めて訴えを提起しようと考えている。この場合に,Xの否認権の行使を基礎付ける法律構成としてどのようなものが考えられるか,またXの否認権の行使が認められるかどうかについて,予想されるY社の反論を踏まえて,論じなさい。
2.A社は,破産手続開始前,製造した部品を納入するため,トラック1台(以下「本件車両」といい,道路運送車両法第5条第1項の適用を受けるものとする。)を使用しており,破産手続開始時において,同車両はA社の占有下にあったが,自動車登録ファイルに登録された所有者は,自動車販売会社であるC社であった。そこで,Xは,C社に対し,登録名義の変更を求めたが,逆に,C社の系列信販会社であるZ社から,本件車両を同社に引き渡すよう求められた。
 そこで,Xが調査をしたところ,本件車両は,平成25年10月10日にC社がA社に対し代金400万円で売却したものであり,その際,C社に対して頭金64万円が支払われ,残代金である336万円(以下「本件残代金」という。)の支払等については,同日,A社,C社及びZ社の三者間において,次のとおりの契約が締結されている事実が判明した。

(本件残代金の支払等)
1 A社は,Z社に対し,本件残代金336万円を自己に代わってC社に立替払することを委託し,本件残代金に手数料である24万円を加算した360万円を平成25年10月から平成27年9月までの各月末日限り24回に分割してZ社に支払う(以下,このA社の支払債務を「本件立替払金等債務」という。)。
(所有権の留保)
2 本件車両の所有権は,C社のA社に対する本件残代金債権を担保するために,C社に留保する。
(留保所有権の移転)
3 A社は,登録名義のいかんを問わず,C社に留保されている本件車両の所有権が,Z社がC社に本件残代金を立替払することによってZ社に移転し,A社が本件立替払金等債務を完済するまでZ社に留保されることを承諾する。
(本件車両による弁済)
4⑴ A社が本件立替払金等債務の支払を1回でも怠ったときは当然に期限の利益を失い,その場合,同社は,Z社に対する弁済のため,直ちに本件車両の保管場所を明らかにし,本件車両をZ社に引き渡す。
 ⑵ Z社は,本件車両の引渡しを受けた場合には,その評価額をもって,本件立替払金等債務の弁済に充当することができる。

 Xが更に調査をした結果,Z社が,平成25年10月15日,上記契約に基づき,C社に対し,本件残代金336万円を立替払していること,A社が,本件立替払金等債務について,平成26年11月末日分の支払を怠っていることが判明した。Z社は,Xに対して,本件車両の引渡しを求める法的根拠として上記契約の4⑴の条項を摘示した上,A社が,本件立替払金等債務について,同年11月末日分の支払を怠ったため,当然に期限の利益を失ったと主張している。
 以上の調査結果を踏まえ,Xとして,Z社からの本件車両の引渡請求に対していかなる主張をすることが考えられるか,またその主張が認められるかどうかについて,予想されるZ社の反論を踏まえて,論じなさい。

(参照条文)道路運送車両法
第5条 登録を受けた自動車の所有権の得喪は,登録を受けなければ,第三者に対抗することができない。
2 (略)


えぇ……(ドン引き)

難しすぎないですか……

譲渡担保に所有権留保……

鬼畜ぅ!!!!!!!!!!!!

≪答案≫
第1 設問1
 1⑴ Xの否認権の行使を基礎付ける法律構成としては,まず,A社がY社との間でした債権譲渡契約(以下「本件債権譲渡契約」という。)について偏頗行為否認(破産法162条1項1号)をすることが考えられる。
  ⑵ Y社からは,本件債権譲渡契約の締結は,A社が「支払不能になった後……にした行為」にはあたらないとの反論が想定される。本件債権譲渡契約は,A社が支払不能に陥った平成26年11月末よりも2年以上前に締結されたものであるから,「支払不能になった後……にした行為」にはあたらない。
  ⑶ そうだとしても,Xとしては,本件債権譲渡契約は,その効力発生時期をA社の支払停止又は破産手続開始申立ての時にかからしめており,A社の危機時期が到来した段階でY社の優先的地位を公示する手法をとっているから,偏頗行為否認を潜脱するものであって,否認の対象となる旨主張する。
 破産法162条1項1号の趣旨は,債務者に支払停止等があった時以降の時期を債務者の財産的な危機時期とし,危機時期の到来後に行われた債務者による担保の供与等の行為をすべて否認の対象とすることにより,債権者間の平等及び破産財団の充実を図ろうとするものである
 債務者の支払停止等を停止条件とする債権譲渡契約は,その契約締結行為自体は危機時期前に行われるものであるが,契約当事者は,その契約に基づく債権譲渡の効力の発生を債務者の支払停止等の危機時期の到来にかからしめ,これを停止条件とすることにより,危機時期に至るまで債務者の責任財産に属していた債権を債務者の危機時期が到来するや直ちに当該債権者に帰属させることによって,これを責任財産から逸出させることをあらかじめ意図し,これを目的として,当該契約を締結しているものである。このような契約の内容,その目的等に鑑みると,上記契約は,破産法162条1項1号の規定の趣旨に反し,その実効性を失わせるものであって,その契約内容を実質的にみれば,上記契約に係る債権譲渡は,債務者に支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきものであり,上記規定に基づく否認権行使の対象となると考える(※1)
 これを本件債権譲渡契約についてみると,その内容は,A社の危機時期において初めてY社に譲渡担保権者としての優越的地位を取得させる結果となるものであり,その目的は,それまでの一般債権者の責任財産であった財産をそこから逸出させることにあるということができる。そうすると,本件債権譲渡契約に係る債権譲渡は,実質的には,A社に支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきものである。したがって,本件債権譲渡契約については,破産法162条1項1号による偏頗行為否認を行使することができる。
 2⑴ また,Xの否認権の行使を基礎付ける法律構成としては,Y社からBに対してした債権譲渡通知(以下「本件債権譲渡通知」という。)について,対抗要件否認(破産法164条1項)をすることが考えられる。
  ⑵ 債権譲渡の対抗要件は債権譲渡通知を発することであるから(民法467条1項),平成26年12月10日のA社の支払停止後の同月12日にされた本件債権譲渡通知は,「支払の停止等があった後権利の……移転……をもって第三者に対抗するために必要な行為……をした場合」にあたる。
  ⑶ 「その行為が権利の……移転……があった日から十五日を経過した後」の起算点について,Xとしては,原因行為である本件債権譲渡契約が締結された日である平成24年5月10日との主張を行う。これによれば,本件債権譲渡通知は,本件債権譲渡契約締結から15日を経過した平成26年12月12日にされているため,対抗要件否認の要件が満たされる。
 これに対して,Y社からは,同要件の起算点について,当事者間における権利移転の効果を生じた日である本件債権譲渡契約に係る債権譲渡がされた平成26年12月10日との主張を行う。これによれば,15日を経過していないため,対抗要件否認は要件を満たさないこととなる。
 そこで,同要件の起算点について検討すると,破産法164条1項の趣旨は,対抗要件の充足行為も,本来は,破産法160条又は162条によって否認の対象となりうべきものであるが,原因行為に否認の理由がない限り,できるだけ対抗要件を具備させることとし,一定の要件を満たす場合にのみ,特にこれを否認しうることとしたものである。したがって,対抗要件否認の行使し得る場面は限定されるべきであるから,同要件の起算点は,権利移転の原因行為がされた日ではなく,当事者間における権利移転の効果を生じた日であると考える。
 そうすると,上記Y社の反論が妥当するから,Xは,本件債権譲渡通知を否認することはできない。
第2 設問2
 1 Xは,Z社が本件車両について自動車登録ファイルの登録を行っていないことを理由に,Z社からの本件車両の引渡請求を拒むことが考えられる。
 2 A社,C社及びZ社の間では,Z社がC社に本件残代金を立替払することによって本件車両の所有権がZ社に移転し,A社が本件立替払金等債務を完済するまでZ社に留保されることとされているから,Z社は本件車両について所有権留保を有する。所有権留保は,所有権の対象となる目的物に係る債権を担保するものであるから,担保権の一種であって,破産手続上は別除権(破産法2条9項)として扱われる。そして,破産管財人は,破産者の法的地位を受け継ぐ立場に立つ一方,破産債権者の利益を代表する地位にも立つから,双方の立場から独立した第三者的地位を有する。したがって,所有権留保の被担保債権にかかる物権変動について対抗要件の具備が必要である場合には,対抗要件を具備しない限り,所有権留保に基づく別除権を破産管財人に対して行使することはできない。(※2)(※3)
 3 そして,Xとしては,本件車両に付された所有権留保の被担保債権は,Z社がA社に対して有する本件立替払金等債務に係る債権であるから,別除権として行使し得るのは,本件立替払金等債務に係る債権を担保するために留保された本件車両の所有権であって,これを行使するには本件車両について登録を具備している必要があるが,Z社はこれを具備していないから,Z社からの引渡請求は拒めると主張する。
 これに対して,Z社としては,本件車両に付された所有権留保の被担保債権は,Z社が弁済による代位によって取得した原債権である本件残代金債権であるから,別除権として行使し得るのは,本件残代金債権を担保するためのC社の留保所有権であって,C社は本件車両について登録を具備しているから,Z社からの引渡請求をXは拒めないと反論する。
 そこで,この点について検討すると,本件残代金債権は336万円であるのに対し,本件立替払金債務に係る債権は360万円となっている。このとき,本件車両の留保所有権によって担保されるのが,本件残代金債権であるとすると,Z社は,336万円の範囲でしか担保されるにすぎないこととなる。これは,360万円全額の回収を前提としているZ社の合理的意思に反すると考えられる。したがって,A社,C社及びZ社の間では,Z社が立替払をした後に取得する留保所有権によって担保される債権は,本件立替払金等債務に係る債権であるという前提で合意がされていたものと考えられる。
 よって,Z社が行使する別除権の目的である留保所有権によって担保されるのは本件立替払金債務に係る債権であるから,Z社が本件車両について登録を具備しない限り,Z社はこれをXに対抗することができない。そして,Z社は,本件車両について登録を具備していないから,Xは,Z社からの引渡請求を拒むことができる。

以 上


(※1)「破産法72条2号[現行破産法162条1項1号]は,破産者が支払停止又は破産の申立て(以下「支払停止等」という。)があった後にした担保の供与,債務の消滅に関する行為その他破産債権者を害する行為を否認の対象として規定している。その趣旨は,債務者に支払停止等があった時以降の時期を債務者の財産的な危機時期とし,危機時期の到来後に行われた債務者による上記担保の供与等の行為をすべて否認の対象とすることにより,債権者間の平等及び破産財団の充実を図ろうとするものである。」「債務者の支払停止等を停止条件とする債権譲渡契約は,その契約締結行為自体は危機時期前に行われるものであるが,契約当事者は,その契約に基づく債権譲渡の効力の発生を債務者の支払停止等の危機時期の到来にかからしめ,これを停止条件とすることにより,危機時期に至るまで債務者の責任財産に属していた債権を債務者の危機時期が到来するや直ちに当該債権者に帰属させることによって,これを責任財産から逸出させることをあらかじめ意図し,これを目的として,当該契約を締結しているものである。」「上記契約の内容,その目的等にかんがみると,上記契約は,破産法72条2号の規定の趣旨に反し,その実効性を失わせるものであって,その契約内容を実質的にみれば,上記契約に係る債権譲渡は,債務者に支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきものであり,上記規定に基づく否認権行使の対象となると解するのが相当である。」最判平成16年7月16日民集58巻5号1744頁
(※2)採点実感(リンクはこちら)では,「登記・登録が必要な物権変動については,破産手続開始前に登記・登録を具備していなければ,破産手続との関係では,破産管財人に対してはその効力を主張することができないこと(破産管財人の第三者性)を指摘する必要がある。」ということで,破産管財人の第三者性を論じることを要求しています。
 一方で,山本和彦ほか『倒産法概説第2版補訂版』372頁では,「対抗要件の要否については,破産債権者が破産手続開始によって強制執行ができなくなり,対抗関係に持ち込む機会を失うことに配慮すれば,破産管財人の法的地位の議論にかかわらず,当然に対抗関係が生じると解される」と指摘されています。この見解によれば,本問でも破産管財人の第三者性について論じる必要はないような気もするのですが,もう全く分かりません
(※3)最判平成22年6月4日民集64巻4号1107頁で「再生手続が開始した場合において再生債権者の財産について特定の担保権を有する者の別除権の行使が認められるためには,個別の権利行使が禁止される一般債権者と再生手続によらないで別除権を行使することができる債権者との衡平を図るなどの趣旨から,原則として再生手続開始の時点で当該特定の担保権につき登記,登録等を具備している必要がある」と指摘されていることとの関係も,全然分かっていません


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