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2018-12-11(Tue)

【事例研究行政法】第1部問題3

さてさて,期末試験が目前です。

最近期末試験の話しかしていない気がしますが,

他にする話もないですしね。

カラオケ行きたいですね。

≪問題≫次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

 Aは,婚姻届出をしていない事実上の夫婦であるB(母)およびC(父)の子として,2008年9月29日に出生した。Cは,同年10月11日,甲市長Dに対し,戸籍法49条に基づき,Aに係る出生届(以下「本件出生届」という)を提出したが,非嫡出子という用語を差別用語と考えていたことから,届書中,嫡出子または非嫡出子の別を記載する欄(戸籍49条2項1号参照)を空欄のままとした。このため,Dは,Cに対し,この不備の補正を求めたが,Cはこれを拒否した。Dは,届出の記載が上記のままでも,届書のその余の記載事項から出生証明書の本人と届書の本人との同一性が確認されれば,その認定事項(例えば,父母との続柄を「嫡出でない子・女」と認める等)を記載した付せんを届書に貼付するという内部処理(いわゆる「付せん処理」)をして受理する方法を提案したものの,Cはこの提案も拒絶した。そこで,Dは,同日,本件出生届を受理しないこととした(以下「本件不受理処分」という)。
 Cは,本件不受理処分を不服として,Dに本件出生届の受理を命ずることを求める家事審判の申立てをしたが,E家庭裁判所は,本件不受理処分に違法はないとして,同申立てを却下する決定をした。Cはこれを不服として抗告したが,東京高等裁判所は,これを棄却する決定をし,これに対する特別抗告も最高裁判所の決定により棄却された。BおよびCは,その後も,現在に至るまで,Aに係る適法な出生届を提出していない。
 他方,Cは,Dに対し,Aにつき住民票の記載を求める申出(住民台帳14条2項)をしたが,2008年11月19日,Dは,本件出生届が受理されていないことを理由に,上記記載をしない旨の応答をした。
 住民票の記載は,転入の場合には,住民基本台帳法上の届出(同法22条)に基づいて行うこととされている(同法施行令11条)のに対し,出生の場合には,戸籍法上の届出(戸籍49条)が受理されたときに職権で行うこととされている(住民台帳法施行令12条2項1号)。本件では,戸籍法上の出生届は受理されていないが,例外的に住民票の記載をすべき場合に当たるとBおよびCは考えている。
 BおよびCは,その後も,Aの住民票の記載を行うように,甲市の担当者と交渉したが,進展が見られなかったため,2009年4月6日,弁護士Fに相談した。
 なお,住民票は,行政実務上,選挙人名簿への登録のほか,就学,転出証明,国民健康保険,年金,自動車運転免許証の取得等に係る事務処理の基礎とされている。これらのうち,選挙人名簿への登録以外の事務に関しては,Dは,住民基本台帳に記載されていない住民に対し,手続的に煩さな点はあるが,多くの場合,それに記録されている住民に対するのと同様の行政上のサービスを提供している。

〔設問〕
 弁護士Fの立場に立って,Aを原告とする行政訴訟によって,Aに係る住民票の記載を求めるには,どのような訴訟を提起し,どのような主張をすべきか,述べなさい。

【資料】省略

こう,どっちかの立場から立論してくださいみたいな出題の仕方,嫌いですね。

こっちの好きなように書かせろよって思います。

公法系の先生ってマジで正確の悪い奴らしかいないんじゃないかと思っています。

≪答案≫
1 まず,Aが提起すべき訴訟について検討すると,CがAにつき住民票の記載を求める申出(住基法14条2項。以下「本件申出」という。)をしたのに対し,Dは上記記載をしない旨の応答(以下「本件応答」という。)をしているので,本件応答を処分とみて取消訴訟(行訴法3条2項)を提起することが考えられる。本件応答が取消訴訟の対象となる「処分」にあたるか検討する前提として,本件申出の法的性格について判断する。
 出生があった場合,戸籍法上の届出(同法49条)に基づいて戸籍の記載が行われるが,住民票の記載は,戸籍法上の届出が受理されたときに職権で行うこととされている(住基法施行令12条2項1号)。このような仕組みからすると,戸籍法上の届出の記載事項に不備があるために届出が受理されない場合,戸籍と連動して,住民票の記載もされないこととなる。この場合,戸籍法上の届出が受理されず,戸籍の記載がされなくても,出生があったのは事実であるから,「住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度」(住基法1条)の趣旨からは,住民票の記載をすべきであるとも考えられる。そして,市町村長は,住民票に記載漏れ等があることを知ったときは,職権で,住民票の記載をしなければならないから(住基法14条2項),戸籍法上の届出が受理されていなくても,例外的に,住民票の記載をすべきであるようにも思われる。
 しかし,転入の場合には,住基法上の届出(同法22条)に基づいて住民票の記載を行うこととされている(同法施行令11条)のに対し,出生の場合には,上述のように考えたとしても,職権で住民票の記載をしなければならないとされているにとどまり,届出や申請に基づいて住民票の記載を行う仕組みは規定されていない。そして,住基法14条2項に基づく申出は「申し出る」という文言が用いられており,申出に対する行政庁の審査・応答義務が規定されていない。そうすると,住基法は,住民票の記載を専ら行政庁の判断にかからしめているから,住基法14条2項に基づく申出は,職権の発動を促すものにすぎず,「申請」に当たらない。
 本件でも,Cの申出は,Dの職権による住民票の記載を促すものにすぎず,「申請」にあたらない。そうすると,本件応答は,職権の発動をしない旨を事実上回答したものにすぎないから,取消訴訟の対象となる「処分」にあたらない。したがって,本件応答に対する取消訴訟を提起することはできない。
2⑴ そこで,Aは,住民票の記載を求める義務付け訴訟(行訴法3条6項1号,37条の2)を提起することが考えられる。
 ⑵ 住民票に特定の者の氏名を記載する行為は,市町村長が職権により一方的にその者が当該市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを決定づけるものであるから(住基法8条,住基施行令12条2項1号),公権力の主体たる公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定するものであるから,「処分」にあたる。
 「一定の」とは,原告が義務付けを求める処分,裁決について,裁判所における裁判が可能な程度に特定されていることが必要である。Aは,住基法及び住基施行令に定める,市町村長が職権で住民票を記載すべき場合のうち,住基施行令12条2項1号にあたるものとして処分の義務付けを求めているから,裁判所における裁判が可能な程度に特定されているといえ,「一定の」処分である。(※1)
 前記のように,出生の場合における住民票の記載について申請する手続は法令上認められていないから,「次号に掲げる場合」にあたらない。
 そして,「法律上の利益を有する者」(行訴法37条の2第3項)とは,当該処分がされないことにより自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害されまたは必然的に侵害されるおそれのある者をいう。Aは,住民票の記載がされないことにより,行政上のサービスを受けるにあたり煩さな手続を経ることが要求され,迅速な行政サービスを受ける権利を必然的に侵害されるおそれがある地位にあるから,「法律上の利益を有する者」にあたる。(※2)
 それでは,「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴法37条の2第1項)は認められるか。住民基本台帳に記載のない住民は,選挙人名簿への登録以外の各種行政サービスを,手続に煩さな点がありながら受けることができる。また,Aは乳児であって,選挙権を得るまで10年以上あるから,Aに選挙人名簿への登録がされないことについて現在の不利益はない。そうすると,「重大な損害の生ずるおそれ」はないとも思える。しかし,居住関係の証明を必要とし,住民票の提出を求められる手続は,甲市による行政サービス以外にも存在し,日常の社会生活の様々な場面における不利益の累積は,市民生活上看過することができない負担である。このような負担の程度からすると,Aの被る損害の回復は性質上困難である。したがって,住民票に記載されないこと自体をもって,「重大な損害の生ずるおそれ」があるということができる。
 また,Aが上記のような不利益を回避するための手段を定めた法令は特段存しないから,「損害を避けるため他に適当な方法がないとき」(行訴法37条の2第1項)にあたる。
 以上から,Aの提起する義務付け訴訟は,訴訟要件を満たす。
 ⑶ そして,本件では,戸籍法上の届出が受理されていなくても,Aが出生したことは事実であるから,「住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度」(住基法1条)の趣旨,この趣旨を貫徹するために市町村長に定期的な調査の責務と強力な調査権限が与えられていること(住基法34条,49条),そして,住民票に記載されないことによって前記のような重大な不利益がもたらされることからすると,「行政庁」DがAを住民票に記載する「処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ」る(行訴法37条の2第5項)。
 したがって,本案勝訴要件も満たす。
 ⑷ よって,Aとしては,住民票の記載を求める義務付け訴訟を提起した上で,上記のような主張を行う。
以 上

(※1)「一定の」についてのあてはめの仕方は分からない。櫻井=橋本『行政法[第4版]』349頁では,「たとえば,根拠法令上,同一の処分要件であることを前提に複数の処分の選択肢があると解釈されるような場合(一定の効果裁量が認められる場合),その選択肢の範囲内で何らかの処分の義務付けを求める義務付け訴訟は,特定性を満たし,適法と考えるべきであろう。」とされているので,義務付けの訴えに係る処分を根拠法令を基に指定していることがいえれば,特定性は満たされるのではないかと思われる。
(※2)予備校の参考答案などを見ると,「法律上の利益を有する者」の定義を出していないものがあるが,第三者でなく当事者の原告適格の場面でも定義は出した方がいいのではないかと思う。たぶん,その方があてはめが楽になる気がする。


【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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