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2018-12-09(Sun)

【事例研究行政法】第1部問題2

昨日ブログを久しぶりに更新したかと思いきや,

2日連続の投稿となりました。

この不定期な更新は,完全に気分です。

「てきとーに更新」と呼ばれる所以です。

このブログタイトルをつけた9年前の私は,

先見の明がありました。

そもそも,このブログを読んでいる人がごく限られている時点で,

定期的な更新は求められていません。

日記です。

しかし,日記だとしたら,答案を書いてそれを掲載しているのは,

正直言って頭沸いてんじゃないかと思います。



今日は事例研究行政法の問題2です。

≪問題≫次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。

日時 2016年3月10日
場所 Cの事務所

A(ホテル経営者):それでは,事情をお話しします。私は甲県乙市でホテルを建てようと考え,準備を始めておりました。
B(Aの申請手続等を代行している行政書士):ここからは,私が申し上げます。Aさんが建築を予定していたホテルは,その設備が風営法2条6項4号に規定された構造や設備を有していないので,風営法の規制を受けないホテルです。したがって,風営法やその委任を受けた甲県条例などの規制を受けません。また,ホテルの建築予定地は,他の法律の規制を受けないことを確認しました。
A:私どもとしては,風営法の規制を受けないように工夫して,ホテルの設計図を作成し,建築の準備を始めました。
B:ところが,乙市には,「乙市遊技場等及びラブホテル等の建築物の規制に関する条例」という条例が制定されているのです。
C(弁護士):乙市ラブホテル建築等規制条例ですね。
B:そうです。そこで,乙市に設計図や予定されている建築物の外観の資料等をもって担当者に会いに行きました。すると,乙市の担当者から,Aさんが建築を予定していたホテルは,風営法の規制は受けないが,乙市条例の2条1項2号におけるラブホテルに該当するから,条例上の手続をとるように言われました。そこで,私は,Aさんと相談して条例上必要な手続をとることにしました。条例3条2項によるとラブホテルの建築には乙市市長の同意が必要ということですので,私が同意申請書を作成し乙市に提出したところ,昨年12月21日,乙市市長は条例4条1号に違反するとして同意をしないとの通知をしてきたのです。
C:それでどのような対応をされましたか。
B:こちらとしては同意が得られないのは残念ですが,乙市市長の同意を得ないまま,今年の1月12日に甲県の建築主事に建築確認の申請書を提出しました。建築確認済証が出次第,建築工事にかかろうと考えているのですが,甲県は,乙市と協議して,同意をとるようにという指導を続けるだけで,未だに建築確認を出してくれません。建基法6条4項の期間を既に経過しています。これまでの私の経験からしても,これくらいの建築物ですと,遅くても1カ月以内に建築確認が出るのですが。
A:建築確認申請はしたのですが,条例には違反した状態が続いているので,それが気になっています。建築か始まってからも同意を経ずに建築をすれば,乙市は中止命令を出すかもしれませんし。中止命令を無視して建築を続ければ,刑事罰を受ける可能性もあるとのことで,不安に感じています。
B:過去,同様の事例で,乙市はほぼ確実に建築中止命令を出しているそうです。そのことは,乙市の担当者から聞いています。
C:ところで,甲県はなぜ留保しているのでしょうか。
A:乙市では私たちのラブホテル出店に反対運動が起きているので,甲県は,指導を続け,その間に乙市との話がついて,反対運動が収束するのを望んでいるのだと思います。しかし,私は違法な点がない出店計画を変更するつもりはありません。る当初から,甲県に対しては,出店計画を一切変更するつもりはないし,乙市条例が「建築基準関係規定」に該当しない以上,迅速に建築確認を行って確認済証を交付するようにはっきりと言っております。
C:乙市条例6条の中止命令は出ていますか。
B:今のところは,出ていません。
A:既に着工が遅れ,借入金の利息も増えています。また,乙市も甲県も全く態度を変えないので,裁判を起こすことを考えております。
C:わかりました。それでは,これまでの点を踏まえて,訴訟の可否を検討してみましょう。

〔設問〕
1.Aは,Cとの相談の結果,乙市市長の不同意に対して取消訴訟で争うこととした。乙市市長の不同意は取消訴訟の対象としての処分性が認められるか検討しなさい。
2.Aは,甲県に対して抗告訴訟で争うとすれば,どのような訴訟で争うのが適切か検討しなさい。また,甲県の対応の行政法上の評価も検討しなさい。なお,仮の救済については検討する必要はない。

なお,本問の解答にあたっては,以下のことを前提として考えなさい。
①乙市条例は風営法や旅館業法などの国法と抵触していないものとする。
②乙市と甲県行政手続条例は本問の解答に必要な限りでは行手法と同一の内容であるものとする。

【資料】省略

※事例研究行政法[第2版]第1部問題4と共通


僕には,最判昭和60年7月16日の位置付けが分かりませんし,

いろいろな文献を読んでみましたが,

やっぱりよく分かりませんし,

知人に聞いたりもしましたが,

果たして分かりませんでした。

きっと一生理解し得ないんだろうと思います。

残念だなあと思いました。

≪答案≫
第1 設問1
 1 乙市市長の不同意(以下「本件不同意」という。)は,取消訴訟の対象としての処分性が認められるか。
 2⑴ 「処分」(行訴法3条2項)とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
  ⑵ 本件不同意は,乙市市長が,Aが建築しようとしているホテル(以下「本件ホテル」という。)が乙市遊技場等及びラブホテル等の建築等の規制に関する条例(以下「本件条例」という。)4条1号に該当するものと判断し,これを理由として不同意とするものであり(本件条例3条3項),乙市市長の一方的に決定したものであるから,公権力の主体たる公共団体が行う行為である。
  ⑶ 本件条例は,市長が不同意を申請者に通知し(同3条3項),通知された申請者が建築を強行すると中止命令等が発され(同6条),中止命令等に違反すると刑事罰が科せられる(同11条)ことになっている。そうすると,乙市市長がする中止命令によって,同意を得ていない建築主は建築をやめなければならない法的義務を負うことになるのであるから,その前段階にある不同意は将来の中止命令の前に行われる中間的な性格の行為であるとも考えられる。このように考えた場合には,市長の不同意は,単に事前に建築計画の見直しを求めるものにすぎないのであるから,法的効果はみられない行政指導の一種であるということになる。
 しかし,Aが本件不同意にもかかわらず建築を続けた場合には,乙市の条例運用の実態からしてもAは将来中止命令を受ける地位に立たされる状態にある。不同意によってこのような地位に立たされること自体が法的効果であるといえ,その意味において本件不同意には法的効果があるということができる。また,中止命令を受けて訴訟を起こすためだけに建築工事にかかるのは,不自然であり,無駄な時間と費用がかかる対応であって,国民の権利救済の観点から合理的な解決方法とはいえない。そこで,本件不同意によって将来中止命令を受ける地位に立たされて,紛争の成熟性が認められた現段階において取消訴訟を提起することを認めるべきである。したがって,本件不同意は,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものである。
 3 以上から,本件不同意には,取消訴訟の対象としての処分性が認められる。
第2 設問2
 1⑴ まず,甲県の対応の行政法上の評価について検討すると,甲県は建築確認申請を行ったAに対して乙市の同意をとるよう行政指導を続け,これに対しAが迅速に建築確認を行うよう申し向けているにもかかわらず,2か月にわたって申請を保留している。そこで,甲県が上記保留をし続けていることが違法とならないか。
  ⑵ 建基法6条4項は,建築主事が申請書を受理した場合には,その日から35日以内に建築確認をすることを定めている。しかし,普通地方公共団体は住民の福祉の増進に努めるものとされていることから(地方自治法2条14項)(※1),建築確認申請に係る建築物が良好な居住環境を損なうことになるものと考えて,当該地域の生活環境の維持,向上を図るために,建築計画の確認処分を留保し,行政指導を行っても,直ちに違法となるものではない。
 もっとも,建築主において建築主事に対し,確認処分を留保したままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し,当該確認申請に対し直ちに応答すべきこと求めているものと認められるときには,行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情がない限り,当該行政指導を理由に建築主に対し確認処分の留保の措置を受任せしめることは許されない。したがって,それ以後の行政指導を理由とする確認処分の留保は違法である。(※2)
  ⑶ これを本件についてみると,甲県は,Aに対し,乙市の同意をとるよう申し向け行政指導を続け,建築確認を留保している。これに対して,Aは,乙市条例が「建築基準関係規定」に該当しない以上,迅速に建築確認を行って確認済証を交付するようはっきりと言っていることから,確認処分を留保したままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し,当該確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めているということができる。そして,Aが上記行政指導に不協力であることに社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情はない。したがって,Aが,上記意思を表明した時点以降の確認処分の留保は違法である。
 2 そして,Aとしては,甲県の建築主事から本件ホテルの建築計画に係る建築確認済証の交付を受けることを求めているから,甲県の建築主事が建築確認をすることの義務付け訴訟(行訴法3条6項2号,37条の3)を提起することが考えられる。
 建築確認は「処分」(行訴法37条の3第1項1号)であるところ,Aは,甲県に対して建築確認申請書をもって建築確認申請をしているが(建築基準法6条1項),これに対して甲県は何らの処分をしていないから「当該法令に基づく申請……に対し相当の期間内に何らの処分……がされない」場合にあたり(行訴法37条の3第1項1号),Aは「法令に基づく申請……をした者」である(同条2項)。
 そして,Aが上記訴訟を提起するためには,建築確認を行わないことについて不作為の違法確認訴訟(行訴法3条5項,37条)を提起する必要があるが,上記のようにAは「処分……についての申請をした者」(行訴法37条)である。「相当の期間内」(行訴法3条5項)か否かは,通常当該申請を処理するのに必要とされる期間を経過しているか,また,それを経過することについてそれを正当とするような事情があるかによって判断されるところ,本件では,建基法6条4項の規定に照らしても通常処理するのに必要とされる期間は経過しており,行政指導を行っていること以外に処分が行わないことに理由がないことから,経過することについてそれを正当とする事情はない。したがって,上記不作為の違法確認訴訟は適法に提起することができる(行訴法37条の3第3項1号)。
 また,Aの申請した本件ホテルの建築計画は,法令上問題がないものであるから,「行政庁がその処分……をすべきであることがその処分……の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ」る(行訴法37条の3第5項)。
 以上から,上記義務付け訴訟は,上記不作為の違法確認訴訟と併合提起することで,適法に提起することができる(行訴法37条の3第4項)。

以 上


(※1)最判昭和60年7月16日では,普通地方公共団体が建築確認を留保して行政指導を行いうる根拠について,「普通地方公共団体は、地方公共の秩序を維持し、住民の安全、健康及び福祉を保持すること並びに公害の防止その他の環境の整備保全に関する事項を処理することをその責務のひとつとしているのであり(地方自治法二条三項一号、七号)」としているが,おそらくこの判決後に地方自治法が改正されたのか,判決に掲げられている地方自治法上の条文が消えている。そこで,これに相当するような条文を挙げるとしたら同法2条14項になろうか。
(※2)事例研究行政法第3版34頁は「行手法33条と同一内容の甲県行政手続条例は,『申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない』と規定しているはずであり,また,判例も同様に考えている」ことから「本事例のAは,捨て背に行政指導には従わない意思を明言している」ため「行政指導を継続し,留保を続けることは違法ではないかと考えられる」としている。しかし,行手法33条は「申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては」という前文があるのであって,甲県がAに対して乙市の同意をとってくるよう指導していることが「申請の取下げ又は内容の変更」に当たらない限りは,この条文の適用はできないのではないか,という疑問に直面している。この場合には,結局,最判昭和60年7月16日をそのまま引用することになるのか。ただし,この点について,探究ジュリスト3号76頁参照。

※答案に誤りやご指摘等があれば積極的にコメントをください!!

【事例研究行政法の他の問題・答案は下記のリンクから】
第1部 
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8
第2部
問題1問題2問題3問題4問題5問題6問題7問題8問題9問題10
問題11問題12問題13問題14問題15問題16問題17
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