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2018-06-09(Sat)

【事例研究刑事法Ⅱ】第4部第1問-訴因変更の要否-

論文の勉強が進まず焦っています。

もうあと1ヵ月しかありません。

こんなんで果たして受かるのでしょうか。

今日は久しぶりに刑訴です。

≪問題≫
 甲は,乙およびVと共謀の上,平成26年1月10日午前1時ころ,東京都新宿区〇町〇丁目〇番地の家電量販店に強盗目的で押し入り,乙およびVがそれぞれ店の入口と店内を見張っている間に,甲が店員Aに隠し持っていたナイフを突きつけ,抵抗した店員Aの腹部をナイフで刺して重傷を負わせた上,売上金約400万円を強奪した。3人はその日のうちに,強盗した金を山分けすることとし,甲が約200万円,乙およびVがそれぞれ約100万円を取り分として配分した。
 甲・乙およびVの3名は,同年2月1日午後9時ころ,東京都港区△町△丁目△番地の飲食店「セミナー」において飲食をしたが,先の強盗行為によって得た金の配分額をめぐってVが不満を言ったため,口論となった。そして,しばらく言い争っているうちに,甲および乙は,Vの態度があまりに横柄であることに憤激し,またそれまでに飲んだ酒の勢いもあって,この際,Vを殺すのもやむをえないとその場でとっさに相互了解した上,乙がビールビンを逆さに持って,これをたたき割り,それでVの頸部を突いてVをその場で殺害し,飲食店の店員に気づかれないようにVの遺体にコートを被せて店外に運び出した上,車で郊外の山中まで運搬して,その遺体を遺棄するに至った。
 捜査の結果判明した以上の事実のうち,被告人甲に対する殺人被告事件の審理経過は以下のようであった。
 起訴状記載の公訴事実は,「被告人甲は,乙と共謀の上,平成26年2月1日午後9時ころ,東京都港区△町△丁目△番地の飲食店『セミナー』の個室4号室において,Vに対し,殺意をもって,乙において割ったビールビンでVの頸部を突き,よって,そのころ,同所において同人を頸動脈等損傷に基づく失血により死亡させて殺害した」というものであった。検察官は,冒頭陳述において,Vを殺害するに至った経緯につき,先の強盗行為によって得た金の分配をめぐるVの不満の態度があまりに横柄であったことから甲および乙が憤激し,とっさに相互了解してVを殺害するに至ったものである,と陳述した。
 ところが,証拠調べにおいて,証人として出廷した乙は,「セミナー」個室4号室においてVの隣りの席に座っていたのは甲であり,Vをビールビンで突いたのも甲であって自分ではない,と供述するに至った。乙の供述に対しては,被告人甲およびその弁護人から反対尋問もなされたが,ビールビンでVを突いたのは乙ではなく甲である可能性が高くなった。なお,ビールビンからは甲・乙両名の指紋が検出されたとの鑑定書の証拠調べも行われていた。また,被告人甲は,当夜はビール数本,焼酎の水割り数杯を飲み,その酔いのため乙とV殺害についてとっさに相互了解をすることなどできなかったと主張していた。当夜の飲食店「セミナー」の飲食代金請求書の控えも証拠として提出され,証拠調べも行われていた。
 これに対して,証人乙は次のように供述した。すなわち,Vは金の配分額に対する不満を言っているのはV自身だけでなく,Vの内妻Bも不満を言っていると述べたことから,Vが強盗行為の内容をその内妻Bに漏らしていることがわかった。これを知った甲は,Vが内妻とはいえ事件の第三者であるBに犯行を漏らしたことについて,犯行がさらに外部に漏れるのではないかと危機感を抱き,この上はVの口を封じる必要があり,それが内妻への見せしめにもなるからこの場でVを殺害するしかないと自分に耳打ちしたので,自分はこれに同意した,というものであった。

〔設問〕裁判所は,審理の結果,証人乙の供述により新たに判明した事実が真実であるとの心証を抱くに至った。この場合,裁判所が新たに判明した事実を認定するについては,どのような点が問題となるか。

訴  因  変  更

平成13年判例の規範はまぁいいとして,

それにどう当てはめていったらいいのかが,

毎度毎度悩みどころです。

≪答案≫
1.甲に対する殺人被告事件における起訴状記載の公訴事実につき,実行行為者は「乙」とされているところ,裁判所は乙の証人尋問の結果,実行行為者を「甲」と認定しようとしている。また,冒頭陳述において検察官は,V殺害の動機を「甲および乙が憤激し」たことを述べているのに対して,裁判所は「Vの口を封じる必要があ」ったと認定しようとしている。このように,裁判所が公訴事実または冒頭陳述と異なる認定をしようとする際に,訴因変更手続は必要であるか。
2.当事者主義を採用する刑訴法の下では(同法256条6項,298条1項,312条1項),裁判所の審判対象は,検察官の主張する具体的犯罪事実たる訴因であるところ,その機能は,裁判所に対し審判対象を画定し,その限りにおいて,被告人に防御範囲を明示する点にある。したがって,審判対象の画定に必要な必要不可欠な事実,すなわち,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するか否かを判定するに足る具体的事実,または,同一構成要件内の他の犯罪事実と区別するに足る事実に変更がある場合には,訴因変更手続が必要である。
 また,訴因事実と異なる認定事実が,一般的に被告人の防御にとって重要な事項であるときは,争点明確化による不意打ち防止の要請に基づく措置がとられるべきである。そこで,検察官が訴因においてこれを明示した場合には,原則として,訴因変更手続を要する。もっとも,被告人の防御の具体的な状況等の審理の状況に照らし,被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる事実を認定することができる。
3⑴ これを本件についてみると,甲は,乙との,殺人罪の共謀共同正犯として起訴されている。共同正犯の場合には,実行行為者が特定されずとも,共謀の事実をもって処罰が可能であるから,その実行行為者が誰であるか明示されていないからといって,それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべき事実の特定に欠けるものとはいえない。本件公訴事実と認定事実とを比べても,犯行の態様と結果に実質的な差異がない上,共謀をした共犯者の範囲にも変わりはなく,そのうちの誰が実行行為者であるかという点が異なるのみである。したがって,被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するか否かを判定するに足る具体的事実に変更はない。また,他の犯罪事実の区別するに足る事実にも変更はない。したがって,審判対象確定の見地からは訴因変更は必要とはされない。
 しかし,実行行為者が誰であるかは,一般的に被告人の防御にとって重要な事項であるから,これを「乙」と明示した本件では,原則として訴因変更が必要となる。
 もっとも,本件の審理経過をみると,公訴事実は「乙において割ったビールビンでVの頸部を突き」とされている一方で,乙の証人尋問においては「Vをビールビンで突いたのも甲であって自分ではない」と,両立しないことが述べられている。このような状況においては,当事者双方において,両事実を想定した攻撃防御活動を行うものと考えられる。そうすると,具体的な審理経過から,実行行為者が争点になることが明らかになっており,甲において十分に争う機会が確保されていたものと考えられるから,実行行為者を「甲」であると認定しても,甲にとって不意打ちとならない。
 よって,裁判所は,訴因変更手続を経ずして,実行行為者を「甲」であると認定することができる。
 ⑵ 犯行の動機についても,犯罪構成要件に該当するか否かを判定するに足る事実にも,他の犯罪事実と区別するに足る事実にはあたらない。したがって,審判対象確定の見地から,訴因変更が必要となるものではない。
 また,犯行の動機について,訴因に明示されていない以上,争点明確化による不意打ち防止の要請も働かないから,訴因変更は必要とはならない。
 よって,裁判所は,訴因変更手続を経ずして,犯行の動機を「Vの口を封じる必要があっ」たと認定することができる。なお,裁判所が当該事実を認定するためには,争点顕在化の措置がとられるべきである。
以 上



疑問点
Q.訴因に明示されている場合とされていない場合とで区別した記述がされているが,訴因に明示されていない場合であっても,2段階目までの論証には乗るのか(審判対象画定についてのあてはめ→争点顕在化の観点からの不意打ち防止の要請はあたらない,という書き方になるのか)?それとも,最初から独自の論証が用意されるべきなのか?
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