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2018-05-28(Mon)

【事例研究行政法】第1部問題5

ひたすら事例研究……。

期末はもう明日に迫ってきているのですが,

果たして間に合うのでしょうか……。

≪問題≫
次の文章を読んで,資料を参照しながら,以下の設問に答えなさい。
Ⅰ 砂利採取法にいう砂利採取業者であるAは,甲県内の砂利採取場で認可の日から1年間砂利採取を行うことを内容とする採取計画を定め,2016年4月,砂利採取法16条に基づく認可の権限を有する甲県知事に認可を申請した(以下「本件申請」という)。本件申請にかかる砂利採取場(以下「本件砂利採取場」という)の周辺には,自家用井戸を設置して地下水を生活用水として使用している住宅がある。本件申請に係る採取計画では,本件砂利採取場においては土地の掘削に係る跡地の埋戻しを行い,埋戻しに使用する土砂としては県外のマンション建設現場から出た残土を使用するものとされていた。本件申請があったことを知った周辺住民らは,埋戻しに建設残土を使用することは地下水を汚染するおそれがあると主張して,甲県に対し,本件砂利採取場における砂利採取には反対である旨の陳情をした。そこで甲県の担当者は,Aに対し,埋戻しには建設残土を使用しないことを求める行政指導を行った。Aは,埋戻しに使用する予定の建設残土のサンプル分析を専門業者Bに依頼し,環境省の定める土壌汚染に係る環境基準所定の有害物質に関しては,いずれも基準値を下回っているとの調査結果を得た。Aは,この調査結果に係る書類を甲県に提出し,本件申請を速やかに認可するよう求めた。
 ところが甲県知事は,2016年8月22日,本件申請を認可しない旨の処分(以下「本件不認可処分」という)をした。翌日Aが受け取った本件不認可処分に係る通知書では,処分の理由として,「砂利採取場周辺の井戸水の利用に悪影響を与えないとはいえず,他人に危害を及ぼし,公共の福祉に反すると認めるので,砂利採取法19条の不認可自由に該当する」と記載されていた。Aが甲県に苦情を申し出たところ,甲県の担当者は,Bによる調査結果に疑問があるわけではないが,調査されたもの以外の建設残土が混入することなどにより,地下水が汚染される可能性が全くないとはいえず,地域住民の不安が解消されていないので,本件不認可処分がなされたという説明をした。
 甲県のウェブサイトでは,砂利採取計画の認可に係る審査基準が講評されており,その中には「掘削箇所への地下水の浸透,地下水位の低下その他の地下水の変化により,砂利採取場周辺の井戸水,農業用水その他の水の利用に悪影響を与えないように行うものであること」という定めがある。なおAは,これまで砂利採取法に違反する行為を行ったことはない。

〔設問1〕
1.本件不認可処分に不服があるAは,訴訟も辞さないとして,2016年9月1日に弁護士に相談した。あなたが弁護士の立場であるとして,どのような争い方がありうると答えるか(仮の救済については触れなくてよい)。
2.本件不認可処分が違法であるとする主張としては,どのようなものが考えられるか。

Ⅱ 乙県知事から砂利採取業の登録を受けているCは,乙県内の砂利採取場で2016年7月25日から翌年7月24日までの間砂利採取を行うことを内容とする採取計画を定め,砂利採取法16条に基づく認可の権限を有する乙県知事に認可を申請した。乙県知事はCの申請を認可する旨の処分をした(以下これを「本件認可」という)。乙県における砂利採取計画の認可に係る審査基準では,隣接地等の崩壊を防止するため,最低2mの保安距離を隔てたうえで掘削を行うものでなければならないという定めがあったが,本件認可に係る採取計画では,隣接地から最低4mの保安距離を置くものとされていた。しかしながら2016年9月上旬,隣接地との距離が2m以上4m未満の場所(以下これを「本件場所」という)でCが掘削を行った事実が発覚した。そこで乙県の担当者は,同月15日,Cに対して,本件場所における掘削を中止し,月末までに本件場所を原状回復することを指導するとともに,改善がみられない場合には本件認可の取消しもありうること警告した。Cは本件場所における掘削は中止したものの,原状回復は月末までには行われなかった。同年10月3日,本件場所の原状回復が行われていないことが確認されたため,乙県知事は,直ちに本件認可を取り消す処分をした(以下これを「本件取消処分」という)。翌日Cが受け取った本件取消処分に係る通知書では,処分の理由として,「貴殿は,認可に係る採取計画に違反して砂利採取を行った。砂利採取法21条違反が認められるので,同法26条の規定に従い,認可を取り消した」と記載されていた。
 乙県では,同法26条に基づく認可の取消し等の処分については,処分基準は作成されていない。Cは本件以前において砂利採取法に違反する行為を行ったことはなく,目下のところ本件場所およびその付近における災害は発生していない。

〔設問2〕
1.本件取消処分に不服があるCは,2016年中に取消訴訟を提起した。その後,裁判所の判決が出る前に本件認可に係る掘削期間が経過してしまった場合には,訴えの客観的利益は消滅するか。
2.本件取消処分が違法であるとする主張としては,どのようなものが考えられるか。

【資料】(略)


≪答案≫
第1.設問1
 1.小問1
  ⑴ 本件不許可処分は,砂利採取法(以下「法」という。)16条の規定による処分であるところ,これに不服がある者は,公害等調整委員会に対して裁定の申請をすることができる(法40条)。この場合,裁定を申請することができる事項に関する訴は,裁定に対してのみ提起することができるとされているから(土地利用調整手続法50条),本件不許可処分に対する取消訴訟を提起することはできない。したがって,Aの弁護士としては,まず,公害等調整委員会に対する裁定の申請を行う。
 なお,裁定の申請期間について,Aが本件不認可処分があったことを知った日は2016年8月23日であるところ,Aが弁護士に相談した同年9月1日では,未だ「3月を経過」していないから(土地利用調整手続法25条1項),適法である。
  ⑵ 上記裁定について,棄却裁定がされた場合には,Aとしては認容裁定を望んでいるものと考えられるため,Aの弁護士としては棄却裁定の取消訴訟を提起した上で,認容裁定の義務付け訴訟を併合提起する(行訴法37条の3第7項)。
 2.小問2
  ⑴ 実体的違法
   ア.甲県知事が,本件不認可処分の理由として,他人に危害を及ぼすおそれを挙げている点に違法はないか。
 採取計画の認可にあたっては,法19条の事由(以下「不認可事由」という。)が存する場合には不認可処分をしなければならないところ,不認可事由には「他人に危害を及ぼし」や「公共の福祉に反する」といった抽象的文言が用いられている。そうすると,同条の趣旨としては,不認可事由に該当するか否かについては,専門的・技術的判断が必要であるから,甲県知事に要件裁量を認めているものと考えられる。したがって,甲県知事が不認可事由の該当性を判断するにあたっては,要件裁量が認められる。もっとも,裁量権に逸脱・濫用がある場合には,それによってされた処分は違法である(行訴法30条)。
 これを本件についてみると,甲県では,採取計画の認可にあたっての審査基準(以下「本件審査基準」という。)が作成されているところ,その中では「砂利採取場周辺の井戸水……の利用に悪影響を与えないように行うものであること」が規定されている。砂利採取の結果,周辺の地下水の利用に悪影響が生ずることは,通常あり得る事態であって,それを原因として地下水を飲用している者の健康が害されるなど,その利益に影響を及ぼすことも想定されるところである。したがって,本件審査基準の定めるところは合理性を有しており,甲県知事が採取計画の認可を判断するにあたって地下水への影響を考慮することは許される。しかし,Aは,埋戻しに使用する予定の建設残土については,環境基準に違反しないとの調査結果を得ているうえ,Aがこれまで法に違反する行為を行ったことは認められていない。そうすると,Aが砂利の採取にあたって不正を行うおそれがあることを認定することはできず,調査された建設残土以外のものを使用する危険性があるとも認められない。さらに,有害物質を含む建設残土が埋戻しに使用されることを防止するためには,認可に条件を附すことにより対処することができる(法31条)。以上からすると,本件不認可処分にあたっては,甲県知事は,Aが他人に危害を及ぼすおそれがないのにもかかわらず,これがあるものと誤認している点で,裁量権の逸脱・濫用がある
 したがって,本件不認可処分は,違法である。
   イ.上記のように,他人に危害を及ぼすおそれがないとしても,甲県知事は,公共の福祉に反する点のみをもって本件不認可処分を維持する可能性がある。
 しかし,法19条の文言に照らすと,「公共の福祉に反する」ことは,それ単独として不認可事由を構成するものではなく,これと併せて「他人に危害を及ぼし,公共の用に供する施設を損傷し,又は他の産業の利益を損じ」ることのいずれかが認められる必要がある。そうすると,「他人に危害を及ぼ」すおそれがなく,その他の不認可事由も認められない本件においては,「公共の福祉に反する」ことのみをもって,不認可処分をすることはできない。
 したがって,本件不認可処分は違法である。
  ⑵ 手続的違法
 本件不認可処分は,「申請に対する処分」(行手法2章)にあたるから,これをするにあたっては理由の提示が必要である(同法8条)。同条の趣旨は,行政庁の処分に関する判断の慎重・公正を確保しつつ,処分の相手方がこれに対して不服申立てをする際の便宜を図る点にある。そこで,理由の提示は,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分を行ったかを,申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならない
 これを本件についてみると,本件不認可処分に係る通知書に記載された処分の理由は,審査基準で用いられている文言と法19条の文言をつなぎ合わせたものにすぎず,実質的に法律の規定と審査基準を示すにとどまるものである。この記載からは,Aが使用する建設残土について環境基準違反がない旨の調査結果が得られているにもかかわらず,なぜ周辺の井戸水の利用に悪影響を与えないとはいえないと判断されたのかが理解できない。そのため,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して本件不認可処分を行ったかが,理由の記載自体から了知することができない。
 したがって,本件不認可処分には,行手法8条違反の違法がある。
第2.設問2
 1.小問1
 訴えの客観的利益とは,当該処分を取り消す実際上の必要性をいう。
 本件認可に係る採取計画では,採取期間を2017年7月24日までと定めているから,同期日を経過すれば採取を行うことはできなくなる。そうすると,本件取消処分を取り消しても,引き続き採取することはできないのであるから,本件取消処分を取り消す実際上の必要性はないようにも思える。しかし,法26条により認可を取り消された場合,都道府県知事はその砂利採取業者の登録を取り消し,又は6月以内の期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができるとされている(法12条1項5号)。そうすると,Cは本件取消処分を原因としてこれらの処分を受けるおそれがなおも残存するから,これを除去すべく本件取消処分を取り消す実際上の必要性が認められる
 したがって,本件取消処分の取消訴訟の訴えの客観的利益は,採取期間の経過をもっても消滅しない。
 2.小問2
  ⑴ 実体的違法
 Cとしては,本件取消処分は,比例原則に反し,違法であると主張することが考えられる。
 法26条は「できる」という文言を採用している点に鑑み,認可を取り消すか否かの判断に際しては,これを取り消さなければならない事情や取り消した場合の影響等を詳細に考察する必要があり,専門的・技術的診断が必要であるから,認可の取消処分をするか否かには乙県知事に効果裁量が認められる。もっとも,裁量権の逸脱・濫用がある場合には,当該処分は違法となる。
 これを本件についてみると,たしかに本件場所は,採取計画に定められた4mの保安距離を下回る場所であり,Cの掘削はこの点に違反している。しかし,本件場所は,乙県の審査基準との関係では,これに違反している点はないのであり,また,実際に災害が発生したという事実はない。さらに,Cが過去に法に違反する行為を行ったことはない。そうすると,Cが本件場所で掘削を行ったことは,21条違反であるとしても,重大な違法とはいえない。このような本件の性質に照らせば,法26条に定める処分のうち最も重い取消処分としたのは,比例原則に反する
 したがって,本件取消処分は違法である。
  ⑵ 手続的違法
 本件取消処分は,「不利益処分」(行手法2条4号,3章)であり,そのうち「許認可等を取り消す不利益処分」(同法13条1項1号)であるから,聴聞手続が必要である。しかし,本件取消処分をするにあたって,Cの聴聞手続がとられていない。また,本件場所およびその付近において災害が発生していないことからすれば,「公益上,緊急に不利益処分をする必要がある」ともいえない(同条2項1号)。 したがって,本件取消処分は,行手法13条1項1号に違反している。
 よって,本件取消処分は,違法である。
以 上


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