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2018-02-04(Sun)

【旧司】刑事訴訟法平成元年度第2問

普通に勉強ばかりやっていると運動不足になるので,

先日,筋トレをしに近所の体育館に行ったわけですが,

めちゃくちゃ筋肉痛になり,勉強に支障をきたしています。

筋トレも程よさと継続が求められます。

さて,今日の問題です。

≪問題≫
 甲が乙と共謀のうえ,スーパー・マーケットから現金を強取したとの甲に対する強盗被告事件の公判において,次のものを証拠とすることができるか。
⑴ 店員丙の公判廷における供述中,傍線①②の部分
 (検察官)「被告人と乙の2人が店内に入って来てどうしましたか。」
 (丙)「いきなり被告人が①『騒ぐと殺すぞ』と言ってレジにいた私に刃物を突きつけました。」
 (検察官)「それで金を取られたのですね。」
 (丙)「はい。乙がレジスター内の現金をわしづかみにして逃げました。」
 (検察官)「いくら取られたのですか。」
 (丙)「後に警察官から②『被告人は14万円ばかり取ったと言っている』と聞きました。」
⑵ 犯行に先立ち甲乙両名が決めた犯行計画を書き留めた乙のメモ


一応,スタ100には「再伝聞」というタイトルで収録されていましたが,

再伝聞以外にもいろいろくっついてきています。

面倒です。

≪答案≫
第1.設問⑴
 1.傍線①について
  ⑴ 丙が供述した,被告人の傍線①部分の発言(以下「本件発言①」という。)が,「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とする」場合にあたる場合であれば,伝聞証拠として原則証拠能力を有しないこととなる(320条1項)。そこで,本件発言①は伝聞証拠にあたるか,伝聞証拠の意義が問題となる。
  ⑵ 320条1項の趣旨は,供述証拠は人の知覚,記憶,表現,叙述という過程を経ており,その各過程で誤りを生ずるおそれが高いにもかかわらず,反対尋問,偽証罪による制裁,裁判所による観察という真実性の担保が欠けているから,その証拠能力を否定する点にある。そこで,伝聞証拠とは,(ⅰ)公判廷外の供述を内容とする証拠で,(ⅱ)要証事実との関係で原供述の内容の真実性が問題となるものをいう。
  ⑶ これを本件についてみると,(ⅰ)本件発言①は,甲が強盗事件の現場において丙に対して発したものであるから,公判廷外の供述を内容とする証拠である。
 (ⅱ)本件の公訴事実は,甲の丙に対する強盗罪(刑法236条1項)である。ここで,検察官は,本件発言①の立証趣旨を「被告人の発言の存在」自体としていると考えられる。この場合,「騒ぐと殺すぞ」と甲が発言することによって,丙としては抵抗すれば自己の生命身体に危害が加えられることをおそれ,反抗が抑圧されるものと考えられる。そうすると,強盗罪の構成要件である「脅迫」があったことが立証でき,甲の行為に強盗罪を成立させるのに役立てることができる。したがって,「被告人の発言の存在」自体が要証事実となる。このとき,「騒ぐと殺すぞ」という発言の真実性を問わずとも,そのような発言があったこと自体をもって上記の推論を可能とするから,要証事実との関係で供述の内容の真実性が問題とならない。
 したがって,本件発言①は,伝聞証拠にあたらない。
  ⑷ よって,本件発言①は,「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とする」場合ではないから,320条1項が適用されず,証拠能力が認められる。
 2.傍線②について
  ⑴ア.丙が供述した,警察官の傍線②部分の発言(以下「本件発言②」という。)も,「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とする」場合にあたるか。
 (ⅰ)本件発言②は,警察官が丙の事情聴取などの際に発したものと考えられ,公判廷外の供述を内容とする証拠である。
 (ⅱ)上記のように,本件の公訴事実は,甲の丙に対する強盗罪である。ここで,検察官は,本件発言②の立証趣旨を「警察官の発言の存在」自体とすることも考えられる。この場合には,内容の真実性が問われないから,伝聞証拠にあたらない。しかし,本件発言②は,警察官が,甲は「14万円ばかり取った」と言ったことを伝えたことから,本件でのスーパー・マーケットにおける強盗事件による被害額などと照らし合わせて,甲が14万円をスーパー・マーケットから強取したことを認定し,もって甲の行為が「強取」という強盗罪の構成要件に該当することを立証するという推論過程を経てこと役立つものである。したがって,ここでの要証事実は,「甲が14万円を強取したこと」である。そして,上記推論は,警察官の発言内容が真実でなければ成立しないから,要証事実との関係で供述内容の真実性が問題となる。
 したがって,本件発言②は,伝聞証拠にあたり,原則として証拠能力をが認められない。
   イ.そうだとしても,本件発言②について伝聞例外(321条以下)が適用され,例外的に証拠能力が認められないか。
    (ア) まず,甲側が,検察官による本件発言②の証拠調べ請求について「同意し」,「その書面が作成され……たときの情況を考慮し相当と認めるとき」は,本件発言②を証拠とすることができる(326条1項)。
    (イ) 本件発言は,「被告人以外の者」である丙の「公判期日における供述」であり,「被告人以外の者」である警察官の「供述をその内容とするもの」であるので,324条2項により準用される321条1項3号の要件を充たせば,証拠能力が認められる。
   ⑵ア.ところが,本件発言②中には,甲の供述(以下「本件供述」という。)が含まれている。そこで,本件供述も伝聞証拠に当たらないか。
 (ⅰ)本件供述は,甲が警察官から取調べを受けている際などに発した者と考えられるから,公判廷外の供述を内容とする証拠である。
 (ⅱ)上記のように,甲の行為が「強取」にあたるとの推論過程を導くためには,甲が「14万円ばかり取った」とした供述の内容が真実でなければ成立しない。そこで,本件供述は,要証事実との関係で供述の内容の真実性が問題となる。
 したがって,本件供述は,伝聞証拠にあたり,原則として証拠能力を有しない。
   イ(ア) そこで,伝聞例外について検討するに,本件供述は,伝聞証拠たる本件発言②に含まれる供述であるため,再伝聞証拠である。しかし,再伝聞証拠について証拠能力を認める規定は存在しないため,再伝聞証拠にも証拠能力が認められるかが問題となる。
    (イ) この点,本件供述は,「被告人以外の者」である警察官の「供述」ではあるが,本件発言②は「公判期日における供述」ではないから,324条1項の直接適用により,証拠能力が認められることはない。
 しかし,再伝聞証拠において,1つ目の伝聞証拠について321条以下の伝聞例外の要件を充たす場合には,当該証拠は,「公判期日における供述に代えて書面を証拠と」する場合(320条1項)にあたるため,「公判期日における供述」と同程度の証拠能力を有するものと考えられる。そこで,このような場合には,2つ目の伝聞証拠について324条を類推適用し,再伝聞証拠の信用性の状況的保障と必要性が認められれば,伝聞例外の適用と同様に,例外的に証拠能力が認められる。
    (ウ) これを本件についてみると,本件発言②が,上記のように伝聞例外の適用により証拠能力が認められる可能性がある。そうすると,本件発言②については「公判期日における供述」と同様に取り扱うことができる。そこで,本件供述についても324条1項を類推適用し,322条1項の規定が準用され,この要件を充たすときには,証拠能力が認められる。
 そして,「14万円ばかり取った」という事実の告白は,「不利益な事実の承認」にあたる。そこで,322条1項の要件を充たすから,324条1項により,証拠能力が認められる。
  ⑶ 以上から,本件発言②及び本件供述に証拠能力が認められる場合には,裁判所は,これを証拠として採用することができる。
第2.設問⑵
 乙のメモ(以下「本件メモ」という。)は,「公判期日における供述に代えて書面を証拠と」する場合にあたるか。
 本件では,強盗罪のうち,本件発言①から甲については「脅迫」部分を,本件発言②から乙については「強取」部分を,それぞれ認定できるが,それぞれ単独では強盗罪の構成要件を充足しないため,甲乙間の共謀を立証して,強盗罪の共同正犯として立件するものと考えられる。そこで,検察官としては,本件メモを,甲乙間の共謀の存在を推認するために証拠として提出するものと考えられる。
 ここで,作成者乙の当時の心理状態を立証するとすれば,内容の真実性が問題となるものの,知覚,記憶の過程が欠けるため,非伝聞証拠となる。しかし,乙の心理状態を立証しても,そこから甲との共謀を推認することはできないから,関連性を欠き,証拠能力は認められない。
 そこで,メモの存在と合理的な推認を担保しうる他の事実をもって,甲との共謀を立証することが考えられる。すなわち,本件メモの存在と,本件メモを共謀形成の道具として用いたという事実が認定できる場合には,そこから共謀を推認しても,不確かな推認ではない。この場合,320条の上記趣旨が妥当しないから,伝聞証拠にあたらない。したがって,「公判期日における供述に変えて書面を証拠と」する場合にあたらず,証拠能力が認められる。
 よって,裁判所は,本件メモを証拠とすることができる。
以 上


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