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2018-01-28(Sun)

【高校入試】東京都英語平成23年度第3問

問題:東京都英語平成23年度第3問
難易度:Aランク
解答時間の目安:10分

≪問題≫

 3 次の対話の文章を読んで,あとの各問に答えよ。

   (*印の付いている単語・語句には,本文のあとに〔注〕がある。)


    Yoko is a high school student.  Mark and Carrie Alder are a young American *married couple.   They live near Yoko's house.  They know her and her friend Kana.  One Sunday, they see Yoko and Kana in a park.


Mark: Hi, Yoko and Kana.  What are you doing here?

Kana: We are talking about a dance.  Our dance school will have a *performance next month.

Mark: That's nice.

Carrie: What are you going to dance at the performance?

Yoko: We haven't decided yet.  Now we are trying to make a dance for our group.   It is difficult.

Kana: Yes.  We haven't had a good idea yet.

Carrie: ⑴I can understand that.

Yoko: Are you interested in dancing, Carrie?

Carrie: ⑵Yes, very much.  I danced in dance festivals every year in America.

Yoko: Oh, did you?

Carrie: Yes.  Our city has a big dance festival every year, and many people dance in it.

Yoko: What kind of dances do they do?

Carrie: All kinds of dances.  People dance in their own styles.  There are many kinds of *patterns and *rhythms in the dances.

Kana: Sounds interesting!

Mark: That's right.  I enjoyed many patterns and rhythms.  Dance styles may be different, but something *is common to all dances.

Kana: What is that?

Carrie: I know.  Dancers try to *express their *feelings and ideas to the *audience.  ⑶The audience can share them.  That is common to all kinds of dances.

Yoko: I see.   Dancers have messages in their dances, right?

Carrie: Yes.   ⑷I believe that is very important.

Kana: Then, what will our message be, Yoko?

Yoko: I'm thinking about that....  How about "Let's have dreams for the future"?

Kana: Dreams for the future?

Yoko: Yes.  When we have dreams for the future, they give us the energy to *do our best.

Kana: ⑸That's a good idea!

Carrie: I think so, too.

Kana: Let's express that to the audience!  Next, let's *choose the music for our dance.

Yoko: Yes, let's.  I think we will make a great dance.

Mark: You can do it.  Can we go to see your dance?

Yoko: Sure.  We will give you the information later.

Carrie: Thank you.  I'm looking forward to your dance.  I hope the audience will get your message.

Yoko: ⑹I hope so, too.  Thank you, Carrie and Mark.

Mark: Good luck!

〔注〕married couple 夫婦  performance 公演  pattern 型  rhythm リズム  be common to ~ ~に共通している  express 表現する  feelings 気持ち  audience 観客  do our best 最善を尽くす  choose 選ぶ

〔問1〕⑴I can understand that.の内容を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,下のどれを入れるのがよいか。


  I can understand 【     】.

 ア you are going to dance

 イ it is difficult to make a dance

 ウ it is nice to have a performance

 エ you haven't decided to dance yet


〔問2〕⑵Yes, very much.の内容を,次のように語句を補って書き表すとすれば,【     】の中に,どのような1語を入れるのがよいか。


  Yes, I am 【     】 in dancing very much.


〔問3〕⑶The audience can share them.の内容を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,下のどれを入れるのがよいか。


  The audience can 【     】.

 ア have the same feelings and ideas

 イ make all kinds of dances interesting

 ウ enjoy many patterns and rhythms

 エ dance in festivals together with dancers


〔問4〕⑷I believe that is very important.の内容を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,どのような1語を入れるのがよいか。


  I believe having 【     】 is very important in dancing.


〔問5〕⑸That's a good idea.の内容を最もよく表しているのは,次のうちではどれか。

 ア We have good dreams for the future.

 イ The energy to do our best is a good thing.

 ウ We will choose the good music for our dance.

 エ "Let's have dreams for the future" is a good message.


〔問6〕⑹I hope so,too.の内容を,次のように書き表すとすれば,【     】の中に,下のどれを入れるのがよいか。


  I also hope 【     】.

 ア you will come to see our dance

 イ the audience will get our message

 ウ we will have dreams for the future

 エ we will give you information about our performance


〔問7〕次の文章は,公演の後にCarrieがYokoに送ったEメールの一部である。【 (A) 】及び【 (B) 】の中にそれぞれ入る語の組み合わせとして正しいものは,下のア~エのうちではどれか。

    Hi, Yoko. Thank you very much for inviting us to your 【 (A) 】 last week. Mark and I enjoyed your dance and the dances of the other groups very much. I got a strong message from your dance. Having dreams for the future is wonderful!  We think dreams really give us a lot of 【 (B) 】 to do our best. Thank you again, and I hope you and Kana will enjoy dancing a lot and become wonderful dancers.


 ア (A) house  (B) information

 イ (A) school  (B) dances

 ウ (A) performance (B) energy

 エ (A) festival  (B) groups

≪解説≫

1.全訳

 Yokoは高校生です。MarkとCarrie Alderは若いアメリカ人夫婦です。彼らは,Yokoの家の近所に住んでいます。彼らは,彼女のことと友達のKanaのことを知っています。ある日曜日,彼らは公園でYokoとKanaを見かけました。

Mark:やあ,YokoとKana。何をやっているんだい。

Kana:私たちはダンスのことについて話をしていたところなの。私たちが通っているダンススクールで来月公演があるのよ。

Mark:そりゃいいね。

Carrie:君たちはその公演で何のダンスをするの。

Yoko:まだ決まってないのよ。いま,私たちのグループに向けてダンスを作ろうと思っているところなの。これが難しいのよね。

Kana:そうそう。いいアイデアがまだ浮かばないのよ。

Carrie:⑴なるほどね。

Yoko:Carrieはダンスに興味あるの。

Carrie:⑵めっちゃあるわ。私はアメリカで毎年やっているダンスフェスティバルでダンスをしていたの。

Yoko:まじで。

Carrie:そうよ。私たちの町では毎年大きなダンスフェスティバルがあって,たくさんの人がそこでダンスするの。

Yoko:みんなどんなダンスをするの。

Carrie:全部よ。みんな独自のスタイルでダンスをするの。ダンスにはいろんな種類の型とかリズムがあるのよ。

Kana:おもしろそうだね。

Mark:そうなんだよ。僕はいろんな型とかリズムを楽しんでいたんだ。ダンスの型って違うように思えるけど,全てのダンスに共通するところもあるんだ。

Kana:どういうこと。

Carrie:私知ってる。ダンサーは観客に自分たちの感情や考えを表現しようとしているの。⑶観客はそれを共有するの。それがすべてのダンスに共通するところだわ。

Yoko:なるほどね。ダンサーはダンスの中にメッセージを込めているってことね。

Carrie:そう。⑷私はそれがとても大事なことだと思っているわ。

Kana:そしたら,私たちのメッセージは何かな,Yoko。

Yoko:そのことを考えているんだけど……。「将来の夢を持とう」なんてどうかしら。

Kana:将来の夢。

Yoko:そう。将来の夢を持つと,夢は私たちが最善を尽くすエネルギーをくれるの。

Kana:⑸いいアイデアね。

Carrie:私もそう思うわ。

Kana:じゃあそれを観客に披露してあげよう。そしたら,ダンスに合う音楽を選ばなきゃね。

Yoko:そうしよう。素晴らしいダンスを作れると思うわ。

Mark:君たちならできるよ。僕たちも君たちのダンスを見に行ってもいいかな。

Yoko:いいわよ。また今度詳しいことを教えるわね。

Carrie:ありがとう。楽しみだなあ。観客も君たちのメッセージを受け取ってくれるといいね。

Yoko:⑹私もそう思うわ。ありがとう,Carrie,Mark。

Mark:うまくいくといいね。


〔問7〕

 こんにちは,Yoko。先週は【 (A) 】に私たちを招待してくれて本当にありがとう。Markと私は,あなたたちのダンスも他のグループのダンスも,とても楽しませてもらったよ。あなたたちのダンスからは強いメッセージを受け取ったわ。将来の夢を持つって素晴らしいことね。夢は私たちに最善を尽くすためのたくさんの【 (B) 】を本当に与えてくれると思うわ。重ねてありがとう。あなたとKanaが楽しくダンスをして,素晴らしいダンサーになることを願っているわ。


2.各問解答・解説

〔問1〕(配点:4) 正答:イ

 指示語の指す内容について問う問題である。本問でいう指示語とは指示代名詞thatである。このthatが何を指しているかが問われている。国語と同様に,指示語の指す内容は,たいていの場合は,その直前にあるので,下線部⑴の直前を重点的に読み込むことが必要である。

 ア 君たちがダンスをするということが分かる。

  →誤り。Carrieは,下線部⑴よりも前の時点で,What are you going to dance at the performance?とダンスのことについて触れているから,下線部⑴の段階でYokoたちがダンスをすることについて理解したわけではない。

 イ ダンスを作ることは難しいということが分かる。

  →正しい。下線部⑴は,直前でYokoがNow we are trying to make a dance for our group. It is difficult.と話し,続いてKanaがWe haven't had a good idea yet.と発言したことを受けてのことである。この部分は,まとめると,「ダンスを作ろうとしているが難しくてアイデアが浮かばない」ということであるから,これを表すのはイである。

 ウ 公演があることは素晴らしいということが分かる。

  →誤り。下線部⑴よりも前にKanaがOur dance school will have a performance next month.と発言し,それを受けてMarkがThat's nice.と応答しているから,「公演があるなんていいね」という流れはこの段階で終わっている。したがって,下線部⑴の段階まではこの話は続いていないから,誤りである。

 エ まだ君たちがダンスすることを決め切れていないことが分かる。

  →誤り。エは一見迷うかもしれないが,選択肢をよく検討すると,エの肢はつまり「ダンスをするかどうか自体が決まっていない」ということである。しかし,下線部⑴よりも前にKanaがOur dance school will have a performance next month.と発言していることから,ダンスをすること自体は決定している。YokoとKanaが悩んでいるのは,ダンスはするとして,どのようなダンスをするかということである。したがって,ダンスをするかどうか自体を問題にしているエは誤りである。


〔問2〕(配点:4) 正答:interested

 空欄を補充することで,読解力と文法力をみる問題である。本問のようにYesやNoで答えている文は,その直前にYesかNoで答えられるような疑問文があるはずなので,まずはその疑問文が何を聞いているか考えなければならない。そこで1つ前の文をみると,Are you interested in dancing, Carrie?とあるので,これが疑問文であることが分かる。そして,この疑問文では,「ダンスに興味があるかどうか」が聞かれているから,それに対する答えとしてはYesで始まっているので,「ダンスに興味がある」ということが伝わればいいことが分かる。「~に興味がある」というのはbe interested in ~で表すことができる。したがって,空欄にはinterestedが入る。また,be interested in ~というセットが思い出せなくても,疑問文にAre you interested in ……とあるので,そこから抜き出すことでも,正答を導き出すことができる。


〔問3〕(配点:4) 正答:ア

 〔問1〕と同様に,指示語の指す内容について問う問題である。本問でいう指示語とは人称代名詞themである。このthemが何を指しているかが問われている。

 ア 観客は同じ感情や考えを持つことができる。

  →正しい。下線部⑶の直前にDancers try to express their feelings and ideas to the audience.とあり,ダンサーから観客に向けて,感情や考えといったものが投げかけられるということが書かれている。したがって,観客としては,ダンサーから投げかけられた感情や考えをshareできるとするのが下線部⑶であるということが分かる。したがって,そのような感情や考えを持つことができると言い換えているアが正答である。

 イ 観客は全ての種類のダンスをおもしろくすることができる。

  →誤り。観客はダンサーがダンスをしているところを見るだけであるので,ダンスに直接何かするわけではない。したがってイのようなことは本文中には書かれておらず,誤りである。

 ウ 観客はいろんな型やリズムを楽しむことができる。

  →誤り。下線部⑵以降の本文は,「ダンスにはいろんな型やリズムがある」→「しかし,それらの中には共通する部分がある」→「それはダンスに感情や考えを盛り込むことだ」という流れになっている。そのような流れを受けての下線部⑶であるので,この段階で「ダンスの型やリズム」について話をすると,本文を逆流することとなってしまう。そこで,ウは不正解とまではいえないものの,適切ではない。

 エ 観客はダンサーと一緒にフェスティバルでダンスをすることができる。

  →誤り。そのようなことは本文中に書かれていない。


〔問4〕(配点:4) 正答:messages

 〔問2〕と同様に,空欄を補充することで,読解力と文法力をみる問題である。本問も,下線部⑷の直前を見ると,Yes.という記述があるから,解答の方針も〔問2〕と全く同じである。また,thatという指示代名詞があるから,この内容も明らかにしなければならない。そうすると,直前の文で,Dancers have messages in their dances, right?という疑問文がある。この疑問文は「ダンサーはダンスの中にメッセージを盛り込んでいるということか。」ということを聞いているから,それに対する答えとしてはYesで始まっているので,「ダンサーはダンスの中にメッセージを盛り込んでいる。」ということを伝えればいいことが分かる。ここで「盛り込む」というのをhaveで表現しており,書き換え後の文ではhavingとされている。そこで,その直後には,目的語,つまり「何を」盛り込むのかを回答すればいいということになる。したがって,messagesが正答である。


〔問5〕(配点:4) 正答:エ

 〔問1〕,〔問3〕と同様に,指示語の指す内容について問う問題である。本問でいう指示語とは指示代名詞thatである。このthatが何を指しているかが問われている。

 ア 私たちは将来の素晴らしい夢を持っている。

  →誤り。直前にWhen we have dreams for the future, they give us the energy to do our best.とあり,一見するとThatはこの部分を指しているようにも思える。しかしアの肢と同様のことが書かれているwe have dreams for the futureの部分は,あくまでWhenという条件の内容を表すので,この文章の核はthey give us the energy to do our best.の部分である。したがって,条件の方だけを指摘してThat's a good idea.とするのは,話の本質を見誤っている。また,この文章は,YokoがHow about "Let's have dreams for the future"?という提案をしたのに対して,KanaがDreams for the future?と聞き返したことに対する返答である。つまり,Let's have dreams for the future.を詳しく説明している部分にすぎない。したがって,やはり話のメインはLet's have dreams for the future.というメッセージ自体であるので,アは不適切である。

 イ 最善を尽くすためのエネルギーはいいものである。

  →誤り。アで説明したように,ここでの話の本質はLet's have dreams for the future.というメッセージであって,直前の

When we have dreams for the future, they give us the energy to do our best.はそれを詳しく説明しているだけにすぎない。したがって,イも不適切である。

 ウ 私たちはダンスに合う良い曲を選ぶだろう。

  →誤り。ダンスの曲を選ぶ話は,下線部⑸の後でKanaがNext, let's choose the music for our dance.と言い出したところからである。Nextという表現が使われていることから,この前後で話が分断されていることが分かる。したがって,下線部⑸の時点では,まだダンスの曲の話は関係がないことになる。よって,ウは誤りである。

 エ 「将来の夢を持とう」というのは素晴らしいメッセージだ。

  →正しい。アの解説参照。


〔問6〕(配点:4) 正答:イ

 〔問1〕,〔問3〕,〔問5〕と同様に指示語の指す内容について問う問題である。本問で指示語とは代名詞soである。このsoが何を指しているかが問われている。

 ア 私も,君たちが私たちのダンスを見に来ることを待ち望んでいる。

  →誤り。話の流れとしてはおかしくはないが,文法的に解釈が誤っている。I hope so,つまり「そのように思う」としている以上は,相手と同じことを思っていなければならない。そこで,相手がどのように思っているかについてみてみると,直前でCarrieが I hope the audience will get your message.と言っている。したがって,soの内容はthe audience will get your messageであることが分かる。そうするとアは誤りである。

 イ 私も,観客が私たちのメッセージを受け取ってくれることを願っている。

  →正しい。アの解説参照。

 ウ 私も,私たちが将来の夢を持てることを望んでいる。

  →誤り。アの解説参照。

 エ 私も,君たちに私たちの公演についての情報をあげることを望んでいる。

  →誤り。アの解説参照。また,下線部⑹より前の部分でWe will give you the information later.と言っているので,情報をあげること自体の意思は明確にされているので,hopeという表現とは適合しない。


〔問7〕(配点:4) 正答:ウ

 本文の続きの文章について,空欄にあてはまる語を答えることで,本文の理解を問う問題である。本文の続きであるから,新しい概念が登場することはなく,本文で述べられていたことをしっかりと理解していれば解答可能である。

 まず【 (A) 】は,inviting ... to yourの後にきているから,CarrieとMarkがYokoに招待された場所を答えればいいことになる。そうすると,下線部⑸と下線部⑹との間で,MarkがCan we go to see your dance?と聞いたのに対してYokoがSure.  We will give you the information later.と解答しているので,2人はダンスに招待されたことが分かる。そして,このダンスは,本文の最初の方でKanaがOur dance school will have a performance next month.としていることから,performanceの中で行われることが分かる。したがって,【 (A) 】にはperformanceが入る。この時点で,正答はウである。

 また,【 (B) 】はdreams ... give us ...の後にきているから,夢によって与えられるものを答えればいいことになる。そうすると,下線部⑸の直前で,YokoがWhen we have dreams for the future, they give us the energy to do our best.と言っていることから,dreamsはthe energyを与えてくれることが分かる。そこで【 (B) 】にはenergyが入ることが分かる。したがって,正答はウである。



2018-01-28(Sun)

【旧司】刑事訴訟法昭和53年度第2問


証拠法シリーズ第2弾。

≪問題≫
 殺人被告事件において,目撃者である証人甲は,公判期日に,検察官の主尋問に対し「ピストルを撃った犯人は被告人に間違いない」と述べた。弁護人は,甲の検察官に対する供述調書中では被告人が犯人である点については明確な供述がないと考えていたので,反対尋問の準備のためその延期を申し出て,反対尋問は次回期日に行われることとなった。ところが,甲は,次回期日前に急死してしまった。裁判所は,甲の右証言を被告人の有罪の証拠とすることが許されるか。この場合,右証言が被告人と犯行を結びつける唯一の証拠であるか否かによって差異を生ずるか。

伝聞です。

形式説と実質説で分かれるところです。

多くの人が形式説を採ると思いますが,その場合,この問題はどう処理すればいいのでしょうか。

普通に書いたらめちゃくちゃ短い答案が出来上がると思うのですが……。

≪答案≫
第1.設問前段
 1.裁判所は,甲の証言(以下「本件証言」という。)を証拠とすることができるか。甲は,公判期日において検察官の主尋問を受けているが,被告人側からの反対尋問を受けていない。そこで,このような証拠は伝聞証拠として証拠能力が認められないのではないか(320条1項)。(※1)
 2.320条1項の趣旨は,供述証拠は人の知覚,記憶,表現,叙述という過程を経るため,その各過程で誤りを生じるおそれが高いにもかかわらず,反対尋問,偽証罪による制裁,裁判所による観察という真実性の担保に欠けるため,証拠能力を否定する点にある。そこで,伝聞証拠とは,①公判廷外の供述を内容とする証拠で,②要証事実との関係で原供述の内容の真実性が問題となるものをいう。
 これを本件についてみると,本件証言は①甲が公判期日において直接供述したものであるから,公判廷外の供述を内容とするものではない。したがって,本件証言は伝聞証拠にはあたらない。(※2)
 よって,本件証言は証拠能力を否定されないから,裁判所は本件証言を証拠とすることが許される。
 3.なお,320条1項の趣旨について反対尋問の機会を重視し,伝聞証拠とは,事実認定をする裁判所の前での反対尋問を経ていない供述証拠をいうとする見解もある。この見解によれば,本件供述は,被告人側からの反対尋問を経る前に甲が死亡したことによって,反対尋問を経ることができなくなっているから,裁判所の前での反対尋問を経ていない供述証拠にあたり,伝聞証拠となる。
 しかし,被告人の公判廷供述を伝聞証拠とするのは320条1項の文言と整合せず,伝聞法則を反対尋問だけで説明することは無理があるというべきである。したがって,この見解は採用することができない。(※3)
第2.設問後段
 上記のように,本件証言はそもそも伝聞証拠にあたらず,証拠能力が認められるので,本件証言が被告人と犯行を結びつける唯一の証拠であるか否かによって差異を生じない。(※4)
以 上


(※1)問題提起の段階で,「公判期日における供述に代えて書面を証拠とし」,または,「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とする」にあたるかどうか,という形を示したいところではあります(新司の出題趣旨でも,たとえば「(立証趣旨から想定される要証事実は,いずれもWが知覚・記憶してノートに記載した事実の真実性を前提とするものであるから,これが「伝聞証拠」,すなわち刑事訴訟法第320条第1項の定める「公判期日における供述に代えて書面を証拠と」する場合であることは明瞭である。)」(平成20年新司法試験論文式試験問題出題趣旨7頁)というような書き方がされており,320条1項の文言に引き付けて検討されています。)。しかし,本問のような場合には,文言にあたらないことが明らかなので,文言にひきつけての問題提起をしにくいような気がします。そこで,今回の答案では,あえて文言には言及しないという形を採りました。
(※2)本当に①要件だけで切れてしまう気がするので,あてはめもクソもないです。こんなに短くていいのか不安になりますが,かといって他に書くべきことはないように思います。こんな書き方でいいのか,後日改めて検討してみたいところです。
(※3)まさに,ここの見解の採否によって,結論が変わってくるので,一応反対説に言及すべきなのかと思います。ただ,新司でこんなことを書いている時間は多分ないです。
(※4)形式説で伝聞証拠にあたらないという結論を採った以上はこうならざるを得ないと思いますが,果たしてこれでいいのか再度検討してみたいところです。
2018-01-25(Thu)

【旧司】刑事訴訟法平成21年第2問

遅くなりましたにもほどがありますが,あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

私の今年の,というより春休み中の目標の1つに,

証拠法を勉強する

というのがあります。

これは,どういうことか。

新司で周りに差をつけることができるようなテクニックを学ぶちゃんとした勉強をするとか,

誰も研究していない未知の論点について深く勉強するとか,

そういうことではないです。

あろうことか,私は,もうロースクールも半分が終わろうとしているのに,

まだ生まれてこの方一度も証拠法を勉強したことがないのです。


入学した当初は,証拠法もやってない奴がよくロースクールに受かったなくらいで笑い話にしていたわけですが,

司法試験まで残り1年ちょっととなってくると,さすがに焦ります。

選択科目もちゃんと勉強し始めないといけないのに,基本7法ですら未完成だったとは。

おそるべし。

ということで,これから証拠法をちゃんと真剣に勉強していきます。

その過程で,旧司や新司の問題も解いていこうと思いますので,その際に書いた答案をここに掲載していこうと思います。

というわけで,第一弾は,自白の問題。

旧司の平成21年第2問です。

≪問題≫

 警察官Aは,強盗殺人の被疑事実で勾留中の甲を取り調べたが,その際,黙秘権の告知をしなかった。甲は,当初,アリバイを主張して犯行を否認したが,Aが「犯行現場の防犯カメラにあなたの顔が写っていた 。」旨の虚偽の事実を告げたところ,甲は犯行を自白し,被害品を友人宅に隠匿していることも供述したので,その内容を録取した供述調書①が作成された。そこで,Aは,供述調書①を疎明資料として捜索差押許可状の発付を受けて甲の友人宅を捜索したところ,被害品が発見されたので,これを差し押さえた。その後,別の警察官Bが,黙秘権を告知して取り調べたところ,甲が犯行を再度自白したので,その内容を録取した供述調書②が作成された。
 裁判所は,供述調書①,甲の友人宅で差し押さえられた被害品及び供述調書②を証拠として採用することができるか。

勉強したところによると,自白法則についてはいろんな説が対立しているようです。

どれがいいのかわからないので,とりあえず,人権擁護説はないなくらいのスタンスでいようと思います。

早速答案を……

≪答案≫

第1.供述調書①の証拠としての採否について
 1.警察官Aは,甲の取調べにあたり,黙秘権の告知を行わず,また虚偽の事実を告げており,これに引き続いて供述調書①を作成している。このような状況下で作成された,供述調書①は「任意にされたものでない疑のある自白」(319条1項)にあたり,証拠として採用することができないのではないか。
 2⑴ 自白法則(憲法38条2項,刑訴法319条1項)の趣旨は,類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがある状況下でされた自白を予め排除することで,誤判の防止を図る点にある。そこで,「任意にされたものでない疑のある自白」か否かは,類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあったか否かによって判断する。
  ⑵ これを本件についてみると,黙秘権の告知は取調べによる心理的圧迫から被疑者を解放するためになされるところ(※1),これがされないことにより,甲が心理的圧迫を感じ,正常な判断能力に支障をきたすことで,冷静な供述をすることができなくなるおそれを生じている。このような状況のもと,Aは犯行現場の防犯カメラに甲の顔が写っていた旨の虚偽の事実を告げている。そうすると,甲としては,アリバイ主張が否定され,もはやどのような弁解をしても無駄であると考えるにいたるおそれがある。そして,黙秘権の告知がないことと相俟って,甲は何らかの供述をしなければならないと考え,事実に反して犯行をした旨の供述をしてしまうおそれがある。
 以上から,供述調書①の作成におよぶ取調べの段階では,類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあったと認められる。
  ⑶ したがって,供述調書①は,「任意にされたものでない疑のある自白」にあたる。
 3.よって,供述証拠①は,証拠能力が認められないため,裁判所はこれを証拠として採用することができない。
第2.被害品の証拠としての採否について
 1.被害品については,供述調書①を疎明資料として発付を受けた捜索差押許可状に基づく捜索により発見,差押を受けたものである。そこで,供述調書①と同様に「任意にされたものでない疑のある自白」として証拠能力が否定されないか検討するに,被害品自体は供述ではなく,虚偽が混入するおそれがないから,これにあたらない。
 しかし,供述調書①の取調べにおいては,上記のように黙秘権の告知を行わなかったという198条2項に反する法令違反がある。そこで,このような違法な手段によって収集された証拠は,証拠能力が否定されないか。
 2⑴ 違法な手続によって獲得した証拠を採用することは,司法の無瑕性と将来の違法捜査抑止の観点から問題がある。もっとも,獲得手続に軽微な違法があるにすぎない場合にも証拠能力を否定してしまうことは,かえって司法の無瑕性が害される。そこで,①憲法および刑訴法の所期する基本原則を没却するような重大な違法があり(※2),②これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑止の見地からして相当でないと認められる場合には,その証拠物の証拠能力は否定されるべきである。
  ⑵ これを本件についてみると,①198条2項で要求される黙秘権の告知は,憲法上規定されているものではなく,これに違反したことをもって直ちに重大な違法があるということはできない。しかし,Aは,黙秘権の告知を行わなかったことに加えて,虚偽の事実によって自白を獲得している。このような一連のAの取調べ態様からすると,Aが黙秘権の告知を行わなかったのは,単にそれを失念していたにとどまらず,あえてそれを行わないことにより,Aの心理状態を圧迫し自白を促すことを狙っていた可能性が高い。そうすると,198条2項に反する法令違反は,Aが刑訴法の基本原則を潜脱する意図のもと行われたものと認められる。したがって,上記手続違反は刑訴法の所期する基本原則を没却するような重大な違法ということができる。
 また,②Aが特段の理由なくこのような態度に出たことからすれば,今後も違法な取調べを繰り返し行う可能性はかなり高いと考えられる。そして被害品は,違法な取調べによって作成された供述調書①を疎明資料として発付された捜索差押許可状に基づく捜索によって発見され,差し押さえられたものであるから,違法手続と被害品との間には関連性がある。この点,捜索差押許可状の発付段階で裁判所による審査を経てはいるものの,疎明資料には供述調書①が提出されたのみで,裁判所としてはそれに基づいて審査を行っていることからすれば,違法手続と被害品との間の関連性は密接である。そうすると,違法手続と被害品獲得との因果性は強いということができる。したがって,被害品を証拠として許容することは,将来における違法な捜査の抑止の見地からして相当でないと認められる。
 3.よって,被害品は,証拠能力が認められないため,裁判所はこれを証拠として採用することができない。
第3.供述調書②の証拠としての採否について
 1.供述調書②は,警察官Bが黙秘権の告知を行ったうえでされた取調べによって作成されており,それ自体の手続違反は認められない。しかし,ここでの甲の供述内容は,供述調書①におけるのと同様であるから,このような自白についても「任意にされたものでない疑のある自白」にあたり,証拠として採用することができないのではないか。
 2⑴ 自白法則の上記趣旨に照らし,先行する取調べによって獲得された自白が虚偽であるおそれがある場合の,後行の取調べによって獲得された自白の任意性は,同様に,類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあったか否かによって判断する。
  ⑵ BがAと同じ警察官という立場にあることからすれば,Aに対して弁解しても無駄であればBに対して同じことをしても無駄であろうと考えても自然である(※3)。そうすると,Bが積極的にAの取調べによる心理的圧迫を遮断するような措置を講じない限り,Bによる取調べにおいても類型的に虚偽の自白を誘発するおそれが継続していると言わざるを得ない。そして,Aによる取調べとBによる取調べとは時間的間隔があまりないと考えられるうえ,BはAの指摘した事実は虚偽である旨を説明したうえで,再度供述内容を考えなおさせる等,積極的にAの取調べによる心理的圧迫を遮断するような措置を講じていない。
 以上からすると,Bによる取調べにおいても類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあるといえる。
  ⑶ したがって,供述調書②は,「任意にされたものでない疑のある自白」にあたる。
 3.よって,供述調書②は,証拠能力が認められないため,裁判所はこれを証拠として採用することができない。
以 上



(※1)浦和地裁平成3年3月25日判決(刑訴百選10版72事件)のかっこ書部分参照。
(※2)違法収集証拠排除法則の1つ目の要件は,判例では「憲法35条及びこれを受けた刑事訴訟法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり」とされていますが,本件では取調べの態様を問題としており,「令状主義」の話にそもそもならないため,このような言い回しに代えています。古江刑訴でも触れられていたかと思います。
(※3)はじめにこの部分を「……と考えるのが通常である」としていましたが,本当にそれが通常かどうかわからないですし,仮にマイナーな考えであったとしたら,採点実感でキレられるので(過去に変なことを欠いた答案に対して常識を疑うみたいな記述をしていた気がします。),まぁこう考えてもおかしくはないよね???くらいの記述にとどめました。
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