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2016-07-24(Sun)

【旧司】民事訴訟法平成7年第2問

この時期になぜか破産法の判例研究をしている管理人です。

聴講しているゼミのディベートに向けた研究です。

聴講生なのになぜか班長になってしまうという素晴らしいゼミです。

これ以上は何も言いません。

さて,今日は民訴です。

≪問題≫
 甲は,株式会社乙の商業登記簿上の代表取締役丙を乙の代表者として,乙に対し,売買代金の支払を求める訴えを提起した。丙は,乙の代表者としてこの訴訟の訴状の送達を受け,口頭弁論期日に出頭して,甲の請求を争った。丙は,訴訟の審理がかなり進んだ段階で,自分は乙の代表取締役に選任されたことはなく,乙の真実の代表取締役は丁である旨を口頭弁論期日において陳述した。
 右の場合における訴訟法上の問題点及び裁判所が採るべき措置について論ぜよ。

表見法理出すかぁ~って感じですね。

とりあえず判例への言及は必須でしょうね。

ちなみに,出題当時は会社法なる法律は存在しませんでしたが,

現在は,会社法があるので,問題が「株式会社」と指定していることから,

会社法を前提に解いていくことにしました。

そうはいっても別に大して変わることはないんですが。

≪答案≫
1.株式会社乙は,法人(民法34条)である。法人について,法定代理人に関する規定は,法人の代表者について準用される(37条)。そうすると,法人の代表者は,訴状における必要的記載事項(37条,133条2項1号)である。したがって,この表示に誤りがある場合には,追認がない限り(34条2項),裁判長は,相当の期間を定め,補正を命じ(137条1項),送達からやり直さなければならない。そして,原告が不備を補正しないときには,裁判所は訴えを却下すべきである。
 そして,代表権の存否は,適切な訴訟振興という公益的側面から必要とされるから,裁判所はこれについて職権で調査を開始し,これに関する資料も職権で探知・収集すべきである。
 本問においても,裁判所は,調査の結果,乙の代表者が丙であれば,訴訟手続を進行させる。他方,乙の代表者が丁であることが判明した場合には,裁判所は,甲に対し,訴状の補正を命じる。そして,甲がこれに従わなかった場合には,訴えを却下することになる。
2(1)もっとも,甲は,乙の商業登記簿の記載に従って丙を代表者として訴状に記載している。それにもかかわらず,丙の自分は代表取締役に選任されたことはないという発言のみをもって,従前の訴訟を覆滅させるとすると,訴訟経済に反する上,原告甲にも酷である。そこで,登記を信頼した者を保護することができないかが問題となる。
 (2)この点,表見法理によらないと,登記を信じた相手方の信頼を裏切る一方,無権限者が代表権を有するような外観を放置・作出した法人を保護する結果となり,公平に反するとして,表見法理の適用または類推適用を認める見解がある。
 これによれば,本問では,会社法908条2項の適用または類推適用により,乙は真の代表者が丁であることを甲に対抗することができない結果,代表者の表示に誤りがないことになる。
 (3)しかし,実体法上の表見法理の規定は,あくまで取引の安全を図る趣旨のものであり,必ずしも訴訟上の適用を予定するものではない。また,仮に適用または類推適用を認める見解に立った場合,被告たる法人は無権限者による訴訟追行の結果を,不利益なものであれ甘受しなければならず,かえって公平を害することとなる。したがって,上記見解を採用することはできない。
 前述のように,代表権の存否については,職権探知事項・職権調査事項とされていることから,仮に原告が登記簿上の代表者の記載を信頼したとしても,訴訟上その信頼の保護の要請は弱まっていると考えられる。また,取引の相手方保護を図った規定である商法24条及び会社法13条は,表見支配人のした訴訟上の行為を除外していることから,実体法上も表見法理に関する規定を訴訟上にも反映させることは予定していないといえる。
 したがって,原則として,訴訟上の行為につき,表見法理の規定を適用すべきではないと考える。
 (4)それでも,原告としては,実際上登記の記載に依拠して訴状を作成しなければならないことに鑑みると,原告の不利益はやはり大きい。
 そこで,法人が訴訟係属を知り得る状況にあったにもかかわらず,法人の側から代表者変更の通知がなされなかった等の特段の事情がある場合には,表見法理の規定を類推適用し,旧代表者による訴訟追行の結果を覆滅させるべきではないと考える。
 このように考えても,表見法理の規定は,訴訟上の適用を禁じるまでの趣旨を含むものではないから,上記の見解と整合する。
 これによれば,本問では,丙は,訴訟の審理がかなり進んだ段階まで自己が無権限者であることを陳述していないが,この間に乙が本件訴訟の係属について知り得る状況にあったといえるならば,それにもかかわらず乙は代表者変更の通知等を行っていないから,会社法908条2項を類推適用し,乙は丙が無権限であることを甲に対抗することができない。したがって,裁判所は,訴訟を信仰させるべきである。
 他方,乙が本件訴訟係属を知り得る状況になかった場合には,裁判所は,甲に対し,訴状の補正を命じるべきである。そして,甲がこれに応じなかった場合には,裁判所は本件訴えを却下すべきである。
以上

下線部の点について,訴状が会社ではなく,登記簿上の代表者に送達された場合でも,表見法理は適用すべきではないか,という添削された方からのコメントをいただきました。原告の利益と会社の利益との衡量の問題だと思いますが,考えてみたいと思います。

これは,完全に私見ですが,民訴における表見法理の問題が出たときには,

中間説に立つのが一番いいのかなぁと思います。

というのは,最も事案の分析をするのに適しているうえ,妥当な結論を得られやすいからです。

ただ,判例は否定説に立っているので,それを踏まえたうえでという感じですね。

中間説では原則否定になるので,判例にも触れやすく,論じやすいと思います。

ただし,中間説では,どのような場合に例外を認めるべきか,

学説によって複数の見解が提示されていますので,

これについてもちゃんと明示してあげるべきだと思います。

まぁでも正直ここの論点はどの説とってもいいような気がします。

私個人としては,むしろ否定説の方が分が悪いかなという気はしています。

いずれにせよ,説得的に論じる必要がありそうです。

以上
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2016-07-22(Fri)

【ロー過去】中大ロー平成23年商法

夜型から朝型に変えようと5時半起きにチャレンジして見事三日坊主の管理人です。

今日は中大ローの商法です。

またかよとか言わないでください。

≪問題≫
次の【事実】1~6を読み,下の【設問】に答えなさい。

【事実】
1 Aは,甲株式会社(取締役会設置会社・監査役設置会社。以下「甲社」という)の監査役である。
2 甲社では,社長であるB1と専務であるC1の関係が険悪になっており,役員・使用人の多くがB派とC派に分かれて反目しあっている。甲社には6人の取締役がいるが,そのうちB1を含む3人(B1,B2,B3)がB派に,C1を含む2人(C1,C2)がC派に属しており,唯一Dが中立的な立場を守っている。代表取締役は,B1,B2とDの3人である。
3 平成22年8月13日に,甲社で臨時取締役会(以下「本件取締役会」という)が開催され,B2,B3,DおよびAが出席して,甲社の所有する不動産(以下「本件不動産」という)をB1に5000万円で売却する旨の売買契約を締結すること(以下「本件議案」という)について審議がなされた。本件不動産の帳簿価格は5000万円であり,これは甲社の総資産額の15%に該当する。
4 しかし,不動産事業につき知識・経験を有するDは,本件不動産の適性売却価格は,8000万円を下ることはないと考えたため,その旨を繰り返し発言し,Aもこの点について説明を求めた。しかし,B2,B3は契約書の様式などの形式的な事柄だけを論じるだけで,売買価格の当否について具体的な説明を行うことのないまま本件議案の採決が行われ,B2,B3の2人が賛成し,反対派Dのみであったため,本件議案は賛成多数で可決された。
5 翌14日に,B2が甲社を代表して,本件不動産を5000万円で売却する契約がB1との間で締結された。
6 ところが,同月20日になって,本件取締役会については,B1はB2,B3,DおよびAに対してのみ招集通知を発しており,C1,C2は本件取締役会については何ら知らされていなかったことが判明した。また,上記【事実】4に示された本件取締役会におけるB2,B3の議事の進め方は,事前にB1と相談して行ったものであることも明らかとなった。

【設問】
 AとDは,本件不動産の売買には問題がある,甲社が本件不動産を取り戻すこと,本件不動産の売買から生じた甲社の損害を弁償することを目的として,B1を相手取って訴訟を提起することはできないか,と検討している。どのような訴訟を提起すべきか,請求は認められるか,について論じなさい。

(120点)

当たり前ですけど,設問はちゃんと読まないといけないですね。

今回,AとDの最終的な狙いとしては

①本件不動産の取り戻し
②損害の弁償

の2つあるわけですよね。

本番焦ってたりすると,片方検討し忘れるなんてことがありそうで怖いです。

≪答案≫
第1.甲社が本件不動産を取り戻すことを目的とした訴訟
 1.A及びDは,B1に対し,本件不動産の取得は不当利得であるとして,その返還を請求する訴訟を提起すべきである(民法703条,704条)。
 2(1)A及びDは,甲社とB1間の本件不動産に関する売買契約(民法555条)は,有効な取締役会決議を経ておらず,無効であって,本件不動産の取得は「法律上の原因」がないと主張する。
  (2)本件売買契約の締結は,「重要な財産の処分」(362条4項1号)にあたり,取締役会決議が必要ではないか。「重要な財産」の意義が明らかでなく問題となる。
 法が「重要な財産の処分」について取締役会決議を有するとして趣旨は,不当に会社財産が流出することを防ぎ,もって会社経営の健全性を維持するためである。したがって,会社経営の健全性が害されるような財産の流出がある場合には「重要な財産の処分」といえる。このとき,当該財産自体の額,当該財産が会社資産全体に占める割合,当該財産の保有目的,当該財産の処分態様,従来の取り扱い等を総合的に考量すべきである。
 これを本問についてみると,本件不動産は,その帳簿価格が5000万円であり,金額自体が高額であるうえ,これは甲社の総資産額の15%にあたり,資産状況のわずかな変化でも,経営に打撃を受ける会社においては,15%は,その全体に占める割合としてもかなり大きいものといえる。そして,本件売買契約は,取締役会の決議の有効性に疑念を生じるものであって,処分態様にも瑕疵がある。
 したがって,本件売買契約の締結は,「重要な財産の処分」にあたる。
  (3)そうすると,本件売買契約締結にあたっては,取締役会決議を要する。この点,B1は,本件売買契約の当事者であって,一切の私心を去って取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に従った公正な議決権の行使をすることが必ずしも期待することができず,会社の利益と衝突する個人的利害関係を有するから,「特別の利害関係」を有している(369条2項)。そこで,本件取締役会は,B1を除いた5名の取締役によってなされるべきところ,B2,B3,Dの3名が出席し,このうちB2,B3の2名が本件議案に賛成しているから,それぞれの過半数の要件を充足している(369条1項)。したがって,本件取締役会は,有効であるとも思える。
 しかし,本件取締役会の開催にあたって,C1及びC2に対して,招集通知(368条1項)が発せられていない。招集通知は,取締役に出席・準備の機会を与える役割を果たす点,及び取締役会においては831条2項のような規定が置かれていないことにも鑑みれば,招集手続に瑕疵のある取締役会決議は,法の一般原則から無効であると考える。したがって,本件取締役会決議も無効である。
  (4)もっとも,取締役会決議を欠いたことは,内部的意思決定の瑕疵にとどまるため,取引の安全の観点から,取締役会決議を欠く重要な財産の処分は,私法上原則有効とすべきであるが,相手方が決議の欠缺について知り,または知ることができたときは無効である。
 本問のB1は,甲社の取締役であって,しかも本件取締役会の招集通知を発した張本人であるから,取締役会決議の欠缺について知っていたといえる。したがって,本件売買契約は無効である。
  (5)よって,本件不動産の取得について,B1には「法律上の原因」がない。
 3.以上から。本件請求は認められる。
第2.本件売買契約から生じた甲社の損害を弁償することを目的とした訴訟
 1.A及びDは,B1に対して,任務懈怠に基づく損害賠償を請求する訴訟を提起すべきである(423条1項)。
 2(1)B1は,甲社の「取締役」であり,「役員等」にあたる。
  (2)「任務を怠った」とは,役員等が善管注意義務(330条,民法644条)及び忠実義務(355条)に違反したことをいうところ,役員等は忠実義務の一内容として法令遵守義務を負うから,法令違反の行為は直ちに「任務を怠った」といえる。
 本問において,B1は,前記のように,本件取締役会の招集手続に法令違反の瑕疵がある上,「重要な財産の処分」についても取締役会決議が無効であるから,法令違反の瑕疵がある。
 したがって,B1は「任務を怠った」といえる。
 またB1はこれにつき悪意である(428条1項反対解釈)。
  (3)本件売買契約によって,甲社は自己の不動産を逸失しており,本件不動産相当額の「損害」を受けている。そして,これはB1の任務懈怠から生じており,芯が関係もある。
 3.よって,本件請求は認められる。
第3.請求間の処理
 A及びDとしては,本件不動産が甲社に取り戻されることを期待しているから,上記不当利得返還請求を主位的請求とし,上記損害賠償請求は,主位的請求が認容されることを解除条件とする予備的請求とする。
以上

ここの下線部の記述は不要でした。

中大ローの問題は素直な問いが多い気がします。解きやすいです。

まぁ,まだ商法しか解いたことがないんですけれども(1か月きってるのに)。

最後の請求間の処理は,設問では問われていませんが,

複数請求権が認容される可能性がある場合には,

相互の処理についても触れるべきではないかなあと思います。

今日は答練があって疲れたのでもう寝ます。おやすみなさいまし。

以上
2016-07-20(Wed)

【旧司】刑法平成16年第1問

TSUTAYAのレンタルが今月いっぱい半額になる券を手に入れたおかげで,

とりあえずみだりにCDを借りまくっている管理人です。

天気がずっと不安定で,おかげさまで勉強に対するモチベーションも不安定ですが,

なんと今日で中大ロー入試まで1か月前になってしまいましたため,

やる気が出ないとか,そんなこと言ってられなくなりました。

焦燥感が絶えません。

今日は旧司刑法平成16年度第1問です。

旧司刑法が連続しますが,管理人は刑事系科目が大の苦手なので,

答案を書くのもやはり刑事系が多くなってしまいます。悪しからず。

≪問題≫
 甲は,交際していたAから,突然,甲の友人である乙と同居している旨告げられて別れ話を持ち出され,裏切られたと感じて激高し,Aに対して殺意を抱くに至った。そこで,甲は,自宅マンションに帰るAを追尾し,A方玄関内において,Aに襲いかかり,あらかじめ用意していた出刃包丁でAの腹部を1回突き刺した。しかし,甲は,Aの出血を見て驚がくするとともに,大変なことをしてしまったと悔悟して,タオルで止血しながら,携帯電話で119番通報をしようとしたが,つながらなかった。刺されたAの悲鳴を聞いて奥の部屋から玄関の様子をうかがっていた乙は,日ごろからAを疎ましく思っていたため,Aが死んでしまった方がよいと考え,玄関に出てきて,気が動転している甲に対し,119番通報をしていないのに,「俺が119番通報をしてやったから,後のことは任せろ。お前は逃げた方がいい。」と強く申し向けた。甲は,乙の言葉を信じ,乙に対し,「くれぐれも,よろしく頼む。」と言って,その場から逃げた。乙は,Aをその場に放置したまま,外に出て行った。Aは,そのまま放置されれば失血死する状況にあったが,その後しばらくして,隣室に居住するBに発見されて救助されたため,命を取り留めた。
 甲及び乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。

あーあ,また刺しちゃった……って感じですね。

なんか,人刺そうと思ったらとりあえず出刃包丁か日本刀でやったれみたいな風潮なんなんですかね。

そんなに人を殺すのに適しているんですかね……

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あっ,だいぶ切れ味よさそうですね。

ってか「出刃包丁」が検索履歴に残るのなかなかヤバいな……

≪答案≫
第1.甲の罪責について
 1.甲が,Aの自宅マンションに立ち入った行為は,住居権者であるAの意思に反するものであるから,上記行為につき住居侵入罪(130条前段)が成立する。
 2(1)甲が,出刃包丁でAの腹部を突き刺した行為につき殺人罪(199条)が成立しないか。
 出刃包丁は,先端が鋭く,かつ,刃渡りもカッターナイフ等に比べれば長いため,これを臓器の集中する腹部に突き刺せば,生命侵害の危険性は非常に高い。したがって,上記行為は,殺人罪の「実行に着手」した(43条本文)といえる。
 もっとも,本問においては,Aは命を取り留めているから,甲の上記行為については殺人未遂罪(203条)が成立する。
  (2)ところで,甲は上記行為の直後,Aの出血を見て驚がくし,悔悟して,タオルで止血しながら,携帯電話で119番通報をしようとしている。これらの点から,甲はAの死亡結果を回避するための努力をしたとして,中止犯(43条ただし書)が成立しないか。
   ア、甲は中止行為を「自己の意思により」行ったといえるか。
 中止犯が系の必要的減免を受けるのは,第一次的には,自らの意思に基づいて中止行為を行うという行為者の真摯な人格態度が責任を減少させるとともに,第二次的には,犯罪行為に踏み込んだ者に後戻りの動機を与え,犯罪を防止しようとする刑事政策的配慮が働くからである。したがって,「自己の意思により」行為をしたといえるかどうかは,行為者の主観において,外部的障害の影響を受けずに行為をしたか否かで決すべきである。そして,中止行為が外部的事実の表象を契機としつつも,犯人がその表象により必ず中止行為に出るとは限らない場合に,あえて中止行為に出たときは,任意の意思によるものといえる。
 これを本問についてみると,甲はAの出血を見て驚がくしただけではなく,大変なことをしてしまったと悔悟しており,この感情が相俟って中止行為に出ている。そうすると,殺人を試みた犯人が,被害者の出血を見ても悔悟の情を抱くとは限らず,通常はこれを放置するものと考えられるところ,甲はあえて止血や119番通報をしようとしている。
 したがって,甲は「自己の意思により」当該行為に出たといえる。
   イ、そうであっても,甲は「犯罪を中止した」といえるか。
 上記の中止犯の必要的減免の根拠からすれば,中止行為をしたといえるためには,犯人の真摯な努力が必要である。そして,実行未遂の場合にあっては,犯人の実行行為は終わっているのであるから,結果発生阻止のための積極的な努力が必要であると考える。
 これを本問についてみると,たしかに甲は,タオルで止血をし,携帯電話で119番通報を試みるなど,結果発生阻止のための努力はしているともいえる。しかし,タオルでの止血は,応急的な措置にすぎず,一刻も早く適切な治療を受けなければ,生命侵害の危険性は依然高いままである。そのような中で,119番通報は,実際にはつながっておらず,上記状況を打開できる段階に至っていない。それにもかかわらず,甲は気が動転していたとはいえ,安易に乙の言葉を信じ,かつ,自己保身の目的で逃走している。そうすると,甲は結果発生阻止のための積極的な努力をしたとはいえない。
   ウ、したがって,甲に中止犯は成立しない。
 3.よって,甲のこれらの行為につき,住居侵入罪及び殺人未遂罪が成立し,両罪は,社会通念上手段と目的との関係にあるから,牽連犯(54条1項後段)となる。
第2.乙の罪責について
 1.乙が,甲を偽り,その場から逃げさせたうえ,Aを放置した行為について,殺人未遂罪が成立しないか。放置という不作為が,殺人罪の実行行為となるかが問題となる。
 2(1)実行行為とは,法益侵害の現実的危険性を有する行為をいい,不作為であっても,かような危険性を有する場合があるため,不作為による実行行為も観念することができる。
 しかし,これを無制限に認めると,処罰範囲が不当に広くなりすぎるため,当該不作為に出た者に①作為義務が存在し,②その者に作為が可能かつ容易であったといえる場合に限って,実行行為性を認めるべきである。
  (2)これを本問についてみると,①乙は,A方玄関内において,甲に逃走するよう仕向けているところ,玄関内では,通常他人から発見されにくい場所であるから,ここから甲を脱出させたことによって,乙はAに対して排他的支配を及ぼすに至っている。また,乙がAとの同居人であることからすれば,乙には,Aを救護すべき義務があったといえる。そして,②Aを救護するには,乙が改めて救急車の手配を試みるなどすればよかったのであり,乙にとってAの救護は可能かつ容易であったといえる。
 したがって,乙がAを放置することは,卒人材の実行行為にあたる。
 3.よって,乙の上記行為に殺人未遂罪が成立する。
以上

ここで「可能」と「容易」の順番は気を付けないといけないようです。すなわち,「可能」でなければ「容易」であったかどうかという話にならないため「容易かつ可能」とすると,論理的におかしいとのことです。試験でやらかすと減点対象らしいです(以上,某元司法試験委員談)。なお,某スタンダードは「容易」かつ「可能」としていました。

なにやら,シンプルな問題でした。

主な論点は,中止犯と不真正不作為犯だけという感じですかね。

自主ゼミの中では,乙が甲に偽った行為に,犯人隠避罪が成立するのではという意見もありました。

これについては,正直よくわかりません。

ただ,大阪高判昭59・7・27からすると,少し厳しいような気もします。

まぁ,評価次第なんでしょうね。

この年は第2問の方がエグかったようなので,第1問で時間調整って感じですかね。

いつもより気楽に刑法の問題を解けたような気がします。

次は別の科目やります。

以上
2016-07-15(Fri)

【旧司】刑法平成14年度第1問

何もやる気がでない管理人です。

今日は旧司刑法平成14年度第2問です。

≪問題≫
 甲は,Aに電話で罵倒されたため憤激し,A方に赴けば必ずけんかになるだろうと思いながら,この機会にAを痛めつけようと考え,こん棒を用意するとともに,友人の乙に,こん棒を持っていることは隠し,これからA方に話し合いに行くが,けんかになったら加勢してほしいと依頼した。乙は,気が進まなかったが,けんかの加勢くらいはしてやろうと考えてこれを承諾し,一緒にA方に行った。甲は,Aを呼んでも出てこないので裏口に回り,乙は,玄関先で待っていたところ,出てきたAが乙を甲と取り違え,いきなり乙に鉄棒で殴り掛かってきた。そこで,乙は,Aの攻撃を防ぐため,玄関先にあったコンクリート片をAに向かって投げたところ,コンクリート片はAの顔に当たり,顔面擦過傷を負わせ,さらに,Aの背後にいたBの頭にも当たり,頭部打撲傷を負わせた。なお,コンクリート片を投げたとき,乙はBがいることを認識していなかった。
 甲及び乙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。


あーって感じです。こんなような判例あったようなみたいなような。

コンクリート片を投げるなんて怪力だなぁ……

≪答案≫
第1.乙の罪責(Aとの関係)
 1.乙がコンクリート片を投げ,これをAの顔面に当て,もってAに顔面擦過傷を負わせた行為について,傷害罪(204条)が成立しないか。
 2.本条にいう「傷害」とは,人の生理的機能を障害する行為をいう。乙は,Aに向けて本件コンクリート片を投げており,これによってAは顔面擦過傷を負っており,生理的機能を障害しているから,乙の上記行為は,「傷害」にあたり,傷害罪の構成要件を充たす。
 また,コンクリート片のような通常硬く角ばった物を人に接触させれば,これによって外部的障害を負わせることになるから,乙には傷害の故意があるといえる。
 3.もっとも,乙はAの攻撃を防ぐために上記行為に出ているから,乙の上記行為は,正当防衛(36条1項)にあたるとして,違法性が阻却されないか。
  (1)本条にいう「急迫」とは,法益の侵害が現に存在し,または間近に押し迫っていることをいう。本条が正当防衛について侵害の急迫性を要件としているのは,予期された侵害を避けるべき義務を課す趣旨ではない。したがって,当然またはほとんど確実に侵害が予期されたとしても,そのことから直ちに侵害の急迫性が失われるものではない。
 これを本問についてみると,乙は,A方に向かう前に,甲から「けんかになったら加勢してほしい」と依頼を受けていることから,Aとけんかになるかもしれないことを認識しており,Aからの侵害行為も予期していたと考えられる。しかし,乙は,あくまで甲A間のけんかに加勢つもりでいただけであって,積極的にAに対して加害行為を行う意思等はなかったのであるから,未だ侵害の急迫性は失われないと考える。
  (2)本条にいう「不正」とは,違法を意味する。Aが乙に対して鉄棒で殴りかかった行為は,少なくとも暴行罪(208条)にいう人の身体に対する不法な有形力の行使といえるから,違法な行為であって,「不正」の侵害といえる。
  (3)乙は,上記行為によって,Aの上記侵害行為から守ろうとしているのは,自己の身体であって,「自己…の権利」にあたる。
  (4)そして,正当防衛を肯定するにあたって,主観的正当化要素としての防衛の意思が必要である。乙は,あくまで話合いが前提でA方に赴いているところ,Aは玄関から出てきて,いきなり鉄棒で殴りかかってきているため,乙の想定していた状況と合致せず,乙の身体の安全が侵害される緊急状況下にある。乙は,当該侵害を認識しながら,もっぱらAの攻撃を防ぐため,本件コンクリート片をAに向かって投げており,上記侵害行為を避けようとする単純な心理状態で行ったものと認められる。
  (5)また,Aの上記侵害行為は,鉄棒を伴うものであるから,これに対してコンクリート片を投げたというのは,相当性を欠くものではなく,「やむを得ずにした行為」といえる。
  (6)したがって,乙の上記行為には正当防衛が成立する。
 4.よって,乙の上記行為は,違法性が阻却されるから,傷害罪が成立しない。
第2.乙の罪責(Bとの関係)
 1.乙がコンクリート片を投げ,これをBの頭部に接触させ,もってBに頭部打撲傷を負わせた行為について,傷害罪が成立しないか。
 2(1)乙の上記行為により,Bに頭部打撲傷の生理的機能に対する障害を負わせているから,上記行為は「傷害」にあたり,傷害罪の客観的構成要件は充たす。しかし,乙は上記行為をした当時,Bがいることを認識していなかったのであるから,構成要件的故意が欠けるのではないか。
  (2)構成要件的故意とは,客観的構成要件該当事実の認識・認容をいう。そうすると,同一構成要件要素に関する事実を認識・認容していれば,具体的事実につき認識が欠けても,客観的構成要件要素の認識・認容に欠けるところはなく,構成要件的故意は認められる。そして,このように故意を抽象的にとらえる以上,その個数は問わない。
  (3)これを本問についてみると,乙はもともとAに対して傷害の故意を有していた以上,それは,Aとの関係のみならず,Bとの関係においても認められることとなる。したがって,乙にはBに対する傷害の構成要件的故意が認められる。
 3(1)それでは,乙の上記行為について違法性が阻却されないか。
  (2)Bは,乙に対して,何ら侵害行為を行っていないから,正当防衛が成立することはない。
  (3)しかし,乙は,前述のように,Aからの上記侵害行為を避けるために上記行為に出ているから,「現在の危難を避けるため」にしたものといえる。そして,鉄棒を構えたAが目前まで迫っていたことからすれば,これを避けるためには,本件コンクリート片を投げるしか方法がなく,かかる行動に出たことが条理上肯定できるから,「やむを得ずにした行為」といえる。また,防衛の意思は避難の意思を含むと考えられるから,Aとの関係で防衛の意思を有する乙は,Bとの関係でも避難の意思を有する。したがって,乙の上記行為には,緊急避難(37条1項)が成立する。
 4.よって,乙の上記行為は,違法性が阻却されるから,傷害罪が成立しない。
第3.甲の罪責
 1.乙が,Aに対し,顔面擦過傷を負わせた行為について,甲に傷害罪の共同正犯(204条,60条)が成立しないか。
  (1)甲は,自ら実行行為を行っていないが,それでも上記罪責を負うか。
 60条が一部実行全部責任を定めたのは,複数の者が,相互に対手の行為を利用・補充しあって,実行行為に出ることを根拠とするものであるから,共同者は必ずしも実行行為を分担する必要はない。そこで,複数の者の共同意思のもとに実行行為が行われれば,共同正犯は成立すると考える。
 これを本問についてみると,甲は,Aを痛めつけようと考えたうえ,乙にけんかの加勢を依頼し,乙もこれを承諾しているから,Aに傷害を加える点につき共同意志がある。そして,乙はこれを受けてAに傷害を負わせている。したがって,同罪の構成要件に該当する。
  (2)しかし,乙は前述のように,正当防衛による違法性阻却を受ける。そこで,甲はも正当防衛による違法性阻却を受けないか。
 正当防衛における主観的要素は,各行為者固有の要素であるから,主観的成立要件は個別的に判断されるべきであると考える。
 これを本問についてみると,甲は,「A方に赴けば必ずけんかになる」との認識のもと,「この機会にAを痛めつけよう」と考えていることからすれば,法益の侵害を,単に予期しながら避けなかったというにとどまらず,その機会を利用して積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んでいる。そうすると,甲については,「急迫」な「侵害」があったとはいえない。
 したがって,甲の上記行為について正当防衛は成立しない。
  (3)よって,甲の上記行為に,傷害罪の共同正犯が成立する。
 2.乙が,Bに対して,頭部打撲傷を負わせた行為について,甲に傷害罪の共同正犯が成立するかにつき,上記と同様に考えれば,甲の上記行為は,同罪の構成要件に該当し,緊急避難も成立しないから,同罪の共同正犯が成立する。
以上

乙対Aだは構成要件レベルでは特に問題はないので,もっと短縮した方がよかったと思います。


非常に疲れました。

4頁最終行までいってしまいました。

所々余計なことを書きすぎた感が否めません。

こんなこと書いてたらとても60分じゃ終わりませんね。

もってメリハリをつけれるようになりたいです。

頑張ります。

以上

2016-07-14(Thu)

【旧司】民事訴訟法平成10年第2問

北極ラーメンのカップ麺が復活して大歓喜の管理人です。

さて,今日も,自己満の究極ともいえるほどつまらない記事を書いてしまいます。

今回のお題は,旧司法試験民事訴訟法平成10年第2問です。

早速問題を確認してみましょう。

≪問題≫
 Yは,Xに対し,次の各事由を主張してそれぞれの確定判決の効力を争うことができるか。
一 XのYに対する売買代金請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後,YがXに対し,その売買契約はXにだまされて締結したものであるとして,取消しの意思表示をしたこと
二 XのYに対する賃金返還請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後,YがXに対し,事実審口頭弁論終結前より相殺適状にあった金銭債権をもってXの賃金返還請求権と対当額で相殺するとの意思表示をしたこと
三 賃貸人Xの賃借人Yに対する建物収去土地明渡請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後,YがXに対し,事実審口頭弁論終結前から存在する建物買取請求権を行使したこと

さて,民訴でお馴染みの既判力の問題ですね。

しかも論点としては結構有名なところです(勝手にハードルを上げ始める。なお出来)。

遮断効がうんたらうんたら……基準時がかんたらかんたら……たんたかたん……

っていうことを書いていけばいいんじゃないんですかねえ(正直よくわかっていない)。

そして私の答案は以下の通り。

≪答案≫
第1.小問一
 1.Yは,本件売買契約について詐欺取消し(民法96条1項)を主張している。これは,X勝訴判決の既判力によって遮断されないか。
 2.既判力とは,前訴確定判決の後訴に対する通用力ないし拘束力をいう。そして,既判力の正当化根拠である手続保障は,口頭弁論終結時にまで及ぶので,これを基準時として,「主文に包含」(114条1項)された訴訟物につき,「当事者」(115条1項1号)に対して既判力が生じる。そして,当事者がこれと抵触する事由を主要する場合には,既判力の消極的効力として当該主張は遮断される。
 本件でも,口頭弁論終結時を基準時として,XY間に,XのYに対する売買代金請求権が存在することにつき,既判力が生じる。そして,Yの前記主張は,売買代金請求権の存在と抵触するため,遮断されるようにも思われる。
 3.もっとも,取消権は,その行使の意思表示によって効果を生ずる形成権である。その点に注目すれば,本件におけるYの主張は,X勝訴判決確定後になされているため,取消権行使は基準時後の事由であるとも考え得る。そこで,取消権が基準時後の事由といえるかが問題となる。
  (1)既判力の正当化根拠は手続保障にある。そうすると,ある事由が基準時前後のいずれの事由であるかも,基準時前に手続保障があったといえるか,すなわち,当事者に当該事由について主張させる期待可能性があったといえるか否かによって判断すべきである。
  (2)取消権は,請求権自体に付着する瑕疵であり,当該請求権と併せて審理・判断されるべき性質の権利である。そして,取消権は請求権に対する権利障害事由であるから,取消権を有する者は,これを行使することにより自己に有利な審理・判断を促すことができる。そのため,前訴においてこれを提出できない理由はないというべきである。そうすると,前訴における取消権行使の期待可能性も十分に認められる。
  (3)本件でも,Yの主張する詐欺取消しは,基準時前の事由としてX勝訴判決の既判力により遮断される。
 4.よって,YはXに当該事由を主張することができない。
第2.小問二
 1.Yは,本件貸金返還請求権に対して相殺(民法505条1項)を主張している。これはX勝訴判決の既判力によって遮断されないか。
 2.相殺の主張も,X勝訴判決を覆す結果となり,貸金返還請求権の存在と抵触するため,遮断されるようにも思われる。
 3.もっとも,相殺も,その行使の意思表示によって効果を生ずる形成権である。そこで,相殺が基準時後の事由といえるかが問題となる。
  (1)相殺は取消権と異なり,請求権とは独立した別個の債権の行使であり,請求権自体に付着した瑕疵とはいえない。また,自己の債権を犠牲にする点で,実質的には自動債権について敗訴したものといえる。そうすると,請求権の全面棄却を求めて争っている被告に対し,相殺の主知用をさせることは酷であり,前訴において相殺を主張させる期待可能性があったとはいえない。
 したがって,相殺は,基準時後の事由であり,前訴確定判決の既判力によって遮断されない。
  (2)本件でも,Yの相殺の主張は,基準時後の事由としてX勝訴判決により遮断されない。
 4.よって,YはXに当該事由を主張して争うことができる。
第3.小問三
 1.Yは,本件建物収去土地明渡請求に対して,建物買取請求権(借地借家法13条1項)を主張している。これは,X勝訴判決の既判力により遮断されないか。
 2.建物買取請求権も,X勝訴判決のうち,建物収去の部分を覆す結果となるから,X勝訴判決と抵触し遮断されるようにも思われる。
 3.もっとも,建物買取請求権も,その意思表示が相手方に到達したときに建物について売買契約が成立することから,形成権である。そこで,建物買取請求権の行使が基準時後の事由とならないかが問題となる。
  (1)建物買取請求権は,建物を取り壊すことが社会経済上不利益であることから,これを存続させる趣旨で設けられた制度であり,前訴請求権とは別個の原因に基づいて発生する権利であり,前訴請求権に付着する瑕疵ではない。また,被告としては,そもそも前訴請求権の不存在を争っているのであるから,建物買取請求権の行使は,実質的に敗訴を認めるものである。そうすると,前訴において被告が建物買取請求権を行使する期待可能性があったとはいえない。
  (2)本件でも,Yの建物買取請求権は,前訴において行使する期待可能性があったとはいえないから,基準時後の事由である。
 4.よって,YはXに当該事由を主張して争うことができる。
以上

小問一では,Yが口頭弁論終結時まで欺罔されていることに気づかなかった場合はどうかということも検討するとよかったっぽいです。

民訴は(民訴に限りませんが)1つの視点を持てば,あとはそこから問題状況を考察するだけなので,

問題を解くだけなら,そんなに難しいことはないと思います。

……が,しかし,それだからこそ,民訴ってつまんないんですよね。

その視点から,あとは機械的な作業に似た感じで,事案処理……

っていうか,そもそもその視点を持つこと自体もなかなか大変なんですよね。

つまり,結論としては,民訴は総じて面白くないということです。

なんというか,民訴は眠素とはよく言ったものですね。

今晩はよく眠れそうです。

以上
2016-07-09(Sat)

【ロー過去】中大ロー平成20年会社法

超お久しぶりです。管理人です。

ここのところ本ブログは更新が途絶え,廃れ果ててしまいました。

なぜ,更新ができないのか。実は,管理人は,今年,ロースクール入試を控えているんですね。

意外にもちゃんと勉強しています。

そこで,唐突なのですが,このブログを当分の間,

私が解いた問題の答案を掲載する
死ぬほどつまらないブログにしようと思いました。

目的の1つは,私が書いた答案を保存すること。ブログならあとから訂正できますからね。

あと1つは,ネット上に私の
畜生にも劣る答案を曝すことで,少しご意見をいたたげたらなというところですかね。

ゴタゴタ言っていると時間がとられてしまうので,早速……

まずは手始めに,今日解いたばかりの中大ロー平成20年会社法を。


≪問題≫
 次の小問1および2の両方に解答しなさい。小問1の解答は解答用紙の表面に,小問2の解答は解答用紙の裏面に記入しなさい。(60点)

小問1
 甲社は,不動産の売買・賃貸の仲介を主たる事業とする株式会社であり,平成18年6月1日に設立の登記がされている。同社の定款には,株券を発行する旨の規定があり,株式の譲渡については譲渡自由という定めも譲渡を制限する定めも置かれていない。また,取締役会や監査役を設置する旨の定款の定めがあるが,監査役会や会計監査人を設置する旨の定めは置かれていない。甲社には現在,株主名簿上の株主が9名存在する。発行済株式総数は1200株であり,その中には株主が議決権を有しない株式は存在しない。
 平成19年1月10日に,甲社の株主であるAが所有する株式100株をすべて非株主であるBに譲渡した(以下,「本件株式譲渡」という)。翌11日に,BはAから交付を受けた甲社の株券100株を持参してAとともに甲社を訪問し,株主名簿の名義を自己に書き換えるように求めた。しかし,甲社の取締役会は,Aが甲社取締役に対して批判的な言動を繰り返していたことから,Bもまた会社にとって敵対的な人物に違いないと判断して,1月15日にBに内容証明郵便を発送し,その中で本件株式譲渡を認めないこと,株主名簿の書き換えを行わないことを伝えた。なお,この内容証明郵便は,同日にB宅に配達された。
 Bは甲社に対して,株主名簿の書き換えを請求し,甲社の株主であることを主張することができるか。

小問2
 上記の小問1の事実関係の下で,甲社は平成19年6月28日に第1回定時株主総会を開催することになった。甲社は同年6月4日に株主名簿上の株主に対して招集通知を発送したが,本件株式譲渡で譲渡の対象となった株式に関しては,A・Bいずれに対しても招集通知を発送しなかった。
 6月28日に予定通り開催された株主総会では,会社側が用意した次の3つの議案が審議された。すなわち,会社設立から平成19年3月31日までの第1期の事業年度について貸借対照表その他の計算書類を承認する第1号議案,株主に持株1株につき500円の剰余金配当を行う旨の第2号議案,C・D・Eの3名を取締役に再任する第3号議案である。いずれの議案も,Aを除く株主名簿上の株主8名のうち7名(うち1名は他の株主に委任状を交付して,議決権の代理行使を依頼したものである)(7名の持株数の合計は1000株)が決議に参加し,うち株主3名(持株数の合計は600株)が賛成した決議によって,可決・成立した。
 Bはこれら株主総会の決議の効力を争うことができるか。


問題自体の難易度は,特に難しいというわけでもなく。

しかし,中大の試験時間は,下3法で120分ですから,単純計算で会社法に充てられる時間は40分……

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや…………………………………

こんなの40分じゃ解けないでしょ……

私も最初は40分内で解いてやろうと思いましたが,結局1時間半くらいかかりました。

本番でこれをやったら,両訴にあてられる時間は1科目15分……(絶望)

とか思いましたが,この頃は,今と時間割が違っていたみたいです。

民法と会社法で120分のようです。

そうだとしても会社法に90分はどう考えてもヤバいです。

とりあえず,私が書いてみた答案を……

≪答案≫
第1.小問1
 1.Bは,甲社に対して,本件株式譲渡の有効性を主張して,株主名簿の名義書き換えを請求することができるか。
 2(1)そもそも,本件株式譲渡は有効か。
  (2)株主は,その有する株式を自由に譲渡することができるのが原則である(会社法(以下省略)127条)。そうすると,甲社の定款では,株式の譲渡について,これを制限する旨の定款の定め(107条1項1号,108条1項4号参照)を置いていないから,甲社発行の株式について,Aは自由に譲渡することができる。
  (3)そして,株券発行会社の株式の譲渡は,株券を交付しなければその効力を生じない(128条1項)ところ,BはAから,甲社の株券100株の交付を受けているから,有効である。
  (4)したがって,本件株式譲渡は有効である。
 3(1)それでは,Bは,甲社に対して,自己が甲社の株主であることを主張することができるか。
  (2)株式の譲渡の効力は,株主名簿の書き換えがなければ,会社に対抗することができない(130条1項,2項)。したがって,株主名簿の書き換えがなければ,会社に対して,自己が株主であることを主張することができないのが原則である。そうすると,未だ株主名簿の書き換えを経ていないBは,甲社の株主であることを主張できないようにも思える。
  (3)もっとも,本件では,Bが甲社に対し,株券を提示した上で,株主名簿の書き換えを請求している(133条1項,2項,施行規則22条2項1号)のに対し,甲社は,Bが甲社にとって敵対的な人物であるとして,名義書き換えを拒絶している。このような甲社の拒絶は認められるか。
 前記のように,株式の譲渡は原則として自由であること,また,会社が株式の取得について承認しうるのは,当該株式が譲渡制限株式である場合に限られていること(136条,137条,139条参照)からすれば,譲渡の制限について定款の定めがない限り,会社は,株式の譲渡を拒絶することができず,これに続く株主名義書き換えを拒絶することはできない。(※1
 そうすると,甲社では前記のように譲渡の制限について定款の定めがないから,Bからの株主名簿の書き換えの請求を拒絶することはできない。
 4(1)それでは,Bは,株主名簿の書き換えを請求した後,甲社が株主名簿の書き換えをするまでの間,自己が甲社の株主であることを主張することができるか。
  (2)130条の趣旨は,株式は譲渡が原則自由であることから,転々流通するため,会社からは誰が株主かを把握することは困難であるため,株主名簿によって集団的法律関係の統制を図る点にある。
 そうすると,会社が不当に株主名簿の書き換えを拒絶した場合には,会社が上記利益を享受することは信義則(民法1条2項)に反する。したがって,この場合には,株式譲受人は,株主名簿の書き換えなくして,株主たる地位を会社に対して主張することができる。
 5.よって,Bは,甲社に対して,株主名簿の書き換えを請求し,甲社株主であることを主張することができる。
第2.小問2
 1.Bは,平成19年6月28日開催の甲社株主総会(以下「本件株主総会」という。)について,その「招集の手続」に「法令…違反」の瑕疵があるとして,決議取り消しの訴え(831条1項1号)を提起することが考えられる。これは認められるか。
 2(1)そもそも,Bは「株主」(831条1項柱書)にあたるか。株主名簿の書き換えについて不当に拒絶を受けた株式譲受人の地位が問題となる。
  (2)前記のように,130条の趣旨すらすれば,株主名簿の書き換えについて不当に拒絶を受けた株式譲受人は,会社に対して,自己が株主であることを主張することができる。
 したがって,Bは,甲社の株主たる地位を主張できる。
  (3)よって,Bは「株主」にあたる。
 3.本件訴えは,甲社を被告とし(834条17号),同年9月28日までに出訴していれば(831条1項柱書),訴訟要件を充たす。
 4.そして,株主総会の招集にあたっては,株主総会開催日の2週間前までに,株主に対して通知を発しなければならない(299条1項)ところ,甲社は株主たるBに対して,本件株主総会の招集通知を発送していないから,「招集の手続」に「法令…違反」がある。
 5(1)もっとも,裁判所は,本件訴えを裁量棄却(831条2項)することはできないか。(※2
  (2)甲社が通知を発しなかったのは,B1名のみであり,他の株主への通知は適法に行っている。そして,その他に瑕疵かせない本件では,前記瑕疵は重大とはいえない。(※3
  (3)しかし,本件株主総会にBが出席していれば,出席株主の持株数の合計は1100株となり,これに対して600株というのは半数に近いものである。その上でBが本件株主総会に出席し,自己の意見を述べることによって,賛成していた株主が反対に回り,反対多数となっていたことも十分に考えられる。
 そうすると,前記瑕疵は,決議に影響を及ぼさないとはいえない。
  (4)よって,裁判所は,本件訴えを裁量棄却することはできない。(※2参照)
 6.以上から,Bは前記訴えによって本件株主総会の効力を争うことができる。
以上

※1.甲社は株券発行会社であって,BはAから株券の交付を受けているので,ここでは株券の占有者についての推定規定(会社法131条)に触れるべきでした。

※2.ここの表現は誤りでした。正しくは「Bの請求を裁量棄却(略)することはできないか」でした。民訴やりなおします。

※3.株主への通知は,株主に出席と準備の機会を与える性質をもつ点について言及すべきでした。たぶんここに点が振られていたと思います。ただ,正直ここらへんは時間がないので軽く流す感じにしました。


論点としては,たぶん多くの受験生が知っているところだと思いますので,

これくらいの答案で,受験生の中でどれくらいの位置づけになるのか,正直心配です。

合格ラインは超えてるのでしょうかね……?

皆さんの意見を聞きたいところです。

文字を打つのにつかれたので,ここらへんにしておきます。

また気が向いたら答案を載せます。

以上
プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

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