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2016-12-15(Thu)

【旧司】民事訴訟法平成22年度第1問

ロー入試から解放されて,やっと自由な時間がもてるようになった管理人です。

今年も残すとこわずかとなりましたが,そうですね,私からは特にありません。

それでは,今日は,旧司最後の年の民訴です。

まずは問題から。

≪問題≫
 Aは,Bに対し,平成21年11月2日,返済期日を平成22年3月31日とする約定で200万円を貸し渡した。このような消費賃借契約(以下「本件契約」という。)が成立したことについてはAとBとの間で争いがなかったが,Bがその返済期日にAに本件契約上の債務を弁済したかどうかが争いとなった。
 そこで,Bは,同年4月30日,Aを被告として,本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を求める訴えを提起した。
 この事例について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えとは別の裁判所に,別訴として,Bを被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。この場合のBの訴えとAの訴えのそれぞれの適法性について論ぜよ。
2.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えに対する反訴として,Bを反訴被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。
 (1) この場合のBの訴えとAの反訴のそれぞれの適法性について論ぜよ。
 (2) 同年6月1日の第1回口頭弁論期日において,Bは,Aの請求に対して,BはAに本件契約上の債務を全額弁済したのでAの請求を棄却するとの判決を求めると述べるとともに,Bの訴えを取り下げる旨述べ,これに対し,Aは,Bの訴えの取下げに同意すると述べた。その後の同年7月15日の第2回口頭弁論期日において,Aは,反訴を取り下げる旨述べたが,Bは,Aの反訴の取下げに異議を述べた。この場合のAの反訴の取下げの効力について論ぜよ。

消極的確認訴訟かぁ……という感じです。

消極的確認訴訟については普段意識的に勉強することは少ないですから,

とりあえず,基礎的な論述を落とさないように心がけたいですね。

≪答案≫
第1.設問1
 1(1) まず,Aの訴えの適法性について検討するに,Aの訴えは先行するBの訴えと同一の消費貸借契約上の債務について争うものであるから,重複訴訟の禁止(142条)に反し,不適法とならないか。
 「裁判所に係属する事件」と同一か否かは,当事者及び訴訟物が共通しているか否かによって判断する。本件では,当事者は,どちらの訴えにおいても,A及びBである。そして,Bの訴えは消極的確認の訴えであり,Aの訴えは給付訴訟であるから,審判形式は異なるが,どちらにおいても,その審判対象は,AのBに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求権であるから,訴訟物も同一である。したがって,Aの訴えは,先行するBの訴えと「事件」の同一性が認められるから,重複訴訟の禁止に反する。そうすると,Aの訴えは,不適法却下となりそうである。
  (2) 他方で,Bの訴えの適法性について検討するに,上記のようにBの訴えは消極的確認訴訟であるのに対して,Aの訴えは給付訴訟であるから,Bの訴えは確認の利益を欠き,不適法とならないか。
 確認訴訟は,対象に限定がないうえ,執行力を有しないから,確認の利益によってその範囲を限定すべきである。確認の利益の有無は,①方法選択の適否,②対象選択の適否,③即時確定の利益から判断する。本件では,①上記のように,Aの訴えとBの訴えは,「事件」の同一性が認められることから,Aの訴えに対する判決が,先行するBの訴えに対する判決と同一内容の既判力を持ち,確認判決に期待される紛争解決機能が給付訴訟による紛争解決に代替・包摂される関係にある。そうすると,Bの訴えを独立して認める必要性が欠けるから,Bの訴えは方法選択が適切でないことになる。したがって,Bの訴えは,確認の利益を欠き,不適法却下となりそうである。
 2(1) 上記において,Aの訴えを不適法とした場合には,Bの訴えは適法であるが,Bの訴えを不適法とした場合には,Aの訴えは適法となり,両者は表裏の関係にある。そこで,どちらを不適法とすべきかが問題となる。
  (2) 重複訴訟の禁止及び訴えの利益は,いずれも無駄な訴訟を回避して,訴訟経済に資するようにすることを目的とするものである。したがって,どちらを優先させるべきかは,より適切な訴訟運営を行うことができるのはどちらかによって判断すべきである。
 この点,給付判決を維持する方が,直截的な解決になるとも思える。しかし,執行力が付与されるのは,給付判決の原告が勝訴した場合に限られ,原告が必ずしも勝訴するとは限らないことからすれば,このような直截的な解決に対する期待は,あくまで想定する程度のものでしかない。仮に,給付訴訟を維持することを優先してしまうと,確認訴訟において積み重ねてきた訴訟資料を無駄にすることになり,訴訟経済の点から妥当ではない。
 以上からすれば,後行の給付訴訟を不適法却下とすべきである。
 また,この理は,未だ先行する確認訴訟において審理が進んでいない場合にも妥当する。仮に,この場合に例外を認めてしまうと,訴訟の先行きが芳しくない場合に,これを無にするための策略的な訴訟提起を誘発するおそれがあるからである。
  (3) 本件においても,Bの訴えが先行する以上,Aの訴えは重複訴訟の禁止に反するものというべきである。
 3.したがって,Aの訴えは不適法である。その反面,Bの訴えは適法である。
第2.設問2
 1.(1)について
  (1) 設問1と同様に,Aは,Bの先行する消極的確認訴訟にもかかわらず,後発的に給付訴訟を提起している。そこで,両者の優劣が問題となる。
  (2) この点,Aの訴えは,設問1では別訴であったのに対して,本件では反訴(146条1項)として提起されている。反訴は,別訴とは異なり,本訴と同一手続きで審理されるため,本訴における訴訟資料を反訴に流用することができる。そうすると,反訴の場合には,訴訟不経済の弊害が生じないから,重複訴訟の禁止に反しない。
 したがって,この場合には,先行する確認訴訟が,一方的に訴えの利益を欠くことになり,不適法却下となる。
  (3) 本件でも,Aの訴えは,重複訴訟の禁止に反せず,適法である。その反面,Bの訴えは,訴えの利益を欠き,不適法である。
 2.(2)について
  (1) まず,Bのした訴えの取下げは,「判決が確定」する前である第1回口頭弁論におけるものであって(261条1項),かつ,「相手方」であるAの「同意」を得ているため(261条2項本文),有効である。
 そして,「本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては」「相手方の同意」が不要であるため(261条2項ただし書),Aは,Bの同意なく,訴えを取り下げることができるのが原則である。しかし,本件において,Bが本訴を取り下げたのは,上記のように不適法とされる関係にあるからである。そうすると,BがAの反訴において請求棄却判決を得て債務の不存在を確定する利益が,失われることになる。そこで,このような場合にも,同項ただし書の適用があるかが問題となる。
  (2) 同項ただし書の趣旨は,本訴に誘発されて提起された反訴が本訴の取下げを契機として取り下げられることについて,本訴原告には独自の利益がないのが通例であるといえ,むしろ同意の拒絶の余地を残すことは,当事者間の公平を害することから,反訴の取下げに本訴原告の同意を不要とした点にある。そこで,反訴が取り下げられることについて本訴原告に独自の利益があり,当事者間の公平を害さない場合には,同項ただし書の適用はないと考える。
  (3) 本件では,上記のように,Bの訴えは,Aの訴えの提起により不適法とされる関係にある。そうすると,Bの本訴における目的は,Aの反訴についての攻撃防御を尽くすことでしか達成することができない。したがって,Bは,Aの反訴が維持されることについて正当な利益を有しているといえる。また,両者が上記のような関係にある以上,Aが反訴を提起した段階で,Bの係争利益はAの反訴に取り込まれることが予想できているといえるから,Bが同意を拒絶したとしても,当事者間の公平を害することはない。
 したがって,本件では,同項ただし書の適用はない。
  (4) そうすると,Aが反訴を取り下げるには,同項本文により,Bの同意が必要となるが,Bはこれを拒絶している。
 したがって,Aの反訴の取下げは,その要件を充たさず,無効である。
以上

文字打つので疲れました。

答案用紙的には84行程度なので,4頁目の後半くらいですかね。

そのくらいの分量になります。

確認の利益と重複訴訟の禁止の優劣については,あまり考えたことがありませんでした。

たしかに,これらを単体で学ぶことはありますが,

両者がこのように衝突するんだなぁと,勉強になりました。

そして,これを別訴と反訴とで分けて聞いてくる点が,親切な設問だと思いました。

反訴の取下げの点は,マイナー論点ではあるものの,その中では有名な論点ですね(どっちだよ)。

この点については,その上までの設問で,ちゃんと利益分析ができていれば,

比較的容易に問題点は見つけることができるのかなと思います。

しかし,本番では,時間的な制約から,ここまでしっかり論述できた答案は,

あまり多くはないのではないかとみています。あくまで私見ですけど。

さすが,最後の年の旧司という感じの問題でした。難しいです。


今年も残り少しですが,最後の大学生活を思いっきり楽しく過ごして,

ほどほどに勉強もして,悔いのないものにしたいですね。

年末までに,もう1通くらい答案を書こうと思います。

以上
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2016-11-04(Fri)

【旧司】民事訴訟法昭和61年度第2問

お久しぶりです。管理人です。

私大のロー入試が終わり,ひと段落ついたところでございます。

とりあえず,中大(全免),早稲田(半免),慶應に合格をいただきました。

慶應で免除がつかなかったのが心残りですが……

国立まであとわずかとなってしまったので,そちらも気を抜かずに頑張りたいと思います。


さて,今日は久しぶりに旧司民訴です。

≪問題≫
 甲は,駐車場として乙が使用している土地をその所有者Aから買い受けたと主張し,乙に対して,所有権に基づき土地の明渡しを求める訴えを提起した。
 乙はA甲間の売買の事実を認め,裁判所は和解勧告のため期日を続行したところ,次の期日になって,甲は,土地所有権侵害を理由として賃料相当損害金の支払いを求める請求を追加した。
 乙は,従前の態度を変えて,A甲間の売買の事実を争うことができるか。

一見,何やら自白の撤回の問題だなという感じですね……。

でも,それだけですと,あまりにもあっさり答案が終わってしまうので,

何か論じなければならない点があるんでしょうね……。

≪答案≫
1.乙は,従前,A甲間の売買の事実を認めていたところ,後にこの態度を変えて,A甲間の売買の事実を争おうとしている。ここで,乙のA甲間の売買の事実を認める陳述は,裁判上の自白にあたる。すなわち,裁判上の自白とは,口頭弁論又は弁論準備手続における相手方の主張と一致する自己に不利益な事実を認める旨の陳述をいうところ,甲は乙に対して所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求をしており,この請求原因は①甲が本件土地を所有すること,②乙が本件土地を占有することであって,A甲間の売買の事実は,①を基礎づける事実であるから,被告乙がこれを陳述することは,裁判上の自白にあたる。
 そうすると,乙が従前の態度を変えて,A甲間の売買の事実を争うためには,乙の上記自白の撤回が認められなければならない。
2⑴ 自白が成立した場合,その効果として審判排除効や不要証効(179条)が生じることから,相手方はこれに対して信頼するとともに,争点整理における効率的な審理という公益を生じさせる。そうすると,自白の撤回が無制限になされると,これらの利益が一方的に害されることになる。
 したがって,自白を構成する事実上の主張を当事者が事後に撤回することは制限されるべきである。
 しかし,自白の不可撤回効の目的と抵触しない場合や,撤回を認める必要性が大きい場合には,自白の撤回を認めるべきである。具体的には,①相手方が自白の撤回に同意した場合,②相手方または第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をするに至った場合,③自白された事実が反事実であり,かつ,それが錯誤に基いてなされた場合には,自白を撤回することができると考える。そして,③の場合,反事実の証明がなされたときは,それが錯誤に基いてなされた蓋然性が高いことから,錯誤については推定されると考える。
 ⑵ 本件において,事情から明らかではないが,①乙が自白を撤回するとこについて甲が同意した場合,②乙の自白が甲または第三者の刑事上罰すべき行為によってされた場合,③乙が,自白した事実が反事実であることを立証し,甲が反事実であること,かつ,それが錯誤に基づくことを覆すことができなかった場合には,乙の自白の撤回は認められる。
3⑴ 仮に,本件において,上記①~③が認められないとした場合であっても,乙は,甲が土地所有権に基づく損害賠償請求を追加したことに起因して,自白の撤回をしようとしている。そこで,このような事情の変更があった場合に,応訴態度を変更して自白を撤回することは許されるか。
 ⑵ この点について,係争利益の価値が著しく異なっている場合には,訴訟追行態度変更の自由を認めるべきであるとの理由から,訴えの変更(143条)による自白の取消しの余地を認めるべきであるとする見解がある。たしかに,一方当事者が係争利益の価値を著しく異にする訴訟活動を行う場合には,相手方の訴訟活動が無駄になる可能性があり,その意味で相手方にとって不意打ちとなる。このような場合に相手方にも訴訟追行態度変更の自由を認めなければ,当事者間に不均衡が生じかねず,上記見解を採用すべきとも思える。
 しかし,訴えの変更は,請求の基礎に変更がないことが要件とされており(143条1項本文),この点において,被告の利益は一定程度保障されている。そうすると,被告にたいする不意打ちは大きくはない。係争利益の価値が著しく異なるような場合には,訴えの変更自体を同要件によって制限すればよく,これと別に,相手方に訴訟追行態度変更の自由を認める必要はない。また,仮に上記見解を採用するにしても,どの程度の係争利益の懸隔があった場合に自白の撤回を許容するのかが明確ではないため,訴訟手続の安定性の見地からも上記見解は妥当ではない。
 したがって,上記見解は採りえない。
 ⑶ よって,訴えの変更を理由として自白の撤回を認めることはできない。
4.以上から,乙がA甲間の売買の事実を争うことができるか否かは,上記自白の撤回をしうる①~③の場合にあたるか否かによって決まる。
以上

最初は,自白の撤回について,いつものやつを淡々と……

2までがそれですが,これだけですと,(私の字のサイズでは)28行で終わってしまいます。

そこで,本問の特殊性から何か論点を見つけられないかと考えたときに,

問題文の2段落目に,いかにも触れてほしそうな感じで,

甲が請求の追加をしていましたので,これか,と。

私の能力では,ここに気付くまでが限界でした。

あとは,解析民訴を頼りにという感じですが,

訴えの変更に起因して自白の撤回を認める見解とか,初めてすぎたので,

こんな見解誰が知ってんだよと思いました。

しかも,見た感じ新堂教授しか主張していないような感じがしたので(他を確認していませんが),

これは採るのやめようと思い(ただの新堂嫌いの発露),

解析民訴の理由付け(基準の明確性)+自説(訴えの変更の要件)で否定してみました。

ネットに落ちている本問の参考答案とか,知人に見せてもらった某塾の参考答案とかは,

みんなこの見解を推しているようでした(みんな新堂教授大好きなんですね!)。

みなさんはお好きな説を採られたらよいのではないでしょうか。

以上
2016-07-24(Sun)

【旧司】民事訴訟法平成7年第2問

この時期になぜか破産法の判例研究をしている管理人です。

聴講しているゼミのディベートに向けた研究です。

聴講生なのになぜか班長になってしまうという素晴らしいゼミです。

これ以上は何も言いません。

さて,今日は民訴です。

≪問題≫
 甲は,株式会社乙の商業登記簿上の代表取締役丙を乙の代表者として,乙に対し,売買代金の支払を求める訴えを提起した。丙は,乙の代表者としてこの訴訟の訴状の送達を受け,口頭弁論期日に出頭して,甲の請求を争った。丙は,訴訟の審理がかなり進んだ段階で,自分は乙の代表取締役に選任されたことはなく,乙の真実の代表取締役は丁である旨を口頭弁論期日において陳述した。
 右の場合における訴訟法上の問題点及び裁判所が採るべき措置について論ぜよ。

表見法理出すかぁ~って感じですね。

とりあえず判例への言及は必須でしょうね。

ちなみに,出題当時は会社法なる法律は存在しませんでしたが,

現在は,会社法があるので,問題が「株式会社」と指定していることから,

会社法を前提に解いていくことにしました。

そうはいっても別に大して変わることはないんですが。

≪答案≫
1.株式会社乙は,法人(民法34条)である。法人について,法定代理人に関する規定は,法人の代表者について準用される(37条)。そうすると,法人の代表者は,訴状における必要的記載事項(37条,133条2項1号)である。したがって,この表示に誤りがある場合には,追認がない限り(34条2項),裁判長は,相当の期間を定め,補正を命じ(137条1項),送達からやり直さなければならない。そして,原告が不備を補正しないときには,裁判所は訴えを却下すべきである。
 そして,代表権の存否は,適切な訴訟振興という公益的側面から必要とされるから,裁判所はこれについて職権で調査を開始し,これに関する資料も職権で探知・収集すべきである。
 本問においても,裁判所は,調査の結果,乙の代表者が丙であれば,訴訟手続を進行させる。他方,乙の代表者が丁であることが判明した場合には,裁判所は,甲に対し,訴状の補正を命じる。そして,甲がこれに従わなかった場合には,訴えを却下することになる。
2(1)もっとも,甲は,乙の商業登記簿の記載に従って丙を代表者として訴状に記載している。それにもかかわらず,丙の自分は代表取締役に選任されたことはないという発言のみをもって,従前の訴訟を覆滅させるとすると,訴訟経済に反する上,原告甲にも酷である。そこで,登記を信頼した者を保護することができないかが問題となる。
 (2)この点,表見法理によらないと,登記を信じた相手方の信頼を裏切る一方,無権限者が代表権を有するような外観を放置・作出した法人を保護する結果となり,公平に反するとして,表見法理の適用または類推適用を認める見解がある。
 これによれば,本問では,会社法908条2項の適用または類推適用により,乙は真の代表者が丁であることを甲に対抗することができない結果,代表者の表示に誤りがないことになる。
 (3)しかし,実体法上の表見法理の規定は,あくまで取引の安全を図る趣旨のものであり,必ずしも訴訟上の適用を予定するものではない。また,仮に適用または類推適用を認める見解に立った場合,被告たる法人は無権限者による訴訟追行の結果を,不利益なものであれ甘受しなければならず,かえって公平を害することとなる。したがって,上記見解を採用することはできない。
 前述のように,代表権の存否については,職権探知事項・職権調査事項とされていることから,仮に原告が登記簿上の代表者の記載を信頼したとしても,訴訟上その信頼の保護の要請は弱まっていると考えられる。また,取引の相手方保護を図った規定である商法24条及び会社法13条は,表見支配人のした訴訟上の行為を除外していることから,実体法上も表見法理に関する規定を訴訟上にも反映させることは予定していないといえる。
 したがって,原則として,訴訟上の行為につき,表見法理の規定を適用すべきではないと考える。
 (4)それでも,原告としては,実際上登記の記載に依拠して訴状を作成しなければならないことに鑑みると,原告の不利益はやはり大きい。
 そこで,法人が訴訟係属を知り得る状況にあったにもかかわらず,法人の側から代表者変更の通知がなされなかった等の特段の事情がある場合には,表見法理の規定を類推適用し,旧代表者による訴訟追行の結果を覆滅させるべきではないと考える。
 このように考えても,表見法理の規定は,訴訟上の適用を禁じるまでの趣旨を含むものではないから,上記の見解と整合する。
 これによれば,本問では,丙は,訴訟の審理がかなり進んだ段階まで自己が無権限者であることを陳述していないが,この間に乙が本件訴訟の係属について知り得る状況にあったといえるならば,それにもかかわらず乙は代表者変更の通知等を行っていないから,会社法908条2項を類推適用し,乙は丙が無権限であることを甲に対抗することができない。したがって,裁判所は,訴訟を信仰させるべきである。
 他方,乙が本件訴訟係属を知り得る状況になかった場合には,裁判所は,甲に対し,訴状の補正を命じるべきである。そして,甲がこれに応じなかった場合には,裁判所は本件訴えを却下すべきである。
以上

下線部の点について,訴状が会社ではなく,登記簿上の代表者に送達された場合でも,表見法理は適用すべきではないか,という添削された方からのコメントをいただきました。原告の利益と会社の利益との衡量の問題だと思いますが,考えてみたいと思います。

これは,完全に私見ですが,民訴における表見法理の問題が出たときには,

中間説に立つのが一番いいのかなぁと思います。

というのは,最も事案の分析をするのに適しているうえ,妥当な結論を得られやすいからです。

ただ,判例は否定説に立っているので,それを踏まえたうえでという感じですね。

中間説では原則否定になるので,判例にも触れやすく,論じやすいと思います。

ただし,中間説では,どのような場合に例外を認めるべきか,

学説によって複数の見解が提示されていますので,

これについてもちゃんと明示してあげるべきだと思います。

まぁでも正直ここの論点はどの説とってもいいような気がします。

私個人としては,むしろ否定説の方が分が悪いかなという気はしています。

いずれにせよ,説得的に論じる必要がありそうです。

以上
2016-07-14(Thu)

【旧司】民事訴訟法平成10年第2問

北極ラーメンのカップ麺が復活して大歓喜の管理人です。

さて,今日も,自己満の究極ともいえるほどつまらない記事を書いてしまいます。

今回のお題は,旧司法試験民事訴訟法平成10年第2問です。

早速問題を確認してみましょう。

≪問題≫
 Yは,Xに対し,次の各事由を主張してそれぞれの確定判決の効力を争うことができるか。
一 XのYに対する売買代金請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後,YがXに対し,その売買契約はXにだまされて締結したものであるとして,取消しの意思表示をしたこと
二 XのYに対する賃金返還請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後,YがXに対し,事実審口頭弁論終結前より相殺適状にあった金銭債権をもってXの賃金返還請求権と対当額で相殺するとの意思表示をしたこと
三 賃貸人Xの賃借人Yに対する建物収去土地明渡請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後,YがXに対し,事実審口頭弁論終結前から存在する建物買取請求権を行使したこと

さて,民訴でお馴染みの既判力の問題ですね。

しかも論点としては結構有名なところです(勝手にハードルを上げ始める。なお出来)。

遮断効がうんたらうんたら……基準時がかんたらかんたら……たんたかたん……

っていうことを書いていけばいいんじゃないんですかねえ(正直よくわかっていない)。

そして私の答案は以下の通り。

≪答案≫
第1.小問一
 1.Yは,本件売買契約について詐欺取消し(民法96条1項)を主張している。これは,X勝訴判決の既判力によって遮断されないか。
 2.既判力とは,前訴確定判決の後訴に対する通用力ないし拘束力をいう。そして,既判力の正当化根拠である手続保障は,口頭弁論終結時にまで及ぶので,これを基準時として,「主文に包含」(114条1項)された訴訟物につき,「当事者」(115条1項1号)に対して既判力が生じる。そして,当事者がこれと抵触する事由を主要する場合には,既判力の消極的効力として当該主張は遮断される。
 本件でも,口頭弁論終結時を基準時として,XY間に,XのYに対する売買代金請求権が存在することにつき,既判力が生じる。そして,Yの前記主張は,売買代金請求権の存在と抵触するため,遮断されるようにも思われる。
 3.もっとも,取消権は,その行使の意思表示によって効果を生ずる形成権である。その点に注目すれば,本件におけるYの主張は,X勝訴判決確定後になされているため,取消権行使は基準時後の事由であるとも考え得る。そこで,取消権が基準時後の事由といえるかが問題となる。
  (1)既判力の正当化根拠は手続保障にある。そうすると,ある事由が基準時前後のいずれの事由であるかも,基準時前に手続保障があったといえるか,すなわち,当事者に当該事由について主張させる期待可能性があったといえるか否かによって判断すべきである。
  (2)取消権は,請求権自体に付着する瑕疵であり,当該請求権と併せて審理・判断されるべき性質の権利である。そして,取消権は請求権に対する権利障害事由であるから,取消権を有する者は,これを行使することにより自己に有利な審理・判断を促すことができる。そのため,前訴においてこれを提出できない理由はないというべきである。そうすると,前訴における取消権行使の期待可能性も十分に認められる。
  (3)本件でも,Yの主張する詐欺取消しは,基準時前の事由としてX勝訴判決の既判力により遮断される。
 4.よって,YはXに当該事由を主張することができない。
第2.小問二
 1.Yは,本件貸金返還請求権に対して相殺(民法505条1項)を主張している。これはX勝訴判決の既判力によって遮断されないか。
 2.相殺の主張も,X勝訴判決を覆す結果となり,貸金返還請求権の存在と抵触するため,遮断されるようにも思われる。
 3.もっとも,相殺も,その行使の意思表示によって効果を生ずる形成権である。そこで,相殺が基準時後の事由といえるかが問題となる。
  (1)相殺は取消権と異なり,請求権とは独立した別個の債権の行使であり,請求権自体に付着した瑕疵とはいえない。また,自己の債権を犠牲にする点で,実質的には自動債権について敗訴したものといえる。そうすると,請求権の全面棄却を求めて争っている被告に対し,相殺の主知用をさせることは酷であり,前訴において相殺を主張させる期待可能性があったとはいえない。
 したがって,相殺は,基準時後の事由であり,前訴確定判決の既判力によって遮断されない。
  (2)本件でも,Yの相殺の主張は,基準時後の事由としてX勝訴判決により遮断されない。
 4.よって,YはXに当該事由を主張して争うことができる。
第3.小問三
 1.Yは,本件建物収去土地明渡請求に対して,建物買取請求権(借地借家法13条1項)を主張している。これは,X勝訴判決の既判力により遮断されないか。
 2.建物買取請求権も,X勝訴判決のうち,建物収去の部分を覆す結果となるから,X勝訴判決と抵触し遮断されるようにも思われる。
 3.もっとも,建物買取請求権も,その意思表示が相手方に到達したときに建物について売買契約が成立することから,形成権である。そこで,建物買取請求権の行使が基準時後の事由とならないかが問題となる。
  (1)建物買取請求権は,建物を取り壊すことが社会経済上不利益であることから,これを存続させる趣旨で設けられた制度であり,前訴請求権とは別個の原因に基づいて発生する権利であり,前訴請求権に付着する瑕疵ではない。また,被告としては,そもそも前訴請求権の不存在を争っているのであるから,建物買取請求権の行使は,実質的に敗訴を認めるものである。そうすると,前訴において被告が建物買取請求権を行使する期待可能性があったとはいえない。
  (2)本件でも,Yの建物買取請求権は,前訴において行使する期待可能性があったとはいえないから,基準時後の事由である。
 4.よって,YはXに当該事由を主張して争うことができる。
以上

小問一では,Yが口頭弁論終結時まで欺罔されていることに気づかなかった場合はどうかということも検討するとよかったっぽいです。

民訴は(民訴に限りませんが)1つの視点を持てば,あとはそこから問題状況を考察するだけなので,

問題を解くだけなら,そんなに難しいことはないと思います。

……が,しかし,それだからこそ,民訴ってつまんないんですよね。

その視点から,あとは機械的な作業に似た感じで,事案処理……

っていうか,そもそもその視点を持つこと自体もなかなか大変なんですよね。

つまり,結論としては,民訴は総じて面白くないということです。

なんというか,民訴は眠素とはよく言ったものですね。

今晩はよく眠れそうです。

以上
プロフィール

||中央特快||高尾||

Author:||中央特快||高尾||
お疲れ様です。

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